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薬局薬剤師が学ぶ抗菌薬と感染症の基本

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このスライドは2018年2月および3月に薬局薬剤師さん向けの抗菌薬と感染症の勉強会に使用したスライドを改変・編集したものです(実際には症例を含んだ勉強会です)。
全て新しく作成したスライドでなく、いままでに公開しているスライドも含んでいます。
内容は薬局薬剤師さんだけでなく、医療系の学生さんも興味深く読めると思います。

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薬局薬剤師が学ぶ抗菌薬と感染症の基本

  1. 1. 薬局薬剤師が学ぶ 抗菌薬と感染症の基本 薬剤師 佐野
  2. 2. はじめに • ご覧いただきありがとうございます。このスライドは 2018年2月および3月に薬局薬剤師さん向けの抗菌薬 と感染症の勉強会に使用したスライドを改変・編集し たものです(実際には症例を含んだ勉強会です)。 • 全て新しく作成したスライドでなく、いままでに公開 しているスライドも含んでいます。 • 内容は薬局薬剤師さんだけでなく、医療系の学生さん も興味深く読めると思います。
  3. 3. 薬剤耐性菌(AMR) 薬局薬剤師さんに知っていてほしい
 AMRの現状と対策
  4. 4. 耐性菌の脅威 Punnoose AR. JAMA 2012; 308: 1934
  5. 5. ANTIBIOTIC RESISTANCE THREATS in the United States, 2013 CDCの報告 www.cdc.gov/drugresistance/threat-report-2013/
  6. 6. ANTIBIOTIC RESISTANCE THREATS in the United States, 2013 耐性菌への感染者 2,000,000人/年 Antibiotic Resistant Threats in the United States, 2013
  7. 7. ANTIBIOTIC RESISTANCE THREATS in the United States, 2013 耐性菌による死亡 Antibiotic Resistant Threats in the United States, 2013 23,000人/年
  8. 8. ANTIBIOTIC RESISTANCE THREATS in the United States, 2013 耐性菌への追加コスト Antibiotic Resistant Threats in the United States, 2013 20,000,000,000㌦/年 200億㌦≒2兆円
  9. 9. 厚生労働省の報告
  10. 10. 耐性菌への感染者 のべ400,000人/年 http://www.nih-janis.jp/report/open_report/2016/3/1/ken_Open_Report_201600.pdf 検査部門JANIS2016
  11. 11. 耐性菌による死亡 10,000人/年 厚生労働省 薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016-2020
  12. 12. 耐性菌への追加コスト 1,700億円/年 厚生労働省 薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016-2020
  13. 13. 耐性菌の脅威 • 全世界での正確な調査は未実施 • 耐性菌への正確な感染者/死者数は不明 • サーベイランスの充実が重要課題 • 世界経済の分野でも注目されている
  14. 14. Jim O’neill ジム・オニール 前ゴールドマン・サックス チーフエコノミスト 写真:The Guardian 英国政府から耐性菌について 調査を依頼される
  15. 15. TACKLING DRUG-RESISTANT INFECTIONS GLOBALLY: FINAL REPORT AND RECOMMENDATIONS THE REVIEW ON ANTIMICROBIAL RESISTANCE CHAIRED BY JIM O’NEILL MAY 2016 http://amr-review.org/ Jim O’Neill氏による報告書 2016年5月に最終報告 インターネットで閲覧可能(日本語あり)
  16. 16. 耐性菌感染症による1年間の推定死亡者 700,000人 Tackling Drug-Resistant Infections Globally: final report and recommendations:May-19 2016 2015年の調査段階での推定 2016年の最終報告前文では推定100万人と述べている
  17. 17. 2050年 2015年 -100兆㌦ 35年間での損失 Tackling Drug-Resistant Infections Globally: final report and recommendations:May-19 2016
  18. 18. 第13回 2018年版 グローバルリスク報告書 今後10年間に影響する事象を報告 http://www3.weforum.org/docs/WEF_GRR18_Report.pdfダボス会議での報告書
  19. 19. 経済への影響 感染症の蔓延 人類による環境破壊≒ http://www3.weforum.org/docs/WEF_GRR18_Report.pdf
  20. 20. ヒトでの消費量 動物での消費量 抗菌薬は農業で 多量消費されている 田村 豊 モダンメディア 2015; 61: 161 30% 70% Tackling Drug-Resistant Infections Globally: final report and recommendations:May-19 2016 アメリカ:3,380㌧ 日本:510㌧ アメリカ:8,900㌧ 日本:1,200㌧
  21. 21. 消費量は増大の傾向 67% 63,151㌧2010年 今後の消費量は増大 の増大 世界中で 105,596㌧2030年 R Laxminarayan et al. Lancet 2016; 387: 168
  22. 22. 31/41 家畜用抗菌薬の80%が 医療用と同じ 31 10 臨床的に重要な薬剤 重要でない薬剤 Tackling Drug-Resistant Infections Globally: final report and recommendations:May-19 2016
  23. 23. ANTIBIOTIC RESISTANCE from the farm to the table RESISTANCE Animals can carry harmful bacteria in their intestines When antibiotics are given to animals... Antibiotics kill most bacteria But resistant bacteria can survive and multiply SPREAD Resistant bacteria can spread to... animal products produce through contaminated water or soil prepared food through contaminated surfaces the environment when animals poop 家畜への抗菌薬 耐性菌の選択と増加 http://www.cdc.gov/foodsafety/pdfs/ar-infographic-508c.pdf 改編 人の場合と同じように、抗菌薬の継続利用は 動物の消化管内での耐性菌の選択圧を高め、その増殖を促してしまう。
  24. 24. 耐性菌の拡散 When antibiotics are given to animals... Antibiotics kill most bacteria But resistant bacteria can survive and multiply SPREAD Resistant bacteria can spread to... animal products produce through contaminated water or soil prepared food through contaminated surfaces the environment when animals poop EXPOSURE People can get sick with resistant infections from... contaminated food contaminated environment Antibiotics kill most bacteria But resistant bacteria can survive and multiply spread to... repared food through ontaminated surfaces the environment when animals poop ck with resistant infections from... contaminated environment When antibiotics are given to animals... Ant mo SPREAD Resistant bacteria can spread to... animal products produce through contaminated water or soil prepared food through contaminated surfaces EXPOSURE People can get sick with resistant inf contaminated foodhttp://www.cdc.gov/foodsafety/pdfs/ar-infographic-508c.pdf 改編 食肉の汚染、そして糞便から周囲の土壌/水資源等の環境が汚染される。 これによる作物表面への耐性菌の付着も確認されている。 食肉と環境の汚染
  25. 25. SPREAD Resistant bacteria can spread to... animal products produce through contaminated water or soil prepared food through contaminated surfaces the environment when animals poop EXPOSURE People can get sick with resistant infections from... contaminated food contaminated environment IMPACT Some resistant infections cause... mild illness severe illness and may lead to death Learn 4 steps to prevent food poisoning at www.foodsafety.gov About 1 in 5 resistant infections are caused by germs from food and animals. Source: Antibiotic Resistant Threats in the United States, 2013 ヒトへの暴露 http://www.cdc.gov/foodsafety/pdfs/ar-infographic-508c.pdf 改編 耐性菌に汚染された食肉/作物の摂取でヒトの腸管内へ取り込まれる。 また農業に従事するヒトの手からの感染も報告されている。 耐性菌感染症の20%は食品/家畜関連
