研修医さんのためのとりあえず抗菌薬入門(肺炎編)おーちゃん
研修医さんに聞きました。抗菌薬の使い方、何がわかんない?「えーっとぉ、色々数はあるしぃ~ 覚えきれません。 っていうかぁ・・・・」っていうか?「とりあえず、何か使えるようになりたいです!」
では症例へ!症例 62歳 男性【主訴】発熱、咳嗽、呼吸困難【現病歴】5日前より、夜間に強い咳が出るようになった。翌日より38℃の発熱があり、市販の風邪薬を内服していた。本日、咳が激しく息苦しくなり、動けないため家族に連れられて救急外来を受診した。【既往歴】特になし
【身体所見】意識清明,体温 38.6℃, 血圧 140/94  mmHg,脈拍 104回/分,sinus rhythm呼吸回数 24回/分, SpO2 88%(室内気),胸部聴診上 両側下肺にCoarse Crackles聴取【胸部X線所見】やっぱり肺炎じゃん!
【入院時血液検査所見】尿中肺炎球菌抗原 陰性尿中レジオネラ抗原 陰性喀痰->がんばっているけど全く出ない血液培養を2セット提出<CBC><Blood chemistry> <Serology> TPT-bilASTALTBUNCre7.40.41014240.88g/dlg/dlIU/lIU/lmg/dlmg/dlCRP20.38mg/dlWBC(Neu.RBCHbHctPlt/μl%)/μl/dl%/μl1140084.6449×10415.546.020.5×104<BGA (Room Air) > pHPaCO2PaO27.29236.658.8TorrTorr
この患者さんの病名は?「市中肺炎ですね!」(キリッ)それじゃ、抗菌薬は何にしようか?「え~!? そうですね。。。この前、オーベンが使っていた、カルベニンⓇ 、とかどうでしょう?」ばっかもーん!!!(・・・だから、抗菌薬とか苦手なんだよ。。。ぶつぶつ。。。)
本スライドの概要僕の、抗菌薬を使う上でちょっとした考え方・覚え方を教えます!Common Diseaseである肺炎の実際を一緒に体得してもらいます!とりあえず、肺炎なら、何か使えるようになってもらいます!
感染症治療の基本どんな患者さんの、どの臓器に、どういう微生物がいて、どの抗菌薬を使う?青木眞先生、岩田健太郎先生、矢野晴美先生、大野博司先生、大曲貴夫先生などのすばらしき著書より引用させてもらったでござる
ほら出たよ微生物学どの微生物が・・・ってとこで、やっぱり微生物学は避けて通れないんでござるよ・・・「え~~~? 学生の時、微生物学とか分かんなかったです! とにかく、多すぎて覚えられないんです!」
覚えるしかねえよ!まずは、大まかな分類だけ覚えて、頭に整理する箱をつくるでござる!
そのあと、典型例を1つずつおぼえていけばいいでござる!
つべこべいわず覚えるでござる!微生物を7つに分類グラム陽性球菌 ①連鎖球菌グループ(肺炎球菌、溶連菌など) ②ブドウ球菌グループ(黄ブ菌、MSSAなど) ③耐性ブドウ球菌(MRSA)グラム陰性桿菌 ④大腸菌グループ(大腸菌、クレブシエラ) ⑤緑膿菌グループ(SPACEの頭文字!)その他 ⑥嫌気性菌(バクテロイデス) ⑦マイコプラズマ、クラミジア、リケッチア
それを、図でイメージ。グラム陽性球菌グラム陽性桿菌グラム陰性桿菌グラム陰性球菌大野博司先生リスペクト!
これが、頭の棚!
術前投与のセファメジンⓇ△△※だいたいのカバーです。
みんな大好きクラビットⓇ
最終兵器メロペンⓇ△
こんな感じで。どの抗菌薬が、だいたいどんなカバーかをイメージしてください。ホントは、もっともっと細かいですが、    最初はこの表からつきつめてください。あとは、1つ1つの疾患から、この表に当てはめて覚えていく苦行でござるよ!
さっきの症例50歳男性、市中肺炎。市中肺炎の原因微生物は①肺炎球菌②インフルエンザ桿菌③モラクセラ・カタラーリス④マイコプラズマ⑤クラミジア・ニューモニエ⑥レジオネラ
さっきの図をイメージ!
