More Related Content
Similar to ビジネス連携 Vol8 (20)
ビジネス連携 Vol8
- 1. はじめに
1 なぜ今、連携なのか?
2 企業連携の種類
10
3 連携するきっかけ
4 成功する企業連携の流れ
5 戦略企画フェーズ
6 連携先調査・打診フェーズ
7 連携計画策定フェーズ
8 契約フェーズ
9 実施・モニタリングフェーズ
10 解消フェーズ
11 企業連携成功の勘所
12 国の支援策
128
- 2. (6)解消フェーズ
最後のフェーズは解消ですが、事業/ビジネスが成功した場合
若しくは失敗した場合、または失敗しそうな場合、問題を大きく
しない解消方法を知っておきます。
ステップ⑰ 連携の契約解消
ステップ⑱ 成果物等の整理
解消フェーズの2つのステップ 129
- 3. ステップ⑰ 連携の契約解消
企業連携の解消方法には以下4つがあります。
契約満了
⇒目的達成、予め定められた期間が経過する
同意による解消
⇒連携による成果、その他状況を鑑みて、双方合意の上終了とする
契約違反による解消
⇒一方が契約上の義務を履行しない、履行できない場合、相手側が
契約を破棄して終了する
終結権の行使
⇒予め定めた条件を満たした場合、どちらかが契約を破棄して終結
させる
130
- 4. ひとつめの契約満了以外は、基本的には好ましくない企業連
携の解消です。
プロジェクトの途中で、幾度となく困難な場面に遭遇するかも
しれません。そのとき、乗り越えるのか?そこでとまるのか?
どちらの判断をしたにしても、その結果がドラマやビジネス小
説のようにうまくいかないのが現実です。(特に乗り越えるとし
た場合・・・)
企業連携の基本計画書の中で、途中のチェックポイント、撤退
条件を明確にしておき、さらにそれを契約書の条項に盛り込む
ことで、“荒れない”解消を進める事ができます。
131
- 5. 相手方の契約不履行を条件に、連携解消を突き付けるのは、
精神的な負担を必要とします。
「誰のせい、どちらのせいなのか?」がわかるように、
目標に対してのKPIを設ける
各社の役割がどう連鎖しているのかをBSCで見える化する
をしておきます。
青はA社、
赤はB社の担当
それぞれの担当
が、最終的な財務
視点の目標にどう
つながっているか
がわかる BSCの各パーツ
にKPIを設ける
132
- 6. ステップ⑱ 成果物等の整理
最後に、連携が途中で解消される場合には、整理作業が必要
になりますが
途中までの研究成果、未完成の成果物等の帰属をどうするか?
かかった費用の清算
等は、事前に定義がないともめやすい事項なので、契約に盛
り込んでおくべきです。
かかった費用は各社持ち出し、途中成果物はコア企業が買い
取り、が落ち着きどころでしょうか。
133
- 7. はじめに
1 なぜ今、連携なのか?
2 企業連携の種類
11
3 連携するきっかけ
4 成功する企業連携の流れ
5 戦略企画フェーズ
6 連携先調査・打診フェーズ
7 連携計画策定フェーズ
8 契約フェーズ
9 実施・モニタリングフェーズ
10 解消フェーズ
11 企業連携成功の勘所
12 国の支援策
134
- 8. ここまで、企業連携の進め方を説明してきましたが、どのス
テップが抜けても、成功の確率がぐっと減ります。
各ステップを確実に進めていくことが、企業連携の成功のポイ
ントと言ってもよいのですが、本章ではあらためて、企業連携
成功のポイントを挙げてみたいと思います。
そうなんだろうなとわかっていても、なかなかうまくできないとこ
ろを7つ挙げます。
135
- 9. 1.お互いの理解、自分視点でのみ考えない
何しろ新しい取り組みです。自分の判断は間違っていない、自
分の経験に自信がある。そんなプライドは置いておいて、相手
企業を理解しましょう。風土、状況、経営方針・・・。これが違え
ば、判断基準も変わってきます。相手がなぜそう考えるか?こ
れを理解することがお互いの理解に繋がります。
2.トップが評論家にならない
社長および担当役員が現場に出る事。会議の中で報告を受
け、「どうなってるんだ!?」「なんでできないんだ!?」「メン
バーのモチベーション管理をしっかりやれ!?」「マイルストー
ン毎にちゃんと評価しているのか!?」「リスクが顕在化する
前にきちんと対応しろ!」と、当たり前の事をまくしたてない事。
評論家はいりません。 136
- 10. 3.プロジェクトマネージャーのスキル、性格
企業連携のプロジェクトマネージャーは、自社単独のプロ
ジェクトマネージャーの経験者であることが絶対。いきなり企
業連携のプロジェクトは管理できません。相手がいる分、必要
なスキルも増えますが、人間的スキルでこれは補えます。
相手がなぜそう考えるのか?考え方の背景は何なのか?ど
こは押せてどこは引くべきなのか?等を理解できる洞察力、相
手の空気を読むスキルが必要です。
また、相手企業からも一目置かれるような人物でなくてはな
りません。そのためには考えるだけのタイプでは駄目で、自ら
得意分野を持ち、行動を起こすリーダーシップが必要です。更
には、意識して場の雰囲気を作れる人がいいです。冗談も言
えて喜怒哀楽、メリハリがある人がいいでしょう。
137
- 11. 4.ファシリテーションと会議のちょっとした工夫
連携先との会議は幾度となく行われますが、1回1回がきち
んと前に進まなければなりません。これはプロジェクトマネー
ジャーのファシリテーションスキルがものを言います。「XXさん、
ちょっと相手側企業として発言してみて下さい」などの工夫も
面白いところです。
事務局もアジェンダの用意、資料等事前準備、議事録作成
など、スムーズに行いたいです。
また毎回座る席位置が固定されてきます。これを崩して連携
先企業と交互に座るなどすると、議論が柔軟になります。
138
- 12. 5.現場のコミュニケーション
トップ同士のコミュニケーションよりも、現場のメンバーたちの
コミュニケーションは深くあるべきです。公式ミーティングでの
嫌な雰囲気をオフサイトミーティングで払拭できるような、関係
まで高めていきたいものです。
6.小さな成功を積み重ねる
最終目標は一つかもしれませんが、そこにたどり着くまでの途
中の指標を設け、これをメンバー全員で「小さな成功」として認
識させましょう。苦労の後の成功体験は、仲間意識を醸成する
のにとても重要です。
139
- 13. 7.譲ってくれた部分をしっかり意識する
議事録に「どちらの企業がどういう交渉でどこまで妥協したか」
をしっかり残しておきましょう。両社の制約条件以外のちょっと
した部分での譲り合い、お互い同じくらいの妥協を保つことが、
連携の均衡を守ります。
140
- 14. はじめに
1 なぜ今、連携なのか?
