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2016年12月
株式会社メディチュア
機能評価係数Ⅱを中心としたDPC/PDPS制度における問題点と
効率的医療の推進の解決策の検討
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DPC/PDPS制度における問題点
① 制度のブラックボックス化
✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え
✓カバー率係数の改定内容
✓重症度係数の新設
② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション
2
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
DPC/PDPS制度における問題点
① 制度のブラックボックス化
✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え
✓カバー率係数の改定内容
✓重症度係数の新設
② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション
3
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①制度のブラックボックス化
2016年度改定で機能評価係数Ⅱは1.5倍に増えるはずだった・・・
4
 説明資料では、2014年度から2016年度で、機能評価係数Ⅱのブロッ
クが2個(50%置き換え)から3個(75%置き換え)になっている
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①制度のブラックボックス化
フタを開けてみると1.5倍ではなく1.2倍だった
2015年度 2016年度 伸び率
Ⅰ群 0.0439 0.0576 131.2%
Ⅱ群 0.0534 0.0674 126.2%
Ⅲ群 0.0495 0.0592 119.6%
全体 0.0494 0.0598 121.0%
5
機能評価係数Ⅱの平均値とその伸び率
 単純な1施設平均では、1.2~1.3倍にしか伸びていない。厳密には、
係数は財源配分によって定まるため、包括入院料の加重平均で伸び
率を評価する必要があるものの、あまりに乖離が大きい
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①制度のブラックボックス化
暫定調整係数の高い病院ほど係数Ⅱが増えた
6
3%
16%
21%
24%
28%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
マイナス値 小 やや小 やや大 大
2015→2016年度の機能評価係数Ⅱ増減
率
2015年度 暫定調整係数の値によるグループ分け
機能評価係数Ⅱ平均増減率
 DPC評価分科会での検討段階で、このような影響は議論されていない
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①制度のブラックボックス化
また、病床数の多い病院ほど係数Ⅱが増えた
7
8%
15%
22%
29%
34%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
100床未満 100床台 200床台 300床台 400床以上
2015→2016年度の機能評価係数Ⅱ増減率
2015年度 DPC算定病床数
機能評価係数Ⅱ平均増減率
 係数内示以前に、『暫定調整係数の高い施設、病床数の多い施設ほ
ど、機能評価係数Ⅱが増える改定』であることを認識できていたか甚
だ疑問
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①制度のブラックボックス化
異常なほど「きれいな関係性」が見られる
8
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
マイナス値 小 やや小 やや大 大
2015→2016年度の機能評価係数Ⅱ増減
率
2015年度 暫定調整係数の値によるグループ分け
機能評価係数Ⅱ平均増減率
100床未満
100床台
200床台
300床台
400床以上
 DPC評価分科会で「激変緩和を目的とした重症度係数の設定」等の個
別内容には同意していても、下記のような影響を正しく把握できてい
ない可能性が極めて高い ⇒制度のブラックボックス化が進んでいる
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DPC/PDPS制度における問題点
① 制度のブラックボックス化
✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え
✓カバー率係数の改定内容
✓重症度係数の新設
② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション
9
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①制度のブラックボックス化
カバー率の改定影響を把握できていたか
 カバー率の改定説明は、「機能がより反映されるように」とあった
10
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①制度のブラックボックス化
カバー率係数の変更影響(近似直線による影響概要)
 改定の影響は「DPC病院Ⅲ群における300床未満の病院の引き下げと
