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Lancet 2015; 385: 875–82
2015.11.24(Tue) R2 佐藤洋一
化膿性関節炎に対する抗菌薬
• 最低 6 週,最高 12 週
Up to Date
• 6 週間
Sunford Guide
• 最低 4-6 週間
今日の臨床サポート
 
背景
• 化膿性関節炎における抗菌薬投与期間に
明確なエビデンスなし
• 抗菌薬投与期間が 6 週と 12 週で治療予後
が変わるか検討
方法
• 非盲検,非劣性,ランダム化比較試験
• 18 歳以上の患者, 359 名
• 2006.10.15 ~ 2011.3.15
• 投与期間を 6 週, 12 週の二群に分ける
• 評価項目は,投与開始 1 年での臨床的治
癒
• 治癒率の絶対値が 10% 以内であれば差な
し
と判断
結果
6 週投与群 (n=176
人 )
12 週投与群 (n=175 人 )
臨床的治癒 ( 投与 1 年後 ) 160 人 (90%) 159 人 (90%)
有害事象   50 人   51 人
 ・死亡   14 人 (8%)   12 人 (7%)
 ・抗菌薬不耐   12 人 (7%)    9 人 (5%)
 ・心肺不全    7 人 (4%)   12 人 (7%)
 ・神経学的合併症    7 人 (4%)    3 人 (2%)
結論
• 1 年での臨床的治癒を達成した患者は
6 週群: 90.9% VS 12 週群: 90.9%
• 6 週投与の非劣性が示された
• 抗菌薬の標準投与期間を 6 週に短縮でき
る

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Editor's Notes

  1. Figure:試験集団の選定 Inclusion criteria、Excluction criteriaに沿って行う
  2. Table 1:試験集団のbase line特性 6週投与群で糖尿病保有率はわずかに高い
  3. Table 2:2両群におけるPrimaryOutcomeの評価 ・32人(両群16人ずつ)は治療失敗と判断 ・プロトコルごとの集団から除去された患者のうち、ITT解析にて18例は治療失敗、50例は治癒と判断
  4. Table 3:副次的なアウトカム・有害事象 両群で大きな差なし 新たな薬剤耐性の獲得なし
  5. Table 4:研究に使用された抗菌薬の種類 使用薬剤に群差なし