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一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会
2023年9月
急成⾧を遂げる日本のスタートアップ市場
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1. スタートアップとVC – 直近10年のエコシステムの成⾧
人材
3
• 給与水準の高さもあり、多くのプロ
フェッショナル人材が転職、起業
• 大学や社内でアントレプレナーシップ
を教わる機会も多く、起業が身近に
スタートアップ
2
• 上場、未上場を合わせて78社が時価総額
1000億円に到達
• 人材の流入や研究成果を踏まえた事業化に
より、多くの産業の成⾧に貢献、雇用創出
VC
1
• ファンドサイズが10年前の10倍以上に
成⾧し、機関投資家からも投資
• 諸外国以上のリターン(DPI)を実現
好待遇
成⾧機会の供与
起業・CXO参画
リスクマネー提供
Exitによる
リターン
起業・転職の
機会提供
スタートアップ支援
日本のスタートアップエコシステムは、資金供給者であるVC、スタートアップ、人材面の三者が、
相乗効果をもたらしながら成⾧し、ここ10年でエコシステムが大きく成⾧
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1. ①VC VCの資金調達状況
国内VCへの投資総額は増加基調にあり、2022年度には過去最高を記録。GPIFをはじめとした国
内外の機関投資家も注目しており、更なる活性化が期待される
Source:Initial 「Japan Startup Finance 2022」
2,218
1,825
2,621
3,206
2,618
3,966
5,242
5,766
4,891
6,165
0
2,000
4,000
6,000
8,000
2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
+12%
国内VCの調達総額(億円)
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1. ①VC 地域別ファンドパフォーマンス比較 (DPI)
国内VCの運用リターンは、2012年-2014年の期間において北米/欧州と比較して高い値を
示しており、日本のスタートアップエコシステムのポテンシャル、レベルの高さを示唆
Note:各データは2023年8月31日時点集計。
Source: Preqin(日本は国内VCパフォーマンスベンチマーク第5回調査(2023年9月))
年度別 DPI (%)
2012 2013 2014
323.6
132.7
165.0
北米
欧州
159.8
107.2
78.0
98.3
115.9
97.5
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1. ②スタートアップ 資金調達状況
国内スタートアップ資金調達額
日本国内におけるスタートアップの資金調達総額は順調に成⾧。経済不況により他国では投資が急
減した2022年においても、底堅さを見せる
2022年度ベンチャー投資額
Source:CB Insight 「State of Venture 2022 Report」; EY 「Venture capital and start-ups in Germany 2022」; Axios 「China‘s venture investing had a rough 2022」; Initial 「Japan Startup
Finance 2022」
877
1,424
2,018
2,565
3,576
4,868
6,000
5,554
8,508
8,774
4,000
0
2,000
6,000
8,000
10,000
2018
2013 2014 2022
2015 2016 2017 2019 2020 2021
+29%
スタートアップの資金調達総額は順調な成⾧傾向にあり、
2022年には8774億円と9年間で10倍以上にまで成⾧
資金調達(億円)
103
63
52 51
20
0
40
60
80
100
120
諸外国では経済不況によりベンチャー投資額が落ち込む中、
日本は前年比で成⾧を見せており、不況時の際もベンチャー
エコシステムは底堅い
2022年ベンチャー投資額指数
(2021年度を100と設定)
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1. ②スタートアップ 各国の資金調達状況
2022年度のスタートアップに対する資金調達総額は66億ドル、件数は3717件に達し、米国や中
国と比較して少ないものの純増傾向にある。GDP1兆ドル当たりの同件数は757件と米国、中国、
ドイツを上回る
