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日本版FinTechの野望と挑戦
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July 2017
森・濱田松本法律事務所
パートナー弁護士 増 島 雅 和
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自己紹介
増 島 雅 和(ますじま まさかず)
森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
2001 弁護士登録
2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所(シリコンバレーオフィス)
2007 ニューヨーク州弁護士登録
2010 金融庁監督局銀行第一課(RRP担当)兼保険課
日経CSISバーチャルシンクタンク・フェロー
イニシアチブ: 金融の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する“Startup Innovators”主宰
http://startupinnovators.jp/
2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員
2015 IMF外部カウンセル(米国FSAP:金融破綻処理法制担当)
日本クラウドファンディング協会理事、日本ベンチャーキャピタル協会顧問、FINOVATORS代表、日本ブロック
チェーン協会アドバイザー、仮想通貨事業者協会アドバイザー、ブロックチェーン推進協会アドバイザー 等
2016 経済産業省 FinTech研究会 ブロックチェーン研究会 委員
内閣官房IT総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員
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「FinTechの法律」(第2版)
<特徴>
 イノベーションサイドから金融規制を解説
 法律ではなくビジネスについて記載したQ&A
ー プラットフォーム型ビジネスモデルとは?
ー エコシステム型ビジネスモデルとは?
ー ディスラプティブイノベーションの構図とは?
ー オープンイノベーションの取り組み方は?
ー FinTechによる地方創生とは?
ー FinTechによる貧困対策とは?
 FinTech、データ、競争政策にわたって政府の動向を網羅
 API、ブロックチェーンなど核となる技術もカバー
 InsurTechもカバー
 海外ビジネスモデルの分析と日本法上の展開可能について検討
日経FinTech選書(税込2916円)
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Table of contents
1.FinTechは何をしようとしているのか
2.日本のFinTechのトレンド
3.日本版FinTechの挑戦
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1.FinTechは何をしようとしているのか
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FinTechは、金融業者からは、ここ20年で情報産業がIT業界に浸食されたことと同じことが金融業で起こると
の仮説に基づいている
<金融業者から見たFinTech>
?
1.FinTech は何をしようとしているのか
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情報産業における情報流通のディスラプションという点で、メディア・コンテンツビジネスと金融ビジネスは同じ文脈
にある
<銀行業の場合>
口座管理機能
為替機能
貸付機能
回収機能
運用機能
販売機能
(窓口)
顧
客
顧
客
顧
客
運用
機能
回収
機能
貸付
機能
為替
機能
口座
機能
貸金サービス
資金移動サービス
資産運用サービス
プラットフォーム = 銀行口座?
マーケティング マーケティング マーケティング マーケティング
コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ
unbundling
rebundling
1.FinTech は何をしようとしているのか
ディスラプションは、アンバンドル(機能に分解したサービスの提供) → リバンドル(統合によるフルスタックのサービスの提
供)の経過をたどる
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インターネットというレイヤー型(水平型)のアーキテクチャの上にビジネスを載せれば、保険も銀行と同じ道をたどらざるをえない
<保険業の場合>
rebundling
販売機能
引受機能
支払機能
運用機能
顧
客
顧
客
顧
客
支払機能
引受機能
販売機能
運用機能
販売機能 販売機能
引受機能 引受機能
支払機能 支払機能
運用機能 運用機能
顧
客
顧
客
顧
客
unbundling
?
