NetApp Round Table
                                          IT infrastructure in New Era




               NetApp Round Table #1

          新時代の IT インフラ
      ── 技術トレンドとユーザー企業の構え──




                                                      河原 潤
May 12, 2010                      Jun Kawahara, IT Journalist / Editor
                                                  kawajun@gmail.com



                                                                         1
NetApp Round Table
                                                  IT infrastructure in New Era



                       (自己紹介)
河原 潤(かわはら・ じゅん)/ IT ジャーナリスト
1968 年神奈川県藤沢市生まれ。明治大学文学部卒業後、教育系出版社を経て、 1997 年
、 IT 専門出版社の IDG に入社。 2000 年 10 月から 2003 年 9 月まで Sun/Solaris の技術誌
「月刊 SunWorld 」の編集長を務める。同年 11 月、「月刊 Computerworld 」の創刊に携
わり、同誌の編集長に就任。月刊誌と Web サイトの刊行・運営を通じて、エンタープ
ライズ IT の全領域を追いかける。 2008 年 11 月、「月刊 CIO Magazine 」の編集長に就
任。 CIO の役割と戦略策定、経営と IT のかかわりをテーマに取材を重ねる。 2009 年
10 月に独立し、 IT ジャーナリスト、インディペンデントコントラクター として始動。
上記 2 誌のほか、「 IT Leaders 」(インプレスビジネスメディア)、「 ITmedia エグゼ
クティブ」「 ITmedia エンタープライズ」(アイティメディア)、「 IT Initiative 」
「 EnterpriseZine 」(翔泳社)などの IT マネジメント層向け媒体に寄稿中




                                                                                 2
NetApp Round Table
                                        IT infrastructure in New Era

    2000 年代の後半からビジネスの世界で起こっている
                 こと
不確実性の時代                    「規模の経済」から「速度の経
● 政局、経済環境、法制、景気、気象、災       済」へ
害の急激な変化・変動が経営や市場ニーズ        ● 製品ライフサイクルの短縮が進む
を予測困難なものに                  ● 経済環境が急変する中で、ビジネスのサイク
                           ルと IT 供給のサイクルとの間のギャップが拡大
                           →3 カ年計画といった IT の中長期計画がビジネ
                           スの変化速度に追いつかなくなる
グローバル化                     ビジネスのパラダイムシフト
●IT の進展で国・地域の参入障壁が廃される     ● 旧来のセオリー・価値観の終焉
 →欧米に中国、 BRICs を加えての国際競争     ( 例 ) コンビニが売上高で百貨店を抜く、ネッ
● 日本市場の限界→国内だけでは生き残れない     ト販売の定着、旧来のマスメディアの衰退 etc
● グローバル経済構造の変化・複雑化




  「変化への対応力」が企業規模・業種を問わず求められる時代。
   2010 年代、 IT 部門最大のミッションは、「自身(組織)が変
         化」しながら「変化に強い IT 」を提供すること

                                                                       3
NetApp Round Table
                                               IT infrastructure in New Era



              IT 部門・ IT システムにまつわる諸問題
IT 予算の圧縮                          コンプライアンス/ CSR への対
● 半数近くの企業で、 2009 年度の IT 投資額       応
が前年度よりも減少( ITR 調査「国内 IT 投資        ●J-SOX 、個人情報保護法、新会社
動向調査 2010 」)                      法、 IFRS 、業種別法規制、地域別法規制、
                                  グローバル展開先の法規制( HIPPA 法、グラ
定常コストの増大                          ム・リーチ・ブライリー法など)への「 IT に
● 既存システムの維持・保守に追われて、十             よる対応」
分な戦略投資が行えない状況                     ● グリーン IT 、リスクマネジメント、ビジネ
● IT 投資全体に占める新規投資:北米平均
                                  IT ガバナンス・組織力・リー
                                  ス・コンティニュイティ/サステナビリティ
24 %、欧州平均 28 %、豪州 18 %、中国
20 %、韓国 20 %、日本 15 %( Forrester   ダーシップの不十分
Research 調査)                      ● 十分な戦略投資を行えるだけの人的・金銭
業務データの爆発的増大                       的リソースの不足
● データ管理負荷の増大とシステム全体の複             ● ベンダー、 SI への依存体質から脱却できな
雑性増大                              い
● 蓄積したデータの“真の”情報資産化が不十分           ● 真の意味での CIO 職、 IT リーダー職が登場
                                  する組織制度・土壌になっていない
システム/データの広域分散                     ● IT スタッフに対する人材育成・教育プラン
● 部門や拠点ごとで IT システムがサイロ化           の不在。現有人材/スキルと求められる人材
● システム/アプリケーション/データの分             /スキルのミスマッチ
散が進み、連携の仕組みが未整備だと、ユー              ● クラウド/マルチソーシング時代に求めら
ザーが業務上必要なタイミングで情報を取り              れる「 IT 部門の役割・存在意義」 を明確化
出すことが困難                           できていない

