外傷患者の初期診療
診療所で出会った骨折患者を中心に

 津久井赤十字病院 整形外科
     大庭真俊
外来で、病棟で

外来、救急:軽度(に見える)外傷患者の対応時
 – 切創、擦過傷+四肢、頸部などの痛み



病棟:入院患者の転倒でCall される

 よくあるシチュエーションに、
    どう対応するか?
まず (C)ABC(D) Check
• 転倒して打撲、擦過傷+捻挫?と思しき人
  でも、できるだけ全例に評価を行う。
• 出血や痛みのひどい箇所のみにとらわれる
  と、思わぬところで急変することもある。
例)
自転車で転んだ小学生。右膝擦過傷+右足関節捻挫
 と思って診察中意識レベル低下
   ⇒実はハンドルで腹部を打っており、脾破裂、腹腔内出血



  チェックはみんなで、繰り返し!
(C) 頸椎保護
• 転倒・転落した人は特に、頸椎を骨折し
  ていることが否定できない。

倒れている人にいきなり声をかけず、見え
ない方向から近寄り、頸部を保持してから
声をかける。
ABCのチェックは?
• 「どうしましたか?」⇒返答があればA、BはOK

•   手、足を触れてみる
          ⇒ 冷たくないか、汗ばんでないか

•   目に見えて出血してないか
    (していれば、圧迫止血する)

•   血圧がはかれれば、測っておく
      (病棟だと、看護師が測定済みのことも)
ABCのその次に
• 意識障害の有無 (JCS,GCS)
  ⇒ 整形なんて呼んでる場合じゃないかも??

• 受傷部位より遠位の神経障害、循環障害をまず
  診る
(なぜか?)
  もしあれば、短時間のうちに高度な治療が必要
  骨折部付近の出血は無いか?⇒開放骨折
上肢のチェック
• 循環障害
 – 橈骨動脈、尺骨動脈が触れるか
 – 爪床部の毛細血管のcapillary filling time
                         2秒以下が正常

• 神経障害
 – グーチョキパーができるか
    – グー(拇指も曲げる)=正中神経(前骨間神経)
        チョキ=橈骨神経   パー=尺骨神経
 – 手指、肩周辺(腋窩神経)の感覚鈍麻は無いか
下肢のチェック

• 循環障害
 – 足背動脈、後脛骨動脈の拍動



• 神経障害
 – 足関節の底背屈が可能か(足関節骨折の時は評価
   不能)
 – 足底の知覚が保たれているか
足背動脈の脈の触れかた




     舟状骨で一番高く触れる点の1.5cm 以
     内で触知出来ることが多い。
腰痛、腰背部打撲の人の場合
• 下肢の痺れ、動かない、筋力低下

• 膀胱直腸障害(便意、尿意わからない)
• 会陰部や陰部周囲の感覚低下
×「腰痛なんで、ゆっくりでいいですよ、先生」


    脊髄神経圧迫による症状の可能性が高い
    できるだけ早く外科的除圧が必要かも?

もしチェックできたら、大変たすかります!
整形外科医コンサルト

• ABC、意識レベル,および神経、循環障害
  の有無、活動性の出血があるかを確認できた
  らお願いします

• 整形外科の出番と思ったらCall

• 迷ったらCall
コンサルト時にできればほしい情報

• 入院中なら入院の原因の主病名

• ABCなど初期評価の情報

• 痛がっている場所と受傷機転

• 病棟なら訪問時どのスタッフにまずコンタク
  トをとればよいか
(病棟往診時に状況を知る人に会いたいので)
コンサルト前にしなくても良いこ
       と
• 画像検査のオーダー

 – 多くの場合、正しいオーダーがされないため、
   無駄な検査を行うことになる。
 – 診察をした医師が、損傷の解剖学的部位を予
   想した上でオーダーすることに意味がある。

「レントゲンオーダーしたので見てください」     個人的には
「Call前にXpくらいオーダーしておけ!」   間違いと思う
コンサルト前にしなくても良いこ
        と
• 診断(特に骨折してるかどうか)

 – 骨折の有無で初期対応が変わることはあ
   まりない。痛ければ固定が基本。
 – 最初のplain XPで骨折を診断するのは専
   門医でも困難なことがある。
 (例:小児の若木骨折、高齢者の大腿骨頸部骨折)
「予想のつもり」でも、患者さんやスタッフにも言わないほうが無難かも・・・
コンサルト前に
     必ずしもしなくて良いこと
• 固定(副子、三角布、包帯)

  • 慣れている人、やったことがある人の
    み
  • 固定後にかならず、末梢の神経、循環
    をもう一度チェック

肘、膝など屈曲位で固定したり、包帯がきつすぎたりして
循環障害、神経障害を起こすこともある。
最後に
              コンサルトを受ける側として、大事なこと


• Things you never thought of that make a difference: personal
  goals, common sense, and good behavior in practice.
       (Watson JT, J Orthop Trauma. 2011 Dec;25 Suppl 3:S121-3)



In conclusion, you need to remember the 3 As of
being a good orthopaedic surgeon: You have to be
Affable, Available, and Adaptable.
「親しみやすく、気軽に頼れて、融通が利く」

整形外科初期対応