  26. 26. 環境の汚染 • 3世代セフェム耐性 大腸菌
 9.1% vs 3.1%
 ➾ 約3倍 (p=0.040) • ESBL産生 大腸菌
 6.3% vs 1.5%
 ➾ 約4倍 (p=0.046) 英国のサーファーの腸内に耐性菌! Leonard AFC, Environ Int. 2018; Article in Press
  27. 27. 抗菌薬の使用増加は 個人でも 社会でも
 耐性菌の増加と関連 Costelloe C, BMJ. 2010; 340: c2096 Hicks LA, Clin Infect Dis. 2011; 53: 631
  28. 28. 薬剤耐性への対策 • AMRの認識と理解の向上 • サーベイランスと研究による知識強化 • 感染の発生率の減少 • 抗菌薬の使用の最適化 • 新薬開発等に関わる持続可能な経済の確立 http://www.who.int/antimicrobial-resistance/global-action-plan/en/ Antimicrobial Resistance = AMR
  29. 29. 薬剤耐性(AMR) 対策アクションプラン 5年間で集中的に取り組む行動計画
  30. 30. AMR対策の6分野 ① 普及啓蒙 / 教育 ➾ 国民 と 専門職へ ② 動向調査 / 監視 ➾ 抗菌薬の使用量 ③ 感染予防 / 管理 ➾ ワクチン接種など ④ 抗微生物薬の適正使用 ➾ ヒト/動物において ⑤ 研究開発 / 創薬 ➾ 新たな診断/治療法の開発 ⑥ 国際協力 厚生労働省 薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016-2020
  31. 31. アクションプランの目標
 微生物の薬剤耐性率 2015年 2016年 2020年
 目標値 肺炎球菌
 ペニシリン耐性率* 40.5% 36.4% 15% 以下 大腸菌
 キノロン系耐性率 38.0% 39.3% 25% 以下 黄色ブドウ球菌
 メチシリン耐性率 48.5% 47.7% 20% 以下 緑膿菌
 カルバペネム系耐性率** 18.8% 17.9% 10% 以下 *髄液検体 **IPM/CS 厚生労働省 薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016-2020 http://www.nih-janis.jp/report/open_report/2016/3/1/ken_Open_Report_201600.pdf
  32. 32. アクションプランの目標 1000人あたり1日の抗菌薬使用量 2020年目標値
 (2013年比) 全体 33% 減 経口抗菌薬 セフェム キノロン マクロライド 50% 減 静注抗菌薬 20% 減 厚生労働省 薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016-2020
  33. 33. 200万人 日本で1日に抗菌薬が処方される患者の数 村木ら 第31回環境感染学会総会 2016
  34. 34. Yamasaki D, Infection. 2017; Published online: 22 December 抗菌薬の90%は内服薬
  35. 35. 内服の95%は外来処方 Yamasaki D, Infection. 2017; Published online: 22 December
  36. 36. 抗菌薬の重複処方 高橋ら 京都新聞 2016/04/11配信 7.4% *2012年12月のレセプト調査
  37. 37. 抗菌薬使用量 日本 イギリス ドイツ オランダ *人口1000人あたりの1日使用量 13.20 19.57 14.13 10.45 Yamasaki D, Infection. 2017; Published online: 22 December ECDC Antimicrobial consumption database 2016 *日本2013年, 欧州2016年のデータ
  38. 38. 抗菌薬使用割合 日本 イギリス ドイツ オランダ ペニシリン 24% 37% 20% セフェム マクロライド キノロン Yamasaki D, Infection. 2017; Published online: 22 December ECDC Antimicrobial consumption database 2016 *日本2013年, 欧州2016年のデータ 21% テトラサイクリン *各抗菌薬の使用割合
  39. 39. 抗菌薬使用割合 日本 イギリス ドイツ オランダ *各抗菌薬の使用割合 ペニシリン 24% 37% 20% セフェム マクロライド キノロン Yamasaki D, Infection. 2017; Published online: 22 December ECDC Antimicrobial consumption database 2016 *日本2013年, 欧州2016年のデータ 21% 3世代セフェム 92% 3世代セフェム 10%
  40. 40. 抗菌薬使用割合 日本 イギリス ドイツ オランダ *各抗菌薬の使用割合 ペニシリン 24% 37% 20% セフェム マクロライド キノロン Yamasaki D, Infection. 2017; Published online: 22 December ECDC Antimicrobial consumption database 2016 *日本2013年, 欧州2016年のデータ 21% 日本では 80% が 広域抗菌薬
  41. 41. 抗菌薬使用量 • 欧州各国と比較して多くない • しかし使用の多くが 広域抗菌薬 • 広域抗菌薬(セフェム/マクロライド/キノロン)が 80%以上 • ペニシリン系が極端に少ない
  42. 42. 広域内服抗菌薬の影響 • 肺炎球菌はペニシリン系で十分に治療できる • マクロライド系/セファロスポリン系の処方は
 耐性肺炎球菌の侵襲性感染リスクを増加させる • 耐性肺炎球菌は集団保育で子供に拡散し、
 家庭で親へ伝播している • 耐性肺炎球菌は1990年台から急速に増加 Hicks LA, Clin Infect Dis. 2011; 53: 631 Hoshino K, J Clin Microbiol. 2002; 40: 4357 小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年 生方ら, 日本化学療法学会雑誌 2003; 51: 60
  43. 43. 国の目標 2013年 2020年 セフェム マクロライド キノロン 50%減 20%減 1 3 厚生労働省 薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016-2020 削減 内服薬 注射薬 *人口1000人あたりの1日使用量
  44. 44. 外来での抗菌薬を
 減らすことが重要
  45. 45. 60% 国内の上気道感染症に対する
 不適切な抗菌薬の処方割合 Higashi T, Internal medicine. 2009; 48: 1369
  46. 46. 140,000人/年 1人 / 4人 Bourgeois FT, Pediatrics. 2009; 124: 744 Shehab N, Clin Infect Dis. 2008; 47: 735 抗菌薬の副作用で救急外来を受診 小児の副作用で抗菌薬が占める割合
  47. 47. 未就学児の65%に抗菌薬 • 全体の45%が不適切処方 • 不適切処方のリスク
 小児科医院“以外”での処方
 ➾ 2.1倍
 時間外受診での処方
 ➾ 1.5倍 0% 10% 20% 30% 40% 3rdセ フ ェ ムマ ク ロ ラ イ ドペ ニ シ リ ン AG s キ ノ ロ ン そ の 他 Yoshia S, J Public Health. 2017; Apr27: 1 n=1,492,548
  48. 48. では、抗菌薬を
 どう減らすのか?
  49. 49. 風邪(急性気道感染症)への
 抗菌薬を減らす! 抗菌薬の不適切処方を減らす!
  50. 50. 外来診療等における抗菌薬の
 適正使用の推進 • 小児抗菌薬適正使用支援加算
 急性上気道感染症または急性下痢症の患者に対し 「抗菌薬の使用が必要でない説明など療養上必要 な指導を行った場合」(80点) • 薬剤服用歴管理指導料を算定する場合、 抗菌薬の適正使用に関する普及啓発に努めること 第389回 中央社会保険医療協議会 総会 資料 P327
  51. 51. 感冒に対する抗菌薬 感冒への抗菌薬はやはり
 効果がないの?
  52. 52. そもそも
 “風邪”ってなに?
  53. 53. 風邪の定義と原因 自然に良くなる上気道のウイルス感染症 急性気道感染症 咳 / 鼻汁 / 咽頭痛 の3つの症状が 「急性に」「同時に」「同程度」
 存在する 厚生労働省健康局結核感染症課 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 2017
  54. 54. 急性気道感染症の病型 病型 鼻汁/鼻閉 咽頭痛 咳/たん 感冒 ○ ○ ○ 急性副鼻腔炎 ◎ △ △ 急性咽頭痛 △ ◎ △ 急性気管支炎 △ △ ◎ ○ 他症状と同程度 ◎ 主症状 △ 軽度~なし 厚生労働省健康局結核感染症課 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 2017
  55. 55. 下気道症状メイン型 咽頭症状メイン型 鼻症状メイン型 風邪 イラスト: 大正製薬HP 厚生労働省健康局結核感染症課 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 2017
  56. 56. ウイルス感染症 ➾ さまざまな症状 細菌感染症 ⇓ 原則として1つの臓器に
 1種類の細菌
  57. 57. ヒトと細菌とウイルス イラスト:Richard Smythe Artwork ヒト 細菌 ウイルス
  58. 58. 細菌とウイルス 細菌 ウイルス 大きさ 1.0μm 1.0nm 細胞壁 あり なし タンパク合成 あり なし エネルギー産生 あり なし 増殖能力 自己完結型 他者依存型
 (細胞内で増殖) 厚生労働省健康局結核感染症課 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 2017
  59. 59. ウイルス感染症に
 抗菌薬は効かない 抗菌薬は細菌細胞内の複製装置を邪魔する
  60. 60. 風邪に抗菌薬? • 抗菌薬を投与してもしなくても臨床転帰は変わらない • 抗菌薬の有無で風邪後の細菌感染合併症は変わらない • 治癒は早まらず、副作用はプラセボの1.8倍 • 抗菌薬の投与により重症肺炎による入院は減少する が、NNT=12,255 Cochrane Database Syst Rev. 2017; 5: CD004417 Cars T, BMJ Open. 2017; 7:e016221 Cochrane Database Syst Rev. 2013; 3: CD000247 Meropol SB, Ann Fam Med. 2013; 11: 165
  61. 61. 前向き研究でも… 入院や再診率は抗菌薬の有無で
 変わらない 入院/死亡 再診 患者割合 相対リスク 患者割合 相対リスク 抗菌薬なし
 n=7,332 0.3% 1.00 19.7% 1.00 抗菌薬あり
 n=17,628 0.9% 1.06 25.3% 0.98 遅れて処方 n=3,819 0.4% 0.81 14.1% 0.64* *p<0.001 相対リスク=抗菌薬なしを”1”とした場合 Little P, BMJ. 2017; 357: j2148 受診3日後に処方
  62. 62. やはり、風邪に抗菌薬の 処方なくて良いかも! 患者を経時的に診て抗菌薬投与の判断を!
