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2012年3月19日 第59回日本生態学会大会(龍谷大学瀬田キャンパス)

自由集会 W-25:
東北地方沿岸域の植生の現状と修復、回復にむけて




  仙台湾岸を事例とした砂浜海岸の植生:
  南北・東西環境軸に沿った整理


         平吹喜彦 (東北学院大学・教養学部)
4つのトピック
1) 2011年3月11日とその後1年
   多くのこと・ものが激変し、難題が突きつけられた

2) 東北中部太平洋側の植生帯構造
   植生地理学的アプローチ: 中間温帯(temperate ecotone)
   コリドーとして機能する?低海抜域の森林
   多様な立地・人為(破壊・植栽)が、植生の多様さ・複雑さを増幅

3) 仙台湾岸域の植生構造
  景観生態学的アプローチ: 砂浜海岸エコトーンと沖積平野
  大津波被災地全体を見渡す、統合的・学際的な視点の必要性
  「生き延びた生き物と自律的再生の実態」発信を!

4) 未来志向の復興支援に繋げたい!
  地域の自然・社会特性、学術成果に根ざした「未来志向の復興」
   支援に向けて、どんな発想、しくみ、行動が必要なのだろう?
1) 2011年3月11日とその後1年
         本震(M9.0)に伴う地殻変動
水平方向                     上下方向




           最大                                最大
           5.3m                              1.2m



                  (国土交通省国土地理院(2011)を, 斎藤ほか(2012)より引用)
多くのこと・ものが激変し、難題が突きつけられた




                 (http://www.google.co.jp/, 2011)
うるわしい東北の自然・人・文化
2) 東北中部太平洋側の
植生帯構造
植生地理学的アプローチ
1) 日本列島スケール
                                  落葉広葉樹林帯
東北地方中部・太平洋側の
 低海抜域
森林植生が対象


原植生は、「温帯性の針葉/広                       常緑広葉樹林帯
 葉・常緑/落葉性の樹種・植物                      (照葉樹林帯)
 が混交する多様な植分」の複
 合体=中間温帯(temperate
 ecotone)
                     (姉崎, 2000)
多様性に満ちた中間温帯林




  カシ類・カヤ・ケヤキが優勢         モミ・カシ類が優勢




イヌブナ・シデ類・カエデ類が優勢   微地形に応じた植物のすみ分け
山田町船越荒神社の森

タブノキやモミ、ブナの大木が混交する
林分が、浅土・半島先端部の海抜10m
付近から存在
推移帯: 「照葉樹林帯・主要種」に着目した場合


         コナラ、クリ
途中相の樹種                   極相の樹種



                                          タブノキ
                  イヌシデ
                                          ウラジロガシ
                                          アカガシ
                                          アラカシ




                                 (大澤, 1977)
推移帯: 「落葉広葉樹林帯・群落組成」に着目した場合




                      (福嶋, 2007)
推移帯: 「植物区系・遺伝子組成」に着目した場合
森・フロラの起源は?




                      (小林・倉本, 2006)
地形・表層地質のあり方

回廊的な地形                  北
                        上
              台地・扇状地    山
   丘陵地・山地               地




         仙台湾に沿った砂浜
          海岸・沖積平野


             沖積平野


                   太 平 洋
         阿
         武
火山噴出物堆積地 隈
         山
         地

        「日本の自然 地域編2 東北」(1997)
気候のあり方               最深積雪深



気候の背腹性




                                          吉良のWI
                             25cm




                                      90℃・月
    1992年2月 気象衛星ひまわり
    の画像 (境田・田村, 1997)     (原正利, 私信)
植生地理学的アプローチ
2) カシ類の分布

宮城県~岩手県南部太平洋岸域
中間温帯を指標する常緑極相種
 のカシ類4種とモミ
落葉期にロードサイドセンサス
                          コリドーとして機能していた?海岸域植生
カシ類は、
(1) 仙台湾岸域の砂浜堤~丘陵
  脚部間で自生状態
(2) 立地・気候・人為の影響を受け
  て、小域ごとに多様な小集団・
  群落を形成
(3) 社寺や祠、旧家と結びついて、
   自生域北方に分布+種子繁殖
             (平吹, 1990)
暖地性常緑広葉樹にとって苛酷な冬季の低温・乾燥
         シラカシ生葉の冬季の変化




葉縁部から枯死した緑葉 (3月上旬)
                     多くの生葉が枯死・脱落した
                     北西側の樹冠部(3月下旬)
常緑(針葉)樹の樹冠下で生長する暖地性常緑広葉樹




