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① 研究動機・背景
1. 個人的な背景
2. パブリック・ディプロマシーの高まり
3. 国際情勢の困難への対応
② 研究目的と研究意義
1. ニュースの影響力
2. 教育の影響力
3. 言語の影響力
4. 価値の体系とは何か
5. パブリック・ディプロマシーと民主主義の関係
③ 先行研究
Ⅰ .ターミノロジー
ⅰ .パブリック・ディプロマシーに関する用語
ⅱ. 広報に関する用語
ⅲ. ブランドに関する用語
Ⅱ .効果測定に関する実証研究
1. 政策研究
2. 認知調査
3. PR 理論を用いた検証
Ⅲ . 6 つの視点
1. 早いメディアと遅いメディア
2. 国家ブランド論( BI 、 BE 、 BI )
3. 主体は誰か(情報の受け手と出し手)
4. 存在と当為
5. IR と PD (現実主義と理想主義)
6. 世界観と方法論(方法論の哲学的根拠)
④ 調査対象および方法
調査対象は米中の日本に対する PD 評価
我が国の PD 、米国の PD 、中国の PD
方法は GTA (理論研究の限界)
⑤ 期待する成果
政策的な示唆出し
GTA による理論の構築、 PR 理論研究への貢献
⑥ 参考文献
5. 国際 NGO に 3 年間従事。
エイズ、結核、マラリアという世界的な 3 大感染症に関する啓蒙活動・政策提
言活動を行っていた。
世界保健機構や世界エイズ・結核・マラリア対策基金といった国際機関や、世
界中の NGO や活動家といった市民社会の方々、各国政府とともに、日本国民
を対象とした啓蒙プログラムだけでなく、グローバルアジェンダの設定に向け
たアドボカシー活動などを行っていた。
ここでの活動は、国際交流基金日米センターの助成を受け、「地球規模課題に
対する ACSM キャンペーンの学術的研究」という研究プログラムも実施した。
① 研究動機・背景 個人的な
背景
6. 6
猪狩( 2006 )
「学会活動に積極的に加わっていただきたいのは、企業、行政、教育機
関、 NPO の広報の現場の方々である。」
ノヴム・オルガヌム―新機関
ベーコン
「人間の権力へと向かう道、人間の学問へと向かう道、これら二つの道
は互いに近接しており、ほとんど同じであるといってよい。しかしそれ
にもかかわらず、人間は抽象的概念に耽るという致命的な性癖をもって
いる。したがってそれだけに、実践にかかわる基本から出発して学問を
気づいていく方が間違いはないし、また、現実の世界が思弁の世界を象
り規定する、印象のようなものになる方が、まだしも無難なのである」
実務家とし
て・・・
① 研究動機・背景 個人的な
背景
10. 10
課室名 業務内容
広報文化外交戦略課
国内外への広報,報道関係者への情報発信,文化の分野における国際交流による対日理解の増進に関
する基本的な方針の企画,策定及び実施。
Public Diplomac y Strate gy Divis ion
国内広報室
日本の外交政策などについての国内における広報
Dome s tic Public Re lations Divis ion
IT広報室
外務省ホームページやソーシャルメディア等インターネットを通じた日本の外交政策等に関する情報の発
信。((注)掲載内容については担当課にお問い合わせください。)
Inte rne t Public Re lations Divis ion
広聴室
外交政策や外務省の業務に関する国民からの広聴活動
Offic e for Comme nt and Opinion
報道課
国内の報道関係者への情報発信
Pre s s Divis ion
文化交流・海外広報課
文化交流に関する外交政策。国際交流基金との連携による海外での日本語普及事業。日本事情・外交
政策についての海外広報。
Cultural Affairs and Ove rs e as Public Re lations Divis ion
国際文化協力室
ユネスコ(国連教育科学文化機関),国連大学に関する外交政策。
Multilate ral Cultural Coope ration Divis ion
人物交流室
人物交流事業の促進(国費留学生,J ETプログラム,スポーツ交流など)。
Exc hange Programs Divis ion
国際報道官室
日本の外交政策及び日本の実状などについての外国の報道関係者への情報発信
Inte rnational Pre s s Divis ion
外務省の体制変更
2012 年 8 月から
① 研究動機・背景 パブリック・ディプロマシー
の高まり
14. 14
パブリック・ディプロマシー研究においては、学術
専門誌『 Place Branding and Public Diplomacy 』が
2004 年に発刊されて以来、研究が進んでいる。
各国のパブリック・ディプロマシー
研究といった部分でも、スウェーデ
ン( James, 2011 )、カザフスタン
(Fullerton, Kendrick and Wallis,
2008) 、トルコ( Kalin, 2011) 、イス
ラエル (Avraham, 2009) 、湾岸諸国