  63. 63. こんな患者さんにはどうすれば? • 風邪のときは 抗菌薬 が一番効く! • それなのに、先生が 抗菌薬 を出してくれない • 抗菌薬 が欲しくて受診したのに… • 薬剤師さん、抗菌薬 なんとかならないの?!
  64. 64. 風邪の診療で重要なこと 厚生労働省健康局結核感染症課 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 2017 適切な患者情報の収集 適切な風邪に関する情報の提供 注意すべき症状に関する情報の提供
  65. 65. 情報の収集と提供 厚生労働省健康局結核感染症課 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 2017 情報の収集 患者の心配事と期待 情報の提供
 抗菌薬の不要な風邪です
 抗菌薬は下痢等の副作用があります
 代わりに症状緩和の薬があります
  66. 66. 患者の不安を解消する • 不安があると待ち時間は長く感じる
 ➾ よくある症状で珍しいものではないです • 待ち時間がわからないと長く感じる
 ➾ 2-3日がピークで7-10日間かけて改善します • 理由もなく待ちたくない
 ➾ 発熱は体がウイルスと戦う防御反応です 山本舜悟, 医療の質・安全学会誌 2017; 12: 323
  67. 67. 否定的な説明だけはダメ 「風邪はウイルス感染なので有効な治療はありません」 「抗菌薬は必要ありません」 不満の増加 関係の悪化
 抗菌薬治療以外の拒否 山本舜悟, 医療の質・安全学会誌 2017; 12: 323
  68. 68. 肯定的な説明もする 肯定的/否定的 両方の助言を行う 抗菌薬処方の減少
 患者満足度の上昇 「症状緩和の薬を処方します」
 「温かい飲み物は鼻症状を和らげますよ」 Mangione-Smith R, Ann Fam Med 2015; 13: 221
  69. 69. 患者の抗菌薬の知識は不足 抗菌薬は風邪やインフルエンザに効果がないと知っていますか? 設問 内閣官房・厚生労働省 Yahoo!ニュース 意識調査 2016/10/1-/20 https://news.yahoo.co.jp/polls/domestic/25663/result 43% 57% はい いいえ n=135,137
  70. 70. 一方で… 不必要な抗菌薬の使用は、その抗菌薬の効果が将来なくなってしまう 大曲ら 厚生労働省科学研究費補助金 平成28年度分担研究報告書 医療機関等における薬剤耐性菌の感染制御に関する研究 国民の薬剤耐性に関する意識についての研究 29% 3% 67% 正しい 間違い わからない
  71. 71. 一方で… 大曲ら 厚生労働省科学研究費補助金 平成28年度分担研究報告書 医療機関等における薬剤耐性菌の感染制御に関する研究 国民の薬剤耐性に関する意識についての研究 29% 3% 67% 正しい 間違い わからない抗菌薬の不適切な使用は
 効果がなくなると理解 不必要な抗菌薬の使用は、その抗菌薬の効果が将来なくなってしまう
  72. 72. リーフレット等の活用 抗菌薬の処方/利用を減少させる http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html de Bont EGPM, BMJ Open. 2015; 5: e007612
  73. 73. 薬局薬剤師による患者教育 リーフレットを用いた説明で 患者は抗菌薬の正しい知識を得る Nortey A, Int J Pharm Pract. 2015; Apr23: 158 https://activities.nps.org.au/nps-order-form/Resources/
 NPS-Some-People-Need-Antibiotics-Brochure-July-2014.pdf 26人の患者を対照とした調査で、薬局薬剤師による説明によって、
 患者の抗菌薬の知識が向上した(p=0.008)
  74. 74. 再診の指示は具体的に! • 3日以上経過しても症状が改善しない場合 • 症状が徐々に悪化する場合 • 水分や食事が摂れなくなった場合 • 悪寒戦慄を伴う38度以上の熱が出た場合 厚生労働省健康局結核感染症課 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 2017
  75. 75. 抗菌薬のない患者への対応 ① 患者さんの期待/不安を聴取する
 ➾ なぜ抗菌薬がほしいのか?何が一番不安か? ② 患者さんの不安を解消する
 ➾ 具体的にどれくらいで症状が改善するのか ③ 適切な情報を提供する
 ➾ 肯定的/否定的な情報を提供する ④ 具体的な再診の指示をする
 ➾ 悪寒戦慄を伴う発熱は注意!
  76. 76. 風邪に抗菌薬が処方されたら? • 「飲まなくてもいいです」と言ってはいけない
 ➾ 医師の処方意図がある • 「用法用量を守って飲みきってください」と
 言いましょう • 相互作用の確認、副作用の指導を怠らない!
  77. 77. 抗菌薬の主な副作用等 βラクタム系
 (サワシリン等) アレルギー(1-4%) 薬剤熱
 伝染性単核球症には禁忌 キノロン系
 (クラビット等) 小児/妊婦/授乳婦は禁忌 腱断裂 血糖異常 めまい 不眠 網膜剥離 QT延長 マクロライド系
 (クラリス等) 下痢 QT延長 他剤との相互作用多数 テトラサイクリン系
 (ミノマイシン等) 金属イオン/ワルファリン/抗けいれん薬
 との相互作用 ST
 (バクタ) 消化器症状 偽性Scr上昇 高K血症
  78. 78. マクロライドの相互作用に注意 • CYP3A4 阻害剤 • 併用禁忌
 ➾ C型肝炎治療薬, 睡眠薬:スボレキサント(ベルソムラ) • 作用増強
 ➾ アトルバスタチン シンバスタチン SU剤 テオフィリン
 カルバマゼピン クエチアピン ジゴキシン ワルファリン DOAC
  79. 79. ウイルス感染症に
 抗菌薬を処方しない • 抗菌薬適正使用資料の充実 • 医療者への教育機会の増加 • 国民への啓蒙活動の増加 • 今後、抗菌薬処方の減少? 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 ダイジェスト版 Ⅰ. 急性気道感染症 急性 炎 急性 炎 急性気管支炎 Ⅱ. 急性下痢症 Ⅲ. 患者・家族への説明 厚生労働省健康局結核感染症課 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 2017
  80. 80. 外来で出会う細菌と感染症 感染症を起こす細菌はある程度
 決まっている。こんな感じに…
  81. 81. 髄膜炎 肺炎 骨盤内感染 腎盂腎炎 膀胱炎 前立腺炎 胆嚢炎・胆管炎 感染性心内膜炎 中耳炎 副鼻腔炎 上気道炎 皮膚軟部組織感染 膿瘍(肝/脾/腎) 骨(骨髄/関節) カテーテル 関連尿路感染症 カテーテル関連血流感染症
 および 菌血症 結膜炎 S.pneumoniae N.meningitidis H.influenzae (<4歳)
 L.monocytogenes (<2ヶ月, 50歳≦) S.aureus+GNR(頭部外傷, 脳外科術後, VPシャント) S.pneumoniae H.influenzae M.catarrhalis S.aureus (成人,片眼)
 S.pneumoniae (小児,両眼) H.influenzae (小児,両眼) 血培2セット以上!不要カテの抜去! CNS, S.aureus, Streptococcus sp.
