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ゲームAI・実装事例の紹介
ゲームAI・実装事例の紹介 ※諸事情により、当面ダウンロード禁止にいたします
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ゲームAI・実装事例の紹介
1.
2016/6/24 朝比奈むかで
2.
!注意点 既出の技術体系以前の開発事例なので、 近年の技術とは違う実装なのをご了承下さい わりと駆け足で進めますので、詳細について DM・Twitter等で聞いてください
3.
アジェンダ ゲームAIとは? 2D対戦格闘のゲームAI事例
3DアクションRPGのゲームAI事例 まとめ
4.
ゲームAIとは?
5.
ゲームAIとは? ”AI“(Artificial Intelligence)とは? 人工的にコンピュータ上などで人間と同様の知能を実現 させようという試み、或いはそのための一連の基礎技術
“ゲームAI”とは? コンピュータゲームにおいてノンプレイヤーキャラ(NPC) の振る舞いに知能があるかのように錯覚を生み出す技法
6.
ゲームAIで重視されていること “ゲームAI”で重視されていること 1.ユーザーから見て知性が感じられるか? 2.ゲームプレイが心地よいか? 3.対戦形式でのプレイで人間側が公平に感じるか? ※チートは許容されているが、公平さを保てる調整は必要 実際にはこれらをどう実現するの? →企画意図をどう落とし込むか?の事例を2つ紹介 1.2D対戦格闘ゲームの事例 2.3DアクションRPGゲームの事例
7.
2D対戦格闘のゲームAI事例
8.
2D対戦格闘ゲームとは? 2D対戦格闘ゲームとは? アクションゲームの一種でプレイヤーが操作するキャラクターが CPU、別のプレイヤーの操作するキャラクターと1対1で戦うゲーム 敵キャラクターを殴る蹴るするゲーム 操作系 8方向キー(レバー)、4〜6ボタンを使用 レバーでキャラ移動・コマンド入力、ボタンで攻撃
代表タイトル ストリートファイターシリーズ、ギルティギアシリーズ キングオブファイターシリーズ
9.
事例紹介(タイトル) タイトル“A“(AC) 対戦格闘ゲーム(1on1、PvP/PvE) →純粋なAI開発込みで約4ヶ月 タイトル”B“(GBA) 対戦格闘ゲーム(3on3、PvP/PvE) →純粋なAI開発込みで約3ヶ月
10.
企画側の要望(1) 企画側の要望 ・プレイヤーに攻略のある遊びをさせたい →CPU戦の攻略で、ユーザープレイ成長や対人戦のトレーニング ・どのキャラクターでもユーザーに勝つAIにしたい →おもてなしは必要だが、難易度調整やバランスもあり、勝てるAIが前提 ・キャラクターの特徴が表現できるような調整したい →プレイヤー操作での攻撃性能は同じなので強さアピールになる これまた難易度の高い注文…
11.
2D格闘ゲームのキャラにできること 状態遷移はおおまかには以下のようになる ※厳密にはもっと分解度が高くて複雑 待機 移動 しゃがみ ジャンプ 攻撃 SP攻撃 防御
12.
ゲームAIの実装(2D対戦格闘ゲーム編) Finite State
Machine(FSM)を使用する →キャラクター動作と状態遷移が一致している 2つの思考タイプで行動を決定 →”思考型”AIと“反射型”AI、2つの思考で行動を決定 AIの行動は定義データで構成 →企画側での制御要望に合わせる為、学習型AIは断念
13.
FSMによる状態遷移で行動 キャラクター操作による状態は確定している →キャラ特性はあるが、基本行動が同じ ユーザビリティの特性により状態遷移が自動である →“攻撃”が完了すると、“待機”に自動的に戻る等
ユーザーとAIの入力を共通化可能 →AIでの行動実行は、ユーザと同じ入力形式で共通化可能 強キック ボタン 強キック コマンド 攻撃状態へ 内容:強キック ユーザー入力 AI入力
14.
2つの思考タイプで行動を確定(1) (1)“思考型”AIによる行動を確定 →ゲームを構成する要素を考慮した中期的に行動を思考する ゲーム中の状況を見て、行動の選択を検討する →相手との体力差、残り時間、勝率におる行動の検討 キャラ毎による行動分岐の導入 →キャラ特性として
“固有の行動”の再現 →相手の状態を見て行動を変化させる ※右図は必殺技を必殺技でカウンターする行動を選択
15.
