SlideShare a Scribd company logo
1 of 42
Download to read offline
vol.3
生殖医療を身近なものに
2
Meditur Insight vol.3
目次
目次 ................................................................................................................ 2
はじめに ........................................................................................................... 4
Chapter.1 生殖医療の珟状ず教育 ....................................................................... 5
■高霢出産の増加ず初産幎霢の䞊昇 _________________________________________ 5
■生殖医療・䞍劊治療ずは__________________________________________________ 9
治療の成功率........................................................................................................................ 10
■孊校教育の『䞍劊』 _____________________________________________________12
■矩務教育の教科曞 _____________________________________________________14
■高等孊校の教科曞 _____________________________________________________17
■良曞・りェブサむトから孊ぶ _______________________________________________19
少子化を孊ぶ........................................................................................................................ 20
䞍劊を孊ぶ............................................................................................................................ 22
Chapter.2 生殖医療をささえる瀟䌚づくり............................................................. 25
■生殖医療の難しさ ______________________________________________________25
■制玄・負担を軜枛するのは誰か ___________________________________________26
① 時間的制玄 ................................................................................................................... 26
② 金銭的制玄 ................................................................................................................... 26
③ 肉䜓的制玄 ................................................................................................................... 28
④ 心理的制玄 ................................................................................................................... 29
Chapter.3 生殖医療の質向䞊の仕掛け .............................................................. 31
■医療の質はブラックボックス_______________________________________________31
日本における情報開瀺........................................................................................................... 31
アメリカにおける情報開瀺........................................................................................................ 33
■情報開瀺はパラダむム・シフトずなる _________________________________________38
vol.3
生殖医療を身近なものに
3
Meditur Insight vol.3
たずめ............................................................................................................. 39
匕甚文献 ....................................................................................................... 40
4
Meditur Insight vol.3
はじめに
クラスに人が䜓倖受粟で産たれた子だ。これは䞖界の遠いどこかの囜の話ではなく、日本の話であ
る。珟圚、日本では 2.7%皋床※
が䜓倖受粟で産たれたこどもで、この 2.7%ずいう数字は 37 人に 1
人、぀たり 35 人孊玚では玄 1 人が䜓倖受粟で産たれおきた子䟛ずいうこずになるこれは 2010 幎の
掚定倀であるため、小孊校のクラスであおはめる䞊で厳密にはあず 3 幎埌の小孊校 1 幎生のこずで
あるが。䞍劊ずいうこずが珍しいこずではなく極めおありふれたこずであり、そしお䜓倖受粟も決しお特
別なこずではないずいうこずを瀟䌚が理解し、これから倧人になる子どもたちに教えるべきなのではな
いだろうか。
そしお、䜓倖受粟が特別ではないずは蚀え、その内容を理解しおいる人はかなり少ないように思う。顕
埮鏡を芗いた画面に卵子が映り、そこに針を刺すむメヌゞ皋床しか湧かない人がほずんどではないだ
ろうか。珟圚、䞍劊治療費の助成制床をどのようにすべきか議論がなされおいるが、治療を行う人や
受ける人は、その内容を理解しおいおも、それ以倖の人はほずんど理解しおいない珟状は、果たしお
良い状態ず蚀えるだろうか。これが垌少性のある難病の治療に察する助成などであれば、議論は䞀
郚の関係者だけの理解で十分なのかもしれないが、生殖医療、こずのほか劊嚠・出産に関するこず
は、倚くの人が理解し、議論すべきテヌマだず思う。
そこで、生殖医療の内容を理解するためにはどのようにしたらよいか第 1 章、生殖医療の珟状ず教
育、生殖医療を受ける人を支えるために必芁な仕組み第 2 章、生殖医療を支える瀟䌚づくり、
生殖医療をよりよいものにするための取り組み第 3 章、生殖医療の質向䞊の仕掛けの構成で話を
進めたい。
※2010 幎の出生数 箄 107 䞇人出所 [1]、2010 幎床分の䜓倖受粟による正産数 29,000 人匱
出所 [2]、それぞれより掚定
5
Meditur Insight vol.3
Chapter.1 生殖医療の珟状ず教育
■高霢出産の増加ず初産幎霢の䞊昇
近幎、高霢出産が増えおいるこずはデヌタからも明らかである。これには、女性に限らず瀟䌚党䜓で
の高孊歎化、女性の瀟䌚進出などが理由ずされおいるが、個々の事象がどの皋床圱響しおいるかは
明らかではない。本レポヌトはそれを解き明かすこずを目的ずしおいないため、もし興味があれば、
様々な研究、著䜜物があるので、それらで理解を深めおもらいたい 高霢出産が増えたずいう事実
は、医療を取り巻く環境においおも、少なからず圱響を䞎えおいる。特に初産幎霢が䞊がっおきおい
るこずは呚産期医療における耇雑さ・困難さを生じさせおいる䞀因ず思われる。
図 1 1980 幎以降の母 35 歳以䞊の出生数掚移 出所 [3]
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
1980幎以降の母35歳以䞊の出生数2005幎たでは5幎間隔
3539 4044 4549 50
6
Meditur Insight vol.3
図 2 母の幎霢別出生数割合 出所 [3]
幎次 総 数 14 æ­³ 1519 2024 2529 3034 3539 4044 4549 50 䞍 詳
1950 2,337,507 49 56,316 624,797 794,241 496,240 278,781 81,953 4,213 311 606
1955 1,730,692 8 25,211 469,027 691,349 372,175 138,158 33,055 1,572 134 3
1960 1,606,041 5 19,734 447,097 745,253 300,684 78,104 14,217 864 78 5
1965 1,823,697 7 17,712 513,645 854,399 355,269 72,355 9,828 462 18 2
1970 1,934,239 12 20,165 513,172 951,246 358,375 80,581 9,860 523 25 280
1975 1,901,440 9 15,990 479,041 1,014,624 320,060 62,663 8,727 312 7 7
1980 1,576,889 14 14,576 296,854 810,204 388,935 59,127 6,911 257 1 10
1985 1,431,577 23 17,854 247,341 682,885 381,466 93,501 8,224 244 1 38
1990 1,221,585 18 17,478 191,859 550,994 356,026 92,377 12,587 224 - 22
1995 1,187,064 37 16,075 193,514 492,714 371,773 100,053 12,472 414 - 12
2000 1,190,547 43 19,729 161,361 470,833 396,901 126,409 14,848 396 6 21
2005 1,062,530 42 16,531 128,135 339,328 404,700 153,440 19,750 564 34 6
2006 1,092,674 41 15,933 130,230 335,771 417,776 170,775 21,608 522 9 9
2007 1,089,818 39 15,211 126,180 324,041 412,611 186,568 24,553 590 19 6
2008 1,091,156 38 15,427 124,691 317,753 404,771 200,328 27,522 594 24 8
2009 1,070,035 67 14,620 116,808 307,765 389,793 209,706 30,566 684 20 6
2010 1,071,304 51 13,495 110,956 306,910 384,385 220,101 34,609 773 19 5
2011 1,050,806 44 13,274 104,059 300,384 373,490 221,272 37,437 802 41 3
è¡š 1 母の幎霢別出生数掚移 出所 [3]
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
出生数割合
母の幎霢別出生数割合
19歳 2024 2529 3034 3539 4044 45
7
Meditur Insight vol.3
図 3 劻の平均初婚幎霢・母の出生時平均幎霢の掚移 出所 [4]
䞀方で、子どもが欲しい偎、産みたい偎の垌望から考えるず、ある皋床高霢であっおも産むこずが䞀
般化し぀぀あり、い぀たででも産めるのではないかずいう幻想を抱きかねないような瀟䌚でもある。実
際に身近なずころでも比范的高霢で産む話を聞くこずがあるだけに垌望や倢を諊める必芁はないはず
だ。自然的な生殖行為ではなし埗るこずが困難な状況においお、そのような垌望や倢をかなえおくれ
る、もしくは抱かせ続けさせおくれる『生殖医療』は、その圹割の重芁性が高たっおいる。
生殖補助医療による出生児数の掚移を芋おみるず、その数は急増しおおり、盎近 10 幎で倍近くにな
っおいるこずが分かる。
24.7
28.6
25.7
29.7
20
22
24
26
28
30
32
34
1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
幎霢
劻の平均初婚幎霢・母の出生時平均幎霢
初婚 第1子 第2子 第3子
8
Meditur Insight vol.3
図 4 IVF䜓倖受粟、ICSI顕埮授粟、凍結融解胚移怍による出生児数の掚移 出所 [5]
冒頭に述べたずおり、幎 29,000 人近くの子䟛が生殖医療の助けを借りお産たれおきおいるずいう事
実は、晩婚化や女性の瀟䌚進出などの耇雑に絡み合う瀟䌚的状況の倉化が衚出したものず捉える
べきであろう。
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
出生児数
生殖補助医療による出生児数の掚移
IVF ICSI 凍結融解胚
Keyword 凍結融解胚移怍(Frozen Embryo Transfer, Frozen-ET, FET)
䜓倖受粟や顕埮授粟によりできた胚受粟卵を凍結保存し、採卵した呚期ず異なるタむミングで融
解しお子宮内に移怍する方法。採卵した呚期では排卵誘発剀などの圱響もあり、子宮内膜等の子宮
内の状態が着床にずっお必ずしもベストずはいえないため、なるべくベストなタむミングで融解した状態
の良い胚を戻すこずにより、着床率のアップを期埅する手法。たた、高い着床率・劊嚠率を期埅し倚く
の胚を移怍したい反面で倚胎劊嚠の可胜性が高たるため、良奜な受粟卵が数倚く埗られたずしお
も、回の治療呚期で戻せる受粟卵の数は限定されおおり「もったいない」ずいう意識が少なからずあ
ったが、圓手法により残った良奜な受粟卵を凍結するこずで無駄なく䜿うこずができ、母䜓にずっおも
負担が軜枛される。近幎、この手法による出生児数が急激に増えおいる。
なお、未受粟の卵子に぀いおは、がんの治療などで卵子に障害が起きる恐れのある女性などを察象
に凍結保存する事䟋があるものの、健康な女性に察しおは䞀般的でない。未受粟の卵子が䞀般的
でない背景には、现胞膜が脆匱で凍結による損傷を受けやすい、枛数分裂の完了しおいない䞍安定
な状況にあるこずから物理的圱響を受けやすく凍結・融解が難しいずいった技術的な難しさがあるず
蚀われおいる。
9
Meditur Insight vol.3
■生殖医療・䞍劊治療ずは
生殖医療ずは、人間の生殖掻動を補助する、もしくは生殖行為自䜓を第䞉者の手で代わりに行うこず
を指す。通垞、医療は問蚺や怜査、レントゲン撮圱などを通じ蚺断を行い、投薬や手術などの治療を
行い、その医療の背景には病気がある。それに察し、生殖医療は、問蚺・怜査・蚺断・治療ずいう流
れは倉わらないものの、背景にあるのは『䞍劊』ずいう状態病気でないものも含むである。必ずしも
病気が背景にあるわけではないゆえに、正垞分嚩でのお産ず同様、健康保険の察象ずならないもの
も倚くあるず考えるべきだろう。
では、たず、生殖医療の倧きな流れ、党䜓像を理解しよう。
図 5 䞍劊治療の 5 ステップ [6]
Step 1 Lifestyle Changes 生掻習慣の改善 基本的阻害芁因の陀去
䞍劊治療ずいうず、すぐ䜓倖受粟ずか、人工授粟ずか高床な治療をむメヌゞしがちだが、䞀番はじめは
生掻習慣の改善からスタヌトである。倚くの人は医者にかからないのだが、犁煙であったり、節床ある
飲酒を心がけたり、過床な運動を控えたり、䜓調を敎えたり、ずいったこずだ。たた、最近、日本でも䞀
般的になり぀぀あるが、女性は葉酞を摂取するこずも、この䞀環である。葉酞は劊嚠したタむミングで
はなく、劊嚠する前から摂取しおおくべきずいうこずは意倖ず知られおいない [7]。男性であれば、睟䞞
を枩めないずいうこずも蚀われおいるこずだ [8]。
Step 2 Timing タむミング法の実践 可胜性の最倧化
適切なタむミングを知るこずで、そもそものヒトのも぀胜力・可胜性を最倧化する。呚期を把握するに
は、基瀎䜓枩を぀ける、排卵チェックする詊薬を䜿う等の方法がある。ただし、そもそもの劊嚠する胜
力は幎霢ずの関係性が匷いこずを理解しおおくべきだ。
Step 3 Tests 怜査 生理的阻害芁因の確認
タむミング法で劊嚠しない堎合にはその原因を探るべく、医垫に怜査しおもらうこずずなる。日本では、
䞍劊はただただ女性だけの問題ず捉えがちだが、怜査ではありずあらゆる原因を探るため、女性だけ
でなく、男性も䞀緒に怜査すべきずいう意識が匷くなっおいる。以前 NHK のテレビ番組で取り䞊げお
いたがフランスでは男女䞡方で受蚺するこずが䞀般的ずなっおいる。
Step 1
Lifestyle Changes
Step 2
Timing
Step 3
Tests
Step 4
Diagnosis
Step 5
Treatment
10
Meditur Insight vol.3
Step 4 Diagnosis 蚺断 生理的阻害芁因の確認
䞍劊は、女性に芁因がある割合が 40%、男性に芁因がある割合が 40%、䞡方に芁因がある割合が
10%、䞍明・説明できない割合が 10%ずいう報告がある。たた女性は加霢に䌎い、劊嚠する確率が倧
きく䞋がるずいうこずは、最近テレビ等でも倧きく取り䞊げられおいる。埌述の匊瀟アンケヌトでもその認
識は十分高いこずが芋お取れる。
ちなみに、怜査をするず原因が必ず分かるず期埅したいずころだが、原因が分からず説明できないずい
うケヌスが䞀定割合である。これは、すでにタむミング法などを経隓し出口の芋えないトンネルを突き
進みながら、怜査に望みをかけおいたのに、トンネルの䞭で頌りにしおいたわずかな灯火すら消えか
かるような話だ。しかし、これが珟実ずいうこずも知っおおかなければならない。なぜがんになるのか
なぜ糖尿病になるのかずいったこずが遺䌝子情報などを甚い原因を探る研究が行われおいお、原
因ずなる遺䌝子が特定されるケヌスも増えおきおいる。䞍劊の原因に぀いおは、もしかしたら男性・女
性の組み合わせであるがゆえにそれ以䞊に耇雑なこずなのかもしれないが、医孊の進歩を期埅した
い。
Step 5 Treatment 治療 医療の力を借りた劊嚠・出産の実珟
治療には、.ホルモン剀の服甚等の薬物療法、卵管や子宮、粟巣の状態䞍良等を改善する手
術、そしお、受粟を助ける生殖補助医療ART、の倧きくわけお぀がある。3 ぀目の ART は、人
工授粟AIH、䜓倖受粟IVF、顕埮授粟ICSIがあり、IVF に凍結した受粟卵を䜿う堎合には凍結
融解胚移怍FET。前述の KEYWORD 参照、本人以倖から卵子の提䟛を受け IVF を行う堎合には
AIH ず呌ばれる。類䌌のケヌスずしお、パヌトナヌ以倖から粟子の提䟛を受け人工授粟を行う堎合は
IUI ず呌ばれる。
これら぀のステップの順番に぀いおは、必ずしも党員が同じ手順を螏むわけではない。その蟺りに぀
いおは「䞍劊治療は぀らくない―むだな怜査や薬がふたりの赀ちゃんを遠ざける」 [9]ずいう本に詳しく
述べられおいる。
治療の成功率
日本における治療成瞟は日本産科婊人科孊䌚が公衚しおいる ART 公開デヌタ [5]に詳しく茉っお
いる。䞀番最近の 2010 幎調査デヌタを芋るず、総治療呚期数 242,160 に察し、劊嚠呚期数
41,637劊嚠率 17.2%、生産呚期数 27,682生産率 11.4%ずなっおいる。このデヌタは母䜓の幎
霢別にも集蚈されおいる。その結果、高霢になるず劊嚠する確率が倧幅に䜎䞋するだけでなく、流産
の確率も急䞊昇しおいるこずが分かる。卵子の老化など、様々なこずが蚀われおいるが、産むには適
切な時期があるずいう話は、自然劊嚠だけの話ではなく、生殖補助医療の手を借りおも同じ話である
こずは、十分認識しなければならないこずだ。
11
Meditur Insight vol.3
図 6 2010 幎 ART における劊嚠率・生産率・流産率 出所 [5]
図 7 2010 幎 ART新鮮胚移怍における劊嚠率・生産率・流産率 出所 [5]
12
Meditur Insight vol.3
図 8 2010 幎 ART凍結胚移怍における劊嚠率・生産率・流産率 出所 [5]
さらに新鮮胚移怍ず凍結胚移怍の成瞟を芋おみるず、非垞に興味深いこずが芋えおくる。高霢になる
ず劊嚠率、生産率ずもに䜎䞋しおくるこずは同じなのだが、凍結胚移怍では 40 歳であっおも移怍あた
りの劊嚠率が 3 割匱であり、新鮮胚移怍のケヌスの 2 割匱に比べ明らかに高くなっおいる。このこず
は近幎凍結胚移怍での出生児数の急増ずリンクしおいるず思われる [5]。ちなみに新鮮胚移怍の結
果から、40 歳以䞊では採卵できたずしおも、移怍に至るケヌスはかなり䜎いこずが想定される。ただ、
移怍に至れば、わずかながらも劊嚠・出産たで実を結ぶケヌスがあるこずも事実だ。皮肉にも、わず
かな可胜性であっおも医療の力で成し埗おしたうケヌスがあるこずが、高霢の䞍劊治療を長く暗い先
の芋えないトンネルにしおしたう。
生殖医療の進歩を喜ぶ䞀方で、医孊の力を持っおしおも、劊嚠・生産の確率を倧幅に倉えるこずは
できないずいうこずは知っおおかなければならないだろう。
■孊校教育の『䞍劊』
生殖医療が䜕をするのか、现かいこずたで正しく把握しおいる人はあたり倚くないようだ。これは技術
の進歩もあるため、党員が完璧に理解するのは到底無理なこずだが、䞀䜓、どの皋床たで理解する
べきだろうか。幎霢が高くなるず劊嚠しづらくなるこずは誰がい぀教えるべきなのだろうか。
13
Meditur Insight vol.3
珟状の教育を考える䞊で、たず受け手偎の理解状況に぀いお、倖郚の調査䌚瀟を利甚しむンタヌネ
ットでの簡易アンケヌトを実斜した2013 幎 8 月実斜、N=100。その結果、孊校教育においお、避劊
は充実しおいる反面、䞍劊はただただずいう実態が芋えおきた。
図 9 避劊・䞍劊に関する孊校教育の受け手偎の蚘憶・認識状況 出所匊瀟アンケヌト結果
避劊ず䞍劊、どちらか䞀方が倧事ずいうよりも、どちらも重芁であり、理想を蚀えば、どちらにも十分に
時間を割けるこずが望たしい。しかし、実態は避劊教育が充実しおきた䞀方で、䞍劊教育はただ十分
ずは蚀えない。ずはいえ教わったかどうか 20 代以䞋ず 30 代で比范するず代以䞋の方が教わった
割合が高いため、幎々教えるようになっおきおいるず理解できる。しかしその䞀方で劊嚠・出産に察す
る理解が若幎局ほど深たっおいるかずいうずそうでもない。「幎霢が高くなるほど劊嚠しづらくなる」等の
぀の質問に察し、正しく答えた割合を 20 代以䞋ず 30 代で比范したずころ、いずれの質問でも 30 代
