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大企業でアジャイル開発を推進できる条件とその心構え
2021/06/08 Ltech#17 実録!LIFULLアジャイル導入までの挫折と取り組み 野澤 猛
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Rights Reserved. 大企業でアジャイル開発を 推進できる条件とその心構え 株 式 会 社 L I F U L L L I F U L L H O M E ’ S 事 業 本 部 プ ロ ダ ク ト エ ン ジ ニ ア リ ン グ 部 プ ロ ダ ク ト エ ン ジ ニ ア リ ン グ 5 U 野 澤 猛 ( @ t a k e s h i _ n o z a w a ) 2 0 2 1 . 6 . 8
2.
Copyright© LIFULL All
Rights Reserved. ■ 2 0 0 9 年 教 育 系 C G M の ベ ン チ ャ ー 企 業 ■ 2 0 1 7 年 L I F U L L 入 社 。 国 際 事 業 部 に 所 属 ■ 2 0 1 8 年 賃 貸 事 業 部 ■ 2 0 1 9 年 プ ロ ダ ク ト エ ン ジ ニ ア リ ン グ 部 1 U ■ 2 0 2 0 年 プ ロ ダ ク ト エ ン ジ ニ ア リ ン グ 部 5 U ( L S M 取 得 ) 自己紹介 野澤 猛 @takeshi_nozawa Copyright© LIFULL All Rights Reserved. 2
3.
Copyright© LIFULL All
Rights Reserved. 目次 LIFULLでのアジャイル アジャイル推進の条 件と心構え 今後の課題 3
4.
Copyright© LIFULL All
Rights Reserved. © 2001, 上記の著者たち この宣言は、この注意書きも含めた形で全文を含めることを条件に 自由にコピーしてよい。 https://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html 4
5.
Copyright© LIFULL All
Rights Reserved. LIFULLでのアジャイル 5
6.
Copyright© LIFULL All
Rights Reserved. Copyright© LIFULL All Rights Reserved. LIFULLでのアジャイル: 導入の歴史 6 •開発スピード向上のた めスクラム導入 •数名がCSM取得。60名 ほどで社内研修の実施 •開発体制、リリースフ ロー的に難しかったた め下火になる 2013 •中途入社メンバーが各 部署でスクラムを実施 •その後主要メンバーの 異動先でもスクラムが 採用され普及してくる 2018 •アジャイル勉強会 •スクラムサークル立ち 上げ 2020
7.
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Rights Reserved. Copyright© LIFULL All Rights Reserved. LIFULLでのアジャイル: 現状 意識調査 7 3年以上アジャイ ル開発の経験が ある 16% 1年以上アジャイ ル開発の経験が ある 22% 1回以上アジャイ ル開発手法を採 用したプロジェ クトに従事した ことがある 34% 書籍を読んだ り、ネットで調 べたりしたこと がある 13% 言葉としては 知っている 12% 全く知らない 3% LIFULL HOME’Sアジャイルの経験・意識調査 PMI日本支部事務局 2020年度 「アジャイルプロジェクトの実態」 に関するアンケート より https://www.pmi-japan.org/topics/PMI_Japan_Chapter_Agile_Survey_2020.pdf 72% vs 46%
8.
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Rights Reserved. Copyright© LIFULL All Rights Reserved. LIFULLでのアジャイル: 現状 開発手法 8 アジャイル 53% ウォーター フォール 42% 組み合わ せ 5% LIFULL HOME’Sで採用している開発手法
9.
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10.
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Rights Reserved. PJ名 概要 特徴 開発手法 国際事業部 エンジニア5名 サービス企画2名 デザイナー2名 ストーリーポイント見積もりや ベロシティの計測は無し 緩めのスクラム 賃貸 システムリプ レース エンジニア8名 DevOps3名 サービス企画3名 デザイナー3名 はじめましての人多め 交代制スクラムマスター 形式的には完全に近いスクラム 賃貸UX施策 - 小さめ(1-2人月位)のPJ多め 全エンジニアのリソース管理表 要件大盛り ウォーターフォールっぽい 賃貸特命PJ“Z” エンジニア6名 サービス企画3名 デザイナー1名 7ヶ月(調査フェーズ抜き) 納期絶対死守 社史でも5本の指に入るくらいの 大規模PJ ガントチャートとベロシティに よる計画の併用 ハイブリッド アジャイル推進の条件 私がLIFULLで経験した主なプロジェクト 10 ま だ ま だ ウ ォ ー タ ー フ ォ ー ル 型 の 考 え 方 が 残 っ て い る 組 織 ( プ ロ ジ ェ ク ト 志 向 、 ア ウ ト プ ッ ト 志 向 、 納 期 、 予 算 、 短 期 の 業 績 重 視 )
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12.
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14.
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15.
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16.
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17.
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18.
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21.