ここで注意!市中肺炎の中でも、④マイコプラズマ肺炎⑤クラミジア肺炎を 非定型肺炎と言うでござる。「・・・なんで区別するんですか?」治療方針が異なる、(使う抗菌薬が違う)からでござる!
定型・非定型肺炎の区別日本呼吸器学会ガイドラインより1.年齢60歳未満2.基礎疾患がない,あるいは,軽微3.頑固な咳がある4.胸部聴診上所見が乏しい5.痰がない,あるいは,迅速診断法で原因菌が証明されない6.末梢血白血球数が10,000/μL未満である以上6項目のうち、4項目以上で非定型肺炎疑い。感度77.9%、特異度 93%
今回の症例は?1.年齢60歳未満2.基礎疾患がない,あるいは,軽微3.頑固な咳がある4.胸部聴診上所見が乏しい5.痰がない,あるいは,迅速診断法で原因菌が証明されない6.末梢血白血球数が10,000/μL未満である3つ。非定型肺炎かも。でも、わからない!(特異度の高い検査は、 除外診断に用いてはいけませぬ!)
本症例の回答できるだけ狭い範囲の抗菌薬で、①②③④⑤をカバーするのが正解。(⑥については、最後にお話します。)
ロセフィンⓇ(CTRX)を入れると?△△①②③と代表的なものはカバー。しかし、今回は④⑤も必要。
クラリスⓇを(CAM)を加えると?△△△△△△△追加することで、④⑤⑥をカバー!まずは、これからスタートしましょう。
え?全例併用?「異議あり!みんな併用していたら、それこそ抗菌薬の乱れ打ちです!」今回の例は、実は典型例ではないんです。市中肺炎は、圧倒的に定型肺炎が多く、「非定型も疑われるとき、併用する」というのが現実です。
市中肺炎の抗菌薬結論として典型的な市中肺炎には、ロセフィンⓇもしくは、ユナシンⓇ を使い、非定型を疑うときは、テトラサイクリンや、マクロライドを使うか、併用ということになります。それでは、のこりの時間は、肺炎でよく見るその他の抗菌薬の位置づけを見ていきましょう。ユナシンⓇ(ABPC/SBT)△△ロセフィンⓇとタメをはる肺炎のエース。ペニシリン系のキレは伊達じゃない。嫌気に強く、誤嚥に使えるイケメン
シプロキサンⓇ(CPFX)△グラム陰性桿菌のスペシャリスト。肺炎球菌には効かないから注意してね!緑膿菌など、院内感染菌に大活躍。非定型肺炎、レジオネラに使える男前。
カルベニンⓇ(PAPM/BP)△△肺炎においては、ぶっちゃけユナシンⓇと大差はない。カルバペネムなのに緑膿菌に効かない。
ビクシリンⓇ(ABPC)△△△肺炎球菌性肺炎とわかった時、 De-escalationとして用いる薬剤。 同じ用途として、ペニシリンGがある。
ダラシンⓇ(CLDM)△△嫌気性菌と陽性球菌の専門家。誤嚥へのチエ/ダラは併用する意味がない。マクロライドの併用は禁忌。偽膜性腸炎を起こしやすい。
応用:レジオネラ肺炎に注意!市中肺炎の中で0.3%程度と言われますが、重症化する危険のある、2類感染症です。疑われたら、上級医に報告をするべきなり!「どういったことに注意したらいいですか?」温泉、24時間風呂への病歴、39℃以上の発熱持続、下痢をしている、意識障害など神経症状、血尿、CKの上昇、Naが下がっている、肝機能障害、膿性痰がでるけどグラム染色で何も染まらない、βラクタムで治療してるけど、まったく効かない、このときに尿中レジオネラ抗原を必ず測りましょう!Mulazimoglu L et al. Chest. (2001)
まとめ微生物をまず7つに分類する。その感染症の典型的な原因菌を覚える。原理を知った上で、自分なりの必勝パターンのみ覚えておけば良い。あとは、それに枝葉をつけていくのみ! がんばるでござるよ!!

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