(Cooper and Momani, 2009) 、ス
ウェーデン (Fetscherin and Marmier,
2010) などの研究報告が掲載されてい
る。
① 研究動機・背景 パブリック・ディプロマシー
の高まり
15. 15
『 Public Relations Review 』においても、
パブリック・ディプロマシーは主要な研究対象領域の 1 つとなっている。
敗戦を機とした「断絶」の穴埋め
戦前においても、パブリック・ディプロマシーは言葉は違えど観光政
策などといったかたちで、戦後の重要領域となることが予想され、研
究されていた。国内のパブリック・ディプロマシー研究が必ずしも手
厚いものとは言えない現状にあって、こうした通時的な PR という観
点でのパブリック・ディプロマシー研究は意義があるものと考えてい
る
① 研究動機・背景 パブリック・ディプロマシー
の高まり
18. 政策内容
の
研究
政 策 プ ロ
セ ス の 研
究
政 策 ア ウ
ト プ ッ ト
の研究
評価研究 政策決定
のための
情報分析
政策プロ
セス唱道
政策唱道
政策研究
政策分析
Hogwood and Gunn
( 1981 )
研究領域
② 研究目的と研究意義
26. その後、 19 世紀から 20 世紀にかけて、サピアは現実世界がその集団
の言語習慣によって構成されているとして、その社会の表現手段と
なっている言語が、その社会における活動を強く支配しているという
主張を展開した。
ウォーフは 1930 年代にサピアの仮説を支持するかたちで、「人間の
世界観は用いられる言語構造に支配される」という諸論文を発表
。
その後、サピア・ウォーフ仮説と呼ばれることになるこの考えかたは、フ
ンボルトの「世界観の仮説」にルーツを持つものとして知られている。
② 研究目的と研究意義
30. 足立( 2010 )は、政治における合意形成プロセスとして、実力行使による圧倒
、利益誘導による自説への誘導確保、シンボルを駆使し感情に訴えること、理
性的言説の 4 つを上げている。 3 番目については「種々のシンボル(コトバ、
身振り、旗、イメージ、記念物、音楽、など)を駆使して敵対的意見の持ち主
や一般大衆の感情(情緒)に訴え、持説への同調を勝ち取ろうとする手法(い
わゆるプロパガンダ)」としている。実力行使、利益誘導、プロパガンダの 3
つは、他者を一方的に支配しようという精神においてほとんど同等のものとし
ている。
意見を支配する力が増している理由として、政治的に重要な意見をもつ人の数
が増大したこと、つまり大衆社会を挙げている。マスコミ技術は発達した時代
、オルテガが大衆の反逆を書いた時代背景を考慮する必要がある。( P.256 )
国家的宣伝、および国際的宣伝に関するカーの現実主義は興味深い。「フラン
ス革命の思想、自由貿易、 1948 年における最初の共産主義、あるいは 1917 年
に復活した共産主義、シオニズム、国際連盟の思想などはみな、一見したとこ
ろ(これらの思想が意図していたように)権力から引き離され、国際的宣伝に
よって育てられた国際的意見の実例である。しかしよく考えてみれば、この第
一印象には限界がある。これらの思想はいずれも、それらが国家的色彩を帯び
国家権局によって支えられるまでは、どれほど政治的効力を発揮したであろう
か。」と述べている。ここから転じて、意見を支配する力が、軍事力や経済力
の基礎の上に立つものであるとの主張を展開している。
② 研究目的と研究意義
31. 星山( 2007 )は価値の外交が軽視されていることを指摘した上で、欧米
と完全に一致しな異独自の価値体系を国家像に基づいて模索すべきと提言
している。近藤(外交 Vo.3 )が指摘するように、文化や価値の体系が十
分に整っていないとの指摘もある。
近藤(外交 Vo.3 )
「一言で申し上げると、日本人は自分自身の魅力、自分自身が持っている文
化遺産の価値、自分自身の文化の洗練度、優秀性などについて、感性ではよ
く分かっていますが、それを論理出てて説明することは必ずしも得意ではあ
りません。特に、外部の人に日本の歴史や文化を説明したり、彼らの立場で
自国の文化の魅力を考えるという習慣がなかったんですね。言い換えれば、
それを英語やフランス語という論理的に明快な言語で分析し、説明するとい
う習慣がなかった。」
星野( 2007 )は、「また、「価値」は欧米の考えと完全に一致する必要
はなく、アジアの文化を踏まえた日本流の価値を模索し、欧米との調査を
めざすということであろう。そうであれば、日本の「価値の外交」の模索
とは、日本「国家像」の模索ということにもなる。
② 研究目的と研究意義
32. 米国国家情報会議の「 Global Trends 2025: A Transformed World 」では
、民主主義という統治形態への信頼は損なわれていく」と民主主義の主
唱者である米国自身が予想している。長期的には民主主義は拡大すると
しながらも、その歩みは遅く、社会的・経済的圧力により、民主的シス
テムは減じられる可能性を含むと指摘している。東アジアにおいては、
生活水準など良い政治が、良い政治プロセスである民主主義以上に強調