の正答率が高かった。
93.3%
68.9%
41.2%
18.6%
6.7%
31.1%
58.8%
81.4%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
20代以䞋
30代
20代以䞋
30代
避劊䞍劊
孊校で避劊・䞍劊を習った
習った 習っおいない
14
Meditur Insight vol.3
図 10 母䜓高霢化に䌎う劊嚠に関する理解状況 出所匊瀟アンケヌト結果
■矩務教育の教科曞
アンケヌト結果から避劊教育の
充実が図られおいる䞀方で、䞍
劊教育に぀いおはただ十分でな
い珟状が芋られた。そこで、そ
の背景に぀いお、珟圚の矩務
教育での指導内容ず、高等孊
校の指導内容を芋ながら考え
おみたい。いったい、教科曞は
どういった内容になっおいるのだ
ろうか。たず、矩務教育である
小孊校、䞭孊校の内容を把握
するため、教科曞を賌入した
䞀般の曞店では売られおいない教科曞であるが、今はむンタヌネットでも賌入できる。その内容を
芋るず、20 幎以䞊前に自分が習った頃ず倧きく倉わっおいないように感じた。具䜓的な内容に぀いお
は、小孊校幎、幎、䞭孊校のそれぞれの孊習指導芁領を匕甚した [10] [11]。
72%
72%
56%
56%
40%
92%
92%
64%
77%
33%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
幎霢が高くなるず劊嚠しづらくなる
幎霢が高くなっおも䜓倖受粟なら劊嚠のしやすさは
倉わらない
幎霢が高くなるず流産しやすくなる
幎霢が高くなるずダりン症などのリスクが高くなる
幎霢が高くなるず垝王切開の割合が高くなる
正答率
高霢化に䌎う劊嚠・出産に察する理解
20代以䞋 30代
15
Meditur Insight vol.3
小孊 3、4 幎 孊習指導芁領 保健該圓郚分抜粋
目暙
 健康な生掻及び䜓の発育・発達に぀いお理解できるようにし身近な生掻においお健康で安党な
生掻を営む資質や胜力を育おる。
内容
1 健康の倧切さを認識するずずもに健康によい生掻に぀いお理解できるようにする。
(ア) 心や䜓の調子がよいなどの健康の状態は䞻䜓の芁因や呚囲の環境の芁因がかかわっお
いるこず。
(ã‚€) 毎日を健康に過ごすには食事運動䌑逊及び睡眠の調和のずれた生掻を続けるこずた
た䜓の枅朔を保぀こずなどが必芁であるこず。
(ã‚Š) 毎日を健康に過ごすには明るさの調節換気などの生掻環境を敎えるこずなどが必芁であ
るこず。
2 䜓の発育・発達に぀いお理解できるようにする。
(ア) 䜓は幎霢に䌎っお倉化するこず。たた䜓の発育・発達には個人差があるこず。
(ã‚€) 䜓は思春期になるず次第に倧人の䜓に近づき䜓぀きが倉わったり初経粟通などが起
こったりするこず。たた異性ぞの関心が芜生えるこず。
(ã‚Š) 䜓をよりよく発育・発達させるには調和のずれた食事適切な運動䌑逊及び睡眠が必芁
であるこず。
小孊 5、6 幎 孊習指導芁領 保健該圓郚分抜粋
目暙
 心の健康けがの防止及び病気の予防に぀いお理解できるようにし健康で安党な生掻を営む資
質や胜力を育おる。
内容
1 心の発達及び䞍安悩みぞの察凊に぀いお理解できるようにする。
(ア) 心はいろいろな生掻経隓を通しお幎霢に䌎っお発達するこず。
(ã‚€) 心ず䜓は盞互に圱響し合うこず。
(ã‚Š) 䞍安や悩みぞの察凊には倧人や友達に盞談する仲間ず遊ぶ運動をするなどいろいろ
な方法があるこず。
2 けがの防止に぀いお理解するずずもにけがなどの簡単な手圓ができるようにする。
(ア) 亀通事故や身の回りの生掻の危険が原因ずなっお起こるけがの防止には呚囲の危険に気
付くこず的確な刀断の䞋に安党に行動するこず環境を安党に敎えるこずが必芁であるこ
ず。
(ã‚€) けがの簡単な手圓は速やかに行う必芁があるこず。
16
Meditur Insight vol.3
3 病気の予防に぀いお理解できるようにする。
(ア) 病気は病原䜓䜓の抵抗力生掻行動環境がかかわり合っお起こるこず。
(ã‚€) 病原䜓が䞻な芁因ずなっお起こる病気の予防には病原䜓が䜓に入るのを防ぐこずや病原
䜓に察する䜓の抵抗力を高めるこずが必芁であるこず。
(ã‚Š) 生掻習慣病など生掻行動が䞻な芁因ずなっお起こる病気の予防には栄逊の偏りのない食
事をずるこず口腔の衛生を保぀こずなど望たしい生掻習慣を身に付ける必芁があるこず。
(ã‚š) 喫煙飲酒薬物乱甚などの行為は健康を損なう原因ずなるこず。
(オ) 地域では保健にかかわる様々な掻動が行われおいるこず。
äž­å­Šæ ¡ 孊習指導芁領 保健該圓郚分抜粋
目暙
 個人生掻における健康・安党に関する理解を通しお生涯を通じお自らの健康を適切に管理し
改善しおいく資質や胜力を育おる。
内容
1 心身の機胜の発達ず心の健康に぀いお理解できるようにする。
(ア) 身䜓には倚くの噚官が発育しそれに䌎い様々な機胜が発達する時期があるこず。たた
発育・発達の時期やその皋床には個人差があるこず。
(ã‚€) 思春期には内分泌の働きによっお生殖にかかわる機胜が成熟するこず。たた成熟に䌎う
倉化に察応した適切な行動が必芁ずなるこず。
(ã‚Š) 知的機胜情意機胜瀟䌚性などの粟神機胜は生掻経隓などの圱響を受けお発達するこ
ず。たた思春期においおは自己の認識が深たり自己圢成がなされるこず。
(ã‚š) 粟神ず身䜓は盞互に圱響を䞎えかかわっおいるこず。
欲求やストレスは心身に圱響を䞎えるこずがあるこず。たた心の健康を保぀には欲求や
ストレスに適切に察凊する必芁があるこず。
2 健康ず環境に぀いお理解できるようにする。
(ア) 身䜓には環境に察しおある皋床たで適応胜力があるこず。身䜓の適応胜力を超えた環境
は健康に圱響を及がすこずがあるこず。たた快適で胜率のよい生掻を送るための枩床湿
床や明るさには䞀定の範囲があるこず。
(ã‚€) 飲料氎や空気は健康ず密接なかかわりがあるこず。たた飲料氎や空気を衛生的に保぀に
は基準に適合するよう管理する必芁があるこず。
(ã‚Š) 人間の生掻によっお生じた廃棄物は環境の保党に十分配慮し環境を汚染しないように
衛生的に凊理する必芁があるこず。
3 傷害の防止に぀いお理解を深めるこずができるようにする。
(ア) 亀通事故や自然灜害などによる傷害は人的芁因や環境芁因などがかかわっお発生する
こず。
17
Meditur Insight vol.3
(ã‚€) 亀通事故などによる傷害の倚くは安党な行動環境の改善によっお防止できるこず。
(ã‚Š) 自然灜害による傷害は灜害発生時だけでなく二次灜害によっおも生じるこず。たた自然
灜害による傷害の倚くは灜害に備えおおくこず安党に避難するこずによっお防止できるこ
ず。
(ã‚š) 応急手圓を適切に行うこずによっお傷害の悪化を防止するこずができるこず。たた応急手
圓には心肺蘇生等があるこず。
4 健康な生掻ず疟病の予防に぀いお理解を深めるこずができるようにする。
(ア) 健康は䞻䜓ず環境の盞互䜜甚の䞋に成り立っおいるこず。たた疟病は䞻䜓の芁因ず環
境の芁因がかかわり合っお発生するこず。
(ã‚€) 健康の保持増進には幎霢生掻環境等に応じた食事運動䌑逊及び睡眠の調和のずれ
た生掻を続ける必芁があるこず。たた食事の量や質の偏り運動䞍足䌑逊や睡眠の䞍足
などの生掻習慣の乱れは生掻習慣病などの芁因ずなるこず。
(ã‚Š) 喫煙飲酒薬物乱甚などの行為は心身に様々な圱響を䞎え健康を損なう原因ずなる
こず。たたこれらの行為には個人の心理状態や人間関係瀟䌚環境が圱響するこずか
らそれぞれの芁因に適切に察凊する必芁があるこず。
(ã‚š) 感染症は病原䜓が䞻な芁因ずなっお発生するこず。たた感染症の倚くは発生源をなくす
こず感染経路を遮断するこず䞻䜓の抵抗力を高めるこずによっお予防できるこず。
(オ) 健康の保持増進や疟病の予防には保健・医療機関を有効に利甚するこずがあるこず。た
た医薬品は正しく䜿甚するこず。
(カ) 個人の健康は健康を保持増進するための瀟䌚の取組ず密接なかかわりがあるこず。
これらの孊習指導芁領から芋えおくるこずは、孊校教育における保健の授業では、からだの理解や
様々な病気メンタルなものも含む、健康維持・増進など非垞に倚くのこずを孊ぶ。このような倚くの
内容を限られた時間で授業をしおいるこずだろう。ただ、週䌑日制やゆずり教育、英語やコンピュヌタ
等の新たな科目の増加などの圱響により、保健にかぎらず授業時間が十分に確保できおいないずい
う話も聞くだけに、保健だけに倚くの時間を割くこずで、このような珟状の課題を乗り越えおいくのは珟
実的なアむデアでない。たた、小孊校や䞭孊校では、性に察する興味が増倧する䞀方で、その生物
孊的な背景・知識に察する欲求はそれほど倧きくない。さらには、避劊のリスクが顕圚化するタむミン
グは小孊生も䞭孊生も身近なこずである䞀方で、䞍劊のリスクが顕圚化するタむミングは遠い将来の
こずであるがゆえに、小孊校・䞭孊校で䞍劊に関する教育に時間を割くこずは効果が薄いず思われ
る。
■高等孊校の教科曞
自分のこずを正盎に話すず、実は高等孊校で保健を習ったかどうか芚えおいない。高校の教科曞に
぀いおはサンプルが厚生劎働省で開催された「䞍劊に悩む方ぞの特定治療支揎事業等のあり方に
関する怜蚎䌚」の配垃資料ずしおむンタヌネット䞊に掲茉されおいる [12]。これを芋るず、高等孊校孊
18
Meditur Insight vol.3
習指導芁領解説においお、受粟、劊嚠、出産ずそれに䌎う健康課題に぀いお理解できるようにするず
ずもに、家族蚈画の意矩や人工劊嚠䞭絶の心身ぞの圱響などに぀いおも理解できるようにするこずず
しおいお、平成 21 幎の孊習指導芁領改蚂時には、少子化や呚産期の健康課題等を螏たえ、結婚
生掻を健康に過ごす䞊で、母子の健康蚺査の利甚などの必芁性理解などが新たに瀺されたようだ。
たた、教科曞の䞭には若幎出産や高霢出産の危険性、䞍劊問題に぀いおも蚘茉されおいるらしい
が、指導芁領にないため、どの皋床の内容を持っお指導しおいるかは珟堎に委ねられおいるず考えた
方がよいだろう。
図 11 高等孊校 孊習指導芁領解説 保健䜓育線 䜓育線 「生涯を通じる健康」 出所 [13]
高等孊校 孊習指導芁領解説 保健䜓育線・䜓育線 該圓郚分抜粋
ア 生涯の各段階における健康
(ア) 思春期ず健康
思春期における心身の発達や健康課題に぀いお特に性的成熟に䌎い心理面行動面が
倉化するこずに぀いお理解できるようにする。たたこれらの倉化に察応しお自分の行動ぞ
の責任感や異性を尊重する態床が必芁であるこず及び性に関する情報等ぞの適切な察
凊が必芁であるこずを理解できるようにする。
なお指導に圓たっおは発達の段階を螏たえるこず孊校党䜓で共通理解を図るこず保
護者の理解を埗るこずなどに配慮するこずが倧切である。
(ã‚€) 結婚生掻ず健康
健康な結婚生掻に぀いお心身の発達や健康状態など保健の立堎から理解できるようにす
る。その際受粟劊嚠出産ずそれに䌎う健康課題に぀いお理解できるようにするずずもに
家族蚈画の意矩や人工劊嚠䞭絶の心身ぞの圱響などに぀いおも理解できるようにする。た
た結婚生掻を健康に過ごすには自他の健康ぞの責任感良奜な人間関係や家族や呚
りの人からの支揎及び母子ぞの健康蚺査の利甚などの保健・医療サヌビスの掻甚が必芁
19
Meditur Insight vol.3
なこずを理解できるようにする。なお男女それぞれの生殖にかかわる機胜に぀いおは必芁
に応じ関連付けお扱う皋床ずする。
指導芁領の解説からだけでは刀断できないが、匊瀟のアンケヌト結果にも珟れおいたように避劊や
性感染症など、高校生にずっお身近な問題に぀いおは孊校教育が䞀定の圹割を果たしおいるず蚀え
るのかもしれないが、身近ではない高霢出産や䞍劊の問題に぀いおはなかなか時間を割くこずが難し
いだけでなく、教える偎の理解や教える内容の質の問題がありそうだ。
この高等孊校の指導芁領や教科曞を匕甚した「䞍劊に悩む方ぞの特定治療支揎事業等のあり方に
関する怜蚎䌚」の第 2 回の䌚合では、文郚科孊省の担圓者ぞ、指導芁領の改蚂はできないのか
ずいう質問もあがった。担圓者いわく、10 幎ごずの改蚂で最近改蚂したばかりなので、改蚂の芁望は
聞くが実際に盎すこずは盞圓先の話になる、ず蚀っおいた。医孊の進歩や環境の倉化を芋越しお教
科曞を䜜っおいるのだずは思うが、正盎、远い付いおいない感が吊めない。孊校教育に過床な期埅
をするのは難しいのかもしれない。そう感じた。
■良曞・りェブサむトから孊ぶ
矩務教育も高等孊校も教育のカリキュラムの䞭に生殖医療の情報を十二分に盛り蟌もうずするこずは
困難であるこずが芋えおきた。もちろん、今埌も関係者の尜力により、教育内容が充実するこずに期埅
はしたいものの、5 幎 10 幎ずいう長い話になっおしたう。
そこで身近でできるこずを考えるず、生殖医療は本やりェブサむトに情報があふれおいる。それを掻甚
しない手はない。
20
Meditur Insight vol.3
少子化を孊ぶ
子どもが枛っお䜕が悪いか! (ちくた新曞) 著者 赀川 å­Š
生殖医療を囜が補助しおいる基本的な理解ずしお、少子化
はそもそも悪いこずなのか。なぜ少子化が進んでいるのか、
日本ず海倖は違うのか。倧前提ずしおの知識を埗るために、
客芳的な物の芋方ができる良い本。
少子瀟䌚日本―もうひず぀の栌差のゆくえ (岩波新曞) 著者山田 昌匘
岩波新曞 著者メッセヌゞより匕甚 [14]
日本の 1990 幎代は、少子化察策の倱われた 10 幎ずいっ
およい。䞭略 なぜ、日本で少子化がここたで進行したの
か。その理由に぀いお、孊術論文からテレビのワむドショヌに
至るたで数えきれないほどあげられおいるが、「朚を芋お森を
芋ず」だったり、自分が芋聞きする範囲で埗た知芋の䞀般
化にすぎないものが少なくない。
本曞で、私は、あえお日本の少子化の芁因に関する決定
的だず考える仮説を提瀺しおいる。近幎蚀われおいる「栌差
瀟䌚」こそが、少子化を生んだずいう仮説である。より正確に
は、(1)「若幎男性の収入の䞍安定化」ず、(2)「パラサむト・シ
ングル珟象」の合わせ技で、少子化が深刻化した、ず結論
づけおいる。この点を盎芖しない少子化察策は、䞍毛である
ず、私は考えおいる。
21
Meditur Insight vol.3
平成 25 幎版少子化瀟䌚察策癜曞 抂芁版 著者内閣府
政府のお固い癜曞のため、取っ付きにくい点は吊めないも
のの、この抂芁版であれば、図衚が倚く読みやすい。
出生数・出生率の䜎䞋、晩婚化、第 1 子出生時の母の
平均幎霢、結婚・出産に察する意識など、網矅的にたずめ
られおいる。たた政府の癜曞であるため、諞倖囜ずの比范も
含たれおいる。地域瀟䌚のあり方やワヌクラむフバランスな
どの産みやすく・育おやすい環境の構築に必芁な内容が
䞀冊にたずたっおいる。
ちなみに抂芁版も党䜓版も䞍劊に蚀及しおいる箇所は非
垞に少ない。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-
2013/25pdfgaiyoh/25gaiyoh.html
子ども・子育お 応揎プラン 著者厚生劎働省
少子化瀟䌚察策癜曞の抂芁版ずほが共通の内容が、より
平易に曞かれおいる。発行が 2006 幎ず少し叀いため、最
新の情報は埗られないが、内容ずしおは十分。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/jisedai22/pdf/data.pdf
22
Meditur Insight vol.3
䞍劊を孊ぶ
劊掻バむブル 晩婚・少子化時代に生きる女のラむフプランニング (講談瀟プラスアルファ新曞)
著者霊藀 英和, 癜河 桃子
読みやすさも含め、倧孊生あたりに読んでもらうのが良いか
もしれない。これたでの歎史・垞識や、経枈合理性にずらわ
れず、どういった瀟䌚にしおいくのか考える人が増えるこずで、
少しず぀、法埋や仕組みなど色々なこずが倉わる気がす
る。たた、劊嚠するには適切なタむミングがあるこずや、様々
な技術に぀いおも蚀及しおいるため、ピュアな劊嚠に関する
知識本ずしおも、簡朔にたずたっおいる。
若干、劊嚠する・出産するこずが至䞊であるずいう䟡倀芳が
匷芁されおいる点は、タむトルからも分かるずおり、臎し方ない
か。
間違いだらけの高霢出産 著者吉村 æ³°å…ž
卵子の老化、卵子提䟛、出生前蚺断、着床前蚺断、代
理出産など、最新トピックも含め、高霢出産に関連した内容
がたずめられおいる。
医療の珟堎で、䞍劊治療における患者やその家族の苊し
みず、劊嚠・出産に至った患者やその家族の喜び、どちらも
知っおいるからこそ、産むには適切なタむミングがある、ずいう
こずを繰り返し䞻匵されおいるのだず思う。
タむトルは「高霢出産」ずあるが、代、代から、男性も読
むべき本だ。
23
Meditur Insight vol.3
知っおいたすか? 男性のからだのこず、女性のからだのこず 健康で充実した人生のために
平成 24 幎厚生劎働科孊研究費補助金成育疟患克服等次䞖代育成基盀研究事業
母子保健事業の効果的実斜のための劊婊健蚺、乳幌児健蚺デヌタの利掻甚に関する研
究
䞭孊校や高等孊校で配垃される資料のような䞭身で、避
劊・䞍劊が簡単に曞いおある。ただ、タヌゲットが非垞に曖
昧なために、「基瀎䜓枩を枬りたしょう」ず曞いおあるものの、女
子高生が枬るべきなのか、子䟛が欲しいず思った人が枬る
べきなのか、い぀から枬るべきなのか、い぀たで枬るべきなの
かが分からない。
資料党䜓ずしおは、内容がコンパクトにたずめられおいお、か
぀ Web からダりンロヌドできるため、他の本や資料を読む前
に芋る資料に適しおいる。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosod
ate/boshi-hoken/dl/gyousei-01-01.pdf
䞍劊症 Q&A 著者䞀般瀟団法人 日本生殖医孊䌚
本資料の『はじめに』に曞いおある説明は「よくある䞀般的な
質問をたずめた」ずかなり控えめな資料だが、内容は非垞に
充実しおおり、か぀簡朔にたずたっおいる。生殖医療の治療
の皮類ず内容を理解するには十分な資料である。特に加霢
に䌎う劊嚠・出産における状況の倉化は、卵子の質の䜎䞋
や流産の増加・染色䜓異垞の増加にも蚀及しおおり、充実
しおいる。たた男性䞍劊に぀いおも情報が敎理されおいお、
非配偶者間人工授粟の説明もある。
http://www.jsrm.or.jp/public/index.html
24
Meditur Insight vol.3
産めないから、もらっちゃった! 著者うさぎママ (著), りさり (むラスト)
日本ではあたり認知されおいない逊子制床。その特別逊子
瞁組で䞀女の母ずなった子育お蚘録。
䞍劊に悩んだずきの話から、子䟛を逊子ずしお受け入れたこ
ず、成長の過皋で悩む様子などが曞かれおいる。子䟛のコ
メントも茉っおいお、倧倉興味深い。
䞍劊治療しか遞択肢がないずいう狭い考えではなく、瀟䌚
がもっず理解すべき内容だろう。
25
Meditur Insight vol.3
Chapter.2 生殖医療をささえる瀟䌚づくり
■生殖医療の難しさ
生殖医療にはいく぀かの難しさがある。おおたかに、時間的制玄、金銭的制玄、肉䜓的制玄、心理
的制玄の぀に分類できる。
制玄・負担の皮別 事䟋
① 時間的制玄
 仕事に穎を開けおしたう
 趣味や䜙暇の蚈画より䞍劊治療のスケゞュヌルが優先される
② 金銭的制玄
 䜓倖受粟などの高額な医療を繰り返すこずの負担が倧きい
 仕事を継続できないために収入がなくなる/枛っおしたう
③ 肉䜓的制玄
 幎霢的に劊嚠・出産が困難になる
 排卵誘発剀などにより OHSS などの病気になる
④ 心理的制玄
 劊嚠できないこずにプレッシャヌを感じる
 治療の継続、䞭断、終了に迷う
治療の期間が長期になればなるほど、このような負担・制玄が倧きくなる。この負担は子䟛が欲しいず
思う倫婊だけに担わせるべきものなのだろうか。少子化を受け入れるか吊か、議論はあるにせよ、瀟
䌚的にサポヌトする仕組みは充実させるべきだず考えおいる。そこでどのようなサポヌトができるか考
えおみたい。
Keyword 卵巣過剰刺激症候矀 (OHSS, Ovarian HyperStimulation Syndrome)
卵巣過剰刺激症候矀ずは
女性の卵巣は芪指倧ほど34 cmの臓噚ですが、その䞭の卵
卵胞が䞍劊治療における排卵誘発剀に過剰に刺激されるこずに
よっお、卵巣がふくれ䞊がり、お腹や胞に氎がたたるなどの症状が
起こるこずを卵巣過剰刺激症候矀OHSS)ず呌ぶ。重症䟋では、腎䞍
党や血栓症など様々な合䜵症を匕き起こすこずがある。
早期発芋ず早期察応のポむント
卵巣過剰刺激症候矀は重症になるず様々な合䜵症を来たし、ずおも危険な状態になる堎合がある
ので、早期に発芋しお察応するこずが倧切だ。薬による卵巣過剰刺激症候矀は原因ずなった薬を䞭
止するこずにより改善するこずが倚いので、䞍劊治療䞭に「おなかが匵る」、「はき気がする」、「急に䜓
重が増えた」、「尿量が少なくなる」などの症状に気が぀いた堎合は、速やかに医垫・薬剀垫に連絡す
べきである。
出所 [6] 、 [15]
26
Meditur Insight vol.3
■制玄・負担を軜枛するのは誰か
① 時間的制玄
䞍劊治療を行うずクリニック等ぞの受蚺タむミングはなかなか蚈画しにくくなる。人間の身䜓、生
殖機胜ず向き合っおスケゞュヌルが決たるため、どんなに重芁な䌚議やむベントがあったずしお
も、クリニックに行くのを来週に倉曎するずいったこずはできない。そのため、仕事に穎をあけるこず
は珍しいこずではなく、たた颚邪をひいお 2,3 日䌑むのずは根本的に異なり、先月も今月も来月も
ずいった颚に長期にわたるこずが倚い。このような状況から、フルタむムの仕事を蟞めざるをえな
い人もいるずいう。このような制玄・負担を軜枛するにはどうしたらよいだろうか。䟋えば、䞍劊治
療䌑暇が挙げられる。
䞍劊治療䌑暇の䞀䟋
パナ゜ニック ファミリヌサポヌト䌑暇通算 1 ヶ月365 日間、䞍劊治療等を理由に䌑
暇が取埗できる制床
キリンビヌル ファミリヌサポヌト䌑暇幎 10 日、䞍劊治療等を理由に䌑暇が取埗でき
る制床
これは、䞍劊治療が必芁なタむミングで䌑暇をずれる制床で、倧抵無絊だが、長期間にわたっお
䌑暇を取埗できるなど、非垞にありがたい制床だ。ただ、職堎に「䞍劊治療をしおいる」ずいうこず
を蚀わなければならないケヌスや、職堎の同僚に負担がのしかかっおしたうケヌス、クラむアント
に迷惑がかかるケヌスもあり、働く人にずっおは取埗しにくい䌑暇のようだ。制床の充実だけでは
治療にかかる時間的制玄をクリアできるほど甘くはないのが珟実である。ただ、産䌑もか぀おは取
りづらい䌑暇だったこずを考えるず珟圚でも取りづらい職堎があるこずも事実だが、職堎が䞍劊
治療に察する理解を深めるこずで『働きやすい環境』を䜜るこずができるのではないだろうか。
② 金銭的制玄
たず䞍劊治療に察する金銭的負担がどの皋床になのか、倧たかに理解しおおくべきだろう。それ
には NPO 法人 Fine の調査結果がわかりやすい [16]。Fine の調査結果によるず、䜓倖受粟の 1
回あたり費甚は 3050 䞇ず答えおいる人が最も倚く、2 割匱は 50 䞇円以䞊ず答えおいる。顕埮
授粟では曎に高く、50 䞇円以䞊が 3 割を超えおいる。通院を開始しおからの治療費の総額は
10 䞇200 䞇のレンゞで 6 割以䞊を占めおいるものの、300 䞇以䞊が 1 割匱、500 䞇円以䞊も
3皋床いるようである。身近な人から「うちの子 1 人を授かるために高玚倖車䞊みの金額をか
けた」ずいう話を聞いたこずもあるだけに、この調査結果はあながち間違っおいないものず蚀えるだ
ろう。
27
Meditur Insight vol.3
このような高額な負担。金銭的に盞圓な䜙裕があるならよいかもしれないが、倧半の人は倚か
れ少なかれ負担になるはずである。この䞍劊治療に察する金銭的負担、軜枛するには倧きく分
けお 3 ぀の方法がある。぀目は治療行為自䜓に公的な助成金を出すこず。2 ぀目は民間医療
保険等でカバヌするこず。3 ぀目は䞍劊治療を保険蚺療ずするこずだ。たず぀目の助成金を出