Source:CB Insight 「State of Venture 2022 Report」; EY 「Venture capital and start-ups in Germany 2022」;Axios 「China‘s venture investing had a rough 2022」; Initial 「Japan Startup
Finance 2022」
資金調達額(十億ドル)
12,141
6,186
3,717
1,008
0
3,000
6,000
9,000
12,000
15,000
479
311
757
237
0
200
400
600
800
1,000
198.4
46.6
6.6 10.1
0
50
100
150
200
国別スタートアップ資金調達件数
資金調達数(件) GDP当たり調達数(件/1兆ドル)
国別スタートアップ資金調達金額
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1. ②スタートアップ 国別ユニコーン数の比較
日本国内におけるユニコーンの総数が少ない要因の一つは、小規模な段階で上場を選択するスター
トアップの多さであり、上場企業を含んだ時価総額1000億以上の企業数は未上場時に限定した場
合の5倍近い数値に
Source:CB Insight 「State of Venture 2022 Report」; Initial 「Japan Startup Finance 2022」
554
174
64
43
26
12
68
600
0
200
400
78
10
国別ユニコーン数の比較(2022年6月時点) 国内ベンチャーの特性
上場ユニコーン数
グロース市場の上場要件の低さ(流
通株式時価総額5億円以上)も手伝い、
国内スタートアップは上場のハード
ルが低く、時価総額の低い段階で上
場する傾向にある
2013年-2022年の上場スタートアッ
プ463社中、68社が時価総額1,000億
円を一時的に超える「ユニコーン化」。
未上場企業と合計すると累計ユニコー
ンは78社
ユニコーン化数(日本のみ計上)
ユニコーン数
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1. ③人材 日本の正規雇用数
女性の雇用参画による正規雇用数の増加により、日本の正規雇用数は2014年を底として急速に
拡大。正規雇用における女性比率は米国と比較して10%程度低い水準にあり、今後も拡大余地
日本の正規雇用数は、2014年を底として急速に拡大
日本における男女別正規雇用数(2014年の数値=100)
Source: 総務省統計局「労働力調査」(基本集計、年平均)、Bureau of Labor Statistics “American Time Use Survey - 2022 Results”
日本における正規雇用数 (万人、1984年-2022年)
2014年以降女性の雇用参画による正規雇用の増加が顕著。
正規雇用の女性比率は未だ低く、今後の拡大余地に期待
90
100
110
120
130
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
男性正規
女性正規
(2014年女性比31%→
2022年34.7%)
3,200
3,400
3,600
3,800
4,000
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025
正規雇用数は、1997年にピークを迎え、その後減少傾向にあった
が、2014年以降単調に増加し2022年までの8年間で300万人増加
2014年以降の正規雇用数の増加は、女性の雇用参画による正規雇
用数の増加に起因。日本の正規雇用における女性比率は34.7%と
米国43.8%と比較して、未だ低水準であり今後も拡大余地
9. Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 9
1. ③人材 スタートアップにおける待遇、転職数
スタートアップの上場企業との給与差は拡大しており、高年収を提示する企業の割合もスタート
アップが上回る。待遇の向上に伴い大手企業からスタートアップに転職する割合も増加
Source:プレジデント「平均年収が高い「全国トップ500社」ランキング2022」; 日本経済新聞「大企業から新興へ転職者7倍 縮む年収差が追い風」; 「スタートアップ年収、上場企業を7%上回る 650万円」
会社種別の平均給与 ベンチャーへの転職比率
平均給与差は2020年から2022年にかけて、9万円から58万円
まで拡大。年収1000万円以上のポジションの割合も、上場企
業13%に対してスタートアップ21%と~1.6倍の水準
転職のうち、大企業からスタートアップへの転職が占める割
合は2018年からの3年間で~2.5倍に増加。
8.6%
12.1%
16.7%
21.4%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
2018 2019 2020 2021
62%
49%
25%
30%
13%
21%
上場企業 スタート
アップ
1000万円以上
800-999万
400-799万
