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パブリック・ディプロマシーに関する研究計画
2013-04-28
鈴木幹久
2
① 研究動機・背景
1. 個人的な背景
2. パブリック・ディプロマシーの高まり
3.   国際情勢の困難への対応
② 研究目的と研究意義
1. ニュースの影響力
2. 教育の影響力
3. 言語の影響力
4. 価値の体系とは何か
5. パブリック・ディプロマシーと民主主義の関係
③ 先行研究
Ⅰ .ターミノロジー
ⅰ .パブリック・ディプロマシーに関する用語
ⅱ. 広報に関する用語
ⅲ. ブランドに関する用語
Ⅱ .効果測定に関する実証研究
1. 政策研究
2. 認知調査
3. PR 理論を用いた検証
Ⅲ . 6 つの視点
1. 早いメディアと遅いメディア
2. 国家ブランド論( BI 、 BE 、 BI )
3. 主体は誰か(情報の受け手と出し手)
4. 存在と当為
5. IR と PD (現実主義と理想主義)
6. 世界観と方法論(方法論の哲学的根拠)
④ 調査対象および方法
調査対象は米中の日本に対する PD 評価
我が国の PD 、米国の PD 、中国の PD
方法は GTA (理論研究の限界)
⑤ 期待する成果
政策的な示唆出し
GTA による理論の構築、 PR 理論研究への貢献
⑥ 参考文献
3
① 研究動機・背景
個人的な背景
① 研究動機・背景   個人的な
背景
国際 NGO に 3 年間従事。
エイズ、結核、マラリアという世界的な 3 大感染症に関する啓蒙活動・政策提
言活動を行っていた。
世界保健機構や世界エイズ・結核・マラリア対策基金といった国際機関や、世
界中の NGO や活動家といった市民社会の方々、各国政府とともに、日本国民
を対象とした啓蒙プログラムだけでなく、グローバルアジェンダの設定に向け
たアドボカシー活動などを行っていた。
ここでの活動は、国際交流基金日米センターの助成を受け、「地球規模課題に
対する ACSM キャンペーンの学術的研究」という研究プログラムも実施した。
① 研究動機・背景   個人的な
背景
6
猪狩( 2006 )
「学会活動に積極的に加わっていただきたいのは、企業、行政、教育機
関、 NPO の広報の現場の方々である。」
ノヴム・オルガヌム―新機関
ベーコン
「人間の権力へと向かう道、人間の学問へと向かう道、これら二つの道
は互いに近接しており、ほとんど同じであるといってよい。しかしそれ
にもかかわらず、人間は抽象的概念に耽るという致命的な性癖をもって
いる。したがってそれだけに、実践にかかわる基本から出発して学問を
気づいていく方が間違いはないし、また、現実の世界が思弁の世界を象
り規定する、印象のようなものになる方が、まだしも無難なのである」
実務家とし
て・・・
① 研究動機・背景   個人的な
背景
7
ベーコン『学問の進歩』
「学問はあまりにも多くの時とひまをくうという意義の申し立てについ
ては、わたくしはこう答える。
・・・
ずばぬけて思いきり活動的な忙しいひとにも、・・・・手すきの時間は
たくさんある。
・・・
そうであるなら、問題は、ただその手すきのひまな時間をどうふさいで
すごすか、快楽のうちにすごすか、それとも研究のうちにすごすかとい
うことだけである。
・・・
何人も学問が実務を追いやるなどと心配する必要はなく、それよりもむ
しろ、学問は怠惰と快楽に対して自制心を保ち守ってくれるのであって
、学問がもしそうしてくれないなら、怠惰と快楽は人の心にしのびこん
で、実務をも学問をもそこなうかもしれないのである。」
実務家とし
て・・・
① 研究動機・背景   個人的な
背景
•観光
•文化
•製品
•投資
•農産物
会議内には 3 つの分科会、日本ブランド総合発信分科会、風評被害対
策・リスク・コミュニケーション分科会、メディア発信分科会が合わせ
て設置
① 研究動機・背景   パブリック・ディプロマシー
の高まり
9
内閣府・文科省・経産省・農林水産省・観光庁・文化庁などが主要な担い
手
さらに、 NHK 国際テレビ放送( 1995 年~)、
外国人向けの日本語教育事業である JET プログラム( 1987 年開始、 50 カ
国 5 万人以上がこれまでに参加)
国際交流基金(設立はブリティッシュ・カウンシルの設立と同じ 1934 年
、財団法人国際文化振興会から)などの事業が並行して進んでいる。
日本パブリック・ディプロマシー
① 研究動機・背景   パブリック・ディプロマシー
の高まり
10
課室名 業務内容
広報文化外交戦略課
国内外への広報,報道関係者への情報発信,文化の分野における国際交流による対日理解の増進に関
する基本的な方針の企画,策定及び実施。
Public Diplomac y Strate gy Divis ion
国内広報室
日本の外交政策などについての国内における広報
Dome s tic Public Re lations Divis ion
IT広報室
外務省ホームページやソーシャルメディア等インターネットを通じた日本の外交政策等に関する情報の発
信。((注)掲載内容については担当課にお問い合わせください。)
Inte rne t Public Re lations Divis ion
広聴室
外交政策や外務省の業務に関する国民からの広聴活動
Offic e for Comme nt and Opinion
報道課
国内の報道関係者への情報発信
Pre s s Divis ion
文化交流・海外広報課
文化交流に関する外交政策。国際交流基金との連携による海外での日本語普及事業。日本事情・外交
政策についての海外広報。
Cultural Affairs and Ove rs e as Public Re lations Divis ion
国際文化協力室
ユネスコ(国連教育科学文化機関),国連大学に関する外交政策。
Multilate ral Cultural Coope ration Divis ion
人物交流室
人物交流事業の促進(国費留学生,J ETプログラム,スポーツ交流など)。
Exc hange Programs Divis ion
国際報道官室
日本の外交政策及び日本の実状などについての外国の報道関係者への情報発信
Inte rnational Pre s s Divis ion
外務省の体制変更
2012 年 8 月から
① 研究動機・背景   パブリック・ディプロマシー
の高まり
諸外国でも・・・
① 研究動機・背景   パブリック・ディプロマシー
の高まり
12
信頼性と一貫性、創造と革新、自由な言論と公正さ、世界への開
放性、イギリスの遺産という5つの自己定義
それぞれブリティッシュカウンシル、デザインカウンシル、 BBC
ワールドサービス、対英投資局、英国観光庁に対応?
「外務省と文化機関であるブリティッシュ・カウンシ
ル、 BBC 放送の三者が主要メンバーとして連携することとな
り、予算も重点配分されたが、世界に名高い三者をもってして
も、大きな成果を上げたとの評価は必ずしもない。」星山
( 2008 )
① 研究動機・背景   パブリック・ディプロマシー
の高まり
パブリック・ディプロマシーの
動向
① 研究動機・背景   パブリック・ディプロマシー
の高まり
14
パブリック・ディプロマシー研究においては、学術
専門誌『 Place Branding and Public Diplomacy 』が
2004 年に発刊されて以来、研究が進んでいる。
各国のパブリック・ディプロマシー
研究といった部分でも、スウェーデ
ン( James, 2011 )、カザフスタン
(Fullerton, Kendrick and Wallis,
2008) 、トルコ( Kalin, 2011) 、イス
ラエル (Avraham, 2009) 、湾岸諸国
(Cooper and Momani, 2009) 、ス
ウェーデン (Fetscherin and Marmier,
2010) などの研究報告が掲載されてい
る。
① 研究動機・背景   パブリック・ディプロマシー
の高まり
15
『 Public Relations Review 』においても、
パブリック・ディプロマシーは主要な研究対象領域の 1 つとなっている。
敗戦を機とした「断絶」の穴埋め
戦前においても、パブリック・ディプロマシーは言葉は違えど観光政
策などといったかたちで、戦後の重要領域となることが予想され、研
究されていた。国内のパブリック・ディプロマシー研究が必ずしも手
厚いものとは言えない現状にあって、こうした通時的な PR という観
点でのパブリック・ディプロマシー研究は意義があるものと考えてい
る
① 研究動機・背景   パブリック・ディプロマシー
の高まり
(アメリカ)、ロシア、中国、韓国、そして日本
2012   元首の交代
外交不安
   ① 研究動機・背景    国際情勢の困難への対応
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② 研究目的と研究意義
政策内容
の
研究
政 策 プ ロ
セ ス の 研
究
政 策 ア ウ
ト プ ッ ト
の研究
評価研究 政策決定
のための
情報分析
政策プロ
セス唱道
政策唱道
政策研究
政策分析
Hogwood and Gunn  
( 1981 )
研究領域
② 研究目的と研究意義
1. ニュースの影響力
2. 教育の影響力
3. 言語の影響力
4. 価値の体系とは何か
5. パブリック・ディプロマシーと民主主義の関係
確かめたいこと
② 研究目的と研究意義
1.ニュースの影響力
英国の BBC
アメリカの CNN
カタールのアルジャジーラ
南米のテレスール
中国の中国中央電視台
英米ニュース通信社による映像配信が、世界的に寡占状態にあり
、テレビという今日最も影響力のあるメディアがある種の偏向さ
れた状態にある。覇権理論と実際の英米のメディア産業の分析。
 井上 (2008)
② 研究目的と研究意義
人々にどのようなメディアが影響を与えているのかという経
路に関する認知調査
BBC の Through other eyes (1999)
Through other eyes 2 (2000)
口コミ、地元メディア、書籍、外国メディア、観光、イン
ターネット、映画など、広い意味でのメディアについて、そ
の影響力が調査されている。
② 研究目的と研究意義
パブリック・ディプロマシーにおいて、いわゆる遅いメディアと呼ばれるもの
が教育
日本の JET プログラムや、アメリカのフルブライト奨学金制度など
 米国議会は 1948 年の情報・教育交流法(スミス=ムン
ト法)を成立させたが、このときは、広報(情報、宣伝)
と文化(教育・文化交流)をめぐった、激しい議論が展開
された。(渡辺、 2008 )
2.  教育の影響力
② 研究目的と研究意義
また、交換留学等の教育プログラムは特定少数に限定されたものである。
一方、自国内の教育は全面的なものである。自国において、他国に関するテーマ
についてどのような教育を受けたかが、他国の心象形成に大きな影響を与えると
いう事実は否定しがたい。その範囲という意味においても、その影響力という意
味においても、国内教育は交換留学プログラムにもまして重要かもしれない。国
内教育の影響についても、その影響力を調査する。
国内教育という観点
② 研究目的と研究意義
国際言語としての英語の力は、国際的なメディア、知的産業、人的
ネットワークなど広い影響力を持つ。金子( 2009 )
3. 言語の影響力
② 研究目的と研究意義
19 世紀、フンボルト
