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事業に貢献するIT~ITサービスマネジメントとITIL(r)
- 1. 事業に貢献するIT
ITサービスマネジメントと
ITIL®
ITプレナーズジャパン・
アジアパシフィック
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- 2. Service Management
スピーカー紹介
• ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック
– オランダ・ロッテルダムを本拠
– ITベストプラクティス分野の教育事業者
– BtoBビジネスでパートナ企業に教材や講師を提供
• 富田 勲
– ITプレナーズジャパン国内統括責任者
– ITIL ®やクラウド・コンピューティング、COBIT®など
の講師
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- 3. アジェンダ
• 事業に貢献するITの役割
• ベストプラクティス
• ITサービスマネジメント(ITSM)とは
• ITSMのデファクトスタンダード「ITIL®」
とは
• ITIL ®のプロセス紹介 可用性管理
• ITIL ®の価値
• (2本目)ITIL®上位資格の必要性と
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- 4. Service Management
組織におけるITと事業との関
ITに対する期待値 係
事業の課題
•事業のパフォーマンスの向上 組織の目標
•ROI(Return Of Investment)の改善
•コストの最小化、市場投入までの期間の短縮
•動的な事業のシナリオにおけるリスクの最小
化
事業側からの要求 結果
•事業戦略との整合性や高い可用性
ITを活用して目標
•コストの削減 達成を可能にする
•より利益を生むIT投資の判断
•グローバル化など多様な変化への対応
•ガバナンス、コンプライアンス ITの責任
•変化するニーズへの迅速な対応
•コストと複雑化の最小化
•リソースとコストの最適化
•柔軟で安定したIT環境の確保
現状 ITの課題
•標準化・簡素化・統合化
•グローバル化に対応したオペレーショ
ン
•正確で明確な財務管理
•コスト削減
現在
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将来
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- 5. Service Management
ベストプラクティスとは
P
A D
C
• 事例を重ねるごとに
成功体験も増えてい
き:
– 体系的
– 実務的
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– 現実的 www.ITpreneurs.com 5
- 6. Service Management
ITサービスと
ITサービスマネジメント
•思ったよりも費用がかかっている。
このサービスは採算が合っているの
か?
•障害が起きて使えない時間が多い気
がする。お客様対応を即時しなけれ
ばいけないときに困る。契約の時に
約束した許容範囲を越えているので
は?
プロバイダ ユーザ
•サービスの内容がわからない。どこ
を参照すれば、一覧で見れるの?
•問題が起こった時に次々に転送され
る。問題を解決できる担当が把握で
きてなく、ただ単にたらい回しにさ
れている?
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- 7. Service Management
ITサービスマネジメントの
デファクトスタンダード「ITIL®
」
• ITサービスマネジメントのベストプラクティ
ス
• 英国の政府系機関により体系化・資格化され
現在バージョン3が最新(2012年9月現在)
• ITサービスのライフサイクルを5段階に分けて
サービス全体を管理するという視点
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- 8. Service Management
ITIL®の特徴
「サービスライフサイクル」
サービスマネジメントを組織能
力としてではなく戦略的資産と
しても設計、開発、実施するた
サービス めの手引きを提供する。
ストラテジ OUTPUT
容易かつ効率的に開発、機能強
サービス 化できるサービスを設計する。
デザイン OUTPUT
フィードバック
新しいサービスの実施やサービ
サービス スの変更を行う能力の開発/向上
レビュー・分 トランジショ の手引きを提供する。
析 ン OUTPUT
継続的
サービス サービス 合意済みのレベルのサービスを
改善 オペレーショ 事業ユーザや顧客に提供したり、
それらのサービスを管理するため
ン 必要な活動とプロセスを
ITサービスマネジメントプロセスの 調整/遂行する。
効率性と有効性、ITサービス提供の
費用対効果を改善する。
