「サラミ法」に隠れた危険
出版の量ではなく質を重視する




             Helping you get published
「サラミ法」に隠れた危険
 想像してみてください。あなたは産婦人科の新しい治療処
 置についての対照研究をたった今終えたところです。1つ
 は母親について、もう1つは乳児についての、2つの結果が
 あります。著者は各結果について報告する2本の論文を執
 筆し、2つの異なるジャーナルへ送るべきでしょうか。
 また、密接に関係した複数の合成物を研究している例を考
 えてみてください1。あなたは各合成物ごとに論文を執筆す
           あなたは各合成物ごとに論文を執筆す
 るべきでしょうか。

 両方の問いに対する答えはノーです。編集者はこれらの
 例を1つの研究結果を非倫理的に分割し
    つの研究結果を非倫理的に分割し複数の論文に報
 例を つの研究結果を非倫理的に分割し
 告する「サラミ法」とみなします。
「サラミ法」に隠れた危険

 サラミ法とは何か。

 サラミ法(salami slicing)とは 本の研究論文で報告できる
 サラミ法                とは1本の研究論文で報告できる
                     とは
 大きな研究を小さい発表論文に分割する行為を言いま
 す2 。

 言い換えると、1本の研究論文を発表可能な最小単位に
         本の研究論文を発表可能な最小単位に
 分割して、それぞれの論文で同じ研究からの種々の研
 分割して
 究結果を報告することです。

 1つ以上の論文に同じ母集団、方法、研究課題があると
 き、それらの論文はまとめてサラミ論文としてみなされま
 す3。
「サラミ法」に隠れた危険

                       Journal Speak

 When a manuscript is submitted to the American Journal
 of Speech-Language Pathology, one of the many decisions
 that must be made is whether it meets or exceeds a ‘least
 publishable unit’ criterion. To make this decision, I ask
 myself the following question: “Does this manuscript
 contain enough new data, knowledge, or insight to
 warrant publication?”4
 - Editor, American Journal of Speech-Language Pathology
「サラミ法」に隠れた危険

 あるジャーナルの編集者がサラミ法の実態を説明するた
 めに以下の例を挙げました4。

 あなたはどれがサラミ法の例かわかりますか。

 シナリオ1:科学者が新しい研究を開始。その研究者は
 シナリオ
 データ収集の為に、既存の器械より精密な新しい器械を
 開発する。メインである研究の完了には1年かそれ以上
 かかる。その科学者はメインの研究が完了する前に新し
 い器械を説明した出版用論文を投稿する。
「サラミ法」に隠れた危険

 シナリオ 研究課題を決め、研究デザインを設定後、科
 シナリオ2:
 学者は3つの参加者グループに関するデータを収集。グ
 ループのうち2つは異なるタイプの失語症を持ち(Aグル
 ープとBグループ)、1つは管理グループである。科学者
 は2本の出版用論文を投稿する。1つはAグループと管理
 グループを比較したもの、もう1つはBグループと管理グ
 ループを比較したもの。
「サラミ法」に隠れた危険

 答え

 シナリオ はサラミ出版とみなされるおそれはないでしょ
 シナリオ1
 う。新しい器械は研究課題の一部ではなく、むしろ研究
 課題を果たすために開発されたものです。さらに他の科
 学者たちもその新しいデータ収集法を利用でき、出版の
 恩恵を受けます。メインの研究を出版するときは、その
 科学者はこの機械について詳しくMethodで説明する必
 要はありませんが、先の出版について言及すべきです
 。

 シナリオ はサラミ出版とみなされるおそれがあります。
 シナリオ2
 全てのデータが1つの原稿で出版されるべきです。
「サラミ法」に隠れた危険

 この何が問題なのか。

 キャリアのひずみ サラミ法は「発表か、死か(publish and
 キャリアのひずみ:
 perish)」5文化から生じた、出版数を増やすために研究者
 が取り入れる手法として広く認識されています。短期間
 で見れば、サラミ科学は科学者や研究者が履歴書に膨
 大な数の論文を掲載できるおかげで本来よりも早いキャ
 リアアップや、本来よりも多い助成金を受け取れるように
 なるかもしれません6,7。しかし、サラミ法はそれぞれの論
 文の価値を下げるため、長期間では害を及ぼしかねま
 せん。サラミ出版を行うことで長い論文リストを付け足せ
 るかもしれませんが、もし委員会が研究本体を調査する
 ことになれば、彼らはその研究自体に十分な実態がない
 と結論付けるかもしれません。
「サラミ法」に隠れた危険