2つの思考タイプで行動を確定(2) (2)“反射型”AIによる危険度を基準に行動の確定 →自分と相手の状態を比較し、危険度から瞬間的な思考をする “危険度”は共通の基準で思考を行う →短期間に自分に不利益な状況を察知する →逆に相手の攻撃間合いでなければ無反応 やべぇ当たる! 当たらんし平気やな 危険度:高い 危険度:低い
16.
2つの思考タイプで行動を確定(2) (2)“反射型”AIによる危険度を基準に行動の確定 →“反射型”AIが必要とされる状況の一例 ユーザー AI ユーザー
AI 必殺技を発射! 思考型AI: ジャンプで回避! 回避状態・継続 飛び込まれた! どうするか?
17.
2つの思考タイプで行動を確定(2) (2)“反射型”AIによる危険度を基準に行動の確定 →“反射型”AIが必要とされる状況の一例 ユーザー AI 飛び込まれた! どうするか? ユーザー AI 回避状態・継続
18.
2つの思考タイプで行動を確定(2) (2)“反射型”AIによる危険度を基準に行動の確定 →“反射型”AIが必要とされる状況の一例 ユーザー AI 飛び込まれた! どうするか? ユーザー AI 回避状態・継続 ユーザー選択肢 1.攻撃・SP攻撃 2.移動・防御 3.何もしない
19.
2つの思考タイプで行動を確定(2) (2)“反射型”AIによる危険度を基準に行動の確定 →“反射型”AIが必要とされる状況の一例 ユーザー AI 飛び込まれた! どうするか? ユーザー AI 回避状態・継続
回避状態継続中で 次の瞬間の対応が 間に合わない!? ユーザー選択肢 1.攻撃・SP攻撃 2.移動・防御 3.何もしない
20.
2つの思考タイプで行動を確定(2) (2)“反射型”AIによる危険度を基準に行動の確定 →“反射型”AIが必要とされる状況の一例 ユーザー AI 飛び込まれた! どうするか? ユーザー AI 回避状態・継続
回避状態継続中で 次の瞬間の対応が 間に合わない!? このような場合に “反射型”AIで 選択肢が増やせるユーザー選択肢 1.攻撃・SP攻撃 2.移動・防御 3.何もしない
21.
2つの思考タイプで行動を確定(2) (2)“反射型”AIによる危険度を基準に行動の確定 →“反射型”AIが必要とされる状況の一例 ユーザー AI 飛び込まれた! どうするか? ユーザー AI 回避状態・継続 反射型AI:予測 1.空中防御 2.弱キック 3.何もしない ユーザー選択肢 1.攻撃・SP攻撃 2.移動・防御 3.何もしない
22.
2つの思考タイプで行動を確定(3) “思考型”AIと“反射型”AI、プレイヤーの感情に近い →脳内プランニング達成と、プレイヤーの脊髄反射の両面 →変化し続ける状況もある程度対応が可能になる AIが選択するプランニングが行動を反映する →基本は“思考型”、割り込み的に“反射型”AIが動作する →
実際行う行動は後述“AI行動のデータ”化にて解説 “思考型” “反射型” “思考型” “反射型” “反射型” “思考型” “思考型” 時間の流れ
23.
AIの行動はデータで構成(1) “思考型”AI、“反射型”AIの行動は、パックデータ化 →プレイヤー操作のような動きはコマンド・データ化 行動データは全キャラ共通・キャラ固有で用意 Pack1
Pack2 単体も1つ として用意 一連の流れ データにする ・待機状態を維持 ・間合いを詰める ・ダッシュ後にバックステップ ・飛び道具を飛び道具で消す ・攻撃ヒット後に挑発をする ・遠間に牽制の技を出す キャラ共通 キャラ固有
24.
AIの行動はデータで構成(2) “思考型”“反射型”AIが判断する空間情報の作成 ①自分と相手との距離を “レンジ”として認識 ②相手の状態(State)を細かく分解設定する 行動情報
情報粒度 動きの状態(State) 24〜64種類 X軸方向の距離レンジ 12ー24分割 Y軸方向の距離レンジ 5ー6分割 “思考型”“反射型”も自分と相手の 位置関係と状態が判別できるようにする
25.