1.FinTechは何をしようとしているのか
業態規制のもとフルスタックモデル(垂直統合型)でサービスを提供してきた点は、銀行も保険も同じ
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1.FinTech は何をしようとしているのか
日本にも優秀な起業家がFinTechスペースに続々と参集
ペイメント(決済・送金) レンディング(与信) アセットマネジメント(投資・運用)
<Application Layer>
<Platform Layer>
PFM(Personal Finance Management) SMEバックエンド(会計・税務・人事)
<Infrastructure Layer>
Security・KYC FMI(Financial Market Infrastructure)
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RegTech: 最新の情報技術を活用して複雑化・高度化が進む金融規制に対応することをテーマとしたイノベー
ション
1.FinTechは何をしようとしているのか
FinTechの車の両輪、RegTechは既存の金融機関が取り組みやすいイノベーションテーマ
 AML/CFT (KYC)
 Fraud Detection
 Cybersecurity
 Underwriting
 Credit Rating
 Claim Handling
 Monitoring
 Internal Control/Compliance
X
 Artificial Intelligence
- Machine Learning
- Deep Learning
 Distributed Ledger Technology
- Blockchain
- Other Distributed Database
 Application Programming
Interface
- Closed API
- Open API
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Peter Thielの”10x Rule”
今よりも10倍カイゼンされれば、それはDisruptive Innovationになる
1.FinTechは何をしようとしているのか
RegTechのポイントは、Incremental InnovationはRegTechではないと知ること
出典:Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%
BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83
%BC%E3%83%AB
<Peter Thielの唱える偉大なビジネスを創出するための4つのルール>
Rule #1: 10倍優れた自社テクノロジーを開発せよ
Rule #2: ネットワーク効果を追求せよ
Rule #3: 規模の経済を作り出せ
Rule #4: 強いブランドを構築せよ
ー Goldman SachsのFinTech戦略はおそらくこれを地で行っていると思われる
ー 海外の金融機関はこれに追随
ー 日本のメガバンクもこの方向に舵を切りつつある
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FinTechスタートアップと既存金融機関が高度の戦略的なかけひきを実施
1.FinTechは何をしようとしているのか
<Step1>
• 大企業は、要求水準が厳しく利幅の高い主要顧
客の需要を満たすことに集中
• 他のセグメントには過剰水準となるが、そのニー
ズは放置
<Step2>
• 新規参入企業は、放置されたニーズに対し、新
たな技術を用いて大幅に低価格でソリューション
を提供
• 大企業は、儲からないニッチマーケットとして、こ
れを放置
<Step3>
• 新規参入企業は、新技術をマーケットフィットさ
せる形で習熟し、優位性を維持したまま主要顧
客のいるアップマーケットに乗り込む
• 主要顧客が新規参入企業のプロダクトを認めて
雪崩を打つように購入
時間
プ
ロ
ダ
ク
ト
性
能
ハイエンド市場
主要市場
ローエンド市場
収益性:高
収益性:低
性能に対する顧客が考える
適正価格
Clayton M. Christensen(2016)
歴史上、あらゆる業界で起こってきた、テクノロジーがもたらすディスラプションモデルをなぞるFinTechスタートアップと、産業
分析に明るい既存金融機関が、相手の打ち手の先の先を見ながら動いている
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既存金融機関のFoMOがディスラプションを加速させる
銀行業界を見ると、現状のFinTechマーケットのドライビングフォースの主なものは金融機関によるFoMO
FoMO (Fear of Missing Out)
VCs founders
angels
accelerators
労務・時間・技術・ア
イディア
資金・ネットワーク
資金・メンタリング
・ FoMOが投資の原動力となり、これが結果的にスタートアップの構想
の実現を早める
・ その背景にはBig Dataの4Vとそれを支えるネットワーク効果を用い