文化間で異なる世界観の違いというものが存在し、その原因は各言語の内
部構造(内的言語形式)にある。
彼の言う内部構造とは「実在(対象)に意味のレッテルを付与するようなもの」のことである。
フンボルトは、言語を思考と等しいものと考えた。さらに言語は、民族の精神(ガイスト)で
あるとして、言霊論的な主張を展開した。
言語の重要性は、古くはソクラテスやプラトン、アリストテレ
スの言説にも同様のものを見出すことができるし、またベーコ
ンやロックは、言語と思考ついて強い関連性を見出していたと
指摘されている。
(ペン、 1980 )
② 研究目的と研究意義
その後、 19 世紀から 20 世紀にかけて、サピアは現実世界がその集団
の言語習慣によって構成されているとして、その社会の表現手段と
なっている言語が、その社会における活動を強く支配しているという
主張を展開した。
ウォーフは 1930 年代にサピアの仮説を支持するかたちで、「人間の
世界観は用いられる言語構造に支配される」という諸論文を発表
。
その後、サピア・ウォーフ仮説と呼ばれることになるこの考えかたは、フ
ンボルトの「世界観の仮説」にルーツを持つものとして知られている。
② 研究目的と研究意義
言語の影響力を重視するサピア - ウォーフの仮説は、あくまで仮説
実証性に乏しく言語学者から激しい批判を浴びている
が、異文化間や他言語間のマーケティング・コミュニケーションとい
う実務においては意識され、実践に活用されることが推奨されている。
パブリック・ディプロマシーの実務において言語をどのように捉える
べきなのか、その実際の影響力について調査する。(異文化適応のマーケ
ティング)
② 研究目的と研究意義
パブリックディプロマシーは価値の体系が
決定的に重要になる。安倍政権において、
麻生外相は、 2006 年 11 月 30 日の演説で、
「価値の外交」を提唱し、人権・民主の価
値観を中核としたパブリック・ディプロマ
シーの方針を打ち出した。
4. 価値の体系について
2006 年 6 月のブッシュ=小泉会談では
、自由、民主主義、市場経済、法の支
配、人間の尊厳及び人権といった価値
の共有が確認された。
② 研究目的と研究意義
 パブリック・ディプロマシーは、カー( 1939 )が国際政治の力を軍事力、
経済力、世論件を支配する力の 3 つに分類したが、その世論を動かす力に相
当するものと考えてよいだろう。
高坂 (1966) は国家は「力の体系であり、利益の体系であり、そして価値の体
系である( P.19 )」としたが、この価値の体系こそパブリック・ディプロマ
シーに当たる部分と考えたい。
② 研究目的と研究意義
足立( 2010 )は、政治における合意形成プロセスとして、実力行使による圧倒
、利益誘導による自説への誘導確保、シンボルを駆使し感情に訴えること、理
性的言説の 4 つを上げている。 3 番目については「種々のシンボル(コトバ、
身振り、旗、イメージ、記念物、音楽、など)を駆使して敵対的意見の持ち主
や一般大衆の感情(情緒)に訴え、持説への同調を勝ち取ろうとする手法(い
わゆるプロパガンダ)」としている。実力行使、利益誘導、プロパガンダの 3
つは、他者を一方的に支配しようという精神においてほとんど同等のものとし
ている。
意見を支配する力が増している理由として、政治的に重要な意見をもつ人の数
が増大したこと、つまり大衆社会を挙げている。マスコミ技術は発達した時代
、オルテガが大衆の反逆を書いた時代背景を考慮する必要がある。( P.256 )
国家的宣伝、および国際的宣伝に関するカーの現実主義は興味深い。「フラン
ス革命の思想、自由貿易、 1948 年における最初の共産主義、あるいは 1917 年
に復活した共産主義、シオニズム、国際連盟の思想などはみな、一見したとこ
ろ(これらの思想が意図していたように)権力から引き離され、国際的宣伝に
よって育てられた国際的意見の実例である。しかしよく考えてみれば、この第
一印象には限界がある。これらの思想はいずれも、それらが国家的色彩を帯び
国家権局によって支えられるまでは、どれほど政治的効力を発揮したであろう
か。」と述べている。ここから転じて、意見を支配する力が、軍事力や経済力
の基礎の上に立つものであるとの主張を展開している。
② 研究目的と研究意義
星山( 2007 )は価値の外交が軽視されていることを指摘した上で、欧米
と完全に一致しな異独自の価値体系を国家像に基づいて模索すべきと提言
している。近藤(外交 Vo.3 )が指摘するように、文化や価値の体系が十
分に整っていないとの指摘もある。
近藤(外交 Vo.3 )
「一言で申し上げると、日本人は自分自身の魅力、自分自身が持っている文
化遺産の価値、自分自身の文化の洗練度、優秀性などについて、感性ではよ
く分かっていますが、それを論理出てて説明することは必ずしも得意ではあ
りません。特に、外部の人に日本の歴史や文化を説明したり、彼らの立場で
自国の文化の魅力を考えるという習慣がなかったんですね。言い換えれば、
それを英語やフランス語という論理的に明快な言語で分析し、説明するとい
う習慣がなかった。」
星野( 2007 )は、「また、「価値」は欧米の考えと完全に一致する必要
はなく、アジアの文化を踏まえた日本流の価値を模索し、欧米との調査を
めざすということであろう。そうであれば、日本の「価値の外交」の模索
とは、日本「国家像」の模索ということにもなる。
② 研究目的と研究意義
米国国家情報会議の「 Global Trends 2025: A Transformed World 」では
、民主主義という統治形態への信頼は損なわれていく」と民主主義の主
唱者である米国自身が予想している。長期的には民主主義は拡大すると
しながらも、その歩みは遅く、社会的・経済的圧力により、民主的シス
テムは減じられる可能性を含むと指摘している。東アジアにおいては、
生活水準など良い政治が、良い政治プロセスである民主主義以上に強調
されるとしている。
しかし、もちろん、パブリック・ディプロマシーの概念が、偏狭なナショ
ナリズムや文化帝国主義と結びけるような安直は避けなければならない。
例えば、ゲーテ・インスティトゥートは、ドイツから文化を発信すること
と、ドイツ文化を発信することを区別して、ドイツから文化を発信する立
場を明確にしている。つまりドイツに世界中の文化が参集しており、ドイ
ツにはそれらすべてを受け入れる文化的多様性という文化があること、世
界に発信しようとしている。(渡辺) P.180  参考
② 研究目的と研究意義
 すなわち、民主主義の政府が他の政府に比べて決定的に劣ると思われる点は
、社会の対外的利害の処理である。民主政治にあっても、経験を積み、習俗が
落ち着き、そして教育が広まれば、ほとんどどんな場合にも、良識と呼ばれる
日常の実際的知識、生活上の小さな出来事を処理するあの知恵はいずれ形成さ
れるものである。社会の平常の営みには良識で十分である。そして教育が行き
渡った国民においては、民主的自由の内政への導入が産む利益は民主主義の政
府の誤りがもたらすかもしれない害悪より大きい。だが国家間の関係はつねに
それでは済まない。
 外交政策には民主政治に固有の資質はほとんど何一つ必要ではなく、逆にそ
れに欠けている資質はほとんどすべて育てることを要求される。
5. 外交と民主主主義
トクヴィル『アメリカのデモクラシー』松本礼二訳、
岩波文庫、 2005 年。第一巻(下)・ P.107-108 )
「外交政策には民主政治に固有の資質はほとんど何一つ
必要でなく、逆にそれに欠けている資質はほとんどすべ
て育てることを要求される」
② 研究目的と研究意義
③ 先行研究
Ⅰ. ターミノロジー
ⅰ .パブリック・ディプロマシーに関する用語について
  (パブリック・ディプロマシー、ソフトパワー、国家ブランディング)
ⅱ. 広報に関する用語について
  (プロパガンダ、マスコミニュケーション、パブリック・リレーションズ)
ⅲ. ブランドに関する用語について
   (ブランド、評判、イメージ)
◆ パブリック・ディプロマシー
 パブリック・ディプロマシーの始まりについて少し触れる。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院
は国際コミュニケーションに関する研究所を 1965 年に設立したが、同学院長のエドムンド・ガリオンは
、ケネディ政権下の USIA 長官マローの功績を称えて、その名をエドワード・ R ・マロー・センター・
オブ・パブリック・ディプロマシーとした。パブリック・ディプロマシーという用語はここに始まるが
、それまでの広報活動、文化活動、心理戦、思想などが時代の推移に伴う世界情勢の変化という外的環
境の移り変わりに応じて変化しているため、大きな変化はないと考えてよいと思う。マローセンターで
は、パブリック・ディプロマシーを、外交政策の形成や実行にあたって世論の影響力と上手に付き合う
ことと、定義している。
( http://www.fletcher.tufts.edu/Murrow/Diplomacy)
 外交青書にパブリック・ディプロマシーという言葉が初めて登場したのは、 2004 年 5 月発行の平成
16 年度版である。外務省はパブリック・ディプロマシーについて、「伝統的な政府対政府の外交とは異
なり、広報や文化交流を通じて、民間とも連携しながら、外国の国民や世論に直接働きかける外交活動
のことで、日本語では「対市民外交」や「広報外交」と訳されることが多い言葉」と説明している。現
在では、広報文化外交をパブリック・ディプロマシーの訳語としている。
( http://www.mofa.go.jp/mofaj/comment/faq/culture/gaiko.html)
パブリック・ディプロマシーという言葉が、どの程度、国内で一般的なのか。三上は全国紙、朝日新聞
、毎日新聞、読売新聞における記事検索と、国会審議における言及数、また専門辞書での取り扱いを調
べている。この分析によれば、 2000 年以降少しずつ使われ始めているものの、それほど一般に使われて
いる言葉ではないことが明らかになっている。
 金子(外交 Vo.3 )は、国際政治において相手を魅了し味方につける力を、ナ
イのソフト・パワー論と重なるものとして、パブリックディプロマシーとして論
じている。また、観光、貿易、海外投資といった国際的な経済競争力に関わる国
家のイメージを国家ブランディングとして分けて論じている。
 ソフト・パワーの概念は 1990 年『不滅の大国アメリカ』で、初めて使われた
言葉である。ソフト・パワーとは「強制や報酬でなく、魅力によって望む結果を
得る能力である。」としてる。さらに突き詰めて言えば「魅力の力」だと言って
いる。
もちろん、魅力の重視は、近年においても国内にもナイ以前から主張者はあった
。
太田文雄「魅力戦略-今後の日本が採るべき方向についての一考察-」(『波
涛』 90 号・ 91 号、平成 2 年)
「孟子は「仁者に敵なし」といった。魅力戦略の究極の目標はこの姿に求められ
るのであるが、人生の実事象としてそのようなことは希有である。その証拠にキ
リストにもソクラテスにも孔子にも敵がいた。したがって、現実の世界としては
「文事ある者必ず武備あり」という孔子の言葉が真相に近い。その意味で魅力戦
略は万能とはいえず、武力戦に対する備えは当然のことながら怠ってはならない
し、また決して武力戦を軽視するものではない。むしろ武力戦に備えることは平
和に対する武力の効用という観点から、魅力戦略を構成する重要な要素であ
る。」
 ソフトパワーの活用のメリットについては、平和時の勝利の獲得に重要な役割
