複数人でのダンスパフォーマンスでは音楽と振り付けが上手くリンクしているものであっても,隊形が崩れているとダンスパフォーマンスとしての質が大幅に低下してしまう.そのためダンスパフォーマンスにおいて,隊形の練習は振り付けの習得と同様に重要な要素となっている.隊形を上手く魅せるためには,バラつきなく人との間隔を保つことと,次の隊形へスムーズに移行することを意識しなければならない.しかし練習の際に1人でもダンサが欠ければ,隊形の適当な間隔を掴むことが困難となる.そこで本研究では,隊形練習において一部のダンサが欠けてもスムーズに練習を行うための自走型スクリーンを用いたダンス練習支援システムを提案する.システムの提案にあたって,1人で踊る,自走ロボットと踊る,プロジェクタ映像と踊るの3つの隊形の練習手法のうち,どれが実際にダンサと2人で踊る練習手法の感覚に近いかを調査した.その結果から,プロジェクタ映像と踊る手法が最も感覚が近く,自走ロボットと踊る手法が最も移動の再現性が高いことを確認した.これら2つの手法を組み合わせた隊形練習における一部のダンサが欠けてもスムーズに練習を行うための自走型スクリーンを用いたダンス練習支援システムを提案した.また,自走型スクリーンが自走ロボットと踊る手法とプロジェクタ映像と踊る手法の利点をそれぞれ備えているか評価実験を行った.さらに,カーテンスクリーンを用いた再実験を行った.結果,提案手法は感覚の類似性が高いプロジェクタ映像と踊る手法の利点を備えているが,位置の再現性が高い自走ロボットと踊る手法の利点は備えていなかった.