情報職業論 ⑦
情報職業とは
日本標準職業分類(H21.12改定)
A.専門的・技術的職業従事者
01 科学研究者
03 機械・電気技術者
08 医師・歯科医師・獣医師・薬剤師
10 情報処理・通信技術者
101 システムコンサルタント
102 システム設計者
14 経営専門職業従事者
149 経営コンサルタント(中小企業診断士)
15 教員
17 文芸家・記者・編集者
総務省統計局
→簡易化して国勢
調査に使用
103 情報処理プロジェクトマネージャ
104 ソフトウェア作成者
105 システム運用管理者
106 通信ネットワーク技術者
109 その他の情報処理・通信技術者
※国際標準職業分類
(ISCO)との整合性
日本標準職業分類(つづき)
C 事務従事者
25 一般事務の職業
26 会計事務の職業
31 事務用機器操作の職業
311 速記者・タイピスト・ワードプロセッサ操作員
312 キーパンチャー
313 電子計算機オペレーター
319 その他の事務用機器操作の職業
日本標準産業分類(H19.11改定)
F 製造業
28 情報通信機械器具製造業
29 電子部品・デバイス製造業
H 情報通信業
39 情報サービス業
391 ソフトウェア業
3911 受託開発ソフトウェア業
3912 バッケージソフトウェア業
392 情報処理・提供サービス業
3921 情報処理サービス業
3922 情報提供サービス業
3929 その他の情報処理・提供サービス業
37 通信業
38 放送業
40 インターネット
付随サービス業
41 映像・音声・文字
情報制作業
情報職業
情報(知識)の生産・加工・流通などに
携わる専門的職業
一般に,高専・短大・大学など高等教
育機関の修了と国家認定資格試験の合
格・資格の保有などが就業の前提(マ
スト条項)であることが多い
士(さむらい)職業と総称される。弁護
士・弁理士・公認会計士・看護師・保
育士など
情報処理技術者試験の体系
情報処理推進機構が経済産業省の代わ
りに実施・認定する国家試験。ただし
他の「士職業」と異なり、知識・技能
の水準の認定にはなっても、その資格
の保有の有無が就業には直結しない
情報処理技術者試験の意味
IT関連技術といっても,何ができるの
か,どの程度の知識・能力があるのか
がわからない
IT技術者の職種やその知識・能力に関
する「共通のものさし」として機能さ
せる狙い
マルチメディア系
マルチメディア系スキルの保有レベル
を図る検定として,画像情報教育振興
協会(CG-ARTS協会)の検定がある
CGクリエーター検定
CGエンジニア検定
Webデザイナー検定
画像処理エンジニア検定
マルチメディア検定
その他民間資格
Microsoft Office Specialist
MCP(Microsoft Certified Professional)
シスコ技術者認定
オラクル・マスター
CompTIA A+(クライアント環境運用・管理業務)
CompTIA Network+ など
資格の“権威付け”では劣るが,“即戦力”と
しての能力を判断しやすい
医療情報系
保健医療福祉専門職の一員として,医
療情報を扱う資格検定として,日本医
療情報学会が付与する民間検定がある
医療情報基礎知識検定試験
医療情報技師能力検定試験
上級医療情報技師能力検定試験
試験への評価
ユーザが発注先を選定する際に,ベン
ダの能力を測定できる。IT技術者個々
の能力も客観的に測定できる
教育・訓練の計画の指標となる
IT技術者個人が自分のキャリアパスを
考え研鑽する際の動機付けとなる(た
だし,昇給・昇進の材料とすることに
は否定的なベンダ,ユーザが多い)
情報部門と情報職業
情報部門の根幹には情報職業従事者も
多いが,非情報職業従事者も多い
逆に,非情報部門であっても,企業内
部向けなどに情報サービスを提供する
情報職業従事者が存在する(ポラトの
「第二次情報部門」)
例:新聞社の場合
情報職業としての新聞記者・カメラマ
ンなど
境界的職業としての印刷工・配送ト
ラック運転士など
非情報職業としての社員食堂調理員・
清掃員など
新聞社の賃金体系
基本給は全職種で共通
調整給で職種ごとの特殊性を吸収
諸手当により労働内容(勤務実態)に見
合った給与に
非情報現場では「残業手当」があるが,
情報職業では「打切手当」(職場ごと
に一定時間数の残業時間があるものと
して,それ以降の残業代を切り捨て)
情報職業の代替性
情報職業を内部(正規)で抱えるか,非
正規雇用するか,外部化するか
一定規模を超える事業所では,産業
医・看護師の雇用が義務付けられるが,
外部化・非正規化も可
経理部員は税理士・会計士・監査法人
などに外部化できるが,総務部は?
営業部員は代替性が効くか?