                  鳥散布+耐陰性植物




 暖地性常緑広葉樹が生育するための前提条件(供給源・
      散布者・セーフサイト・・・・)の存在
3) 仙台湾岸域の植生構造
景観生態学的アプローチ
1) 砂浜海岸エコトーンと
  沖積平野田園領域
砂浜海岸エコトーン
浅海・汀線~沖積平野東端の
 幅1.5kmほどの領域
砂浜・潟湖・湿原・海岸林といっ                       平野・台地・丘陵地/
 た多様な生態系の複合域                          市街地・住宅地         海域


沖積平野田園領域                                      砂浜海岸
幅数kmほどの低平な領域                 丘陵地/森林
                                       平野/
水田が卓越+屋敷林を伴う小                          水田
 集落が散在
                                                     10 km
      2001年9月24日撮影のLandsat
      ETM+画像(原慶太郎, 私信).                   河川・潟湖
仙台市東部の砂浜海岸・沖積平野の微地形




 台地・丘陵地                   潟 湖



             沖積平野


                    海 岸

             河 川




(松本, 1994)
(Google earth, 2011)

     仙 台 平 野




                                              a
多様な立地・生物・生態系、多彩な人間活動・インフラが
織りなす「モザイク+入れ子構造」が顕著な植生領域
      農耕地(水田)    孤立林(屋敷林)




                     集
                     落



                農耕地(畑地)

                                              b


 仙台市井戸浦地区の微地形・人為・植生
被災前の仙台都市圏/仙台湾岸域の主な植生
(a) 後浜・砂丘の砂丘植生

                      潟湖岸                                                                                                                                           小砂丘                              汀線側

     整理番号   42   41   40   39   38   37   36   35   34   33   32 31   30   29   28 27   26   25   24   23   22   21   20   19   18   17   16   15   14   13   12   11   10   9   8   7   6   5   4   3   2   1
ハマニンニク

オカヒジキ

ハマニガナ

ケカモノハシ

コマツヨイグサ

コウボウムギ

ハマヒルガオ

コウボウシバ

ハマボウホウ

メヒシバ

オニシバ

ウンラン

ハマエンドウ

ハマアカザ

ヨシ




後浜・砂丘・潟湖岸を横断する帯状区における15種の出現パターン
仙台市蒲生で, 長さ105m・幅2.5mの帯状区を設置し, 2010年8月に調査. Braun-
Blanquet(1964)の優占度階級に対応したヒストグラムで示す(平吹・菅野, 未発表).
(b) 河口付近の潟湖・干潟・水路縁辺の塩性湿地
(c) 砂丘・後背湿地(高地盤立地)の植生: マツ類優占林
汀線側                                                   内陸側
方形区Aの毎木調査結果(樹高1.3m以上の幹を対象)                            方形区Cの毎木調査結果(樹高1.3m以上の幹を対象)

                                           胸高断面積                                                   胸高断面積
No.     種名     生活形         散布型    幹数(本)               No.     種名      生活形          散布型    幹数(本)
                                           割合(%)                                                   割合(%)

1     クロマツ     常緑針葉   高木    風       1750      97.49   1     クロマツ      常緑針葉   高木     風        217      85.48
2     ニセアカシア   落葉広葉   高木   自動/風      325       2.51   2     ニセアカシア    落葉広葉   高木    自動/風      100      11.34
       合  計                         2075      100     3     ヤマザクラ     落葉広葉   高木     動物       400       1.87
                                                      4     ヤマグワ      落葉広葉   亜高木    動物       225       0.54
                                                      5     カスミザクラ    落葉広葉   高木     動物       192       0.48
                                                      6     ガマズミ      落葉広葉   低木     動物       267       0.14
                                                      7     ウワミズザクラ   落葉広葉   高木     動物        42       0.06
                                                      8     ヤマウルシ     落葉広葉   亜高木    動物        17       0.02
                                                      9     イヌザクラ     落葉広葉   高木     動物         8       0.01
                                                      10 ミツバアケビ       落葉広葉   ツル     動物       117       0.01
                                                      11 ツリバナ         落葉広葉   低木     動物        17       0.01
植林由来・異齢クロマツ優占2林分                                      12 ツタウルシ        落葉広葉   ツル     動物       183       0.01

の組成・幹密度・RBA                                           13 ヒサカキ         常緑広葉   亜高木    動物         8       0.01

