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イメージ操作シンボル

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イメージ操作シンボル

  1. 1. インターフェイス再考:アラン・ケイ「イメージを操作して シンボルを作る」は何を意味するのか 水野勝仁:名古屋大学大学院情報科学研究科博士後期課程 日本社会情報学会第13回研究大会
  2. 2. 発表の流れ■ インターフェイスの価値 ‣ 東浩紀とシェリー・タークル■ 身体的,視覚的,記号的 ‣ アラン・ケイ「イメージを操作してシンボルを作る」 - イメージのあいまいさを行為によって局所的に限定すること■ コードを前提としないコミュニケーション理論 ‣ D. スペルベル& D. ウイルソン『関連性理論』 - 推論モデルによるコミュニケーションの理解➡ 「イメージを操作する」ことの可能性
  3. 3. インターフェイスの価値■ シミュレーションの文化へ移行しつつある ‣ 現実を代理するもので現実を置き換えることにより,居心地のよさを感じるよう になる ‣ こうしたオブジェクトと私との関係では,非現実性といった感覚は感じられな い.シミュレーションの文化のおかげで,私は画面上に見えるもの (インタ) フェース・バリュー でとらえるようになったのである. シェリー・タークル(1995=1998)『接続された心』■ 1984年マッキントッシュ発売 ‣ 表面的なビジュアル表示のレベルに留まる - ユーザの興味を引く画面構成 • ユーザが画面上を自由に動き回る
  4. 4. インターフェイス的主体■ スクリーンの背後に関心がない ‣ インターフェイス的主体は仮想現実を一方で(目で)虚構だと知りつつも,他方で (言葉で)現実だと信じる 東浩紀(1998)「サイバースペースは何故スペースと呼ばれるのか」■ インターフェイス的主体の起源 ‣ 1973年パロアルト研究所 Alto - アラン・ケイらによるオブジェクト指向型プログラミング言語 Smalltalk • GUI 環境の実装 ‣ アラン・ケイのスローガン - イメージを操作してシンボルを作る[Doing with Images makes Symbols] アラン・ケイ(1990=2002)「ユーザーインターフェース:個人的見解」
  5. 5. 新たな表面の概念と記号様態■ イメージによってシンボルを操作すること ‣ GUI の開発者たちはむしろ,見えるものと見えないものとが区別されないスクリー ン,イメージもシンボルもその操作的な効果でしかない「エクリチュール」に満た された,新たな表面の概念から出発しているように見える. 東浩紀(1998)「サイバースペー スは何故スペースと呼ばれるのか」■ 記号のレベルにおけるラディカルな変容 ‣ ポストモダン以前,いわゆる近代においては,記号はイメージとシンボルに分割さ れていた.対してポストモダン化した私たちの世界においては,その分割は崩れ, 世界はイメージでもシンボルでもない新たな記号様態,エクリチュールあるいは 「不気味なもの」の群に満たされている. 東浩紀(1998)「サイバースペー スは何故スペースと呼ばれるのか」➡ 新たな表面と記号様態の中で,どのような「操作」が行われているのかということに 関しては,言及されていない
  6. 6. ブリコラージュの再評価シミュレーション文化の中でブリコラージュを再評価することは,視覚化や,ヴァーチャル・オブジェクトを操作して直観を発達させることを,新たに重要視することでもある.あらかじめ規定されたルール一式に沿っていかねばならないのではなく,コンピュータ・ユーザーはどんどんシミュレートされたマイクロワールドをいじくりまわせばよい.そうするうちに,マイクロワールドとインタラクトしながら,ユーザーは何がどう働くのかを覚える. シェリー・タークル(1995=1998)『接続された心』■ ブリコラージュ:ルールに沿うのではなく,いじくりまわすこと ‣ ヴァーチャル・オブジェクト=アイコン=イメージ - 具体的で同時に潜在的ないくつもの関係の集合を代表する操作媒体➡ 「いじくりまわすこと」の成立を「新たな表面の概念」の成立の根拠として考える ‣ 「なぜ」いじくりまわすことが成立するのか?  「なにで」いじくりまわすのか?  「どのように」いじくりまわすのか?
