優良病・医院経営を目指して 事務部長による経営課題解決編 ~「忙しい」にどう対処するか~ 特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志 「なんで私だけが忙しいの」次年度に向けた人事異動の面談をしていて、頻繁に聞く言葉です。筆者はこれまでに40近い医療機関・施設に関わらせていただきましたが、とても先駆的で忙しそうな病院でも、全く無名の時間の流れがゆったりとした病院でも必ず耳にした言葉です。おそらく、医療界に限らず働いている人の多くは“忙しい”と感じているのではないでしょうか。 この言葉を言われるたびに、どのように返答をするかずっと悩んでいますが、最近は「できる人は、(異動したり、転職したり)どんな状況になっても忙しいものだよ」と開き直って話すようにしています。なので、忙しいことを嘆くのではなく、どんどん仕事を増やして、それをスリム化することが“できる人”の宿命だ、と言っています。 こう思うようになったのも理由があります。実は本当にできる人は「自分は忙しい」と言わないで、与えられた業務をテキパキこなして、次々に新しい仕事を受けていくのです。こういう人に、今の仕事環境はどうかとヒアリングすると、往々にして「まだ余裕があります」という主旨の回答が返ってきます。明らかに他と比べて、もしくは前任者と比べて業務量が多いのにも関わらず、ポジティブな返答がきます。 では、業務がたくさん増えているのに忙しいと思う人と、余裕を持てる人の違いは何なのでしょうか。後者の行動を時間をかけてみていくと、パターン化したりマニュアル化したり、場合によっては業務そのものをなくしたり、と業務のスリム化をしているのです。こうすることで、請け負った時には大きな業務もコンパクトになり投下する時間もかなり少なくなっていくのです。イメージとしては掃除機のように業務を吸い込んで、中で加工して、ギュッと引き締まった業務となり輩出されるような感じです。逆に、忙しい、忙しいと常に言っている人は、こうしたプロセスがまだできておらず、常に仕事が増えていき時間をかけるしかない、と感じてしまっている人です。そうするとプレッシャーはかかりますし、心理的にも不安定になりがちで、業務が増えることはシャットアウトします。だからといって、既存業務がスリム化されるわけではないので、余裕のある状態にはシフトできません。業務のスリム化をしてあげないと、バーンアウトしかねません。 そこで前出のような問答に行き着いたのです。忙しいです→そうだよね、できる人に仕事は集まるから、いつまでも忙しいものだよ→あなたがどんどん業務をスリム化しないと→一緒にスリム化を手伝うよ…といった具合です。ここから先は、通常のPDCAを回していきます。このプロセスを何度か経ると、業務がいくら増えても難なくこなせる“スーパー掃除機”のような人に近づいていきます。もちろん、得意不得意はあるので、業務のスリム化が苦手な人もいるでしょう。なので、人事異動でできる人はいろいろな業務をやっていただき、あらゆる部署で業務改善を進めてもらいたいのです。まずは、あなたの組織のスーパー掃除機マンを探してみてください。