されるとしている。
しかし、もちろん、パブリック・ディプロマシーの概念が、偏狭なナショ
ナリズムや文化帝国主義と結びけるような安直は避けなければならない。
例えば、ゲーテ・インスティトゥートは、ドイツから文化を発信すること
と、ドイツ文化を発信することを区別して、ドイツから文化を発信する立
場を明確にしている。つまりドイツに世界中の文化が参集しており、ドイ
ツにはそれらすべてを受け入れる文化的多様性という文化があること、世
界に発信しようとしている。(渡辺) P.180 参考
② 研究目的と研究意義
34. ③ 先行研究
Ⅰ. ターミノロジー
ⅰ .パブリック・ディプロマシーに関する用語について
(パブリック・ディプロマシー、ソフトパワー、国家ブランディング)
ⅱ. 広報に関する用語について
(プロパガンダ、マスコミニュケーション、パブリック・リレーションズ)
ⅲ. ブランドに関する用語について
(ブランド、評判、イメージ)
35. ◆ パブリック・ディプロマシー
パブリック・ディプロマシーの始まりについて少し触れる。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院
は国際コミュニケーションに関する研究所を 1965 年に設立したが、同学院長のエドムンド・ガリオンは
、ケネディ政権下の USIA 長官マローの功績を称えて、その名をエドワード・ R ・マロー・センター・
オブ・パブリック・ディプロマシーとした。パブリック・ディプロマシーという用語はここに始まるが
、それまでの広報活動、文化活動、心理戦、思想などが時代の推移に伴う世界情勢の変化という外的環
境の移り変わりに応じて変化しているため、大きな変化はないと考えてよいと思う。マローセンターで
は、パブリック・ディプロマシーを、外交政策の形成や実行にあたって世論の影響力と上手に付き合う
ことと、定義している。
( http://www.fletcher.tufts.edu/Murrow/Diplomacy)
外交青書にパブリック・ディプロマシーという言葉が初めて登場したのは、 2004 年 5 月発行の平成
16 年度版である。外務省はパブリック・ディプロマシーについて、「伝統的な政府対政府の外交とは異
なり、広報や文化交流を通じて、民間とも連携しながら、外国の国民や世論に直接働きかける外交活動
のことで、日本語では「対市民外交」や「広報外交」と訳されることが多い言葉」と説明している。現
在では、広報文化外交をパブリック・ディプロマシーの訳語としている。
( http://www.mofa.go.jp/mofaj/comment/faq/culture/gaiko.html)
パブリック・ディプロマシーという言葉が、どの程度、国内で一般的なのか。三上は全国紙、朝日新聞
、毎日新聞、読売新聞における記事検索と、国会審議における言及数、また専門辞書での取り扱いを調
べている。この分析によれば、 2000 年以降少しずつ使われ始めているものの、それほど一般に使われて
いる言葉ではないことが明らかになっている。
39. ◆国家ブランディング
国家のブランディングはマーケティングの大家コトラーらによっても、 2002 年
にすでになされている。 (Kotler and Gertner, 2002)
このパブリック・ディプロマシーへの注目とともに、パブリック・ディプロマシー
と経営学を結びつけようという試みは、アンホルトの国家ブランディング論が軸と
なり、盛んになっている。『 Place Blanding and Public Diplomacy 』が発刊され、
国家ブランディング論は検討が進んでる。
その他、『 American Behavioral Scientist 』( Volume 53 Number 4 December
2009 )で、「 Trends in Global Public Relations annd Grasss Roots Diplomacy 」
という特集を組み、草の根外交、パブリックディプロマシーと企業広報の連関、幾
つかの国のケーススタディなどが紹介されている。
49. 「また、このように PR の導入に当たって、住民と行政との「関係」が重視され
ていたにもかかわらず、以降、関係よりも告知、すなわち公聴よりも広報活動が偏
重されたことによって、誤解を生む風土を形成してしまった点もある。その意味で
PR は、その本来の意味に基づいて「公衆関係」と訳すのが妥当かもしれない。ち
なみに、中国では PR を「公共関係学」としているが、そのほうが本質に近い。」
(上野征洋、 2005 )
企業における社会関係資本とパブリックリレーションズ(北見幸一、 2009 )
「 Public Relations は日本語で「広報と訳出され、日本で宣伝的な用語として定
着した「 PR 」との混同もあり、 Public Relations は本来の意味を喪失しているよ
うに思われる。」
「 Public Relations は、その言葉通り「公衆( Public) との良好な関係つくり
( Relations )がその原点のはずである。)
”公共関係“学 事始 ( 小野豊和、 2007)