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- 9. Service Management
プロセスとは
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- 10. Service Management
プロセスとは
• プロセスとは
– 特定の達成目標を実現するために設計された体系的
な一連の活動を指す
– 1つまたは複数のインプットを受け取り、定義された
アウトプットに変換する
– アウトプットを確実に提供するために必要な役割、
責任手段、およびマネジメント・コントロールのす
べてが含まれる
– 必要に応じて方針、標準、指針、活動、手順、およ
び作業指示を定義または修正する
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- 11. Service Management
プロセス
フィー
プロセス・ オーナ ドバッ 方針
コントロー ク
ル プロセスのレポート
と
達成 レビューを含む
文書化 目標
トリガ
プロセス
測定
活動 役割
基準
プロセスの プロセスの
インプット アウトプット
作業
手順 改善
指示書
プロセス
実現要因 リソー 能力
ス www.ITpreneurs.com 11
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- 12. Service Management
プロセスの特性
• 測定可能
– パフォーマンスが基準
– コスト、品質、期間、生産性など
• 具体的な成果
– 具体的な成果をもたらす
– 個別に特定可能で数値化が可能
• 顧客
– 成果は顧客または利害関係者に提供
– 顧客の期待に合致
– 内部顧客または外部顧客の場合がある
• 特定のイベントに対応
– 具体的なトリガを追跡可能
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- 13. Service Management
プロセスの実例
可用性管理①
• 達成目標
– すべてのサービスで提供されるサービス可用性のレ
ベルが、費用対効果に優れた方法で、合意された現
在および将来のビジネス・ニーズに一致するかそれ
を上回るようにすること
• 事業上の価値
– 可用性管理は、顧客満足と事業の評判をする重要な
役割。サービス可用性のレベルを、事業の達成目標
の実現のために事業が要求するレベルに一致させる
こと
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- 14. Service Management
プロセスの実例
可用性管理②
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- 15. Service Management
プロセスの実例
可用性管理③
フィー
プロセス・ オーナ ドバッ 方針
コントロー ク
ル プロセスのレポート
トリガ と
•新規または変更された 達成 レビューを含む
ビジネス・ニーズとサー 文書化 目標
ビス
•プロセスが達成するべ
き目標値と達成度につい
てのSLMからの要請
プロセス 測定
活動 役割
基準
•コンポーネント障
プロセスの 害インパクト分析 プロセスの
インプット •単一障害点分析 アウトプット
作業 •故障樹解析
•サービス情報 手順 改善 •可用性設計/復旧計画の
指示書
•サービス・ポートフォ 基準
リオ •リスク分析のレビュー/
•サービス・カタログ レポート
•SLM プロセス •AMIS
•SLA 実現要因 リソー 能力
•SLR ス www.ITpreneurs.com 15
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- 16. Service Management
プロセス同士の関連性
可用性管理
•信頼性
問題管理 •保守性 サービスレベル管理
•サービス性
•可用性
•可用性目標値の決定
• 問題の解決 •サービスとコンポーネント
• 正当な理由の説明 の可用性に関する違反の調
• 是正の支援 査・解決
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- 17. Service Management
ITIL®のメリット
• 体系的な手法
– 属人性の排除
– 測定可能
• プロセス同士の関連性
– サービスとリソースを要求する他のプロセスとのイン
ターフェース
• 事業・組織への貢献
– 事業視点
– 顧客視点(サービス・プロバイダは人、ユーザももち
ろん人)
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- 18. お問い合わせは
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- 19. ご清聴ありがとうございました
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Copyright® 2012 Itpreneurs. All rights reserved.