                                                                              4
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     [参考]自社で重要視される IT 施策( 2008 ~ 2010 年
               度推移)
          2008 年度               2009 年度    2010 年度




出典: ITR 「国内投資動向調査 」 (2008, 2009,2010)

                                                                         5
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                                             IT infrastructure in New Era


              企業 IT 分野における近年の主要トレンド
 クラウド・コンピューティン                   グリーン IT
 グ                               ● 地球環境保護への意識の高まり、 CSR の一環
 ●“ 持たざる IT” がもたらすメリットの周知        ● データセンター/ IT 機器の省電力・省スペース
                                 化
 ● 業務部門主導の IT 選定( SaaS/ASP )     ● 「結果としてのグリーン IT 」:仮想化、システ
 ● プラットフォーム/基盤レイヤのクラウ            ム統合、マルチコア CPU 、 SSD などの実施・採
 仮想化技術 )                         コミュニケーション/コラボレー
                                 用の副次的効果
 ド化( PaaS/IaaS
 ●IT リソースの効率利用のメリットの周知           ション
 ● 技術と製品が成熟し、普及期に。また、            ● 属人化・暗黙知→集合知 
 クラウドの中核技術としてさらなる進化の             ● ユニファイド・コミュニケーション、テレプレゼ
 方向へ                             ンス
システム/アプリケーション/データ統合              ● ソーシャルネットワーキング技術の業務活用
● リソース分散で肥大した運用管理負荷・コストの削減       ● メールや旧来のグループウェアを置き換える
● 仮想化技術/製品の成熟で実効性が増す             オープンソース・ソフトウェアの
                                 コンセプトのメッセージング製品も登場
                   活用
内部統制/コンプライアンス/セキュリティ
                   ●Linux /軽量言語/業務 OSS の成熟で、フロン
● J-SOX 法、個人情報保護法、 IFRS 、業種ごとの法規制 トエンドから基幹領域へ
● Gumblar ウイルスの猛威でサイト改竄・情報漏洩が多発 クライアント・デバイスの高性能
                                 化・多様化
ビジネス・プロセスの標準化                    ● 低価格ながら性能向上が著しい PC
● ビジネスと IT の一体化、ビジネス・アジリティの向上    ● スマートフォン、タブレット PC 、電子書籍リー
                                 ワークスタイル革新
                                 ダー
 ビジネス/データ分析                      ● 生産性向上、業務の質的改善
 ● 世界不況の中で経営判断/予見力向上の機運          ● ワークライフバランス、ダイバーシティの機
 ●DWH 、 BI 、 CPM/EPM 、経営ダッシュボー
 ド
                                 運
                                 ● モバイル/テレワーク技術の進展
                                                                            6
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                        IT infrastructure in New Era


    [参考]ガートナーの先進技術ハイプサイクル




出典:ガートナー( 2009 年 8 月)                                  7
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                       ハイブリッド型 IT インフラ
                   ── 「変化に強い IT 」を提供しうる基盤

理想解は「ハイブリッド型 IT インフ
ラ」
● オンプレミス、プライベートクラウド、パブリック
クラウドの混在環境)
● 各 IT リソースの所在と運用形態は要件(性能、機能
、 RAS 、コスト、 SLA 、コア性/非コア性など)に
よって、適材適所型で決定される
アプリケーション
●BPM/SOA ベース上に構築
● 競争優位→オンプレミス
● コモディティ
 →パブリッククラウド
( SaaS )

ミドルウェア                             SOA/BPM
●SOA :疎結合・再利用性の追求
●BPM :ビジネスプロセス標準化
● パブリッククラウド( PaaS )
● アジャイル開発
● リアルタイム監視管理/自動化


IT インフラ
● コア/基幹→オンプレミスま
たはプライベートクラウド
(実態は仮想サーバ/スト
レージ)
● 非コア/コモディティ→パブ
                          オンプレミス             プライベートクラウドパブリッククラウド
リッククラウド
( IaaS/HaaS )                                                                  8
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                クラウド・コンピューティング
             ──ハイブリッド型 IT インフラの中核技術