AIの行動はデータで構成(3) “思考型”“反射型”AIが攻撃回避の予測データ作成 (実機での予測データを自動的に作成する) →デバッグ機能として全自動の攻撃判定を行いデータ化、 データファイルはそのままバイナリィファイルへ変換。 予測データ 情報粒度 攻撃ヒットの予測
計算済みデータで保持 飛び道具ヒットの予 測 リアルタイムで計算 投げ技の間合い 計算済みデータで保持 実機の結果 をデータ化 レンジ毎に データ化
26.
AIの行動はデータで構成(4) “思考型”“反射型”AIの行動データを企画側が定義 →“思考型”AIが行動実行する為の“パックデータ”を設定する 定義1 定義2
定義3 定義4 Pack3 0 Pack1 2 Pack22 Pack44 定義1 定義2 定義3 定義4 Pack5 2 Pack5 3 Pack62 Pack63 定義1 定義2 定義3 定義4 Pack1 0 Pack1 8 Pack9 Pack4
27.
思考するAIの全体図 データ予測・キャラ特性を踏まえた“思考型”を中心に 行動し、“反射型”AIが判断の曖昧さを解消 “思考型” “反射型” 予測データ ユーザー
AI 空間情報 行動データ Pack Pack 行動データ Pack Pack レンジ HP 時間 ゲーム進 行 難易度攻撃範囲 キャラスペック パラメータ ヒットフレーム
28.
2D対戦格闘のゲームAI・まとめ “思考型”“反射型”AIは企画が制御可能な仕様になった → “思考型”AIの挙動を理解し、データで調整可能
“勝つAI”にする為にユーザ操作まで到達せず →キャラによってはBOT的であるという意見も AIというシステムの構築を楽しめた →学習思考を導入で改善できた事も多く、反省点が多かった →回避したかった状況や、遊びの幅を広げられなかった等々
29.
3DアクションRPGのゲームAI
30.
3DアクションRPGとは? 3DアクションRPGゲームとは? アクションゲームの一種でプレイヤーが操作するキャラクターが 高さ・奥行きのある立体的なマップ(レベル)を自由に動きまわり、 遭遇する敵を倒したり、マップのギミックを解き明かすゲーム。 探索&成長要素のあるアクションゲーム 代表タイトル ゼルダの伝説シリーズ、Demon’s
Soulシリーズ、 アサシンズクリードシリーズ等
31.
事例紹介(タイトル) タイトル“C”(PS2/2002) フィールド系アクションRPG プレイヤーは地上を自由に駆けまわり、 両手に別々の装備と攻撃が可能。 また乗り物にまたがり、空と海にも行ける
エネミー24種類(色違いなし) →開発期間約4ヶ月
32.
実装目標と企画側の要望 実装目標 広く高低差のあるフィールド空間(水中・空中含む)で、 PvEを実現するエネミーを実装すること 企画側の目標 ・某伝説64みたいな遊ぶをさせたい ・エネミー種類が多く、それらを組み合わせたい ・プレイヤーは違う種類の両手それぞれの装備に対応したい
それなりに難易度の高い要望…
33.
ゲームAIの実装(3D-ARPG編) カテゴリ別の状態遷移で設計 →共通となるベース状態に“地上”“空中”“水中”ごとで変化 戦闘エリア内の特殊地形対応 →AIに必要な情報は、レベルエディタで埋め込み・作成する
AIは2つ用意して役割分担 →“思考型AI”に加えてもう1つ用意。詳細は後ほど
34.
カテゴリ別の思考パターン カテゴリ別の状態遷移で設計 →状態遷移は共通化 各状態内での遷移の内容が変化 ダメージ 移動攻撃 待機 ダメージ 移動 ジャンプ 攻撃 防御 待機 ダメージ 飛行移動攻撃 待機 地上
空中 空中へ移動 基本
35.
戦闘エリア内の特殊地形対応(1) こんな感じ地形が各所にある →水中と地上同居、円形な地形も
36.
戦闘エリア内の特殊地形対応(2) 立体交差アリ、地形内別エリアが存在 →右図のような感じ コリジョン検索の手法で対処したいが レベル配置OBJのあって不可能
レベルエディタには配置情報があるので コリジョン+OBJのデータをエリア情報 として取り込む ※右図は上側エリアの俯瞰図 床 壁 水 床 床 壁 壁 天井 戦闘エリア 床水 エリアの境界 OBJの参照IDや 物体の大きさも含める
37.