                                                      14 スイカズラ        落葉広葉   ツル     動物       100     <0.01
                                                      15 シロダモ         常緑広葉   亜高木    動物        25     <0.01
林冠高                                                   16 アケビ          落葉広葉   ツル     動物        50     <0.01

 方形区A=5m以下                                            17 イボタノキ        落葉広葉   低木     動物        17     <0.01

 方形区C=14m以下                                           18 エノキ          落葉広葉   高木     動物         8     <0.01
                                                      19 ウメモドキ        落葉広葉   低木     動物         8     <0.01

樹高>1.3mの生立木を調査                                        20 ドクウツギ        落葉広葉   低木     動物         8     <0.01

                                                      21 ツタ           落葉広葉   ツル     動物         8     <0.01
                                                      22 ツルウメモドキ      落葉広葉   ツル     動物         8     <0.01
                                                              合  計                          2025      100
                                   (平吹ほか, 2002)
植林由来・壮齢クロマツ・
アカマツ林の分散構造

林冠高=17m以下
主要種について、生育形・階層
ごとに生幹根元位置を示す




            (平吹ほか, 2002)
(d) 後背湿地(低地盤立地)・水路の水生・湿生植物群落とハンノキ林
(e) 沖積平野(高地盤立地)の屋敷林




亘理町牛袋の沖積平野の鳥瞰         調査を実施したS氏宅とその近隣域の見
(Google Earth,2010)   取り図(平吹ほか, 2010)
胸高断面積合計 最大胸
植物相と毎木調査                   構成樹種      幹数 個体数
                                                  (㎡) (%)
                                                          高直径
                                                           (cm)
                                                                         由来

                          常緑針葉樹
                           スギ        211   211   12.59    66.2   51.1  植栽
                           カヤ          5     5    0.30     1.6   47.6 植栽・自生
・218種の維管束植物を確認             テーダマツ       2     2    0.63     3.3   65.6  植栽
                           ヒノキ         1     1    0.10     0.5   35.2  植栽
   落葉性の植物が優勢               クロマツ        1     1    0.04     0.2   22.4  植栽
                           アカマツ        1     1    0.02     0.1   14.5  植栽
   多様な微地形や土地利用を反映          ドイツトウヒ
                           イチイ
                                       1
                                       1
                                             1
                                             1
                                                  0.01
                                                  0.01
                                                           +
                                                           +
                                                                 11.0
                                                                 10.2
                                                                       植栽
                                                                       植栽
・鳥散布型植物の侵入が顕著             落葉針葉樹
                           メタセコイア     3     3     0.85     4.5   95.3    植栽
                          落葉広葉樹
・多数の郷土種の残存・導入              クリ         10   10     0.80     4.2   48.8 植栽・自生
                           カキノキ        6    6     0.21     1.1   30.9  植栽
   自然度の高いコナラ林や草地の構成種       イヌシデ        4    4     0.36     1.9   28.6  自生
                           ケヤキ         3    3     0.18     0.9   33.4 植栽・自生
   山野草の導入・撫育               ウワミズザクラ
                           アカメガシワ
                                       1
                                       1
                                            1
                                            1
                                                  0.14
                                                  0.10
                                                           0.7
                                                           0.5
                                                                 42.6
                                                                 36.0
                                                                       自生
                                                                       自生
・さまざまな園芸樹種・花卉の栽培           カジカエデ
                           ウメ
                                       1
                                       1
                                            1
                                            1
                                                  0.05
                                                  0.03
                                                           0.2
                                                           0.2
                                                                 24.5
                                                                 21.9
                                                                       自生
                                                                       植栽
                           ネムノキ        1    1     0.03     0.2   20.1  自生
・帰化植物の生育は制限される             カツラ         1    1     0.03     0.2   19.8  植栽
                           ヤマモミジ       1    1     0.03     0.1   18.0 植栽・自生
                           ムクゲ         1    1     0.02     0.1   14.9  植栽
・毎木調査の対象となった樹木は41種、 356    ヤナギの一種
                           アカシデ
                                       1
                                       1
                                            1
                                            1
                                                  0.02
                                                  0.01
                                                           0.1
                                                           0.1
                                                                 14.3
                                                                 13.5
                                                                       自生
                                                                       自生
                           ナナカマド       1    1     0.01     0.1   12.5  植栽
 本(351個体)で、幹総数の60.1%はスギ    シンジュ        1    1     0.01     0.1   11.4  植栽
                           タラノキ        1    1     0.01     0.1   11.1  自生
・ケヤキやイヌシデ、クリなどの落葉広葉樹       センダン
                           グミ
                                       1
                                       1
                                            1
                                            1
                                                  0.01
                                                  0.01
                                                           +
                                                           +
                                                                 11.0
                                                                 10.6
                                                                       植栽
                                                                       植栽
 郷土種が散在するほか、暖地性常緑広葉樹       コブシ
                          常緑広葉樹
                                       1    1     0.01     +     10.0  植栽