2 企業連携の種類
12
3 連携するきっかけ
4 成功する企業連携の流れ
5 戦略企画フェーズ
6 連携先調査・打診フェーズ
7 連携計画策定フェーズ
8 契約フェーズ
9 実施・モニタリングフェーズ
10 解消フェーズ
11 企業連携成功の勘所
12 国の支援策
141
- 15. 企業連携を支援する国の施策があります。
代表的なものを2つ紹介します。
新連携
農商工連携
どちらも専門家のアドバイスや補助金、融資、信用保証の特
例など有用な支援内容であり、中小企業であれば是非とも活
用をお勧めします。
支援をうけられるだけでなく、様々な場面で広く紹介される事
になるので、話題性が高まり、広告宣伝効果ももたらします。
142
- 16. 中小企業新事業活動促進法にもとづく施策です。
異分野の中小企業が有機的に連携し、その経営資源を組み合わせて、新
事業活動を行うことにより、新たな事業分野の開拓を図ることを目的として
います。
全国10ヵ所の中小機構各地域本部・事務所において、専門家が連携事業
実施にあたっての事業計画の策定、商品開発、販路開拓等のアドバイス・
ノウハウ提供などを行い、事業の構想から事業化まで一貫したハンズオン
支援を行います。
認定に向けて
ブラッシュアップ 実行アドバイス
フォローアップ
他支援策の
活用サポート
窓口相談で
構想の具体化
新連携のスキーム 143
- 17. 平成24年10月1日時点で800件を超える事業が認定されて
います。
認定後、7割を超える企業が目標を達成しているようです。
出典:中小企業庁新事業促進課発表資料
件数
認定件数 144
- 18. 農商工連携促進法にもとづく施策です。
中小企業者と農林漁業者が有機的に連携し、それぞれの経営資源を有効
に活用して行う事業活動を推進することにより、中小企業および農林漁業
経営の改善を図ることを目的としています。
新連携と同じようなスキームです、事業主体が異なり、対象とする事業内
容も若干違いがあります。認定要件にも目標数値等に違いがあります。
農商工連携のスキーム 145
- 19. 平成20年度の相談件数が3,506件に対し、認定件数は185件
と、5%程の認定率となっています。
平成24年6月20日時点では、全国で501件の認定となって
いるようです。
出典:J-net21のwebサイト
相談件数と認定件数
146
- 20. 以下は、新連携および農商工連携の支援策です。
新連携 農商工連携
ビジネスプランブラッシュアップ
認定 前 補助金
連携体構築に資する規約作成、コンサル等に経費を補助(上限500万円、2/3以内)
補助金 補助金
認定 後 新商品開発(製品・サービス)に係る試作、実験、連携体構築費、研
究会、マーケティング、市場調査等にかかる経費(上限2,500万円、
新商品開発(製品・サービス)に係る試作、実験、連携体構築費、研
究会、マーケティング、市場調査等にかかる経費(上限3,000万円、
但し技術開発を伴う場合3,000万円、2/3以内) 但し、試作・開発を伴わない事業は2,500万円以下、2/3以内)
融資 融資
認定を受けた事業計画に基づく設備資金及び運転資金について、 政府系金融機関による融資制度
政府系金融機関が優遇金利で融資 認定を受けた事業計画に基づく設備資金及び運転資金について、
政府系金融機関が優遇金利で融資
小規模企業者等設備導入資金助成法の特例
小規模企業者等の設備資金について、無利子設備資金貸付の貸
付金額を6,000万円以下に、また同無利子設備資金貸付の貸付割
合を2/3以内に優遇し
信用保証の特例
中小企業者が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が債務保証をする制度で、中小企業者は次の措置を受けることができる
【普通保障等の別枠設定】
普通保障2億円、無担保保証8,000万円、特別小口保証1,250万円、流動資産担保融資保証2億円に加えて、それぞれ別枠で同額の保証
【新事業開拓保障の限度枠拡大】
新事業開拓保障の限度額が2億円から4億円(組合4億円から6億円)に拡大
中小企業投資育成株式会社の特例 -
特許料の減免措置 -
審査請求料・特許料(第1〜10年)を半額に軽減
- 食品流通構造改善促進法の特例
金融機関から融資を受ける際、食品流通構造改善促進機構による
相談件数と認定件数債務保証等
147