情報化社会の今を考える
∼ Make と Operate ∼
慶應義塾大学 環境情報学部
植原啓介 (kei@sfc.keio.ac.jp)
2014/09/18 2014( ©(2014(Keisuke(UEHARA
インターネット時代のセンサーネットワーク
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(
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(
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MRI PET(
(
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Sensor Web/Network DB Analysis Publish
Server
CGM(
Sensor(
Network
主なSTEのアクティビティ(情報提供)
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Safecast
WebGIS Yahoo!
固定センサー
•  1か所あたり10万円程度の低価格のネットワーク接続型センサーを3ヶ月
程度で開発
•  右図が示すように線量率の減少傾向が見て取れる
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(
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(arduino)
WiFi(
(
(Planex (MZKR
RP150N )
Internet
Access(Point
pachube.com
yahoo.co.jp
Ethernet
WiFi
STE(Project
南相馬市との協働/復興支援
(太田地区復興会議の支援)
•  GRIZZLY125(ヤマハ製バギー)
+SAM940(BND製2x2NaIシンチレータ)
+Trimble製GPS
•  地上から1mの高さにSAM940を設置し農地
・牧草地・林道を測定
•  航空機・自動車サーベイを補完
•  南相馬市の測定事業として展開
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無人航空機(UAV)によるサーベイ
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0.00E+00(
1.00E+00(
2.00E+00(
3.00E+00(
4.00E+00(
1(
121(
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361(
481(
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961(
1081(
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2641(
0.00E+00(
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3.00E+00(
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557(
696(
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974(
1113(
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1391(
1530(
1669(
1808(
1947(
2086(
2225(
2364(
2503(
2642(
2781(
2920(
3059(
Legend
Air radiation
uSv/h
0.152 - 0.200
0.201 - 0.300
0.301 - 0.400
0.401 - 0.500
0.501 - 1.029
®
0 150 300 450 60075
m
Legend
Estimated
uSv/h
0.718 - 0.812
0.813 - 0.846
0.847 - 0.878
0.879 - 0.919
0.920 - 1.446
®
0 150 300 450 60075
m
なにごともデータに基づいて語られる世界
•  「⃝⃝データ」といった言葉がよく聞かれるようになった。
–  「ビッグデータ」という言葉の起源は定かではない。
–  コンピュータ業界誌であるWiredが「The End of Theory: The Data Deluge Makes
the Scientific Method Obsolete」[2008]という記事を掲載したのがきっかけと言わ
れる。
–  その後、Computing Community Consortiumから「Big-Data Computing:
Creating revolutionary breakthroughs in commerce, science, and society」
[2008]という白書や、The Economist誌の「The data deluge」[2010]、「Data,
data everywhere」[2010]という記事をうけて、いよいよ「ビッグデータ」という言
葉が定着していった。
–  2012年3月には米国のオバマ政権が「Big Data Research and Development
Initiative」を立ち上げ、2億ドル以上の予算をつけることをアナウンスしている。
「Research and Development」とあるように、どちらかと言うと技術的な意味が強
い言葉であることがわかる。