 Enterococcus sp.
 GNR, Candida sp.(Candidaは眼内炎精査) 血培陽性では再度血培提出を! 菌種/症状に応じてI.E.の精査を! 市中肺炎 S.pneumoniae H.influenzae M.catarrhalis 非定型肺炎 Mycoplasma Chlamydophila Legionella(肺炎症状+下痢/低Na/LDH↑) 自己弁 緑色レンサ球菌, S.aureus, CNS Enterococcus sp. 機械弁 S.aureus, CNS, Corynebacterium S.aureus, A/B/G群β溶連菌 壊死性筋膜炎➾S.pyogene ガス壊疽➾C.perfringens DM足病変➾PEK+SCE 淡水の関与➾A.hydrophilia 海水の関与➾V.vulfinicus 犬猫咬傷➾Pasteurella, S.aureus 咬傷では嫌気性菌も混合感染する 骨髄 S.aureus
 S.pyogenes(小児) GNR(成人) 釘等の踏抜き➾P.aeruginosa 関節 S.aureus, Streptococcus sp. PEK (院内発症➾+SPACE) 尿カテの抜去/交換を! PEK, S.saprophyticus PEK, N.gonorrhoeae, Chlamydia PEK, N.gonorrhoeae, Chlamydia Candida sp., 嫌気性菌 (複数菌感染) PEK (院内発症➾+SPACE)特発性 (SBP) PEK, S.pneumoniae 二次性 (複数菌感染) PEK+嫌気性菌 (院内発症➾+SPACE) Enterococcus sp.は起因菌となりにくい 腹膜炎 PEK, Enterococcus sp.肝膿瘍 アメーバ性 Streptococcus sp. E.coli, Klebsiella sp. +嫌気性菌 脾膿瘍 S.aureus, E.coli Streptococcus sp. Salmonella 腎膿瘍 PEK, S.aureus 細菌感染体内図 K.Sano Ver.1.04 2016/9/1
 参考資料 感染症診療マニュアル 第3版 サンフォード感染症ガイド2014 JAID/JSC感染症治療ガイド2014 結核性髄膜炎 ヘルペス脳炎 クリプトコッカス症 CDI C.difficile 抗菌薬/PPIの中止 院内肺炎,VAP 入院<5日:市中肺炎と同様
 入院≧5日:SPACE 医療介護関連肺炎
 90日以内の抗菌薬使用+経管栄養
 ➾SPACE 上記以外➾PEK+市中肺炎 PEK P.mirabilis, E.coli, K.pneumoniae SCE S.marcescens, C.freundii, E.cloacae PA P.aeruginosa, A.baumannii SPACE = SCE + PA GNR = Gram-negative Rods ウイルス90%≦ Mycoplasma
 Chlamydophila S.pneumoniae H.influenzae M.catarrhalis
  82. 82. いや、無理っす…
  83. 83. 細菌の覚え方 • まずは日本語名から。慣れたらラテン語学名 • 語呂合わせでもなんでも覚えたもの勝ち • 重要な細菌はそれほど多くない • 組み合わせで覚えると抗菌薬とセットにできる
  84. 84. 細菌の憶え方 グラム陽性菌 陽気なあいさつ陽性菌 グラム陰性菌 陰でコソコソ陰性菌 ちょっと多い
  85. 85. 陽気なあいさつ陽性菌 • 多くが皮膚や喉頭等の体表付近の常在菌 • 派手な症状を示す感染症が多い • 基本的にはペニシリン系が効果的
  86. 86. 陽気なあいさつ陽性菌 お! よう! は!
  87. 87. おはよう! • お! ➾ 黄色ブドウ球菌 • は! ➾ 肺炎球菌 • よう! ➾ 溶連菌 重要なグラム陽性菌 レンサ球菌
  88. 88. 皮膚の常在菌 黄色ブドウ球菌 • 創部への化膿性病変
 ➾ とびひ, 蜂窩織炎 • 感染後の毒素産生
 ➾ トキシックショック症候群 • 菌血症
 ➾ カテ感染 ➾ 他臓器へ転移する!
 ➾ 心内膜炎, 椎体炎, 骨髄炎, 脾膿瘍, 人工物
  89. 89. 咽頭/皮膚の常在菌 レンサ球菌属 • 溶連菌 = A群β溶連菌
 ➾ β溶血で症状が激烈:咽頭炎, NSTI • 肺炎球菌
 ➾ α溶血だが症状が激烈 : 重症肺炎, 髄膜炎
 ➾ 小児/高齢者でのワクチン接種! • ペニシリン系抗菌薬に感受性あり 壊死性軟部組織感染症
  90. 90. レンサ球菌は溶血性が重要 β溶血 強い病原性のため 菌種を細分化➾ A群 A群β溶連菌 B群 B群溶連菌
 S.agalactiae C/G群 C/G群溶連菌 S.dysgalactiae α溶血 肺炎球菌 γ溶血 腸球菌属 溶血性 と “群” 種類の多いレンサ球菌属を分類
  91. 91. 陰でコソコソ陰性菌 • グラム陰性菌の多くは腸内細菌科細菌 • 腸管内に生息し、人知れず感染を起こす • 市中と院内では起因菌が異なる • 菌種が多いので組み合わせで覚える
  92. 92. 隊長のクレヨンはプロ仕様 隊長のクレヨンはプロ仕様
 ➾ 大腸菌
 クレブシエラ
 プロテウス
 市中感染のグラム陰性菌
  93. 93. 隊長のクレヨンはプロ仕様 • 大腸菌 ➾ 尿路感染症の90%以上 • クレブシエラ ➾ DM/喫煙者の肺炎 • プロテウス ➾ 結石の関係する尿路感染 • クレブシエラ/プロテウスの尿路感染率は5%未満 尿路感染症が基本
  94. 94. 子供にイモ 子供にイモ
 ➾ インフルエンザ桿菌
 モラキセラ 市中感染のグラム陰性菌
  95. 95. 子供にイモ • インフルエンザ桿菌
 ➾ 小児:中耳炎/副鼻腔炎/髄膜炎
 成人:COPD急性増悪 • モラキセラ
 ➾ 小児:中耳炎/副鼻腔炎
 成人:COPD急性増悪 小児の呼吸器感染症
  96. 96. エセ師の足は緑色 エセ師の足は緑色
 ➾ エンテロバクター
 セラチア
 シトロバクター
 アシネトバクター
 緑膿菌 院内感染のグラム陰性菌
  97. 97. エセ師の足は緑色 • エンテロバクター • セラチア • シトロバクター • アシネトバクター • 緑膿菌 院内感染のグラム陰性菌
  98. 98. エセ師 ➾ 腸内細菌科細菌 • エンテロバクター
 ➾ 様々な感染症を起こす • セラチア
 ➾ 環境菌 輸液の汚染による感染 • シトロバクター
 ➾ 尿路感染症を起こしやすい 健康な人には、ほとんどいない
  99. 99. 足は緑色 • アシネトバクター
 ➾ 乾燥にも強い環境菌 • 緑膿菌
 ➾ 様々な環境に生息 • ともに薬剤耐性を獲得しやすい 偏性好気性菌 ➾ 抗菌薬が効きにくい
  100. 100. 環境表面の菌は長生き 黄色ブドウ球菌 7日-2ヶ月 セラチア 3日-2ヶ月 アシネトバクター 3日-5ヶ月 緑膿菌 6時間-16ヶ月 クロストリジウム 5ヶ月 Schwebke KA, BMC Infect Dis. 2006; 6: 130
  101. 101. 抗菌薬も細菌セットで 効率的に!
