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地域復興と海岸環境修復策のあり方を考える
- 2. 前段:宮城県沖地震の経験と想定→過去の経験に学ぶ限界と意義を再評価
半ば予測されていた地震 (1978年宮城県沖地震のおさらい)
・1978年(昭和53年)6月12日
・マグニチュード7.4、
震度5(仙台市)
・死者28人
・重軽傷者9300人
・住家の全半壊が4200戸
・部分壊が74000戸
仙台市調べ
宮城県沖地震は、25~40年
という比較的短い間隔で周期的
に発生する傾向がある。
近い将来高い確率で発生が予想
されている今度の地震は、
10年以内の発生確率は70%程度
30年以内では99%
地震調査研究推進本部の
長期評価(2010年1月1日から)
- 4. 低頻度巨大複合災害の顕在化
想定を超える事に備えるとは
→→ 防災主義から防災と減災の複合社会へ
中央防災会議は、
津波の規模をレベル1,2に区分、レベル2の津波には、防御ではなく
避難を中心とした減災の考え方を取るとした。
減災:災害時の被害を最小化する努力をすること
防災:技術者や科学者が、経験知・モデル化・シミュレーション・対策
の4ステップを構築する技術工学的な思考。想定される事態を防
止・抑止することが目標。 公が主体
減災:発災を想定し、具体的な災害事態から避難・回避・弱める行
為を行うこと。想定を実行することではなく、万が一、念のため、
をイメージ(想定)し、着実な行動をとれる。 私・地域が主体
- 5. ミレニアムクラス 低頻度巨大複合災害
数百年・千年に一度クラスのこの種の災害は、
• 稀だが、莫大な被害が生じる。
• 100年クラス災害に対する考え方はある(科学的・社会的)が、ミレニ
アムクラスの現象には対応策を考察していなかった。
• 防災の社会的意義が変わろうとしているのではないか。例えば博物
館・災害伝承・防災教育は何を目指すのか。
東日本大震災の直後に考えていたこと:
・ ミレニアムクラスの災害を無視しない。
・ 念のため、環境保全や社会の保全では万全を期す。それでも無
理があるからレベル分けを。
・社会的にブレが生じていることに注意:現象のサイズや包括性に留
意すべき。
・地域住民の生活環境の確保や復旧に優先性を。
- 7. 東日本大震災津波 海岸林の功罪と再生戦略
共同通信社撮影
津波襲来 3波 3:40 -6:00 PM
地震 震動3分間 PM 2:46 -2:49
広域地盤沈降
液状化 1時間以上も継続
PM 2:46 -2:49
- 10. 後段のまとめ1:観察と定量化による着実な評価と対策
海岸林と土地の破壊には二通りあるのではないか
• A 地震時の揺れに関係する破壊
地震時の強震動(震度6級3分):広範な液状化
地盤沈下(40cm):地下水位の急激な上昇
土地条件:後背湿地で元来高地下水・杭根未発達
地震時に根の支持力・緊縛力の低下が生じた
• B 津波の流体力に関係する破壊
地震時にはしっかり立っていた:曲げ折れ破壊や倒壊が生じる
破壊の連鎖:海側の1本が折れると、その陸側が折れる
津波の流体力が土地の侵食や、樹木の引き抜きを生じさせる
津波力反映で浸水深や流体力の減衰効果が期待
- 11. 後段のまとめ2:
海岸林・沿岸域の破壊実態と津波減衰効果
僅かな起伏、森林特性、構造物などで破壊状況は大きく変化する
• 津波による海岸林の破壊には二通りのプロセスがあり、その発生
条件は土地条件の僅かな違い。
• ・ 津波の流体力と樹木の強度に関わる破壊生存の関係
• 沿岸最前線は襲来波高、その後は浸水深と樹木の曲げ折れ破壊
や倒壊との関係で、どれ程の流体力で、森林がどのように壊れ、ど
う津波を減衰させるかがモデル化できるのではないか。
• ・海岸林とその立地地盤・地形条件に関わる破壊が関与する関係
• 地震時の揺れや広範な地盤の沈降、地下水位、液状化などで、
津波襲来以前に樹木の土台と樹木が不安定化していた場合は、樹
木が根つきで容易に漂流木化するのであろう。