小野豊和『公共関係 " 学 " 事始』 東海大学紀要 . 政治経済学部 : 東海大学政治経
済学部 , (39) 2007, P.129 ~ 145
「中国が Public Relations ”を 公共関係“としたことは辞書を引くと明解である。
Public Relations を直訳すると「公共との関係」である。」
「ところが、日本においては、 Public Relations を PR と略して使うようにな
ると、その本来の意味が歪められ齟齬が生じることにことになったのである。」
パブリック・リレーションズが仮に上記のような指摘にあるように「公共関係」
であるとして、その哲学はどのようなものなのだろうか。どのような公共論あるい
は関係論に基づいているのだろうか。残念ながら、私の見解ではこの点非常に悲観
的である。パブリック・リレーションズは、いかにもパブリック・リレーションズ
55. 55
ROI の不可能性
・ Institute of Public Relations,
・ Communication Directors’ Forum
by
Metrica Research Ltd
Best Practice in the Measurement and
Reporting of Public Relations and ROI
2004.5
65. また、近年は確認的因子分析 (confirmatory factor analysis, CFA) とパス解析
(path analysis, PA) を合わせた構造方程式モデリング Structural Equation Modeling
(SEM) で解析が多く試みられている。 Harris-Fombrun Reputation Quotient(RQ;
Fombrun & Gardberg, 2000; Fombrun, Gardberg, & Sever, 2000) は国家の評判を
計る有力な手法であったが、 Passow et al. (2005 )は RG を発展され、
Fombrun-RI Country Reputation Index (CRI) を開発した。 RQ の 6 次元構造を、 6
次元の 20 計測項目に発展させ、オーストリア、フランス、ドイツ、スイス、英国
、米国で 6,739 の被験者に対して調査を行っている。 6 つの次元とは、感情的魅
力、物質的魅力、金銭的魅力、指導力の魅力、文化的魅力、世界的魅力である。
Yang et al.(2008) は、これに政治的魅力を足し、米国人 530 人に対して韓国の評
判に関する実証研究を行っている。
Sung-Un Yan et al ( 2008 )は、 Passow et al.(2005) の用いた Country
Reputaition Index から 6 次元 20 アイテムを 18 アイテムに整理し、アメリカにお
ける韓国の評判を、 33 州 530 人に調査を行っている。
66. 例えば、 Pew Resarch Center の『 PEW Global Attitudes Project 』( 2007 )は、
47 カ国 90,000 において大規模な各国の印象を調査している。各国 1,000 名程度に
対して、対面、または電話インタビューを行っている。質問は各国に対する印象の
ほか、各国の幾つかの政策に対する認識を問うものになっている。
Heiman と Ozer ( 2009 )は『 What the World Thinks in 2002 』 (Pew Reserch
Center for People and the Press, 2002) と、『 Views of a Changing World 』 (Pew
Reserch Center for People and the Press, 2003) を用いて、米国のパブリックディ
プロマシーの成功要因および失敗要因の実証研究を行っている。政府への信用、個
人主義、収入および財産、アメリカとの 2 国間貿易、パブリックディプロマシー
への予算、同盟関係の歴史、女性の社会進出の 8 つの項目についてパブリック
ディプロマシーの成功との関係性を検証し、収入および財産、女性の社会進出につ
いては、成功要因となっている可能性が高いと指摘している。その国の経済状況、
つまり世界的に見て比較的米国という最大の経済国家に近いポジションにいる国で
関連性が見られた。また、男女の平等の概念はキリスト教の教義に合致するが、ア
メリカの準国教であるキリスト教との整合性がこうした強い関係性の要因となって
いるかもしれない。しかし、それ以外の 6 つも、こうした先行的な研究に基づい
て仮説が立てられており、今後の追加的研究が期待される。
Heiman, B. A. and S. E. Ozer (2008). "Determinants of US public diplomacy
success/failure: Structural and institutional elements." Place Branding and Public
Diplomacy 5(1) February (Palgrave).