300床以上の病院の引き上げ」だった
11
2016年度のカバー率係数とDPC算定病床数の関係
150床未満はほぼ最低値しか得られない
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①制度のブラックボックス化
2015年度のカバー率係数と病床数の関係
 DPC病院群内での相対評価のため、同じ診療内容であれば、DPCⅢ
群の方が値は高くなる傾向があった
12
2015年度のカバー率係数とDPC算定病床数の関係
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①制度のブラックボックス化
2016年度のカバー率係数と病床数の関係
 DPC病院Ⅲ群だけ、傾きが大きく上に向いた
13
2016年度のカバー率係数とDPC算定病床数の関係
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DPC/PDPS制度における問題点
① 制度のブラックボックス化
✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え
✓カバー率係数の改定内容
✓重症度係数の新設
② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション
14
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
①制度のブラックボックス化
暫定調整係数が高い病院ほど、重症度係数が高い
 暫定調整係数の高い病院ほど重症度係数が高く、激変緩和自体の
是非は別として、その意図は多少理解できる
15
0.00000
0.00200
0.00400
0.00600
0.00800
0.01000
重症度係数平均値
暫定調整係数
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①制度のブラックボックス化
重症度係数が高い病院は、後発医薬品係数が低い
 新設された重症度係数の値で病院を8グループに分け、それぞれのグループ
内の後発医薬品係数の値の比率を比較したところ、後発医薬品係数の値が
0.01000以上の施設割合(濃い青色の割合)には、明確な関係性が見られる
⇒後発品を多く使うと重症度係数が下がる
16
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
施設割合
重症度係数
重症度係数と後発医薬品係数の関係
0.01000~
0.00700~0.00999
0.00400~0.00699
0.00100~0.00399
~0.00100
後発医薬品係数
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DPC/PDPS制度における問題点
① 制度のブラックボックス化
✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え
✓カバー率係数の改定内容
✓重症度係数の新設
② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション
17
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
努力余地のない項目が少なからずある
18
項目 改善努力の余地
保険診療係数
内容により努力余地あり。データ提出内容の精度向上等は余地ありだが、
係数への影響はほとんどなし
効率性係数
努力余地あり。在院日数を短くすれば向上する。ただし疾患構成の補正
がかかるため、単純には向上しない
複雑性係数
努力余地ほぼなし。疾患構成に依存する。短期入院の疾患等を外来に移
行するなど、係数向上の取り組みは限定的
カバー率係数 努力余地なし。病床数に依存する
救急医療係数
努力余地ややあり。救急医療管理加算等の対象となる疾患割合に依存。
救急車の受け入れ等を強化することで向上可能
地域医療係数
努力余地小。体制評価は努力余地あり。定量評価(地域シェア)は努力
余地ほぼなし
後発医薬品係数 努力余地あり。後発医薬品の数量ベースの使用数次第
重症度係数 努力不要。低い方が効率的な医療をしている証であり、よいこと
 現状、医療の質的改善や効率的医療提供の推進に対するインセン
ティブ的要素が少ない
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②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
複雑性係数
 1入院包括範囲出来高点数は疾患で決まるため、努力余地はほぼない
⇒循環器内科系が強い病院や、小児専門病院は係数が低くなる
19
1.60
0.39
0.68
1.14
0.94
0.95
1.14
0.72
0.72
0.93
0.81
0.73
2.62
0.84
0.54
0.98
0.64
2.59
1.00
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0
01 神経系疾患
02 眼科系疾患
03 耳鼻咽喉科系疾患
04 呼吸器系疾患
05 循環器系疾患
06 消化器系疾患、肝臓・胆道・膵臓疾患
07 筋骨格系疾患
08 皮膚・皮下組織の疾患
09 乳房の疾患
10 内分泌・栄養・代謝に関する疾患
11 腎・尿路系疾患及び男性生殖器系疾患
12 女性生殖器系疾患
13 血液・造血器・免疫臓器の疾患
14 新生児疾患、先天性奇形
15 小児疾患
16 外傷・熱傷・中毒
17 精神疾患
18 その他
全疾患合計
相対点数
MDC