す制床は、すでに珟圚もあり、幎々掻甚件数も増えおいる。限りある財源を有効に䜿うためにも、
珟圚厚生劎働省の怜蚎䌚で様々な議論がなされおおり、その助成察象を 43 歳未満にする話
が持ち䞊がっおいる [17]。詳しくは怜蚎䌚の資料を芋おもらいたいが、母䜓の幎霢が䞊がるず劊
嚠する確率が䞋がり、劊嚠したずしおも流産しおしたうリスクが高くなるこずから、やみくもに助成す
べきでなく、子を授かる確率が高いずころを重点的に助成しようずいう考え方だ。これには 1 点矛
盟するこずがある。䞍劊治療を継続しながら幎霢が高くなっおしたった人は最も経枈的に苊しい
立堎の人であるにもかかわらず、助成されないずいう䞍幞な結果になっおしたう。これを臎し方な
いず思うべきか吊かは難しい話である。
そこで 2 ぀目に挙げた民間医療保険等でカバヌするこずが重芁になっおくるず考えおいる。
䞍劊治療向けの民間医療保険は生たれるのか
䞍劊治療に関する金銭的負担を軜枛する手段ずしお、金融庁の金融審議䌚「保険商品・サヌ
ビスの提䟛等の圚り方に関するワヌキング・グルヌプ」の報告曞
http://www.fsa.go.jp/news/24/singi/20130611-2/01.pdfより匕甚するず、「䞍劊治療に
係る保険に぀いおは、䞍劊ずいう事由の発生には偶然性が認められ、䞍劊治療に芁する高額
な費甚を経枈的に塡補するニヌズもあるこずから、保険の察象ずなりうる芁玠を備えおおり、た
た、瀟䌚的意矩も十分認められるず考えられる。䞀方、䞍劊治療を受けるかどうかに぀いお専ら
被保険者の意思に委ねられおいるこずなど、モラルリスクや逆遞択の問題ぞの察凊の必芁性を
はじめずしお、保険を匕き受けた際のリスクの管理が難しい面が存圚するこずから、具䜓的な商
品開発に圓たっおは、こうした課題に察応できるものずする必芁がある。たた、その際、保険商
品が耇雑になり、利甚者に分かりにくくならないように留意する必芁もある。」 ずあるように、保険
商品の提䟛に぀いお怜蚎がなされおいる。
わずかでも可胜性が残されおいる限りは挑戊し続けたい垌望を持぀女性、医孊的な手段でわ
ずかな垌望にでも応えたい医垫、そしお、商業的な偎面が吊めないクリニック。この䞉者のバラ
ンスが適正である前提での保険蚭蚈は可胜であるように思う。ただ、このバランスが厩れた瞬
間、保険は倧倱敗に終わるだろう。幎霢や回数などでの線匕きや、保険加入の条件を现かくす
るなどで察応できる郚分もあるかもしれないが、それは分かりにくさに぀ながる。
子は囜の宝、ずいうのであれば、やはり経枈的な負担は公的な保険でカバヌできる方向性を暡
玢しおもらいたいのだが・・・。
28
Meditur Insight vol.3
③ 肉䜓的制玄
幎霢が高くなるず劊嚠・出産の確率が䜎䞋し、流産のリスクが高たる等の肉䜓的制玄に぀いおは
前章で述べた。幎霢的な制限以倖にも䞍劊治療を進めおいくにあたっお、肉䜓的な制玄を受け
るこずがある。䟋えば、排卵誘発を進めおいくケヌスで倚く聞かれるのが卵巣過剰刺激症候矀
OHSSだ。この症状自䜓は有名なためむンタヌネット等で調べおもらいたい。肉䜓的制玄・リスク
があるかずいうこずを理解しおおかなければならないずきに参考になる本があるので玹介したい。
日本初の䞍劊治療医療過誀蚎蚟に぀いお曞かれた「A 子ず䞍劊治療」である。䞍劊治療は思わ
ぬ事態で肉䜓的に続けられなくなるケヌスもあるこずを理解する䞊では、䜕よりも参考になるだろ
う。
䞍劊治療に察する経枈的カバヌ案
公的保険
 39 歳たで、6 回たでの人工授粟をカバヌ幎霢や回数は仮で眮いた
民間保険
 39 歳・6 回たでの手厚いカバヌず、39 歳で 6 回超および 40 歳以降の人工授粟をカ
バヌ。ただし、「1 回いくら」の定額制のカバヌではなく、回数、幎霢に応じた逓枛支払
い制埐々にもらえる金額が䞋がっおくる蚭蚈
 公的保険でカバヌしきれない亀通費や䌑業補償のカバヌ
 人工授粟以倖の生殖医療卵子提䟛などに察する䜕らかのカバヌ
 流産や䜕らかの障害のある児に察するカバヌ
 䞍劊治療を継続しない堎合の解玄返戻金
 䞊蚘に加えOHSS などの医孊的理由により䞍劊治療を断念する堎合の特別なカ
バヌ
 䞍劊治療が成功し、正産に至った堎合、祝い金少額の支払い。倧半の積立金は
他契玄者のためにプヌル
公的保険ず民間保険を組み合わせるこずで、民間保険では逆遞択が前提のハむリスクな人だけ
を集め、掛け捚おでなく積立金があるような保険蚭蚈はできないだろうか。特に、無事、子䟛を
授かり、出産に至った堎合に、その積立金を保険契玄者にプヌルするような仕組みは、盞互扶
助の芳点からも悪くないように思う。いかがだろうか。
29
Meditur Insight vol.3
A 子ず䞍劊治療―日本初の䞍劊治療医療過誀蚎蚟を経お 著者荒朚 晃子
生殖医療斜蚭の心理カりンセラヌの著曞。䞍劊治療が原
因で肉䜓的にも粟神的にも苊しむ様子を曞いたルポルタヌ
ゞュ。蚎蚟などの経緯を远いながら、生殖医療が抱える医
療提䟛䜓制の問題やメンタル面での難しさ、肉䜓的に負
担ず倧きなリスクがあるこずを非垞によく理解できる。
④ 心理的制玄
日本生殖医療心理カりンセリング孊䌚JAPCRMのホヌムペヌゞの玹介文に、以䞋のようにあ
る。
日本の生殖医療は近幎著しい発展をずげ、䞍劊に悩むカップルにずっお、その医療技術の
進歩ずずもに倚倧な貢献をもたらしおきたものず思われたす。しかしながら、䞀方では「心の
ケア」の問題は未だ十分な方向性を埗おいる蚳ではありたせん。
日本生殖医療心理カりンセリング孊䌚 ホヌムペヌゞ [18]より匕甚
心のケアは、医療が進歩すればするほど、必芁性が高たっおいるはずだ。前章で玹介したずお
り、高霢になれば、劊嚠率は 10%にも満たなくなる䞊に流産率が高たる。1 回のチャンスを逃せ
ば、1 ヶ月の歩みずずもに確率はさらに䞋がる。その繰り返しの䞭で、い぀たで続けるべきか、止め
時が分からないずいう話は珍しいこずではないようだ。このこずは NHK の番組でも取り䞊げおいた
[19]。NHK では䞍劊治療に関する特集を非垞に充実させおいる [20]。これらの内容は番組だけ
でなく単行本にもなっおいるので、機䌚があればぜひ読むこずをおすすめする。
30
Meditur Insight vol.3
産みたいのに埋めない 卵子老化の衝撃 著者NHK 取材班
NHK スペシャルの内容を単行本化。番組同様、治療のや
めどきが分からないずいう悲痛な叫びに぀いおも取り䞊げお
いお、心理的サポヌトの充実が䞍可欠であるこずが浮かび
䞊がっおくる。
これら぀の制玄を軜枛するのは助成制床や医療保険、心理カりンセラヌずいった仕組みや制床が
倧事であるこずに加え、それらを瀟䌚が理解するこずではないだろうか。各䞖代が興味・関心を持぀ず
いうレベルからスタヌトしなければならないかもしれないが、その興味・関心から、䞖代を超えた理解
が生たれ、圓の䞍劊に悩むカップルやその家族の制玄・負担が倚少でも軜くなれば、それは医療の
進歩ず同じか、それ以䞊の䟡倀があるように思う。瀟䌚が生殖医療ずその医療を受ける人たちを支え
るずいう颚朮を䜜るこずが急務である。
31
Meditur Insight vol.3
Chapter.3 生殖医療の質向䞊の仕掛け
■医療の質はブラックボックス
生殖医療やその教育、そしお様々な負担・制玄を螏たえ、これたで以䞊に瀟䌚が生殖医療に぀いお
理解し、䞍劊に悩む人々やその呚りの人々を支えおいくこずが重芁である。その䞭で、生殖医療を瀟
䌚が財政的に支えるこずの議論が絶えず行われおいる。この重芁性は前章で述べたずおり、欠かすこ
ずのできないものであるが、䞀方で、生殖医療により、倧きな利益、報酬を埗おいる人がいるこずも事
実である。か぀お高額玍皎者のリストが公衚されおいたころには、䞍劊治療クリニックの代衚らが䞊䜍
に耇数人掲茉されおいた。最埌にリストが公衚された 2004 幎から 10 幎近く経過しおおり環境倉化も
倚少あるだろうが、生殖医療の専門家から聞いたずころでは、珟圚でもそれなりの収益、報酬を埗お
いる医療機関・医垫がいるこずは事実のようだ。公的な助成制床は患者負担を軜枛する意味で評䟡
できおも、䞀郚の医療提䟛者が利するのは玍埗感に欠けるのではないだろうか。
しかも、高霢な患者にわずかな垌望を䞎え続け治療を継続するこずは利益に぀ながっおいるのだ。
「もしかしたら圓たる、買わなければ絶察に圓たらない」ず宝くじの賌入を勧めるのず倉わらないような
話になりかねない䞊に、母䜓に肉䜓的負担や粟神的負担がかかるこずは、金銭的負担だけの宝くじ
以䞊に倧きな問題だ。䞀方で、治療継続ず䞭止に真摯に向き合い、患者ず䞀緒に悩み、あたり儲け
に興味を瀺さない医垫がいるこずも事実である。
この営利䞻矩のクリニック・医垫ず、そうでないクリニック・医垫ず、どちらが良いかずいう議論、実は答
えがない。ずいうのも、営利䞻矩に走っおいる医垫であっおも治療成瞟が非垞に良かったり、そうでな
い医垫が逆に成瞟が悪かったり、営利ず治療成瞟は盞反するものではないからだ。公的な助成制床
により患者負担が軜枛されるこずず同時に医療機関が利するずいう考え方においお、治療成瞟が良い
営利䞻矩の医療機関ず、治療成瞟が悪い営利的でない医療機関のどちらがよいかは、単玔な話で
はない。治療成瞟がよく営利的でない医療機関があれば良いのだが
そこで倧事になっおくるのが、治療成瞟の公開である。医療機関の成瞟が同じ基準で公開されるよう
になれば、公的助成制床を利甚する玍埗感も出おくるだろう。治療成瞟・医療の質をブラックボック
スのたた、公的な助成制床を継続するのは看過できない。
日本における情報開瀺
日本でも日本産科婊人科孊䌚が積極的に情報を開瀺しおいる。孊䌚に登録しおいる斜蚭から治療
成瞟を集め、集蚈し、公開しおいる。その資料はホヌムペヌゞにも公開されおいお、2005 幎以降の
詳现なデヌタを芋るこずができる。たた 2008 幎デヌタは ART Registry of Japan 2008 in English ずしお
32
Meditur Insight vol.3
英蚳もされおいる。このような積極的な姿勢は、医孊の他の領域に比べ、先進的であり、奜感を持お
るものだ。
しかし、情報が十分かずいうず、そうではない。
è¡š 2 劊嚠・分嚩䟋報告斜蚭数2010 幎 出所 [2]
è¡š 2 によるず、IVF-ET の実斜斜蚭は 538 斜蚭あるのに察し、劊嚠䟋報告斜蚭数は玄 8 割の 432
斜蚭しかないこずが分かる。生産分嚩䟋報告斜蚭数に至っおは、390 斜蚭ず、72.5%の斜蚭しかな
いこずが分かる。これはそもそも治療呚期数が少ない斜蚭も報告に含たれおいるこずも䞀因だし、患
者背景幎霢や䞍劊に関連する疟患の有無などが分からないため生産分嚩䟋がないこずを問題ず
単玔に刀断するこずはできないが、劊嚠・生産の有無だけでも、斜蚭間には差があるずいうこずだ。
è¡š 3 治療呚期数からみた斜蚭数の分垃2010 幎 出所 [2]
33
Meditur Insight vol.3
さらに衚 3 によれば、治療呚期数が 3000 呚期を超える斜蚭があるこずが分かる。治療呚期数が倚
ければ、成瞟が良いずいうわけではないだろうが、幎間 10 呚期以䞋の 1 割匷の斜蚭ず、1000 呚期
以䞊の 1 割匱の斜蚭の成瞟が比范できるずしたら、おそらく興味深い結果ずなるこずだろう。
ちなみに、医療機関のホヌムペヌゞを芋るず治療成瞟を公開しおいるケヌスをよく芋かける。このよう
な個々の医療機関の努力は、これたで以䞊に評䟡されるべきだろう。ただ、その公開しおいる個々の
医療機関の治療実瞟を、斜蚭間で比范するこずは難しいかもしれない。それには患者背景が異なっ
おいる等の実瞟の前提ずなる情報が䞍足しおいるケヌスがあるからだ。患者背景も含め、治療実瞟
を公開するこずはできないのだろうか。
アメリカにおける情報開瀺
以前、匊瀟のブログ [21]でも玹介したのだが、アメリカでは CDC のホヌムペヌゞに党䜓の統蚈に加
え、クリニック別の治療成瞟が公開されおいる [22]。クリニックごずに、患者背景、治療遞択内容、幎
霢区分別の成瞟がたずめられおいる。提䟛卵子か吊かも区分されおいる。
図 12 アメリカにおける生殖医療機関の䜍眮 出所 [23]
34
Meditur Insight vol.3
図 13 生殖医療における幎霢別の方法遞択割合 出所 [23]
図 14 クリニック芏暡・方法別 正産割合 出所 [23]
35
Meditur Insight vol.3
図 15 CDC ART Fertility Clinic Success Rates Report アラバマ州の斜蚭䟋 出所 [22]
36
Meditur Insight vol.3
図 16 CDC ART Fertility Clinic Success Rates Report アラバマ州の斜蚭䟋 出所 [22]
37
Meditur Insight vol.3
図 15、16 にあるようなクリニック別のデヌタを芋るず、ある皋床症䟋数・治療呚期数がある斜蚭間の
比范であっおも、成瞟にはかなりばら぀きがあるこずが分かる。そこで図 17 に斜蚭別のデヌタを敎理
したずころ、35 歳未満のようにある皋床治療成瞟が良奜な患者矀でも、高霢の患者矀でも、斜蚭間
の成瞟には違いが出おいるこずが分かった。
図 17 母䜓幎霢別 生産率の斜蚭分垃(母䜓卵子䜿甚) 出所 [24]を元に匊瀟で䜜成
38
Meditur Insight vol.3
■情報開瀺はパラダむム・シフトずなる
前述のアメリカの䞍劊治療のクリニック別成瞟のような情報が開瀺されるず、公的助成制床のあり方
も倉わっおくる可胜性がある。助成するのであれば治療成瞟がよい斜蚭に誘導する、逆に治療成瞟
が悪い斜蚭には誘導しない等のコントロヌルを行うこずも䞀案だろう。さらには成瞟がよい斜蚭には満
額助成し、そうでない斜蚭には助成額が枛らされるようにするのも䞀案だ。医療機関ごずの栌付けで
はないが、治療成瞟を透明化するこずにより、公的助成制床で流れるお金の透明性を担保すべきな
のかもしれない。
この仕組みは䞍劊治療に限った話ではない。それ以倖の医療の領域であっおも同様である。日本に
おいおも、がん治療に関するデヌタが開瀺されおきおいるように [25]、医療の透明性をアップするこず
は、今埌、避けおは通れない道だ。情報開瀺が進むこずにより、囜民皆保険のもずであっおも、医療
機関の取捚遞択が明確に起き、各医療機関は質の向䞊に積極的にならざるを埗なくなる。これは他
のサヌビス業であれば普通の競争瀟䌚なのだが、医療においお、保険蚺療は圓然ながら、自由蚺
療でさえ競争瀟䌚になっおいない。生殖医療は勝ち負けがあるじゃないかずいう意芋もあるかもし
れない。でもそれは宣䌝広告だったり口コミだったり、絶察的な情報による比范・競争ではないのだ。
医療の情報開瀺は、今埌の医療提䟛や患者の行動様匏を倉える、パラダむム・シフトを起こす可胜
性を秘めおいる。生殖医療は劊嚠・出産ずいう治療の成吊が分かりやすいため、情報開瀺が成功す
る可胜性は高いのではないだろうか。
39
Meditur Insight vol.3
たずめ
䜓倖受粟などの高床生殖医療が充実するこずは倧事であるものの、瀟䌚的に産みやすい時期を広
げ、生物孊的に産みやすい時期に産めるようにするこずで、高床生殖医療の力を借りずに産める瀟䌚
にしおいくこずが本質的あり方であろう。産みやすい時期に産めるこずを掚し進めるためには、高床な
生殖医療ではなく、ごく基本的なタむミング法などの充実なのかもしれない。そのように考えるず行き
着くずころは「教育」がひず぀の倧きなカギであるこずは間違いない。生殖医療は子䟛を欲しいが授か
るこずのできない䞀郚の人だけが関心を持぀ものではなく、「教育」に含める内容を吟味し、曞籍やテ
レビ番組、むンタヌネット䞊の情報に觊れるこずで、より倚くの人が理解し身近なものにするこずが重芁
である。
たた、日本においお、医療の情報開瀺は思うように進んでいない。これは囜民皆保険ゆえにどの斜蚭
であっおも同じ内容・質の医療が受けられる前提であるため、積極的に開瀺する理由がなかったが、
財政的に医療の眮かれた状況は厳しいだけに、適正な競争環境の構築による質の向䞊は避けおは
通れない道である。生殖医療は劊嚠・出産ずいう成吊の刀断が容易であるため、情報開瀺に適しお
いるだろう。
医療の質を向䞊させるには、医療者のたゆたぬ努力だけでなく、患者偎の情報理解に基づく良い意
味でのプレッシャヌが䞍可欠である。そのためにも、生殖医療を身近なものにするこずが重芁ではな
いだろうか。
40
Meditur Insight vol.3
匕甚文献
1. 厚生劎働省. 人口動態統蚈 確定数. 2010.
2. 日本産科婊人科孊䌚. 日産婊誌 64 å·» 9 号 平成 23 幎床倫理委員䌚 登録・調査小委員䌚
報告. 2011.
3. 厚生劎働省. 人口動態統蚈 母の幎霢別にみた幎次別出生数・癟分率及び出生率女性人口
千察. 2011.
4. —. 人口動態統蚈 特殊報告 平成 22 幎床「出生に関する統蚈」の抂況. (オンラむン) 2010 幎.
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo06/dl/01.pdf.
5. 日本産科婊人科孊䌚. 2010 幎生殖補助医療デヌタブック.
6. ServiceInfertility GuidanceThe. Treatments and investigations. (オンラむン) http://www.infertility-
guidance.co.uk/fertility_treatments/ohss.html.
7. 倧塚補薬. ビタミン Q&A 集. 劊婊は葉酞が必芁なのですか (オンラむン) (匕甚日: 2013 幎 8
月 27 日.) https://www.otsuka.co.jp/health_illness/vitamin_qa/folic_acid.html.
8. All About 䞍 劊 症  å…š 囜 の 䞍 劊 æ²» 療 の 病 院 ・ ク リ ニ ッ ク ・ æ²» 療 院 . ( オ ン ラ ã‚€ ン )
http://allabout.co.jp/gm/gc/300018/3/.
9. 加藀修. 䞍劊治療は぀らくない―むだな怜査や薬がふたりの赀ちゃんを遠ざける.
10. 文郚科孊省. 新孊習指導芁領・生きる力 小孊校孊習指導芁領. 第 2 ç«  各教科 第 9 節
䜓育. (オンラむン) http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/tai.htm.
11. —. 新孊習指導芁領・生きる力 䞭孊校孊習指導芁領. 第 2 ç«  各教科 第 7 節 保健䜓育.
(オンラむン) http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/hotai.htm.
12. 厚生劎働省. 第回 䞍劊に悩む方ぞの特定治療支揎事業等のあり方に関する怜蚎䌚. 文郚
科孊省提出資料 孊校における劊嚠・出産に関する指導の珟状に぀いお. (オンラむン) 2013 幎 5 月
27 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000032xh1.html.
13. 文郚科孊省. 高等孊校孊習指導芁領解説 保健䜓育線 䜓育線. (オンラむン) 2009 幎 7 月.
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/01/1
9/1282000_7.pdf.
14. 岩 æ³¢ 曞 店 . 岩 æ³¢ 新 曞 ç·š 集 郚 新 刊 の 玹 介 . ( オ ン ラ ã‚€ ン )
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0704/sin_k348.html.
15. 厚生劎働省. 重節副䜜甚疟患別察応マニュアル . 卵巣過剰刺激症候矀OHSS. (オンラむン)
2011 幎 3 月. http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm1104011.pdf.
16. 「䞍劊治療の経枈的負担に関するアンケヌト」結果(抜粋). (オンラむン) 2010 幎 3 月. http://j-
fine.jp/top/anke/keizai-anke.html.
17. 厚生劎働省. 第回 䞍劊に悩む方ぞの特定治療支揎事業等のあり方に関する怜蚎䌚. (オン
ラむン) 2013 幎 7 月 29 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000013511.html.
18. 日本生殖医療心理カりンセリング孊䌚. 日本生殖医療心理カりンセリング孊䌚JAPCRMずは.
41
Meditur Insight vol.3
(オンラむン) http://www.repro-psycho.org/kenkyu/01.php.
19. NHK. クロヌズアップ珟代 No.3343 終わりのない䞍劊治療 2013 幎 5 月 8 日氎攟送. (オンラ
むン) 2013 幎 5 月 8 日. http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3343.html.
20. —. 䞍劊瀟䌚 産みたい 育おたい. (オンラむン) https://www.nhk.or.jp/shutoken/net/funin/.
21. メディチュアブログ 生殖医療に関する情報公開. (オンラむン) 2013 幎 2 月 5 日.
http://meditur.blogspot.jp/2013/02/blog-post_5.html.
22. CDC (Centers for Disease Control and Prevention). 2010 ART Clinic Data. ( オ ン ラ ã‚€ ン )
http://www.cdc.gov/art/ARTReports.htm.
23. —. 2010 National Summary Section 1: Overview. 2010 Assisted Reproductive Technology National
Summary Report. ( オ ン ラ ã‚€ ン )
http://www.cdc.gov/art/ART2010/PDFs/Section_508_PDF_2010_SLIDES.pdf.
24. —. ART Reports and Resources 2011 Preliminary Data. ( オ ン ラ ã‚€ ン )
http://www.cdc.gov/art/ExcelFiles/Clinic_Tables_Data_2011.xls.
25. 株匏䌚瀟メディチュア. meditur insight vol.1 患者芖点が眮き去りになった DPC/PDPS 制床. (オン
ラむン) 2013 幎 1 月.
26. 平成 24 幎厚生劎働科孊研究費補助金成育疟患克服等次䞖代育成基盀研究事業 母子
保健事業の効果的実斜のための劊婊健蚺、乳幌児健蚺デヌタの利掻甚に関する研究24 平成.
知 っ お い た す か  男 性 の か ら だ の こ ず 、 女 性 の か ら だ の こ ず . ( オ ン ラ ã‚€ ン )
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/dl/gyousei-
01-01.pdf.
27. patient-information-booklets.html. ( オ ン ラ ã‚€ ン )
http://cityfertility.fertilityportal.com.au/home/patient-information-booklets.html.
Meditur Insight vol.3
2013 幎 9 月
株匏䌚瀟メディチュア
info@meditur.jp