たスタートアップの先行戦略がある
・ 失敗コストが安いスタートアップのみができる仮説検証の高速PDCA
と低コスト戦略による民主化アプローチ
・ FoMOに陥った既存金融業者に協業を持ちかけるオープンイノベー
ション戦略
1.FinTechは何をしようとしているのか
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2.日本のFinTechのトレンド
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決済系FinTechの興隆
日本のFinTechシーンは決済系を中心に興隆
1. 収納代行モデル型の決済サービス
例:購入型クラウドファンディング、CtoCマーケットプレイス、シェアエコ型ビジネス マッチング型プラットフォームビジネス
User
Platform
Merchant
決済代行業者
カード払 収納代行(代理受領) システム利用料を差引後支払
包括加盟店契約
商品・サービス(直接契約)
• Merchantに対するシステム利用料を担保するためにUserがMerchantに支払う代金を代理受領し、残額をMerchantに払う
⇒ プラットフォーム上のマッチングにより成立した取引に関する事実上の決済サービスを実現
• Userからの支払金をMerchantが受領するまでの間留保する金銭を、今度はMerchantがプラットフォーム上で購入者となる際に他の
Merchantに対して支払う代金の支払いに充てられる仕組みを実装 ⇒ アカウントが預金口座のように機能する
• 商品(有体物)のやり取りのみでなく役務(サービス)のマッチングにも進出(労務の提供等) ⇒ 決済サービスとしての色が濃くなる
• 「債務の負担」をMerchantが提供する「役務」と見ると、Userがその支払いを行うことは、もはや為替取引と見分けがつかなくなる
 現状は決済代行業者との加盟店契約のもと、クレジットカード決済網上でビジネスを展開
 今年度の銀行法改正により銀行APIが解放されると、カード決済網を経由せずに銀行間決済網上でビジネス展開が可能に
2.日本のFinTechのトレンド
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決済系FinTechの興隆
日本のFinTechシーンは決済系を中心に興隆
2. 仮想通貨決済網を用いた決済サービス
ネットワーク経
由で移転できる
か
Yes Yes
電子的記録か
Yes
法定通貨又は
通貨建資産にあ
たるか
仮想通貨ではない
Yes不特定者への
支払に利用可
能か
市場取引可能
か
Yes
2号仮想通貨
1号仮想通貨No
No NoNoNo Yes
市場で1号仮想
通貨と相互交換
可能か
<仮想通貨認定フローチャート>
No
<仮想通貨のユースケース>
• 支払手段としての利用
• 送金手段としての利用
• 投資対象としての利用
2.日本のFinTechのトレンド
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(参考)仮想通貨のユースケース
a. 支払のための利用
 1号仮想通貨としての利用方法
 グローバル決済ネットワークとしての仮想通貨
グローバル決済ネットワーク
銀行間決済ネットワーク(SWIFT)
クレジットカードブランドネットワーク(VISA, MasterCard)
仮想通貨ネットワーク(Bitcoin Blockchain)
+
国際決済したいユーザーから見るとどれも機能は同じ
費用は?
使い勝手(ネットで使える、営業時間、速さ)は?
2.日本のFinTechのトレンド
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(参考)仮想通貨のユースケース
b. 送金のための利用
 「為替取引」にあたるか?
 「顧客から隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼
を受けて、これを引き受けること、またはこれらを引き受けて遂行すること」(最高裁決定2001年3月12日)
⇒ 仮想通貨は「資金」に該当しない。ただし、仮想通貨を用いて全体として為替取引に該当する仕組みとなっている
場合にはあたりうる。
依頼人A 受取人B
BへのUSD
支払依頼
JPY支払
JPY・BTC
在庫
ウォレット
ビットコイン取引市場(取引所)
USD・BTC
在庫
ウォレット
BTC送金
B口座へ
USD入金
2.日本のFinTechのトレンド
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(参考)仮想通貨のユースケース
c. 投資対象として利用
 ビットコイン現物投資
 ビットコインFX投資
 店頭外国為替証拠金取引に類似
 ビットコインは通貨ではなく「金融商品」に該当しない ⇒ 金商法適用なし
 FX事業者が仮想通貨の売買を行う限りで資金決済法の適用あり
 レバレッジ規制、ロスカットルール等は自主規制機関によるルールに委ねられる
 信用取引を行う場合、金銭の貸し付けを伴うのであれば貸金業の適用あり
 オルトコイン投資(Monero (1XMR≒$10.5), Ethereum (1ETH≒$9.5), Zcash (1ZEC≒$43.2)・・・・)