相対的な1入院包括範囲出来高点数
DPC評価分科会(2012年8月21日開催)資料を基に作成
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
MDC01神経系疾患の比率が高いほど複雑性係数は高くなる
 複雑性係数が疾患構成で決まることは、複雑性係数とMDC01の疾患
比率との関係性から見えてくる
20DPC評価分科会(2012年8月21日開催)資料を基に作成
0.00000
0.00200
0.00400
0.00600
0.00800
0.01000
0~2% 2~4% 4~6% 6~8% 8~10% 10~12% 12%~
複雑性係数
MDC01神経系疾患比率
複雑性係数とMDC01神経系疾患比率
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
救急搬送症例割合が高いほど複雑性係数は高くなる
 救急搬送症例は相対的に在院日数が長く、包括点数が高いコードに
なるため、複雑性係数が高くなる
21DPC評価分科会(2012年8月21日開催)資料を基に作成
0.00000
0.00200
0.00400
0.00600
0.00800
0.01000
複雑性係数
救急車搬送症例割合
複雑性係数と救急車搬送症例割合
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
小児専門病院の複雑性係数は低い
 小児専門病院の多くは、集約化が進んだ拠点病院であり、高度医療
を提供しているにも関わらず、複雑性係数が低い
⇒直感的な「複雑さ」を評価しているわけではない
22
病院名 複雑性係数
医療法人土屋小児病院 0.00000
千葉県こども病院 0.00000
国立研究開発法人国立成育医療研究センター 0.00000
独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター 0.00127
東京都立小児総合医療センター 0.00190
神奈川県立こども医療センター 0.00275
地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院 0.00358
宮城県立こども病院 0.00393
長野県立こども病院 0.00593
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 0.00593
静岡県立こども病院 0.00633
埼玉県立小児医療センター 0.00691
群馬県立小児医療センター 0.00959
兵庫県立こども病院 0.01095
2016年度複雑性係数
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②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
2016年度のカバー率係数と病床数の関係
 カバー率はマクロ的に捉えれば、「DPC病院群」と「病床数」で定まるも
の
23
2016年度のカバー率係数とDPC算定病床数の関係
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
カバー率係数が病床数で定まる理由は明らか
 「年10症例を超える」等のハードルを設定すれば、クリアする疾患数は確率論
的に病床数に強く依存してしまう
⇒本来カバー率で評価したいであろう「何でも診ている病院」は、症例数の少な
いロングテールの部分が長い
24
0
50
100
150
200
250
300
350
400
99以下 100 200 300 400 500 600 700以上
疾患数
病床規模(床台)
年10症例を超える疾患数
2013年度DPCデータを基に作成
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②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
地域医療係数(定量評価)は医療圏の設定次第
 地域で貢献している病院を評価したい地域医療係数の定量評価部分は、実
質的に、二次医療圏の設定を表しているに過ぎない
25
0.00000
0.00100
0.00200
0.00300
0.00400
0.00500
0.00600
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0
都道府県別平均定量評価係数(小児以外)
都道府県別 二次医療圏あたりの平均DPC病院数(DPC病院Ⅲ群)
【小児以外】地域シェアと二次医療圏内のDPC病院数の関係
2014年度機能評価係数Ⅱを基に作成
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
地域医療係数(定量評価)は医療圏の設定次第
 小児も同様
⇒現状の評価制度のままでは、医療圏再編の議論にまで影響を及ぼしかねな
い(医療圏を細分化すれば、係数がアップする)
262014年度機能評価係数Ⅱを基に作成
0.00000
0.00100
0.00200
0.00300
0.00400
0.00500
0.00600
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0
都道府県別平均定量評価係数(小児)
都道府県別 二次医療圏あたりの平均DPC病院数(DPC病院Ⅲ群)
【小児】地域シェアと二次医療圏内のDPC病院数の関係
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
重症度係数は、後発医薬品を止めれば、アップする?
