函館市および道南地区は食を中心とした観光の街で 国内外から観光客が来函し、観光業や食に関連した事業が地域の経済に大きく影響しています。 今回、来函インバウンドで多数を占める定期就航便のある台湾や 中華圏のインバウンドをターゲットとして、 中華圏の食習慣に合わせ、歩きながら食べることができるワンハンドグルメの ニーズや商品などを発見・開発し、新たな名物・製品として提言します。 台湾の大学の協力のもと、“台湾夜市などで購入する商品の嗜好調査”や“食べ歩き商品の購入動機”などをアンケートやインタビューを実施します。これらのことから、中華圏の方々嗜好調査を実施し、食文化、食習慣、購入動機など、食のニーズを探り、函館の既存の看板メニューではなく、　地元食材を活用しつつ、歩きながら手軽に食べることができるワンハンドグルメを、量的・質的な調査から考察します。

1. 函館と台湾の架け橋！
新ワンハンドグルメの開発
株式会社サンフレッシュサービス
有限会社サンフーズ
東武トップツアーズ株式会社函館⽀店
函館⼤学
武⽥光 ⽶⽥葉⽉ 鈴⽊愛羅 濵野亜⾐
⼩川凜乎 ⽥澤銀⽃ ⼤坂憂⽉
⾷
調査
観光

2. 研究の背景と仮説
●研究の背景
・函館↔台湾の定期就航便の再開
(2023年5⽉にタイガーエア台湾路線が約3年ぶりに再開。)
・外国⼈観光客数がコロナ以前に戻りつつある
→北海道全体で⾒ると１番多いのは韓国(31.7%)、次いで台湾(19.5%)2022年度
しかし函館市の来函外国⼈宿泊数で⾒ると１番多いのは台湾(31.0%)2022年度
→函館は台湾からの観光客に多⼤な影響を受けていることがわかる。
→㈱サンフレッシュサービス（⾷）・㈱東武トップツアーズ函館⽀店（観光）
と連携し、調査を開始
訪⽇外国⼈来道者数
韓国218,900⼈
台湾134,400⼈
来函外国⼈宿泊数
台湾 28,046⼈
●仮説
・函館の⾷や観光を楽しんでもらうために函館の新しい名物となる*ワンハンドグルメの開発をすることで、
地域の活性化や更なる誘客を⽬指すことが可能だと考えた。*函館の⾷材を⼿軽に⾷べてもらうには「ワンハンドグルメ」が最適と考察
・台湾の⽂化として根付く『夜市』⽂化を参考に、⾷べ歩きできるワンハンドグルメを函館で提供することにより
地域の魅⼒度向上や、他観光都市との差別化を図ることができるのではないかと考えた。
https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2015062500021/files/R4irikomi.pdf
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/9/1/0/2/9/2/5/_/%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93%E8%A6%B3%E5%85%89%E5%85%A5%E8%BE%BC%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8(R4_%E6%9C%AC%E7%B7%A8).pdf

3. ・函館は様々な外国⼈観光客が訪れるが、近隣のアジア地域からの訪⽇外国⼈宿泊客数の上位を占めている。
・その中でも令和４年度の来函外国⼈宿泊客数の１位は台湾であった。
・コロナウイルスの収束に伴い、インバウンド誘客のための対策が重要になると考えた。
函館市が挙げる観光課題の「函館市のさらなる魅⼒の向上」。
☆魅⼒ある⾷･⼟産品の創造と周知。
函館ならではの⾷･⼟産品を新たに開発することが良いのでは？
来函の割合が⾼い台湾や消費額の⾼い中華圏の嗜好にあう商品や
システム設計を⾏うことで地域の活性化へ→ “⾷“ に注⽬
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001634972.pdf
函館市の観光業

4. ●夜市について
特徴→台湾の夜市は国内の様々な場所に存在し、毎⽇たくさんの⼈々で賑わっている
定義→夜市とは、夜の６時から１２時までを営業時間とし、有効な管理の下で営業を許可された露店
のことであり、台北市⺠に夜間の休息、街遊び、消費場所を提供するもの」とある。
(台北市市場管理所より)
●台湾の気候との関係
（特徴）
・⾼温多湿
・冬でも気温が15〜20℃と
過ごしやすい気候
・⽇中の気温が25℃以上、
また夏は特に暑い⽇が続き、
35〜40℃まで気温が⾼くなる
ことも多い。
→⽐較的過ごしやすくなる⼣⽅ごろから出かけ、
夜市で夜ご飯を⾷べるといったことが多い。
また台湾は外⾷⽂化のため、夜市に⼈が集まりやすい。
●夜市グルメ
主にワンハンドで⾷べられるものが売られている
・葱油餅(ツォンヨウビン)→ネギ⼊りの中華⾵お好み焼き
・⼤鶏排(ダージーパイ)→顔サイズの⼤きいフライドチキン
・臭⾖腐→発酵液に漬けた揚げ・蒸し⾖腐
・珍珠奶茶(タピオカミルクティー)
・鹹酥雞(シエンスージー)→台湾唐揚げ など
また夜市ごとに⼈気のある
お店が異なり、台北・⼠林夜市では
「焼きエリンギ」が話題である。
台北 ⼠林夜市
https://tripnote.jp/taiwan/taiwan-climate
台湾の⽂化【夜市】