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Rights Reserved. アジャイル推進の条件: 型に囚われない 21 Ken Schwaber & Jeff Sutherland(2020) https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf スクラムって状況をチェックして変化適応して いくことが大事なんじゃなかったっけ? 不変なことってありうる? これだけ世の中変わっているのに? 完全なスクラムでなければスクラムとは言えな いなら、別にスクラムじゃなくてもいいん じゃ? • 適応が大事なのに、適応を拒否している • 「プロセスやツールよりも個人と対話」というアジャイル開発宣言に反している スクラムの自己矛盾
22.
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Rights Reserved. なので必ずしもスクラムガイドや 有名な本の通りにやる必要はない と思います 22 完成の定義をクリアし たものしかスプリント レビューしない、なん てない バックログはユーザー ストーリーじゃないと いけない、なんてない ストーリーポイントで 見積もり、ベロシティ を計測しなきゃいけな い、なんてない
23.
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Rights Reserved. 23 https://media.lifull.com/campaign_2021052604/
24.
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Rights Reserved. でもその前に 24
25.
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Rights Reserved. そもそもアジャイルやるのが ベストなんだっけ? 25 定型業務 開発以外の仕事 要件も変わらないし やり方も分かってるPJ 高度な知識を要し、一人 や少人数でやる仕事 差し込みタスク少ない または柔軟にタスクを組 み替えられる
26.
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Rights Reserved. 考えるきっかけを作る アジャイル推進の条件その2 26
27.
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Rights Reserved. アジャイル推進の条件: 考えるきっかけを作る 27 アジャイル知ってる人 知らない人 知ってる人からすると 解決策は明らかなので すぐ解決策を提示したくなる これやれば解決するよ 知らない人からすると、相手 の言葉がよく分からないた め、無思考で受け入れたり、 ハレーションが起こったりす る 知らない俺がいけないんだ。 不勉強でした、すみません いっつも偉そうなこと ばっかり言ってる アジャイルに限らず、何か新しいことを導入するときには 知っている人と知らない人の間に、力関係(上下関係)が生まれやすい 力関係が障害になり、アジャイルの理解・定着に問題が生じる→アジャイルになれない
28.
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Rights Reserved. アジャイル推進の条件: コーチング 28 いっつも見積もりがズレ ちゃうんだよね じゃあプランニン グポーカーやって みようか? どうすればうまく 見積もれると思 う? 1人で見積もって ると限界あるよ ね?
29.
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Rights Reserved. • そ こ に 問 題 が あ る と い う こ と に 、 ま ず 気 づ い て も ら う と こ ろ か ら 始 め る • 課 題 を 発 見 し 、 解 決 策 も 分 か っ て い る 場 合 で も 、 ぐ っ と こ ら え る • チ ー ム で 解 決 策 を 話 し 合 い 、 考 え て も ら う 必 要 が あ る • 少 し ず つ ア イ デ ア を 出 し た り す る つまりこれってコーチング • もしかしたら、あなたは問題を取り違えていたかもしれない • もしかしたら、今の解決策よりも良いアイデアが出るかもしれない • 何より、ティーチングよりも深い理解がチームに残る • ハレーションも起きなければ、みんなも納得して進められる アジャイル推進の条件: 考えるきっかけを作る 29
30.
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Rights Reserved. 土壌を作る アジャイル推進の条件その3 30
31.
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Rights Reserved. アジャイル推進の条件: 土壌を作る 31 変化 拒否反応 MVPって必要? なんでそんなこと考えるの? ユーザーストーリーって面倒く さい。ワイヤーフレームだけで いいじゃん。 スプリントに分割?ガント チャート引けば良くない? 大企業で培われた 「正しいやり方・考え方」 変更するためのコスト 分からないものに対する怖さ 面倒臭さ・胡散臭さ
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34.
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Rights Reserved. アジャイル推進の条件: 土壌を作る 34 変化を要求 する側 変化を受け 入れる側 変わらない方が良いことを説明する責任 変化 変化 変化 変化 変化 変化 変化 変化を認知している から変化を要求して いる 変化が必要なことを 説明するのではな く、変化の認識を揃 える 変化を積極的に検知 する責任 “DX Criteria” https://dxcriteria.cto-a.org/e5a00d8543af4d87944211603e3ff066#a51bcebb0e8d49b4bf1542f341289575 説明責任の向きを反転させる なぜ変えるのかを説明する責任
35.
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Rights Reserved. 35 変化を要求 する側 変化を受け 入れる側 変化 変化 変化 変化 変化 変化 変化 衝突 ここの衝突ではなく アジャイル推進の条件: 土壌を作る この変化に対する認識を 一緒に豊かにしていく
36.
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Rights Reserved. 勉強会を開催してみた 36 座学 ワークショップ 合計4日間 (各2時間) 参加者平均40名 (のべ150名)
37.
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Rights Reserved. 全社で「アジャイル」の存在が ちょっとだけ近くなった 37 チームに導入してみたいと思った チームで仕事を始める前にみんなで考えたいと思った 読書会をやってみようと思った
38.
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Rights Reserved. アジャイル推進の条件: 土壌を作る 38 社内ブログ • 見積もり方法 • アジャイルとウォーター フォールどっちがいいの? 書評 書籍リスト 認定資格の情報 おすすめの勉強会やカ ンファレンスの情報 うまくいったプロジェ クトの紹介(Award) サークルの立ち上げ
39.
