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宇宙細胞農業

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宇宙での食料調達手段に求められる要件、細胞農業の有用性、資源(元素)循環、資源の現地調達(ISRU)について

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宇宙細胞農業

  1. 1. 宇宙細胞農業

  2. 2. 細胞培養肉 / Cell-based meat 筋肉細胞 バイオリアクター (大型タンク) 培養液 など 成形・熟成  ⇒出荷 純粋培養肉、「純肉」とも
  3. 3. 原料からのエネルギー変換効率 0.1%以下 (管理されていない) 微細藻類4~11% 人工光合成10%+ 今後も効率向上が 見込まれる 4% 35% 50~90% Shepon, Eschel et al, IOP Science 2016 http://iopscience.iop.org/article/10.10 88/1748-9326/11/10/105002/meta
  4. 4. ジャングル大帝 ドラ・海底鬼岩城 Tau Zero SFでの扱い:宇宙/深海/閉鎖系での食料など生産 火星食料培養工場 無重力ファーム SFガジェット「培養カプセル」 https://seiga.nicovideo.jp/seiga/im5526417
  5. 5. 宇宙での食需要の見通し 三菱総研 での想定 https://www.spa cefood-x.com/ 特殊数名が短期滞在 多数の一般人が定住 状況 食料持参 細菌/藻類/昆虫? 元素循環/宇宙農業 特殊数名が定住 食料 調達 方法 低軌道で ~10人 ISS民営化、宇宙旅行開始 宇宙ホテル開業 月面で ~10人 Lunar Gateway建設 アルテミス計画 低軌道で ~100人 宇宙旅行の本格化 宇宙ホテル拡大 月面で 30~60人 Lunar Gateway Phase 2 月面基地の建設 低軌道で 800人 宇宙旅行の一般化 低軌道経由、月行き航路 月面で 200人 月面基地の拡大 月宇宙旅行の本格化 ~2025 ~2035 ~2045 栄養補給が目的 栄養補給が目的 食を通じた社会構築も目的
  6. 6. 宇宙食/宇宙農業での要件の見通し 特殊数名に提供される 宇宙食: 宇宙飛行士などの特殊数名が、最大数十日間のミッション のために飛ぶ想定、2025頃 多数の一般人を支える 宇宙農業: 軌道や月面に100人以上が定住し、その数倍の訪問者が訪 れる想定、~2045? 十分な食体験 / Organoleptic acceptability ↑ より重要に 栄養の完全性 / Nutritional efficacy ↘ 求められるも、重要度は低下 3~5年の日持ち / Safety for 3~5yr period ↓ 重要度は低下 打ち上げ重量 / Launch weight ↓ 重要度は低下 排出物重量 / Waste mass ↘ 求められるも、重要度は低下 微重力下での調理性 / Micro-G cooking process ↘ 月面では重要度低下、軌道上では重要 包装重量 / Packaging mass ↓ 重要度は低下 宇宙農業で表面化する条件 生産設備の軽量性 / Facility weight ↑ 地上ではほぼ考慮不要だが、宇宙では重要に 生産設備の信頼性 / Reliability ↗ 地上でも重要だが、宇宙ではさらに重要に 元素調達性 / Material abundance ↑ 地上ではほぼ考慮不要だが、宇宙では重要に 排出物のリサイクル性 / waste recyclability ↗ 地上でも重要だが、宇宙ではさらに重要に [1] [1] Developing the NASA Food System for Long‐Duration Missions https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1750-3841.2010.01982.x
  7. 7. JAXAでの検討:宇宙農業の要件定義 1.農業環境の整備 2.持続的農業での生活保障 元素循環効率を最大化し、極 めて限られた資源で生命維持 Biological Science in Space, Vol21 No4 2007 135-141 和田秀徳 https://www.jstage.jst.go.jp/article/bss/21/4/21_4_135/_article/-char/en NASA
  8. 8. 「JAXA式、宇宙農業基本セット」 基礎栄養素: 米、大豆、サツマイモ、コマツナな どの青菜、蚕(サナギ)、塩、ドジョ ウ ・100人が20年生活することを想定 ・植物だけではビタミンDとB12、蛋白、コ レステロール、脂質が欠乏する ・蚕とドジョウで蛋白と脂質を補充 Space Utiliz Res 26 2010 ISAS/JAXA 2010 和田秀徳 https://repository.exst.jaxa.jp/dspace/handle/a-is/15406