 この何が問題なのか。

 科学への損害 不要な出版と情報の繰り返しは文献数を
 科学への損害:
 増やすだけで、知識量を増やすことにつながりません。1
 つの研究対象グループから出た密接に関連するデータ
 が数本の論文に分割されて発表されていたら、その複数
 の論文のうちの1つにしかアクセスしない読者は研究結
 果を誤って解釈するかもしれません。

 さらに言えば、重複する報告は1セットの研究結果に対し
 本来の価値以上の重要性を付与する原因となるかもし
 れません。例えば、冒頭に挙げた例の中で、産婦人科の
 為の新しい治療処置についてのメタ分析をしている別の
 科学者は、この治療処置は1度ではなく2度研究されたと
 誤った想定をするかもしれません。
「サラミ法」に隠れた危険

                      Journal Speak

As earlier editorials have pointed out, multiple reports of
the same observations can overemphasize the importance
of the findings, overburden busy reviewers, fill the medical
literature with inconsequential material, and distort the
academic reward system.6
- Editorial, New England Journal of Medicine
「サラミ法」に隠れた危険

 複数の論文に1つの研究を報告することは常に間違った
 複数の論文に つの研究を報告することは常に間違った
 ことなのか。
 ことなのか。

 もとのデータセットが非常に大きい場合(例えば人口
 ベースの研究)や収集と分析に何年もかかるデータセッ
 トのような場合、著者には1本以上の論文にその研究を
 報告する正当で妥当な根拠があります6,8。

 しかし、各論文で明確かつ重要な課題を取り上げるべき
 です8。もしその研究が、ある1つの仮説をめぐり動機付
 けされデザインされたものならば、その結果はデータセッ
 トの大きさに関わらず1つのパッケージとして読者に提示
 されるべきです4。
「サラミ法」に隠れた危険

 もしあなたに、同じ研究にもとづいた複数の論文を投稿
 する正当な根拠が確実にあるならば、ジャーナル編集オ
 フィスに、情報が重複する可能性を、論文を投稿する前
 か、添付するカバーレターで確実に通知しましょう9。

 例えばある論文内の制御データが、別の論文の制御デ
 ータ内にも含まれたり、同じ情報についてや密に関連し
 たトピックについて以前に論文を発表したかどうかといっ
 た情報がそれに含まれます。

 さらに、原稿内で全ての関連研究について言及しましょ
 う。
「サラミ法」に隠れた危険

                                  Journal Speak

When authors fail to disclose all relevant work, they deny referees and editors
the opportunity of assessing the true extent of its contribution to the broader
body of research.10
- Editorial, Nature Materials

A reasonable yardstick by which to judge redundancy is to ask whether a single
paper would be more cohesive and informative than two, without being
excessively long.7
- Annals of the Rheumatic Diseases
「サラミ法」に隠れた危険

結論

論文は、大きな研究の断片よりも1つの大規模な研究としての方が掲載の見込
みは高いでしょう。論文の量ではなく、質を重視しましょう。履歴書の論文数を増
やすためのサラミ法は、単に後々あなたの研究キャリアを妨げる結末にしかな
らないかもしれません。
「サラミ法」に隠れた危険
参考文献:
参考文献

1.   McCann G (n.d.). Common Reasons for Rejection. Journal of Materials Chemistry,
     Author Guidelines.
2.   Cicutto L (2008). Plagiarism: Avoiding the peril in scientific writing. Chest. 133(2):
     579-81. doi: 10.1378/chest.07-2326
3.   Committee on Publication Ethics (COPE) (2005). Cases: Salami publication.
     Accessed on July 7, 2011. Available
     at http://www.publicationethics.org/case/salami-publication.
4.   Hoit J (2007). Salami science. American Journal of Speech-Language Pathology, 16:
     94. doi: 10.1044/1058-0360(2007/013).
5.   Abraham P (2000). Duplicate and salami publications. Journal of Postgraduate
     Medicine, 46: 67
「サラミ法」に隠れた危険
参考文献:
参考文献

6.  Kassirer J & Angell M (1995). Redundant publication: A reminder (Editorial). The
    New England Journal of Medicine, 333: 449-50.
7. Doherty M (1996). The misconduct of redundant publication. Annals of the
    Rheumatic Diseases, 55(11): 783-85.
8. Tobin M (2002). AJRCCM’s policy on duplicate publication: Infrequently asked
    questions. American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, 166: 433-
    34.
9. Bankier A, Levine D, Sheiman R, Lev M, Kressel H (2008). Redundant publications
    in radiology: Shades of gray in a seemingly black-and-white issue. Radiology, 247:
    605-7. doi: 10.1148/radiol.2473080298.
10. Editorial (2005). The cost of salami slicing. Nature Materials 4(1). doi:
    10.1038/nmat1305.
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「サラミ法」に隠れた危険:出版の量ではなく質を重視する