※ 発行者のある仮想通貨は、発行者からすると資金調達手段として利用することができることを意味する
<仮想通貨と有価証券との関係>
 ブロックチェーンによる有価証券の実装
 米Overstock社によるブロックチェーンを用いた有価証券の発行
 社債の発行(2015.7)
 株式の発行(2016.12)
 株式市場(t0)の運営開始(2016.12)
 仮想通貨による資金調達(ICO)
「WallStreet、特にnaked short sellingと闘う」by
Patrick Byrne
2.日本のFinTechのトレンド
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決済系FinTechの興隆
日本のFinTechシーンは決済系を中心に興隆
3. 既存ツールの組み合わせ
例:電子マネー(前払式支払手段)、資金移動業、企業ポイント
2.日本のFinTechのトレンド
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2017年のトレンド
決済ビジネスの進化と共に、資産形成の課題を解決する事業、ブロックチェーンの実運用に向けた事業が出現
1. 銀行APIのもとで実現するビジネスの仕込み
• 改正銀行法により電子決済等代行業の登録制度を導入
 1号電子決済等代行業:PISP(payment initiation service provider)
 2号電子決済等代行業:AISP(account information service provider)
<PISPモデル>
銀行
Bank API
PISP
顧
客
<AISPモデル>
銀行
Bank API
AISP
顧
客
口座情報の書換え
(振込)まで代行
口座情報の参照のみ
データ連携
 アカウントアグリゲーションビジネスの進化
 銀行によるAISP事業への参入
 非銀行金融業者によるAISP事業への参入
 PDS(personal data storage)さらには情
報銀行へ
 金融データのポータビリティを支える
2.日本のFinTechのトレンド
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2017年のトレンド
決済ビジネスの進化と共に、資産形成の課題を解決する事業、ブロックチェーンの実運用に向けた事業が出現か
2. 証券系FinTechのすそ野の拡大
• 2016年は既存の金商業者によるFinTechへの取組みは低調
 証券会社自身は既に個人顧客向けビジネスはオンライン化
 高速取引等IT投資は既に実施
独立系のロボアドバイザー事業者が出てくる程度
• 2017年は金商業者がFinTechへの取り組みを本格化
 FinTechスタートアップとの協業
 To B型のFinTechへの着目
 ブロックチェーン技術の証券ビジネスへの応用
2.日本のFinTechのトレンド
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経済産業省「FinTechビジョン」
経済産業省「FinTech検討会合」は、日本のFinTech戦略を包括的に取りまとめ
 FinTechによる金融の変化
 送金・決済
 家計管理、資産運用、家計借入(信用)
 企業会計、資金調達
 リスク管理
 FinTechによる金融の担い手の変化
 スタートアップ企業
 非金融業者
- IT(EC、SNS等)、交通、流通、通信・・・
 既存金融機関
- ビジネスモデルの進化により対応
 FinTechによる社会の変化
 消費生活の高度化
- キャッシュレス決済
 将来に向けた資産形成の充実
- デジタル投資アドバイス(いわゆるロボ・アドバイザー)
 企業生産性の向上(特に中小企業)
- バックオフィス改革によるもの: クラウド会計・経理サービス、 国内送金システムの高度化(金融EDI、金融API)
- 財務支援能力強化によるもの: 資金調達手法の多様化・効率化、キャッシュマネジメント強化
- 経営の高度化: データマーケティングの強化、KPIのリアルタイムでの見える化
2.日本のFinTechのトレンド
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FinTechの現状
 FinTechにより、あらゆる経済活動に伴う A)「お金」のかたち、B)流れ、C)信用・リスクの捉え⽅、D) 担い手が大きく変化。
 IoT、AI等により、人々の経済活動や産業の競争条件が激変する中、それを⽀える「お金」も変⾰を迫られていることが背景。
 世界中でFinTechを活用したイノベーション競争が激化している。
日本の⽴ち位置、アプローチ
 日本では太宗の個人・企業が口座やクレジットカードを保有する等、誰もが金融サービスにアクセスできる 環境にある。一方で、決
済のキャッシュレス化やバックオフィス業務のクラウド化等については進展の余地が あり、また、 従来の制度ではイノベーションに対応
しきれないといった指摘もみられる。
 既存の金融のあり方にとらわれず、FinTechの効果や方策を検討するためには、ユーザー視点からの発 想が不可⽋。
 以下のような視点から、FinTech社会の未来像を共有し、その実現に向けた課題や道筋、包括的な 政策パッケージを⽰したと
ころ。
 消費⽣活の高度化・活性化(フロー⾯)や、将来に向けた資産形成の充実(ストック⾯)を通じ て、個⼈(家計)の⽣