クラウドの形態                         クラウド適用の考慮点
●1. IT リソースの所在による分類:            ● 要件(コア/非コア、性能、機能、 RAS 、
                                コストなど)を明確化し、左記● 1. にオンプレ
パブリッククラウド(自社ファイアウォールの外)
                                ミスを加えた所在分類、● 2 . ITレイヤ分類
コミュニティクラウド(グループ共用)
                                、● 3. 支払い分類の各種形態の中から、最適な
プライベートクラウド(自社ファイアウォール
                                組み合わせを決定
内)
                                ● クラウドの採用で得られるメリット/デメ
●2 .IT レイヤによる分類:
                                リットの検証。特に既存の IT インフラに与え
ASP (シングルテナント型) /SaaS (マルチテナン   る影響を事前に把握
ト型)                             ・構築期間(主に調達・実装プロセス)
PaaS (プラットフォーム)                 ・コスト(長期的な IT コスト計画との整合
IaaS (インフラ) /HaaS (ハードウェア)      性)
DaaS (デスクトップ)                   ・信頼性( SLA :サービス・レベル保証)
Dev-aaS (開発環境)                  ・セキュリティ
                                ・コンプライアンス( IT リソースの所在)
●3. 対価支払い方法による分類:               ・既存 IT システムへの影響
買い取り                            (データ/システム連携手法、連携後のサービ
従量課金制                           ス・レベル)

                                ● コントラクト・マネジメント
                                ・サービスの打ち切り時の対応(データの引き
                                上げをどうするか)までを想定
                                ・採用後に、より有用なサービスが現れたとき                    9
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                 仮想化技術
         ──ハイブリッド型 IT インフラの中核技術

仮想化の形態                    仮想化適用の考慮点
● 基本的な仕組みによる分類:           ● 適用目的・メリット
分割型(パーティショニング)/統合または合成    ・サーバ統合
型(アグリゲーション)/エミュレーション型     ・運用管理負荷の軽減/自動化(ポリシー・
                          ベース運用)
●IT レイヤによる分類:             ・仮想サーバの迅速な立ち上げと停止(主にテ
サーバ仮想化/ストレージ仮想化/デスクトッ     スト環境、開発環境)
プ仮想化/アプリケーション仮想化 /ネット     ・ディザスタ・リカバリ環境の低コスト構築
ワーク仮想化                    ・アプリケーション仮想化を活用したシンクラ
                          イアントの構築
● 関連キーワード                 ・ グリーン IT
・プロビジョニング:自動的なリソース割り当て。
サーバ・プロビジョニング、ストレージのシンプロ   ● 問題点
ビジョニング                    ・キャパシティ計画の不十分が引き起こすパ
・ライブマイグレーション:仮想マシン移       フォーマンス低下
動。 DR への応用                ・仮想マシンの乱立(サーバ・スプロール)
・仮想化データセンター とプライベートクラウ    ・運用管理/セキュリティ対策の複雑化(現行
ド:仮想化データセンターは、主としてハード     の統合運用管理ツールでは物理/仮想のシーム
ウェア側からのアプローチで、プライベートクラウ   レスな一元管理が困難)
ドの前提となる環境。プライベートクラウドは、仮   ・マルチベンダー環境での相互運用性の不十分
想化データセンターにアプリケーション側からのア   ・マルチコア CPU 環境でのライセンス料の急
プローチ(システム構築・運用管理の仕組み)を付   騰
加                         ・ストレージリソースの逼迫
                          ・ IT スタッフのスキル不足
                                                                   10
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               新時代のデータセンター
          ──ハイブリッド型 IT インフラの提供基盤

新時代のデータセンターのコンセ            新時代のデータセンターの考慮点
プト                         ● 適用目的・メリット
● クラウドの適用が進むことで、システム指向     ・変化に強い IT インフラ
からサービス指向、ユーザー指向へ           ・ IT リソース全体の可視化
                           → 利用効率の最大化
● データセンターの全体最適化:データセン      → サービス指向/ユーザー指向:ユーザーがす
ター設備全体で効率( IT リソース利用効率&エ   べてを把握し、主体的に打ちたい手を打てる IT
ネルギー効率)を高めるための仕組み          インフラの実現
・スケールアウト主体の設計
・ IT インフラの標準化              ● 課題・問題点
・フロントエンド/デスクトップへの適用        ・ 現状では、ハイブリッド環境をカバーする統
                           合運用管理ツールが見あたらない。
● ハイブリッド環境(オンプレミス/クラウド     → 構成/リソース変更を追従できる運用管理レ
、物理/仮想化の混在環境)のシームレスな統      イヤを独自構築する必要あり
合運用管理レイヤ                   ・クラウド・サービス間の連携技術が未成熟
・ IT サービスマネジメント            ・グローバル展開時のクラウド・リソースの所
・ IT リソースの可視化              在の問題(展開先のコンプライアンス)
・ビジネスインパクト管理、業務視点でのシス      ・自社の各部門にユーティリティ・モデル(従
テムパフォーマンス管理                量課金制)を適用できるか?
・継続的なデータ管理・保護: D2D バックアッ
プ、 CDP 、スナップショット、仮想テープライ
ブラリ、データモビリティ
                                                                     11
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           IT infrastructure in New Era