 重症度係数は、本来評価したい『重症な患者への診療』と、評価されてはいけ
ない『過剰診療・濃厚診療』や『先発品の利用』に対する評価が混在している
状況と思われる
 後発医薬品係数との矛盾関係は極めて不適切
27
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
施設割合
重症度係数
重症度係数と後発医薬品係数の関係
0.01000~
0.00700~0.00999
0.00400~0.00699
0.00100~0.00399
~0.00100
後発医薬品係数
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
DPC/PDPS制度における問題点
① 制度のブラックボックス化
✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え
✓カバー率係数の改定内容
✓重症度係数の新設
② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目
③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション
28
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
③インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション
現状の機能評価係数Ⅱの財源
29
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
500
施設数
効率性係数による年間想定診療報酬金額
 効率性係数のインセンティブは、独自シミュレーション結果によると、1施設平
均1,600万円程度
 機能評価係数Ⅱ全体、全DPC病院で2,200億円程度(2016年度時点)の財源
があることが想定される
2016年度機能評価係数Ⅱを参考に試算
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
③インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション
現状の効率性係数のインセンティブの低さ
30
 現状では、効率性係数が最大限評価されても、1床・1日あたりのインセンティ
ブは、たかだか400円程度と推計される
⇒少なくない医療機関において『係数向上より、在院日数を1日延ばした方が良
い』と判断している現状と合致している
2016年度機能評価係数Ⅱを参考に試算
0
50
100
150
200
~20
~40
~60
~80
~100
~120
~140
~160
~180
~200
~220
~240
~260
~280
~300
~320
~340
~360
~380
380~
施設数
1床1日あたりの効率性係数による診療報酬金額(円)
1床1日あたりの効率性係数による診療報酬金額分布
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
③インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション
2018年度 暫定調整係数廃止・効率性係数一本化の試算
31
次回2018年度改定で
 暫定調整係数を廃止し、機能評価係数Ⅱに置き換え
 機能評価係数Ⅱを効率性係数に一本化
とした場合、
1床・1日あたりの
効率性係数のインセンティブ: 最大4,200円程度
⇒医療利益率 約8%の向上と同等
在院日数を短縮してでも
効率性係数を向上させるインセンティブとして十分か
Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved.
問い合わせ先
info@meditur.jp

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機能評価係数Ⅱを中心としたDPC制度の問題点について

  • 1. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. 2016年12月 株式会社メディチュア 機能評価係数Ⅱを中心としたDPC/PDPS制度における問題点と 効率的医療の推進の解決策の検討
  • 2. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. DPC/PDPS制度における問題点 ① 制度のブラックボックス化 ✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え ✓カバー率係数の改定内容 ✓重症度係数の新設 ② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 ③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション 2
  • 3. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. DPC/PDPS制度における問題点 ① 制度のブラックボックス化 ✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え ✓カバー率係数の改定内容 ✓重症度係数の新設 ② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 ③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション 3
  • 4. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ①制度のブラックボックス化 2016年度改定で機能評価係数Ⅱは1.5倍に増えるはずだった・・・ 4  説明資料では、2014年度から2016年度で、機能評価係数Ⅱのブロッ クが2個(50%置き換え)から3個(75%置き換え)になっている