活が劇的に変わる可能性。
 イノベーションと地域経済の担い手であるベンチャー企業や中小企業においては、バックオフィス改革に よる生産性向上や、資金
調達力、キャッシュ・マネジメント強化の実現、それらを通じた経営の高度化、成⻑に向けた経営資源の投⼊が可能になり、中
⼩企業等の収益⼒が劇的に上がる可能性。
日本のFinTech戦略
2.日本のFinTechのトレンド
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ⅰFinTech普及の
前提条件を整える
ⅱ「お金」の流れを
円滑にする
ⅲ中⼩企業等の
FinTech活用を
後押し
個人の生活(家計)が
劇的に変わる
企業の収益力が
劇的に上がる
(生産性革命)
将来像 基本的方向性
ⅳイノベーション
(試行錯誤)を
促す仕組み作り
・環境整備
(「日本版レギュラトリー・
サンドボックス」の検討等)
日々の消費の
高度化・活性化
(フロー⾯)
個人の効率的な
資産形成
(ストック⾯)
経営力強化・
成⻑に向けた
資源投入
資金調達の強化
(財務の生産性革命)
バックオフィス業務の
効率化
(業務の生産性革命)
電⼦決済のセキュリティが守られる
データ融通の環境が整う
キャッシュレス社会が実現する
本⼈確認がデジタルで完結する
行政データを開放、手続がデジタルで完結する
金融サービスがデジタルで完結する
会計・経営管理が自動化・効率化する
出⼊金・資金管理が自動化・効率化する
目指すべき状態
様々な⾰新的なFinTechサービスが出現する
イノベーションに向けた実験が促される
資金調達⼒を強化する
2.日本のFinTechのトレンド
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(参考)⽬標逆算ロードマップ FinTech
時期 短期(〜2018年) 中期(〜2020年) ⻑期(2020年〜)
⽬標 個⼈・企業のFinTech活用促進
FinTechイノベーションを促進するための環境整備、仕組みづくり
個⼈の⽣活(家計)が劇的に変わる
中⼩企業の収益⼒が劇的に上がる
取
組
ⅰ
FinTechの前提条件を整える
• 個人データを自らの意思で管理・利用する手段やルールの整備
• キャッシュレス決済⽐率を政策
指標化
• キャッシュレス決済と証憑類の電子化の促進
• 技術⾰新を素早く取り⼊れるセキュリティ対策
ⅱ
「お金」の流れを円滑にする(デジタルで完結する)
• 本⼈確認がデジタル完結する仕組みづくり
• 行政手続のデジタル化、手続情報の利用がしやすいプラットフォームづく
り
行政データの徹底開放
、
• 銀行・クレジットカード企業のオープンAPI促進
• ブロックチェーン技術の活用促進(国際標準への対応、実証実験の推進等)
ⅲ
中⼩企業等のFinTech活用を後押しする
• 「バックオフィス業務等のクラウ
ド化率」を政策指標化
• バックオフィスのクラウド化推進、FinTech活用方法と効果の理解促進、インターネット・
バ ンキング利用の推進
• 金融と商流のEDI接続の推進
• 「サプライチェーンキャッシュコン
バージョンサイクル
(SCCC)」の政策指標化
• FinTechによる革新的な資金調達手段の促進、サプライチェーン全体の資金循環効
率
の向上
ⅳ
イノベーション(試行錯誤)を促す仕組み作り・環境整備
• FinTechイノベーションを促進する規制・制度改⾰(「レギュラトリー・サンドボックス」の検討等)
• グローバル競争⼒あるFinTech拠点づくり
• ⼈材育成、転職・再就職、兼業副業等を通じたFinTech⼈材の確保
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3.日本版FinTechの挑戦
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実体経済の「取引」の後ろには常に金融取引が存在
分散型コミュニケーションネットワーク
- ウェブ技術
- モバイル端末/センサー
- ソーシャルネットワーク
- コンテンツ配信(音楽/書籍/動画)
分散型物流/移動ネットワーク
- IoT
- ロボティクス
- 3Dプリンタ
- 工場/ロジ シェア
分散型労務/エネルギーネットワーク
- スマートグリッド
- クリーンテック (太陽光/風力/地熱)
- 人工知能ロボット
分散型支払ネットワーク
- ブロックチェーン
- PISP
- 超効率化トレードファイナンス
- 超効率化資本市場
- 超効率化貸付プラットフォーム
FinTech
3.日本版FinTechの挑戦
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FinTechは他産業のデータのVarietyに寄与
プロダクトやサービスの品質を改善するデータドリブンなネットワーク効果の獲得に向けたビジネスモデルを設計
 Big Dataの特性 (“Big Data: Bringing Competition Policy to the Digital Era” by OECD )
• High volume: データ量が半端でなく多い
• High velocity:データ蓄積のスピードが半端でなく速い
• High variety:データ種類が半端でなく多い