( memo )




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新時代のITインフラ -技術トレンドとユーザー企業の構え- (20100512)

  • 1.
    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era NetApp Round Table #1 新時代の IT インフラ ── 技術トレンドとユーザー企業の構え── 河原 潤 May 12, 2010 Jun Kawahara, IT Journalist / Editor kawajun@gmail.com 1
  • 2.
    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era (自己紹介) 河原 潤(かわはら・ じゅん)/ IT ジャーナリスト 1968 年神奈川県藤沢市生まれ。明治大学文学部卒業後、教育系出版社を経て、 1997 年 、 IT 専門出版社の IDG に入社。 2000 年 10 月から 2003 年 9 月まで Sun/Solaris の技術誌 「月刊 SunWorld 」の編集長を務める。同年 11 月、「月刊 Computerworld 」の創刊に携 わり、同誌の編集長に就任。月刊誌と Web サイトの刊行・運営を通じて、エンタープ ライズ IT の全領域を追いかける。 2008 年 11 月、「月刊 CIO Magazine 」の編集長に就 任。 CIO の役割と戦略策定、経営と IT のかかわりをテーマに取材を重ねる。 2009 年 10 月に独立し、 IT ジャーナリスト、インディペンデントコントラクター として始動。 上記 2 誌のほか、「 IT Leaders 」(インプレスビジネスメディア)、「 ITmedia エグゼ クティブ」「 ITmedia エンタープライズ」(アイティメディア)、「 IT Initiative 」 「 EnterpriseZine 」(翔泳社)などの IT マネジメント層向け媒体に寄稿中 2
  • 3.
    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era 2000 年代の後半からビジネスの世界で起こっている こと 不確実性の時代 「規模の経済」から「速度の経 ● 政局、経済環境、法制、景気、気象、災 済」へ 害の急激な変化・変動が経営や市場ニーズ ● 製品ライフサイクルの短縮が進む を予測困難なものに ● 経済環境が急変する中で、ビジネスのサイク ルと IT 供給のサイクルとの間のギャップが拡大 →3 カ年計画といった IT の中長期計画がビジネ スの変化速度に追いつかなくなる グローバル化 ビジネスのパラダイムシフト ●IT の進展で国・地域の参入障壁が廃される ● 旧来のセオリー・価値観の終焉  →欧米に中国、 BRICs を加えての国際競争   ( 例 ) コンビニが売上高で百貨店を抜く、ネッ ● 日本市場の限界→国内だけでは生き残れない ト販売の定着、旧来のマスメディアの衰退 etc ● グローバル経済構造の変化・複雑化 「変化への対応力」が企業規模・業種を問わず求められる時代。 2010 年代、 IT 部門最大のミッションは、「自身(組織)が変 化」しながら「変化に強い IT 」を提供すること 3
  • 4.
    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era IT 部門・ IT システムにまつわる諸問題 IT 予算の圧縮 コンプライアンス/ CSR への対 ● 半数近くの企業で、 2009 年度の IT 投資額 応 が前年度よりも減少( ITR 調査「国内 IT 投資 ●J-SOX 、個人情報保護法、新会社 動向調査 2010 」) 法、 IFRS 、業種別法規制、地域別法規制、 グローバル展開先の法規制( HIPPA 法、グラ 定常コストの増大 ム・リーチ・ブライリー法など)への「 IT に ● 既存システムの維持・保守に追われて、十 よる対応」 分な戦略投資が行えない状況 ● グリーン IT 、リスクマネジメント、ビジネ ● IT 投資全体に占める新規投資:北米平均 IT ガバナンス・組織力・リー ス・コンティニュイティ/サステナビリティ 24 %、欧州平均 28 %、豪州 18 %、中国 20 %、韓国 20 %、日本 15 %( Forrester ダーシップの不十分 Research 調査) ● 十分な戦略投資を行えるだけの人的・金銭 業務データの爆発的増大 的リソースの不足 ● データ管理負荷の増大とシステム全体の複 ● ベンダー、 SI への依存体質から脱却できな 雑性増大 い ● 蓄積したデータの“真の”情報資産化が不十分 ● 真の意味での CIO 職、 IT リーダー職が登場 する組織制度・土壌になっていない システム/データの広域分散 ● IT スタッフに対する人材育成・教育プラン ● 部門や拠点ごとで IT システムがサイロ化 の不在。現有人材/スキルと求められる人材 ● システム/アプリケーション/データの分 /スキルのミスマッチ 散が進み、連携の仕組みが未整備だと、ユー ● クラウド/マルチソーシング時代に求めら ザーが業務上必要なタイミングで情報を取り れる「 IT 部門の役割・存在意義」 を明確化 出すことが困難 できていない 4
