教員向け
情報モラルワークショップの実践
元木一喜(北海道情報専門学校)
情報処理北海道シンポジウム2015 2015年10月03日(土) 10:30 - 12:00
ポスターセッション1 (eDCタワー 10F) AM NO.17
はじめに
スマートフォンの普及とトラブル
近年、中高生のスマートフォンの
利用率が増え、スマートフォンア
プリやSNSによる人間関係のトラ
ブル、長時間利用による生活習慣
の乱れや不正請求など,ネット依
存やネット被害など多くの問題も
表面化してきている。
内閣府,平成25年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果
文部科学省, 情報モラル教育∼携帯電話と正しく付き合うために∼
小・中学校の新学習指導要領では、各教科等の指導の中で
「情報モラルを身に付ける」ことを新たに明記されている。
はじめに
課題からの仮説
玉田らが2009年、東京都で実施した調査によると「情報モ
ラルの指導ができる」と回答した教師は39%であり、「情報
モラル指導のやり方がわからない」と指導力不足を訴える
回答が73%。
玉田和恵・松田稔樹,教師の情報モラル指導力向上のための要因,
日本教育工学会研究報告集,JSET08-5:pp109-116, 2011
学校教育にて進められている「情報モラル教育」も、学生
のスマートフォンの活用方法などの実態把握が現場の教員
は十分ではない?
仮説
はじめに
本実践の目的
各学校でのスマートフォンをめぐる課題を共有し、
児童生徒のスマートフォンの活用事例を把握する
なかで、情報社会で適正な活動を行うための、基
になる考え方と態度をどう養成できるかを検討し
ていくための、教員向け情報モラルワークショッ
プの実施報告を行う。
ワークショップの概要
3つのコンセプト
Point1:スマートフォンの特徴、無料通話アプリや
SNSなどアプリケーションの仕組みに関す
る知識を身につける。
Point2:児童生徒のスマートフォンの利用実態につ
いて、教員同士の対話や体験を通じて理解
する。
Point3:現場に則した形で情報モラル教育を行うた
めの、問題点を明らかにし、児童生徒の利
用実態にあった対応を検討する。
ワークショップの概要
日時・場所・参加者・タイムテーブル
•  セミナー:一般社団法人 日本教育工学振興会主催
「情報教育対応教員研修全国セミナー」
•  タイトル:情報モラルワークショップ
•  日  時:2015 年8 月6 日
•  会  場:北海道情報専門学校
•  参 加 者:7名の教職員(中学校教員1名、高校教員6名)
時間 セッション 内容
0:00-0:10 イントロダクション 講師紹介、本時の目標
0:10-0:20 アイスブレイク 似顔絵ワーク、自己紹介
0:20-1:20 講義 スマートフォンの知識、問題行動事例
1:20-1:35 ブレインストーミング スマートフォンの良い点・悪い点探し
1:35-2:15 情報共有ワーク 学校での問題共有
2:15-3:25 模擬授業 映像教材を活用した情報モラルの模擬授業体験
3:25-4:15 アクションプラン 学校での取り組みアイデア
4:15-4:30 ラップアップ ふりかえり
※参加者は2つのグループに別れて実施。各グループごとにファシリテータ1名。
ワークショップの実施と考察
ワークショップの様子
ワークショップの実施と考察
スマートフォンの良い点・悪い点探し
内容:2分間でスマートフォンの「良い
点」「悪い点」について意見を出すブレ
インストーミングを実施し、特に重要と
感じる意見には印をつける。
両グループとも良い点が悪い点と比較し、2倍以上の意見がだされた。学校現場で
は負の面に目が行きがちではあるが、機器に焦点をあてることで、よりフラットな
意見を出すことができた。
良いところ
「情報がすぐに手に入る」
「連絡がとりやすい」
悪いところ
「使用料金が高額になる」
「危険なトラブルになる状態がフィー
チャーフォンより高い」
ワークショップの実施と考察
情報共有ワーク
内容:講義とワークをふりかえりながら、
勤務校での出来事や現状抱えている問題