2020 2022
593
602
622
680
+9
+58
上場企業
スタートアップ
平均給与(万円)
転職におけるスタートアップの割合(%)
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1. ③人材 起業家の出身企業
有名スタートアップの多くは、外資系企業、総合商社、省庁に勤めていた経験を持つ人材により起
業されている
外資系コンサル出身 外資系投資銀行出身 外資系IT企業出身
大手総合商社出身 省庁出身
Note:上場または、10億円以上の資金調達を行ったスタートアップを中心にリストアップ
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学
3
日本の大学は世界ランキングやノーベル賞受賞者
数においてトップクラスに位置。
大学が保持する技術を母体としたスタートアップ
が増加傾向に
官
2022年に、スタートアップへの投資額を、
2027年度までの5年で10倍である10兆円規模に
する「スタートアップ育成5か年計画」を発表
研究開発費用の総額が年間5兆円を超え、技術力の
高い日本企業がスタートアップとの連携に注目。
流通資金量の多さ、上場の容易さにより東証市場が
資金調達をサポート
2. スタートアップを取り巻く環境
日本の産官学はスタートアップへの支援を強化。スタートアップの将来的な成⾧加速が予見される
産
1
2
12. Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 12
2. ①産業界 R&D費用とPCT出願状況
日本企業のR&D費用の総額は20兆円規模であり、世界でもトップクラスに位置する。PCT出願件
数のトップ50社では日本企業の数が15社で最多
国別R&D費用 (2020) PCT出願トップ50社の国別割合
15
13
10
4 4
0
5
10
15
20
国別PCT出願数トップ50社数
PCT出願件数のトップ50社では日本企業の数が15社1で最多。
三菱電機、ソニー、パナソニックなどが上位に位置
0
20
40
60
80
61.3
51.5
17.3
13.2
10.0
Note: 1トップ50社における日本企業は、三菱電機、ソニー、パナソニック、NTT、富士フィルム、NEC、デンソー、NTTドコモ、シャープ、ソニーセミコンダクタソリューションズ、村田製作所、京セラ、オム
ロン、日立オートモティブシステムズ、本田技研工業の15社
Source:OECD「OECD data: Gross domestic spending on R&D」; 日刊工業新聞「218社研究開発アンケート」
R&D費用 (兆円)
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2. ②産業界 スタートアップとの協業
日本の大企業は近年、CVCや業務提携といった形を通じてスタートアップとの協業を積極的に推進。
大企業の資本・技術力にスタートアップの革新性が結びつくことを通じ、両者の更なる発展が期待
日本企業によるCVCの設立 スタートアップとの事業提携
412 459
712
1,050
1,531 1,572
1,909
0
500
1,000
1,500
2,000
2016 2017
2014 2018
2015 2019 2020
スタートアップとの事業提携数(件)
スタートアップと大企業の業務提携も近年、急速に普及。資
本提携やスピンアウトを含め、様々な形でスタートアップと
大企業が協業
Source: 日本ベンチャーキャピタル協会;Initial 「Japan Startup Finance 2022」; 経済産業省「データで見る我が国の民間部門における研究開発投資状況」
直近10年でCVCは一般化し、直近では114件前後まで拡大。
ソニー、トヨタを始め多くの大企業も既存事業へのシナジー
を期待してCVCをスタート
44 46 55 65 75 85
23
38
56
70
85 95
0
50
100
150
200
250
300
6
2021
2013 2014 2015 2016 2017 2019
2018 2022
2
114
102 120 123
143
2020
15
JVCA加盟数(社)
CVC
VC
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2. ②制度・政府 東証グロース市場の特徴
東証グロース市場は流動性及び時価総額で香港GEM、星SGX Catalistを大きく上回る
Note: 1 2019年12月末の為替レートで換算
Source: 東京証券取引所; 香港証券取引所; シンガポール証券取引所
上場会社数
社数;2019年12月末
年間売買代金
兆円1;2019年
上場会社時価総額
兆円1 ;2018年12月末
316
378
216
東証グロース
香港GEM
シンガポール
Catalist
24.9
0.7
0.2
6.45
1.49
0.79
15. Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 15