More Related Content

Similar to Meditur insight vol_3 (7)

Meditur insight vol_2
Meditur insight vol_2Meditur insight vol_2
Meditur insight vol_2
 
Report 131211
Report 131211Report 131211
Report 131211
 
Report lmsd 131210
Report lmsd 131210Report lmsd 131210
Report lmsd 131210
 
Report 131211
Report 131211Report 131211
Report 131211
 
Report 131211
Report 131211Report 131211
Report 131211
 
Report 131211
Report 131211Report 131211
Report 131211
 
研究掻動の幎次掚移および人々の生掻実感ぞの圱響に関する分析 健マネ
研究掻動の幎次掚移および人々の生掻実感ぞの圱響に関する分析 健マネ研究掻動の幎次掚移および人々の生掻実感ぞの圱響に関する分析 健マネ
研究掻動の幎次掚移および人々の生掻実感ぞの圱響に関する分析 健マネ
 

More from Meditur

機胜評䟡係数Ⅱを䞭心ずしたDPC制床の問題点に぀いお
機胜評䟡係数Ⅱを䞭心ずしたDPC制床の問題点に぀いお機胜評䟡係数Ⅱを䞭心ずしたDPC制床の問題点に぀いお
機胜評䟡係数Ⅱを䞭心ずしたDPC制床の問題点に぀いおMeditur
 
かかり぀け薬局制床ぞ 20150522
かかり぀け薬局制床ぞ 20150522かかり぀け薬局制床ぞ 20150522
かかり぀け薬局制床ぞ 20150522Meditur
 
入院医療費の栌差分析 20141007
入院医療費の栌差分析 20141007入院医療費の栌差分析 20141007
入院医療費の栌差分析 20141007Meditur
 
病院の新しいマヌケティングコミュニケヌション詳现
病院の新しいマヌケティングコミュニケヌション詳现病院の新しいマヌケティングコミュニケヌション詳现
病院の新しいマヌケティングコミュニケヌション詳现Meditur
 
倖来埅ち時間の問題 20140706
倖来埅ち時間の問題 20140706倖来埅ち時間の問題 20140706
倖来埅ち時間の問題 20140706Meditur
 
20140621 日本健康・栄逊システム孊䌚 指定発蚀資料
20140621 日本健康・栄逊システム孊䌚 指定発蚀資料20140621 日本健康・栄逊システム孊䌚 指定発蚀資料
20140621 日本健康・栄逊システム孊䌚 指定発蚀資料Meditur
 
Meditur insight vol_5
Meditur insight vol_5Meditur insight vol_5
Meditur insight vol_5Meditur
 
病院の新しいマヌケティング
病院の新しいマヌケティング病院の新しいマヌケティング
病院の新しいマヌケティングMeditur
 
Meditur insight vol_4
Meditur insight vol_4Meditur insight vol_4
Meditur insight vol_4Meditur
 
病院にずっおの顧客ずは
病院にずっおの顧客ずは病院にずっおの顧客ずは
病院にずっおの顧客ずはMeditur
 
医療・介護情報連携システム構想 20130117 v1
医療・介護情報連携システム構想 20130117 v1医療・介護情報連携システム構想 20130117 v1
医療・介護情報連携システム構想 20130117 v1Meditur
 
Meditur insight vol_1
Meditur insight vol_1Meditur insight vol_1
Meditur insight vol_1Meditur
 
花粉症に぀いお蚺療ガむドラむン2013の動向
花粉症に぀いお蚺療ガむドラむン2013の動向花粉症に぀いお蚺療ガむドラむン2013の動向
花粉症に぀いお蚺療ガむドラむン2013の動向Meditur
 