AIは2つ用意して役割分担(1) 当初は“思考型”AIのみで進めていた →カテゴリごとに機能分離し、単体での挙動は問題はなかった 実際に戦闘エリアに配置して動かすと問題が… →同時攻撃や連携はあまり上手ではなく、処理も重い
配置や組み合わせだけでは対応できないとクレーム →企画からAI同士の連携や処理速度改善が来た →自分でもプレイ、動きには問題ないが違和感がある 何故こうなったか?を企画と一緒に分析
38.
“思考型AI”単体での問題点 共通ロジックがパフォーマンスを低下させた →エネミーが共通情報を独自に集めるx配置数(これが重い) 各AI同士を連携手続きの難易度が高い →連携時に互いに参照する情報が多くなる傾向があった
プレイヤーを任意で攻撃し、頭の悪いBOTに見える →3体以上が同時攻撃とか印象が悪く、見た目もよくない 他のエネミー担当と相談し、機能分散した別AIを用意 →“司令型AI”というものを作ろう、ということに
39.
“司令型AI”とは? “司令型AI”とは? ・パフォーマンス改善の為、共通処理を代行 ・AI間の情報伝達や意思疎通のパイプ役 ・ゲーム画面に表示なし、戦闘エリアごとに存在 各AIの状態を報告、行動の調整を行う →一斉攻撃する敵の数を調整 →移動先衝突、団子状態を回避す
ex)プレイヤーの装備変更の通知 →状態遷移に影響する情報をエネミーに通知 司令型AI 思考型AI 思考型AI 思考型AI 自分の状態や 連携状況を報告 司令型AI プレイヤー情報、 共通処理の代行、 AI連携の確認と指示
40.
AIは2つ用意して役割分担(2) 各状態ごと処理が簡潔に →プレイヤー状態変化した時に1回で十分 →AIが知りたい情報は“司令型”AIに問い合わせるだけで済む エリア内でのAI同士の連携・調停が簡単に →地上・空中のAIがどの順番に攻撃・回避する →一度に何体まで同時に攻撃可能
状態内の行動が個性的になった ex)プレイヤー装備によっては逃げまわる ex)仲間が攻撃している時に専用モーションを再生 あれ?AIがプレイヤーの脅威じゃなくない? 司令型AI 思考型AI 思考型AI 司令型AI プレイヤー 連携の同期や タイミング指示 調停済みで 実行するだけ
41.
“勝つ必要ないAI”について 相手に勝つ必要がない=“おもてなしAI” →気持よく倒されるエネミーである →プレイヤーがミスすると、ダメージになる エネミー行動表現の補助、特徴を活かすAIづくり →”思考型AI“は個々行動を上手く表現 →”司令型AI“は戦闘中のAIの立ち回りや緩急づけ
AIとして未熟な部分も課題に →“司令型”と“思考型”遷移の調整が難しかった →カメラ外から攻撃を抑制が難しい等の課題
42.
3D ARPGゲームのAI・まとめ 今回紹介した”司令型AI“は他プロジェクトでも活躍 →パフォーマンスや情報管理手法は流用しやすかった
立体交差のある3DゲームのAIは大変勉強になった →後にも先にも、このプロジェクトだけだった 課題として思考の分散、学習を検討する契機になった →学習思考を導入で改善できた事も多く、反省点が多かった →回避したかった状況や、遊びの幅を広げられなかった等々
43.
今回のまとめ 比較のため2つの開発タイトルのAIを紹介 →“ユーザーに勝つためのAI”、“勝たないAI” 企画意図を反映し、調整可能なAI制作は面白い →最近の技術を取り込めば、もっとシンプルにできそう
皆さんが”AI”づくりの足掛かりになれば幸いです →”AI“って何種類か作り方がわかり、敷居が低くなる筈…
Editor's Notes
#5
まず最初に、ユーザビリティについてお話します
#6
・
#7
※おさらい ・AIとは? 人工的にコンピュータ上などで人間と同様の知能を実現させようという試み、或いはそのための一連の基礎技術 ゲームAI ・
#8
まず最初に、ユーザビリティについてお話します
#9
と、その前に2D格闘ゲームについて簡単に説明しておきたいと思います。
#10
・
#11
キャラクターで勝つ
#13
・
#14
・
#15
・
#16
・
#17
・
#18
・
#19
・
#20
・
#21
・
#22
・
#23
・
#24
・
#25
・
#26
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#27
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まず最初に、ユーザビリティについてお話します
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と、その前に2D格闘ゲームについて簡単に説明しておきたいと思います。
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