  • 5. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ①制度のブラックボックス化 フタを開けてみると1.5倍ではなく1.2倍だった 2015年度 2016年度 伸び率 Ⅰ群 0.0439 0.0576 131.2% Ⅱ群 0.0534 0.0674 126.2% Ⅲ群 0.0495 0.0592 119.6% 全体 0.0494 0.0598 121.0% 5 機能評価係数Ⅱの平均値とその伸び率  単純な1施設平均では、1.2~1.3倍にしか伸びていない。厳密には、 係数は財源配分によって定まるため、包括入院料の加重平均で伸び 率を評価する必要があるものの、あまりに乖離が大きい
  • 6. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ①制度のブラックボックス化 暫定調整係数の高い病院ほど係数Ⅱが増えた 6 3% 16% 21% 24% 28% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% マイナス値 小 やや小 やや大 大 2015→2016年度の機能評価係数Ⅱ増減 率 2015年度 暫定調整係数の値によるグループ分け 機能評価係数Ⅱ平均増減率  DPC評価分科会での検討段階で、このような影響は議論されていない
  • 7. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ①制度のブラックボックス化 また、病床数の多い病院ほど係数Ⅱが増えた 7 8% 15% 22% 29% 34% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 100床未満 100床台 200床台 300床台 400床以上 2015→2016年度の機能評価係数Ⅱ増減率 2015年度 DPC算定病床数 機能評価係数Ⅱ平均増減率  係数内示以前に、『暫定調整係数の高い施設、病床数の多い施設ほ ど、機能評価係数Ⅱが増える改定』であることを認識できていたか甚 だ疑問
  • 8. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ①制度のブラックボックス化 異常なほど「きれいな関係性」が見られる 8 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% マイナス値 小 やや小 やや大 大 2015→2016年度の機能評価係数Ⅱ増減 率 2015年度 暫定調整係数の値によるグループ分け 機能評価係数Ⅱ平均増減率 100床未満 100床台 200床台 300床台 400床以上  DPC評価分科会で「激変緩和を目的とした重症度係数の設定」等の個 別内容には同意していても、下記のような影響を正しく把握できてい ない可能性が極めて高い ⇒制度のブラックボックス化が進んでいる
  • 9. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. DPC/PDPS制度における問題点 ① 制度のブラックボックス化 ✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え ✓カバー率係数の改定内容 ✓重症度係数の新設 ② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 ③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション 9
  • 10. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ①制度のブラックボックス化 カバー率の改定影響を把握できていたか  カバー率の改定説明は、「機能がより反映されるように」とあった 10
  • 11. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ①制度のブラックボックス化 カバー率係数の変更影響(近似直線による影響概要)  改定の影響は「DPC病院Ⅲ群における300床未満の病院の引き下げと 300床以上の病院の引き上げ」だった 11 2016年度のカバー率係数とDPC算定病床数の関係 150床未満はほぼ最低値しか得られない
  • 12. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ①制度のブラックボックス化 2015年度のカバー率係数と病床数の関係  DPC病院群内での相対評価のため、同じ診療内容であれば、DPCⅢ 群の方が値は高くなる傾向があった 12 2015年度のカバー率係数とDPC算定病床数の関係
  • 13. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ①制度のブラックボックス化 2016年度のカバー率係数と病床数の関係  DPC病院Ⅲ群だけ、傾きが大きく上に向いた 13 2016年度のカバー率係数とDPC算定病床数の関係
  • 14. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. DPC/PDPS制度における問題点 ① 制度のブラックボックス化 ✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え ✓カバー率係数の改定内容 ✓重症度係数の新設 ② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 ③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション 14
  • 15. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ①制度のブラックボックス化 暫定調整係数が高い病院ほど、重症度係数が高い  暫定調整係数の高い病院ほど重症度係数が高く、激変緩和自体の 是非は別として、その意図は多少理解できる 15 0.00000 0.00200 0.00400 0.00600 0.00800 0.01000 重症度係数平均値 暫定調整係数
  • 16. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ①制度のブラックボックス化 重症度係数が高い病院は、後発医薬品係数が低い  新設された重症度係数の値で病院を8グループに分け、それぞれのグループ 内の後発医薬品係数の値の比率を比較したところ、後発医薬品係数の値が 0.01000以上の施設割合(濃い青色の割合)には、明確な関係性が見られる ⇒後発品を多く使うと重症度係数が下がる 16 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 施設割合 重症度係数 重症度係数と後発医薬品係数の関係 0.01000~ 0.00700~0.00999 0.00400~0.00699 0.00100~0.00399 ~0.00100 後発医薬品係数