を果たす点や、それが外交政策の十分条件であったり、外交目標達成のコスト下
パブリック・ディプロマシーは、何人の敵を殺したかではなく、何人の仲間を増
やせたかという方略である。「北風と太陽」の太陽のように、逆転の発想で平和
的な解決を目指そうと思考するのである。ソフト・パワーとはナイのそんな直感
的な概念があるように思える。ナイは力(パワー)について天候のようだと例え
、その影響力の大きさと、予想への努力を語っている。また、愛情とも例えて、
定義や計測の困難さとともに、誰しもが実感したことがあるものだとしている。
命令と強制という狭い概念で力を捉えず、「自分と相手の関係を取り巻く状況に
依存している」ある種の不安定なものと考えている。力の普遍性を否定し、ポー
カーの高位札はブリッジでは役に立たないと例を述べながら、人口・領土・天然
資源・経済力・軍事力・社会の安定のいった国の力、つまり「結果に影響を与え
られる能力または資源をもつ」との力の定義を否定している。
 ナイはソフトパワーの源泉を文化、価値感、外交政策と分類している。このう
ち、価値はナイがもっとも重要視しているソフトパワーの根源である。価値は
「イデオロギーや政治・経済体制、外交政策、国際秩序、繁栄や開発、したがっ
て国造り(ネイション・ビルディング)に関係するのみならず、テロや核不拡散
、環境を含む新しい安全保障の諸課題にも関連するからである」(星
山、 2008 )
「平和の時期に勝利を収めるのは戦争で勝利を収めるより困難な仕事であり、平
和の時期に勝利を収めるにはソフト・パワーが不可欠である」
「ソフト・パワー論の要諦は、それが政策目標遂行のためのコストを下げるとい
う点にある」
「ところが指示指導者の多くはいまだに、軍事力と古くからの軍事的な解決策に
関心をすべて集中させている。最上層だけを重視している。必要条件にすぎない
ものを十分条件だと見誤っているのだ。三次元のゲームをひとつの層だけで戦お
うとしている。長期的にみれば、これは敗北への道である。最下層にある多国籍
関係の問題で好ましい結果を獲得するには、ソフト・パワーの資産が必要なこと
が多いからである。」
ソフト・パワーが重要になるケースとして、相手国の権力が集中しているケース
よりも分散しているケースを挙げている。「民主主義の国では世論と議会が重要
なので、政治指導者は独裁者とくらべて、戦術を選び、交渉をまとめるにあたっ
て自由に振る舞える余地が小さい。」
ナイはまた、米国がメタソフトパワーを保持していると主張している。これは外
交上非常に高圧的であるとの不評を買い続ける米国であるが、米国的価値観に対
し賞賛させる力を米国は有しているという主張である。具体的に言えば、報道の
自由や最高裁判所の独立などのことである。
「効果的な広報外交は双方向のものであり、話すとともに聞くことが重要である。
ソフト・パワーは何らかの共通の価値観に基づくものだ。このため、交流の方が
一方向の放送よりも効果が高いことが多い。ソフト・パワーはそもそも、自分が
望む結果を他人が望むようにすることであり、そのためには自分のメッセージが
どのように受け止められるかを理解し、それにしたがって、メッセージを微調整
していく必要がある。」
 ◆国家ブランディング
 国家のブランディングはマーケティングの大家コトラーらによっても、 2002 年
にすでになされている。 (Kotler and Gertner, 2002)
このパブリック・ディプロマシーへの注目とともに、パブリック・ディプロマシー
と経営学を結びつけようという試みは、アンホルトの国家ブランディング論が軸と
なり、盛んになっている。『 Place Blanding and Public Diplomacy 』が発刊され、
国家ブランディング論は検討が進んでる。
 その他、『 American Behavioral Scientist 』( Volume 53 Number 4 December
2009 )で、「 Trends in Global Public Relations annd Grasss Roots Diplomacy 」
という特集を組み、草の根外交、パブリックディプロマシーと企業広報の連関、幾
つかの国のケーススタディなどが紹介されている。
 
 
 ◆国家ブランディング
 
 サイモン・アンホルトの国家ブランディングとはどのような概念なのだろうか。
アンホルトは国家と企業では類似点よりも差異の方が多いという事実を認めたうえ
で、ブランド・マネージメントの理論とテクニックには、国の評判を高める上で有
効な示唆にとむものが多いと指摘している。国家ブランドのマネージメントを外交
政策、貿易、投資、観光などの領域それぞれにおけるプロモーション活動を総合し
たものとして、「競争力のある国家アイデンティティ( Competitive Identity) 」と
呼んでいる。彼は、国の評判の経路を 6 つに大別している。1つは観光用の PR 、
および外国人が出張や観光で訪れた際の第一印象である。 2 つ目は、輸出製品の
ブランドで、その製品の原産地国効果が発揮できるかたちで原産地国が明示されて
いる場合に有効な経路となるとしている。 3 つ目は、政府の政策決定である。他
国の人々に直接影響を及ぼす対外政策と、国際メディアによって報じられる国内政
策の 2 通りを挙げている。 4 つ目として投資を挙げている。具体的には、海外か
ら投資を呼び込み、有能な外国人や留学生を呼び寄せ、他国企業の進出をいかに促
すのか、こうした観点の重要性を指摘している。 5 つ目は文化交流で、芸術の展
示、スポーツ・チームの海外巡業、音楽家の興行、小説・映像などの著作物の流通
を挙げている。 6 つ目は、その国の人々そのものを挙げており、政府関係者のみ
ならず、芸能人、スポーツ選手、学生など、国内外でいかに外国人に振る舞うのか
という経路を指摘している。
◆ パブリック・ディプロマシーの限界
 カーや高坂らの分類からも明らかなように、パブリック・ディプロマシーは、そ
れ自体単独で国際政治のフィールドで支配的な手段にはなりえない。安全保障や経
済といった別次元が存在することを忘れてはならない。もちろん、これら 3 つは互
いに関連しているわけだが、しかし代替可能ではないそれぞれの要素という風に理
解するのが正しいだろう。各国の宣伝競争が高まる 1937 年、英国外相のアント
ニー・イーデンは文化の宣伝が外交政策成功の十分条件にならないことを認めつつ
、必要条件であることを強調している。
文化庁長官の近藤誠一も同様の指摘を行っている。金子・北野( 2007 、 P.33-35)
も、「日本のパブリック・ディプロマシー強化への提言」のなかで、提言 8 第 2
項に「「パブリック・ディプロマシーは万能薬ではない」ことを明記する」と、 8
つの具体的な提言の最後に、その限定性を明記している。渡辺( 2008 )は、パブ
リック・ディプロマシーに注目が集まり、伝統的な外交に対する代替案としてパブ
リック・ディプロマシーが論じられることに警告を発している。
「確かに、パブリック・ディプロマシーの重要性は増していると考えられるが、伝
統的外交を否定的ないし対立的に捉えることは、パブリック・ディプロマシーを否
定ないし軽視するのと同等に、非現実的であり、ナイーブすぎよう。」
◆ パブリック・ディプロマシーの限界
「ソフトパワーやパブリックディプロマシーなどの重要性が増していることは間違
いありません。そこに、もっと政府が予算面でも、人的リソースの面でも注意を払
うべきだち思いますが、ただ、ここで忘れてはならないのは、ハードパワー、つま
り安全保障と経済的な繁栄は厳然たる事実として引き続き重要性があるということ
です。ソフトパワーは、ハードパワーによって代わるものでは決してないと思いま
す。しっかりとした安全保障体制と経済の基本的な繁栄があって、ソフトパワーが
発揮される環境が整うのです。」と述べている。
 例えば、ユーロ危機として、ギリシャ・スペイン・イタリアなどの諸国の財政不
安が指摘されている。いずれも優れたソフトパワーを持つ国々である。例えば、第
2 次世界大戦以前、チャールズ・リンドバーグ、チャールズ・チャップリン、ベー
ブ・ルースらアメリカのヒーローたちに日本を次々と訪れ、熱烈な歓迎を受けた。
メリケン粉、ビール、ダンス、野球、映画など、食住や娯楽文化を積極的に受け入
れていた。しかし、文化は戦争を阻止できなかったのである。
 ソフト・パワーの限界の1つに、ナイはコントロールの難しさを挙げている。ま
た「一般的には、ソフト・パワーの源泉はハード・パワーの源泉とくらべて、時間
がかかり、効果が拡散し、活用するのが難しい」とも述べている。さらに、実体の
ない広報戦略に陥る可能性を指摘し、「広報戦略は、政策の本質と食い違っていれ
ば、効果をあげることができない。行動は言葉よりも雄弁であり、広報外交は、
ハード・パワーの行使を正当化するための綺麗ごとに過ぎないとみられれば、成功
するとは思えない」と述べている。
 国家ブランディングという考え方に、冷ややかな目線が多いことも事実である
( Olins,2002; Kabn, 2006) 。国家ブランディングは神話ではなく、その効果が誇
張されることも無視されることもあってはならないのである (Ying, 2010) 。星山
( 2008 )は、「国家のイメージの力は文化、政治、経済の多元性から生まれるも
のであり、人為的に一致させ、普及しようとすれば失敗する恐れがある。その結果
、国家ブランド作りのアプローチは、過度に簡単化し裏付けの弱い主張と、ブラン
ドの間で揺れ続ける傾向にあり、どの国、地域も、「確信と伝統」の結合といった
プレゼンを行うとの陳腐な結果に陥り、ほかとの差別性に失敗する傾向がある。」
と指摘している。国家ブランディングについては、そもそもの主導者であるアンホ
ルトも、国家のイメージを直接に操作できたような事例も研究も主張もないと断じ
ている。「競争力のある国家アイデンティティを構築する上では、 80 %が耐えざ
る革新、 15 %が海外の人や組織と接触する企業・団体の発信するメッセージの調
整であり、広報活動は 5 %である」としている。(アンホルト、 2007 )
国家ブランディングの提唱者であるサイモン・アンホルトは「国のブランド・イ
メージの運営は、日々の統治から切り離された活動、技法、特別な一過性の「キャ
ⅱ. 広報に関する用語
プロパガンダ、マスコミニュケーション、パブリック・リレーションズ
国立国会図書館 リサーチ・ナビ
テーマグラフ(関連語ツリー)
国立国会図書館のリサーチナビに装備されているテーマグラフによると、「パブリック・リレーションズ」
の下部概念としてはコミュニケーション、マーケティング、情報社会、企業統治、マスメディア、政治情報
などが表示される。
「ここに引用した文言中の「宣伝」という語句を、現今の
用語たる「広報文化」に置き換えれば、戦前・戦中の宣伝
外交という概念と戦後の広報文化外交のそれと間に、情報
操作上、どれだけの乖離があるであろうか。」
「日本人の国民性として「宣伝」という言葉には心底から
馴染めないで落ち着かず、「情報」や「文化」という用語
に結局は安堵感・安心感をいだくからではなかろうか。」
松村正義 (2002)
『国際交流史 :  近現代日本の広報文化外交と民間交流 -- 新版 . 』地人館
P.11
「また、このように PR の導入に当たって、住民と行政との「関係」が重視され
ていたにもかかわらず、以降、関係よりも告知、すなわち公聴よりも広報活動が偏
重されたことによって、誤解を生む風土を形成してしまった点もある。その意味で