  102. 102. AMPC CVA/ AMPC 1世代
 CEX 2世代 CCL 3世代 CDTR 黄色ブドウ球菌, 溶連菌
 肺炎球菌 大腸菌, クレブシエラ
 プロテウス インフルエンザ桿菌
 モラキセラ セラチア, シトロバクター エンテロバクター 経口βラクタムの抗菌スペクトル ✕モラキセラ ✕クレブシエラ サワシリン オーグメンチン ケフレックス ケフラール メイアクト ペニシリン系 セファロスポリン系
  103. 103. キノロン
 LVFX マクロライド
 CAM ST合剤 テトラサイクリン MINO ホスホマイシン FOM 黄色ブドウ球菌, 溶連菌
 肺炎球菌 大腸菌, クレブシエラ
 プロテウス インフルエンザ桿菌
 モラキセラ セラチア, シトロバクター エンテロバクター マイコプラズマ その他抗菌薬の抗菌スペクトル 連鎖球菌 耐性増加 クラビット クラリス バクタ ミノマイシン ホスミシン AZMが良い 大腸菌 耐性増加 緑膿菌にも効果あり
  104. 104. 外来で出会う感染症 • 溶連菌咽頭炎 • 急性副鼻腔炎, 急性中耳炎, 肺炎 • 皮膚軟部組織感染 • 尿路感染(膀胱炎, 腎盂腎炎)
 ➾ 在宅ではカテーテル関連尿路感染 特に頻度の高いもの
  105. 105. 肺炎 腎盂腎炎
 膀胱炎 中耳炎 副鼻腔炎 皮膚軟部組織感染 肺炎球菌, 溶連菌 インフルエンザ桿菌 モラキセラ肺炎球菌 インフルエンザ桿菌 モラキセラ 黄色ブドウ球菌 溶連菌 細菌感染体内図 K.Sano Ver.1.04 2016/9/1
 参考資料 感染症診療マニュアル 第3版 サンフォード感染症ガイド2014 JAID/JSC感染症治療ガイド2014 大腸菌 クレブシエラ プロテウス
  106. 106. 肺炎球菌, 溶連菌
 インフルエンザ桿菌, モラキセラ 黄色ブドウ球菌, 溶連菌 大腸菌, クレブシエラ
 プロテウス 鼻/咽頭 皮膚 腸管 !常在菌!
  107. 107. 肺炎球菌, 溶連菌
 インフルエンザ桿菌, モラキセラ 黄色ブドウ球菌, 溶連菌 大腸菌, クレブシエラ
 プロテウス 皮膚軟部組織感染 尿路感染 中耳炎/副鼻腔炎/咽頭炎/肺炎 常在している部位に関連した感染症を起こす
  108. 108. 感染症と細菌の組み合わせ 感染症 起因菌 抗菌薬 溶連菌性咽頭炎 溶連菌 サワシリン 急性中耳炎 肺炎球菌
 インフルエンザ桿菌
 モラキセラ サワシリン
 オーグメンチン
 ケフラール 急性副鼻腔炎 肺炎 皮膚軟部組織感染 黄色ブドウ球菌, 溶連菌 ケフレックス, バクタ 尿路感染 大腸菌, クレブシエラ, プロテウス ケフレックス, バクタ カテーテル関連尿路感染 上記に加えてエンテロバクター
 セラチア, シトロバクター, 緑膿菌 クラビット, バクタ
  109. 109. 広域抗菌薬で注意すること AMR対策アクションプランでは
 広域内服抗菌薬の大幅な削減が目標
  110. 110. 経口3世代セファロスポリン • 適応疾患が多く、副作用が少ない • マクロライドに次いで多用されている • AMRアクションプランで削減の対象 • バイオアベイラビリティの低さが問題 厚生労働省 薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016-2020
  111. 111. 経口3世代セファロスポリンの
 優位性を示すエビデンスはない 中耳炎/副鼻腔炎/咽頭炎/気管支炎/肺炎/腸炎/尿路感染/皮膚感染のRCTを調査 藤田ら, 小児感染免疫 2016; 28: 302
  112. 112. CEX/CFDN/CPDX-PR/CDTR-PI:サンフォードガイド2015より CFTM-PI : 尿中排泄率より推測 CEX CCL CTM-HE CXM-AX CFDN CPDX-PR CFTM-PI CFPN-PI CDTR-PI 16% 25% 20% 46% 25% 52% 69% 93%95% 250mg 250mg 200mg 100mg 100mg 100mg 100mg 100mg ケフレックス ケフラール パンスポリンT セフゾン バナン トミロン フロモックス メイアクト 250mg オラセフ 第3世代 経口セファロスポリン
  113. 113. CEX/CFDN/CPDX-PR/CDTR-PI:サンフォードガイド2015より CFTM-PI : 尿中排泄率より推測 CEX CCL CTM-HE CXM-AX CFDN CPDX-PR CFTM-PI CFPN-PI CDTR-PI 16% 25% 20% 46% 25% 52% 69% 93%95% 250mg 250mg 200mg 100mg 100mg 100mg 100mg 100mg ケフレックス ケフラール パンスポリンT セフゾン バナン トミロン フロモックス メイアクト 250mg オラセフ 狭域 広域 第3世代 経口セファロスポリン
  114. 114. 1世代
 ケフレックス 2世代 ケフラール 3世代 メイアクト 黄色ブドウ球菌, 肺炎球菌
 溶連菌 大腸菌, クレブシエラ
 プロテウス インフルエンザ桿菌
 モラキセラ セラチア, シトロバクター エンテロバクター 経口セファロスポリンの
 抗菌スペクトル
  115. 115. 1世代
 ケフレックス 2世代 ケフラール 3世代 メイアクト 黄色ブドウ球菌, 肺炎球菌
 溶連菌 大腸菌, クレブシエラ
 プロテウス インフルエンザ桿菌
 モラキセラ セラチア, シトロバクター エンテロバクター 経口セファロスポリンの
 抗菌スペクトル 病院内感染症の起因菌
  116. 116. 3世代セファロスポリン系抗菌薬 注射薬(CTRX, CTX, CAZ)
 感染症の“重要な”第1選択薬 内服薬(CFDN, CFPN, CDTR etc)
 広域なため“限定的な”使用を World Health Organization. Executive Summary : The Selection and Use of Essential Medicines 2017
  117. 117. 抗菌薬の抗菌スペクトル • キノロン系(クラビット等)は更に広域! • 多くの細菌に効果があればいいわけでない • 細菌感染治療の原則は起因菌だけを攻撃!
  118. 118. それでも広域抗菌薬の方が
 治りもいいのでは?
  119. 119. 広域でも狭域でも効果は同一 小児 急性中耳炎/A群連鎖球菌咽頭炎/急性副鼻腔炎 対象 後向き調査 広域
 n=4,296 狭域
 n=25,790 リスク差
 (95%CI) p値 治療失敗 3.4% 3.1% 0.3%
 (-0.4~0.9) 0.39 副作用 3.7% 2.7% 1.1%
 (0.4~1.8) <0.001 前向き調査 n=860 n=1,570 QOL
 Point 90.2 91.5 -1.4
 (-2.4~-0.4) 0.008 広域抗菌薬は副作用増加/QOL悪化のリスク Gerber JS, JAMA. 2017; 318: 2325
  120. 120. 国内ガイドライン 小児急性中耳炎診療ガイドライン 2013 急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010 軽症 ➾ 3日間の経過観察 中等症 ➾ サワシリン 40mg/kg/日
 重症 ➾ サワシリン 80-90mg/kg/日 軽症 ➾ 5日間の経過観察 中等~重症 ➾ サワシリン 1500mg/日
  121. 121. 経口3世代セファロスポリン • 初診時に広域抗菌薬は選択されない • サワシリン無効時/薬剤感受性に応じて選択 • GLで耐性菌の場合にはメイアクトの記載
 ➾ 小児 18mg/kg/日
 ➾ 成人 600mg/日 小児急性中耳炎診療ガイドライン 2013 急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010
  122. 122. 現時点で
 経口第3世代セファロスポリンは
 第1選択薬とならない
  123. 123. キノロン系は?