◆ 認知調査
68. アンホルト GfK ローパー国家ブランド指数は、国家ブランディング論の主唱者で
あるアンホルトが中心となり、 2005 年以来調査を好評している。調査では、その
国の国民、観光、その国の製品、文化、政府、投資や移住という 6 つの項目でそ
れぞれ指数化して順位を発表している。
ちなみに、 2010 年の国家ブランド指数調査で日本は、アルゼンチン、エジプト、
メキシコ、ポーランド、インドネシアから最上位に選ばれている。日本の中国に対
する評価は総合で 48 位、輸出 50 位、政府 50 位、国民 50 位、観光 36 位、投資と
移住 48 位、文化 6 位となっている。
国家ブランデングと特定の政策領域の関連を調べた研究もある。
Nation Brands and Foreign Investment
Margarita M. Kalamova and Kai A. Konrand
KYKLOS, Vol.63-August 2010-No.3, 400-431
価値の体系に関する調査としては、世界価値観調査が有名である。 1981 年以来
、およそ 5 年おきに集計され、現在第 6 弾が集計中となっている。調査は面接方
式で約 250 の質問がなされ、各国で 1000 人以上、、世界累計で 9000 人以上にア
ンケートが行われている。
WVS 実証研究の1つとしては Ingleharta and Welzela ( 2010 )や Pippa and
Inglehart(2004 、 2009) などが著名である。
◆ 認知調査
69. ◆PR 理論を用いた検証
パブリックリレーションズからの国家ブランディングへの接近は、近年、色々試み
られている( Szondi 、 2010 )。広報研究の理論面での支配的な地位にはエクセレ
ンス理論というものが存在しているが、これは企業広報部を前提とした理論である。
このエクセレンス理論を国家ブランディングに適用しようと試みた実証研究も幾つ
か為されている。( Yun 、 2006 )エクセレンス理論を元に、パブリック・リレー
ションズの 6 つの行動(双方向性、対人コミュニケーション、取次ぎ、対象性、非
対象性、倫理性)と、 5 つの原則(対象性、巻き込み、統合、知識、戦略と評価、
内部対象性)の妥当性を、米国ワシントンにある 113 の大使館の調査データを、検
証的因子分析 (confirmatory factor analysis, CFA) を用いて分析している。ま
た、 Lee と Yoon ( 2010 )は、米国における各国の PR 活動の契約件数が、①各
国の米国への輸出、②各国への直接投資、③米国から各国への観光客にどれほど影
響を与えているか、検証している。
パブリックディプロマシーの一種であろう国際公共益の要素が強い PR キャン
ペーンとして天然痘撲滅キャンペーンがあるが、この活動を批評理論であるマルク
ス主義的、カルチャルスタディーズの流れを汲む「文化のサーキットモデル」を用
いた研究などもある( Wakefielda 、 2007 )。文化のサーキットモデルが前提とす
る 5 つの対話の動き、生産、消費、表象、アイデンティティ、制限を用いながら、
理論と実践を検証している。
70. ③ 先行研究
6 つの視点
1. 早いメディアと遅いメディア
2. 国家ブランド論( BI 、 BE 、 BI )
3. 主体は誰か(情報の受け手と出し手)
4. 当為と規範
5. IR と PD (現実主義と理想主義)
6. 世界観と方法論(方法論の哲学的根拠)
71. ⅰ )早いメディアと遅いメディア
パブリック・ディプロマシーについて、 Cowan and Cull ( 2008 )は対象理
解、政府広報、文化外交、交流外交、国際報道に分類しているが、メディアにつ
いて論じる場合には、その施策の実施までのスピードや効果が出るまでの時間に
よって、早いメディアと遅いメディアに分けることが一般的となっている。直接
の政府情報と長期的な文化交流のいう取り扱う情報の違いと言い換えることもで
きよう。日本のアニメ流通によるパブリック・ディプロマシーは、よく用いられ
るパブリック・ディプロマシー強化論の根拠の 1 つとなっている。こうした文化
の外交がどれほどの効果があるのか、正確に語れる人は少ない。この点では、情
