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製造現場に残るアナログ業務効率化に向けた最適解のススメ
- 1. アステリア株式会社 2018 年 6 月 White Paper © 2019 Asteria Corporation 無駄なのは分かるけど、その解決策が分からない… 製造現場に残るアナログ業務 効率化に向けた最適解のススメ
- 2. 2 © 2019 Asteria Corporation はじめに 多くの企業で取り組まれている働き方改革だが、これは製造業の現場でも例外ではない。実 際には、製造ラインの効率化が製品原価に直結する製造現場だけに、これまでも業務の無駄を 排除し、効率的な製造ラインを目指した業務改善を継続的に行っていることだろう。それでも、 いまだに作業日報の作成や集計をはじめとしたアナログ的な作業によって、十分に効率化でき ていない業務は確実に存在している。当然ながら、その無駄なプロセスを現場の管理は理解し ているものの、それらをうまく解消する方法が見つかっていないのではないだろうか。 そこで今回は、製造ラインにまつわるアナログ作業を効率化するための手法について、その 最適解を探ってみたい。 【1】製造現場の実態 【2】4 つのプロセスに見るアナログ業務での課題 【3】現場主導で行う業務改善の処方箋 【4】業務改善に向けた基盤づくりのポイント 【1】製造現場の実態 労働力不足の解消や豊かな社会の実現に向け、政府主導の下で多くの企業が取り組んでいる 『働き方改革』。働き方改革は、高齢者の就労促進や非正規と正社員の格差是正など労働環境の さまざまな課題に取り組むものだが、そのなかでも多くの企業が取り組んでいるのが「長時間 労働の改善」だ。長時間労働の改善を図るためには、現状の業務を把握したうえで BPR に取り 組みながら、企業文化や風土改革、そして IT などによる環境整備も重要なポイントになってく る。 この働き方改革は、当然ながら製造部門の現場においても行われている。そもそも労働力不 足は、技術者や作業者の確保を困難にすることにつながるなど、モノづくりを行う製造業にとっ て死活問題。製造ラインの善し悪しが原価に直結する製造現場であるがゆえに、長時間労働を 誘発する “ 日々の業務に潜む無駄 ” を可能な限り明らかにし、業務フローの見直しや機械化、 デジタル化などによって改善し効率化していくことが、製造現場には常に求められてきたのだ。 ただし現場の業務には、いまだにアナログ的な業務が存在している。ホワイトボードでの作 業割り振りや情報共有はもちろん、作業時間や不良状況などを報告する作業日報が手書きで行 われていたり、日報を Excel などに転記してまとめたりといった業務がその一例だ。また、現 場で行われている製造設備の定期点検の際には、チェック項目が記載された手書きの帳票をバ インダーに挟み、現場でチェックした結果を別のシートに転記するなど、アナログ的な手法で 行われているケースが少なくない。
- 3. 3 © 2019 Asteria Corporation さらに、現場で発生した不良品報告では、 手書きの報告書にその時の状況が克明に記載 され、別途不良状態を写真にて撮影しておき、 上長や品質保証部門などに報告される。後日 Word などのフォームに転記したうえで正式 な不良日報が作成され、現場写真を添付した うえでメールにて関係部署に共有するといっ たことも、ある意味日常的な風景となってい ることだろう。 実は、報告業務はもちろんだが、それらの情報を共有していくための仕組みもアナログな方 法であることが多い。作業日報をはじめとした各種報告書の回覧や、そのための承認ワークフ ローだ。自身のデスクに回覧用の書類が置かれ、タイミングを見て確認し、確認フローに沿っ て次の人に回していくといった運用だ。しかも、回覧された報告書は、後日ファイルで保管さ れることになり、せっかくの報告書が活用に至らないケースも。 不良品報告などについては、当然だが改善したかどうかの確認まで含めて一連の業務となっ ているはずだが、品質保証部門などへの調査依頼や改善依頼の方法も、紙で行われるケースは ある。 そもそも、他部門へ提出する報告書の作成自体は、いまだに複数の Excel を付け合わせて手 作業にて作成されているケースは決して少なくない。会議が行われる直前に、現場から紙や Excel を引っ張ってきて、それらをもとにグラフなどを交えた会議資料が作られる。この資料 作りの手間も、実際には大きな負担になっていることだろう。 【2】4つのプロセスに見るアナログ業務での課題 これら一連の報告作業や情報共有のフローについて、製造部門の管理者としては、もっとス マートに、うまくできる方法があるはずだと考えている人は少なくない。しかし、その解決策 となると、情報システム部門などを巻き込んだ大掛かりなものになりやすい。多忙な日々の業 務のなかで、自分たちで解決していけるような方法にたどり着いていないのが現実だろう。製 造現場での長時間労働解消につなげるためにも、報告業務や情報共有、そして資料作成におけ る無駄を解消していく何らかの方法が求められている。 ここで、具体的な課題について改めて整理しておきたい。日報業務を分解すると、大きくは 現場から情報を収集するプロセスをはじめ、情報の確認・承認プロセス、資料作成・配布プロ セス、そしてデータ活用プロセスなどが業務として分解できる。これらの各プロセスにおいて、 改善の余地が残されていることが多い。