  124. 124. 米FDAによる警告 • 腱・筋肉・関節・末梢神経系に副作用
 ➾ 永続的な活動/動作障害
 ➾ キノロン系抗菌薬の患者リスクは甚大 • 急性細菌性副鼻腔炎、単純性尿路感染症、
 慢性気管支炎の急性細菌性増悪の患者には
 リスクがベネフィットを上回る http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/UCM513019.pdf
 http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly14/20161006.pdf FDA 2016年7月26日 適応となる患者をよく考える必要がある
  125. 125. マクロライドの
 長期少量投与は?
  126. 126. マクロライド少量長期投与 • 過分泌症状が顕著で好中球性炎症が主体 • 14員環マクロライドの常用量の半量投与 • 投与期間の原則は3ヶ月 • 急性増悪では他抗菌薬へ変更する 慢性副鼻腔炎への適応 飯野ゆき子, 日耳鼻. 2011; 114: 144
  127. 127. 有効性と限界の理解を • 効果は2-4週で発現し、2-3ヶ月で平衡に • 小児では膿性鼻漏が1-3ヶ月持続する症例 • 効果判定は自覚症状の改善が指標 • 急性増悪/急性副鼻腔炎では効果がない
 ➾ 肺炎球菌 インフルエンザ桿菌は耐性 清水猛史, 日耳鼻. 2017; 120: 62 慢性副鼻腔炎への適応
  128. 128. 有効性と限界の理解を • 2歳以下, アデノイド合併, 耳管機能障害, 中耳炎 が発症契機の症例では効果なし • 投与期間は2ヶ月
 ➾ 8-12週間の検討で72%の患児が8週投与で改善 慢性副鼻腔炎を合併している小児滲出性中耳炎 清水猛史, 日耳鼻. 2017; 120: 62 西尾洋介, 小児感染免疫. 2016; 28: 311
  129. 129. 広域抗菌薬 ≠ 悪者 広域抗菌薬の利用が“悪”と言ってるわけでない
  130. 130. 広域抗菌薬は常用しない • 現時点で出番はほとんどない • ここぞ!と言う時のための抗菌薬 • 新規抗菌薬がない現状では温存! • 耐性菌が蔓延したら戦えません
  131. 131. 新しい抗菌薬はでないのか 新しい抗菌薬の開発状況は?
  132. 132. 『新』抗菌薬開発の
 減少
  133. 133. 1980-90 2010- 抗菌薬は企業にとって 儲からない商品
  134. 134. 1980- 1990- 2000- 2010- 2 7 22 30 『新』抗菌薬 Antibiotic Resistant Threats in the United States, 2013
  135. 135. GAIN Act 始動 2020年までに10の新しい抗菌薬 2012年 FDA the Generating Antibiotics Incentives Now Act
  136. 136. 1980- 1990- 2000- 2010- 2 7 22 30 『新』抗菌薬 Antibiotic Resistant Threats in the United States, 2013 8
  137. 137. D Deak et al. Ann Intern Med. Published online 31 May 2016 GAIN Act 承認された抗菌薬の量 臨床試験の質と価格
  138. 138. 新たな抗菌薬 • GAIN Actによって新規抗菌薬は増加したが、 既存薬の改良版がほとんどである • また高価で既存薬よりも有効性を示していない • また高価なために使用できる患者も限定される • やはりもうしばらくは既存薬で細菌と戦ってい かなくてはならない
  139. 139. 新たな抗菌薬 • 新たな抗菌薬は既存薬よりも高価 • 恩恵を受けるのは裕福な一部の国 • 既存の抗菌薬ですら高価で適切な抗菌薬が
 供給/使用できない国々がある
  140. 140. 45万人 適切な抗菌薬が供給されることで
 救われる 5歳未満 の世界の子供の数 Laxminarayan R, Lancet. 2016; 387: 168
  141. 141. 適切な抗菌薬の供給は
 小さな命を救う Figure 1: Estimated pneumonia deaths avertable in under-5 populations with improved antibiotic access Countries with less than 100 deaths averted are not labelled. Data on under-5 population with suspected pneumonia receiving antibiotics are from 1990 to 2013; 0 20 40 60 80 Trendline weighted by the under-5 population of each country 100 0 1 2 3 4 5 6 Pneumoniadeaths(duetoStreptococcuspneumoniaeandHaemophilus influenzaetypeb)per1000childrenagedyoungerthan5years Under-5 population with suspected pneumonia receiving antibiotics (%) India Nigeria DR Congo Pakistan China Ethiopia Afghanistan Sudan Indonesia Somalia Mali Niger Uganda Chad Tanzania Burkina Faso Kenya Yemen Mozambique Cameroon Myanmar Philippines Côte d’Ivoire Bangladesh Guinea Iraq Madagascar Nepal Malawi Ghana Burundi Benin Sierra Leone Uzbekistan Zambia Egypt Haiti Senegal Iran Central African Republic Togo Vietnam Morocco Brazil Rwanda Zimbabwe Mauritania Cambodia Tajikistan Algeria Congo (Brazzaville) Guinea−Bissau Bolivia ColombiaTurkey Thailand North KoreaLaos Argentina KazakhstanPeru Timor−Leste Dominican Republic Equatorial Guinea Kyrgyzstan Syria Gambia Comoros Swaziland Honduras Paraguay Ukraine India (169760) Nigeria (49407) Nepal (2434) Hypothetical under-5 pneumonia deaths averted with universal antibiotic access Laxminarayan R, Lancet. 2016; 387: 168
  142. 142. “抗菌薬適正使用への一歩”は
 “幼い命を救う一歩”かもしれない
  143. 143. ペニシリンアレルギー 抗菌薬アレルギーと申告した患者への
 薬剤師の対応は?
  144. 144. ペニシリンアレルギー • 約10%の患者がペニシリンアレルギーと自己申告する。 • その大部分の患者はペニシリン系抗菌薬が使用できると 報告されている。(85-90%の患者は皮膚テストに陰性) • 嘔気/嘔吐/下痢のような副作用はアレルギーではない。 • また、Ⅰ型であっても10年を経過すると、70-80%の患者 でアレルギー反応を失うと報告されている。 Park M, Ann Allergy Asthma Immunol. 2006; 97: 681
  145. 145. 抗菌薬のアレルギーの患者に
 確認すること 1. 症状 :アナフィラキシー/重症薬疹/嘔吐/下痢 2. 時間 :薬剤使用から症状出現(分or時間or日or週) 症状が起きた時期(1年/5年/10年/それ以上前) 3. 経過と治療 :救急搬送/入院治療/自然に改善 4. 併用薬 :同時期に使用していた他の薬剤 5. その後 :抗菌薬使用歴/症状再燃の有無 Salkind AR, JAMA. 2001; 285: 2498
  146. 146. 抗菌薬のアレルギーの患者に