2. ②制度・政府 スタートアップ育成5か年計画
JVCAの提案を受け2022年11月に政府は、「スタートアップ育成5か年計画」を発表。三本の柱を
軸に、スタートアップの投資額を5年で10倍に増強。100社のユニコーン輩出を目標に
Source:内閣官房「スタートアップ育成5か年計画」
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
70,000
80,000
90,000
100,000
2013201420152016201720182019202020212022 2027
x10
国内スタートアップ資金調達額を5年で10倍に増強
100社のユニコーン輩出を目標に、9年間で10倍以上にまで成
⾧してきた資金調達額を5年で10倍以上の10兆円規模まで増
強見込み
資金調達(億円)
①人材、ネットワークの構築
• メンターによる支援事業の拡大
• 海外における起業家育成拠点の増設
• 大学、小中高生でのスタートアップ創出に向
けた支援
• 国内の起業家コミュニティの形成促進
②資金供給、出口戦略への充実
• 官民ファンド等の出資機能の強化 (政府調達)
• 個人からベンチャーキャピタルへの投資促進
• ストックオプションの環境整備
• 個人金融資産、GPIF等、⾧期運用
基金の投資への循環
③イノベーションの推進
• オープンイノベーションを促すた
めの税制措置の在り方
• 公募増資ルールの見直し
• 事業再構築のための私的整理/法制の整備
• M&Aを促進するための国際会
計基準の任意適用の拡大
「スタートアップ育成5か年計画」 3つの柱
…
…
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2. ③アカデミア 日本の高い科学技術力
日本は21世紀の自然科学系のノーベル賞受賞数は米国に次ぐ世界2位、及び2021年のPCT出願に
おいて、中国、米国に次ぐ世界第3位であり、世界基準でも強い科学技術力を保持
自然科学系ノーベル賞受賞者 PCT(特許協力条約に基づく国際出願)
日本は全世界のPCTの出願件数の内18.1%を占めており、
4位以下を大きく突き放して3位を堅持
Source:文部科学省「文部科学統計要覧」; 「科学技術総覧」; WIPO「PCT Yearly Review 2022」
20世紀の日本の受賞者数は計6人と他国に大きく遅れを取って
いたが、21世紀に入りわずか21年で19人と飛躍的に成⾧
21世紀の自然科学系ノーベル賞受賞者数
(人、2001-2021)
77
19
17
10 9
0
10
20
30
40
50
60
70
80
全世界におけるPCTの出願割合(%)
25.1%
21.5%
18.1%
7.5%
6.2%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
17. Copyright © Japan Venture Capital Association all rights reserved. 17
2. ③アカデミア 地域別PCT出願件数
地域別に見たPCT出願件数では、東京エリアが世界のトップで全体の1割以上を占めており、世界
で最も技術が集積している地域と言える
Source: WIPO「PCT Yearly Review 2022」
全体シェア
出願件数
国名
エリア
順位
10.7%
122,576
日本
東京-横浜
1
8.2%
94,340
中国/香港
深圳-香港-広州
2
4.0%
46,273
韓国
ソウル
3
3.7%
42,884
米国
サンノゼ-サンフランシスコ
4
3.0%
34,738
日本
大阪-神戸-京都
5
2.8%
32,016
中国
北京
6
2.0%
22,869
中国
上海-蘇州
7
1.7%
19,363
米国
サンディエゴ
8
1.6%
18,623
日本
名古屋
9
1.4%
16,172
米国
ボストン-ケンブリッジ
10
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2. ③アカデミア 大学発ベンチャー
大学発ベンチャーは増加傾向にあり、2021年度には3000社を突破。大学で養った高い技術力を背
景にIPOへ至る事例も多く見られ、2021年には上場中の大学発ベンチャーが136件に到達
Source: WIPO「PCT Yearly Review 2022」
大学発ベンチャー社数推移 主なIPO事例 (時価総額は2023/8/31時点)
1,749 1,773 1,846
2,093
2,278
2,566
2,905
3,306
0
1,000
2,000
3,000
4,000
2014 2020
2015 2016 2017 2018 2019 2021
大学発ベンチャー社数(社)
創薬研究、開発
時価総額:2,430億円
再生可能エネルギー資
源による発電事業
時価総額:1,093億円
藻類を用いた燃料
食品開発
時価総額:944億円
AIソリューション
AI SaaSの提供
時価総額:803億円