PR は、その本来の意味に基づいて「公衆関係」と訳すのが妥当かもしれない。ち
なみに、中国では PR を「公共関係学」としているが、そのほうが本質に近い。」
(上野征洋、 2005 )
企業における社会関係資本とパブリックリレーションズ(北見幸一、 2009 )
「 Public Relations は日本語で「広報と訳出され、日本で宣伝的な用語として定
着した「 PR 」との混同もあり、 Public Relations は本来の意味を喪失しているよ
うに思われる。」
「 Public Relations は、その言葉通り「公衆( Public) との良好な関係つくり
( Relations )がその原点のはずである。)
”公共関係“学 事始 ( 小野豊和、 2007)
小野豊和『公共関係 " 学 " 事始』 東海大学紀要 . 政治経済学部 : 東海大学政治経
済学部 , (39) 2007, P.129 ~ 145
「中国が Public   Relations ”を 公共関係“としたことは辞書を引くと明解である。
Public   Relations を直訳すると「公共との関係」である。」
「ところが、日本においては、 Public   Relations を PR と略して使うようにな
ると、その本来の意味が歪められ齟齬が生じることにことになったのである。」
パブリック・リレーションズが仮に上記のような指摘にあるように「公共関係」
であるとして、その哲学はどのようなものなのだろうか。どのような公共論あるい
は関係論に基づいているのだろうか。残念ながら、私の見解ではこの点非常に悲観
的である。パブリック・リレーションズは、いかにもパブリック・リレーションズ
佐藤( 2005 )は「政府の広報活動に対する評価の明暗を総力戦の勝敗に還
元することはできないはずである。一方をナチ「宣伝」と呼んで批判し、も
う一方をニューディール「広報」と呼んで称揚するようでは、研究は個別化
された事象研究にとどまり、広報研究は全体像を見失うであろう。」と指摘
している。
◆ 通時的な態度
小山( 1953 )はレーモンド・ダッヂを引いて「疑いもなく或る種の広報は
人間社会と同様に旧い」として、古代中国・ローマなどにその原型を求めて
いる。
パブリック・リレーションズとは「職業的通信報告者として場所から場所へラッ
パ叉は太鼓をを合図として民衆を呼び集めていわゆるニュースを伝達した「ふれ
びと」(小山、 1953 )のようなものなのであろう。ラッパは電波に、太鼓はイン
ターネットに変わったが、 10 世紀先の人から見れば、いずれも十二分なローテ
クである。
「最も利用された広報手段は所謂広目屋であって、彼は商人に永続的に傭われて
、街で商品の値段、品質を紹介するのである。車の前に飾棚を設け車の側叉は上
に登って高声で叫ぶのである。この広目屋は酒店に於て最も発達した。ケルンに
は広目屋養成の学校があった位である。」(小山、 1953 )
国家ブランドとは、政治、経済、社会システムなどの現実に裏打ちされながら
、国外の人々が抱くその国に対するイメージである。国家の評判をターゲット
となる国際的なオーディエンスの間で高めるため、国のイメージを創造し、変
化、監視、評価し、自ら前向きに管理していく仮定、と定義している。
(Ying, 2010)P.100-101
また、国家イメージとは、他国の人が描くその国の姿であり、国家の評判とは
他国の人から発せられ、受け取ったその国に関するフィードバックのことであ
る。国家アイデンティティは、政治、経済、社会システムという実質を伴いな
がら、その国の人々にっよって決定される。国家の自己認識である。
Olins(1990) 、 (Whetten and Mackey, 2002, P.400)
 社会心理学では、社会的に人々はあらゆる情報を十分に検証して判断するので
はなく、ある程度直感的に方略を決定するとして、そうした社会的推論の簡易方
略を、ヒューリスティックと呼んでいる。ヒューリスティックは、バイアスなど
誤りを指摘することばかりを強調するのでなく、限られた情報や時間のなかで判
断するための適応的な手段としても考えられている。ヒューリスティックは社会
的世界の認識概念であり、専門的・職業的な厳密な世界と対極をなすものと言う
ことができるかもしれない。
代表性ヒューリスティック
或る事例が特定のカテゴリーをよく代表する典型的な事例と認識される場合、そ
の事例がそのカテゴリーに属する可能性を高く見積もる簡易簡易表略。
利用可能性ヒューリスティック
どれだけの事例をすぐに思い出すことができるかを基準として、その事例の生起
頻度を推定する認知方略
係留と調整ヒューリスティック
前もって与えられた値や、最初に直感的に推測した値を手がかりにしてまず判断
を行い、その後、最終的な判断を下すために調整を行う認知方略。
54
効果測定に関する動向
2 つのトピックス
55
ROI の不可能性
・ Institute of Public Relations,
・ Communication Directors’ Forum
by
Metrica Research Ltd
Best Practice in the Measurement and
Reporting of Public Relations and ROI
2004.5
56
57
58
7 つの原則
「広告費換算( AVE )の否定」
Assesssing U.S. PUBLIC DIPLOMACY
ADVISORY COMMISSION ON PUBLIC DIPLOMACY
2010
60
成果を 3 つに分ける(理解向上、好意の向上、影響力の向上)
ターゲットを 3 つに分ける(政府、識者、一般)
啓蒙の領域を 3 つに分ける(安全保障、経済、文化)
∴27 項目
→ それぞれについて、複数の指標・単位・例を設定
 それぞれについて、目標を前年との比較で、理想水準と最低水準が設ける
。
61
■ 一般向け、理解の向上
大使館から出されたプレス向け説明書の数
大使館代表のインタビュー数
関連政策領域におけるワークショップの数
関連政策領域におけるワークショップへの参加者数
ターゲット国のエリートに対する米国に関する、好ましいインタビュー数
調査によって調べられた米国の政策に対する理解者数
街頭調査における関連政策領域への好ましい反応の数
米国の政策に対するフォーカスグループの総合評価
大使館によって実施された米国文化のイベント数
大使館によって実施された米国文化のイベントへの参加者数
米国文化を紹介したテレビとラジオ番組の数
米国文化を伝播するための学校訪問数
米国が発行したプリントメディアの発行部数
米国文化を伝播するための学校訪問数への参加者数
調査によって調べられた米国文化に対する理解者数
街頭調査における米国文化に対する好ましい反応の数
米国の文化に対するフォーカスグループの総合評価
■ 一般向け、好ましさ
米国に旅行したい意思を示したビザ申請者数
米国の軍事行動への反対デモの数
政府職員志望者数
米国企業が当該国の組織に対して与えた新規販売権の数
交換留学で米国で学びたい人の数
大使館イベントで実施されたアンケートでの米国に対する 10 段階評価の結果
米国の制作した新しいプリントメディアの数
アフガニスタンにおける米国政府についての街頭調査のスコア
民間のメディアやブログにおける安全保障のキーワード数
反米暴動の数
パブリックディプロマシー担当職員数
交換留学プログラムに参加し、満足している経験者の数
米国が識字率向上プログラムを実施している国における識字率
米国映画の興行収入
62
ウェイトを付けて加算する
63
64
まとめ
・効果測定は引き続き、業界全体の大きなテーマ
・不可能性や限界は、明確に指摘されている
・新たな効果測定のあり方は、模索され、努力され
ている
 また、近年は確認的因子分析 (confirmatory factor analysis, CFA) とパス解析
(path analysis, PA) を合わせた構造方程式モデリング Structural Equation Modeling
(SEM) で解析が多く試みられている。 Harris-Fombrun Reputation Quotient(RQ;
Fombrun & Gardberg, 2000; Fombrun, Gardberg, & Sever, 2000) は国家の評判を
計る有力な手法であったが、 Passow et al. (2005 )は RG を発展され、 
Fombrun-RI Country Reputation Index (CRI) を開発した。 RQ の 6 次元構造を、 6
次元の 20 計測項目に発展させ、オーストリア、フランス、ドイツ、スイス、英国
、米国で 6,739 の被験者に対して調査を行っている。 6 つの次元とは、感情的魅
力、物質的魅力、金銭的魅力、指導力の魅力、文化的魅力、世界的魅力である。
Yang et al.(2008) は、これに政治的魅力を足し、米国人 530 人に対して韓国の評
判に関する実証研究を行っている。
Sung-Un Yan et al ( 2008 )は、 Passow et al.(2005) の用いた Country
Reputaition Index から 6 次元 20 アイテムを 18 アイテムに整理し、アメリカにお
ける韓国の評判を、 33 州 530 人に調査を行っている。
例えば、 Pew Resarch Center の『 PEW Global Attitudes Project 』( 2007 )は、
47 カ国 90,000 において大規模な各国の印象を調査している。各国 1,000 名程度に
対して、対面、または電話インタビューを行っている。質問は各国に対する印象の
ほか、各国の幾つかの政策に対する認識を問うものになっている。
  Heiman と Ozer ( 2009 )は『 What the World Thinks in 2002 』 (Pew Reserch
Center for People and the Press, 2002) と、『 Views of a Changing World 』 (Pew
Reserch Center for People and the Press, 2003) を用いて、米国のパブリックディ
プロマシーの成功要因および失敗要因の実証研究を行っている。政府への信用、個
人主義、収入および財産、アメリカとの 2 国間貿易、パブリックディプロマシー
への予算、同盟関係の歴史、女性の社会進出の 8 つの項目についてパブリック
ディプロマシーの成功との関係性を検証し、収入および財産、女性の社会進出につ
いては、成功要因となっている可能性が高いと指摘している。その国の経済状況、
つまり世界的に見て比較的米国という最大の経済国家に近いポジションにいる国で
関連性が見られた。また、男女の平等の概念はキリスト教の教義に合致するが、ア
メリカの準国教であるキリスト教との整合性がこうした強い関係性の要因となって
いるかもしれない。しかし、それ以外の 6 つも、こうした先行的な研究に基づい
て仮説が立てられており、今後の追加的研究が期待される。
Heiman, B. A. and S. E. Ozer (2008). "Determinants of US public diplomacy
success/failure: Structural and institutional elements." Place Branding and Public
Diplomacy 5(1) February (Palgrave).