 確認すること 1. 症状 :アナフィラキシー/重症薬疹/嘔吐/下痢 2. 時間 :薬剤使用から症状出現(分or時間or日or週) 症状が起きた時期(1年/5年/10年/それ以上前) 3. 経過と治療 :救急搬送/入院治療/自然に改善 4. 併用薬 :同時期に使用していた他の薬剤 5. その後 :抗菌薬使用歴/症状再燃の有無 Salkind AR, JAMA. 2001; 285: 2498 どの様な症状がいつどれくらいの
 時間経過で出現したのか
  147. 147. 抗菌薬のアレルギーの患者に
 確認すること 1. 症状 :アナフィラキシー/重症薬疹/嘔吐/下痢 2. 時間 :薬剤使用から症状出現(分or時間or日or週) 症状が起きた時期(1年/5年/10年/それ以上前) 3. 経過と治療 :救急搬送/入院治療/自然に改善 4. 併用薬 :同時期に使用していた他の薬剤 5. その後 :抗菌薬使用歴/症状再燃の有無 Salkind AR, JAMA. 2001; 285: 2498 症状の程度はどれくらいか 他薬剤の可能性
 その後の抗菌薬の使用はないか
  148. 148. 分類 Ⅰ型 Ⅱ型 Ⅲ型 Ⅳ型 同義語 即時型
 アナフィラキシー 細胞傷害型
 細胞融解型 免疫複合体型
 アルサス型 遅延型
 ツベルクリン型 抗体 IgE IgG/IgM IgG/IgM T細胞 発症
 時間 数分~1時間 >72時間 10-21日 2-4日
 (4-21日) 代表
 疾患 蕁麻疹
 血管浮腫
 喉頭浮腫
 消化器症状 溶血性貧血
 血小板減少症
 顆粒球減少症 血清病
 薬剤熱
 血管炎
 糸球体腎炎 接触性皮膚炎
 斑状丘疹
 SJS/TEN
 DIHS AGEP 試験 皮膚テスト
 (プリック/スクラッチ) なし なし パッチテスト アレルギー型の分類 アナフィラキシーのⅠ型、重症薬疹のⅣ型が特に重要 厚生労働省資料「アレルギー総論」, C Chnag et al. Clin Rev Allerg Immunol. 2012; 43: 84
  149. 149. アナフィラキシー • 皮膚 or 粘膜症状
 +
 呼吸器症状(呼吸苦)
 循環器症状(血圧低下)
 消化器症状(下痢/嘔吐) 皮膚症状(蕁麻疹/顔面紅潮):90%
 呼吸器症状(喘鳴/喉頭浮腫):60% 循環器症状(めまい/血圧低下):35% 消化器症状(嘔気/下痢/腹痛):30% 日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン/PMDA重篤副作用疾患別対応マニュアル
  150. 150. 薬疹 • ほぼすべての薬剤で、1%の割合 • 5-10% : 蕁麻疹
 80% : 皮疹(斑状丘疹性or麻疹様) • 蕁麻疹はほとんどの薬剤で即時型(Type:Ⅰ) • 重症薬疹の "SJS" "TEN"等は遅延型(Type:Ⅳ) PMDA重篤副作用疾患別対応マニュアル, Stern RS, N Engl J Med. 2012; 366: 2492
  151. 151. 蕁麻疹と皮疹 The new engl and jour nal of medicine A B DC 蕁麻疹 斑状丘疹性皮疹 画像 蕁麻疹:www.allergyuk.org, 斑状丘疹性皮疹:Stern RS, N Engl J Med. 2012; 366: 2492 蚊に刺されたような感じ 融合して大きくなる
  152. 152. DIHS SJS TEN* AGEP Drug-induced Hypersensitivity Syndrome Stevens-Johnson Syndrome
 Toxic Epidermal Necrolysis Acute Generalized Exanthematous Pustulosis 薬剤性過敏症症候群 スティーブンス・ジョンソン症候群
 中毒性表皮壊死症 急性汎発性発疹性膿疱症 皮膚
 症状 上半身の斑状丘疹から始まり、体 表面50%以上の広範囲に拡がる。 皮疹の炎症が強い。顔面浮腫/紅 斑が見られる。粘膜病変はない。 初期は体幹に斑状の紅斑様皮疹が 出現し、粘膜病変が見られる。
 皮疹は平坦/二重斑で、その後、 水疱を形成し表皮剥離を伴う。 数時間の短期間で、紅斑が急速に 拡大する。紅斑上には無菌性の非 毛孔性小嚢胞が多数出現する。
 粘膜病変はまれ。 その他
 症状 発熱:38.5℃<
 倦怠感, リンパ節腫脹
 最低1臓器の障害
 (>80%:肝臓, 他に腎, 筋肉, 肺, 心臓, 膵臓) 発熱:38.5℃< 倦怠感, 咽頭痛, 嚥下困難, 排尿困難, 羞明感 発熱:38.5℃< 発症
 時期 抗てんかん薬:14日<
 その他の薬剤:4-21日 4-21日目 抗菌薬:<3日
 その他の薬剤:3日< 薬剤
 関連 100%(定義上) 80% 50% *表皮壊死<10%:SJS, 10-30%:SJS-TEN, 30%<:TEN PMDA重篤副作用疾患別対応マニュアル, Stern RS, N Engl J Med. 2012; 366: 2492 重症薬疹
  153. 153. 側鎖の即時型アレルギーの影響 • ペニシリン系のβラクタム環
 ➾ 容易に開裂し血中タンパク質と安定な化合物 • セファロスポリン系のβラクタム環
 ➾ 開裂しにくく開裂しても分解産物は不安定 • ペニシリン⇔セフェム、セフェム系同士のアレ ルギー反応にはその”側鎖”が関与 Romano A, Curr Allergy Asthma Rep. 2016; 16: 24
  154. 154. βラクタム抗菌薬の主要構造 デヒドロ チアゾリジン環チアゾリジン環 βラクタム環 ペニシリン系 セファロスポリン系 6位側鎖 7位側鎖 3位側鎖 ペニシリン系の6位側鎖とセフェム系の7位側鎖の
 構造が交差アレルギー反応の原因 Ezequiel PI, Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2005; 5: 323
  155. 155. 同一/類似側鎖の例 サワシリン ビクシリン注 ケフレックス ケフラール ペニシリン系 セフェム系 ⇔ モダシン注 アザクタム注 ⇔ 構造式はKEGGより引用
  156. 156. '3 ''- ' '33 '3 '3 '/ '3 ' '/ ' ' ' CPIBF CP NFRX AP AFR PFN PH M PIBF B BEX DEX ' 3 CP IBF ''- CP ' N FRX '3 3 A P " '3 A FR ' 3 PFN " ' / PH " ' 3 M ' ' / P IBF " ' B ' BEX ' D EX P T 7 LEX 6 V e uJ rv u " V e uJ e u V e uJ rv u rv u d IJgoimJch I RP ペニシリン/セフェム系の側鎖の類似性
  157. 157. ペニシリン系との交差アレルギー アレルギー型* 交差率** 備考 ペニシリン系 即時型 60% βラクタム環による
 アレルギー反応 遅延型 50% セフェム系 即時型 <10% 同一/類似側鎖<40% 遅延型 20% ケフレックス, ケフラール を避ける *即時型反応:TypeⅠ, 遅延型反応:TypeⅣ A Romano et al. Curr Allergy Asthma Rep. 2016; 16: 24 セフェム系⇔セフェム系:30-40% **ペニシリン系抗菌薬との交差反応率
  158. 158. ペニシリン/セフェムアレルギーでの
 代替え内服抗菌薬 グラム陽性菌 グラム陰性菌 嫌気性菌 ダラシン バクタ キノロン系 テトラサイクリン系 キノロン系
 バクタ
 ホスミシン ダラシン フラジール • 肺炎等:キノロン系 • 尿路感染:バクタ, キノロン系 • 皮膚軟部組織感染:バクタ, ダラシン 感染症別の代替え抗菌薬の例 起因菌に応じて抗菌薬を選択する
  159. 159. 抗菌薬アレルギー患者への対応 ペニシリン/セフェム系抗菌薬アレルギー疑いの患者 アレルギー/副作用についての病歴を聴取 アレルギー反応が否定的 単回の嘔吐/悪心/下痢 アレルギー反応の可能性あり 病歴より Type を分類 曖昧な病歴
 臓器障害等を伴わない Ⅰ 型 重症 Ⅱ-Ⅳ 型 軽症 Ⅳ 型 重症ではペニシリン系は避ける 代替え抗菌薬 ペニシリン/セフェム系を避ける 代替え抗菌薬 異側鎖セフェム or 代替え抗菌薬 投与可能 C Chang et al. Clinic Rev Allerg Immunol. 2012; 43: 84, KG Blumenthal et al. Ann Allergy Asthma Immunol. 2015; 115: 294 改変
  160. 160. お薬手帳への記載 • お薬手帳は重要な患者情報
 ➾ 事故などで話せない場合等に重要 • アレルギー・副作用・その他特記事項をできれば“薬 剤師”が記載(患者の同意の元)
 ➾ もしくはシールを作成して貼付 • それらが“ない”場合には“なし”と記載