  • 5.
    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era [参考]自社で重要視される IT 施策( 2008 ~ 2010 年 度推移) 2008 年度 2009 年度 2010 年度 出典: ITR 「国内投資動向調査 」 (2008, 2009,2010) 5
  • 6.
    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era 企業 IT 分野における近年の主要トレンド クラウド・コンピューティン グリーン IT グ ● 地球環境保護への意識の高まり、 CSR の一環 ●“ 持たざる IT” がもたらすメリットの周知 ● データセンター/ IT 機器の省電力・省スペース   化 ● 業務部門主導の IT 選定( SaaS/ASP ) ● 「結果としてのグリーン IT 」:仮想化、システ ● プラットフォーム/基盤レイヤのクラウ ム統合、マルチコア CPU 、 SSD などの実施・採 仮想化技術 ) コミュニケーション/コラボレー 用の副次的効果 ド化( PaaS/IaaS ●IT リソースの効率利用のメリットの周知 ション ● 技術と製品が成熟し、普及期に。また、 ● 属人化・暗黙知→集合知  クラウドの中核技術としてさらなる進化の ● ユニファイド・コミュニケーション、テレプレゼ 方向へ ンス システム/アプリケーション/データ統合 ● ソーシャルネットワーキング技術の業務活用 ● リソース分散で肥大した運用管理負荷・コストの削減 ● メールや旧来のグループウェアを置き換える ● 仮想化技術/製品の成熟で実効性が増す オープンソース・ソフトウェアの コンセプトのメッセージング製品も登場 活用 内部統制/コンプライアンス/セキュリティ ●Linux /軽量言語/業務 OSS の成熟で、フロン ● J-SOX 法、個人情報保護法、 IFRS 、業種ごとの法規制 トエンドから基幹領域へ ● Gumblar ウイルスの猛威でサイト改竄・情報漏洩が多発 クライアント・デバイスの高性能 化・多様化 ビジネス・プロセスの標準化 ● 低価格ながら性能向上が著しい PC ● ビジネスと IT の一体化、ビジネス・アジリティの向上 ● スマートフォン、タブレット PC 、電子書籍リー ワークスタイル革新 ダー ビジネス/データ分析 ● 生産性向上、業務の質的改善 ● 世界不況の中で経営判断/予見力向上の機運 ● ワークライフバランス、ダイバーシティの機 ●DWH 、 BI 、 CPM/EPM 、経営ダッシュボー ド 運 ● モバイル/テレワーク技術の進展 6
  • 7.
    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era [参考]ガートナーの先進技術ハイプサイクル 出典:ガートナー( 2009 年 8 月) 7
  • 8.
    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era ハイブリッド型 IT インフラ ── 「変化に強い IT 」を提供しうる基盤 理想解は「ハイブリッド型 IT インフ ラ」 ● オンプレミス、プライベートクラウド、パブリック クラウドの混在環境) ● 各 IT リソースの所在と運用形態は要件(性能、機能 、 RAS 、コスト、 SLA 、コア性/非コア性など)に よって、適材適所型で決定される アプリケーション ●BPM/SOA ベース上に構築 ● 競争優位→オンプレミス ● コモディティ  →パブリッククラウド ( SaaS ) ミドルウェア SOA/BPM ●SOA :疎結合・再利用性の追求 ●BPM :ビジネスプロセス標準化 ● パブリッククラウド( PaaS ) ● アジャイル開発 ● リアルタイム監視管理/自動化 IT インフラ ● コア/基幹→オンプレミスま たはプライベートクラウド (実態は仮想サーバ/スト レージ) ● 非コア/コモディティ→パブ オンプレミス プライベートクラウドパブリッククラウド リッククラウド ( IaaS/HaaS ) 8
  • 9.