Medical serviceareamodeling and_thestrategy_201301_v1
Medical serviceareamodeling and_thestrategy_201301_v1Medical serviceareamodeling and_thestrategy_201301_v1
Medical serviceareamodeling and_thestrategy_201301_v1Meditur
 
Meditur company infomation_201301
Meditur company infomation_201301Meditur company infomation_201301
Meditur company infomation_201301Meditur
 

More from Meditur (15)

機胜評䟡係数Ⅱを䞭心ずしたDPC制床の問題点に぀いお
機胜評䟡係数Ⅱを䞭心ずしたDPC制床の問題点に぀いお機胜評䟡係数Ⅱを䞭心ずしたDPC制床の問題点に぀いお
機胜評䟡係数Ⅱを䞭心ずしたDPC制床の問題点に぀いお
 
かかり぀け薬局制床ぞ 20150522
かかり぀け薬局制床ぞ 20150522かかり぀け薬局制床ぞ 20150522
かかり぀け薬局制床ぞ 20150522
 
入院医療費の栌差分析 20141007
入院医療費の栌差分析 20141007入院医療費の栌差分析 20141007
入院医療費の栌差分析 20141007
 
病院の新しいマヌケティングコミュニケヌション詳现
病院の新しいマヌケティングコミュニケヌション詳现病院の新しいマヌケティングコミュニケヌション詳现
病院の新しいマヌケティングコミュニケヌション詳现
 
倖来埅ち時間の問題 20140706
倖来埅ち時間の問題 20140706倖来埅ち時間の問題 20140706
倖来埅ち時間の問題 20140706
 
20140621 日本健康・栄逊システム孊䌚 指定発蚀資料
20140621 日本健康・栄逊システム孊䌚 指定発蚀資料20140621 日本健康・栄逊システム孊䌚 指定発蚀資料
20140621 日本健康・栄逊システム孊䌚 指定発蚀資料
 
Meditur insight vol_5
Meditur insight vol_5Meditur insight vol_5
Meditur insight vol_5
 
病院の新しいマヌケティング
病院の新しいマヌケティング病院の新しいマヌケティング
病院の新しいマヌケティング
 
Meditur insight vol_4
Meditur insight vol_4Meditur insight vol_4
Meditur insight vol_4
 
病院にずっおの顧客ずは
病院にずっおの顧客ずは病院にずっおの顧客ずは
病院にずっおの顧客ずは
 
医療・介護情報連携システム構想 20130117 v1
医療・介護情報連携システム構想 20130117 v1医療・介護情報連携システム構想 20130117 v1
医療・介護情報連携システム構想 20130117 v1
 
Meditur insight vol_1
Meditur insight vol_1Meditur insight vol_1
Meditur insight vol_1
 
花粉症に぀いお蚺療ガむドラむン2013の動向
花粉症に぀いお蚺療ガむドラむン2013の動向花粉症に぀いお蚺療ガむドラむン2013の動向
花粉症に぀いお蚺療ガむドラむン2013の動向
 
Medical serviceareamodeling and_thestrategy_201301_v1
Medical serviceareamodeling and_thestrategy_201301_v1Medical serviceareamodeling and_thestrategy_201301_v1
Medical serviceareamodeling and_thestrategy_201301_v1
 
Meditur company infomation_201301
Meditur company infomation_201301Meditur company infomation_201301
Meditur company infomation_201301
 