  9. 9. 生鮮食品の輸送 乾燥食品の輸送 昆虫,菌類 培養食料 藻類蛋白 植物工場 栄養、食体験は優れており、元素調達性も高いが、打上 重量が非現実的で供給途絶リスクが高く、保存期間要 件を満たさない。包装の必要もある。 安定性と栄養に優れるが、元素の調達に藻類培養や植 物工場が必要。食体験が劣り、食品加工が必要。 安定性と栄養に優れるが、食体験が劣り、食品加工が 必要。 安定性と食体験に優れるが、栄養が偏る 現地生産 安定性と栄養と食体験に優れるが、元素の調達に藻類 培養や植物工場が必要。 植物工場と藻類蛋白と培養食料の組み合わせが最も有望? 食料調達方法の比較
  10. 10. 細胞培養肉の物質収支の計算例 ・一般多数を支える宇宙農業においては、食文化的 な受容性が重要になるため、蛋白源を昆虫ではなく 食肉に求める必要がある。 ・ただし従来の方法での食肉生産では、資源の要求 が大きすぎるため、代替手段が求められる。 文献 事例 平均食肉消費量 130g/(人・日) バイオリアクター 200L、1㎡占有、 細胞生産量260g/日 必要原材料 アミノ酸31g グルコース63g 必要原材料 藻類325g https://aiche.onlinelibrary.wiley.com /doi/abs/10.1002/btpr.2941 加水分解装置 10㎡占有、藻類処 理量~100kg/日
  11. 11. 元素サイクル 炭素 C リン P 窒素 N 硫黄 S
  12. 12. 宇宙農業での「元素サイクル構築」の観点 ・水を電気分解してO2生成 ・アルカリ水でCO2を吸収して、石灰藻と スピルリナ(藻類)を培養 ・塩水で海藻を育て、高温好気堆肥菌で Kを含む肥料をつくる ・土壌の通気性を改善することで CaCO3・CaSO4を除去し、リン酸固定性 を低下させる Biological Science in Space, Vol21 No4 2007 135-141 和田秀徳 ほか要検討事項 ・桑を栽培し、木材は建築内装へ、蚕を食用へ。 ・一部の作物植物は受粉に蜂が必要だが、蜂は0.2気圧でも飛べるのか?
  13. 13. ISRU (In Situ Resource Utilization) :資源の現地調達 Mars Oxygen ISRU Experiment 火星大気の二酸化炭素から 酸素を作る実験装置 各地での調達可能な資源の違い 極地方の氷から、水と水素が調達可能?[1] 窒素や炭素などの生命必須元素が少ない 月面の砂からコンクリートが作れる? 例: 地下の氷が豊富な場所が基地建設候補地 大気が炭素や窒素を含む(CO2 95%, N2 2%) み、これを用いた農業が可能?[2] [1] https://www.pnas.org/content/115/36/8907 [2] https://www.jstage.jst.go.jp/article/bss/21/4/21_4_135/_pdf/-char/en 「汚れた雪だるま」とも呼ばれ、軽元素や各種 有機物質も多く含む ガニメデ、エウロパ、冥王星など、太陽系の外 側の天体は、岩石ではなく氷の地殻を持ち、水 や軽元素が豊富に存在
  14. 14. 想定例1: 火星純肉工場”Nirvana Alpha”
  15. 15. 汚水処理プール 鉱物資源 K,Na,氷 S,P,金属 低温窒素 固定 加熱炉 加水分解 植物工場 細胞培養 藻類培養 居住区等 火星大気 CO2,N2,Ar 加圧 バイオマス ・食料 「火星純肉プラント」システム図 ガスタンク CO2/窒素 CO2/窒素 栄養素 栄養素(糖分/アミノ酸) 窒素 栄養素(NH3) 再処理水 濾過汚泥 酸素 汚水 生物同 化 化学同 化 栄養素 (S,P,ミネラル) “Nirvana Alpha” ・大気と鉱物から元素を生物 が利用できる形に同化する システム ・その一環として食料生産と 汚泥リサイクルを行う ・必要元素をすべて現地調 達する(ISRU) ・同化は化学的方法と生物 学的方法(硫黄細菌など)が ある。 ・汚水処理では、ほぼ濾過 のみを行う。 ・加熱炉の固体副産物は建 材などとして利用する
  16. 16. 想定例2: 冥王星バイオマスプラント”Hadean Orgamass”
  17. 17. 70℃ 常温 原 子 炉 熱交換器 高温蒸気 タービン 低温蒸気 タービン 液体窒素 タービン 地殻物質 氷, CO2, CH4, N2発電機 窒素ガス 高温蒸気 低温蒸気 窒素 ガス 温水 CO2 少量 NH3 電気 分解 低温窒 素固定 水素 改質 植物工場 細胞培養 水素 細菌 少量 CH4 アミノ酸 酸素 水素CO2NH3 糖類 液体窒素復水器 岩石類(廃棄) バイオマス ・食料 氷・ドライ アイス “Hadean Orgamass” ・冥王星の地殻物質と原子力を用いたバイオ マス生産拠点 ・絶対零度に近いヒートシンクによる、熱効率 が100%に近い原子力発電 ・液体窒素コンバインドサイクル ・必要元素をすべて現地調達 ・バイオプロセスの化学合成での一部置換藻類 培養 「冥王星プラント」システム図
  18. 18. まとめ ・宇宙開発とともに、需要が宇宙食から宇宙農業へ拡大する。 ・JAXAでの検討では、元素循環を念頭に置いた宇宙農業の基本構 成が考案されている。 ・宇宙での食料生産には、植物工場と藻類と培養食料の組み合わ せが最も有望? ・純肉製造では、130g/(日・人)の需要を満たすためには、325g/(日 ・人)の藻類が必要になる。 ・資源の現地調達(ISRU)は「立地」に依存し、宇宙農業の景色は場 所によって大きく異なる

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