  7. 7. パーソナル・ダイナミック・メディア■ The media is the message ‣ メディアこそが,ほかならぬメッセージである - ケイ,ゴールドバーグ「パーソナル・ダイナミック・メディア」 ‣ コミュニケーション・メディアを理解する上で最も重要な点 - メッセージを受けとることは,メッセージを復元することである • メディアを内在化しなければならない ➡ コンピュータが能動的であるならば,私たちも能動的にならなければならない ‣ メタメディア - コンピュータは,他のいかなるメディアにもなりうる
  8. 8. 身体的,視覚的,記号的■ 状況を見ているときと,見えていないときで変わる推論のプロセス ‣ ブルーナーの水を注ぐ実験 - 見えている状況を変化させることで異なる推論を導いてしまう - 私たちの精神は複数の,分割された異なる性質を持つ精神から成り立って いるように見える.それらは異なった推論を行い,異なった技能を持ち, しばしば矛盾する. アラン・ケイ(1990=2002)「ユーザーインターフェース:個人的見解」■ 3つの精神作用とインターフェイス・デザイン ‣ どの精神(身体的,視覚的,記号的)も単独では思考と問題解決の全範囲に完 全な答を提供することはできないことに気づくのがまず第一歩である.ユー ザ・インターフェイスの設計は,少なくともブルーナーが螺旋形のカリキュラム のアイデアで行った程度に統合されているべきなのである. アラン・ケイ(1990=2002)「ユーザーインターフェース:個人的見解」
  9. 9. イメージを操作してシンボルを作る[Doing with Images makes Symbols]■ イメージを ‣ アイコン,ウィンドウ/視覚的/認識し,比較し,形をつくり,具体化する■ 操作して ‣ マウス      /身体的/自分がどこにいるかを知る,操作する■ シンボルを作る ‣ Smalltalk    /記号的/長い推論のチェインをつなげる,抽象化する この標語にはブルーナーが行ったように,具体的な「イメージを操作する」という ところから始まり,そしてもっと抽象的な「シンボルを作る」というところへつな がるという意味がある. アラン・ケイ(1990=2002)「ユーザーインターフェース:個人的見解」
  10. 10. イメージとコミュニケーション■ アイコンの特徴 ‣ 知らせるものとしてのはっきりとした効率性 - 事実とプロセスを覚える必要がない ‣ 巣を作る鳥のような前後の関係 - イメージ間の結合は,正しく解釈されないことが多い - モードがなく文脈の自由さを大きな特徴とする領域の中にどのように文脈 を持ち込むか■ アイコン化コミュニケーションの難題 ‣ 活発に組み立てられているイメージがいかにわかりやすいかという点と,自分が 組み立てたものでもそれがいかにあいまいかという点の間に,なぜこれほどの 相違があるのか. アラン・ケイ(1990=2002)「ユーザーインターフェース:個人的見解」
  11. 11. ケイの成功と挫折■ イメージの直観的利用 ‣ オーバーラップ・ウィンドウ・システム■ 記号的思考をアイコンでするという強すぎる誘惑 ‣ イメージのあいまいさをつないでいくことの難しさ だれもアイコン化言語の良いものを設計することができなかったからと言って,「ア イコン化言語は使いものにならない」と言うのは適当ではない.しかし上記の説明は 真実に近い. アラン・ケイ(1990=2002)「ユーザーインターフェース:個人的見解」■ アイコン化言語は良いものを設計できなかったが,GUI は成功したことの意味 ‣ イメージをつなげて単一のシンボルを生じさせることは難しいが,そのあいまいさ を行為によって局所的に限定することはできる - あいまいさを受け入れるコミュニケーションの考え方
  12. 12. コードを前提としないコミュニケーション理論■ 関連性理論 ‣ 関連性理論の中枢をなす主張は,あらゆる発話に対して唯一の意図された解釈を自 動的に生成するような機械的な手順はないということである.その代わりに,聞き 手には可能な解釈を生成する手順の集合体と,いったん意図された解釈が生成され ると,それを認識するための規準が備わっている.換言すると,意図された解釈と は,コード解読されるのではなく,本書が記述しようとしている仮説形成と評価の 過程を経て推論されるのである. D. スペルベル&D. ウイルソン (1986,1995=1993,1999)『関連性理論:伝達と認知』 ‣ コードモデル:メッセージのコード化とコード解読 ‣ 推論モデル:証拠の提示と解釈■ 推論モデルに基づくコミュニケーション ‣ コミュニケーションは程度の問題 - 強い形態のコミュニケーション,弱い形態のコミュニケーション
