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意識障害とTIA
質問です
TIA(一過性脳虚血発作)は
意識障害を伴う事が多い。
救急で搬送されたTIAの患者
を医師がTIAでないと判断。
約2週間後に患者が脳梗塞を
発症し後遺障害を負う。病院
側に慰謝料の支払いを命じた
地裁判決
70歳 女性
3月3日午後9時頃、持ち帰りの食品を
受け取るために、自宅近くの居酒屋を訪
れた。
財布から硬貨を取り出そうとした際、
左手から硬貨を落とし、それを拾っては
また落としていた。また、顔面の片側が
垂れ下がっている様子が見受けられた。
居酒屋の経営者は、患者の様子が、
以前同店で脳梗塞を発症した客の様子
と似ていたため、午後9時03分頃、
119番通報した。
意識があるものの、左上肢にしびれ
があると説明し、救急車の出動を要請
し、夫にも連絡した。
救急隊接触時、患者は椅子に座っており、
意識清明、顔色正常、呼吸正常であった。
自覚症状もなく主訴等もなく、四肢のしびれ
や麻痺もなかった。
救急隊員はTIAの疑いがあるとして、同日
午後9時15分頃、かかりつけのY医療法人
財団が開設する病院(以下Y病院)に救急
搬送した。
Y病院は、内科、循環器科、神経内科、外科、
放射線科、リハビリテーション科等の診療科目が
ある救急告示病院、精密検査実施医療機関等の
施設登録を有している医療機関である。
患者は、Y病院内科を20年ほど前に受診し、
本態性高血圧症の診断を受け、投薬治療を受けて
いた。
患者は当時、毎日飲酒し、一日当たり煙草20本
程度を、約30年間続けており、主治医から指導を
受けていた。
当直医であった消化器外科O医師は、
救急活動記録票により救急隊員が患者に
接触した際の状況が前述のようなもので
あったことを確認した。
O医師は、血圧が166/110mmHg、
意識清明で、歩行障害はなく、神経学的
検査も正常であることを確認した。
O医師は、
意識障害があるのがTIAだ
と思っていた。
患者は意識清明であり、救急隊
員から意識消失はないと聞いた
ため、TIAでないと判断した。
患者の夫から脳梗塞の疑いは
ないかと質問を受けたが、翌日
Y病院を定期受診する予定で、
夜間は、十分な検査ができない
ので、検査は明日受けるように
伝え、患者を帰宅させた。
翌日、患者はY病院を再診し、主治医の
H医師の診察を受けた。
H医師は、診察に先立ちカルテを見た
ところ、前日救急搬送され当直医が診察
したこと、TIAが疑われたことが書かれ
ていた。急性脳梗塞を疑い、脳の単純
MRI、脳動脈のMRA、DWIの各検査依頼
をした。
H医師は、前日の当直医であった「O医師」
を循環器専門医の「O.H.医師」と誤解してい
た。
カルテに異常所見の記載がないのは、O.H.