◆ 認知調査
日本においても、内閣府大臣官房政府広報室は、『外交に関する国民意識』に関す
る調査を毎年行っている。
そのなかでは、、日本人の諸外国に対する親近感と、諸外国との関係性に対する認
識が調査されている。最新の調査(平成 23 年 10 月調査)によると、アメリカに
対して親近感を感じる人 82.0 %、同ロシア 13.4 %、同中国 26.3 %、同韓国
62.2 %、同インド 40.8 %、同東南アジア諸国 51.4 %、同太平洋諸国 60.9 %、同
ヨーロッパ諸国 63.8 %、同中南米・カリブ諸国 37.2 %、同中東諸国 14.4 %、同
アフリカ諸国 23.2 %となっている。
概ね地政学的環境を反映して堅調に推移しているが、中国に関しては 2 度、ロシ
アに関しては、 1 度大きな親近感の低下があったことは特筆すべき点っである。
時期と時事を鑑みるに中国における変化は天安門事件(平成元年 7 月)、小泉首
相靖国参拝( 1989 年年 6 月)、中国人活動家の魚釣島に不法上陸( 2004 年 6
月)、ロシアにおける変化は、ソ連崩壊( 1991 年 12 月)によるものと思われる
。
◆ 認知調査
アンホルト GfK ローパー国家ブランド指数は、国家ブランディング論の主唱者で
あるアンホルトが中心となり、 2005 年以来調査を好評している。調査では、その
国の国民、観光、その国の製品、文化、政府、投資や移住という 6 つの項目でそ
れぞれ指数化して順位を発表している。
ちなみに、 2010 年の国家ブランド指数調査で日本は、アルゼンチン、エジプト、
メキシコ、ポーランド、インドネシアから最上位に選ばれている。日本の中国に対
する評価は総合で 48 位、輸出 50 位、政府 50 位、国民 50 位、観光 36 位、投資と
移住 48 位、文化 6 位となっている。
国家ブランデングと特定の政策領域の関連を調べた研究もある。
Nation Brands and Foreign Investment
Margarita M. Kalamova and Kai A. Konrand
KYKLOS, Vol.63-August 2010-No.3, 400-431
 価値の体系に関する調査としては、世界価値観調査が有名である。 1981 年以来
、およそ 5 年おきに集計され、現在第 6 弾が集計中となっている。調査は面接方
式で約 250 の質問がなされ、各国で 1000 人以上、、世界累計で 9000 人以上にア
ンケートが行われている。
WVS 実証研究の1つとしては Ingleharta and Welzela ( 2010 )や Pippa and
Inglehart(2004 、 2009) などが著名である。
◆ 認知調査
◆PR 理論を用いた検証
パブリックリレーションズからの国家ブランディングへの接近は、近年、色々試み
られている( Szondi 、 2010 )。広報研究の理論面での支配的な地位にはエクセレ
ンス理論というものが存在しているが、これは企業広報部を前提とした理論である。
このエクセレンス理論を国家ブランディングに適用しようと試みた実証研究も幾つ
か為されている。( Yun 、 2006 )エクセレンス理論を元に、パブリック・リレー
ションズの 6 つの行動(双方向性、対人コミュニケーション、取次ぎ、対象性、非
対象性、倫理性)と、 5 つの原則(対象性、巻き込み、統合、知識、戦略と評価、
内部対象性)の妥当性を、米国ワシントンにある 113 の大使館の調査データを、検
証的因子分析 (confirmatory factor analysis, CFA) を用いて分析している。ま
た、 Lee と Yoon ( 2010 )は、米国における各国の PR 活動の契約件数が、①各
国の米国への輸出、②各国への直接投資、③米国から各国への観光客にどれほど影
響を与えているか、検証している。
 
 パブリックディプロマシーの一種であろう国際公共益の要素が強い PR キャン
ペーンとして天然痘撲滅キャンペーンがあるが、この活動を批評理論であるマルク
ス主義的、カルチャルスタディーズの流れを汲む「文化のサーキットモデル」を用
いた研究などもある( Wakefielda 、 2007 )。文化のサーキットモデルが前提とす
る 5 つの対話の動き、生産、消費、表象、アイデンティティ、制限を用いながら、
理論と実践を検証している。
③ 先行研究
6 つの視点
1. 早いメディアと遅いメディア
2. 国家ブランド論( BI 、 BE 、 BI )
3. 主体は誰か(情報の受け手と出し手)
4. 当為と規範
5. IR と PD (現実主義と理想主義)
6. 世界観と方法論(方法論の哲学的根拠)
ⅰ )早いメディアと遅いメディア
 パブリック・ディプロマシーについて、 Cowan and Cull ( 2008 )は対象理
解、政府広報、文化外交、交流外交、国際報道に分類しているが、メディアにつ
いて論じる場合には、その施策の実施までのスピードや効果が出るまでの時間に
よって、早いメディアと遅いメディアに分けることが一般的となっている。直接
の政府情報と長期的な文化交流のいう取り扱う情報の違いと言い換えることもで
きよう。日本のアニメ流通によるパブリック・ディプロマシーは、よく用いられ
るパブリック・ディプロマシー強化論の根拠の 1 つとなっている。こうした文化
の外交がどれほどの効果があるのか、正確に語れる人は少ない。この点では、情
報の性質や、情報の伝播の速度の違いを考慮する必要がある。
 芸術、書籍、交換留学は「遅い」メディアと呼ばれ、トリクルダウン仮説を重
視する。例えば、交換留学した若いエリートはすぐに重要な意思決定に関わるこ
とは稀だが、中長期には重要な地位に着き、十分な理解や尊敬に基づいて外交政
策に関わることになる。
「速い」メディアは、テレビ、新聞、ラジオなどのニュースを指す。即効性と
リーチの幅広さが、このメディアのメリットである。ニュースは明日万人に届け
ることができるが、交換留学は数年後にごく少数の人しか体験できない。
Rosenberg and Foner(1982) Pp.215
 
ベーコンはイドラ(幻想)を 4 種に分け、種族のイドラ、洞窟のイドラ、市場
のイドラ、劇場のイドラをそれぞれ論じている。このうち、個人の教育や信条
に関わる洞窟のイドラや、人との交際によって生じるとした市場のイドラは、
真実の社会的構成に相当する部分であると考えられる。遅いメディアに対応す
る部分が洞窟のイドラであり、早いメディアによって形成されるのが市場のイ
ドラということもできよう。
Yang, Shin annd Lee(2008) は経験については、 2 つに分けて分析している。 1
つは個人的経験であり、財・サービスの購入・利用、文化的なイベントへの参
加などを指す。もう 1 つは 2 次的経験であり、クチコミやマスメディアを通し
た情報の入手などを指す。結論としては、個人的経験は国家の評判に大きな影
響を与え、購買や観光につながるとしている。国の評判と関係あるメディアと
しては、オンラインメディア、人的コミュニケーション、テレビ、全国紙、テ
レビがトップ 5 と分析している。
 古川( 1993 )は海外広報に関する研究の中で、ステレオタイプや偏見が習得
される方法は、①接触の多い両親、友人等の他人の経験を通して習得する、②
個人的経験によって習得する、③本、新聞、雑誌、映画、ラジオ、テレビ等の
マスメディアを通して習得する、の 3 種類であり、対外国家イメージは、この
ような過程で作られたステレオタイプであるとしている。
73
ナイ( 2004 )は、メディアをその速度に従って、 3 つに分類しているが、
この分類はその後、幾つかの考察において採用されている。 Graham,2008)
( Leonard, Stead, Smewing, 2002) も、ナイの 3 つのメディアの区分に従っ
て議論を展開している。第1のメディアは時・日という時間の単位が相当す
るもので、作業内容は反応・対応といったものになる。国内政策と外交政策
の決定の背景を説明する活動であり、ニュース(マネジメント News
Management )といった言葉が使われることが一般的である。異なる聴衆を
意識し、柔軟な対応が求められる。
コリン・パウエルは戦時のコミュニケーションについて、 5 種類の聴衆を意
識するよう部下に呼びかけている。 1 つは記者、 2 つ目はアメリカ国民、 3
つ目は各国政府、 4 つ目は敵国、 5 つ目は自国軍である。
 
 第 3 のメディアは年単位の施策となる関係構築( Relationship Building) の業務で
ある。外国の主要な人物と、永続的な関係を長い年月をかけて構築する。奨学金、
交換留学、研修、セミナー、会議、メディアに登場する機会の提供なども行う。元
来、インターパーソナルなものが重要視されていたが、電子的手法にも力点が置か
れるようになってきた。伝統的な方法ではクリティカル・マスへのリーチができな
いためである。
 クリティカルマスは、 1962 年に米国の社会学者であるエベレット・ロジャース
( Everett Rogers )の著書によって初めて提唱された。市場全体の普及率が一定水
準(クリティカルマス)に達すると、それまでの普及率の伸びが一気に跳ね上がる
という考えかた。市場の約 16% であると言われている。
 例えば、英国ブリティッシュ・カウンシルは次世代継承者となる 20 - 35 歳を
ターゲットとし、 11 都市、 12 万人に教育サービスを提供していたが、オンライン
施策を導入することで、少なくとも 30 万人へのリーチが実現するため、インター
パーソナルとオンラインではコミュニケーションの質が異なる点を割り引いても、
クリティカル・マスの観点から有効な手法と考えているようである。
早いメディアと遅いメディアの間では、予算をめぐる激しい議論が時に起こるが、
その議論の一部は以下のような規範的な議論である。