報の性質や、情報の伝播の速度の違いを考慮する必要がある。
芸術、書籍、交換留学は「遅い」メディアと呼ばれ、トリクルダウン仮説を重
視する。例えば、交換留学した若いエリートはすぐに重要な意思決定に関わるこ
とは稀だが、中長期には重要な地位に着き、十分な理解や尊敬に基づいて外交政
策に関わることになる。
「速い」メディアは、テレビ、新聞、ラジオなどのニュースを指す。即効性と
リーチの幅広さが、このメディアのメリットである。ニュースは明日万人に届け
ることができるが、交換留学は数年後にごく少数の人しか体験できない。
Rosenberg and Foner(1982) Pp.215
73. 73
ナイ( 2004 )は、メディアをその速度に従って、 3 つに分類しているが、
この分類はその後、幾つかの考察において採用されている。 Graham,2008)
( Leonard, Stead, Smewing, 2002) も、ナイの 3 つのメディアの区分に従っ
て議論を展開している。第1のメディアは時・日という時間の単位が相当す
るもので、作業内容は反応・対応といったものになる。国内政策と外交政策
の決定の背景を説明する活動であり、ニュース(マネジメント News
Management )といった言葉が使われることが一般的である。異なる聴衆を
意識し、柔軟な対応が求められる。
コリン・パウエルは戦時のコミュニケーションについて、 5 種類の聴衆を意
識するよう部下に呼びかけている。 1 つは記者、 2 つ目はアメリカ国民、 3
つ目は各国政府、 4 つ目は敵国、 5 つ目は自国軍である。
74. 第 3 のメディアは年単位の施策となる関係構築( Relationship Building) の業務で
ある。外国の主要な人物と、永続的な関係を長い年月をかけて構築する。奨学金、
交換留学、研修、セミナー、会議、メディアに登場する機会の提供なども行う。元
来、インターパーソナルなものが重要視されていたが、電子的手法にも力点が置か
れるようになってきた。伝統的な方法ではクリティカル・マスへのリーチができな
いためである。
クリティカルマスは、 1962 年に米国の社会学者であるエベレット・ロジャース
( Everett Rogers )の著書によって初めて提唱された。市場全体の普及率が一定水
準(クリティカルマス)に達すると、それまでの普及率の伸びが一気に跳ね上がる
という考えかた。市場の約 16% であると言われている。
例えば、英国ブリティッシュ・カウンシルは次世代継承者となる 20 - 35 歳を
ターゲットとし、 11 都市、 12 万人に教育サービスを提供していたが、オンライン
施策を導入することで、少なくとも 30 万人へのリーチが実現するため、インター
パーソナルとオンラインではコミュニケーションの質が異なる点を割り引いても、
クリティカル・マスの観点から有効な手法と考えているようである。
78. ⅱ ) 国家ブランド論
B2B2C の応用
国家のブランディングはマーケティングの大家コトラーらによっても、 2002 年にすでになされている
(Kotler and Gertner, 2002) 。
前述の通り、近年国家ブランディングという概念が大きく進捗しており、マーケティングの応用としては、ブ
ランドポジショニングを扱ったもの( Harrison-Walker and Jean 、 2011 )のほか、原産地効果の研究 (White,
2012),(Vahie and Paswan, 2006) もこの B2B2C のフレームで考えることができるだろう。
しかし、マーケティングの応用は十分にされているとは言い難い( Harrison-Walker 、 2011) 。ここでは、マー
ケティングの分析フレームのなかでも B2B モデル、なかでも B2B2C モデルがパブリック・ディプロマシーの
分析においては役立つものと考えられる。
79. B → B ← C
Business Business
Consumer
部品提供 購入(指名買い)
自社 取引先 消費者
広告・宣伝
80. A 国 B 国 B 国国民
G ⇔ G ← C
Government Government Citizen
有利な外交 政策判断
パブリック・ディプロマシー
外交論 政策決定論・社会心理学・選挙
米国・中国 日本 国家議員
81.