                           シロダモ       16   16     0.40     2.1   29.1    自生
 (シロダモやアカガシなど 11種)とシュロが    アカガシ       12   11     0.41     2.1   33.7   植栽・自生
                           ヤブツバキ       5    4     0.11     0.6   25.2   植栽・自生
 顕著                        シラカシ        4    3     0.10     0.5   26.4   植栽・自生
                           ユズ          3    3     0.08     0.4   26.0    植栽
                           キンモクセイ      2    1     0.06     0.3   21.6    植栽
                           ネズミモチ       2    1     0.02     0.1   11.9   植栽・自生
                           ビワ          1    1     0.08     0.4   31.1    植栽
                           タイサンボク      1    1     0.01     0.1   13.4    植栽
 S氏宅の毎木調査(胸高直径>10.0cm      トウネズミモチ
                           ヒサカキ
                                       1
                                       1
                                            1
                                            1
                                                  0.01
                                                  0.01
                                                           0.1
                                                           0.1
                                                                 12.5
                                                                 11.8
                                                                        植栽・自生
                                                                        植栽・自生

 の幹)の要約 (平吹ほか, 2010)      常緑性ヤシ
                           シュロ        43   43     1.10     5.8   26.2    自生
                          合計          98   93      2.5   100.0
景観生態学的アプローチ
     2) 仙台湾/砂浜海岸エコトーンの植物相
大柳ほか(2002): 「仙台湾海浜県自然環境保全地域」で、文献・現地調査
 777種の維管束植物=砂質・塩性・貧栄養土壌を指標する植物が顕著

 北限種=31種(常緑広葉樹、ヤマザクラ・オオシマザクラなど落葉広葉樹、
  ハママツナ・ハマサジ・コモウセンゴケ・ナガボテンツキなど湿生植物が顕著)
 南限種=2種(ナガバツメクサ・ヒメキンポウゲ)

 亜高山帯・山地帯種=ツツジ科(ウラジロヨウラク、ハナヒリノキなど)、ラン科
  (アケボノシュスラン・コケイランなど)が顕著(杉山ほか、2011)

 環境省(2000)RL指定種=絶滅危惧ⅠB類1種、絶滅危惧Ⅱ類19種
  (ヒメナエ・シバナ・オオクグ・タコノアシなど湿生植物、サンショウモ・タヌキモ
   など水生植物が顕著)

 逸出種=37種(鳥散布型の暖地性(植栽由来)常緑樹、果樹が顕著)

 帰化種=79種(総出現種の9.8%; コマツヨイグサ・シナダレスズメガヤ・ニセ
  アカシア・イタチハギなどが優勢)
4) 未来志向の復興支援に繋げたい!

      海岸域植生の成立基盤も著しく損傷・消失
郷土の動植物、立地、地盤、植生再生の担い手・拠り所(地域文化)・・・・




   500m


                           (Google earth,2011)
壊滅的! いや、生物は生き延び、再生し始めている!




   仙台湾/砂浜海岸エコトーンにおける自律的再生
2011年11月1日

 植生学会

 東日本大震災復興への提言

 地域の自然資源である植生や植物からの言葉をしっかりと読み
取り、自然を再生し、活用することが地域の安全や発展には欠か
せないと考えます。復旧、復興に際しまして、植生学の立場からの
                   (国土交通省水管理・国土保全局, 2011)                          Ⓒ SEINO and ASHIKAGA
以下のような提言をいたします。
 植生学会は、被災地の既存の植生に関する情報を提供すると
共に、今後、被災地の植生の被災状況や再生過程に関して調査
研究をすすめ、以下の提案に関連した情報を発信して参ります。

1.多様な自然の植生・生態系を保全し、それを活かした復旧、
 復興を提案します

2.自然の海岸林を参照した海岸林の保全・再生を提案します
                                                                            (林野庁, 2011)

3.外来植物の植栽は控え、その繁茂の防止にご留意ください

(http://www.sasappa.co.jp/shokusei/earthquake-related.html/より抜粋)
海岸域における未来志向の復興
 ‘海岸域・海岸エコトーンの脆弱性・多様性・一体性’と‘生態系の自律性・
多機能性’に着目した、‘郷土の自然と人(社会)の豊かさが持続しうる復興’




(仙台市, 2011)



                               (岩沼市, 2011)
2012年3月11日 仙台湾岸で実施されている復興工事の風景
どんな発想、しくみ、行動が必要なのだろう???