 米国議会は 1948 年の情報・教育交流法(スミス=ムント法)を成立させたが、
このときは、広報(情報、宣伝)と文化(教育・文化交流)をめぐった、激しい議
論が展開された。(渡辺、 2008 )
 ジェファーソンはかつて「すべての法律のうち、特にもっとも重要と考えられる
ものは、国民に対する知識普及の法律である」と述べたが、広報活動の長期性を支
持する規範論はこうした教育的な意義に依拠し、人々の良識的な判断をよりよいも
のにするという大義を主張する。デューイも人々の博識を信頼し、判断に委ねよう
という立場である。この立場は、教育と宣伝を切り分けて、教育は判断の自由を目
的とするものであるが、宣伝は思慮なき者たちに対し、既に用意された意見を与え
ること批判を展開する。教育者はいかに考えるべきかをじっくりと養い、宣伝者は
早急に何を考えるべきかを刷り込むものだというのである。つまり、有効性という
よりも正当性を主張するのである。
カー( 2011 )は、万人向けの普通教育が大衆誘導の最強の手段と考えている。
(自律的探究心をも育ててしまうとも述べている。( P.277) メディアについては産
業としての独占生を他産業同様に免れることができず、巨大化の故に政府との関係
なしには存在し得ないものとして、メディアによって影響を受ける意見は人為的統
制下にあるものと断じている。 P.259-261
 
 一方、宣伝の正当性を主張する方も同様に、宣伝が人々の知識や判断を豊かにす
るとは思っていない。小山( 1953 )が引く長谷川如是閑によれば「宣伝というこ
とは、心理的に考えると、大衆の批判的な能力を発達せしめるよりは寧ろ鈍磨せし
める一つの方法である。宣伝の最も正しい場合は、優良な事物の優良であることを
衆知せしめる宣伝だが、その場合でも、最近の宣伝方法は、優良な事物の優良性を
批判的に理知的に理解させるのではなくして、ネオンサインの色彩効果のように、
感覚的に、――即ち知覚的には盲目的に――感じさせるのである。ポスター、新聞広
告、アドバルーン等、皆そうした感覚効果に依頼しているのである。これは昔の
「依らしむべし知らしむべからず」という方法の進化したものに過ぎない」とある。
同じく小山( 1953 )はレルナーから「政策目的に適合した方法で行動させるため
に一定の公衆を説得するよう設計された象徴(シンボル)の提出である」を引いて
いる。つまり、宣伝支持者は、宣伝は人々の判断を高めることはしないけれども、
人々を正しい方向へと導くという大義に基づいて正しいと、その正当性を主張する
のである。
 また、宣伝論者は教育に対して「教育もまた、何を考えるべきかを教えているの
ではないか」という疑問を投げかけることもできる。実際、国民国家成立以降を境
に、我々の自由は大きく奪われつつあるとの社会思想もある。(公共哲学から補
強)
 いずれにしても、このような形で、教育と宣伝(或いは報道)という早いメディ
アと遅いメディアの論争は、規範論においてもなされているのである。
 
 早いメディアと遅いメディアといっても、もちろん全てのメデイアがこの 2 種
類に振り分けられるわけではない。やや早いメディア、やや遅いメディアなど比較
の問題なのである。例えばここにメディアとして、口コミ、宣伝・マスコミ、政治
、教育、宗教・伝承といったものがあるとした場合、これらはその順で早いメディ
アと考えることができよう。口コミとは家族や友人の噂話といったものを想定する。
宣伝・マスコミは日々接しているニュースや広告を指す。政治とは、外交、財務、
防衛等の政策のことである。教育は、小学校、中学校、高校くらいまでの学校教育
を指すが、このなかには歴史編纂、歴史認識なども含まれる。宗教・伝承は、主に
第一次集団内で引き継がれる宗教、信条、世界観のことを言う。思想、文化、神話
などはこの中に入る。
 ここまでくれば明らかではあるが、より遅いメディアはより早いメディアに影響
を与えることができそうであるこmのように考えると、例えばデューイの教育が政
治を変えるという主張も容易に賛同できる。また、リップマンが言う政治がメディ
アを変え、そのメディアに説得された口コミは何かららの 2 番煎じであり、決し
て政治を動かすことなどできないという主張も同時に成立しうる。早いメディアほ
ど社会的で対象の範囲が広く、遅いメディアほどインターパーソナルで個別的とい
うこともできるだろうか。
また、 PR 理論の双方向モデルやメディアリテラシー論、技術中心主義に基づく口
コミ効果の過剰評価は、いずれも早いメディアが遅いメディアに影響を与えるとの
理想主義的前提に立っているといえないこともない。
ⅱ ) 国家ブランド論
B2B2C の応用
 国家のブランディングはマーケティングの大家コトラーらによっても、 2002 年にすでになされている
(Kotler and Gertner, 2002) 。
前述の通り、近年国家ブランディングという概念が大きく進捗しており、マーケティングの応用としては、ブ
ランドポジショニングを扱ったもの( Harrison-Walker and Jean 、 2011 )のほか、原産地効果の研究 (White,
2012),(Vahie and Paswan, 2006) もこの B2B2C のフレームで考えることができるだろう。
しかし、マーケティングの応用は十分にされているとは言い難い( Harrison-Walker 、 2011) 。ここでは、マー
ケティングの分析フレームのなかでも B2B モデル、なかでも B2B2C モデルがパブリック・ディプロマシーの
分析においては役立つものと考えられる。
     B      →     B       ←   C
      Business       Business        
Consumer
    
        部品提供    購入(指名買い)
    自社         取引先   消費者
広告・宣伝
   A 国          B 国     B 国国民
    G   ⇔   G    ←   C
   Government    Government    Citizen
                
     有利な外交         政策判断
パブリック・ディプロマシー
        外交論         政策決定論・社会心理学・選挙
 
   米国・中国           日本       国家議員
 
 C1← G1  ⇔ G2 ← C 2
Citizen     Government    Government    Citizen
 
               
     国内政策        外交        政策決定過程
              (先行研究多数)     (研究多数)
諸外国民      諸外国政府    自国政府       自国民
                                 (国会議員)
      
市民外交
PD
B2B2C モデルは、消費者向け製品の素材に関するマーケティング論となるため、素
材マーケティングという言葉で研究されることが多い。
( Venkatesh and Mahajan, 1997)(McCarthy, Norris, 1999)(Desai, Keller, 2002)
素材マーケテイングの観点で、素材のブラン力の影響を検証した検証もある
(Vaidyanathan   and Aggarwal , 2000) 。
ブランド分析では、一般にブランドが有する資産的価値であるブランド・エクイ
ティとそれらの構成要素となるブランド認知、知覚品質、ブランド連想、ブラン
ド・ロイヤルティなどが分析されるが、この要素は可変的である。例えば、 B2B2C
モデルの研究において Pfoertsch, Linder, Chandler(2008) はブランド・ロイヤルティ
、ブランド信用、ブランド認知 , 知覚品質、認知された想起( Recognized
Association) の 5 つにおいて実証研究を行っている。
ここでは、フィンランドの B2B 業界(運送業界)におけるアンケート調査を参考に
したい。中規模、大規模事業者 1043 社から回答を集め、 SPSS で分析している
(Juntunen, Juntunen, Juga, 2011) 。ブ
ランド認知、ブランド・アイデンティティ、ブランド・エクイティ、ブランド・ロ
イヤリティについて、それぞれを構成する質問項目が 2 ~ 5 つ用意された。左下が
それである。これをパブリック・ディプロマシーに当てはめれば、次のような質問
表に変換することができる。
ブランド認知
・その国をよく知っている
・常に気を払っている(ニュースをよく見る)
・特別な思い入れがある
・その国の将来、行く末に関心がある
ブランド・アイデンティティ
・イデオロギーを知っている
・イデオロギーに共感している
・どんなことをしている国か、特徴を理解している
・その国の歴史を知っている
ブランド・エクイティ
・この関係性はなくてはならない
・さらなる関係性向上に務めたい
・周囲に、その良さを伝えたい
・その国のことを信頼している
ブランド・ロイヤリティ
・この関係性は有益である
・その国との関係性に満足している
・相談があれば進んで協力したい
・こちらのことをよく聞いてくれる
ブランド認知
Name  その会社のことをよく知っている
Strong 周囲の人もよく知っている
Brand  他者と違う
ブランド・アイデンティティ
Careful その会社のことを注視している
Perdict  どんな会社なのか分かる
Quality  いいサービスである
Comresp  他社と比べていいサービスである
ブランド・エクイティ
Paymore  よりサービスを利用したい
Difbrand  他社との違いを理解している
Nave Adv  ネームバリューがある
ブランド・ロイヤリティ
Satisfi  その会社に満足している
Continue  今後もサービスを利用し続ける。
ⅲ ) 主体は誰か(情報の受け手と出し手)