医師が脈拍の触診、心音・呼吸音・頸部音の
聴取をしても問題がなかったからであり、同
医師が患者を診察した結果、TIAの確定診断に
は至らなかったものであると思っていた。
H医師も、
一過性の意識障害がTIAである
と誤解していた。
詳しく問診をせず、患者が小銭
を取りこぼしたのは、半年前の
追突事故により左手指のしびれが
あることによるものと考えた。
交通事故後の症状と本件発症の
内容等を比較して問診することは
しなかった。
H医師は、単純MRI、MRA、DWIの各検査
結果から陳旧性脳梗塞、多発性脳虚血と診断
し、前日の症状について心原性である可能性
は低いとして、心電図検査は実施しなかった
。
診察及び検査の結果から、新鮮脳梗塞等を
否定したが、前日の症状がTIAないしその疑い
であるとは診断せず、1ヶ月後の診察予約を
した上で患者を帰宅させた。
同月17日午後10時頃、うたた寝から起きた患者の舌
が少しもつれ、表情がこわばっているのを夫が感じたが
、長時間継続しなかったことから、そのまま寝かせた。
翌18日午前4時40分頃、自宅のトイレの前で倒れた。
夫が物音に気付いて見に行ったところ、倒れていた患者
を発見し、直ちに119番通報した。同日午前5時18分、
国立病院機構Q医療センター(以下、医療センター)に
救急搬送され、医療センターにおいて、意識障害、重度
の感覚性失語、右上下肢麻痺が認められ、頭部MRI検査
で脳梗塞急性期と診断され、そのまま緊急入院した。
(損害賠償請求)
患者の合計請求額:8053万5244円
内訳:入院治療費 62万4111円 入院雑費17万8500円
入院付添費 77万3500円 介護費10万円
将来介護費 3693万9136円 装具代8万5890円
自宅改修費 19万8798円 休業損害35万0948円
逸失利益 746万2976円 入通院慰謝料250万円
後遺障害慰謝料 2400万円 弁護士費用732万1385円
(判決による請求認容額)
裁判所の認容額:440万円
内訳:慰謝料400万円+弁護士費用40万
1. 一過性脳虚血発作(TIA)を疑えば、可
及的速やかに発症機序を確定し、 脳梗
塞発症予防のための治療を直ちに開始し
なくてはならない(グレードA)。
2. TIAの急性期(発症48時間以内)の 再
発防止には、アスピリン160~ 300mg/日
の投与が推奨される (グレードA)
。
3. 非心原性TIAの脳梗塞発症予防には 抗
血小板療法が推奨され、本邦で使用 可
能なものは
アスピリン75~150mg/日
クロピドグレル75mg/日(以上、グレードA)
シロスタゾール200mg/日
チクロピジン200mg/日(以上、グレードB)
である。必要に応じて降圧薬(アンジオ
テンシン変換酵素阻害薬など)、スタチ
ンの投与も推奨される(グレードA)。
4. 非弁膜症性心房細動(NVAF)を中
心とする心原性TIAの再発防止に
は、第一選択薬はワルファリンに
よる抗凝固療法(目標INR:70歳未満
では2.0~3.0、70歳以上では
1.6~2.6)である(前者グレードA、
後者グレードB)。
6. TIAおよび脳卒中発症予防に、
禁煙(グレードA)、
適切な体重維持と運動の励行
が推奨される(グレードC1)。
飲酒は適量であれば良い(グレード
C1)。
脳卒中治療ガイドライン2009
小渕元首相
この前日、連立与党を組んでいた自由党との連立
が決裂しており、4月2日午後、政権運営がより困難
になったと思われるこの緊急事態について記者から
質問されると小渕はしばし答弁できず、無言状態か
ら言葉を出すのに10秒前後の不自然な間が生じてい
た。
これは一過性脳虚血と言う一過性の脳梗塞の症状
と考えられており、梗塞から回復したときに言葉を
出すことができたとされる。
Wikipediaより
意識障害の原因
両側大脳の広範囲の障害
脳幹の障害
意識障害の原因
全身の問題
内分泌や血糖、電解質、中毒、体温など
血流障害
直接の障害 mass effectも含む
脳梗塞で意識障害?
脳梗塞はmass effectはない。
両側大脳の脳梗塞
脳幹梗塞
でなければ意識障害は認めない。
TIAは?
脳の動脈が一時的に閉塞し、短時間で再開通したと
言う病態。
両側の大脳あるいは脳幹を灌流する動脈(複数ある
)が同時に閉塞し、それが再び同時に再還流を始め
ると言う病態は考えにくい。
あったとしても、何らかの麻痺などが残ることが多
い。
一時的な意識障害
外傷であれば脳震盪
失神と呼び、脳が原因である
ことは少なく、一時的な血圧
低下に対する検索が必要。
AIUEOTIPS
alchohol アルコール
Insulin 低血糖
Uremia 尿毒症
AIUEOTIPS
Encephalopathy
endocrine
electrolyts
AIUEOTIPS
Oxygen
Opiate
Toxin
Tempereture
Trauma
AIUEOTIPS
Infection
Psychiatry
Porphyria
AIUEOTIPS
Stroke
Seizure
Syncope
Senile

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