・ 津波被災地では、郷土の生物、立地、担い手・拠り所も著しく損傷・消失。しかし、
    そのすべてが消失した訳ではない! 残存する樹林、樹木下の下層植物や
    土壌(埋土種子)、動植物の繋がり(共生・食物網関係)は残っている!
  → 植生学・生態学専門家は、こうした生物・生育環境の実態の発信を!

・ 「パラダイム転換」を追求する「開かれた機会・時間的猶予」があってもよい!
 → 現代日本人・社会の時間感覚や価値観の検証、 自然の摂理を議論・共有
   できる場・期間の設定、 地域に順応した自給自足的な土地・資源・エネル
   ギー利活用の検討、防潮堤・道路などインフラのセットバック ・・・・・ につい
   て、未来世代・野生動植物の立場で語り合ってはどうか!

・ 復興に貢献しうる(植生学)専門家「集団」としての取り組みが不可欠!
   → 未曾有の災害克服には、専門家「集団」の知恵・経験・先見性・地域ベースの
   実践・支援活動が欠かせない!
大震災直後に誓ったこと
「ひとり一人が知恵やちからを持ち寄って、克服しよう」

       いまこそ、被災地へ!




                      (JR東日本, 2011)

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第59回日本生態学会 自由集会W25群落談話会「東北地方沿岸域の植生の現状と修復,回復にむけて」