    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era クラウド・コンピューティング ──ハイブリッド型 IT インフラの中核技術 クラウドの形態 クラウド適用の考慮点 ●1. IT リソースの所在による分類: ● 要件(コア/非コア、性能、機能、 RAS 、 コストなど)を明確化し、左記● 1. にオンプレ パブリッククラウド(自社ファイアウォールの外) ミスを加えた所在分類、● 2 . ITレイヤ分類 コミュニティクラウド(グループ共用) 、● 3. 支払い分類の各種形態の中から、最適な プライベートクラウド(自社ファイアウォール 組み合わせを決定 内) ● クラウドの採用で得られるメリット/デメ ●2 .IT レイヤによる分類: リットの検証。特に既存の IT インフラに与え ASP (シングルテナント型) /SaaS (マルチテナン る影響を事前に把握 ト型) ・構築期間(主に調達・実装プロセス) PaaS (プラットフォーム) ・コスト(長期的な IT コスト計画との整合 IaaS (インフラ) /HaaS (ハードウェア) 性) DaaS (デスクトップ) ・信頼性( SLA :サービス・レベル保証) Dev-aaS (開発環境) ・セキュリティ ・コンプライアンス( IT リソースの所在) ●3. 対価支払い方法による分類: ・既存 IT システムへの影響 買い取り (データ/システム連携手法、連携後のサービ 従量課金制 ス・レベル) ● コントラクト・マネジメント ・サービスの打ち切り時の対応(データの引き 上げをどうするか)までを想定 ・採用後に、より有用なサービスが現れたとき 9
  • 10.
    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era 仮想化技術 ──ハイブリッド型 IT インフラの中核技術 仮想化の形態 仮想化適用の考慮点 ● 基本的な仕組みによる分類: ● 適用目的・メリット 分割型(パーティショニング)/統合または合成 ・サーバ統合 型(アグリゲーション)/エミュレーション型 ・運用管理負荷の軽減/自動化(ポリシー・ ベース運用) ●IT レイヤによる分類: ・仮想サーバの迅速な立ち上げと停止(主にテ サーバ仮想化/ストレージ仮想化/デスクトッ スト環境、開発環境) プ仮想化/アプリケーション仮想化 /ネット ・ディザスタ・リカバリ環境の低コスト構築 ワーク仮想化 ・アプリケーション仮想化を活用したシンクラ イアントの構築 ● 関連キーワード ・ グリーン IT ・プロビジョニング:自動的なリソース割り当て。 サーバ・プロビジョニング、ストレージのシンプロ ● 問題点 ビジョニング ・キャパシティ計画の不十分が引き起こすパ ・ライブマイグレーション:仮想マシン移 フォーマンス低下 動。 DR への応用 ・仮想マシンの乱立(サーバ・スプロール) ・仮想化データセンター とプライベートクラウ ・運用管理/セキュリティ対策の複雑化(現行 ド:仮想化データセンターは、主としてハード の統合運用管理ツールでは物理/仮想のシーム ウェア側からのアプローチで、プライベートクラウ レスな一元管理が困難) ドの前提となる環境。プライベートクラウドは、仮 ・マルチベンダー環境での相互運用性の不十分 想化データセンターにアプリケーション側からのア ・マルチコア CPU 環境でのライセンス料の急 プローチ(システム構築・運用管理の仕組み)を付 騰 加 ・ストレージリソースの逼迫 ・ IT スタッフのスキル不足 10
  • 11.
    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era 新時代のデータセンター ──ハイブリッド型 IT インフラの提供基盤 新時代のデータセンターのコンセ 新時代のデータセンターの考慮点 プト ● 適用目的・メリット ● クラウドの適用が進むことで、システム指向 ・変化に強い IT インフラ からサービス指向、ユーザー指向へ ・ IT リソース全体の可視化 → 利用効率の最大化 ● データセンターの全体最適化:データセン → サービス指向/ユーザー指向:ユーザーがす ター設備全体で効率( IT リソース利用効率&エ べてを把握し、主体的に打ちたい手を打てる IT ネルギー効率)を高めるための仕組み インフラの実現 ・スケールアウト主体の設計 ・ IT インフラの標準化 ● 課題・問題点 ・フロントエンド/デスクトップへの適用 ・ 現状では、ハイブリッド環境をカバーする統 合運用管理ツールが見あたらない。 ● ハイブリッド環境(オンプレミス/クラウド → 構成/リソース変更を追従できる運用管理レ 、物理/仮想化の混在環境)のシームレスな統 イヤを独自構築する必要あり 合運用管理レイヤ ・クラウド・サービス間の連携技術が未成熟 ・ IT サービスマネジメント ・グローバル展開時のクラウド・リソースの所 ・ IT リソースの可視化 在の問題(展開先のコンプライアンス) ・ビジネスインパクト管理、業務視点でのシス ・自社の各部門にユーティリティ・モデル(従 テムパフォーマンス管理 量課金制)を適用できるか? ・継続的なデータ管理・保護: D2D バックアッ プ、 CDP 、スナップショット、仮想テープライ ブラリ、データモビリティ 11
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    NetApp Round Table IT infrastructure in New Era ( memo ) 12