  • 1.
  • 2.
    「サラミ法」に隠れた危険 想像してみてください。あなたは産婦人科の新しい治療処 置についての対照研究をたった今終えたところです。1つ は母親について、もう1つは乳児についての、2つの結果が あります。著者は各結果について報告する2本の論文を執 筆し、2つの異なるジャーナルへ送るべきでしょうか。 また、密接に関係した複数の合成物を研究している例を考 えてみてください1。あなたは各合成物ごとに論文を執筆す あなたは各合成物ごとに論文を執筆す るべきでしょうか。 両方の問いに対する答えはノーです。編集者はこれらの 例を1つの研究結果を非倫理的に分割し つの研究結果を非倫理的に分割し複数の論文に報 例を つの研究結果を非倫理的に分割し 告する「サラミ法」とみなします。
  • 3.
    「サラミ法」に隠れた危険 サラミ法とは何か。 サラミ法(salamislicing)とは 本の研究論文で報告できる サラミ法 とは1本の研究論文で報告できる とは 大きな研究を小さい発表論文に分割する行為を言いま す2 。 言い換えると、1本の研究論文を発表可能な最小単位に 本の研究論文を発表可能な最小単位に 分割して、それぞれの論文で同じ研究からの種々の研 分割して 究結果を報告することです。 1つ以上の論文に同じ母集団、方法、研究課題があると き、それらの論文はまとめてサラミ論文としてみなされま す3。
  • 4.
    「サラミ法」に隠れた危険 Journal Speak When a manuscript is submitted to the American Journal of Speech-Language Pathology, one of the many decisions that must be made is whether it meets or exceeds a ‘least publishable unit’ criterion. To make this decision, I ask myself the following question: “Does this manuscript contain enough new data, knowledge, or insight to warrant publication?”4 - Editor, American Journal of Speech-Language Pathology
  • 5.
    「サラミ法」に隠れた危険 あるジャーナルの編集者がサラミ法の実態を説明するた めに以下の例を挙げました4。 あなたはどれがサラミ法の例かわかりますか。 シナリオ1:科学者が新しい研究を開始。その研究者は シナリオ データ収集の為に、既存の器械より精密な新しい器械を 開発する。メインである研究の完了には1年かそれ以上 かかる。その科学者はメインの研究が完了する前に新し い器械を説明した出版用論文を投稿する。
  • 6.
    「サラミ法」に隠れた危険 シナリオ 研究課題を決め、研究デザインを設定後、科 シナリオ2: 学者は3つの参加者グループに関するデータを収集。グ ループのうち2つは異なるタイプの失語症を持ち(Aグル ープとBグループ)、1つは管理グループである。科学者 は2本の出版用論文を投稿する。1つはAグループと管理 グループを比較したもの、もう1つはBグループと管理グ ループを比較したもの。
  • 7.
    「サラミ法」に隠れた危険 答え シナリオはサラミ出版とみなされるおそれはないでしょ シナリオ1 う。新しい器械は研究課題の一部ではなく、むしろ研究 課題を果たすために開発されたものです。さらに他の科 学者たちもその新しいデータ収集法を利用でき、出版の 恩恵を受けます。メインの研究を出版するときは、その 科学者はこの機械について詳しくMethodで説明する必 要はありませんが、先の出版について言及すべきです 。 シナリオ はサラミ出版とみなされるおそれがあります。 シナリオ2 全てのデータが1つの原稿で出版されるべきです。
  • 8.
    「サラミ法」に隠れた危険 この何が問題なのか。 キャリアのひずみサラミ法は「発表か、死か(publish and キャリアのひずみ: perish)」5文化から生じた、出版数を増やすために研究者 が取り入れる手法として広く認識されています。短期間 で見れば、サラミ科学は科学者や研究者が履歴書に膨 大な数の論文を掲載できるおかげで本来よりも早いキャ リアアップや、本来よりも多い助成金を受け取れるように なるかもしれません6,7。しかし、サラミ法はそれぞれの論 文の価値を下げるため、長期間では害を及ぼしかねま せん。サラミ出版を行うことで長い論文リストを付け足せ るかもしれませんが、もし委員会が研究本体を調査する ことになれば、彼らはその研究自体に十分な実態がない と結論付けるかもしれません。
  • 9.
    「サラミ法」に隠れた危険 この何が問題なのか。 科学への損害不要な出版と情報の繰り返しは文献数を 科学への損害: 増やすだけで、知識量を増やすことにつながりません。1 つの研究対象グループから出た密接に関連するデータ が数本の論文に分割されて発表されていたら、その複数 の論文のうちの1つにしかアクセスしない読者は研究結 果を誤って解釈するかもしれません。 さらに言えば、重複する報告は1セットの研究結果に対し 本来の価値以上の重要性を付与する原因となるかもし れません。例えば、冒頭に挙げた例の中で、産婦人科の 為の新しい治療処置についてのメタ分析をしている別の 科学者は、この治療処置は1度ではなく2度研究されたと 誤った想定をするかもしれません。
  • 10.
    「サラミ法」に隠れた危険 Journal Speak As earlier editorials have pointed out, multiple reports of the same observations can overemphasize the importance of the findings, overburden busy reviewers, fill the medical literature with inconsequential material, and distort the academic reward system.6 - Editorial, New England Journal of Medicine