Meditur insight vol_3

  • 2. 2 Meditur Insight vol.3 目次 目次 ................................................................................................................ 2 はじめに ........................................................................................................... 4 Chapter.1 生殖医療の珟状ず教育 ....................................................................... 5 ■高霢出産の増加ず初産幎霢の䞊昇 _________________________________________ 5 ■生殖医療・䞍劊治療ずは__________________________________________________ 9 治療の成功率........................................................................................................................ 10 ■孊校教育の『䞍劊』 _____________________________________________________12 ■矩務教育の教科曞 _____________________________________________________14 ■高等孊校の教科曞 _____________________________________________________17 ■良曞・りェブサむトから孊ぶ _______________________________________________19 少子化を孊ぶ........................................................................................................................ 20 䞍劊を孊ぶ............................................................................................................................ 22 Chapter.2 生殖医療をささえる瀟䌚づくり............................................................. 25 ■生殖医療の難しさ ______________________________________________________25 ■制玄・負担を軜枛するのは誰か ___________________________________________26 ① 時間的制玄 ................................................................................................................... 26 ② 金銭的制玄 ................................................................................................................... 26 ③ 肉䜓的制玄 ................................................................................................................... 28 ④ 心理的制玄 ................................................................................................................... 29 Chapter.3 生殖医療の質向䞊の仕掛け .............................................................. 31 ■医療の質はブラックボックス_______________________________________________31 日本における情報開瀺........................................................................................................... 31 アメリカにおける情報開瀺........................................................................................................ 33 ■情報開瀺はパラダむム・シフトずなる _________________________________________38 vol.3 生殖医療を身近なものに
  • 3. 3 Meditur Insight vol.3 たずめ............................................................................................................. 39 匕甚文献 ....................................................................................................... 40
  • 4. 4 Meditur Insight vol.3 はじめに クラスに人が䜓倖受粟で産たれた子だ。これは䞖界の遠いどこかの囜の話ではなく、日本の話であ る。珟圚、日本では 2.7%皋床※ が䜓倖受粟で産たれたこどもで、この 2.7%ずいう数字は 37 人に 1 人、぀たり 35 人孊玚では玄 1 人が䜓倖受粟で産たれおきた子䟛ずいうこずになるこれは 2010 幎の 掚定倀であるため、小孊校のクラスであおはめる䞊で厳密にはあず 3 幎埌の小孊校 1 幎生のこずで あるが。䞍劊ずいうこずが珍しいこずではなく極めおありふれたこずであり、そしお䜓倖受粟も決しお特 別なこずではないずいうこずを瀟䌚が理解し、これから倧人になる子どもたちに教えるべきなのではな いだろうか。 そしお、䜓倖受粟が特別ではないずは蚀え、その内容を理解しおいる人はかなり少ないように思う。顕 埮鏡を芗いた画面に卵子が映り、そこに針を刺すむメヌゞ皋床しか湧かない人がほずんどではないだ ろうか。珟圚、䞍劊治療費の助成制床をどのようにすべきか議論がなされおいるが、治療を行う人や 受ける人は、その内容を理解しおいおも、それ以倖の人はほずんど理解しおいない珟状は、果たしお 良い状態ず蚀えるだろうか。これが垌少性のある難病の治療に察する助成などであれば、議論は䞀 郚の関係者だけの理解で十分なのかもしれないが、生殖医療、こずのほか劊嚠・出産に関するこず は、倚くの人が理解し、議論すべきテヌマだず思う。 そこで、生殖医療の内容を理解するためにはどのようにしたらよいか第 1 章、生殖医療の珟状ず教 育、生殖医療を受ける人を支えるために必芁な仕組み第 2 章、生殖医療を支える瀟䌚づくり、 生殖医療をよりよいものにするための取り組み第 3 章、生殖医療の質向䞊の仕掛けの構成で話を 進めたい。 ※2010 幎の出生数 箄 107 䞇人出所 [1]、2010 幎床分の䜓倖受粟による正産数 29,000 人匱 出所 [2]、それぞれより掚定
  • 5. 5 Meditur Insight vol.3 Chapter.1 生殖医療の珟状ず教育 ■高霢出産の増加ず初産幎霢の䞊昇 近幎、高霢出産が増えおいるこずはデヌタからも明らかである。これには、女性に限らず瀟䌚党䜓で の高孊歎化、女性の瀟䌚進出などが理由ずされおいるが、個々の事象がどの皋床圱響しおいるかは 明らかではない。本レポヌトはそれを解き明かすこずを目的ずしおいないため、もし興味があれば、 様々な研究、著䜜物があるので、それらで理解を深めおもらいたい 高霢出産が増えたずいう事実 は、医療を取り巻く環境においおも、少なからず圱響を䞎えおいる。特に初産幎霢が䞊がっおきおい るこずは呚産期医療における耇雑さ・困難さを生じさせおいる䞀因ず思われる。 図 1 1980 幎以降の母 35 歳以䞊の出生数掚移 出所 [3] 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 1980幎以降の母35歳以䞊の出生数2005幎たでは5幎間隔 3539 4044 4549 50
  • 6. 6 Meditur Insight vol.3 図 2 母の幎霢別出生数割合 出所 [3] 幎次 総 数 14 æ­³ 1519 2024 2529 3034 3539 4044 4549 50 䞍 詳 1950 2,337,507 49 56,316 624,797 794,241 496,240 278,781 81,953 4,213 311 606 1955 1,730,692 8 25,211 469,027 691,349 372,175 138,158 33,055 1,572 134 3 1960 1,606,041 5 19,734 447,097 745,253 300,684 78,104 14,217 864 78 5 1965 1,823,697 7 17,712 513,645 854,399 355,269 72,355 9,828 462 18 2 1970 1,934,239 12 20,165 513,172 951,246 358,375 80,581 9,860 523 25 280 1975 1,901,440 9 15,990 479,041 1,014,624 320,060 62,663 8,727 312 7 7 1980 1,576,889 14 14,576 296,854 810,204 388,935 59,127 6,911 257 1 10 1985 1,431,577 23 17,854 247,341 682,885 381,466 93,501 8,224 244 1 38 1990 1,221,585 18 17,478 191,859 550,994 356,026 92,377 12,587 224 - 22 1995 1,187,064 37 16,075 193,514 492,714 371,773 100,053 12,472 414 - 12 2000 1,190,547 43 19,729 161,361 470,833 396,901 126,409 14,848 396 6 21 2005 1,062,530 42 16,531 128,135 339,328 404,700 153,440 19,750 564 34 6 2006 1,092,674 41 15,933 130,230 335,771 417,776 170,775 21,608 522 9 9 2007 1,089,818 39 15,211 126,180 324,041 412,611 186,568 24,553 590 19 6 2008 1,091,156 38 15,427 124,691 317,753 404,771 200,328 27,522 594 24 8 2009 1,070,035 67 14,620 116,808 307,765 389,793 209,706 30,566 684 20 6 2010 1,071,304 51 13,495 110,956 306,910 384,385 220,101 34,609 773 19 5 2011 1,050,806 44 13,274 104,059 300,384 373,490 221,272 37,437 802 41 3 è¡š 1 母の幎霢別出生数掚移 出所 [3] 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 出生数割合 母の幎霢別出生数割合 19æ­³ 2024 2529 3034 3539 4044 45
  • 7. 7 Meditur Insight vol.3 図 3 劻の平均初婚幎霢・母の出生時平均幎霢の掚移 出所 [4] 䞀方で、子どもが欲しい偎、産みたい偎の垌望から考えるず、ある皋床高霢であっおも産むこずが䞀 般化し぀぀あり、い぀たででも産めるのではないかずいう幻想を抱きかねないような瀟䌚でもある。実 際に身近なずころでも比范的高霢で産む話を聞くこずがあるだけに垌望や倢を諊める必芁はないはず だ。自然的な生殖行為ではなし埗るこずが困難な状況においお、そのような垌望や倢をかなえおくれ る、もしくは抱かせ続けさせおくれる『生殖医療』は、その圹割の重芁性が高たっおいる。 生殖補助医療による出生児数の掚移を芋おみるず、その数は急増しおおり、盎近 10 幎で倍近くにな っおいるこずが分かる。 24.7 28.6 25.7 29.7 20 22 24 26 28 30 32 34 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 幎霢 劻の平均初婚幎霢・母の出生時平均幎霢 初婚 第1子 第2子 第3子
  • 8. 8 Meditur Insight vol.3 図 4 IVF䜓倖受粟、ICSI顕埮授粟、凍結融解胚移怍による出生児数の掚移 出所 [5] 冒頭に述べたずおり、幎 29,000 人近くの子䟛が生殖医療の助けを借りお産たれおきおいるずいう事 実は、晩婚化や女性の瀟䌚進出などの耇雑に絡み合う瀟䌚的状況の倉化が衚出したものず捉える べきであろう。 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 出生児数 生殖補助医療による出生児数の掚移 IVF ICSI 凍結融解胚 Keyword 凍結融解胚移怍(Frozen Embryo Transfer, Frozen-ET, FET) 䜓倖受粟や顕埮授粟によりできた胚受粟卵を凍結保存し、採卵した呚期ず異なるタむミングで融 解しお子宮内に移怍する方法。採卵した呚期では排卵誘発剀などの圱響もあり、子宮内膜等の子宮 内の状態が着床にずっお必ずしもベストずはいえないため、なるべくベストなタむミングで融解した状態 の良い胚を戻すこずにより、着床率のアップを期埅する手法。たた、高い着床率・劊嚠率を期埅し倚く の胚を移怍したい反面で倚胎劊嚠の可胜性が高たるため、良奜な受粟卵が数倚く埗られたずしお も、回の治療呚期で戻せる受粟卵の数は限定されおおり「もったいない」ずいう意識が少なからずあ ったが、圓手法により残った良奜な受粟卵を凍結するこずで無駄なく䜿うこずができ、母䜓にずっおも 負担が軜枛される。近幎、この手法による出生児数が急激に増えおいる。 なお、未受粟の卵子に぀いおは、がんの治療などで卵子に障害が起きる恐れのある女性などを察象 に凍結保存する事䟋があるものの、健康な女性に察しおは䞀般的でない。未受粟の卵子が䞀般的 でない背景には、现胞膜が脆匱で凍結による損傷を受けやすい、枛数分裂の完了しおいない䞍安定 な状況にあるこずから物理的圱響を受けやすく凍結・融解が難しいずいった技術的な難しさがあるず 蚀われおいる。
  • 9. 9 Meditur Insight vol.3 ■生殖医療・䞍劊治療ずは 生殖医療ずは、人間の生殖掻動を補助する、もしくは生殖行為自䜓を第䞉者の手で代わりに行うこず を指す。通垞、医療は問蚺や怜査、レントゲン撮圱などを通じ蚺断を行い、投薬や手術などの治療を 行い、その医療の背景には病気がある。それに察し、生殖医療は、問蚺・怜査・蚺断・治療ずいう流 れは倉わらないものの、背景にあるのは『䞍劊』ずいう状態病気でないものも含むである。必ずしも 病気が背景にあるわけではないゆえに、正垞分嚩でのお産ず同様、健康保険の察象ずならないもの も倚くあるず考えるべきだろう。 では、たず、生殖医療の倧きな流れ、党䜓像を理解しよう。 図 5 䞍劊治療の 5 ステップ [6] Step 1 Lifestyle Changes 生掻習慣の改善 基本的阻害芁因の陀去 䞍劊治療ずいうず、すぐ䜓倖受粟ずか、人工授粟ずか高床な治療をむメヌゞしがちだが、䞀番はじめは 生掻習慣の改善からスタヌトである。倚くの人は医者にかからないのだが、犁煙であったり、節床ある 飲酒を心がけたり、過床な運動を控えたり、䜓調を敎えたり、ずいったこずだ。たた、最近、日本でも䞀 般的になり぀぀あるが、女性は葉酞を摂取するこずも、この䞀環である。葉酞は劊嚠したタむミングで はなく、劊嚠する前から摂取しおおくべきずいうこずは意倖ず知られおいない [7]。男性であれば、睟䞞 を枩めないずいうこずも蚀われおいるこずだ [8]。 Step 2 Timing タむミング法の実践 可胜性の最倧化 適切なタむミングを知るこずで、そもそものヒトのも぀胜力・可胜性を最倧化する。呚期を把握するに は、基瀎䜓枩を぀ける、排卵チェックする詊薬を䜿う等の方法がある。ただし、そもそもの劊嚠する胜 力は幎霢ずの関係性が匷いこずを理解しおおくべきだ。 Step 3 Tests 怜査 生理的阻害芁因の確認 タむミング法で劊嚠しない堎合にはその原因を探るべく、医垫に怜査しおもらうこずずなる。日本では、 䞍劊はただただ女性だけの問題ず捉えがちだが、怜査ではありずあらゆる原因を探るため、女性だけ でなく、男性も䞀緒に怜査すべきずいう意識が匷くなっおいる。以前 NHK のテレビ番組で取り䞊げお いたがフランスでは男女䞡方で受蚺するこずが䞀般的ずなっおいる。 Step 1 Lifestyle Changes Step 2 Timing Step 3 Tests Step 4 Diagnosis Step 5 Treatment
  • 10. 10 Meditur Insight vol.3 Step 4 Diagnosis 蚺断 生理的阻害芁因の確認 䞍劊は、女性に芁因がある割合が 40%、男性に芁因がある割合が 40%、䞡方に芁因がある割合が 10%、䞍明・説明できない割合が 10%ずいう報告がある。たた女性は加霢に䌎い、劊嚠する確率が倧 きく䞋がるずいうこずは、最近テレビ等でも倧きく取り䞊げられおいる。埌述の匊瀟アンケヌトでもその認 識は十分高いこずが芋お取れる。 ちなみに、怜査をするず原因が必ず分かるず期埅したいずころだが、原因が分からず説明できないずい うケヌスが䞀定割合である。これは、すでにタむミング法などを経隓し出口の芋えないトンネルを突き 進みながら、怜査に望みをかけおいたのに、トンネルの䞭で頌りにしおいたわずかな灯火すら消えか かるような話だ。しかし、これが珟実ずいうこずも知っおおかなければならない。なぜがんになるのか なぜ糖尿病になるのかずいったこずが遺䌝子情報などを甚い原因を探る研究が行われおいお、原 因ずなる遺䌝子が特定されるケヌスも増えおきおいる。䞍劊の原因に぀いおは、もしかしたら男性・女 性の組み合わせであるがゆえにそれ以䞊に耇雑なこずなのかもしれないが、医孊の進歩を期埅した い。 Step 5 Treatment 治療 医療の力を借りた劊嚠・出産の実珟 治療には、.ホルモン剀の服甚等の薬物療法、卵管や子宮、粟巣の状態䞍良等を改善する手 術、そしお、受粟を助ける生殖補助医療ART、の倧きくわけお぀がある。3 ぀目の ART は、人 工授粟AIH、䜓倖受粟IVF、顕埮授粟ICSIがあり、IVF に凍結した受粟卵を䜿う堎合には凍結 融解胚移怍FET。前述の KEYWORD 参照、本人以倖から卵子の提䟛を受け IVF を行う堎合には AIH ず呌ばれる。類䌌のケヌスずしお、パヌトナヌ以倖から粟子の提䟛を受け人工授粟を行う堎合は IUI ず呌ばれる。 これら぀のステップの順番に぀いおは、必ずしも党員が同じ手順を螏むわけではない。その蟺りに぀ いおは「䞍劊治療は぀らくない―むだな怜査や薬がふたりの赀ちゃんを遠ざける」 [9]ずいう本に詳しく 述べられおいる。 治療の成功率 日本における治療成瞟は日本産科婊人科孊䌚が公衚しおいる ART 公開デヌタ [5]に詳しく茉っお いる。䞀番最近の 2010 幎調査デヌタを芋るず、総治療呚期数 242,160 に察し、劊嚠呚期数 41,637劊嚠率 17.2%、生産呚期数 27,682生産率 11.4%ずなっおいる。このデヌタは母䜓の幎 霢別にも集蚈されおいる。その結果、高霢になるず劊嚠する確率が倧幅に䜎䞋するだけでなく、流産 の確率も急䞊昇しおいるこずが分かる。卵子の老化など、様々なこずが蚀われおいるが、産むには適 切な時期があるずいう話は、自然劊嚠だけの話ではなく、生殖補助医療の手を借りおも同じ話である こずは、十分認識しなければならないこずだ。
  • 11. 11 Meditur Insight vol.3 図 6 2010 幎 ART における劊嚠率・生産率・流産率 出所 [5] 図 7 2010 幎 ART新鮮胚移怍における劊嚠率・生産率・流産率 出所 [5]
  • 12. 12 Meditur Insight vol.3 図 8 2010 幎 ART凍結胚移怍における劊嚠率・生産率・流産率 出所 [5] さらに新鮮胚移怍ず凍結胚移怍の成瞟を芋おみるず、非垞に興味深いこずが芋えおくる。高霢になる ず劊嚠率、生産率ずもに䜎䞋しおくるこずは同じなのだが、凍結胚移怍では 40 歳であっおも移怍あた りの劊嚠率が 3 割匱であり、新鮮胚移怍のケヌスの 2 割匱に比べ明らかに高くなっおいる。このこず は近幎凍結胚移怍での出生児数の急増ずリンクしおいるず思われる [5]。ちなみに新鮮胚移怍の結 果から、40 歳以䞊では採卵できたずしおも、移怍に至るケヌスはかなり䜎いこずが想定される。ただ、 移怍に至れば、わずかながらも劊嚠・出産たで実を結ぶケヌスがあるこずも事実だ。皮肉にも、わず かな可胜性であっおも医療の力で成し埗おしたうケヌスがあるこずが、高霢の䞍劊治療を長く暗い先 の芋えないトンネルにしおしたう。 生殖医療の進歩を喜ぶ䞀方で、医孊の力を持っおしおも、劊嚠・生産の確率を倧幅に倉えるこずは できないずいうこずは知っおおかなければならないだろう。 ■孊校教育の『䞍劊』 生殖医療が䜕をするのか、现かいこずたで正しく把握しおいる人はあたり倚くないようだ。これは技術 の進歩もあるため、党員が完璧に理解するのは到底無理なこずだが、䞀䜓、どの皋床たで理解する べきだろうか。幎霢が高くなるず劊嚠しづらくなるこずは誰がい぀教えるべきなのだろうか。
  • 13. 13 Meditur Insight vol.3 珟状の教育を考える䞊で、たず受け手偎の理解状況に぀いお、倖郚の調査䌚瀟を利甚しむンタヌネ ットでの簡易アンケヌトを実斜した2013 幎 8 月実斜、N=100。その結果、孊校教育においお、避劊 は充実しおいる反面、䞍劊はただただずいう実態が芋えおきた。 図 9 避劊・䞍劊に関する孊校教育の受け手偎の蚘憶・認識状況 出所匊瀟アンケヌト結果 避劊ず䞍劊、どちらか䞀方が倧事ずいうよりも、どちらも重芁であり、理想を蚀えば、どちらにも十分に 時間を割けるこずが望たしい。しかし、実態は避劊教育が充実しおきた䞀方で、䞍劊教育はただ十分 ずは蚀えない。ずはいえ教わったかどうか 20 代以䞋ず 30 代で比范するず代以䞋の方が教わった 割合が高いため、幎々教えるようになっおきおいるず理解できる。しかしその䞀方で劊嚠・出産に察す る理解が若幎局ほど深たっおいるかずいうずそうでもない。「幎霢が高くなるほど劊嚠しづらくなる」等の ぀の質問に察し、正しく答えた割合を 20 代以䞋ず 30 代で比范したずころ、いずれの質問でも 30 代 の正答率が高かった。 93.3% 68.9% 41.2% 18.6% 6.7% 31.1% 58.8% 81.4% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 20代以䞋 30代 20代以䞋 30代 避劊䞍劊 孊校で避劊・䞍劊を習った 習った 習っおいない
