14. c Internet Initiative Japan Inc.
要旨
• SNSには様々な情報の提示順序がある。
• 情報を並べ替えや選択的に示すことで、情報の受け取り手の印象を
操作ことができる。本物の情報を使った行為。
• 特に選挙に関係する情報を変更することで、投票行動に影響を与え
ることができる。
• 行動情報の分析により広告等をターゲットを詳細に指定することが
できるようになった。
• 米国にてトランプを大統領にしたのは誰か。同様に英国にEU脱退
(ブレグジット)を決意させたのは誰か。
• もともと情報戦の領域の話で偽情報などは当たり前。この手法は従
来型の介入(偽情報、偽の人からの情報)と一緒に用いられる。
• とはいえ外国から影響を受けるのは好ましくなく、各国で対応。
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Facebookの実験
マイクロターゲティング広告
ケンブリッジアナリティカ問題
ブレグジット問題
情報戦選挙戦の世界
この問題への対応
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Facebookの実験
• Experimental evidence of massive-scale emotional contagion
through social networks(2014)
https://www.pnas.org/content/111/24/8788.full
• 英語圏の68万9003人の利用者に対し、情報の提示アルゴリズム
を操作。
• ポジティブな情報を減らしたときに、ネガティブな発言が増える。
• ネガティブな情報を減らすとポジティブな発言が増える。
• 本物の情報の提示順の操作だけで利用者の行動を操ることができる。
• 選挙において投票に行く行かないレベルで行動を操ることがで
きる。
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マイクロターゲティング広告
• 選挙運動やマーケティングなどで、対象とする個人に関する情
報を詳細に分析し、嗜好や行動パターンを把握することによっ
て、より効果的な戦略を構築する手法(デジタル大辞林)。
• 従来年齢性別程度だった広告対象の分類を、インターネット上
の行動情報(SNSでの発言やポータル検索履歴、オンライン購
入記録など)をもとにより細かく分類し、より小さな集団に向
けて適切な広告を出していくこと
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18. c Internet Initiative Japan Inc.
ケンブリッジアナリティカ問題
• 2016年トランプ大統領が誕生した米国大統領選において、ロシ
ア資本の英国企業ケンブリッジ・アナリティカ社が介入したの
ではないかとされる事件(ロシアゲート事件)。
• Facebookの利用者5000万人分の行動情報漏洩疑惑
• マイクロターゲティング広告による操作を行った疑惑
• 米国司法機関よる捜査
• ケンブリッジ・アナリティカ社およびSCL社は2018年倒産
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19. c Internet Initiative Japan Inc.
ケンブリッジアナリティカ問題
• マイクロターゲティング広告による操作例
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Exposing Russia’s Effort to Sow Discord Online: The Internet Research Agency and Advertisements
https://intelligence.house.gov/social-media-content/
https://intelligence.house.gov/social-media-content/social-media-advertisements.htm
20. c Internet Initiative Japan Inc.
ブレグジット問題
• 英議会委員会「2016年の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国
民投票に向け、EU離脱への支持を訴え活動していた団体が政治コ
ンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ(CA)から協力
を受けていた」
• CA元社員クリストファー・ワイリーの公聴記録「ケンブリッジ・ア
ナリティカとカナダの企業アグリゲートIQは、EU離脱の是非を問う
イギリスの国民投票の結果を左右した」
• 虚偽情報「EUへの拠出金が週3億5千万ポンドに達する」。各方面か
らこの情報は嘘であると取り消したが、国民の6割が信じて国民投票
に大きく影響したとされる。
• EU離脱派は270万ポンドを駆使して離脱支持に傾きそうな有権者約
700万人に影響を与えようとした(報道より)
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21. c Internet Initiative Japan Inc.
情報戦の世界
• 従来型の選挙介入
• 舌戦、相手に不利な情報の流布
• 偽情報
• 偽の人による情報
• 新しい介入
• フェイクニュース
• フェイクコミュニケーション
• ホワイト・プロパガンダの活性化
(情報源を公言)
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情報戦の世界
• 英国DCMS下院特別委員会 Disinformation and ‘fake news’:
Interim Report
• Fabricated content:完全に虚偽である。
• Manipulated content:本来よりセンセーショナルな見出しをつける等、
元情報を歪めている。
• Imposter content:元情報のソースを別のもの(例えば信頼ある通信社
のブランド)に変えている。
• Misleading content:ミスリーディングな情報の利用。(例:コメント
を事実のように伝えている)
• False context of connection:本来は正しい情報が間違った文脈で利用
されている。(例:見出しが記事の内容を表していない)
• Satire and parody:ユーモアがあるが嘘の物語をあたかも真実のように
表現している。(必ずしもフェイクニュースとして分類されるわけで
はないが、意図せず読者をだましている場合がある。
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23. c Internet Initiative Japan Inc.
ケンブリッジアナリティカ問題
• 諸外国での対応
• SNS
• フェイクアカウント削除
• 偽情報配信によるアカウント凍結
• 情報の提示順の選択(おすすめか時系列か)
• 行動規範レポート、透明性レポート
• 包括的解決策:認知度向上、メディアリテラシーの向上、幅広い利
害関係者の巻き込み、公的機関・オンラインプラットフォーム・広
告主・信頼された判定者・ジャーナリスト及びメディアグループの
参加による長期的解決。
• 日本での対策
• フェイクニュース規制の議論中
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この問題への対応(個人)
• 報道の偏向
• 偽情報にあふれたインターネット
• 個人による偽情報の拡散(不用意なリツイート)
• 信頼しているはずのインフルエンサーによる広告(ステマ)
• 検索結果の偏向(SEOポイズニング)
• 本物の情報の提示順をいじられるインターネット(←New!)
• マイクロターゲット広告で個人を狙った情報が提示されるイン
ターネット(←New!)
• 何かの判断は原典にあたってから実施しよう。
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