  • 11.
    「サラミ法」に隠れた危険 複数の論文に1つの研究を報告することは常に間違った 複数の論文につの研究を報告することは常に間違った ことなのか。 ことなのか。 もとのデータセットが非常に大きい場合(例えば人口 ベースの研究)や収集と分析に何年もかかるデータセッ トのような場合、著者には1本以上の論文にその研究を 報告する正当で妥当な根拠があります6,8。 しかし、各論文で明確かつ重要な課題を取り上げるべき です8。もしその研究が、ある1つの仮説をめぐり動機付 けされデザインされたものならば、その結果はデータセッ トの大きさに関わらず1つのパッケージとして読者に提示 されるべきです4。
  • 12.
    「サラミ法」に隠れた危険 もしあなたに、同じ研究にもとづいた複数の論文を投稿 する正当な根拠が確実にあるならば、ジャーナル編集オ フィスに、情報が重複する可能性を、論文を投稿する前 か、添付するカバーレターで確実に通知しましょう9。 例えばある論文内の制御データが、別の論文の制御デ ータ内にも含まれたり、同じ情報についてや密に関連し たトピックについて以前に論文を発表したかどうかといっ た情報がそれに含まれます。 さらに、原稿内で全ての関連研究について言及しましょ う。
  • 13.
    「サラミ法」に隠れた危険 Journal Speak When authors fail to disclose all relevant work, they deny referees and editors the opportunity of assessing the true extent of its contribution to the broader body of research.10 - Editorial, Nature Materials A reasonable yardstick by which to judge redundancy is to ask whether a single paper would be more cohesive and informative than two, without being excessively long.7 - Annals of the Rheumatic Diseases
  • 14.
  • 15.
    「サラミ法」に隠れた危険 参考文献: 参考文献 1. McCann G (n.d.). Common Reasons for Rejection. Journal of Materials Chemistry, Author Guidelines. 2. Cicutto L (2008). Plagiarism: Avoiding the peril in scientific writing. Chest. 133(2): 579-81. doi: 10.1378/chest.07-2326 3. Committee on Publication Ethics (COPE) (2005). Cases: Salami publication. Accessed on July 7, 2011. Available at http://www.publicationethics.org/case/salami-publication. 4. Hoit J (2007). Salami science. American Journal of Speech-Language Pathology, 16: 94. doi: 10.1044/1058-0360(2007/013). 5. Abraham P (2000). Duplicate and salami publications. Journal of Postgraduate Medicine, 46: 67
  • 16.
    「サラミ法」に隠れた危険 参考文献: 参考文献 6. KassirerJ & Angell M (1995). Redundant publication: A reminder (Editorial). The New England Journal of Medicine, 333: 449-50. 7. Doherty M (1996). The misconduct of redundant publication. Annals of the Rheumatic Diseases, 55(11): 783-85. 8. Tobin M (2002). AJRCCM’s policy on duplicate publication: Infrequently asked questions. American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, 166: 433- 34. 9. Bankier A, Levine D, Sheiman R, Lev M, Kressel H (2008). Redundant publications in radiology: Shades of gray in a seemingly black-and-white issue. Radiology, 247: 605-7. doi: 10.1148/radiol.2473080298. 10. Editorial (2005). The cost of salami slicing. Nature Materials 4(1). doi: 10.1038/nmat1305.
  • 17.
    Connect Connect withus on: http://www.facebook.com/EditageJapan https://twitter.com/EditageJapan http://www.linkedin.com/company/cactus-communications