C1← G1 ⇔ G2 ← C 2
Citizen Government Government Citizen
国内政策 外交 政策決定過程
(先行研究多数) (研究多数)
諸外国民 諸外国政府 自国政府 自国民
(国会議員)
市民外交
PD
82. B2B2C モデルは、消費者向け製品の素材に関するマーケティング論となるため、素
材マーケティングという言葉で研究されることが多い。
( Venkatesh and Mahajan, 1997)(McCarthy, Norris, 1999)(Desai, Keller, 2002)
素材マーケテイングの観点で、素材のブラン力の影響を検証した検証もある
(Vaidyanathan and Aggarwal , 2000) 。
ブランド分析では、一般にブランドが有する資産的価値であるブランド・エクイ
ティとそれらの構成要素となるブランド認知、知覚品質、ブランド連想、ブラン
ド・ロイヤルティなどが分析されるが、この要素は可変的である。例えば、 B2B2C
モデルの研究において Pfoertsch, Linder, Chandler(2008) はブランド・ロイヤルティ
、ブランド信用、ブランド認知 , 知覚品質、認知された想起( Recognized
Association) の 5 つにおいて実証研究を行っている。
ここでは、フィンランドの B2B 業界(運送業界)におけるアンケート調査を参考に
したい。中規模、大規模事業者 1043 社から回答を集め、 SPSS で分析している
(Juntunen, Juntunen, Juga, 2011) 。ブ
ランド認知、ブランド・アイデンティティ、ブランド・エクイティ、ブランド・ロ
イヤリティについて、それぞれを構成する質問項目が 2 ~ 5 つ用意された。左下が
それである。これをパブリック・ディプロマシーに当てはめれば、次のような質問
表に変換することができる。
85. マクウェール( 1985 )及びバランとデイビス( 2007 )を参考
そのほか、稲葉三千男 他 (1964) がマスコミュニケーションを伝達過程と受容過程に分けて論じる
情報の発信者 政府、企業、(個人) 社会学、政治学から主として導か
れる。歴史学、経済学、哲学から
も導かれることがある。
メディア テレビ、新聞 メディアの内容、テクストと意味
の世界に焦点を当てるアプローチ
。
情報の受け手 視聴者、読者 選択、選考、動機付け、メディア
の利用を通じて、公衆の側からの
研究するアプローチ。公衆による
反応と公衆に対する効果へのアプ
ローチ。
87. ① 社会科学理論 規範理論
② 実務理論 ③ 常識理論 ④ 批判理論
A. 情報の発信者 直接効果過程仮説
限定効果論
補強効果論
記号学的パースペクティブ
機能分析アプローチ
プロパガンダ論
(ソーシャル)マーケ
ティング理論
開発コミュニケーショ
ン理論
情報普及理論
大衆社会論
大衆娯楽論
沈黙の螺旋理論
情報源優位理論
マルクス主義的アプ
ローチ
メディア・ヘゲモニー
理論
カルチュラル・スタデ
ィーズ
構造機能論
B. メディア 技術決定論
プライミング効果
フレーム理論
情報の流れ理論
ニュース制作研究
議題設定効果
2 段階の流れ仮説
社会的責任論
メディア・システム依
存理論
自由主義理論
権威主義理論
思想の市場理論
発展メディア理論
民主的参加理論
C. 情報の受け手 能動的オーディエンス理論
受容分析
情報処理理論
メディア・リテラシー
論
自由主義的多元論
ポストモダニズム
シンボリック相互作用
論
相互主義
現実の社会的構成
96. 96
◆ 社会的規範論(公共論)
ヨーロッパを中心に、批評的な PR 論として公共性を取り扱う研究がある
(Nikolay,2009)(Brüggemann, 2010)(Kruckeberga & Vujnovicb, 2010)(Bentelea &
Nothhafta, 2010) 。公共哲学的接近では、意見の多義性すなわち各人のパースペ
” ”クティブを尊重したアレントの 複数性 に公共性の萌芽を見出す。世界観や価値
観が違う人々の相互交渉の場を公共( Public )と規定することで、パブリッ
ク・リレーションズの基本的な位置づけを図る。齋藤 (2000) は、真知(エピス