•  なぜ、これまでできなかったのか。
•  データを沢山集めるのが難しかった。
•  コンピュータがこの状況を変えた。
–  それでも、1MBのデータを処理するのに1秒かかると、3TBのデータを処理するの
に…
2014/09/18 2014( ©(2014(Keisuke(UEHARA
Big Data
•  誤 「データを集める」 正 「データが集まる」
•  「Born Digital」の時代となり、人間の活動の多くがデジタルデータとし
て記録されている。
–  自動車は約100個のプロセッサを搭載しており、300種程度の情報を処理しなが
ら走行している。
–  自動運転の車では、秒間約1GBのデータを処理している。
•  量(Volume), 種類(Variety),
頻度(Velocity)
–  Twitterで1日に生成される
データの量は2012年当時で12TB
–  Googleが1日に処理している
データ量は2004年当時で20PB以上
h]ps://twi]er.com/Bill_Gross/status/329069954911580160/photo/1
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SNSデータの活用
h]p://www.flickr.com/photos/walkingsf/sets/72157624209158632/(
75 2013 3
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  マック vs マクド
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プローブ情報システム
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オープンデータ
•  オープンデータとは、自由に使えて再利用もでき、かつ誰でも再配布でき
るようなデータのことだ。従うべき決まりは、せいぜい「作者のクレジッ
トを残す」あるいは「同じ条件で配布する」程度である。
•  利用できる、そしてアクセスできる データ全体を丸ごと使えないといけな
いし、再作成に必要以上のコストがかかってはいけない。望ましいのは、
インターネット経由でダウンロードできるようにすることだ。また、デー
タは使いやすく変更可能な形式で存在しなければならない。
•  再利用と再配布ができる データを提供するにあたって、再利用や再配布を
許可しなければならない。また、他のデータセットと組み合わせて使うこ
とも許可しなければならない。
•  誰でも使える 誰もが利用、再利用、再配布をできなければならない。デー
タの使い道、人種、所属団体などによる差別をしてはいけない。たとえば
「非営利目的での利用に限る」などという制限をすると商用での利用を制
限してしまうし「教育目的での利用に限る」などの制限も許されない。
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:( ((h]p://opendatahandbook.org/ja/)
技術的問題
法的問題
社会的問題
•  日本のオープンデータは遅れていると言わ
れている
–  WWWFのOpen Data Indexによると日本は
中国に続いて19位
http://www.webfoundation.org/2012/09/introducing-the-open-
data-index/
–  Open Knowledge FoundationのOpen Data
Indexでは日本は27位
https://index.okfn.org/country
–  登記情報や交通情報、教育情報などの
openness, accessibility, machine
readabilityにおいて、特に評価が低い
Current status of Japan related to OpenData
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日本におけるオープンデータに関する動き
•  電子行政オーフンテータ戦略(平成24年7月4日 IT総合戦略本部決定)
1.  透明性・信頼性向上 → 行政の透明性の向上、行政への国民からの信頼性の向上
2.  国民参加・官民協働推進 → 創意工夫を活かした公共サーヒスの迅速かつ効率的な提供、
ニースや価値観の多様化等への対応
3.  経済活性化・行政効率化 → 我か国全体の経済活性化、国・地方公共団体の業務効率化、高
度化
•  電子行政オーフンテータ実務者会議の設置
(平成24年11月30日 IT総合戦略本部企画委員会決定)
•  世界最先端IT国家創造宣言(平成25年6月14日 閣議決定)
–  世界最高水準のIT利活用社会を実現するに際して、「ヒト」、「モノ」、「カネ」 と並ん
て「情報資源」は新たな経営資源となるものであり、「情報資源」の活用こそか 経済成長
をもたらす鍵となり、課題解決にもつなかる。ビッグデータやオープンデータに期待される
ように、分野・領域を超えた情報資源の収集・蓄積・融合・解析・活用に より、新たな付
加価値を創造するとともに、変革のスピードを向上させ、産業構造・社会生活において新た
なイノベーションを可能とする社会の構築につなける必要かある。
•  電子行政オーフンテータ推進のためのロートマッフ
(平成25年6月14日 IT総合戦略本部決定)
•  data.go.jp試行版開設(平成25年12月20日)
•  世界最先端IT国家創造宣言 改訂(平成26年6月24日 閣議決定)
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日本におけるオープンデータポータル
•  http://data.go.jp/