  • 1. 2012年3月19日 第59回日本生態学会大会(龍谷大学瀬田キャンパス) 自由集会 W-25: 東北地方沿岸域の植生の現状と修復、回復にむけて 仙台湾岸を事例とした砂浜海岸の植生: 南北・東西環境軸に沿った整理 平吹喜彦 (東北学院大学・教養学部)
  • 2. 4つのトピック 1) 2011年3月11日とその後1年 多くのこと・ものが激変し、難題が突きつけられた 2) 東北中部太平洋側の植生帯構造 植生地理学的アプローチ: 中間温帯(temperate ecotone) コリドーとして機能する?低海抜域の森林 多様な立地・人為(破壊・植栽)が、植生の多様さ・複雑さを増幅 3) 仙台湾岸域の植生構造 景観生態学的アプローチ: 砂浜海岸エコトーンと沖積平野 大津波被災地全体を見渡す、統合的・学際的な視点の必要性 「生き延びた生き物と自律的再生の実態」発信を! 4) 未来志向の復興支援に繋げたい! 地域の自然・社会特性、学術成果に根ざした「未来志向の復興」 支援に向けて、どんな発想、しくみ、行動が必要なのだろう?
  • 3. 1) 2011年3月11日とその後1年 本震(M9.0)に伴う地殻変動 水平方向 上下方向 最大 最大 5.3m 1.2m (国土交通省国土地理院(2011)を, 斎藤ほか(2012)より引用)
  • 6. 2) 東北中部太平洋側の 植生帯構造 植生地理学的アプローチ 1) 日本列島スケール 落葉広葉樹林帯 東北地方中部・太平洋側の 低海抜域 森林植生が対象 原植生は、「温帯性の針葉/広 常緑広葉樹林帯 葉・常緑/落葉性の樹種・植物 (照葉樹林帯) が混交する多様な植分」の複 合体=中間温帯(temperate ecotone) (姉崎, 2000)
  • 7. 多様性に満ちた中間温帯林 カシ類・カヤ・ケヤキが優勢 モミ・カシ類が優勢 イヌブナ・シデ類・カエデ類が優勢 微地形に応じた植物のすみ分け
  • 9. 推移帯: 「照葉樹林帯・主要種」に着目した場合 コナラ、クリ 途中相の樹種 極相の樹種 タブノキ イヌシデ ウラジロガシ アカガシ アラカシ (大澤, 1977)
  • 12. 地形・表層地質のあり方 回廊的な地形 北 上 台地・扇状地 山 丘陵地・山地 地 仙台湾に沿った砂浜 海岸・沖積平野 沖積平野 太 平 洋 阿 武 火山噴出物堆積地 隈 山 地 「日本の自然 地域編2 東北」(1997)
  • 13. 気候のあり方 最深積雪深 気候の背腹性 吉良のWI 25cm 90℃・月 1992年2月 気象衛星ひまわり の画像 (境田・田村, 1997) (原正利, 私信)
  • 14. 植生地理学的アプローチ 2) カシ類の分布 宮城県~岩手県南部太平洋岸域 中間温帯を指標する常緑極相種 のカシ類4種とモミ 落葉期にロードサイドセンサス コリドーとして機能していた?海岸域植生 カシ類は、 (1) 仙台湾岸域の砂浜堤~丘陵 脚部間で自生状態 (2) 立地・気候・人為の影響を受け て、小域ごとに多様な小集団・ 群落を形成 (3) 社寺や祠、旧家と結びついて、 自生域北方に分布+種子繁殖 (平吹, 1990)
  • 15. 暖地性常緑広葉樹にとって苛酷な冬季の低温・乾燥 シラカシ生葉の冬季の変化 葉縁部から枯死した緑葉 (3月上旬) 多くの生葉が枯死・脱落した 北西側の樹冠部(3月下旬)
  • 16. 常緑(針葉)樹の樹冠下で生長する暖地性常緑広葉樹 鳥散布+耐陰性植物 暖地性常緑広葉樹が生育するための前提条件(供給源・ 散布者・セーフサイト・・・・)の存在
  • 17. 3) 仙台湾岸域の植生構造 景観生態学的アプローチ 1) 砂浜海岸エコトーンと 沖積平野田園領域 砂浜海岸エコトーン 浅海・汀線~沖積平野東端の 幅1.5kmほどの領域 砂浜・潟湖・湿原・海岸林といっ 平野・台地・丘陵地/ た多様な生態系の複合域 市街地・住宅地 海域 沖積平野田園領域 砂浜海岸 幅数kmほどの低平な領域 丘陵地/森林 平野/ 水田が卓越+屋敷林を伴う小 水田 集落が散在 10 km 2001年9月24日撮影のLandsat ETM+画像(原慶太郎, 私信). 河川・潟湖
  • 18. 仙台市東部の砂浜海岸・沖積平野の微地形 台地・丘陵地 潟 湖 沖積平野 海 岸 河 川 (松本, 1994)
  • 19. (Google earth, 2011) 仙 台 平 野 a 多様な立地・生物・生態系、多彩な人間活動・インフラが 織りなす「モザイク+入れ子構造」が顕著な植生領域 農耕地(水田) 孤立林(屋敷林) 集 落 農耕地(畑地) b 仙台市井戸浦地区の微地形・人為・植生
