経営分析論Ⅱ⑧ 
損益分岐点分析 
ケーススタディ:テーマパーク産業
テーマパーク産業の経営の特徴とは? 
• VTR「カンブリア宮殿」ハウステンボスの特集を見て,経営の特徴を 
整理してみよう。 
経営不振に陥った理由内 容 
アトラクションが少なく, 
リピーターが少ない 
目標来場者数を達成できず, 
借金返済が主に 
資金難から施設の老朽化が 
続出 
滞在型リゾートのため,アトラクションがほとんどない。 
そのためリピーターを呼び込めなかった。 
収益源となる入場料が得られず,客単価が下がり続ける。 
その結果,借入金(元金)や金利の支払いが滞る。 
資金難のため,新規の設備投資が困難に。 
施設の老朽化が進み,テーマパークとしての魅力が低下 
再建策内 容 
固定資産税の免除 
積極投資でアトラクション・ 
イベントを増加 
異業種の力を使う 
土地・施設を保有することでかかる負担の軽減 
日本初,世界一をキーワードに来場者を増やす 
→リピーターを増やす工夫をする。(例)ワンピース 
施設内に英会話学校やベンチャー企業のための施設を 
設置するなど,観光に偏らない施設運営
テーマパーク産業の経営の特徴とは? 
• ハウステンボス苦難の歴史 
1992年:開園(設備投資額:2,200億円 USJ 1,700億円,TDL 1,800億円) 
1996年:年間入場者数のピーク(380万人) 
    宿泊者数 56万人,売上高 497億円 
    →以後,毎年5~10%の減少 
2002年:入場者数 280万人,宿泊者数 48万人,売上高 280億円 
    →2003年2月に会社更生法申請。 
     野村プリンシパルによる経営再建へ。 
2003年:入場者数 215万人,宿泊者数 35万人,売上高 195億円 
• 余談として… 
投資額2,200億円を20年間,定額法で減価償却したとすると… 
毎年 99億円は減価償却費として計上される。 
→ 客単価9,000円だとすると,110万人分は減価償却費の回収で終わる。
テーマパーク産業の経営の特徴とは? 
• テーマパーク経営の難しさ 
① コンセプトをどう伝えるか? 
 「滞在型リゾート」を標榜しているけれども,「何をして過ごすか」は 
  ほとんど伝わっていない。 
② 莫大な固定コストをどう賄うか? 
 ハウステンボスでは膨大な固定コストを入場料としてお客さんに負担 
 して貰わざるをえない。 
 初期投資が膨大で固定費もかかるから,創業以来赤字続き。 
 コスト削減のためにできることは全てやった。これ以上減らすと, 
 サービスの質が落ちる。 
• 2010年3月:旅行会社HISの澤田秀雄氏が社長に就任 
全額減資のうえ,新たに30億円の増資を実施。
テーマパーク産業の経営の特徴とは? 
• ハウステンボスの業績推移 
20,000% 
15,000% 
10,000% 
5,000% 
0% 
!5,000% 
HIS支援前HIS支援後 
2007 2008 2009 2010 2011 2012 
	  
 
初の黒字達成 
コスト削減の効果 
※ 各年3月末を決算とする。 
※ 2011年以降は変則的に半年ごとの決算の合算で算出している。
テーマパーク産業の経営の特徴とは? 
15,000.00# 
HIS支援前HIS支援後 
12,000.00# 
9,000.00# 
6,000.00# 
2012年 
客単価は戻っ3,000.00# 
たが,入場者数は回復せず 
0.00# 
• ハウステンボスの入場者数と客単価推移 
2,500,000# 
2,000,000# 
1,500,000# 
1,000,000# 
500,000# 
0# 
2007 2008 2009 2010 2011 2012
初の黒字達成 
コスト削減の効果 
※ 各年3月末を決算とする。 
※ 2011年以降は変則的に半年ごとの決算の合算で算出している。
テーマパーク産業の経営の特徴とは? 