マクウェール( 1985 )及びバランとデイビス( 2007 )を参考
そのほか、稲葉三千男 他 (1964) がマスコミュニケーションを伝達過程と受容過程に分けて論じる
情報の発信者 政府、企業、(個人) 社会学、政治学から主として導か
れる。歴史学、経済学、哲学から
も導かれることがある。
メディア テレビ、新聞 メディアの内容、テクストと意味
の世界に焦点を当てるアプローチ
。
情報の受け手 視聴者、読者 選択、選考、動機付け、メディア
の利用を通じて、公衆の側からの
研究するアプローチ。公衆による
反応と公衆に対する効果へのアプ
ローチ。
社会科学理論 社会に関わる現象を研究事例や観察に基づいて一般化を試み
るなかで得られる、慎重に熟慮された知識。
規範理論 メディアがどのように社会と関わりをもつべきかを論じる。
批判理論 公然とある価値を支持し、そうした価値を
用いて現状を評価し批判する理論。マスメ
ディアの社会的役割を解釈するのに、従来
と異なる方法を提示する。( mc t)
常識理論 公衆の一員としてマス・メディアを直接に
経験に利用することを通じて、マス・メ
ディアについて抱く考え
実務理論 現場で仕事をしている人たちが抱いている
考え。社会学、政治学など周辺学問から主
として導かれる。歴史学、経済学、哲学か
らも導かれることがある。
① 社会科学理論 規範理論
② 実務理論 ③ 常識理論 ④ 批判理論
A. 情報の発信者 直接効果過程仮説
限定効果論
補強効果論
記号学的パースペクティブ
機能分析アプローチ
プロパガンダ論
(ソーシャル)マーケ
ティング理論
開発コミュニケーショ
ン理論
情報普及理論
大衆社会論
大衆娯楽論
沈黙の螺旋理論
情報源優位理論
マルクス主義的アプ
ローチ
メディア・ヘゲモニー
理論 
カルチュラル・スタデ
ィーズ
構造機能論
B. メディア 技術決定論
プライミング効果
フレーム理論
情報の流れ理論
ニュース制作研究
議題設定効果
2 段階の流れ仮説
社会的責任論
メディア・システム依
存理論
自由主義理論
権威主義理論
思想の市場理論
発展メディア理論
民主的参加理論
C. 情報の受け手 能動的オーディエンス理論
受容分析
情報処理理論
メディア・リテラシー
論
自由主義的多元論
ポストモダニズム
シンボリック相互作用
論
相互主義
現実の社会的構成
88
立場に関する議論は、同時に、社会と個人に関する基本的な考え方、思想にも直結する。
下図は個人が社会に影響を及ぼし得るのか、その逆はどうなのか、デニス・マクウェル
( 1985 )を参考に簡単に整理したものである。
本考察は個人が社会に及ぼす影響を認め、社会が個人に及ぼす影響を否定する観念論に
位置づけられると考えてよいだろう。
社会が個人に影響を及ぼす
肯定 否定
個人が社会に影響を
及ぼす
肯定 相互依存論 観念論
* リベラリズム(理想主
義)
否定 唯物論
* コンサバティブ(現実主
義)
自立性論
社会とマス・コミュニケ
ーションは独立に変化す
る(できる)
ⅳ )存在と当為
小山( 1953 )はマス・コミュニケーションの現実的な側面を鋭く観察して
おり、その機能として「輿論を再現し、反映し、作り、導く」という事実
を報道して意見形成を促進するという機能だけでなく、「民衆の行動を意
識的に叉は無意識的に統制する政治機能をもっている」と、大衆指導的側
面も強調して二重の機能としている。
情報を発信する実務家の見地に立つ小山の指摘によれば、群集について
「群集の成員は相互にくっついている真の意味の心理学的群」とした上で
、公衆は「多数の人々が空間的に分離していながらなおかつ共同の刺戟に
反応する」ものとしている。すなわち、「共同の刺戟はコンミュニケー
ションと云う間接的な機械的な手段によってあたられたもの」であり、
「公衆はマス・コンミュニケーションの産物」ということになる。
実務家の現実主義
 したがって、その目的の是非や善悪についての議論はしせず、方法論として
の有効性といった観点での是非論や優劣に関する議論が中心となる。広報は手
段であり、それ自体に倫理はなく、結果に倫理があると考えるのである。
小山( 1953 )は、広報の理論的根拠を闘争に置き、広報の社会組織力を評価し
、人が自然を超克し、文明を建設し進歩していくその礎であるとして、人類発
展の営みのごく一部にこれを置くことで、かなり耳馴染みの悪いアジテーショ
ンの正統性を主張している。
「かく宣伝はその感覚的姿態によって知性の目を幻惑し、理性を盲目化すると
しても、宣伝それ自体は善でも悪でもない。それは単なる道具に過ぎない。而
もそれは鋭利な精神的刃物である。狂人が刃物で殺傷しても、それは刃物の責
任ではないんと同じように、仮令宣伝の結果が悪を普及したとしても、それは
宣伝の責任ではない。善とか悪とかは、宣伝以外の基準即ち社会的規範によっ
て判断されるものだからである。」
 国外宣伝活動においても、現実主義者の冷静さは変わら
ない。
小山「将来戦と宣伝の任務」を読めば、宣伝する側の意図が
どのようなものなのか、おおよそは理解できる。
相手国に対して、以下のような方略を勧奨している。
・敵の国体または政治組織の弱点を突く。
・民族の軋轢を利用する。
・戦時利得を貪って安逸に耽っている者があるということを宣伝する。
・国民生活の不安を摘発してやる。
・軍規の不振を指摘する。
・戦争目的に疑惑を生ぜしむるような放送をする。
・出征家族が窮状に陥っているというようなことを宣伝する。
・こちらの有利なことを宣伝する。
 ユーウェンは、以下のように記している。
「世紀の変わり目あたりで、ギュスターヴ・ル・ボンやエドワード・ A ロスや
ウィルフレッド・トロッターのような夢想家たちは、いっせいに新しい知的貴
族の出現の夢をかき立てた。この貴族層は、社会科学的方法を意識的に適用し
て、危険な混沌の中に秩序をもたらすひとびとだと考えられた。第一次世界大
戦直後から、新興の広告専門家階級を代表するリップマンとバーネーズは、こ
の御しがたいイメージを取りこんでそれを広くひとびとの受けいれる社会技術
への展開させた。広告専門家、宣伝戦略家、イメージ操作屋、計算ずくのスペ
クタクルイベント演出家などが公衆の言論を操作する世界が、しだいに定着し
つつあった。」
もちろん、広報にも倫理の覚書は定められている。日本パブリック・
リレーションズ協会倫理綱領宣言、日本広告業協会広告倫理綱領など
であり、メディア側にも社団法人日本民間放送連盟 放送倫理基本綱
領、社団法人日本新聞協会新聞倫理綱領などがそれである。日本パブ
リック・リレーションズ協会の綱領は以下の通りである。
95
メディアリテラシー協会が定義するところによれば、「メディア・リ
テラシーとは、メディアはどのように機能するか、メディアはどのよ
うに意味を作りだすか、メディアの企業や産業はどのように組織され
ているか、メディアは現実をどのように構成するかなどについて、理
解と学ぶ楽しみを促進する目的で行う教育的な取り組みである。メ
ディア・リテラシーの目標には、市民が自らメディアを創りだす力の
獲得も含まれている。」
情報の受け手の規範
96
◆ 社会的規範論(公共論)
ヨーロッパを中心に、批評的な PR 論として公共性を取り扱う研究がある
(Nikolay,2009)(Brüggemann, 2010)(Kruckeberga & Vujnovicb, 2010)(Bentelea &
Nothhafta, 2010) 。公共哲学的接近では、意見の多義性すなわち各人のパースペ
” ”クティブを尊重したアレントの 複数性 に公共性の萌芽を見出す。世界観や価値
観が違う人々の相互交渉の場を公共( Public )と規定することで、パブリッ
ク・リレーションズの基本的な位置づけを図る。齋藤 (2000) は、真知(エピス
テーメー)と、ドクサ(意見)とを分け、後者は「ドケイ・モイ」すなわち
「私には〔世界は〕こう見える」を言語化したものであるとしている。
佐藤( 2000 )は、「広報活動とは。世論の形成に働きかけることであり、その
意味で「公共性」概念の成立まで歴史を遡ることができ」、「今日の<プロパガ
ンダ=宣伝>研究は広報学の枠組みにおいて進められるべきだろう。キーワード
は〈公共性である〉」( 2003 )としている。
チョムスキーは、公共圏について、民主的な共同体において、重要なことがらが
議論され、市民が理解力を持って社会に関与するための情報を与えてくれる、さ
まざまな場や公開討論などの機会のことであるとしている。
小山( 1951 )も「それで、米国の社会学者パークがいった通り、反対を含まな
いものは輿論ではない。輿論とは逆流を伴いながらも滔々として流れる大河の如
きものである。」と述べている。
97
民主主義社会における世論の担い手としての公衆の理念像を鮮やかに描き出し
たものとして、米国の社会学者 C ・ W ・ミルズの論述が光っている。彼は公
衆社会の特徴として、以下の点を指摘した。
•意見の受け手とほとんど同程度に多数の意見の送り手がいること。
•公的に表明されているいかなる意見に対しても、ただちに効果的に反応できる
機会を保証する公的コミュニケーションが存在すること。
•自由な討論を通じて形成される意見を効果的な行動に、必要な場合には支配的
権威秩序に対抗する行動として実現できる回路が制度的に組み込まれているこ
と。
•制度化された権威が公衆に浸透しておらず、公衆としての行動に多かれ少なか
れ自立性が保たれていること。
98
◆ 規範論 →情報公開へ  
マクウェルは公共性の観点からのマスメディアを検討。社会におけるコ
ミュニケーションに関する基礎的価値として、近代西洋社会の基本的価
値観に一致するものと断った上で、自由、平等、秩序の3つを基礎的価
値として提示している。
自由とは、信条、言論、社会運動、集会、結社、情報へのアクセスなど
のコミュニケーションへの権利である。平等とは、権利の平等、法の前
での平等、社会制度の公正性といったものを指す。秩序とは「もっとも
多様な定義や評価が可能」な価値であるが、ここではルール、枠組み、
