探究工学研究所のまとめ資料です。

1. つくる学びの再考
2015/11/25
©Hirofumi Yamada, 2015
探究工学研究所 所長
山田 洋文
ver1.0

2. 私たちは周囲との関わりの中で絶えず学んでいる
「自分」を取り巻く環境
自分自分
コミュニティ
社会
自然
家庭
学校/職場
地域

3. 関わり方は大きく分けて「知遊働」の３つに分けられる
「自分」を取り巻く環境との関わり方
自分自分
働 知
遊

4. 関わり方は「知遊働」の領域で３つずつに細分化できる
「自分」を取り巻く環境との関わり方の詳細
自分自分
学習
業務
研究
スポーツ
娯楽
文化
働 知
遊
つとめ
かせぎ
くらし

5. 学び方の種類について
学び方の種類には「つかう」「つなぐ」「つくる」が存在する
働 知
遊
つかう
つくる
・体系化された知識や技能を習得
する
・誰かがつくったものを使用する
①
③
②
①
③
② つなぐ
・学んだことを既有知識とつなげ
て考える
・問題を自分事として捉える
・考えやアイデアをことばやかたち
にして表す
・考えを行動にうつす
自分

6. 知 働 遊
「つかう」
のみ
講義形式で体系化され
た技能や知識を教わる。
体験型イベントにお金
を払って参加する。
市販された遊び道具や
ゲームを楽しむ。
「つくる」
のみ
ブレストでたくさんの
アイデアを生み出す。
（ただし、行動には移
さない）
目的や意義を感じない
まま、作業を続ける。
特に興味を感じられな
いことで時間潰しをす
る。
「つかう」
「つなぐ」
「つくる」
の連動
議論の中で、アイデア
が連鎖し、独創的なア
イデアが生み出される。
試行錯誤しながら、ア
イデアを修正していく。
自分の役割を見出し、
主体的に人のために動
く。
実践の中から新しい知
見を見出す。
制約の中で工夫して、
空想やアイデアを形に
する。
学びの具体例
既存の学校教育
片方向の学び（青色囲み）は消費型であり、
双方向の学び（赤色囲み）は生産型である
家庭用ゲーム機
セミナー キッザニア 最近のLEGO
質の低いワークショップ
自然体験・農業体験
やらされ仕事

7. 片方向の学び
I-type learning
双方向の学び
U-type learning
正解のある問いを解く 正解のない問いに挑む
提示された知識を蓄積する 持っている知識を再構築する
計画通りに進行する 臨機応変に動く
説明し、伝達する 議論し、発見する
既にある意味を理解する 新たな意味をつくりだす
お客さんとして参加する 同志として関わる
２つの学びの特徴
片方向の学びは認識を固め、双方向の学びは認識を変える
※TCSワークショップ 2014.6.29「探究を探究する ねらいを超える学び」の資料をもとに改変

8. 現状と課題（１）
働 知
遊
①つかう
自分
日本社会の現状と課題
１. 教育システムの硬直化
２. 社会的リスクに対する
不寛容性の拡大
３. 便利さと合理性の追求
20世紀の社会では、①が重要
視され、何かをつくる機会が
著しく減少してしまった
つかう学びへの偏重が人から自ら学ぶ力を奪う
③つくる
②つなぐ

9. 現状と課題（２）
働 知
遊
①つかう
自分
ここ最近の課題
これまでの反動で、「③つ
くる」のみが注目されてい
る。アクティブラーニング
の実践例の中にも、同様の
ケースが散見される。
「②つなぐ」が軽視（無視）
され、アイデア出しやプレゼ
ンが目的化してしまっている
傾向がある
問題を自分ごととして捉えない限り、いつまでも実行される
ことのない空虚なアイデアが生み出されるだけ！
③つくる
②つなぐ

10. 解決の方向性
働 知
遊
①つかう
自分 ③つくる
②つなぐ
これからの社会で求められ
る能力
①新しい知を創り出せる力
②自立した個人として、自
らの頭で考え、行動できる
力
「つかう」「つなぐ」「つ
くる」を連動させた学びへ
のシフトが不可欠
双方向の学びで人が本来持つ自ら学ぶ力を取り戻そう！