• ハウステンボス再建への道程 
2011年12月2日 日本経済新聞 地方経済面から 
初の営業黒字(10億円),通期の黒字達成は1992年の開業以来初めて。 
入場者数は180万人。前期比17%増,客単価 7,400億円で27%増。 
2011年4月20日 日本経済新聞 地方経済面から 
澤田社長「150万人の入場者で黒字になる体質を作ってきた。」 
    「入場者数よりも客単価を上げて利益を確保することを 
     優先した。」 
2011年4月6日 日本経済新聞 地方経済面から 
新装開業にあわせて入場料を約2割値下げ。 
リピーターの獲得を狙う。 
同時にコストカット。「経費を2割削減,仕事のスピードを2割増し」 
有料エリアに新規投資
テーマパーク産業の優良児 OLC 
• 沿革 
1960年:千葉県浦安沖の海面を埋め立て,商業地・住宅地の開発と 
    大規模レジャー施設の建設を行うために設立。 
1975年:浦安沖の海面埋め立て造成工事終了 
1983年:「東京ディズニーランド」開園 
2001年:「東京ディズニーシー」開園。 
    「東京ディズニーリゾート(TDR)」完成。 
    その他,モノレール,ホテル,ショッピングモールの運営 
• 新聞記事を読んで,OLCの経営について整理してみよう。 
ポイント 
テーマパーク産業の特徴 
入場者数の維持・増加の 
ための方策 
ハウステンボスとの相違点 
1つの施設に相当の投資額(約100億円)が必要 
固定費の比率が高く,入場者数が減ると赤字に陥る。 
適度なタイミングで新しくアトラクションを投入し, 
それを目玉に人の流れを変えて,飽きられないようにする。 
HTBは初期投資を回収できないまま,入場者数が伸びずに 
破綻した。TDRは定期的に投資を実施。
テーマパーク産業の優良児 OLC 
• 入場者数の推移 
30,000,000 
25,000,000 
20,000,000 
15,000,000 
10,000,000 
5,000,000 
0 
TDS開園・TDR完成 
オープン後初の通年営業 
バブル経済期に年々増加 
1983 
1984 
1985 
1986 
1987 
1988 
1989 
1990 
1991 
1992 
1993 
1994 
1995 
1996 
1997 
1998 
1999 
2000 
2001 
2002 
2003 
2004 
2005 
2006 
2007 
2008 
2009 
2010 
2011
テーマパーク産業の優良児 OLC 
• 毎年実施される莫大な設備投資 
2007年3月期の約550億円をピークとし,毎年200億円程度の投資を継続 
• 多額の減価償却費の計上 
毎年400億円-500億円近い減価償却費を計上 
→ 膨大な固定費負担だが,同時に投資を実施

2014経営分析論Ⅱ⑧

  • 1.
  • 2.
    テーマパーク産業の経営の特徴とは? • VTR「カンブリア宮殿」ハウステンボスの特集を見て,経営の特徴を 整理してみよう。 経営不振に陥った理由内 容 アトラクションが少なく, リピーターが少ない 目標来場者数を達成できず, 借金返済が主に 資金難から施設の老朽化が 続出 滞在型リゾートのため,アトラクションがほとんどない。 そのためリピーターを呼び込めなかった。 収益源となる入場料が得られず,客単価が下がり続ける。 その結果,借入金(元金)や金利の支払いが滞る。 資金難のため,新規の設備投資が困難に。 施設の老朽化が進み,テーマパークとしての魅力が低下 再建策内 容 固定資産税の免除 積極投資でアトラクション・ イベントを増加 異業種の力を使う 土地・施設を保有することでかかる負担の軽減 日本初,世界一をキーワードに来場者を増やす →リピーターを増やす工夫をする。(例)ワンピース 施設内に英会話学校やベンチャー企業のための施設を 設置するなど,観光に偏らない施設運営
  • 3.
    テーマパーク産業の経営の特徴とは? • ハウステンボス苦難の歴史 1992年:開園(設備投資額:2,200億円 USJ 1,700億円,TDL 1,800億円) 1996年:年間入場者数のピーク(380万人)     宿泊者数 56万人,売上高 497億円     →以後,毎年5~10%の減少 2002年:入場者数 280万人,宿泊者数 48万人,売上高 280億円     →2003年2月に会社更生法申請。      野村プリンシパルによる経営再建へ。 2003年:入場者数 215万人,宿泊者数 35万人,売上高 195億円 • 余談として… 投資額2,200億円を20年間,定額法で減価償却したとすると… 毎年 99億円は減価償却費として計上される。 → 客単価9,000円だとすると,110万人分は減価償却費の回収で終わる。
  • 4.