  13. 13. 最適な関連性■ 認知環境と相互認知環境 ‣ 認知環境:その人にとって顕在的である事実の集合体=物理的環境と認知能力の関数 ‣ 相互認知環境:誰がそれを共有するかということが顕在的な共有された認知環境■ 意図明示行為 ‣ 意図明示:何かを顕在化しようとする意図を顕在化する行為 - 知覚可能な行為は,すべて無限の想定を顕在化する■ 最適な関連性の見込み ‣ 意図明示的刺激は受け手がそれを処理する労力に見合うだけの関連性がある ‣ 意図明示的刺激は伝達者の能力と優先事項に合致する最も関連性のあるものである D. スペルベル&D. ウイルソン(1986,1995=1993,1999)『関連性理論:伝達と認知』
  14. 14. 理解のための文脈■ 文脈 ‣ 心理的な構成概念で,世界についての聞き手の想定の部分集合をなす - 世界の実態よりもむしろ,この想定こそが発話解釈に影響を与える ‣ ある一定範囲の可能な文脈の選択 - 内的情報供給源と物理的環境から得られる情報によって行われる ‣ 特定文脈の選択決定 - 関連性を追求することになされる 心は自分自身の内的情報供給源を含めて,利用可能なあらゆる情報源から初発文脈で 最大の関連性をもつ情報,即ち,最小の処理労力で最大の文脈効果をもつ情報を選び だそうとするはずである. D. スペルベル&D. ウイルソン(1986,1995=1993,1999)『関連性理論:伝達と認知』
  15. 15. 最適な関連性を求めたイメージの配置と私たちの行為■ デスクトップ・メタファー ‣ 現実のオフィス空間との類似 - それだけでは,イメージはあいまいなままである • イメージのあいまいさを限定するものが必要 ゴミ箱がゴミ箱に見えるためには,いらなくなったものをそこに持っていったとき に,パシュッと消える場所であることを繰り返し体験させる必要がある.その出来 事によって初めてゴミ箱が出現するのです. 藤幡正樹(2007)「不完全さの克服:イメージと メディアによって創り出される,新たな現実感」■ 「そこへ持っていく」という行為 ‣ イメージに行為を介在させることで生じる限定された推論 - その繰り返しから,ある規準を備えた認知環境が生まれる
  16. 16. 「これ」「ここ」による文脈の拡張発話の解釈のために聞き手が周囲の環境に関する情報を選び,そして,それを文脈に加える必要があるときに特にこのようなことが起こる.例えば,メアリーが子牛の肉を一枚手に持って,ピーターに次のよう言うと仮定しよう.(40)もし疲れているんだったら,私がこれを料理するわ.ピーターはメアリーが手にしているものの説明を何か文脈に加えなくてはならないだろう.(中略)「これ」のような直示的代名詞が環境情報を文脈に加えることを示唆する. D. スペルベル&D. ウイルソン■ 「これ」「ここ」は行為を伴う (1986,1995=1993,1999)『関連性理論:伝達と認知』 ‣ マウスで,画面上のイメージを指さすという行為 - Doing:マウス+カーソル: 自分がどこにいるかを知る,操作する ➡ 私たちが画面上の「ここ」にいることを示し,「これ」を操作するカーソルと いうイメージ ➡ コンピュータは「これ」と,カーソルによって指示されたアイコンに基づき, 画面上のイメージを変化させる
  17. 17. 「イメージを操作してシンボルを作る」が意味すること■ 「これ」「ここ」によるコミュニケーション ‣ 私たちの行為:マウスでカーソル[→]を動かし画面上を「これ」「ここ」と指示する ‣ コンピュータの行為:私たちに推論を形作らせるようにイメージを提示し,私たち           の行為に同期して,イメージを変化させる ‣ 私たちの行為:イメージに基づき新たな推論を行い,マウスでカーソルを動かす■ 「イメージを操作する」ことの可能性 ‣ 関連性が最大になるようにイメージを画面上に配置 ‣ 「ここ」「これ」という行為を伴う指示によって文脈を拡張する ➡ イメージに私たちの行為を結びつけることで推論を生み出すシステム ➡ イメージのあいまいさを行為で局所的に限定して,私たちに推論を促す認知環 境を作り出すこと

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