優良病・医院経営を目指して 事務部長による経営課題解決編 ~就職説明会を活かそう~ 特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志 医療は人手が潤沢に必要な業種ですので、慢性的な人手不足は全国の多くの医療機関で課題となっていることでしょう。人材を招へいする方法はいろいろありますが、その中の一つに就職説明会への出展があります。一つの会場に複数の医療機関がブースを出して、病院の紹介をするという形式のものです。 筆者の所属する病院は残念ながら“ネームバリュー”がある病院ではないので、出展して黙っていれば人が集まる、という状況ではありません。数あるブースの中で、来場者に足を運んでもらうためには何かしら知恵を出さないと、素通りされて終わってしまいます。 運営メンバーと数回打ち合わせをし、過去の反省も踏まえて今回から新しい取り組みを加えることにしました。前回好評だったので今回も引き続き取り入れたのが、ブース展示のコンセプトに季節性を取り入れました。前回は10月だったのでハロウィン、今回は5月目前だったので鯉のぼりをコンセプトに飾りつけをしました。さらに、病院がある町が“鮎”で有名なので、鯉を鮎に見立てて、“鮎の病院”を印象付けてもらえるように工夫を凝らしました。 タイミングよく、鮎のシーズンが6月から始まるので、その時期に「鮎を食べながらの病院見学会」を計画し、限定10食の見学者を募ったり。説明はスライドでプレゼンテーションするのではなく、5分程度の動画で最近のヒット曲をBGMに使いながら、院内のイベント写真などを多用したものに変更しました。もちろん、その動画にも鮎が登場します。 他にも、これまではちょっとしたお菓子を引き込み用に渡していたのですが、同じようなことをやるところが増えてきて、代わり映えしない状況でした。どうせ同じお菓子を配るなら、どうすればもっと“おぉ!”と思ってもらえるかを考えました。そこで、皆さんもご存知の“うまい棒”のつかみ取りで、お菓子を配ることになりました。「片手で好きなだけどうぞ!」と声掛けをします。想像通り面白がって「良いんですかぁ」「好きなだけですかぁ」などと来場者とのやりとりが生まれました。 さて、こんないろいろな取り組みをしたところで、成果が出ないと仕方ありません。結果は、これまで例年25名前後だった、エントリーシートの回収が46枚にも増えました。もちろん、ここから更に見学会に来てもらって、病院方針に合う人材が入職して初めて成果と言えますが、ひとまずのマイルストーンはクリアです。 回収目標を35名と掲げ、それを達成したら院長に何かおねだりしよう!と目論んで始めました。会場に突然訪れた院長に、そのことをこっそり告げて、帰りには参加メンバーみんなで、ケーキ&カフェを楽しみました。 仕事ってお金なんてかけなくても(実際に例年と同じくらいの費用しかかかっていません)、良い仲間が集まって、知恵を出し合えば、いくらでも面白くできるんだよ、ということを感じてもらえる良い事例になりました。