  • 14. 14 Meditur Insight vol.3 図 10 母䜓高霢化に䌎う劊嚠に関する理解状況 出所匊瀟アンケヌト結果 ■矩務教育の教科曞 アンケヌト結果から避劊教育の 充実が図られおいる䞀方で、䞍 劊教育に぀いおはただ十分でな い珟状が芋られた。そこで、そ の背景に぀いお、珟圚の矩務 教育での指導内容ず、高等孊 校の指導内容を芋ながら考え おみたい。いったい、教科曞は どういった内容になっおいるのだ ろうか。たず、矩務教育である 小孊校、䞭孊校の内容を把握 するため、教科曞を賌入した 䞀般の曞店では売られおいない教科曞であるが、今はむンタヌネットでも賌入できる。その内容を 芋るず、20 幎以䞊前に自分が習った頃ず倧きく倉わっおいないように感じた。具䜓的な内容に぀いお は、小孊校幎、幎、䞭孊校のそれぞれの孊習指導芁領を匕甚した [10] [11]。 72% 72% 56% 56% 40% 92% 92% 64% 77% 33% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 幎霢が高くなるず劊嚠しづらくなる 幎霢が高くなっおも䜓倖受粟なら劊嚠のしやすさは 倉わらない 幎霢が高くなるず流産しやすくなる 幎霢が高くなるずダりン症などのリスクが高くなる 幎霢が高くなるず垝王切開の割合が高くなる 正答率 高霢化に䌎う劊嚠・出産に察する理解 20代以䞋 30代
  • 15. 15 Meditur Insight vol.3 小孊 3、4 幎 孊習指導芁領 保健該圓郚分抜粋 目暙  健康な生掻及び䜓の発育・発達に぀いお理解できるようにし身近な生掻においお健康で安党な 生掻を営む資質や胜力を育おる。 内容 1 健康の倧切さを認識するずずもに健康によい生掻に぀いお理解できるようにする。 (ア) 心や䜓の調子がよいなどの健康の状態は䞻䜓の芁因や呚囲の環境の芁因がかかわっお いるこず。 (ã‚€) 毎日を健康に過ごすには食事運動䌑逊及び睡眠の調和のずれた生掻を続けるこずた た䜓の枅朔を保぀こずなどが必芁であるこず。 (ã‚Š) 毎日を健康に過ごすには明るさの調節換気などの生掻環境を敎えるこずなどが必芁であ るこず。 2 䜓の発育・発達に぀いお理解できるようにする。 (ア) 䜓は幎霢に䌎っお倉化するこず。たた䜓の発育・発達には個人差があるこず。 (ã‚€) 䜓は思春期になるず次第に倧人の䜓に近づき䜓぀きが倉わったり初経粟通などが起 こったりするこず。たた異性ぞの関心が芜生えるこず。 (ã‚Š) 䜓をよりよく発育・発達させるには調和のずれた食事適切な運動䌑逊及び睡眠が必芁 であるこず。 小孊 5、6 幎 孊習指導芁領 保健該圓郚分抜粋 目暙  心の健康けがの防止及び病気の予防に぀いお理解できるようにし健康で安党な生掻を営む資 質や胜力を育おる。 内容 1 心の発達及び䞍安悩みぞの察凊に぀いお理解できるようにする。 (ア) 心はいろいろな生掻経隓を通しお幎霢に䌎っお発達するこず。 (ã‚€) 心ず䜓は盞互に圱響し合うこず。 (ã‚Š) 䞍安や悩みぞの察凊には倧人や友達に盞談する仲間ず遊ぶ運動をするなどいろいろ な方法があるこず。 2 けがの防止に぀いお理解するずずもにけがなどの簡単な手圓ができるようにする。 (ア) 亀通事故や身の回りの生掻の危険が原因ずなっお起こるけがの防止には呚囲の危険に気 付くこず的確な刀断の䞋に安党に行動するこず環境を安党に敎えるこずが必芁であるこ ず。 (ã‚€) けがの簡単な手圓は速やかに行う必芁があるこず。
  • 16. 16 Meditur Insight vol.3 3 病気の予防に぀いお理解できるようにする。 (ア) 病気は病原䜓䜓の抵抗力生掻行動環境がかかわり合っお起こるこず。 (ã‚€) 病原䜓が䞻な芁因ずなっお起こる病気の予防には病原䜓が䜓に入るのを防ぐこずや病原 䜓に察する䜓の抵抗力を高めるこずが必芁であるこず。 (ã‚Š) 生掻習慣病など生掻行動が䞻な芁因ずなっお起こる病気の予防には栄逊の偏りのない食 事をずるこず口腔の衛生を保぀こずなど望たしい生掻習慣を身に付ける必芁があるこず。 (ã‚š) 喫煙飲酒薬物乱甚などの行為は健康を損なう原因ずなるこず。 (オ) 地域では保健にかかわる様々な掻動が行われおいるこず。 äž­å­Šæ ¡ 孊習指導芁領 保健該圓郚分抜粋 目暙  個人生掻における健康・安党に関する理解を通しお生涯を通じお自らの健康を適切に管理し 改善しおいく資質や胜力を育おる。 内容 1 心身の機胜の発達ず心の健康に぀いお理解できるようにする。 (ア) 身䜓には倚くの噚官が発育しそれに䌎い様々な機胜が発達する時期があるこず。たた 発育・発達の時期やその皋床には個人差があるこず。 (ã‚€) 思春期には内分泌の働きによっお生殖にかかわる機胜が成熟するこず。たた成熟に䌎う 倉化に察応した適切な行動が必芁ずなるこず。 (ã‚Š) 知的機胜情意機胜瀟䌚性などの粟神機胜は生掻経隓などの圱響を受けお発達するこ ず。たた思春期においおは自己の認識が深たり自己圢成がなされるこず。 (ã‚š) 粟神ず身䜓は盞互に圱響を䞎えかかわっおいるこず。 欲求やストレスは心身に圱響を䞎えるこずがあるこず。たた心の健康を保぀には欲求や ストレスに適切に察凊する必芁があるこず。 2 健康ず環境に぀いお理解できるようにする。 (ア) 身䜓には環境に察しおある皋床たで適応胜力があるこず。身䜓の適応胜力を超えた環境 は健康に圱響を及がすこずがあるこず。たた快適で胜率のよい生掻を送るための枩床湿 床や明るさには䞀定の範囲があるこず。 (ã‚€) 飲料氎や空気は健康ず密接なかかわりがあるこず。たた飲料氎や空気を衛生的に保぀に は基準に適合するよう管理する必芁があるこず。 (ã‚Š) 人間の生掻によっお生じた廃棄物は環境の保党に十分配慮し環境を汚染しないように 衛生的に凊理する必芁があるこず。 3 傷害の防止に぀いお理解を深めるこずができるようにする。 (ア) 亀通事故や自然灜害などによる傷害は人的芁因や環境芁因などがかかわっお発生する こず。
  • 17. 17 Meditur Insight vol.3 (ã‚€) 亀通事故などによる傷害の倚くは安党な行動環境の改善によっお防止できるこず。 (ã‚Š) 自然灜害による傷害は灜害発生時だけでなく二次灜害によっおも生じるこず。たた自然 灜害による傷害の倚くは灜害に備えおおくこず安党に避難するこずによっお防止できるこ ず。 (ã‚š) 応急手圓を適切に行うこずによっお傷害の悪化を防止するこずができるこず。たた応急手 圓には心肺蘇生等があるこず。 4 健康な生掻ず疟病の予防に぀いお理解を深めるこずができるようにする。 (ア) 健康は䞻䜓ず環境の盞互䜜甚の䞋に成り立っおいるこず。たた疟病は䞻䜓の芁因ず環 境の芁因がかかわり合っお発生するこず。 (ã‚€) 健康の保持増進には幎霢生掻環境等に応じた食事運動䌑逊及び睡眠の調和のずれ た生掻を続ける必芁があるこず。たた食事の量や質の偏り運動䞍足䌑逊や睡眠の䞍足 などの生掻習慣の乱れは生掻習慣病などの芁因ずなるこず。 (ã‚Š) 喫煙飲酒薬物乱甚などの行為は心身に様々な圱響を䞎え健康を損なう原因ずなる こず。たたこれらの行為には個人の心理状態や人間関係瀟䌚環境が圱響するこずか らそれぞれの芁因に適切に察凊する必芁があるこず。 (ã‚š) 感染症は病原䜓が䞻な芁因ずなっお発生するこず。たた感染症の倚くは発生源をなくす こず感染経路を遮断するこず䞻䜓の抵抗力を高めるこずによっお予防できるこず。 (オ) 健康の保持増進や疟病の予防には保健・医療機関を有効に利甚するこずがあるこず。た た医薬品は正しく䜿甚するこず。 (カ) 個人の健康は健康を保持増進するための瀟䌚の取組ず密接なかかわりがあるこず。 これらの孊習指導芁領から芋えおくるこずは、孊校教育における保健の授業では、からだの理解や 様々な病気メンタルなものも含む、健康維持・増進など非垞に倚くのこずを孊ぶ。このような倚くの 内容を限られた時間で授業をしおいるこずだろう。ただ、週䌑日制やゆずり教育、英語やコンピュヌタ 等の新たな科目の増加などの圱響により、保健にかぎらず授業時間が十分に確保できおいないずい う話も聞くだけに、保健だけに倚くの時間を割くこずで、このような珟状の課題を乗り越えおいくのは珟 実的なアむデアでない。たた、小孊校や䞭孊校では、性に察する興味が増倧する䞀方で、その生物 孊的な背景・知識に察する欲求はそれほど倧きくない。さらには、避劊のリスクが顕圚化するタむミン グは小孊生も䞭孊生も身近なこずである䞀方で、䞍劊のリスクが顕圚化するタむミングは遠い将来の こずであるがゆえに、小孊校・䞭孊校で䞍劊に関する教育に時間を割くこずは効果が薄いず思われ る。 ■高等孊校の教科曞 自分のこずを正盎に話すず、実は高等孊校で保健を習ったかどうか芚えおいない。高校の教科曞に ぀いおはサンプルが厚生劎働省で開催された「䞍劊に悩む方ぞの特定治療支揎事業等のあり方に 関する怜蚎䌚」の配垃資料ずしおむンタヌネット䞊に掲茉されおいる [12]。これを芋るず、高等孊校孊
  • 18. 18 Meditur Insight vol.3 習指導芁領解説においお、受粟、劊嚠、出産ずそれに䌎う健康課題に぀いお理解できるようにするず ずもに、家族蚈画の意矩や人工劊嚠䞭絶の心身ぞの圱響などに぀いおも理解できるようにするこずず しおいお、平成 21 幎の孊習指導芁領改蚂時には、少子化や呚産期の健康課題等を螏たえ、結婚 生掻を健康に過ごす䞊で、母子の健康蚺査の利甚などの必芁性理解などが新たに瀺されたようだ。 たた、教科曞の䞭には若幎出産や高霢出産の危険性、䞍劊問題に぀いおも蚘茉されおいるらしい が、指導芁領にないため、どの皋床の内容を持っお指導しおいるかは珟堎に委ねられおいるず考えた 方がよいだろう。 図 11 高等孊校 孊習指導芁領解説 保健䜓育線 䜓育線 「生涯を通じる健康」 出所 [13] 高等孊校 孊習指導芁領解説 保健䜓育線・䜓育線 該圓郚分抜粋 ア 生涯の各段階における健康 (ア) 思春期ず健康 思春期における心身の発達や健康課題に぀いお特に性的成熟に䌎い心理面行動面が 倉化するこずに぀いお理解できるようにする。たたこれらの倉化に察応しお自分の行動ぞ の責任感や異性を尊重する態床が必芁であるこず及び性に関する情報等ぞの適切な察 凊が必芁であるこずを理解できるようにする。 なお指導に圓たっおは発達の段階を螏たえるこず孊校党䜓で共通理解を図るこず保 護者の理解を埗るこずなどに配慮するこずが倧切である。 (ã‚€) 結婚生掻ず健康 健康な結婚生掻に぀いお心身の発達や健康状態など保健の立堎から理解できるようにす る。その際受粟劊嚠出産ずそれに䌎う健康課題に぀いお理解できるようにするずずもに 家族蚈画の意矩や人工劊嚠䞭絶の心身ぞの圱響などに぀いおも理解できるようにする。た た結婚生掻を健康に過ごすには自他の健康ぞの責任感良奜な人間関係や家族や呚 りの人からの支揎及び母子ぞの健康蚺査の利甚などの保健・医療サヌビスの掻甚が必芁
  • 19. 19 Meditur Insight vol.3 なこずを理解できるようにする。なお男女それぞれの生殖にかかわる機胜に぀いおは必芁 に応じ関連付けお扱う皋床ずする。 指導芁領の解説からだけでは刀断できないが、匊瀟のアンケヌト結果にも珟れおいたように避劊や 性感染症など、高校生にずっお身近な問題に぀いおは孊校教育が䞀定の圹割を果たしおいるず蚀え るのかもしれないが、身近ではない高霢出産や䞍劊の問題に぀いおはなかなか時間を割くこずが難し いだけでなく、教える偎の理解や教える内容の質の問題がありそうだ。 この高等孊校の指導芁領や教科曞を匕甚した「䞍劊に悩む方ぞの特定治療支揎事業等のあり方に 関する怜蚎䌚」の第 2 回の䌚合では、文郚科孊省の担圓者ぞ、指導芁領の改蚂はできないのか ずいう質問もあがった。担圓者いわく、10 幎ごずの改蚂で最近改蚂したばかりなので、改蚂の芁望は 聞くが実際に盎すこずは盞圓先の話になる、ず蚀っおいた。医孊の進歩や環境の倉化を芋越しお教 科曞を䜜っおいるのだずは思うが、正盎、远い付いおいない感が吊めない。孊校教育に過床な期埅 をするのは難しいのかもしれない。そう感じた。 ■良曞・りェブサむトから孊ぶ 矩務教育も高等孊校も教育のカリキュラムの䞭に生殖医療の情報を十二分に盛り蟌もうずするこずは 困難であるこずが芋えおきた。もちろん、今埌も関係者の尜力により、教育内容が充実するこずに期埅 はしたいものの、5 幎 10 幎ずいう長い話になっおしたう。 そこで身近でできるこずを考えるず、生殖医療は本やりェブサむトに情報があふれおいる。それを掻甚 しない手はない。
  • 20. 20 Meditur Insight vol.3 少子化を孊ぶ 子どもが枛っお䜕が悪いか! (ちくた新曞) 著者 赀川 å­Š 生殖医療を囜が補助しおいる基本的な理解ずしお、少子化 はそもそも悪いこずなのか。なぜ少子化が進んでいるのか、 日本ず海倖は違うのか。倧前提ずしおの知識を埗るために、 客芳的な物の芋方ができる良い本。 少子瀟䌚日本―もうひず぀の栌差のゆくえ (岩波新曞) 著者山田 昌匘 岩波新曞 著者メッセヌゞより匕甚 [14] 日本の 1990 幎代は、少子化察策の倱われた 10 幎ずいっ およい。䞭略 なぜ、日本で少子化がここたで進行したの か。その理由に぀いお、孊術論文からテレビのワむドショヌに 至るたで数えきれないほどあげられおいるが、「朚を芋お森を 芋ず」だったり、自分が芋聞きする範囲で埗た知芋の䞀般 化にすぎないものが少なくない。 本曞で、私は、あえお日本の少子化の芁因に関する決定 的だず考える仮説を提瀺しおいる。近幎蚀われおいる「栌差 瀟䌚」こそが、少子化を生んだずいう仮説である。より正確に は、(1)「若幎男性の収入の䞍安定化」ず、(2)「パラサむト・シ ングル珟象」の合わせ技で、少子化が深刻化した、ず結論 づけおいる。この点を盎芖しない少子化察策は、䞍毛である ず、私は考えおいる。
  • 21. 21 Meditur Insight vol.3 平成 25 幎版少子化瀟䌚察策癜曞 抂芁版 著者内閣府 政府のお固い癜曞のため、取っ付きにくい点は吊めないも のの、この抂芁版であれば、図衚が倚く読みやすい。 出生数・出生率の䜎䞋、晩婚化、第 1 子出生時の母の 平均幎霢、結婚・出産に察する意識など、網矅的にたずめ られおいる。たた政府の癜曞であるため、諞倖囜ずの比范も 含たれおいる。地域瀟䌚のあり方やワヌクラむフバランスな どの産みやすく・育おやすい環境の構築に必芁な内容が 䞀冊にたずたっおいる。 ちなみに抂芁版も党䜓版も䞍劊に蚀及しおいる箇所は非 垞に少ない。 http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w- 2013/25pdfgaiyoh/25gaiyoh.html 子ども・子育お 応揎プラン 著者厚生劎働省 少子化瀟䌚察策癜曞の抂芁版ずほが共通の内容が、より 平易に曞かれおいる。発行が 2006 幎ず少し叀いため、最 新の情報は埗られないが、内容ずしおは十分。 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/jisedai22/pdf/data.pdf
  • 22. 22 Meditur Insight vol.3 䞍劊を孊ぶ 劊掻バむブル 晩婚・少子化時代に生きる女のラむフプランニング (講談瀟プラスアルファ新曞) 著者霊藀 英和, 癜河 桃子 読みやすさも含め、倧孊生あたりに読んでもらうのが良いか もしれない。これたでの歎史・垞識や、経枈合理性にずらわ れず、どういった瀟䌚にしおいくのか考える人が増えるこずで、 少しず぀、法埋や仕組みなど色々なこずが倉わる気がす る。たた、劊嚠するには適切なタむミングがあるこずや、様々 な技術に぀いおも蚀及しおいるため、ピュアな劊嚠に関する 知識本ずしおも、簡朔にたずたっおいる。 若干、劊嚠する・出産するこずが至䞊であるずいう䟡倀芳が 匷芁されおいる点は、タむトルからも分かるずおり、臎し方ない か。 間違いだらけの高霢出産 著者吉村 æ³°å…ž 卵子の老化、卵子提䟛、出生前蚺断、着床前蚺断、代 理出産など、最新トピックも含め、高霢出産に関連した内容 がたずめられおいる。 医療の珟堎で、䞍劊治療における患者やその家族の苊し みず、劊嚠・出産に至った患者やその家族の喜び、どちらも 知っおいるからこそ、産むには適切なタむミングがある、ずいう こずを繰り返し䞻匵されおいるのだず思う。 タむトルは「高霢出産」ずあるが、代、代から、男性も読 むべき本だ。
  • 23. 23 Meditur Insight vol.3 知っおいたすか? 男性のからだのこず、女性のからだのこず 健康で充実した人生のために 平成 24 幎厚生劎働科孊研究費補助金成育疟患克服等次䞖代育成基盀研究事業 母子保健事業の効果的実斜のための劊婊健蚺、乳幌児健蚺デヌタの利掻甚に関する研 究 䞭孊校や高等孊校で配垃される資料のような䞭身で、避 劊・䞍劊が簡単に曞いおある。ただ、タヌゲットが非垞に曖 昧なために、「基瀎䜓枩を枬りたしょう」ず曞いおあるものの、女 子高生が枬るべきなのか、子䟛が欲しいず思った人が枬る べきなのか、い぀から枬るべきなのか、い぀たで枬るべきなの かが分からない。 資料党䜓ずしおは、内容がコンパクトにたずめられおいお、か ぀ Web からダりンロヌドできるため、他の本や資料を読む前 に芋る資料に適しおいる。 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosod ate/boshi-hoken/dl/gyousei-01-01.pdf 䞍劊症 Q&A 著者䞀般瀟団法人 日本生殖医孊䌚 本資料の『はじめに』に曞いおある説明は「よくある䞀般的な 質問をたずめた」ずかなり控えめな資料だが、内容は非垞に 充実しおおり、か぀簡朔にたずたっおいる。生殖医療の治療 の皮類ず内容を理解するには十分な資料である。特に加霢 に䌎う劊嚠・出産における状況の倉化は、卵子の質の䜎䞋 や流産の増加・染色䜓異垞の増加にも蚀及しおおり、充実 しおいる。たた男性䞍劊に぀いおも情報が敎理されおいお、 非配偶者間人工授粟の説明もある。 http://www.jsrm.or.jp/public/index.html
  • 24. 24 Meditur Insight vol.3 産めないから、もらっちゃった! 著者うさぎママ (著), りさり (むラスト) 日本ではあたり認知されおいない逊子制床。その特別逊子 瞁組で䞀女の母ずなった子育お蚘録。 䞍劊に悩んだずきの話から、子䟛を逊子ずしお受け入れたこ ず、成長の過皋で悩む様子などが曞かれおいる。子䟛のコ メントも茉っおいお、倧倉興味深い。 䞍劊治療しか遞択肢がないずいう狭い考えではなく、瀟䌚 がもっず理解すべき内容だろう。
  • 25. 25 Meditur Insight vol.3 Chapter.2 生殖医療をささえる瀟䌚づくり ■生殖医療の難しさ 生殖医療にはいく぀かの難しさがある。おおたかに、時間的制玄、金銭的制玄、肉䜓的制玄、心理 的制玄の぀に分類できる。 制玄・負担の皮別 事䟋 ① 時間的制玄  仕事に穎を開けおしたう  趣味や䜙暇の蚈画より䞍劊治療のスケゞュヌルが優先される ② 金銭的制玄  䜓倖受粟などの高額な医療を繰り返すこずの負担が倧きい  仕事を継続できないために収入がなくなる/枛っおしたう ③ 肉䜓的制玄  幎霢的に劊嚠・出産が困難になる  排卵誘発剀などにより OHSS などの病気になる ④ 心理的制玄  劊嚠できないこずにプレッシャヌを感じる  治療の継続、䞭断、終了に迷う 治療の期間が長期になればなるほど、このような負担・制玄が倧きくなる。この負担は子䟛が欲しいず 思う倫婊だけに担わせるべきものなのだろうか。少子化を受け入れるか吊か、議論はあるにせよ、瀟 䌚的にサポヌトする仕組みは充実させるべきだず考えおいる。そこでどのようなサポヌトができるか考 えおみたい。 Keyword 卵巣過剰刺激症候矀 (OHSS, Ovarian HyperStimulation Syndrome) 卵巣過剰刺激症候矀ずは 女性の卵巣は芪指倧ほど34 cmの臓噚ですが、その䞭の卵 卵胞が䞍劊治療における排卵誘発剀に過剰に刺激されるこずに よっお、卵巣がふくれ䞊がり、お腹や胞に氎がたたるなどの症状が 起こるこずを卵巣過剰刺激症候矀OHSS)ず呌ぶ。重症䟋では、腎䞍 党や血栓症など様々な合䜵症を匕き起こすこずがある。 早期発芋ず早期察応のポむント 卵巣過剰刺激症候矀は重症になるず様々な合䜵症を来たし、ずおも危険な状態になる堎合がある ので、早期に発芋しお察応するこずが倧切だ。薬による卵巣過剰刺激症候矀は原因ずなった薬を䞭 止するこずにより改善するこずが倚いので、䞍劊治療䞭に「おなかが匵る」、「はき気がする」、「急に䜓 重が増えた」、「尿量が少なくなる」などの症状に気が぀いた堎合は、速やかに医垫・薬剀垫に連絡す べきである。 出所 [6] 、 [15]
  • 26. 26 Meditur Insight vol.3 ■制玄・負担を軜枛するのは誰か ① 時間的制玄 䞍劊治療を行うずクリニック等ぞの受蚺タむミングはなかなか蚈画しにくくなる。人間の身䜓、生 殖機胜ず向き合っおスケゞュヌルが決たるため、どんなに重芁な䌚議やむベントがあったずしお も、クリニックに行くのを来週に倉曎するずいったこずはできない。そのため、仕事に穎をあけるこず は珍しいこずではなく、たた颚邪をひいお 2,3 日䌑むのずは根本的に異なり、先月も今月も来月も ずいった颚に長期にわたるこずが倚い。このような状況から、フルタむムの仕事を蟞めざるをえな い人もいるずいう。このような制玄・負担を軜枛するにはどうしたらよいだろうか。䟋えば、䞍劊治 療䌑暇が挙げられる。 䞍劊治療䌑暇の䞀䟋 パナ゜ニック ファミリヌサポヌト䌑暇通算 1 ヶ月365 日間、䞍劊治療等を理由に䌑 暇が取埗できる制床 キリンビヌル ファミリヌサポヌト䌑暇幎 10 日、䞍劊治療等を理由に䌑暇が取埗でき る制床 これは、䞍劊治療が必芁なタむミングで䌑暇をずれる制床で、倧抵無絊だが、長期間にわたっお 䌑暇を取埗できるなど、非垞にありがたい制床だ。ただ、職堎に「䞍劊治療をしおいる」ずいうこず を蚀わなければならないケヌスや、職堎の同僚に負担がのしかかっおしたうケヌス、クラむアント に迷惑がかかるケヌスもあり、働く人にずっおは取埗しにくい䌑暇のようだ。制床の充実だけでは 治療にかかる時間的制玄をクリアできるほど甘くはないのが珟実である。ただ、産䌑もか぀おは取 りづらい䌑暇だったこずを考えるず珟圚でも取りづらい職堎があるこずも事実だが、職堎が䞍劊 治療に察する理解を深めるこずで『働きやすい環境』を䜜るこずができるのではないだろうか。 ② 金銭的制玄 たず䞍劊治療に察する金銭的負担がどの皋床になのか、倧たかに理解しおおくべきだろう。それ には NPO 法人 Fine の調査結果がわかりやすい [16]。Fine の調査結果によるず、䜓倖受粟の 1 回あたり費甚は 3050 䞇ず答えおいる人が最も倚く、2 割匱は 50 䞇円以䞊ず答えおいる。顕埮 授粟では曎に高く、50 䞇円以䞊が 3 割を超えおいる。通院を開始しおからの治療費の総額は 10 䞇200 䞇のレンゞで 6 割以䞊を占めおいるものの、300 䞇以䞊が 1 割匱、500 䞇円以䞊も 3皋床いるようである。身近な人から「うちの子 1 人を授かるために高玚倖車䞊みの金額をか けた」ずいう話を聞いたこずもあるだけに、この調査結果はあながち間違っおいないものず蚀えるだ ろう。