Editor's Notes

  • #2 January 30, 2013 企業コンピューティングに特化した媒体や記事に携わり、ベンダー各社の戦略・技術・製品やユーザーの動向を眺めてきたところから、新時代の IT 基盤について、今日の企業 IT の技術トレンドやユーザー企業 IT 部門が抱える課題と共に簡単にお話をさせていただきます
  • #3 January 30, 2013
  • #4 January 30, 2013 「規模の経済」から「速度の経済」へ 環境変化の“幅”が大きく、“スピード”も速い時代 グローバル化 日本のグローバル企業の多くが、米国、欧州のような従来の主要市場だけでなく、中国をはじめとするアジアや南米、ロシアといった広範な市場でビジネス展開を始めている。しかも、単に日本からの輸出という 1 対 n の関係よりも、今では、日本企業がアジアの拠点で生産した製品を欧州で販売するといった n 対 n の関係も一般化しつつある
  • #5 January 30, 2013 業務データの爆発的増大 世界のデジタル情報量が今後 10 年間で 44 倍に増加。 2020 年には世界で作成されるデータ量は 35 ゼタバイトに達すると予測( IDC 調査「 Digital Universe 」) ・解決策として注目される 重複排除(データ・デデュープリケーション) : バックアップ対象のデータをデータセット・レベルで細分化して重複部分を除外する技術。バックアップ処理の効率化やバックアップ用ストレージの容量削減を実現 IT 予算の圧縮 ・ ITR 内山悟志氏「調査を始めて以来、最も厳しく、 2010 年度の IT 投資額も 2 ~ 3 %のマイナスになるのではないか」と の見通し。 「建設的コスト削減=生産性向上につながるコスト削減」(開発案件の仕分け・無駄な保守の削減・資源効率の高いアーキテクチャの採用)へのシフトが急務 業務データの爆発的増大 ・前向きにとらえる必要あり→顧客の行動履歴に新規ビジネス機会 ・ 東京大学生産技術研究所 教授喜連川優(きつれがわ・まさる)氏「日本はデータウェアハウスのサイズが世界の平均からすると非常に小さい。これはデータが資産であるという考えが希薄であることが背景にある」 システム/データ広域分散 ・「レガシー」はメインフレームのみを指すのではなく、一枚岩構造の旧来の ERP など、連携性の悪いシステム全般を指す。プログラムの改修を繰り返してきたレガシーシステムの中身は、複数のプログラムが入り組んだ“スパゲティ状態”そのもの リーダーシップの不十分 ・ ITR の IT 投資動向調査 2010 によれば、回答企業における CIO 職(専任・兼任含む)の選任率は 44 %で増加傾向
  • #6 January 30, 2013 ・重要 IT 施策の表明は、逆に、現状達成できていない課題でもある 売り上げ増大への直接的な貢献 : 2 位→ 1 位→ 1 位 ・今日の IT 部門は、自社の事業/経営に直接的に貢献することを最も重視。 IT で経営を支援から、 IT で主体的に貢献へ ・ 現状:企業の売上高に対する 2009 年度 IT 予算額比率は、前年度( 2.8 %)から 0.2 ポイント下降し、 2.6 %。 2006 年度に 過去最高の 3.2 %を記録して以来、 3 年連続の減少 情報の活用度の向上 : 7 位→ 5 位→ 4 位 ・「情報資産」の意識 既存システムの統合性強化 : 3 位→ 6 位→ 5 位
  • #7 January 30, 2013 クラウド・コンピューティング クラウドないしはクラウド、仮想化を駆使して構築したハイブリッド環境は、エンドユーザーコンピューティング( EUC )の復権の旗印 ビジネスプロセスの標準化 ・ビジネスプロセスの標準化は、 ITR の IT 投資動向調査でも必ず優先度上位に挙がるテーマだが、その実施率はなかなか上がらない。また、ガートナーの年次グローバル CIO 調査では「ビジネス・プロセスを改善する」という課題のビジネス上の優先度が、全体結果では 6 年連続で 1 位であるのに対し、日本だけで見ると 2 年連続で 4 位という 結果にとどまっている(ちなみに、日本の優先度 1 位は「企業コストを削減する」で、これは全体では 2 位) ・「同じく実施率がなかなか上向かないマスターデータの統合や全社的なコンテンツ管理インフラの整備と共通しているのは、ある 1 つのテクノロジーを導入すれば解決できるようなテーマではないということ。また、 IT 部門だけでの閉じたイニ シアチブで太刀打ちできるようなテーマではないということ。そこで技術面では、業務視点からカギとなるテクノロジーを複合的に適用していくことが求め られ、組織体制面では、業務部門を巻き込んでの全社的なプロジェクトとして臨むべきである」( ITR 内山氏)
