看護過程

1. 在宅における看護過程の特徴
2016/5/23
担当：栗原

2. 本講義のねらい
在宅看護における看護過程の特徴がわかる
在宅看護過程の各ステップで重要な視点がわ
かる
既習の学習と統合し、在宅看護過程を展開す
る能力を養うことができる

3. 1.在宅看護過程とは
＊在宅看護学は「暮らしの場にいる」
ことを支える看護学
「暮らしの場にいる」ことと「暮らしの場に帰る」
ことを支援する看護過程
⬇︎

4. 看護過程の5つのステップ

5. 看護過程の定義
（日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会 平成23年）
・看護の知識体系と経験に基づいて、人々の健康上の問題を見極め、
最適かつ個別的な看護を提供するための組 織的・系統的な看護実践
方法の一つ
・看護過程は、 5 つのステップ（アセスメント、看護診断[問題の明確
化]、計画立案、実施、評価）に分けられている場合が多く、 これらの
ステップは互いに関連して動的に循環しらせん状に進み、「評価」に基
づいて再び次の「アセスメント」 へとつながっている
・看護過程は、対人的援助関係の過程を基盤として、看護の目標を達成
するための 科学的な問題解決法を応用した思考過程の筋道

6. ◆在宅看護の対象者のもつ健康課題
・疾患が快方に向かい（ 日常生活 ）を取り戻そうと
している
・可能な治療を終えて、（ 疾患や障害 ）を抱えたまま
日常生活を開始しようとしている
・自分らしく生き、自分らしい生涯を全うしたいと
願っている
・症状の憎悪や急変、あるいは終末期を迎えて
治療を最優先に生活をしている
目指す方向：（ 療養者・家族が望む ）生活の獲得

7. 2.看護過程の各ステップの特徴
1)アセスメント
(1) 情報収集
(2)「情報のもつ意味」を考え、それを記述・説明する作業
◆情報収集において重要な視点
1.日常生活の中で何を一番重視しているか
（生活様式）
2.個別性の高い情報
（価値観・個人の歴史など）の把握

8. 2)診断
＊問題点の表現の例
＜実在型・リスク型・可能性型＞
例）尿路感染による発熱のため、倦怠感がある
原因（〜による、関連した）＋ 問題
＜ウェルネス型＞
例）自分で歩いてトイレに行きたい

9. ◆情報収集の時期と方法
毎回の訪問場面が情報収集の機会
◆情報の種類
（ 主観的 ）情報
（ 客観的 ）情報
＊情報（事実）と情報のもつ意味（自分の判断や解釈）
を区別することが大事！

10. 例）「病識や知識がない」
情報？ or 判断・解釈？
S)情報：カロリーって何ですか。聞いたことが
ありません。
O)情報：空腹時血糖値 259mg/dl
HbA1c 7.2%

11. ICFモデル

12. 問題解決思考 プラス思考
問題（できないこと）を見つける
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アセスメント
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問題点要因の明確化（看護診断）
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計画（どのように問題を解決するか考え
る）
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実施（問題解消に努める）
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評価（問題が解決したかを見る）
本人のしたいこと・できることを見つける
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アセスメント
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本人のニーズの明確化
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計画（できることを引き出す）
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実施（本人のしたいことを実現する）
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評価（本人のニーズが実現したかを見る）
表 問題解決思考とプラス思考の比較
（内田陽子：ベストティーチャーが教える！看護過程 目からウロコの教え方＆学び方、P.19、日総研出版、2011．）

13. 例）O情報
「日中何回もベッドから起き上がろうとしている」
問題解決思考：転倒のリスク
プラス思考：「ベッドの座って外の景色がみたい」
「桜がみたい」
Plan:
転倒リスク：転倒防止策中心の計画
桜が見たい：安全に座位を保つことが中心の計画

14. 3)計画
＊目標：（評価が可能な具体的な目標）
＊計画：（観察計画、ケア計画、教育計画）
例1）定期的に水分補給をする
➡ 毎食後、10時15時のおやつ時、就寝前の
20時に行う

15. 例2) 便秘しないようにする
➡ 毎日、食後はトイレに座ってもらう
毎食後、腹部マッサージを3分間行う
食物繊維の多い食材について説明する
など

16. 4) 実施
（1）療養者の生活の場で看護が行われる
（2）看護が間歇的に行われる
（3）療養者と家族の合意・同意が基盤である
（4）看護計画のすべてを実施するわけではない
（5）看護師以外も実施する
（6）家族も看護の対象である

17. 5）評価
（1）相手の反応を振り返る
（2）実施した看護ケア、実施しなかったケアを
振り返る
（3）良かった点、改善できる点を振り返る
（4）訪問目標の達成度
➡ 次の計画につながっていく評価