規制といった言葉で置き換えることができるものと言うことができる。
それぞれ、自由(自らの意思で情報にアクセスできる)、平等(だれで
も公平に情報にアクセスできる)、秩序(ただし、それらは一定のルー
ルに則って運用される)情報公開体制・ポリシーのようなものを導きだ
すことができるのではないだろうか。土屋( 1960 )は Donald T. Ckark
のパブリックの分析を引用し、パブリックとは公衆的、公開的、公共的
と論じている。
99
野田信夫は「企業の近代的経営」( 1951 )のなかで、パブリック・リ
レーションズを公共関係活動と紹介している。同時に、 Publicity を公開
業務と訳していることも見逃せない。広報 100 年史が指摘するように、
メディアへの提供機会という実務により過ぎた汎用的な意味ではなく、
メディアを含めた社会への公開=ディスクロージャーという原則論を重
んじている点は、注目に値する。野口は Agnew and
Houghton ( 1941 )を引いて、「公開業務は広告とくべるされなければ
ならない。広告は販売の促進が目的で、公開は教育を本質とする。」と
している
100
「したがって、しばしば情報公開制度と混同されているが、情報公開と広報とは
別のものと考えるべきである。広報と言うのは、政府の側で一定の情報を国民・
住民の便宜のために提供するものである。これはあくまで一定の行政目的のため
に、政府の立場から情報を選択し、裁量的に提供するものである。
 これに対し情報公開は、国民・住民の側から公開請求があった場合、政府は一
定の例外事由に該当しない限り情報を公開しなければならないとするものである。
政府にとって都合が悪いものでも、隠すことは許されない。公開するかどうかは
、政府の裁量の問題ではない。定められた例外事由に該当しない限りは、公開し
なければならないのである。したがって、広報がどんなに充実していても、それ
は情報公開制度の代わりにはなりえないのである。」
情報公開の基本原理はジャームス・マディソンのように的確に表現している。
「人民が情報をもたず、情報を入手する手段をもたないような人民の政府という
のは、喜劇への序章か悲劇への序章か、あるいはおそらく双方への序章に過ぎな
い。知識をもつ者が無知な者を永久に支配する。そしてみずからの支配者であら
んとする人民は、知識が与える権力でもってみずからを支配しなければならな
い」。情報公開法を支える理念は「国民の知る権利」であり、「情報公開なくし
ては、民主主義はありえないのである。」
(松井、 1996 )
101
「公共的なものだから情報公開するのではなく、情報公開によって初めて公共
性が生まれたと考えねばならない。」(瀧川、 2001 )として、公共性を徹底
的に「公開性」として捉えるべきとの積極的な主張がある。瀧川( 2000 )は
、アレントが、公共圏とは行為者や制作者ではなく、批評家や観察者によって
構成されるとして、共同性は二人から、公共性は三人から始まると論じたこと
を端緒に、公開性の効果を内部効果(議論のよどみ、偏在する権力を除外)と
外部効果(第三者への影響力、またフィードバック)に分けて、その効用を論
じている。
102
Arnstein ( 1969 )の「参加の梯子」は、情報公開と民主主義、そして
広報を考える上で有用である。広報は、民主主義の理想を目指し、情
報の対称性や双方向性を実現しようという試みと考えることができる
。
103
S ・チェンバース ( Chambers 2004)
田村哲樹( 2006 )
ソクラテス的メカニズム:自分自身の信念や論拠の説明
「他社との対話」(非公開の場)
民主主義的メカニズム:自己の主張を公共利益の観点から表明
「公衆に開かれた」
→ 第 3 のタイプ
国民投票的理性( plebiscitary reason)  
できるだけ多くの人々を喜ばせ、公衆の目にしっかりと決定的に現れ
ようとすること。そのアピールは、一般的であるが内実は疑わしく、
推論は浅い。
パブリシティ( Publicity)
104
インターネット時代の新しいパブリック論(ジャービス、 2011 )も、プライバ
シーの反対語としての公開性に基づいて、公共論を展開する。
• 僕らには接続する権利がある
• 僕らには言論の自由がある
• 僕らには集会と行動の自由がある
• プライバシーとは「知る」倫理だ
• パブリックとは「シェアする」倫理だ
• 僕らの組織の情報は「原則公開」、必要に応じて非公開だ
• パブリックなものとはみんなにとっていいことだ
• すべての情報は平等だ
• インターネットは開かれ、広くいきわたり続けるべきだ
105
ⅴ ) IR と PD (現実主義と理想主義)
106
渡辺( 2011 )のよれば、パブリックディプロマシーに対しては、リ
ベラル派、保守派の双方からの批判がある。リベラル派からは文化国
際主義の立場に立ち、「情報や文化の「政治性」や「戦略性」を問題
視する」ものである( P.116 )。
一方、保守派からも現実世界における現実的な対応という点で、パブ
リックディプロマシーの依拠する文化国際主義的理想に疑問が投げか
れられている。( P.133 )
広い意味では、パブリック・ディプロマシーに関する国際政治思想、
国際関係論には常に理想と現実がつきまとう。別の言い方をすれば、
規範と実務ということができるだろうか。ベーコン( 1974 )が言う
ように、その間には天文学的な開きがあるのかもしれない。
哲学者たちは仮想の国家のために仮想の法をつくる。哲学者たちはあまりにも高みに聳え
ているので、彼らの言説は、光がほとんど届いてこない星のようなものである。(ベーコ
ン、 1974 )
107
カー( 1939 )は理想主義を錬金術師に例え、目的的な思考が存在する
事実を無視し、分析ではなく願望をしているに過ぎないと述べている。
しかし、同様の論理でアダム・スミスの経済学が前提する経済人を人
工的で非実証的な過程としているが、理論とか論理の展開と呼ばれる
ものは、およそこうした簡便化を経て行われるものであり、その運用
と結論には一定の実務への示唆があるように思われる。( P.31-32 )
孔子もプラトンも願望が先立っており、願望が思考に父であり、目的
が分析に先行すると指摘している。
108
同じくカーによれば、リアリズムは事実の容認と、事実の原因・結果の分析
に重きを置き、目的を軽視する。言ってみれば、リアリズムの目的は、様々
な状況とその変化を受け入れ、僅かに適応の修正を目指すというものなので
ある。ともすれば思考も行動も否定しかねない考え方ではある。しかし、理
想主義の行き過ぎを正す手段としては評価しており、順序は明確に理想主義
が先で、現実主義が後であると考えている。つまるところ、カーはそのバラ
ンスを推奨している。
「未熟な思考は、すぐれて目的的でありユートピア的である。とはいえ、目的を全く拒む思考は
老人の思考である。成熟した思考は、目的と観察・分析を合わせもつ。」 P.39
109
この対立は、政治の場面においては端的に知識人と官僚の対立、急進
と保守の対立、左派と右派の対立、価値の世界とありのままの世界の
対立に現れるとしている。前者は知的に優れながらその理論の実践に
悩み、後者は優れた実務家であるが理念がないことに悩むのである。
( P.45 、 P.54-56 )
「かくしてリアリストは、ユートピアニズムの知的理論や倫理的基準
が決して絶対的・先験的原則の表現ではなく、それが歴史的に規定さ
れ、環境と利害関係から生まれ、さらには利益増進のためにつくられ
た武器であることを明示することができたのである。」 P.143
国際政治の理想と現実は複雑である。「国際政治はつねに権力政治で
ある。なぜなら、国際政治から権力を排除することは不可能だからで
ある。しかし、これは真実の一部にすぎない。国家による宣伝が、国
際性を自称するイデオロギーでもってあらゆるところで執拗に装いを
こらすという事実は、次のようなことを証明している。すなわち、い
かにそれが限定的なものであろうと、またいかにそれが弱々しいもの
であろうと、国際的な共通理念の根幹ともいうべきもの―われわれは
この理念の根幹に訴えるのだが―が存在すること、そしてこれら共通
理念がともかくも国益を超える価値基準にかなっているのだ、という
信念が同じく存在するということでもある。この共通理念の根幹こそ
、われわれのいう国際的同義の意味なのである。」( P.278-279 )
110
国際政治の理論が登場するようになったのは比較的最近であり、 1970 年代
、ケネス・ウォルツの Theory of International Politics の功績によるところが
大きいといわれている。国際政治という学問が誕生してから 100 年に満たな
いことを考えると、当然のことかもしれない。
リアリズムの代表格であるウォルツは主に経済学を用いて国際政治のアナー
キーの構造を説明した。
さらに、コヘインは、ウォルツの理論にも続きながら、ゲーム理論を用いて
、十分な情報が国際政治において共有されるならば国家間の協調の可能性を
説明した。(信夫、 2004 ) P13-17
パブリック・ディプロマシーに関する研究計画
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  2. <number> 90年代から非公式に活動 今世紀から正式発足(2004年頃)
  3. <number> 2011年アジア太平洋 2012年2月、アジア太平洋サミット 重要アジェンダ ・ROI測定法 ・ソーシャルメディアの標準的効果測定方法
  4. <number> AMEC ヨーロッパサミット、2010/6 バルセロナ宣言 「広告費換算(AVE)の否定」 Advertising Value Equivalents PR活動の価値と、広告スペースの価値は全くの別物 今後の活動に示唆を与えない 代替案 PR活動において、コストをどのくらい下げたのか マインドシェア拡大による市場の拡大 マーケティングミックスモデル分析