テーメー)と、ドクサ(意見)とを分け、後者は「ドケイ・モイ」すなわち
「私には〔世界は〕こう見える」を言語化したものであるとしている。
佐藤( 2000 )は、「広報活動とは。世論の形成に働きかけることであり、その
意味で「公共性」概念の成立まで歴史を遡ることができ」、「今日の<プロパガ
ンダ=宣伝>研究は広報学の枠組みにおいて進められるべきだろう。キーワード
は〈公共性である〉」( 2003 )としている。
チョムスキーは、公共圏について、民主的な共同体において、重要なことがらが
議論され、市民が理解力を持って社会に関与するための情報を与えてくれる、さ
まざまな場や公開討論などの機会のことであるとしている。
小山( 1951 )も「それで、米国の社会学者パークがいった通り、反対を含まな
いものは輿論ではない。輿論とは逆流を伴いながらも滔々として流れる大河の如
きものである。」と述べている。
97. 97
民主主義社会における世論の担い手としての公衆の理念像を鮮やかに描き出し
たものとして、米国の社会学者 C ・ W ・ミルズの論述が光っている。彼は公
衆社会の特徴として、以下の点を指摘した。
•意見の受け手とほとんど同程度に多数の意見の送り手がいること。
•公的に表明されているいかなる意見に対しても、ただちに効果的に反応できる
機会を保証する公的コミュニケーションが存在すること。
•自由な討論を通じて形成される意見を効果的な行動に、必要な場合には支配的
権威秩序に対抗する行動として実現できる回路が制度的に組み込まれているこ
と。
•制度化された権威が公衆に浸透しておらず、公衆としての行動に多かれ少なか
れ自立性が保たれていること。
102. 102
Arnstein ( 1969 )の「参加の梯子」は、情報公開と民主主義、そして
広報を考える上で有用である。広報は、民主主義の理想を目指し、情
報の対称性や双方向性を実現しようという試みと考えることができる
。
103. 103
S ・チェンバース ( Chambers 2004)
田村哲樹( 2006 )
ソクラテス的メカニズム:自分自身の信念や論拠の説明
「他社との対話」(非公開の場)
民主主義的メカニズム:自己の主張を公共利益の観点から表明
「公衆に開かれた」
→ 第 3 のタイプ
国民投票的理性( plebiscitary reason)
できるだけ多くの人々を喜ばせ、公衆の目にしっかりと決定的に現れ
ようとすること。そのアピールは、一般的であるが内実は疑わしく、
推論は浅い。
パブリシティ( Publicity)
110. 110
国際政治の理論が登場するようになったのは比較的最近であり、 1970 年代
、ケネス・ウォルツの Theory of International Politics の功績によるところが
大きいといわれている。国際政治という学問が誕生してから 100 年に満たな
いことを考えると、当然のことかもしれない。
リアリズムの代表格であるウォルツは主に経済学を用いて国際政治のアナー
キーの構造を説明した。
さらに、コヘインは、ウォルツの理論にも続きながら、ゲーム理論を用いて
、十分な情報が国際政治において共有されるならば国家間の協調の可能性を
説明した。(信夫、 2004 ) P13-17
Editor's Notes <number>
Best Practice in the Measurement and Reporting of Public Relations and ROI
2004.5
ROIはコストに対する利益や費用削減の比率
信頼できる財務的価値の算出が難しいから
<number>
90年代から非公式に活動
今世紀から正式発足(2004年頃)
<number>
2011年アジア太平洋
2012年2月、アジア太平洋サミット
重要アジェンダ
・ROI測定法
・ソーシャルメディアの標準的効果測定方法
<number>
AMEC
ヨーロッパサミット、2010/6
バルセロナ宣言
「広告費換算(AVE)の否定」
Advertising Value Equivalents
PR活動の価値と、広告スペースの価値は全くの別物
今後の活動に示唆を与えない
代替案
PR活動において、コストをどのくらい下げたのか
マインドシェア拡大による市場の拡大
マーケティングミックスモデル分析