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Rights Reserved. アジャイル推進の条件: 土壌を作る 39 うまくいかないなぁ 私もあまりうまくいってないけ ど、Aさんのチームはうまく いったみたいですよ そうそう。 こういう事例を使って説明した ら分かってもらえたよ。 なるほど。そういうやり方があ るのか。そんなに僕も間違って はいなかったな。諦めずにやり 方考えてみよう。 ひとりでいろいろ頑張るのはツライ
40.
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Rights Reserved. まとめ 40
41.
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Rights Reserved. アジャイルを推進できる条件 まとめ 41 型に囚われ ない 考えるきっ かけを作る 土壌を作る
42.
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Rights Reserved. 今後の課題 42
43.
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Rights Reserved. 今後の課題 43 • 仮説検証型 • アウトカム志向 • アジャイルな動き方が求められる プロダクトづくり • 年間ロードマップ、予算編成、組織のあり方 • 人材育成、ノウハウの蓄積 • 人事制度、評価制度、キャリアパス(PO、SM) • 大規模アジャイル 全社に広げていくのか? • 疎結合アーキテクチャ • 技術的負債 • TDD / ペアプロ・モブプロ • CI/CD 技術力/アーキテクチャ/エンジニアリングカルチャー
44.
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Rights Reserved. 最後までお聞きくださり ありがとうございました 44
45.
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Rights Reserved. 45
Editor's Notes
#3
5U: 技術的負債の解消、R&D LSM: Scrum.inc 認定スクラムマスター 写真はコーヒーをローストしているところ
#7
2013。数名の 私も社内勉強会の開催などしていました
#11
時期、規模感あると分かりやすい
#12
大企業的な問題も多く見受けられるかなと思います
#14
柔軟なやり方 強い意志(説明責任の向きの話を中心する) 心理的安全性とコーチングはマージする(一部強い意志のところに入れる)
#18
価値観や進め方を全部変えようと思ったら大変。 いくらスクラムがPMBOKやRUPと比べて軽量級のフレームワークだとしても スクラムの導入自体のバッチサイズは大きく、それ自体がアジャイル的ではない。 (反復的に実践しながら、経験から効果を測定するやり方のほうがあっている) スクラムマスターの負荷も非常に高くつき、通常の開発など到底できない。
#19
スライドを作ったり、上司に掛け合ったりとか
#21
スライドを作ったり、上司に掛け合ったりとか
#22
近年、do agileじゃなくてbe agileであるべきと言われる所以はこのへんにあると思っている。
#23
スライドを作ったり、上司に掛け合ったりとか
#25
スライドを作ったり、上司に掛け合ったりとか
#26
スライドを作ったり、上司に掛け合ったりとか
#28
強い意志と柔軟な姿勢によって、チームは少しずつアジャイルになっていく。 それでも私がつらみを感じたのは、変化に対する抵抗である。 誤解しないでいただきたいのは、強い意志で抵抗をねじ伏せるのではない。 あくまで、強い意志で粘り強く辛抱する、心を砕いて説明をすることが大事。 その上で、アジャイルを導入したい人はアジャイルについての知識を少なからず有している。 だからアジャイルを導入し、アジャイルでもたらされるはずのメリットを享受しようと画策している。 一方で、アジャイルが導入されようとしているチームの側は必ずしもアジャイルについて知っているわけでない。 名前くらいは聞いたことがあるメンバーもいるだろうが、詳しくないメンバーが多いこともあるだろう。 啓蒙 このときアジャイルのエバンジェリストとチームの間に知識のギャップがある。 このギャップはそのままチームを「アジャイル詳しい人」と、「そうでない人」の上下関係を作ってしまう。 そうなるとエバンジェリストの言葉は当人が意識せずとも常に「上から言っている感じ」になってしまうし 聞く側も「正しいんだから細いことは考えずに従おう」とか「なんか腹立つ」みたいになる可能性がある。
#32
拒否反応が起こるのは当たり前のこと
#35
説明責任の向きを反転させる
#36
説明責任の向きを反転させる
#39
拒否反応が起こるのは当たり前のこと
#40
アジャイルを導入する上で大事なのはこの「1人にならない」「仲間を見つける」ということだ。 初めてアジャイルをやるときってなかなかうまくいかないことが多いと思います。 例え同じチームでなくても、社内でアジャイルを導入したいと考えている人がいれば、ぜひ社内コミュニティを作って見ることをオススメします。 私がアジャイルで失敗したときも、社内にはCSMを持っている方や前職でスクラムをやっていて、LIFULLでもスクラムに挑戦している人たちのプライベートな集まりがありました。 そこでお互いに難しさや困ったことを相談しあい、アイデアを互いに交換しあっていた。別に新しい解決策が浮かばなくても、勇気がもらえる。自分のやっていることに対して自信が持てる。
#44
大企業的な問題も多く見受けられるかなと思います
#45
スライドを作ったり、上司に掛け合ったりとか
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