意識
資本
スタートアップ⽀援に
おける「組織開発」
⽀援の重要性
ー「垂直発達」の観点からー
沢津橋紀洋
意識
資本 課題意識
Not Zero to One, But One to Hundred
Seed
Series
A~
Pre/Post
IPO
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• ⽇本全体のスタートアップの調達額は、2010年の705
億から2019年には4462億と、約10年で
• 6.3倍へと増えた。
• ⼀⽅で、いわゆる「ユニコーン企業」は5社程度であ
る。
0から1を作る「起業家」は増えた。しかし、1
を100にする(事業を成⻑軌道に乗せ⼤きくす
る)「事業家」が⽇本には圧倒的に少ないとい
うことだ。
⽥所雅之『起業⼤全 スタートアップを科学する9つのフレー
ムワーク』(2020)より
意識
資本
スケールのためには
• プロダクト、ファイナンス、オ
ペレーションetc
ビジネスサイド
• ⼈事、⼈材育成、組織開発
組織⾏動サイド
(Organiza)onal
Behavior)
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求められる「2本柱」の⽀援
• 経営チームも⽀援側も、どうしてもビジネスサイドに⽬がゆきがち。
• しかし、特にPMF達成後(0⇢1)の、1から10、100に持ち上げていくシーンでは、スケールす
る組織の⼟台となる「組織開発」⾯での⽀援が重要。
• アントレプレナー教育で有名なUSのバブソン⼤学でも、ビジネスサイドと組織⾏動サイド
それぞれ専⾨のアドバイザーがつく(九⼤・五⼗嵐教授談)。
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⼈間の成⻑に関しての「隠された視点」
• ⼈間の成⻑には、「⽔平発達」と「垂直発達」の2つがある。
• ⽔平は、その個⼈が「何が出来るのか」「何を持っているのか」とい
う「⾏動とスキル」(コンピテンシー)に関わる。
• 垂直は、その個⼈が「何であるか」という「存在規定」(ケイパビリ
ティ)に関わる。
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成⼈発達理論より
私 たちの社会では、とかく「⾏動やスキル」⾯の重要性が強調されがちです。 しかし、そうし
た⾏動やスキルを⽣み出している私たちの存在基底そのもの を考慮しなければ、表⾯的な⾏動
に振り回されてしまうでしょう。 ケイパビリティはコンピテンシーの根幹を成します。つま
り、ケイパビリテ ィがあることによって、私たちは⾃分のコンピテンシーを発揮することがで
るのです。
仮にケイパビリティとコンピテンシーの区別が明確にされていれば、組織に おける「⼈材開
発・⼈材管理」の考え⽅は⼤きく異なってくるでしょう。残 念ながら、ほとんどのコーチング
コミュニティにおいては、未だ⾏動的な側 ⾯にしか着⽬しておらず、この区別を今後より厳密
化させていく必要があり ます。 オットー・ラスキー『⼼の隠された領域』より
⽔平に拡⼤:同⼀の段階における拡⼤(新たな
技術の獲得、新たな知識の追加)
垂直に上へ:変容、新たなステージにおける新
たな視点の獲得
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垂直発達は「⾃我の包容⼒」の科学
• 垂直発達に関する英語論⽂名”Nine Levels of Increasing Embrace in Ego
Development”(Sussane Cook-Greuter )を訳すと「⾃我の発達:包容⼒を増してい
く9つの段階」となり、垂直発達とは「包容⼒」を増していくことだと分かる。
• 右記図参考。
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認知⼼理学者のハワード・ガードナー(Howard Gardner)は、⼈間の意識構造の発達(「個性
化」)とは⾃⼰中⼼性が減少する形で展開するものであるという指摘をしています。つまり、意
識の発達とは、⾃⾝の視点への囚われから解放され、世界に存在する他者の視点を留意・尊重す
ることができるようになる「意識の包容⼒」が⾼まる過程であると説明されるのです。
鈴⽊規夫「ワールド・シフト研究会配布資料」より
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「包容⼒」はスタートアップ経営者必須
組織内にて
•予算に限界があり、ハイタレントを直ちに採⽤
できない中で、現有戦⼒を育てる必要がある。
•⽇々組織がスケールする中で、職能の⾼度化が