  • 20. 被災前の仙台都市圏/仙台湾岸域の主な植生 (a) 後浜・砂丘の砂丘植生 潟湖岸 小砂丘 汀線側 整理番号 42 41 40 39 38 37 36 35 34 33 32 31 30 29 28 27 26 25 24 23 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 ハマニンニク オカヒジキ ハマニガナ ケカモノハシ コマツヨイグサ コウボウムギ ハマヒルガオ コウボウシバ ハマボウホウ メヒシバ オニシバ ウンラン ハマエンドウ ハマアカザ ヨシ 後浜・砂丘・潟湖岸を横断する帯状区における15種の出現パターン 仙台市蒲生で, 長さ105m・幅2.5mの帯状区を設置し, 2010年8月に調査. Braun- Blanquet(1964)の優占度階級に対応したヒストグラムで示す(平吹・菅野, 未発表).
  • 23. 汀線側 内陸側 方形区Aの毎木調査結果(樹高1.3m以上の幹を対象) 方形区Cの毎木調査結果(樹高1.3m以上の幹を対象) 胸高断面積 胸高断面積 No. 種名 生活形 散布型 幹数(本) No. 種名 生活形 散布型 幹数(本) 割合(%) 割合(%) 1 クロマツ 常緑針葉 高木 風 1750 97.49 1 クロマツ 常緑針葉 高木 風 217 85.48 2 ニセアカシア 落葉広葉 高木 自動/風 325 2.51 2 ニセアカシア 落葉広葉 高木 自動/風 100 11.34 合  計 2075 100 3 ヤマザクラ 落葉広葉 高木 動物 400 1.87 4 ヤマグワ 落葉広葉 亜高木 動物 225 0.54 5 カスミザクラ 落葉広葉 高木 動物 192 0.48 6 ガマズミ 落葉広葉 低木 動物 267 0.14 7 ウワミズザクラ 落葉広葉 高木 動物 42 0.06 8 ヤマウルシ 落葉広葉 亜高木 動物 17 0.02 9 イヌザクラ 落葉広葉 高木 動物 8 0.01 10 ミツバアケビ 落葉広葉 ツル 動物 117 0.01 11 ツリバナ 落葉広葉 低木 動物 17 0.01 植林由来・異齢クロマツ優占2林分 12 ツタウルシ 落葉広葉 ツル 動物 183 0.01 の組成・幹密度・RBA 13 ヒサカキ 常緑広葉 亜高木 動物 8 0.01 14 スイカズラ 落葉広葉 ツル 動物 100 <0.01 15 シロダモ 常緑広葉 亜高木 動物 25 <0.01 林冠高 16 アケビ 落葉広葉 ツル 動物 50 <0.01 方形区A=5m以下 17 イボタノキ 落葉広葉 低木 動物 17 <0.01 方形区C=14m以下 18 エノキ 落葉広葉 高木 動物 8 <0.01 19 ウメモドキ 落葉広葉 低木 動物 8 <0.01 樹高>1.3mの生立木を調査 20 ドクウツギ 落葉広葉 低木 動物 8 <0.01 21 ツタ 落葉広葉 ツル 動物 8 <0.01 22 ツルウメモドキ 落葉広葉 ツル 動物 8 <0.01 合  計 2025 100 (平吹ほか, 2002)
  • 26. (e) 沖積平野(高地盤立地)の屋敷林 亘理町牛袋の沖積平野の鳥瞰 調査を実施したS氏宅とその近隣域の見 (Google Earth,2010) 取り図(平吹ほか, 2010)
  • 27. 胸高断面積合計 最大胸 植物相と毎木調査 構成樹種 幹数 個体数 (㎡) (%) 高直径 (cm) 由来 常緑針葉樹 スギ 211 211 12.59 66.2 51.1 植栽 カヤ 5 5 0.30 1.6 47.6 植栽・自生 ・218種の維管束植物を確認 テーダマツ 2 2 0.63 3.3 65.6 植栽 ヒノキ 1 1 0.10 0.5 35.2 植栽 落葉性の植物が優勢 クロマツ 1 1 0.04 0.2 22.4 植栽 アカマツ 1 1 0.02 0.1 14.5 植栽 多様な微地形や土地利用を反映 ドイツトウヒ イチイ 1 1 1 1 0.01 0.01 + + 11.0 10.2 植栽 植栽 ・鳥散布型植物の侵入が顕著 落葉針葉樹 メタセコイア 3 3 0.85 4.5 95.3 植栽 落葉広葉樹 ・多数の郷土種の残存・導入 クリ 10 10 0.80 4.2 48.8 植栽・自生 カキノキ 6 6 0.21 1.1 30.9 植栽 自然度の高いコナラ林や草地の構成種 イヌシデ 4 4 0.36 1.9 28.6 自生 ケヤキ 3 3 0.18 0.9 33.4 植栽・自生 山野草の導入・撫育 ウワミズザクラ アカメガシワ 1 1 1 1 0.14 0.10 0.7 0.5 42.6 36.0 自生 自生 ・さまざまな園芸樹種・花卉の栽培 カジカエデ ウメ 1 1 1 1 0.05 0.03 0.2 0.2 24.5 21.9 自生 植栽 ネムノキ 1 1 0.03 0.2 20.1 自生 ・帰化植物の生育は制限される カツラ 1 1 0.03 0.2 19.8 植栽 ヤマモミジ 1 1 0.03 0.1 18.0 植栽・自生 ムクゲ 1 1 0.02 0.1 14.9 植栽 ・毎木調査の対象となった樹木は41種、 356 ヤナギの一種 アカシデ 1 1 1 1 0.02 0.01 0.1 0.1 14.3 13.5 自生 自生 ナナカマド 1 1 0.01 0.1 