  • 17. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. DPC/PDPS制度における問題点 ① 制度のブラックボックス化 ✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え ✓カバー率係数の改定内容 ✓重症度係数の新設 ② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 ③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション 17
  • 18. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 努力余地のない項目が少なからずある 18 項目 改善努力の余地 保険診療係数 内容により努力余地あり。データ提出内容の精度向上等は余地ありだが、 係数への影響はほとんどなし 効率性係数 努力余地あり。在院日数を短くすれば向上する。ただし疾患構成の補正 がかかるため、単純には向上しない 複雑性係数 努力余地ほぼなし。疾患構成に依存する。短期入院の疾患等を外来に移 行するなど、係数向上の取り組みは限定的 カバー率係数 努力余地なし。病床数に依存する 救急医療係数 努力余地ややあり。救急医療管理加算等の対象となる疾患割合に依存。 救急車の受け入れ等を強化することで向上可能 地域医療係数 努力余地小。体制評価は努力余地あり。定量評価(地域シェア)は努力 余地ほぼなし 後発医薬品係数 努力余地あり。後発医薬品の数量ベースの使用数次第 重症度係数 努力不要。低い方が効率的な医療をしている証であり、よいこと  現状、医療の質的改善や効率的医療提供の推進に対するインセン ティブ的要素が少ない
  • 19. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 複雑性係数  1入院包括範囲出来高点数は疾患で決まるため、努力余地はほぼない ⇒循環器内科系が強い病院や、小児専門病院は係数が低くなる 19 1.60 0.39 0.68 1.14 0.94 0.95 1.14 0.72 0.72 0.93 0.81 0.73 2.62 0.84 0.54 0.98 0.64 2.59 1.00 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 01 神経系疾患 02 眼科系疾患 03 耳鼻咽喉科系疾患 04 呼吸器系疾患 05 循環器系疾患 06 消化器系疾患、肝臓・胆道・膵臓疾患 07 筋骨格系疾患 08 皮膚・皮下組織の疾患 09 乳房の疾患 10 内分泌・栄養・代謝に関する疾患 11 腎・尿路系疾患及び男性生殖器系疾患 12 女性生殖器系疾患 13 血液・造血器・免疫臓器の疾患 14 新生児疾患、先天性奇形 15 小児疾患 16 外傷・熱傷・中毒 17 精神疾患 18 その他 全疾患合計 相対点数 MDC 相対的な1入院包括範囲出来高点数 DPC評価分科会(2012年8月21日開催)資料を基に作成
  • 20. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 MDC01神経系疾患の比率が高いほど複雑性係数は高くなる  複雑性係数が疾患構成で決まることは、複雑性係数とMDC01の疾患 比率との関係性から見えてくる 20DPC評価分科会(2012年8月21日開催)資料を基に作成 0.00000 0.00200 0.00400 0.00600 0.00800 0.01000 0~2% 2~4% 4~6% 6~8% 8~10% 10~12% 12%~ 複雑性係数 MDC01神経系疾患比率 複雑性係数とMDC01神経系疾患比率
  • 21. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 救急搬送症例割合が高いほど複雑性係数は高くなる  救急搬送症例は相対的に在院日数が長く、包括点数が高いコードに なるため、複雑性係数が高くなる 21DPC評価分科会(2012年8月21日開催)資料を基に作成 0.00000 0.00200 0.00400 0.00600 0.00800 0.01000 複雑性係数 救急車搬送症例割合 複雑性係数と救急車搬送症例割合
  • 22. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 小児専門病院の複雑性係数は低い  小児専門病院の多くは、集約化が進んだ拠点病院であり、高度医療 を提供しているにも関わらず、複雑性係数が低い ⇒直感的な「複雑さ」を評価しているわけではない 22 病院名 複雑性係数 医療法人土屋小児病院 0.00000 千葉県こども病院 0.00000 国立研究開発法人国立成育医療研究センター 0.00000 独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター 0.00127 東京都立小児総合医療センター 0.00190 神奈川県立こども医療センター 0.00275 地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院 0.00358 宮城県立こども病院 0.00393 長野県立こども病院 0.00593 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 0.00593 静岡県立こども病院 0.00633 埼玉県立小児医療センター 0.00691 群馬県立小児医療センター 0.00959 兵庫県立こども病院 0.01095 2016年度複雑性係数
  • 23. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 2016年度のカバー率係数と病床数の関係  カバー率はマクロ的に捉えれば、「DPC病院群」と「病床数」で定まるも の 23 2016年度のカバー率係数とDPC算定病床数の関係