点について意見交換の実施。
※ファシリテータはグループごとに、参加者の意見
を付箋紙に書き出し、ワーク終了後にグループごと
に発表をおこなった。
Point1
「(学生が)学校を辞める大半は人間関係」
「(スマートフォン)中学校では持ち込みNGだ
が、(問題は)家に帰ってから起こる」
→無料通話アプリに関する問題が多くあげ
られた。またサービス提供側に対応を求
める声があった。
ワークショップの実施と考察
情報共有ワーク
内容:講義とワークをふりかえりながら、
勤務校での出来事や現状抱えている問題
点について意見交換の実施。
※ファシリテータはグループごとに、参加者の意見
を付箋紙に書き出し、ワーク終了後にグループごと
に発表をおこなった。
Point2
「調べもの学習にスマートフォンの活用が上
司から許可がおりない」
「携帯をもっていない教員もいる」
→学校内における教員間での意識の違いが
多く取り上げられていた。
大小さまざまなスマートフォンでのトラブルを各学校で抱えていることが分かった。
またスマートフォンの指導及び活用にあたり教員間の意識格差があり、この溝を埋
めていくことが今後の課題としてあげられる。
ワークショップの実施と考察
模擬授業
内容:NPO法人企業教育研究会が公開
している「学校で考えよう スマホのコ
ミュニケーション」の教材を基に、生
徒が陥りがちなエピソードを描いたド
ラマ教材の視聴と、内容についての話
し合いを実施。
模擬授業の流れ
1.  本時の課題提示
2.  ドラマ視聴
3.  スマホの使い方の問題点を話し合う
4.  メッセンジャーアプリでのトラブルへの
対策を考える
5.  スマホとの付き合い方について考える
6.  ふりかえり
NPO 	
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h'p://ace.npo.org/info/kangaeyou/kyouzai/kangaeyou4.html
ワークショップの実施と考察
模擬授業
ドラマ教材の意見が多かったが、
生徒へ共感する意見も見受けら
れた。ワークショップの目的の
一つであった、児童生徒の実態
に意識を向けることについて、
一定の成果があったと考える。
ワークショップの実施と考察
アクションプラン
内容:参加者が勤務校に戻ったときにス
マートフォンや情報社会との関わり方に
ついて、どのような取り組みができるか
をテーマにブレインストーミングを実施。
Point1
「教員間で問題点のレベルを一致させる」
「他の職員との勉強会開催」
Point2
「スマートフォンの現在の利用状況を確認する」
「「可能性」と「危険性」両方を提示」
→情報モラルに関して、学校全体としての
取り組みのための方策に関する意見。
→生徒の活用事例を知るきっかけや、
 より良い使い方の提案に繋がる意見。
ワークショップの実施と考察
主な感想
研修会に参加された目的をお聞かせください。(自由記述)
–  LINEの使用に関する知識を増やしたいと思ったので。
(高校3年生担当、数学)
–  生徒に対してどのようなアプローチがあるか、アイデアを知りた
かったため。
(高校1・3年生担当、情報)
–  モラル教育の実践に役立てたかったので。
(高校1・2年生担当、情報)
実務に役立ちそうですか?(4段階)
–  平均3.8
期待通りの内容でしたか?(4段階)
–  平均3.7
おわりに
学校教育にて進められている「情報モラル教育」も、学生のスマー
トフォンの活用方法などの実態把握が現場の教員は十分ではない?
仮説
情報モラルに関する現状の学校の問題点を問い直し、各学校にあった
施策について対話を通じて発見する教員向けのワークショップを実践
した。
今回の実践を通じて、参加者が抱える学校での問題点を明らかにし、
各学校の対策について、対話を通じて意見を出すことができるという
点で、本ワークショップは一定程度効果があったと示唆される。
検証
ワークショップで使用した教材の分析、またワークショップのアン
ケートの見直しが今後の課題として挙げられる。

教員向け情報モラルワークショップの実践