12.5 植栽 本(351個体)で、幹総数の60.1%はスギ シンジュ 1 1 0.01 0.1 11.4 植栽 タラノキ 1 1 0.01 0.1 11.1 自生 ・ケヤキやイヌシデ、クリなどの落葉広葉樹 センダン グミ 1 1 1 1 0.01 0.01 + + 11.0 10.6 植栽 植栽 郷土種が散在するほか、暖地性常緑広葉樹 コブシ 常緑広葉樹 1 1 0.01 + 10.0 植栽 シロダモ 16 16 0.40 2.1 29.1 自生 (シロダモやアカガシなど 11種)とシュロが アカガシ 12 11 0.41 2.1 33.7 植栽・自生 ヤブツバキ 5 4 0.11 0.6 25.2 植栽・自生 顕著 シラカシ 4 3 0.10 0.5 26.4 植栽・自生 ユズ 3 3 0.08 0.4 26.0 植栽 キンモクセイ 2 1 0.06 0.3 21.6 植栽 ネズミモチ 2 1 0.02 0.1 11.9 植栽・自生 ビワ 1 1 0.08 0.4 31.1 植栽 タイサンボク 1 1 0.01 0.1 13.4 植栽 S氏宅の毎木調査(胸高直径>10.0cm トウネズミモチ ヒサカキ 1 1 1 1 0.01 0.01 0.1 0.1 12.5 11.8 植栽・自生 植栽・自生 の幹)の要約 (平吹ほか, 2010) 常緑性ヤシ シュロ 43 43 1.10 5.8 26.2 自生 合計 98 93 2.5 100.0
  • 28. 景観生態学的アプローチ 2) 仙台湾/砂浜海岸エコトーンの植物相 大柳ほか(2002): 「仙台湾海浜県自然環境保全地域」で、文献・現地調査 777種の維管束植物=砂質・塩性・貧栄養土壌を指標する植物が顕著 北限種=31種(常緑広葉樹、ヤマザクラ・オオシマザクラなど落葉広葉樹、 ハママツナ・ハマサジ・コモウセンゴケ・ナガボテンツキなど湿生植物が顕著) 南限種=2種(ナガバツメクサ・ヒメキンポウゲ) 亜高山帯・山地帯種=ツツジ科(ウラジロヨウラク、ハナヒリノキなど)、ラン科 (アケボノシュスラン・コケイランなど)が顕著(杉山ほか、2011) 環境省(2000)RL指定種=絶滅危惧ⅠB類1種、絶滅危惧Ⅱ類19種 (ヒメナエ・シバナ・オオクグ・タコノアシなど湿生植物、サンショウモ・タヌキモ など水生植物が顕著) 逸出種=37種(鳥散布型の暖地性(植栽由来)常緑樹、果樹が顕著) 帰化種=79種(総出現種の9.8%; コマツヨイグサ・シナダレスズメガヤ・ニセ アカシア・イタチハギなどが優勢)
  • 29. 4) 未来志向の復興支援に繋げたい! 海岸域植生の成立基盤も著しく損傷・消失 郷土の動植物、立地、地盤、植生再生の担い手・拠り所(地域文化)・・・・ 500m (Google earth,2011)
  • 30. 壊滅的! いや、生物は生き延び、再生し始めている! 仙台湾/砂浜海岸エコトーンにおける自律的再生
  • 31. 2011年11月1日 植生学会 東日本大震災復興への提言 地域の自然資源である植生や植物からの言葉をしっかりと読み 取り、自然を再生し、活用することが地域の安全や発展には欠か せないと考えます。復旧、復興に際しまして、植生学の立場からの (国土交通省水管理・国土保全局, 2011) Ⓒ SEINO and ASHIKAGA 以下のような提言をいたします。 植生学会は、被災地の既存の植生に関する情報を提供すると 共に、今後、被災地の植生の被災状況や再生過程に関して調査 研究をすすめ、以下の提案に関連した情報を発信して参ります。 1.多様な自然の植生・生態系を保全し、それを活かした復旧、 復興を提案します 2.自然の海岸林を参照した海岸林の保全・再生を提案します (林野庁, 2011) 3.外来植物の植栽は控え、その繁茂の防止にご留意ください (http://www.sasappa.co.jp/shokusei/earthquake-related.html/より抜粋)
  • 34. どんな発想、しくみ、行動が必要なのだろう??? ・ 津波被災地では、郷土の生物、立地、担い手・拠り所も著しく損傷・消失。しかし、 そのすべてが消失した訳ではない! 残存する樹林、樹木下の下層植物や 土壌(埋土種子)、動植物の繋がり(共生・食物網関係)は残っている! → 植生学・生態学専門家は、こうした生物・生育環境の実態の発信を! ・ 「パラダイム転換」を追求する「開かれた機会・時間的猶予」があってもよい! → 現代日本人・社会の時間感覚や価値観の検証、 自然の摂理を議論・共有 できる場・期間の設定、 地域に順応した自給自足的な土地・資源・エネル ギー利活用の検討、防潮堤・道路などインフラのセットバック ・・・・・ につい て、未来世代・野生動植物の立場で語り合ってはどうか! ・ 復興に貢献しうる(植生学)専門家「集団」としての取り組みが不可欠! → 未曾有の災害克服には、専門家「集団」の知恵・経験・先見性・地域ベースの 実践・支援活動が欠かせない!