5. ●アンケート調査の実施について
・函館でインバウンド効果が期待される中華圏の嗜好を調査し、新たなワンハンドグルメ開発をするために
台湾・⻑榮⼤学の協⼒のもと「外国⼈観光客の商品の購⼊動機」についてのアンケート調査を⾏った。
→アンケート調査期間は９/19 〜 10/12の約３週間⾏い、様々な年代の回答もあり計２１５件の回答を得ることが出来た。
●アンケート調査の内容
・アンケートは主に「商品の購⼊動機」と「歩きながら⾷べる商品（⾷べ歩きグルメ）」についてであり、
どのくらいの頻度でワンハンドグルメを購⼊するのか、よく⾷べる⾷べ歩きグルメや飲み物など、
台湾⼈の好みや商品の購⼊動機を深く知るために様々な質問を設定した。
沢⼭の意⾒を集めるために、様々な年代の⽅にアンケート調査を⾏った。
どれくらいの頻度で⾷べ歩きグルメを購⼊していますか？
▪全く購⼊しない
▪週に1〜2回
▪週に3〜4回
▪週に5〜6回
▪毎⽇購⼊する
調査内容

6. ●アンケート調査から
・普段よく購⼊する⾷べ歩きグルメは？→ほとんどの回答者がフルーツジュースやミルクティーなど飲料を回答
最も格差なく⼈気があるのは「ドリンク」
Q. ⾷べ歩きで飲みたいものは何ですか？
フルーツジュース・フルーツミルク・フルーツティーなど
果物・⽜乳・紅茶を使⽤しているドリンクの回答が多い
Q. 好きなフルーツは何ですか？
スイカ、マンゴー、ブドウ、パイナップルの回答が多い
→スイカジュースなどの果物を使⽤した飲料は効果的
結果
Q.「普段購⼊する夜市グルメ」の項⽬で約55%の⽅が購⼊すると回答
・下のグラフ「普段購⼊する夜市グルメ」をみると
雞排（チキンカツ）、鹹酥雞（台湾⾵唐揚げ）、
地⽠球（さつまいもボール）、珍珠奶茶（タピオカミルクティー）
以上４点がよく購⼊されることが読み取れる。
・台湾の⽢い飲⾷⽂化から４点の中でも⾼い⼈気がみられる
「地⽠球」は試験栽培が進む函館で新たなワンハンドグルメになる
可能性があるのではないかと考える。

7. 【普段の⾷べ⽅】
・焼き芋
→ 台湾では１年中、屋台やコンビニなどで焼き芋や蒸し芋が
販売されている。
・地⽠球（サツマイモボール）
→ 焼き芋と同じく１年中台湾⼈に親しまれているスイーツ。
夜市の屋台やカフェなどで⾷べることができる。
限定デザイン
PR・情報収集に
活⽤できる
→台湾独⾃の⽂化・トレンド
持ち歩きに便利な ”ドリンクホルダー” に注⽬
１．フルーツのドリンク＋ドリンクホルダー
再利⽤可能
お⼟産として
販売可能
ドリンクホルダーは布製のものが多く、
汚れても洗って再利⽤することができ、
とても環境にやさしいと⾔える。
また函館限定デザインなどを施し、
お⼟産として販売するのも効果的である。
QRコードを載せることで
PRやアンケート等にも活⽤可能
考察と提案
●台湾のサツマイモの話
https://www.kky.com.tw/jp/world/14/
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010900488.pdf
https://Japan.focustaiwan.tw/economy/202310070006
【サツマイモの歴史】
・1662年鄭成功が台湾を統治してから、⼟地を開墾して
サツマイモを栽培し、しばらくは⽶の代⽤品として⾷されていた。
「台農57號」という品種
【⽣産量】
・台湾全体におけるサツマイモの
栽培⾯積は9150ヘクタール余りである
・約22万トン（2023年）
【品種】
・台農57號、台農66號、台農73号、⽩⽢藷
２．さつまいもの活⽤

8. 函館市では温暖化による気温上昇に伴いJA函館市⻲⽥の⻘年部が
サツマイモの試験栽培を2017年から開始している。
（サツマイモの特徴）
・夏の気温上昇が必要
・霜や寒さに弱い
→近年の気温上昇の影響で
函館でも栽培可能に
栽培を始めてから、霜による被害はなし
安定した品質で収穫できている
年 気温(℃)
1980 8.2
1990 10.5
2000 9.4
2010 9.9
2020 10.2
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n01edf1d03fa9
https://www.maff.go.jp/hokkaido/hakodate/douga/attach/pdf/zentai-1.pdf
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/annually_s.php?prec_no=23&block_no=47430&year=2023&month=&day=&view=a2
40年で約２℃上昇
函館市で試験栽培が進む“サツマイモ”に注⽬
函館市の平均気温
毎年3トンほどのサツマイモが収穫
菓⼦などに使われるペースト加⼯⽤として出荷
●温暖化などの気候変動への対策
●なぜ地⽠球なのか
・地⽠球はマッシュしたものを使⽤
→サツマイモ⾃体の⼤きさや
⾒た⽬に拘らなくて良い
・また函館市のサツマイモは
「加⼯⽤」が主なため、
地⽠球とも相性が良いと考えた。
実際の販売の様⼦
昨今の温暖化や環境の変化などにより、函館の特産品に
も影響が出ている。これまで函館の名物として親しまれて
きたイカが採れず、ブリやサバが⼤漁になっている。
函館では不適とされていたサツマイモの栽培が可能にな
るなど、環境に適応するための対策や、それに付随したPR
等が求められると考える。
これからも函館・道南地域を取り巻く様々な要因にも注
⽬をしながら、今後も研究を継続していく予定である。
調査にご協⼒いただいた企業様、
⻑栄⼤学の皆様に感謝申し上げます。
函館で試験栽培が進む
サツマイモ
台湾・夜市の⼈気商品
地⽠球(サツマイモボール)
まとめ