 ➾ 未記載では未確認なのか、確認して“ない”のか現 場ではわからない
  161. 161. 病歴の聴取と報告 薬局での患者情報の収集
 在宅等の医療チームでの報告・相談
  162. 162. 情報の収集方法 患者情報(病歴)の聴取
 ➾ SAMPLE 現在の症状の聴取
 ➾ OPQRST 川口崇 岸田直樹 編著, 薬剤師のための臨床推論. じほう. 2013 岸田直樹 著, 総合診療医が教えるよくある気になる症状. じほう. 2015
  163. 163. 病歴の聴取 • Symptoms : 症状 • Allergy : アレルギー • Medication : 服薬歴(処方薬 サプリメント) • Past medical history & Pregnancy : 既往歴と妊娠 • Life Style & Last meal : 生活歴と最終摂食 • Exposure & Event : 曝露歴(ペット 旅行)と今回の経緯 SAMPLE で 漏れのないように聴取 川口崇 岸田直樹 編著, 薬剤師のための臨床推論. じほう. 2013 岸田直樹 著, 総合診療医が教えるよくある気になる症状. じほう. 2015 *職業, 家族構成, アルコール, タバコ等
  164. 164. 症状の聴取 • Onset : 発症様式 • Palliative / Provocative factor : 増悪・寛解因子 • Quality : 性状 • Region / Related symptom : 場所と関連する症状 • Severity : 程度 • Time course : 時間経過 日内変動 OPQRST で 漏れのないように聴取 川口崇 岸田直樹 編著, 薬剤師のための臨床推論. じほう. 2013 岸田直樹 著, 総合診療医が教えるよくある気になる症状. じほう. 2015
  165. 165. 症状の聴取 • Onset : 急に?徐々に? • Palliative / Provocative : どうすれば痛みますか?和らぎますか? • Quality : どのような痛み?ズキズキ?チクチク?焼ける感じ? • Region / Related symptom : どこが痛いですか?拡がりますか? • Severity : 1番痛いのを10とするとどれくらいですか? • Time course : 良くなってますか?波がありますか? 痛みの評価で良く利用する 川口崇 岸田直樹 編著, 薬剤師のための臨床推論. じほう. 2013 岸田直樹 著, 総合診療医が教えるよくある気になる症状. じほう. 2015 *指でココと示してもらう
  166. 166. セルフメディケーション • セルフメディケーションの高まりとともに、薬 局では患者のニーズに応えること、また、受診 勧告の判断も必要になってくる • 病歴や症状の聴取から、いわゆるレッドフラッ グサインが隠れていないかの判断が必要 • そのためにもSAMPLE OPQRST等のツールを用 いて薬剤師が病歴を聴取していく必要がある 岸田直樹 著, 総合診療医が教えるよくある気になる症状. じほう. 2015
  167. 167. 情報提供は的確に行う • 無意識で行っていることを意識する • 意識して伝達する情報を整理する • 情報を順序立てて伝達する • 自分の評価と提案を必ず述べる 情報を的確に伝えるために
  168. 168. 医療チームでの情報伝達 • Identify : 識別 : 自分と患者の同定 • Situation : 状況 : バイタル等の現在の状況 • Background : 背景 : 患者の背景・経過 • Assessment : 評価 : 観察した結果の評価・判断 • Recommendation : 提案 : 具体的な要請・要望 ISBARで的確に 池上敬一 浅香えみ子 編著, 患者急変対応コース for Nurse. 中山書店. 2008 改変
  169. 169. 医療チームでの情報伝達 • I : 薬剤師の佐野です。ICUのAさんのことで。 • S : OPE帰室から痛みが強くて、頻脈になっています。 • B : 外傷のOPE後でセレコックスのみの指示です。 • A : 現在、頓用の指示もなく、セレコックスでは疼痛コン トロールが不良と考えます。 • R : 医師で術後の疼痛で間違いないか確認してください。 アセリオの6時間毎もしくは疼痛時の投与を提案します。 例えば…
  170. 170. 情報伝達 • 医療事故の2/3はコミュニケーションエラーとされる • チームメンバーによって情報伝達形式が異なるとエ ラーの原因になる • ISBARは誤りなく順序立てて確実に行う情報伝達方 法の1つ • ISBARはTeam STEPPS(医療のパフォーマンスと患者安全を高めるた めにチームでの取組)におけるコミュニケーション方法の1つ
  171. 171. まとめ • 子どもたちの笑顔のために抗菌薬の適正使用を • 薬局薬剤師による患者教育が不可欠 • 年間70万人が耐性菌感染症で死亡 • 細菌名は「ゴロ合わせ」で覚える • “SAMPLE” “OPQRST”を用いた病歴聴取
  172. 172. 薬局薬剤師さんの質問から • 1錠分1 毎日 もしくは 週に3回
 ➾ PSL換算20mgが1ヶ月以上継続の場合
 総投与量がPSL換算700mgを超える場合
 免疫抑制剤使用でリンパ球1000/μL未満 • 半錠分1 毎日 もしくは 週に3回
 ➾ 再発性膀胱炎の予防での内服(~6ヶ月) バクタ配合錠の長期処方 Limper AH, Am J Respir Crit Care Med. 2011; 183: 96 Minowa K, Jpn J Clin Immunol. 2009; 32: 256 *腎機能不良時の上記適応の場合もあり *上記の内1つでも該当する場合にニューモシスチス肺炎予防目的で投与
  173. 173. • 新しく承認される薬剤は改善されている • 古い薬剤でも改善されてきている
 ➾ 後発薬はそのままの場合がある • 適応が使用が認めらている場合もある
 ➾ http://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/ teikyojirei/yakuzai/no600/index.html 添付文書の用法用量について 薬局薬剤師さんの質問から
  174. 174. 抗菌薬
 *内服のみ抜粋 事例内容 カナマイシン 「肝性昏睡時の腸管内殺菌」に対して処方 サワシリン 「急性副鼻腔炎」に対して処方 ユナシン 「手術創などの二次感染、顎炎、顎骨周囲蜂巣炎」に対し処方 クラリス 「好中球性炎症性気道疾患」に対して処方 「歯周組織炎、顎炎」に対し処方 ビブラマイシン 「熱帯熱マラリア」、「レプトスピラ症」、「リケッチア感染症」、「ライム病等のボ レリア属感染症」、「日本紅斑熱」、「つつが虫病」に対して処方 ミノマイシン 「日本紅斑熱」に対して処方 リファンピシン 「非結核性抗酸菌症」に対し処方 エサンブトール 「非結核性抗酸菌症」に対し処方 シプロキサン 「日本紅斑熱」、「サルモネラ(感染)症」、「髄膜炎菌感染症」に対して処方 バクタ 「ニューモシスチス肺炎」に対し処方 「ノカルジア症」に対して処方
  175. 175. 質問から 抗菌薬の投与期間 感染症 起因菌 抗菌薬 投与期間 溶連菌性咽頭炎 溶連菌 サワシリン 10日間 急性中耳炎 肺炎球菌
 インフルエンザ桿菌
 モラキセラ サワシリン
 オーグメンチン
 ケフラール 最低5日間 急性副鼻腔炎 肺炎 最低5日間
 解熱後3日 皮膚軟部組織感染 溶連菌, 黄色ブドウ球菌 ケフレックス, バクタ
 オーグメンチン 5-10日間 尿路感染 大腸菌, クレブシエラ
 プロテウス ケフレックス, バクタ 膀胱炎:3-7日間
 腎盂腎炎:10-14日間 カテーテル関連尿路感染 上記に加えエンテロバクター
 セラチア, シトロバクター, 緑膿菌 クラビット, バクタ 10-14日間 《成人の内服抗菌薬》 サワシリン:500mgx3-4
 オーグメンチン:250mgx3-4+サワシリン(同上)
 ケフレックス, ケフラール:500mgx3
 バクタ:4錠(2g)分2
 クラビット:500mgx1
  176. 176. 感染症関連のおすすめの本 • 総合診療医が教えるよくある気になる症状
 レッドフラッグサイン等どう考えるか 薬局薬剤師さん必読 • ねころんで読める抗菌薬
 サラッと読めます 1巻は注射薬がやや多め 2,3巻がおすすめ • 抗菌薬の考え方・使い方 改訂3版
 ちょっと厚め 私は初版からすべて読んでいます • レジデントのための感染症診療マニュアル 改訂3版
 かなり厚い本 調べ物に使う 国内で感染症のバイブル的な書籍 薬局薬剤師さんの質問から

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