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救急部 木村 圭一
1/33
本日の目標
• 破傷風は恐ろしい病気だと認識する
• 破傷風になりやすい傷はないと認識する
• 患者に破傷風予防注射をすすめる
• 自分も打つ気になる
2 /33
破傷風の毒素1gで
何人殺せるか?
6 /33
破傷風患者は
年間何人?
破傷風の発生数と死亡数
0 35 70 105 140
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
アメリカの頻度は
?
9年で252人(28人/年)
/339
他の国の頻度
• カナダ 0.11/100万人
• イギリス 0.2/100万人
• イタリア 0.2〜0.5/100万人
• 日本 0.9/100万人
11 /33
ある米国人の話
普通の社会生活をしている者で、破傷風
予防注射をしていない者は、
• 出血が強く瀕死の状態になっても輸血を
断る特殊な宗教団体に属する者か
• 東南アジアからの避難民 である。
12 /33
年齢別発症数
0
40
80
120
160
0歳 10-14歳 25-29歳 40-44歳 55-59歳 70-74歳 85-89歳
女性 男性
年齢別の抗体保有率
日本の現状
•定期的な接種はない
•子供の時で終わり
15 /33
• それも1969年からで、46歳
以上の人はしていない可能性
が高い。
1975-81年の間も中止されてい
る。
16 /33
抗体価の上昇
tetanus prone wound
• このような言葉は忘れましょう
• 基礎免疫がない場合グロブリン
投与が必要
• グロブリン投与が必要ないよう
ワクチン接種を薦めるべき
18 /33
原因となった創
29人(6.4%) 傷なし
83人(18.2%) かすり傷程度
118人(25.9%) 刺創
(木片、釘、竹など)
重症でない傷 50.5%
破傷風菌はどこに?
•どこの土をとってきても
50%の確率で存在
創の15例中に1例検出
21
破傷風菌は土壌の常在菌
/33
Tetanus prone wound
抗体を測るキット
•外国にはある
•感度91%、特異度100%
•日本への導入が望まれる
23 /33
約420円
頭部CTとグロブリン
どっちが高い?
お値段
頭部CT 11060円
事例紹介
11歳男児。
DPTワクチン(なし)
喘息のため?
27 /33
近くの公園で
枯れ木が
右下腿前面
トンネル状に刺さる。
傷の開口部は1.0cm
深さは1.9mm
25 /33
受傷3日後近医を受診。
予防注射を薦められ、
総合病院を受診。
29 /33
破傷風の心配はないか?
相談された総合病院外科
のドクター
「まさか発症することは
ないだろう」
30 /33
ヒト破傷風免疫グロブリン
投与を行わず、経過を観察
した。
受傷11日後
典型的な破傷風となった。
31 /33
事例紹介2
11歳の男児
受傷後3日目に来院し、破傷風を発
症し死亡。
1審 予防をしていれば破傷風の発
症を予防できた(医療側が敗訴)。
2審 受傷6時間を過ぎれば、破
傷風の毒素は産生され神経に結
合する。
この時期に投与を行っても、
発症は予防できなかったとして
患者側が敗訴。
33 /33
最後に
「手術室で消毒した皮膚に、滅
菌されたメスで加えた切開創以
外の傷は全て破傷風の原因にな
りうる」

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