  • #8 January 30, 2013 ・毎年 8 月頃に発表されるガートナーのハイプサイクル。クラウドが過度な期待のピーク期の頂点に ・技術ごとに主流になるまでにかかる年数が異なる ・ハイプカーブを落っこちて消えていった技術もある(安定期に達する前に陳腐化)
  • #9 January 30, 2013
  • #10 January 30, 2013 メリット クラウドのスケールアウトメリットの享受。ビジネスの需要増減に応じて、性能、キャパシティ、機能、サービス利用料などから「そのときのベスト」を選び、切り替えることができること データ連携 例えば、 CRM アプリケーションをクラウドに移行したとして、それが販売管理システムとつながっていなければ、投資がまったく意味をなさない コスト エンドユーザーの PC にインストールされた Web ブラウザの製品/バージョンが、採用するクラウドのクライアント環境としてきちんと対応しているか 信頼性( SLA :サービス・レベル保証) クラウドサービスの稼働率保証を確認し、自社運用時と比較すれば払拭される。東急ハンズが採用した当時の Google Apps の稼働率保証は 99.9 %(年間ダウンタイムが約 3 時間以内)で、現在では 99.99 %に達している コントラクト・マネジメント 顧客/ステークホルダーに対する責任をまっとうする観点で サービス・マネジメントの重要性が高まる 非 IT 資産も含む企業内のすべての資産を可視化・コントロール・自動化し、価値が高いサービスを提供する体制を整える
  • #11 January 30, 2013 サーバ仮想化: VMware Server, VMware ESXi, Citrix XenServer, Linux KVM, Microsoft Hyper-V 2.0 ハイパーバイザー:仮想サーバとハードウェアとの間に抽象化レイヤ(仮想化レイヤを実装した専用カーネル)を配置する完全仮想化の手法( VMware, Hyper-V, KVM )。 Xen はハイパーバイザーだが、擬似仮想化(パラ・バーチャライゼーション)手法 デスクトップ仮想化: Citrix XenDesktop アプリケーション仮想化: Microsoft App-V, Citrix XenApp, VMware ThinApp シンプロビジョニング (仮想プロビジョニング) ストレージ・リソースの容量割り当てを仮想的に行うことで、物理ストレージの容量抑制を可能にする技術。企業は、最初から大容量の物理ストレージを用意することなくシステムの運用を始められるため、運用管理負荷を軽減するアプローチとして注目度が増している。 ライブ・マイグレーション: VMware Vmotion/Storage VMotion, Hyper-V 2.0 の Live Migration 運用管理/セキュリティ対策の複雑化 処理を集約すればするほど、集約先マシンのシステム・ダウンが許されなくなるから マルチベンダー環境での相互運用性の不十分 ・仮想マシン移動先が限定されてしまう、仮想マシン動作へのアプリケーションのサポートの問題 アステラス製薬の仮想化事例 ・「物理サーバ台帳」に加えて「論理サーバ台帳」を作成、両者をひも付けた管理に変更。また、仮想サーバ構築の「標準ガイドライン」を策定
  • #12 January 30, 2013 IT インフラの標準化(アプリケーション・レイヤと分離) ・データセンター施設とサーバ・ハードウェア、サーバ OS およびバックアップ、 DR などの IT インフラを社内で標準化 ・いわばサービス指向の IT インフラで、オンプレミスでも IaaS を構築するイメージ。システム/アプリケーションの構築スピードを高めて、運用管理のシンプル化できる ハイブリッド環境のデータセンターの最大の課題:運用管理 ・大量の仮想サーバのトラッキング ・クラウド/オンプレミス、物理/仮想をまたいだデータ管理・連携の確保 ・マルチベンダー相互運用性→セキュアマルチテナントソリューションや SAP Co-Innovation Lab のような共同検証プロジェクトに期待 以上、つたないプレゼンでありましたが、これで終わりとさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
  • #13 January 30, 2013