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Editor's Notes
- 林&富:こんにちは。林:さて本日は ITサービスマネジメントと、そのデファクトスタンダードであるITILの概要や、それらがどのように事業に貢献しているのかということについてITプレナーズ富田さんにお話しいただきたいと思います。
- 林:本題に映らせていただく前に、簡単にITプレナーズと富田さんについてご紹介したいと思います。ITプレナーズはオランダに本社がある企業の日本、そしてアジアパシフィックを活動範囲とした支社で、本日紹介しますITILなどの研修事業やITの効果を可視化するツールの開発などもされています。またそれらを直接受講者に提供するのではなくパートナ企業やパートナ団体に講師や、教材などのコンテンツを提供してパートナ企業様のコースとして開催しています。いわゆる黒子的な企業です。その中で富田さんは、国内統括責任者として営業やオペレーションを担当しながら、ITILやクラウド、COBIT研修の講師などもご担当されているそうです。富田さん、宜しくお願いします。富:お願いします。
- 林:それでは本日のアジェンダを紹介していきたいと思います。まずはIT部門や組織が事業を推進する上で求められている課題や責任について説明します。その後、ベストプラクティスとITサービスマネジメントについて説明させていただいて、次にそれらの世界的なデファクトスタンダードであるITILとはどういったものなのか、またその価値は何なのかという説明いただく流れで参ります。また、本動画は2本構成となっています。もう一方はITILの上位資格の必要性とITプレナーズのソリューションという題材の動画です。ぜひこちらもご覧ください。
- 林:まずは組織においてITの役割や責任、そして事業との関係についてみていきたいと思います。企業として組織の目標に向かって将来成長していくためには、ITが必要ない、という企業は、最近ほとんどなくなってきていると思いますが、ITへの依存度が高いということはそれだけ事業に貢献してほしい、という期待の表れとしてとらえてもよいのでしょうか?(読みながら横軸、縦軸をポイントする。グラフの現在から将来、ITに関する期待値)富:そうですね。IT部門やIT組織の役割が重要度を増す中で、より費用対効果の高いサービスが求められています。世の中的にも、グローバル化などさまざまな経営環境の変化が進んでいて、業務の量や幅は広がっているんですけれど、予算は増えない、給料も増えないという状況の中で結果を残さなければならない。そうすると現状通りの組織の成熟度レベルのままでは、現場が相当な無理をしないと、期待している結果が得られない可能性があります。その結果スライドのように目標を下回る結果になってしまいます。林:要求や課題をクリアしつつ、効果的で効率的に組織の目標を達成するためには、社外のサプライヤでも社内のIT部門でも、限られたリソースの中で、すべての課題を自社のナレッジで解決することは難しいかもしれません。富:そうですね。ただ今ある課題の中でも大抵のものは、過去に他の人が同じ悩みにぶつかっていて、解決されていることが多いです。それを体系的に標準化したものが「ベストプラクティス」と呼ばれるものです。
- 林:確かに参考にできるベストプラクティスのお手本があれば、0から考えて解決しなければいけない問題に対してリソースを確保できて、現場の負荷を軽減しつつ改善できる、ということに繋がりそうですね。ベストプラクティスというのをもう少しご説明いただいてもよろしいでしょうか?富:例えば新しい分野のビジネスが流行りだすと、各社ごとに独自の製品やサービスを世に出していきます。それをスライド左のさまざまな形の図だと仮定してみてください。林:各社それぞれのサービスとして考えてみると色々と特徴的な形がありますね。これらのとがったサービスはどうしたらベストプラクティスになっていくんでしょうか?富:実際にリリースして継続的にしっかりとPDCAを回していくと、これは成功したからこのままで、ですとかあの部分はお客様からクレームがあったから見直しが必要だ、など導入後のレビューや改善活動を重ねた結果として、無駄な部分がそぎ落とされて最適化されるとベストプラクティスになっていくんですね。林:なるほど。過去の成功体験や課題をレビューしたり、継続的に改善していくことが重要になってくるんですね。
