Successfully reported this slideshow.
We use your LinkedIn profile and activity data to personalize ads and to show you more relevant ads. You can change your ad preferences anytime.

細胞農業時代の畜産業

426 views

Published on

細胞農業が普及した世の中での畜産業や畜産農家の立ち位置について

Published in: Business
  • Be the first to comment

細胞農業時代の畜産業

  1. 1. 細胞農業時代の畜産業
 2019.05版 一般公開用
  2. 2. 細胞培養肉 / Cell-based meat 筋肉細胞 バイオリアクター (大型タンク) 培養液 など 成形・熟成  ⇒出荷
  3. 3. 従来の畜産と細胞農業での風景の違い 飼育頭数の減少 培養設備の併設 多数の家畜を飼育 牛の個体を出荷 細胞もしくは精肉を出荷 ゲノム編集や遺伝子組み換えなどは行わない。 培養肉の品質や単価が現行の肉と等価まで到達している。 従来の畜産農家 細胞農業の農家 前提: そうでなけれ ば普及しない
  4. 4. 従 来 畜 産 労働時間と内容の違い 細 胞 農 業 飼育頭数が少なく、清掃、給餌、糞尿処理などの業務が少ない。 機器管理、細胞提供、培養レシピ開発など、醸造業に近い。
  5. 5. 従来の畜産農家との収支内容の違い 従来の畜産農家 支出:飼料、糞尿処理、設備費 収入:子牛販売(繁殖農家)、肉牛販売(肥育農家) 細胞農業の農家 支出:培養液原料、設備費、 (飼料、糞尿処理) 収入:精肉販売、細胞ライセンス 出荷品の単価が上がる(精肉を出荷する) 販売単価の目安 穀物30kg⇒精肉1kg : 培養液原料3kg⇒精肉1kg 培養液に似た清涼飲料の価格は¥ 1000/kg前後で、 未精製の原料価格は¥ 300/kg前後と見込まれる。 培養設備費(醸造設備に似た設備 )が高価 牛舎よりも培養設備の方が高価とみられる。 (後述) ・飼料費の代わりに培養液 原料費がかかる ・製品出荷量が同じなら粗 収益は3倍になる 肉牛: ¥1600/kg 部分肉:¥5000/kg 精肉: ¥7500/kg
  6. 6. 細胞培養肉の原料価格 培養液価格 細胞肉の原価 ¥1650/L* ¥9000/kg* ¥410/L* ¥2200/kg* ¥77/L* ¥530/kg* ¥28/L** ¥170/kg** シナリオ 1: 成長因子を添加の場合 2: 成長因子が低価格化 3: 基礎培地が¥25/Lに 4: 基礎培地のみ *Good Food Instituteによる試算 (2016)  **GFIの試算を元に算出 成長因子は技術進歩とともに不要になると考えられる。 ←原料となる培養液粉末 糖分・アミノ酸・ビタミンB類・ミネラルの混合物 将来的に¥100/kg程度、1kgを水75Lに溶かす。
  7. 7. 米 7.2億t 小麦・大麦 8.3億t トウモロコシ 8.8億t キャッサバ・ 芋類 6.3億t 大豆 2.6億t サトウキビ・甜 菜 20.7億t パーム スターチ※1 0.4 億トン 粗糖 1.7億t 肉類 3.0 億t (牛0.6豚1.1鶏※3 0.8) バイオエタノール※2 1.0億kL アミノ酸※4 0.06億トン パーム油 0.4億t 食品 (炭水化物) 細胞培養肉 代替肉 (植物性タンパク質) 粗糖 残渣 食品 (脂質) 食品 (炭水化物) 数値は2011年世界の生産量:出典地理統計要覧2014年版(二宮書店) ※1農畜産業振興機構 調査情報部 https://www.alic.go.jp/joho-d/joho08_000573.html    ※2農林水産省「海外食料 需給レポート(Monthly Report) 2015年3月」 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_rep/monthly/201503/201503.html   ※3 USDA「World Markets and Trade」   ※4 味の素試算 
 食品 (タンパク質) 食品 (タンパク質) 細胞培養肉の大量消費が実現すると、アミノ酸生産量は増大。安価なアミノ酸を大量 生産するためには、発酵原料の見直し、新規原料の開発が必須。 出典: 知念秋人様 第2回細胞農業会議にて伝統的なアミノ酸源と細胞培養肉