    テーマパーク産業の経営の特徴とは? • テーマパーク経営の難しさ ① コンセプトをどう伝えるか?  「滞在型リゾート」を標榜しているけれども,「何をして過ごすか」は   ほとんど伝わっていない。 ② 莫大な固定コストをどう賄うか?  ハウステンボスでは膨大な固定コストを入場料としてお客さんに負担  して貰わざるをえない。  初期投資が膨大で固定費もかかるから,創業以来赤字続き。  コスト削減のためにできることは全てやった。これ以上減らすと,  サービスの質が落ちる。 • 2010年3月:旅行会社HISの澤田秀雄氏が社長に就任 全額減資のうえ,新たに30億円の増資を実施。
  • 5.
    テーマパーク産業の経営の特徴とは? • ハウステンボスの業績推移 20,000% 15,000% 10,000% 5,000% 0% !5,000% HIS支援前HIS支援後 2007 2008 2009 2010 2011 2012 初の黒字達成 コスト削減の効果 ※ 各年3月末を決算とする。 ※ 2011年以降は変則的に半年ごとの決算の合算で算出している。
  • 6.
    テーマパーク産業の経営の特徴とは? 15,000.00# HIS支援前HIS支援後 12,000.00# 9,000.00# 6,000.00# 2012年 客単価は戻っ3,000.00# たが,入場者数は回復せず 0.00# • ハウステンボスの入場者数と客単価推移 2,500,000# 2,000,000# 1,500,000# 1,000,000# 500,000# 0# 2007 2008 2009 2010 2011 2012
  • 7.
    初の黒字達成 コスト削減の効果 ※各年3月末を決算とする。 ※ 2011年以降は変則的に半年ごとの決算の合算で算出している。
  • 8.
    テーマパーク産業の経営の特徴とは? • ハウステンボス再建への道程 2011年12月2日 日本経済新聞 地方経済面から 初の営業黒字(10億円),通期の黒字達成は1992年の開業以来初めて。 入場者数は180万人。前期比17%増,客単価 7,400億円で27%増。 2011年4月20日 日本経済新聞 地方経済面から 澤田社長「150万人の入場者で黒字になる体質を作ってきた。」     「入場者数よりも客単価を上げて利益を確保することを      優先した。」 2011年4月6日 日本経済新聞 地方経済面から 新装開業にあわせて入場料を約2割値下げ。 リピーターの獲得を狙う。 同時にコストカット。「経費を2割削減,仕事のスピードを2割増し」 有料エリアに新規投資
  • 9.
    テーマパーク産業の優良児 OLC •沿革 1960年:千葉県浦安沖の海面を埋め立て,商業地・住宅地の開発と     大規模レジャー施設の建設を行うために設立。 1975年:浦安沖の海面埋め立て造成工事終了 1983年:「東京ディズニーランド」開園 2001年:「東京ディズニーシー」開園。     「東京ディズニーリゾート(TDR)」完成。     その他,モノレール,ホテル,ショッピングモールの運営 • 新聞記事を読んで,OLCの経営について整理してみよう。 ポイント テーマパーク産業の特徴 入場者数の維持・増加の ための方策 ハウステンボスとの相違点 1つの施設に相当の投資額(約100億円)が必要 固定費の比率が高く,入場者数が減ると赤字に陥る。 適度なタイミングで新しくアトラクションを投入し, それを目玉に人の流れを変えて,飽きられないようにする。 HTBは初期投資を回収できないまま,入場者数が伸びずに 破綻した。TDRは定期的に投資を実施。
  • 10.
    テーマパーク産業の優良児 OLC •入場者数の推移 30,000,000 25,000,000 20,000,000 15,000,000 10,000,000 5,000,000 0 TDS開園・TDR完成 オープン後初の通年営業 バブル経済期に年々増加 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
  • 11.
    テーマパーク産業の優良児 OLC •毎年実施される莫大な設備投資 2007年3月期の約550億円をピークとし,毎年200億円程度の投資を継続 • 多額の減価償却費の計上 毎年400億円-500億円近い減価償却費を計上 → 膨大な固定費負担だが,同時に投資を実施