- 林:ベストプラクティスがIT部門の負担を軽減できることはわかりましたが、他にもITが事業の目標を達成するために取り組めることがあるということで、それが今回のテーマの一つでもある、ITサービスマネジメントということですね。サービスマネジメントは当初、航空、銀行、およびホテル業界で始まり、現在ではIT業界にもサービス指向アプローチとして採用され、アプリケーション、インフラストラクチャ、プロセスの管理に活用されているようですね。富:他のどんな分野でもそうなんですが、ITにもプロバイダとそのサービスを利用するユーザである顧客がいます。プロバイダは社内のIT部門である場合と、社外のベンダの場合がありますが、その役割はITサービスを提供することに変わりはありません。林:ただスライドのように、サービスを受けているユーザから疑問や問題があがってます。これはサービスが最適でなく満足できるサービスを受けられていない可能性もありますね。これでは、事業へのインパクトが大きくなってしまいそうですが?富:そこで、ITサービスを管理するITサービスマネジメントという手法が役に立ちます。サービスマネジメントは顧客に対し、サービスの形で価値を提供する組織の専門的な能力のセットといわれています。ITサービスマネジメントは顧客のニーズに合った最適な品質のITサービスの維持・管理・改善を適切にしていくための活動です。例えば、ITを主観的に良いと思って提供するだけではなく、「事業視点」、例えば採算が取れているのかですとか、「顧客視点」でしっかりユーザの立場から考えて、最適な成果物がだせているかを考えて、変更が必要であれば、活動に移っていきます。そのためにもスライドにあるように顧客の課題や問題をしっかりと把握し、一方的に提供するのではなくそれを体系的に双方向での理解を深め、ITサービスマネジメントを組織に導入していくことで組織顧客の要求に沿ったITサービスを提供し、最終的な目標達成に貢献できるはずです。
- 林:なるほど。ここまで見てきたベストプラクティスとITサービスマネジメントの二つの要素を掛け合わせたのが、今回のもう一つのトピックであるITILということなのですが、ITILというのは、IT Infrastructure Libraryの略称で、ITサービスマネジメントのベストプラクティス集のことですね。これまでご説明いただいたITサービスマネジメントとベストプラクティス、これら二つのいいとこどりのように聞こえてしまうのですが、他にはどういった特徴があるのでしょうか?富:ITILは英国で1990年前後くらいから政府機関で利用するITを効率的に導入し、運用するためのガイドラインとして制定されました。それが体系化されて、認定資格となり、世界中に広がっています。現在は改定がすすんで、3つ目のバージョンであるV3(ブイスリー)が最新版ですが、日本ではひとつ前のバージョンのV2(ブイツー)が7-8年前から本格的に普及されてきました。黎明期には国内の大手電機メーカさんが社内に導入するために、V2の段階で4万人以上の方が学習してきました。V3になってからは、5年間で約7万人が認定資格を取得しています。林:なるほど。スライドの3つめにある、サービスライフサイクルを5段階に分けて見るとは、どういったことでしょうか?
- 富:最新版のV3では、ITサービスを設計からリリース、そしてその後の運用の中で受けたフィードバックなどをもとに継続的に改善を重ね、サービスが廃止になるまで、サービスの一生涯をライフサイクルとしてみていくという観点で話がすすんでいきます。こちらのスライドにあるように、5段階とはサービスストラテジ、サービスデザイン、サービストランジション、サービスオペレーション、そして継続的サービス改善となっています。サービスストラテジで「なぜ」そのサービスを事業化する必要があるのか、ということを検討し、次の3段階、サービスデザイン、サービストランジション、サービスオペレーションで「どうやって」サービスを提供するかを考え、そしてそのサービスを実際にリリース、運用していきます。リリースされた後もライフサイクルを通じて、改善をすることで顧客と事業にとってより最適に近いサービスを提供する機会を得ることができます。
- 林:ITILは今ご説明いただいた5つある段階にスライドにあるようなプロセスで構成されているということです。こちらのスライドではプロセスとはどういったものか表しています。
- 林:まずはプロセスとはどうゆうものなのか、ということについて概要、概念を「簡単に」見ていただいた後に、それらが具体的なプロセスにあてはめてみるとどうなるのかを説明していきただきたいと思います。富田さん、プロセスとはどうゆうものなのでしょうか?
