第43回IT勉強宴会「生産管理再入門－ＭＲＰを超えて」の感想～在庫監視推移方式はTOCの発想に似ている: プログラマの思索 http://forza.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/43ittoc-9bc2.html

1. MRPと在庫監視推移方式の方式設計の違い
【MRP】②〜⑤を⼀つのトランザクションの
バッチ処理にしてしまう
→夜間バッチでも時間がかかる
→MRPの勧告は現状と合わないので使えない
【在庫監視推移方式】
・②③と④でトランザクションを分ける
→③の結果を元に、⼈間が④を実⾏する
・⑤は⼈間が計算結果を判断する
【MRP】
【在庫監視推移方式】
受注担当
生産計画担当

2. 在庫監視推移方式に至るまでの
在庫管理の制約条件
• 受注生産
– 製番管理
• MTS(Make To Stock)
– 製品(完成品)を在庫として持つ
• 内製指向
– 固定費が高い
– 工程能⼒、工程負荷に関係する
• 需要の季節変動が大きい

3. 在庫・出荷・操業度の推移(理想)
操業度
出荷量
在庫量
繁忙期 閑散期閑散期
【製造の戦略】
①操業度はあまり変動させない
②閑散期に製品在庫を持って繁忙期に備える
(出荷量は繁忙期と閑散期で変動が大きいため)

4. 生産工程の設計
工程1 工程2 工程3 出荷材料払出
＞ ＜＜工程1の
生産能⼒
工程2の
生産能⼒
工程3の
生産能⼒
材料の
在庫量
【生産工程の戦略】
①ボトルネック工程(生産能⼒が最低)を故意に作る
②ボトルネック工程は、最初の工程1に作る
(工程1がフル稼働。工程2以後は流すだけ。)
③ボトルネック工程の操業度を計測すれば、製品在庫量を制御できる
ようにKPIを設定しておく
(在庫∝ボトルネック工程の操業度∝ボトルネック工程の生産能⼒)
※工程1がボトルネック工程になる理由(例)
・機械が高価なので、台数が限定される
・作業が職⼈芸なので、作業者が限定される
・品質が⼀番大事なので、手間がかかり、たくさん生産できない

5. 在庫監視推移方式を実現する組織体制
①受注担当：受注(内示)に応じて、生産指示を予約する
②生産計画担当：工場の操業度や工程負荷を⾒て生産指示を修正する
→受注担当と生産計画担当は⼀つのフロアでベタな調整をやって、生産指示
を修正して出す
営業担当
受注担当
生産計画担当
工場
顧客
工場(顧客)
⑤生産指示
⑥実績報告
⑦出庫
③生産計画(⾒込)を内示
②受注(予定)を連絡
①受注(予定)を内示
④生産指示を
予約
需給管理センター

6. まとめ
• 在庫監視推移方式はMRPを使わず、⼈間系の運用でフォロー
– 日本では、MRPを何度も回して在庫推移の結果を⾒たがる
– MRPの勧告オーダーは使わず、⼈間が判断して発注する
• 工場の操業度を保つ方が在庫を持つよりも重要
– 内製指向で固定費(⼈件費・高価な機械)がかかるので、まず売上確保
• 故意にボトルネックの工程を唯⼀つに持たせる
– ボトルネックの工程の操業度を⾒ながら、生産指示して製品在庫を持つ
– 在庫監視推移方式で、発注する品目の数量を調整する
– プロセス系(例：焼く・印刷するetc.)はボトルネックの工程を作りやすい
– TOCと同じ発想
• 組織体制を在庫監視推移方式に合わせるのが重要
– 受注担当者と生産計画担当者が協働して、発注・生産計画を作る
– 工場は生産指示を受けて、操業度の変動なしで働く
– 顧客から早めに受注の内示や生産計画をもらう
– 需要変動が大きいので、顧客も早めに発注量を提示してくれる