  8. 8. 細胞培養肉の設備関連費用 (株)大脇エンジニアリング サッポロビールHPより 化学プラントでは規模と費用の関係について「0.6乗則」が経 験的に知られているhttps://www.city.mitoyo.lg.jp/div/kankyo/pdf/kentou/10-2.pdf CA =Aプラントの建設価格 CB =Aと同種のBプラントの建設価格 SA =Aの能力(規模) SB =Bの能力(規模) CB=CA×(SB/SA)^0.6 設備費の金額感から、地域 ごとに集約した培養設備が建 設される可能性が高い。 規模の経済で大規模事業者 が有利も、差別化要因があ れば小規模事業者も強い。 (参考:地ビール) 設備費用の試算結果 (インテグリカルチャー(株)試算 / 2017年) 設備の減価償却は7年を想定、0.6乗則で試算 生産規模 設備費 肉1kgあたり設備費 100kg/月 3000万円 ¥3600 1t/月 1.2億円 ¥1420 10t/月 4.8億円 ¥570 100t/月 19億円 ¥230 1000t/月 75億円 ¥90 200L 200t
  9. 9. 繁殖 70万円 肥育 +40万円 精子販売 屠畜 +40万円 流通・ 加工 ブランド管理 (飼育) 繁殖 培養 流通・ 加工 ・飼育中の個体のプロデュース(ブランド化)が大きな価値を生む ・ブランド構築の行方で、農家間の収入がばらつく可能性あり ・培養肉ではブランドのライフサイクルが短い可能性あり ・循環型農業や有機(JAS)農業、耕畜連携が破綻する可能性あり (精子 販売) ブランド管理 バリューチェーンと付加価値のありか 血統醸成用や OPU用の牛と 似た運用 肥育牛 ¥110万 従来 畜産 細胞 農業 子牛 ¥70万 精肉 ¥150万 ※色の濃さ=付加価値の高さ 概算価格は2018年前後の相場
  10. 10. 細胞農業での事業形態の例 ファブレス 畜産農家 集約飼育 農家 飼育 委託 培養 工場 食品 会社 細胞の 納品 精肉の 出荷 ファブレスモ デル 畜産農家 (飼育者) 細胞ライセ ンスモデル 細胞冷凍 保存倉庫 細胞の 納品 培養 工場 食品 会社 適宜 解凍 精肉の 出荷 CookPad型 レシピ サイト 細胞倉庫 肉愛好家 培養レシ ピの共有 家庭用 培養器 ダウン ロード 畜産農家 細胞の 納品 細胞の 提供 細胞農業 メーカー 消費者 細胞農業メーカー 「新たな畜産農家」 消費者 精肉の 出荷
  11. 11. 家畜動物向けの芸能プロダクション業 ・細胞培養肉では特定の個体の肉が いくらでも作れるようになる。 ・食肉のブランディングの主体が、血統 から家畜個体に移り、単一有名ブラン ドではなく分散多様化する ・タレントペットのプロダクション ( https://www.mdogs.jp/ https://anicas.jp/catdog/ 等) が牛や豚にも拡大する ・個体、産地、牧場、農家ブランドなど 様々なブランド戦略がありえる 所属 芸能 プロ 培養肉 を出荷 ブランド 開発 食品会社 の類 芸能プロダクションから農家に飼育委託を するパターンも考えられる。 農家
  12. 12. 畜産農家B 食と健康とデータ:「医食同源」の具体的な実用化 畜産農家A 独自データ・培 養ノウハウ 健康 データ 健康 データ 独自データ・培 養ノウハウ 畜産農家が健康データを元に、より高機能な肉を創る
  13. 13. 細胞農業での知的財産と論点(例) 細胞の出元 培養ノウハウ 量産 モノその もの 血統の「種苗権」 精液の管理体制?(従来と同じ) ゲノムによる定義? 個体細胞の「培養権」 ゲノム配列に著作権を認める? 細胞盗難や流出の監視体制? 国際的な農業知財保護の枠組み? 培養レシピの管理 ゲノム配列と培養方法で決ま ると考えられるが、レシピは公 開?門外不出? 原料や方法の透明性 消費者の信頼を得るために、 原料やレシピを公開する? 生産技術の特許 バイオリアクターの大型化技 術など生産技術全般が対象。 細胞農業メーカーや培養事業 者の競争領域。 大量培養技術が畜産事業者 にライセンスされるのか? コトに絡 むもの 個体のブランド 鶏などの寿命が短い種では困難 ? 農家(飼育者)のブランド 個体のブランド化が飼育者に紐づ けば、農家単位でのブランド化が起 こりうる。 「培養マイスター」 酒蔵のように、培養する事業者 をブランド化する。 使用原料のブランド 培養液に「秘伝のタレ」や地域 の天然水を使うなど 企業ブランド 既存の食品や飲料メーカーの ブランド戦略と同じ? 生産拠点ブランド 一時の「世界の亀山工場」のよ うなブランド化戦略など 全般的に、クリエイティブに価値を創造する農家が成功する。
  14. 14. 肉の品質は培養方法がすべてで、品種や 血統は無意味であることが判明する? ワイルドカード (影響の大きい「まさか」) 畜産に炭素税が導入され 食肉価格が大幅上昇? 出典: FAO http://www.fao.org/ gleam/results/en/ 突発的な凶作や政治状況 での食料の禁輸? ←2013年にロシアが 政治的動機で食料を 禁輸、影響を受けた国 と代替調達国 動物愛護が主流になり「屠殺肉」が 国際的に取引禁止になる? ✔ ✖

×