(2013年12月20日開設)
•  2014年9月14日現在、10,411件の
データセットが登録されている
•  現在は試行版だが、10月1日には正
式版が公開される予定
•  2013年4月1日に一旦閉鎖されたが、
5月16日に再開
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オープンデータを活用した例
h]p://pending.jp
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オープンデータを支援するサイト
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コンテスト・アイディアソン
•  「オープンデータ・アプリコンテスト」
総務省・オープンデータ流通推進コンソーシアム
•  「オープンデータ・ユースケースコンテスト」経済産業省・総務省
•  「ビッグデータ・オープンデータの活用アイデアコンテスト」千葉市
•  「流山市アプリコンテスト」流山市
•  「福井県Webアプリコンテスト」
福井県
•  「ビッグデータ・オープンデータの
活用アイデア・アプリケーション
コンテスト」
ビッグデータ・オープンデータ
活用推進協議会
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様々なコンテストが開催され、多くのア
イディアが生まれている。今後の課題は、
これらのアイディアを社会にきちんとイ
ンプリメントしていくこと。
海外の事例
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JIPDEC坂下様プレゼン資料より
2014/09/18 2014( ©(2014(Keisuke(UEHARA
センサーネットワークの構築
•  オーフンソースハートウェアの存在
–  ArduinoをはじめとするIoTのためのプラットホームが簡単に、安価に入手できる
–  周辺機器との接続が容易で、高度に専門的な知識を必要としない
•  クラウド環境
–  IoTのためのデジタル基盤
–  サーバのセットアップ等を必要とせず、とりあえずデータを登録すれば、そのま
ま公開できる
•  オープンデータ
–  クラウドソーシング
–  データをオープンにすることにより、多くのアプリケーションが出現する環境
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MITメディアラボの初代所長のニコラス・ネグロポンテ氏
の「Demo or Die」という言葉が霞むような時代になり、
現所長の伊藤穣一氏が「Deploy or Die」と発言する時代
人: 様々なSNS
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h]ps://twi]er.com(
h]ps://www.facebook.com(
h]ps://plus.google.com
モノ: 様々なハードウェア
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h]p://arduino.cc(
h]p://www.raspberrypi.org(
h]p://beagleboard.org/bone
環境: 様々なクラウドサービス
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h]ps://github.com(
h]ps://xively.com(
h]ps://www.heroku.com(
h]p://maps.google.co.jp
資金: クラウドファンディング
2014/09/18 2014( ©(2014(Keisuke(UEHARA
Deploy
実際に現場に投入するにあたり、課題だったこと
•  設置時
–  設置場所の調整
–  設置場所の環境(電源、通信環境)
–  量産
–  設置場所との連絡体制
–  設置
•  設置後
–  機器の安定動作
–  監視
–  トラブル対応(含む 人為的なもの)
2014/09/18 2014( ©(2014(Keisuke(UEHARA
「導入」と「運用」の間の大きな隔たり
運用に示唆を与えるのが得意なのが、
ビッグデータという側面もある
リアルを測る
ITS2014/09/18 2014( ©(2014(Keisuke(UEHARA
リアルを測る
	
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ITS
様々な計測手法が利用できるようになり、
多種多様な大量のデータを使ってリアルな
動きを計算機上で捉えることが可能となった。
リアルを測る
2014/09/18 2014( ©(2014(Keisuke(UEHARA
さらに、運用に対するログ解析などの技術も
日々進歩している。
まとめ
•  簡単にデータ収集のための仕組みを作れる時代になった。
•  これからは、どんどん処理すべきデータが増えてくる。
•  ありとあらゆることが「データに基づいて語られる」ようになる。
•  データを扱うスキルが切実に求められている。
–  統計的考え方
–  データを収集するための力
–  ビッグデータを扱うための計算機アーキテクチャ
•  しかし、継続的な運用は難しい。
–  忘れがちだが、ビッグデータの考え方を運用にも導入しなければならない。
•  アイディア1つで、とんでもない事実がわかったり、とんでもないビジネ
スが生まれたり、生活環境を一変するようなことができるかも。
2014/09/18 2014( ©(2014(Keisuke(UEHARA

20140918 センサ・アクチュエータ・マイクロナノ/ウィーク2014 次世代センサ総合シンポジウム