- 富:プロセスとは何かしらのきっかけがトリガとなって、インプットとなる情報を集めて明確な作業手順や役割、測定基準の下で活動を実施すると、アウトプットである成果物ができます。このアウトプットが事前に定義された達成目標をクリアしていることがプロセスのゴールとなります。それらの活動を支援するのが、プロセスの下にあるプロセス実現要因です。プロセス実現要因には、リソースと能力がありますが、リソースはITインフラや人材、資金などで、能力はそれを活用するプロセスやアプリケーション、ITサービスの力など、組織の無形資産で構成されています。プロセス自体は機械的なものですが、ITILでは人材や最適なアウトプットをだすためには重要な部分となっています。
- 林:プロセスの特性ということで大きく4つに分けられています。それぞれ「測定可能」「具体的な成果」「顧客」「特定のイベントに対応」とありますが、これだけみると、少々わかりにくいこともあると思いますので、具体的なプロセスに沿ってご説明いただきたいと思います。
- 林:それでは実際にITILのプロセスを例として見ていきましょう。可用性という言葉はご存知の方も多いかと思います。スライドには可用性管理の達成目標と事業上の価値ということで記載がありますが、ITILで定義する可用性管理プロセスはどういったものでしょうか?富:可用性管理は、事前に決められた期間ですとか時間に定められたレベルと同じかそれ以上のレベルでサービスを提供できるようにすることです。例えば、営業用の在庫管理システムがあるとして、営業時間には必ずアクセスできるようにします。もし可用性が低く、営業時間内にアクセスできない場合があると、お客様からお問合せがあった場合に正確に応えられずに、他社に売上をとられてしまったり、信頼を失ったりしてしまうこともあります。そのため、事業上の観点から見ても、サービスを安定的に稼働させることはとても重要ですので、一つの側面としては、安定稼働を担保するための活動をして目標を達成することが可用性管理の役割です。
- 富:またスライドのようにITILでは測定の手法が明確になっていて、属人的に可用性が高いや低いといわずに客観的に測定可能な形式になっています。林:信頼性というのは、顧客視点でITサービスを提供するITILならではな指標ですね。
- 富:例えば可用性管理プロセスの場合、一つの例ですが、新規のサービスを設計するにあたって、SLAやサービス要件を固めるために、サービスレベル管理という他のプロセスからの要請が、引き金、トリガとなります。プロセスのインプットとなる情報でいうと、例えばサービスに関する情報や財務に関する情報などです。そのインプットをもとにリスク分析や故障樹解析などの活動を行うと、アウトプットとして、リスク分析のレビューとレポートや新規サービスに対する可用性設計と復旧計画の基準およびサービス目標値の提案ができるようになります。
- 林:今ご説明いただいたプロセスですが、単独のプロセスで解決できない業務や問題が起こることはもちろんあるのですよね?富:もちろんです。先ほど説明した可用性管理の場合で見ていきますと、可用性管理は問題管理という別のプロセスが問題を解決し、正当な理由を説明し、是正することを支援します。これは実際にサービスを運用し始めてから起きたことに対して受けた作業依頼を受け、その支援をするということで連動しています。また、別のサービスレベル管理というプロセスでは、可用性管理の支援を得て、目標値を決定し、サービスとコンポーネントの可用性に関する違反を調査して解決します。林:それぞれのプロセスが相互に関連しあって、事業に貢献できるようなITサービスを提供しているのですね。
- 林:これまで、ITILを構成する5つの段階やそれらを構成するプロセスについてご説明してまいりました。以上を総括すると、このようになります。今回ご紹介できたのはITサービスマネジメントやITILのごく一部ですので、
- 林:より詳細な情報をお探しの方や今回取り扱った情報に関するご質問はjapan.info@itpreneurs.comにお問合せください。またウェブサイトやtwitterでも情報を発信していますので併せてご覧ください。