情報職業の特徴
雇用の市場化: 中途採用・中途退職の
増加。流動化
年功型賃金体系の崩壊: 成功報酬・年
俸制の先駆的採用
新たな就業形態: テレワーク,フリー
ランス,裁量労働時間制
テレワーク
ネットワークを活用し,時間・場所に
制約されずに労働すること
雇用型(在宅勤務・サテライトオフィ
ス勤務・モバイル型,2010年で445
万人)
非雇用型(独立自営型・エージェント
組織登録型)
裁量労働制の種別
フレックスタイム制度: 出社・退社時
刻は自由。ただし1日単位で所定労働
時間を充たす必要。コアタイムが設定
されることが多く,裁量の余地は相対
的に小さい
裁量労働制: 1日1分でも出社し,週単
位で所定労働時間を充たす必要
自由労働制: 労働の成果を上げる限り,
労働時間の縛りを設けない
情報(知識)職業の特質1
頭脳集約的(^。^;)
相対的に高い報酬水準
労働(拘束)時間ではなく「成果」で評
価しやすい→自由な就労形態へ
知識・スキルの陳腐化が激しい→常に
再投資が必要
リタイア年齢が相当的に若い
頭脳集約性(^。^;)
人・月→プログラム開発などコスト計
算の基本(◯人が◯ヶ月従事するか)。
設定を下回ると設けになり,上回れば
損益になる
全体を設計・統括するリーダー(頭脳
集約)と,ルーティンワークをこなす
ワーカー(労働集約性)の存在
厳しい納期→最後は労働集約のデス
マーチ
「35歳定年」説
技術進歩が激しく,知識・技能の陳腐
化が著しいため,再教育を施しても限
界がある
納期が近づくと,不眠不休・徹夜の連
続になるが,「身体の曲がり角」であ
る35歳を超えると,体力的に無理が
効かなくなる
生涯現役か? 転職か? 管理職(マネ
ジャー)への転進か?
お針子集団
多重下請構造は繊維業(呉服)・建設業
(元請けのゼネコン)などに共通する日
本の伝統的産業構造でもある
末端では低賃金で労働集約的な内職従
事者(針子)が産業を下支えする(針子部
分は海外に容易に移転しうる
アニメ・ゲーム・編集などコンテンツ
産業でも同様の構造がみられる
内職
任天堂の花札と
“裏貼り”の内職 西陣織の総絞振袖と
手絞り
情報(知識)産業の特質2
高いレベルの教育で専門知識の体系に
精通することを要求する
大きな自律性を有する(他者から制約
を受けることが少ない)
職業への加入を管理し,業務の基準を
定める専門家組織が存在する
重要な社会的機能を果たしたり,社会
的な「善」に関係したりする
コンピュータ関連職業人
いくつかの資格が必ずしも職業人の
“質”を保証しない→ACM倫理綱領
弁護士・医師・教師ほどの“専門職”で
はない(自律性・絶対善の面で)
株式仲買人・郵便配達人などの職業に
比べると,専門職により近い
ACM:Association for computing machinery。
倫理綱領は1996年7月施行
ACM倫理綱領
一般的な道徳上の義務
より特殊な,専門家としての責任
生じる可能性のあるリスクの分析を含む,コン
ピュータシステムとその影響を,包括的かつ徹
底的に評価する
組織の指導者の義務
ユーザー及び他の人々の尊厳を守る方策をはっ
きり述べ,支持する
情報職業の3モデル
代理モデル: 専門的知識を持った代理
に徹する。アドバイスはするが,顧客
の誤った決定も受け入れる(例:弁護士)
パターナリズムモデル: 顧客は意志決
定の権限をすべて専門家に譲渡。顧客
利益の最大化に努める
委託モデル: 顧客と専門家とが協議の
上,意志決定する
職業倫理規定(米法曹協会)
信頼関係(confidential relation)
忠実義務(duty of royalty)を負い,そ
の最善の利益を図る
優越的地位の濫用の禁止
利害相反(conflict of interest)の禁止
(双方代理の禁止)
倫理
倫理: 内発性・主体性が特徴で,外的
強制を伴わない。「強制力なき法」
行為規範: 道徳とほぼ同義。いかなる
状況でも他者の批判を受けず,称賛を
集めることができる行為類型。礼儀,
約束事(プロトコル),倫理綱領。規範
集団から有形無形の拘束を受ける
法律: 多くは罰則規定を伴う
たとえばP2P
倫理: 他者の知的成果を無料で利用す
るのは倫理にもとる
行為規範: 大学のネットワーク資源利
用の約束事に抵触(他者〈とくに仲間〉
に迷惑をかけない)
法律: 著作権の侵害(一罰百戒としての
逮捕)
情報職業に求められる倫理1
ユーザーは公平に。差別待遇をしない
知的財産権など法律を遵守する
ユーザーは知識をもたず,情報職業従
事者の知識・経験・誠意を信頼してい
る(知識のアンバランス)。専門家として,
常に最善の努力を惜しまない
ユーザーに対する説明責任を果たす
ユーザー・雇用者に対する守秘義務を
守る(機密を漏洩しない)
情報職業に求められる倫理2
最も無防備な人(ユーザー)への危害を
増大させてはならない
すでにリスクが存在する状況で,さら
にリスクを増大させない
危険性や限界について,誠実に情報公
開する責任がある
顧客の意見を聞き,訓練を施す

Syokugyou2016 07