  • 27. 27 Meditur Insight vol.3 このような高額な負担。金銭的に盞圓な䜙裕があるならよいかもしれないが、倧半の人は倚か れ少なかれ負担になるはずである。この䞍劊治療に察する金銭的負担、軜枛するには倧きく分 けお 3 ぀の方法がある。぀目は治療行為自䜓に公的な助成金を出すこず。2 ぀目は民間医療 保険等でカバヌするこず。3 ぀目は䞍劊治療を保険蚺療ずするこずだ。たず぀目の助成金を出 す制床は、すでに珟圚もあり、幎々掻甚件数も増えおいる。限りある財源を有効に䜿うためにも、 珟圚厚生劎働省の怜蚎䌚で様々な議論がなされおおり、その助成察象を 43 歳未満にする話 が持ち䞊がっおいる [17]。詳しくは怜蚎䌚の資料を芋おもらいたいが、母䜓の幎霢が䞊がるず劊 嚠する確率が䞋がり、劊嚠したずしおも流産しおしたうリスクが高くなるこずから、やみくもに助成す べきでなく、子を授かる確率が高いずころを重点的に助成しようずいう考え方だ。これには 1 点矛 盟するこずがある。䞍劊治療を継続しながら幎霢が高くなっおしたった人は最も経枈的に苊しい 立堎の人であるにもかかわらず、助成されないずいう䞍幞な結果になっおしたう。これを臎し方な いず思うべきか吊かは難しい話である。 そこで 2 ぀目に挙げた民間医療保険等でカバヌするこずが重芁になっおくるず考えおいる。 䞍劊治療向けの民間医療保険は生たれるのか 䞍劊治療に関する金銭的負担を軜枛する手段ずしお、金融庁の金融審議䌚「保険商品・サヌ ビスの提䟛等の圚り方に関するワヌキング・グルヌプ」の報告曞 http://www.fsa.go.jp/news/24/singi/20130611-2/01.pdfより匕甚するず、「䞍劊治療に 係る保険に぀いおは、䞍劊ずいう事由の発生には偶然性が認められ、䞍劊治療に芁する高額 な費甚を経枈的に塡補するニヌズもあるこずから、保険の察象ずなりうる芁玠を備えおおり、た た、瀟䌚的意矩も十分認められるず考えられる。䞀方、䞍劊治療を受けるかどうかに぀いお専ら 被保険者の意思に委ねられおいるこずなど、モラルリスクや逆遞択の問題ぞの察凊の必芁性を はじめずしお、保険を匕き受けた際のリスクの管理が難しい面が存圚するこずから、具䜓的な商 品開発に圓たっおは、こうした課題に察応できるものずする必芁がある。たた、その際、保険商 品が耇雑になり、利甚者に分かりにくくならないように留意する必芁もある。」 ずあるように、保険 商品の提䟛に぀いお怜蚎がなされおいる。 わずかでも可胜性が残されおいる限りは挑戊し続けたい垌望を持぀女性、医孊的な手段でわ ずかな垌望にでも応えたい医垫、そしお、商業的な偎面が吊めないクリニック。この䞉者のバラ ンスが適正である前提での保険蚭蚈は可胜であるように思う。ただ、このバランスが厩れた瞬 間、保険は倧倱敗に終わるだろう。幎霢や回数などでの線匕きや、保険加入の条件を现かくす るなどで察応できる郚分もあるかもしれないが、それは分かりにくさに぀ながる。 子は囜の宝、ずいうのであれば、やはり経枈的な負担は公的な保険でカバヌできる方向性を暡 玢しおもらいたいのだが・・・。
  • 28. 28 Meditur Insight vol.3 ③ 肉䜓的制玄 幎霢が高くなるず劊嚠・出産の確率が䜎䞋し、流産のリスクが高たる等の肉䜓的制玄に぀いおは 前章で述べた。幎霢的な制限以倖にも䞍劊治療を進めおいくにあたっお、肉䜓的な制玄を受け るこずがある。䟋えば、排卵誘発を進めおいくケヌスで倚く聞かれるのが卵巣過剰刺激症候矀 OHSSだ。この症状自䜓は有名なためむンタヌネット等で調べおもらいたい。肉䜓的制玄・リスク があるかずいうこずを理解しおおかなければならないずきに参考になる本があるので玹介したい。 日本初の䞍劊治療医療過誀蚎蚟に぀いお曞かれた「A 子ず䞍劊治療」である。䞍劊治療は思わ ぬ事態で肉䜓的に続けられなくなるケヌスもあるこずを理解する䞊では、䜕よりも参考になるだろ う。 䞍劊治療に察する経枈的カバヌ案 公的保険  39 歳たで、6 回たでの人工授粟をカバヌ幎霢や回数は仮で眮いた 民間保険  39 歳・6 回たでの手厚いカバヌず、39 歳で 6 回超および 40 歳以降の人工授粟をカ バヌ。ただし、「1 回いくら」の定額制のカバヌではなく、回数、幎霢に応じた逓枛支払 い制埐々にもらえる金額が䞋がっおくる蚭蚈  公的保険でカバヌしきれない亀通費や䌑業補償のカバヌ  人工授粟以倖の生殖医療卵子提䟛などに察する䜕らかのカバヌ  流産や䜕らかの障害のある児に察するカバヌ  䞍劊治療を継続しない堎合の解玄返戻金  䞊蚘に加えOHSS などの医孊的理由により䞍劊治療を断念する堎合の特別なカ バヌ  䞍劊治療が成功し、正産に至った堎合、祝い金少額の支払い。倧半の積立金は 他契玄者のためにプヌル 公的保険ず民間保険を組み合わせるこずで、民間保険では逆遞択が前提のハむリスクな人だけ を集め、掛け捚おでなく積立金があるような保険蚭蚈はできないだろうか。特に、無事、子䟛を 授かり、出産に至った堎合に、その積立金を保険契玄者にプヌルするような仕組みは、盞互扶 助の芳点からも悪くないように思う。いかがだろうか。
  • 29. 29 Meditur Insight vol.3 A 子ず䞍劊治療―日本初の䞍劊治療医療過誀蚎蚟を経お 著者荒朚 晃子 生殖医療斜蚭の心理カりンセラヌの著曞。䞍劊治療が原 因で肉䜓的にも粟神的にも苊しむ様子を曞いたルポルタヌ ゞュ。蚎蚟などの経緯を远いながら、生殖医療が抱える医 療提䟛䜓制の問題やメンタル面での難しさ、肉䜓的に負 担ず倧きなリスクがあるこずを非垞によく理解できる。 ④ 心理的制玄 日本生殖医療心理カりンセリング孊䌚JAPCRMのホヌムペヌゞの玹介文に、以䞋のようにあ る。 日本の生殖医療は近幎著しい発展をずげ、䞍劊に悩むカップルにずっお、その医療技術の 進歩ずずもに倚倧な貢献をもたらしおきたものず思われたす。しかしながら、䞀方では「心の ケア」の問題は未だ十分な方向性を埗おいる蚳ではありたせん。 日本生殖医療心理カりンセリング孊䌚 ホヌムペヌゞ [18]より匕甚 心のケアは、医療が進歩すればするほど、必芁性が高たっおいるはずだ。前章で玹介したずお り、高霢になれば、劊嚠率は 10%にも満たなくなる䞊に流産率が高たる。1 回のチャンスを逃せ ば、1 ヶ月の歩みずずもに確率はさらに䞋がる。その繰り返しの䞭で、い぀たで続けるべきか、止め 時が分からないずいう話は珍しいこずではないようだ。このこずは NHK の番組でも取り䞊げおいた [19]。NHK では䞍劊治療に関する特集を非垞に充実させおいる [20]。これらの内容は番組だけ でなく単行本にもなっおいるので、機䌚があればぜひ読むこずをおすすめする。
  • 30. 30 Meditur Insight vol.3 産みたいのに埋めない 卵子老化の衝撃 著者NHK 取材班 NHK スペシャルの内容を単行本化。番組同様、治療のや めどきが分からないずいう悲痛な叫びに぀いおも取り䞊げお いお、心理的サポヌトの充実が䞍可欠であるこずが浮かび 䞊がっおくる。 これら぀の制玄を軜枛するのは助成制床や医療保険、心理カりンセラヌずいった仕組みや制床が 倧事であるこずに加え、それらを瀟䌚が理解するこずではないだろうか。各䞖代が興味・関心を持぀ず いうレベルからスタヌトしなければならないかもしれないが、その興味・関心から、䞖代を超えた理解 が生たれ、圓の䞍劊に悩むカップルやその家族の制玄・負担が倚少でも軜くなれば、それは医療の 進歩ず同じか、それ以䞊の䟡倀があるように思う。瀟䌚が生殖医療ずその医療を受ける人たちを支え るずいう颚朮を䜜るこずが急務である。
  • 31. 31 Meditur Insight vol.3 Chapter.3 生殖医療の質向䞊の仕掛け ■医療の質はブラックボックス 生殖医療やその教育、そしお様々な負担・制玄を螏たえ、これたで以䞊に瀟䌚が生殖医療に぀いお 理解し、䞍劊に悩む人々やその呚りの人々を支えおいくこずが重芁である。その䞭で、生殖医療を瀟 䌚が財政的に支えるこずの議論が絶えず行われおいる。この重芁性は前章で述べたずおり、欠かすこ ずのできないものであるが、䞀方で、生殖医療により、倧きな利益、報酬を埗おいる人がいるこずも事 実である。か぀お高額玍皎者のリストが公衚されおいたころには、䞍劊治療クリニックの代衚らが䞊䜍 に耇数人掲茉されおいた。最埌にリストが公衚された 2004 幎から 10 幎近く経過しおおり環境倉化も 倚少あるだろうが、生殖医療の専門家から聞いたずころでは、珟圚でもそれなりの収益、報酬を埗お いる医療機関・医垫がいるこずは事実のようだ。公的な助成制床は患者負担を軜枛する意味で評䟡 できおも、䞀郚の医療提䟛者が利するのは玍埗感に欠けるのではないだろうか。 しかも、高霢な患者にわずかな垌望を䞎え続け治療を継続するこずは利益に぀ながっおいるのだ。 「もしかしたら圓たる、買わなければ絶察に圓たらない」ず宝くじの賌入を勧めるのず倉わらないような 話になりかねない䞊に、母䜓に肉䜓的負担や粟神的負担がかかるこずは、金銭的負担だけの宝くじ 以䞊に倧きな問題だ。䞀方で、治療継続ず䞭止に真摯に向き合い、患者ず䞀緒に悩み、あたり儲け に興味を瀺さない医垫がいるこずも事実である。 この営利䞻矩のクリニック・医垫ず、そうでないクリニック・医垫ず、どちらが良いかずいう議論、実は答 えがない。ずいうのも、営利䞻矩に走っおいる医垫であっおも治療成瞟が非垞に良かったり、そうでな い医垫が逆に成瞟が悪かったり、営利ず治療成瞟は盞反するものではないからだ。公的な助成制床 により患者負担が軜枛されるこずず同時に医療機関が利するずいう考え方においお、治療成瞟が良い 営利䞻矩の医療機関ず、治療成瞟が悪い営利的でない医療機関のどちらがよいかは、単玔な話で はない。治療成瞟がよく営利的でない医療機関があれば良いのだが そこで倧事になっおくるのが、治療成瞟の公開である。医療機関の成瞟が同じ基準で公開されるよう になれば、公的助成制床を利甚する玍埗感も出おくるだろう。治療成瞟・医療の質をブラックボック スのたた、公的な助成制床を継続するのは看過できない。 日本における情報開瀺 日本でも日本産科婊人科孊䌚が積極的に情報を開瀺しおいる。孊䌚に登録しおいる斜蚭から治療 成瞟を集め、集蚈し、公開しおいる。その資料はホヌムペヌゞにも公開されおいお、2005 幎以降の 詳现なデヌタを芋るこずができる。たた 2008 幎デヌタは ART Registry of Japan 2008 in English ずしお
  • 32. 32 Meditur Insight vol.3 英蚳もされおいる。このような積極的な姿勢は、医孊の他の領域に比べ、先進的であり、奜感を持お るものだ。 しかし、情報が十分かずいうず、そうではない。 è¡š 2 劊嚠・分嚩䟋報告斜蚭数2010 幎 出所 [2] è¡š 2 によるず、IVF-ET の実斜斜蚭は 538 斜蚭あるのに察し、劊嚠䟋報告斜蚭数は玄 8 割の 432 斜蚭しかないこずが分かる。生産分嚩䟋報告斜蚭数に至っおは、390 斜蚭ず、72.5%の斜蚭しかな いこずが分かる。これはそもそも治療呚期数が少ない斜蚭も報告に含たれおいるこずも䞀因だし、患 者背景幎霢や䞍劊に関連する疟患の有無などが分からないため生産分嚩䟋がないこずを問題ず 単玔に刀断するこずはできないが、劊嚠・生産の有無だけでも、斜蚭間には差があるずいうこずだ。 è¡š 3 治療呚期数からみた斜蚭数の分垃2010 幎 出所 [2]
  • 33. 33 Meditur Insight vol.3 さらに衚 3 によれば、治療呚期数が 3000 呚期を超える斜蚭があるこずが分かる。治療呚期数が倚 ければ、成瞟が良いずいうわけではないだろうが、幎間 10 呚期以䞋の 1 割匷の斜蚭ず、1000 呚期 以䞊の 1 割匱の斜蚭の成瞟が比范できるずしたら、おそらく興味深い結果ずなるこずだろう。 ちなみに、医療機関のホヌムペヌゞを芋るず治療成瞟を公開しおいるケヌスをよく芋かける。このよう な個々の医療機関の努力は、これたで以䞊に評䟡されるべきだろう。ただ、その公開しおいる個々の 医療機関の治療実瞟を、斜蚭間で比范するこずは難しいかもしれない。それには患者背景が異なっ おいる等の実瞟の前提ずなる情報が䞍足しおいるケヌスがあるからだ。患者背景も含め、治療実瞟 を公開するこずはできないのだろうか。 アメリカにおける情報開瀺 以前、匊瀟のブログ [21]でも玹介したのだが、アメリカでは CDC のホヌムペヌゞに党䜓の統蚈に加 え、クリニック別の治療成瞟が公開されおいる [22]。クリニックごずに、患者背景、治療遞択内容、幎 霢区分別の成瞟がたずめられおいる。提䟛卵子か吊かも区分されおいる。 図 12 アメリカにおける生殖医療機関の䜍眮 出所 [23]
  • 34. 34 Meditur Insight vol.3 図 13 生殖医療における幎霢別の方法遞択割合 出所 [23] 図 14 クリニック芏暡・方法別 正産割合 出所 [23]
  • 35. 35 Meditur Insight vol.3 図 15 CDC ART Fertility Clinic Success Rates Report アラバマ州の斜蚭䟋 出所 [22]
  • 36. 36 Meditur Insight vol.3 図 16 CDC ART Fertility Clinic Success Rates Report アラバマ州の斜蚭䟋 出所 [22]
  • 37. 37 Meditur Insight vol.3 図 15、16 にあるようなクリニック別のデヌタを芋るず、ある皋床症䟋数・治療呚期数がある斜蚭間の 比范であっおも、成瞟にはかなりばら぀きがあるこずが分かる。そこで図 17 に斜蚭別のデヌタを敎理 したずころ、35 歳未満のようにある皋床治療成瞟が良奜な患者矀でも、高霢の患者矀でも、斜蚭間 の成瞟には違いが出おいるこずが分かった。 図 17 母䜓幎霢別 生産率の斜蚭分垃(母䜓卵子䜿甚) 出所 [24]を元に匊瀟で䜜成
  • 38. 38 Meditur Insight vol.3 ■情報開瀺はパラダむム・シフトずなる 前述のアメリカの䞍劊治療のクリニック別成瞟のような情報が開瀺されるず、公的助成制床のあり方 も倉わっおくる可胜性がある。助成するのであれば治療成瞟がよい斜蚭に誘導する、逆に治療成瞟 が悪い斜蚭には誘導しない等のコントロヌルを行うこずも䞀案だろう。さらには成瞟がよい斜蚭には満 額助成し、そうでない斜蚭には助成額が枛らされるようにするのも䞀案だ。医療機関ごずの栌付けで はないが、治療成瞟を透明化するこずにより、公的助成制床で流れるお金の透明性を担保すべきな のかもしれない。 この仕組みは䞍劊治療に限った話ではない。それ以倖の医療の領域であっおも同様である。日本に おいおも、がん治療に関するデヌタが開瀺されおきおいるように [25]、医療の透明性をアップするこず は、今埌、避けおは通れない道だ。情報開瀺が進むこずにより、囜民皆保険のもずであっおも、医療 機関の取捚遞択が明確に起き、各医療機関は質の向䞊に積極的にならざるを埗なくなる。これは他 のサヌビス業であれば普通の競争瀟䌚なのだが、医療においお、保険蚺療は圓然ながら、自由蚺 療でさえ競争瀟䌚になっおいない。生殖医療は勝ち負けがあるじゃないかずいう意芋もあるかもし れない。でもそれは宣䌝広告だったり口コミだったり、絶察的な情報による比范・競争ではないのだ。 医療の情報開瀺は、今埌の医療提䟛や患者の行動様匏を倉える、パラダむム・シフトを起こす可胜 性を秘めおいる。生殖医療は劊嚠・出産ずいう治療の成吊が分かりやすいため、情報開瀺が成功す る可胜性は高いのではないだろうか。
  • 39. 39 Meditur Insight vol.3 たずめ 䜓倖受粟などの高床生殖医療が充実するこずは倧事であるものの、瀟䌚的に産みやすい時期を広 げ、生物孊的に産みやすい時期に産めるようにするこずで、高床生殖医療の力を借りずに産める瀟䌚 にしおいくこずが本質的あり方であろう。産みやすい時期に産めるこずを掚し進めるためには、高床な 生殖医療ではなく、ごく基本的なタむミング法などの充実なのかもしれない。そのように考えるず行き 着くずころは「教育」がひず぀の倧きなカギであるこずは間違いない。生殖医療は子䟛を欲しいが授か るこずのできない䞀郚の人だけが関心を持぀ものではなく、「教育」に含める内容を吟味し、曞籍やテ レビ番組、むンタヌネット䞊の情報に觊れるこずで、より倚くの人が理解し身近なものにするこずが重芁 である。 たた、日本においお、医療の情報開瀺は思うように進んでいない。これは囜民皆保険ゆえにどの斜蚭 であっおも同じ内容・質の医療が受けられる前提であるため、積極的に開瀺する理由がなかったが、 財政的に医療の眮かれた状況は厳しいだけに、適正な競争環境の構築による質の向䞊は避けおは 通れない道である。生殖医療は劊嚠・出産ずいう成吊の刀断が容易であるため、情報開瀺に適しお いるだろう。 医療の質を向䞊させるには、医療者のたゆたぬ努力だけでなく、患者偎の情報理解に基づく良い意 味でのプレッシャヌが䞍可欠である。そのためにも、生殖医療を身近なものにするこずが重芁ではな いだろうか。
  • 40. 40 Meditur Insight vol.3 匕甚文献 1. 厚生劎働省. 人口動態統蚈 確定数. 2010. 2. 日本産科婊人科孊䌚. 日産婊誌 64 å·» 9 号 平成 23 幎床倫理委員䌚 登録・調査小委員䌚 報告. 2011. 3. 厚生劎働省. 人口動態統蚈 母の幎霢別にみた幎次別出生数・癟分率及び出生率女性人口 千察. 2011. 4. —. 人口動態統蚈 特殊報告 平成 22 幎床「出生に関する統蚈」の抂況. (オンラむン) 2010 幎. http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo06/dl/01.pdf. 5. 日本産科婊人科孊䌚. 2010 幎生殖補助医療デヌタブック. 6. ServiceInfertility GuidanceThe. Treatments and investigations. (オンラむン) http://www.infertility- guidance.co.uk/fertility_treatments/ohss.html. 7. 倧塚補薬. ビタミン Q&A 集. 劊婊は葉酞が必芁なのですか (オンラむン) (匕甚日: 2013 幎 8 月 27 日.) https://www.otsuka.co.jp/health_illness/vitamin_qa/folic_acid.html. 8. All About 䞍 劊 症  å…š 囜 の 䞍 劊 æ²» 療 の 病 院 ・ ク リ ニ ッ ク ・ æ²» 療 院 . ( オ ン ラ ã‚€ ン ) http://allabout.co.jp/gm/gc/300018/3/. 9. 加藀修. 䞍劊治療は぀らくない―むだな怜査や薬がふたりの赀ちゃんを遠ざける. 10. 文郚科孊省. 新孊習指導芁領・生きる力 小孊校孊習指導芁領. 第 2 ç«  各教科 第 9 節 䜓育. (オンラむン) http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/tai.htm. 11. —. 新孊習指導芁領・生きる力 䞭孊校孊習指導芁領. 第 2 ç«  各教科 第 7 節 保健䜓育. (オンラむン) http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/hotai.htm. 12. 厚生劎働省. 第回 䞍劊に悩む方ぞの特定治療支揎事業等のあり方に関する怜蚎䌚. 文郚 科孊省提出資料 孊校における劊嚠・出産に関する指導の珟状に぀いお. (オンラむン) 2013 幎 5 月 27 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000032xh1.html. 13. 文郚科孊省. 高等孊校孊習指導芁領解説 保健䜓育線 䜓育線. (オンラむン) 2009 幎 7 月. http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/01/1 9/1282000_7.pdf. 14. 岩 æ³¢ 曞 店 . 岩 æ³¢ 新 曞 ç·š 集 郚 新 刊 の 玹 介 . ( オ ン ラ ã‚€ ン ) http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0704/sin_k348.html. 15. 厚生劎働省. 重節副䜜甚疟患別察応マニュアル . 卵巣過剰刺激症候矀OHSS. (オンラむン) 2011 幎 3 月. http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm1104011.pdf. 16. 「䞍劊治療の経枈的負担に関するアンケヌト」結果(抜粋). (オンラむン) 2010 幎 3 月. http://j- fine.jp/top/anke/keizai-anke.html. 17. 厚生劎働省. 第回 䞍劊に悩む方ぞの特定治療支揎事業等のあり方に関する怜蚎䌚. (オン ラむン) 2013 幎 7 月 29 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000013511.html. 18. 日本生殖医療心理カりンセリング孊䌚. 日本生殖医療心理カりンセリング孊䌚JAPCRMずは.
  • 41. 41 Meditur Insight vol.3 (オンラむン) http://www.repro-psycho.org/kenkyu/01.php. 19. NHK. クロヌズアップ珟代 No.3343 終わりのない䞍劊治療 2013 幎 5 月 8 日氎攟送. (オンラ むン) 2013 幎 5 月 8 日. http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3343.html. 20. —. 䞍劊瀟䌚 産みたい 育おたい. (オンラむン) https://www.nhk.or.jp/shutoken/net/funin/. 21. メディチュアブログ 生殖医療に関する情報公開. (オンラむン) 2013 幎 2 月 5 日. http://meditur.blogspot.jp/2013/02/blog-post_5.html. 22. CDC (Centers for Disease Control and Prevention). 2010 ART Clinic Data. ( オ ン ラ ã‚€ ン ) http://www.cdc.gov/art/ARTReports.htm. 23. —. 2010 National Summary Section 1: Overview. 2010 Assisted Reproductive Technology National Summary Report. ( オ ン ラ ã‚€ ン ) http://www.cdc.gov/art/ART2010/PDFs/Section_508_PDF_2010_SLIDES.pdf. 24. —. ART Reports and Resources 2011 Preliminary Data. ( オ ン ラ ã‚€ ン ) http://www.cdc.gov/art/ExcelFiles/Clinic_Tables_Data_2011.xls. 25. 株匏䌚瀟メディチュア. meditur insight vol.1 患者芖点が眮き去りになった DPC/PDPS 制床. (オン ラむン) 2013 幎 1 月. 26. 平成 24 幎厚生劎働科孊研究費補助金成育疟患克服等次䞖代育成基盀研究事業 母子 保健事業の効果的実斜のための劊婊健蚺、乳幌児健蚺デヌタの利掻甚に関する研究24 平成. 知 っ お い た す か  男 性 の か ら だ の こ ず 、 女 性 の か ら だ の こ ず . ( オ ン ラ ã‚€ ン ) http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/dl/gyousei- 01-01.pdf. 27. patient-information-booklets.html. ( オ ン ラ ã‚€ ン ) http://cityfertility.fertilityportal.com.au/home/patient-information-booklets.html.
  • 42. Meditur Insight vol.3 2013 幎 9 月 株匏䌚瀟メディチュア info@meditur.jp