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実数行列A
𝑎 𝑏
𝑏 𝑐
を考える。ただしa≠b,またはc≠dとする。
この時X= 𝑦
𝑥
に対してf(x)=tXAX=𝑎𝑥2
+ 2𝑏𝑥𝑦 + 𝑐𝑦2
とおく。𝐴の固有値をλ1λ2とする時、以下の問に答えよ。
(1)λ1λ2は相違なる実数であることを示せ。
(2)λ1λ2に対する固有ベクトルをu1u2とする時、u1とu2は標準の内席に関して直交することを示せ。
(3)u1,u2を(2)の固有ベクトルを||u1||=||u2||=1となるように正規化したものとする。
X=ξu1+ηu2とする時、f(x)をξとηで表せ。
(4)λ1≠0 λ2≠0の場合(3)で正規化したu1,u2に対しX=
𝜉′
𝜆1
𝑢1 +
𝜂′
𝜆2
𝑢2とする時f(x)をξ’η’で表せ。
実数行列A
𝑎 𝑏
𝑏 𝑐
を考える。ただしa≠b,またはc≠dとする。
この時X= 𝑦
𝑥
に対してf(x)=tXAX=𝑎𝑥2
+ 2𝑏𝑥𝑦 + 𝑐𝑦2
とおく。𝐴の固有値をλ1λ2とする時、以下の問に答えよ。
(1)λ1λ2は相違なる実数であることを示せ。
証明
Aの固有値をλ、単位行列をIとするとa≠b,またはc≠dより|A-λI|=𝜆2 − 𝑎 + 𝑏 𝜆 + 𝑎𝑐 − 𝑏2=0
この判別式は 𝑎 − 𝑏 2
+ 4𝑏2
> 0となるので|a-λI|=0は異なる実数解を持つ。つまり固有値は相違である。
(2)λ1λ2に対する固有ベクトルをu1u2とする時、u1とu2は標準の内席に関して直交することを示せ。
証明
Au1=λ1u1, Au2=λ2u2
なので、λ1(u1,u2)=(Au1,u2)=(u1,Au2)=λ2(u1,u2)
(λ1-λ2)(u1,u2)=0 (1)よりλ1λ2は相違であるから(u1,u2)=0
よってu1とu2は直交する。
(3)u1,u2を(2)の固有ベクトルを||u1||=||u2||=1となるように正規化したものとする。
X=ξu1+ηu2とする時、f(x)をξとηで表せ。
計算 tu1Au1=λ1 tu1Au2=tu2Au1=0 tu1Au2=λ2
に注意すれば、x=ξu1+ηu2の時、f(x)=tXAX=λ1𝜉2
+ 𝜆2𝜂2
(4)λ1≠0 λ2≠0の場合(3)で正規化したu1,u2に対しX=
𝜉′
𝜆1
𝑢1 +
𝜂′
𝜆2
𝑢2とする時f(x)をξ’η’で表せ。
X=
𝜉′
𝜆1
𝑢1 +
𝜂′
𝜆1
𝑢2とするとf(x)=tXAX=
𝜆1
|𝜆1|
𝜉′2 +
𝜆2
|𝜆2|
𝜂′2

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  • 2. 実数行列A 𝑎 𝑏 𝑏 𝑐 を考える。ただしa≠b,またはc≠dとする。 この時X= 𝑦 𝑥 に対してf(x)=tXAX=𝑎𝑥2 + 2𝑏𝑥𝑦 + 𝑐𝑦2 とおく。𝐴の固有値をλ1λ2とする時、以下の問に答えよ。 (1)λ1λ2は相違なる実数であることを示せ。 証明 Aの固有値をλ、単位行列をIとするとa≠b,またはc≠dより|A-λI|=𝜆2 − 𝑎 + 𝑏 𝜆 + 𝑎𝑐 − 𝑏2=0 この判別式は 𝑎 − 𝑏 2 + 4𝑏2 > 0となるので|a-λI|=0は異なる実数解を持つ。つまり固有値は相違である。 (2)λ1λ2に対する固有ベクトルをu1u2とする時、u1とu2は標準の内席に関して直交することを示せ。 証明 Au1=λ1u1, Au2=λ2u2 なので、λ1(u1,u2)=(Au1,u2)=(u1,Au2)=λ2(u1,u2) (λ1-λ2)(u1,u2)=0 (1)よりλ1λ2は相違であるから(u1,u2)=0 よってu1とu2は直交する。 (3)u1,u2を(2)の固有ベクトルを||u1||=||u2||=1となるように正規化したものとする。 X=ξu1+ηu2とする時、f(x)をξとηで表せ。 計算 tu1Au1=λ1 tu1Au2=tu2Au1=0 tu1Au2=λ2 に注意すれば、x=ξu1+ηu2の時、f(x)=tXAX=λ1𝜉2 + 𝜆2𝜂2 (4)λ1≠0 λ2≠0の場合(3)で正規化したu1,u2に対しX= 𝜉′ 𝜆1 𝑢1 + 𝜂′ 𝜆2 𝑢2とする時f(x)をξ’η’で表せ。 X= 𝜉′ 𝜆1 𝑢1 + 𝜂′ 𝜆1 𝑢2とするとf(x)=tXAX= 𝜆1 |𝜆1| 𝜉′2 + 𝜆2 |𝜆2| 𝜂′2