求められる社員をストレスを乗り越えさせて成
⻑させる必要がある。
•経営チーム内での意⾒の異なりを調停させる必
要がある。
組織外にて
•多様なステークホルダーとの協働に際して、イ
ンセンティブ、課題認識、想定する時間軸をど
うすり合わせていくか。
•特に新しいプロダクトを社会実装させるために
は、様々な関係者を巻き込み、調整する必要が
あり(法体系など含む)、調整作業から逃れら
れない。
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組織内外を様々に「統合」する必要がある
意識
資本
リーダーシップ次元研究との整合性
• ⾃我発達段階を参照していると思われる、HBRでのリーダーシップ研究の段階表(筆者作
成)
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デイビット・ルーク,
ウィリアム・R, トー
バート「変⾰リー
ダーへの進化」
『ハーバード・ビジ
ネス・レビュー
リーダーシップ論⽂
ベスト10 リーダー
シップの教科書』
達成型のリーダーシップの強みは、「成果達成のための効率的なマネジメント」である⼀⽅で、「メンバー
ごとの個性に合わせた成⻑のマネジメント」が難しい。達成型のリーダーは、⼀定の能⼒の⾼さがあるメン
バーが揃っている場合は、成果が出やすいが、そもそもの能⼒に不安があるメンバーや、達成型リーダー⾃
⾝の価値観や性格とのもともとの相性が悪いメンバーを育成し、引き上げていくことに困難がある(特に、
業務における⾃律性が⾼く求められる役職者に対して)。スタートアップ経営者は、「達成型」リーダー
シップを越えて、 「再定義型」「戦略家型」「変⾰者型」へと発達していく必要があると思われる。
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垂直発達のための「深い内省⽀援」
• 垂直発達の度合いは、「⾃分をどれほど客体
化できているか」であるが故に、必要なのは
「深い内省」⽀援。⽇々の意思決定の是⾮の
内省はもちろんのこと、その意思決定をして
いる根幹である「⾃⾝のメンタルモデル(無
意識含む)」まで含むので「深い」内省と定
義。
• ⾃⼰の客体化度合いを測定し、垂直発達の度
合いを数値化できるメソッドが欧⽶の研究で
体系化されている。そのアセスメントを参考
に、⾃⼰の客体化を深めていくことで、垂直
発達(ケイパビリティ)を可視化し、効果測
定することが可能に。
• この「垂直発達」が「⾏動とスキル」のベー
スにもなるため、「意識資本」として経営管
理することが出来る。
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⾃⼰を遠くから⾒れるように⽀援する。
⼈材管理や⼈材育成に携わる⼈
が覚えておかなけれ ばならない
ことは、測定可能なものだけが
管理可能であるという事実で
す。 オットー・ラスキー
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詳細な解像度での伴⾛が効果的
• ⾃我段階(垂直発達)アセスメントでは、0.2刻みで⾃我次元(リーダーシップ
次元)を測定することが可能。
• このアセスメントにより、解像度が⾼い「スタートアップ経営者」の垂直発達
⽀援が可能に。
• 前職の⽀援先のデータでも、
⾃我次元と会社の規模には
相関が⾒られた。
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意識
資本
⾃⼰紹介 • ⿅児島⽣まれ育ちの両親のもと、1990年に東京で
⽣まれる。
• 2014早稲⽥⼤学⽂化構想学部卒業
• 2016東京⼤学⽂学部卒業
• 2018東京⼤学教育学研究科卒業
• 在学中から⽶国⾼校留学⽀援事業を⽴ち上げて活
躍。
• 卒業後は⽇本と東南アジア全域をカバーする(株)
リープラジャパンに、⼀⼈⽬の研究員として⼊社。
• ⼈⽂学と教育諸科学への造詣を活かし、起業家の発
達⽀援プログラムを構築。東南アジアサイドまで含
めたオペレーション構築に従事。
• 2020年末、退社。
• コロナ後の新たなライフスタイル、社会情勢の変化
を⾒据えて、福岡へ移住。意識発達の視点をスター
トアップにもたらすべく活動開始している。
• 現在、早稲⽥⼤学⼤隈塾講師、九州⼤学アントレ
プレナーシップ講座講師などを務める。
• Address : tsuvashi@gmail.com
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沢津橋紀洋
Norihiro Sawatsubashi

スタートアップ支援における「組織開発」支援の重要性