  • 24. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 カバー率係数が病床数で定まる理由は明らか  「年10症例を超える」等のハードルを設定すれば、クリアする疾患数は確率論 的に病床数に強く依存してしまう ⇒本来カバー率で評価したいであろう「何でも診ている病院」は、症例数の少な いロングテールの部分が長い 24 0 50 100 150 200 250 300 350 400 99以下 100 200 300 400 500 600 700以上 疾患数 病床規模(床台) 年10症例を超える疾患数 2013年度DPCデータを基に作成
  • 25. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 地域医療係数(定量評価)は医療圏の設定次第  地域で貢献している病院を評価したい地域医療係数の定量評価部分は、実 質的に、二次医療圏の設定を表しているに過ぎない 25 0.00000 0.00100 0.00200 0.00300 0.00400 0.00500 0.00600 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 都道府県別平均定量評価係数(小児以外) 都道府県別 二次医療圏あたりの平均DPC病院数(DPC病院Ⅲ群) 【小児以外】地域シェアと二次医療圏内のDPC病院数の関係 2014年度機能評価係数Ⅱを基に作成
  • 26. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 地域医療係数(定量評価)は医療圏の設定次第  小児も同様 ⇒現状の評価制度のままでは、医療圏再編の議論にまで影響を及ぼしかねな い(医療圏を細分化すれば、係数がアップする) 262014年度機能評価係数Ⅱを基に作成 0.00000 0.00100 0.00200 0.00300 0.00400 0.00500 0.00600 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 都道府県別平均定量評価係数(小児) 都道府県別 二次医療圏あたりの平均DPC病院数(DPC病院Ⅲ群) 【小児】地域シェアと二次医療圏内のDPC病院数の関係
  • 27. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ②機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 重症度係数は、後発医薬品を止めれば、アップする?  重症度係数は、本来評価したい『重症な患者への診療』と、評価されてはいけ ない『過剰診療・濃厚診療』や『先発品の利用』に対する評価が混在している 状況と思われる  後発医薬品係数との矛盾関係は極めて不適切 27 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 施設割合 重症度係数 重症度係数と後発医薬品係数の関係 0.01000~ 0.00700~0.00999 0.00400~0.00699 0.00100~0.00399 ~0.00100 後発医薬品係数
  • 28. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. DPC/PDPS制度における問題点 ① 制度のブラックボックス化 ✓暫定調整係数から機能評価係数Ⅱへの置き換え ✓カバー率係数の改定内容 ✓重症度係数の新設 ② 機能評価係数Ⅱにおける努力余地のない項目 ③ インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション 28
  • 29. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ③インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション 現状の機能評価係数Ⅱの財源 29 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 施設数 効率性係数による年間想定診療報酬金額  効率性係数のインセンティブは、独自シミュレーション結果によると、1施設平 均1,600万円程度  機能評価係数Ⅱ全体、全DPC病院で2,200億円程度(2016年度時点)の財源 があることが想定される 2016年度機能評価係数Ⅱを参考に試算
  • 30. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ③インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション 現状の効率性係数のインセンティブの低さ 30  現状では、効率性係数が最大限評価されても、1床・1日あたりのインセンティ ブは、たかだか400円程度と推計される ⇒少なくない医療機関において『係数向上より、在院日数を1日延ばした方が良 い』と判断している現状と合致している 2016年度機能評価係数Ⅱを参考に試算 0 50 100 150 200 ~20 ~40 ~60 ~80 ~100 ~120 ~140 ~160 ~180 ~200 ~220 ~240 ~260 ~280 ~300 ~320 ~340 ~360 ~380 380~ 施設数 1床1日あたりの効率性係数による診療報酬金額(円) 1床1日あたりの効率性係数による診療報酬金額分布
  • 31. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. ③インセンティブ明確化のインパクトシミュレーション 2018年度 暫定調整係数廃止・効率性係数一本化の試算 31 次回2018年度改定で  暫定調整係数を廃止し、機能評価係数Ⅱに置き換え  機能評価係数Ⅱを効率性係数に一本化 とした場合、 1床・1日あたりの 効率性係数のインセンティブ: 最大4,200円程度 ⇒医療利益率 約8%の向上と同等 在院日数を短縮してでも 効率性係数を向上させるインセンティブとして十分か
  • 32. Copyright (C) 2016 Meditur Co., Ltd. All Rights Reserved. 問い合わせ先 info@meditur.jp