• High value
×
<テクノロジー + 分析手法>
=
 2つのフィードバック・ループを回すことで高いネットワーク効果を実現
• User feedback loop:多数のユーザを持つ企業はより多くのデータを獲得することができ、これによりサービスの品質
を向上することができる
• Monetization feedback loop:ユーザデータを活用してユーザに効果的に情報提供することでサービスの売上を
伸ばすことができ、サービス改善の追加原資を得ることでより多くのユーザを獲得することができる
この2つのループが回るようにレイヤー間を設計し、それぞれのレイヤー構造がさらにフィードバック・ループを構成す
るようにビジネス全体を設計
「金融データをどのように組み込めば既存エコシステムが生み出すデータのバリューが高まるか」を考えるのが
非金融業者にとってのFinTechの要諦
3.日本版FinTechの挑戦
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動脈版金融データとしての決済・リクイディティデータ
サプライチェーンの裏を流れる決済データをモノの流れデータと一体的に把握
1. 決済データ
視点: 商流の各段階で発生する「取引」につき、その逆方向に発生する決済に関するデータを、取引のデータと紐づく形
で獲得、蓄積して分析することで、取引の効率化や拡大を図ることができないか
テクノロジー: API、センサー、金融EDI、解析技術等
FinTechのモデル:電子決済等代行業、貸金業、保証事業、ファクタリングetc
仮設例: amazonによるPISPへの参入
Amazon
イシュア
銀行
顧
客
顧
客
顧
客
顧
客
Amazon
銀行
顧
客
顧
客
顧
客
顧
客
支払/顧客口座デー
タ連携 + α
• カードレイヤの中抜きによるコスト効
率化
• 顧客の金融データを銀行から獲得
※ 同様の視点で、仕入れや、プラットフォーム上に出店するマーチャントの決済支援(toB, toC)、一次生産
者の決済支援等バリューチェーンにおける決済に関与することでデータを取得し、マネタイズ又は効率化を各
レイヤー間および全レイヤーを横断して実現することができる可能性がある
3.日本版FinTechの挑戦
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静脈版金融データとしてのリスクデータ
リアル世界での事業活動と紐づいたリスクに関するデータをマネタイズする保険ビジネス
2. リスクデータ
視点: バリューチェーン全体におけるリスクイベントを洗い出し、センサーを活用したデータ獲得、蓄積と分析によるnow-
castingによって、当該リスクの発生を回避し、保険によるリスク転嫁のコストを引き下げる
テクノロジー: API、センサー、解析技術等
FinTechのモデル:InsurTech
例: ファナックとPreferred Networksの異常検出に関する実証実験
ディープラーニングを用いた異常検出により、これまでロボットの故障の直前にしか通知がされなかったシステムが、故
障の約40日前にアラームで通知できるように
3.日本版FinTechの挑戦
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分散型台帳技術を利用することの意義
帳簿を分散して保有することによって「帳簿保有者の中に誰も帳簿管理者(=エージェント)がいない」という状態を作り出すこと
ができる
A
B
C
取引仲介者P
顧客勘定 自己勘定
自己勘定
自己勘定
自己勘定
D
E
F
取引仲介者Q
顧客勘定自己勘定
自己勘定
自己勘定
自己勘定
<CがAに100万円送金する場合>
① C→P「Aに100万円送金せよ」
② P「顧客勘定の上でCから100万円差引いて
Aに100万円加算」
③ P「Aに通知」「Cに通知」
④ A、C「自己の台帳をそれぞれ修正」
<CがDに100万円送金する場合>
① C→P「Qの顧客のDに100万円送金せよ」
② P「顧客勘定の上でCの100万円を差引き」
③ P「Qに顧客勘定の上でDに100万円加算せ
よ」
④ Q「顧客勘定の上でDに100万円加算」
⑤ P「Dに通知」 Q「Dに通知」
⑥ C、D「自己の台帳をそれぞれ修正」
⑦ PからQに100万円を引き渡し(清算)
A
B
C
自己勘定
自己勘定
自己勘定
取引仲介者P
D
E
F
取引仲介者Q 自己勘定
自己勘定
自己勘定
共有帳簿
A: 200万
B: 500万
C: 800万
D: 600万
E: 300万
F: 700万
共有帳簿
A: 200万
B: 500万
C: 800万
D: 600万
E: 300万
F: 700万
<CがDに100万円送金する場合>
① C→P「Dに100万円送金せよ」
② P「Cの100万円を差引いてDに100万円加
算したい」 旨配信
③ Q「承認」→共有帳簿書換完了
④ P「Cに通知」Q「Dに通知」
⑤ PからQに100万円を引き渡し(清算)
3.日本版FinTechの挑戦
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分散型台帳技術を利用することの意義
<CがDに100JPYZ送金する場合>
① C→「Dに100JPYZ送金」
② コンセンサスアルゴリズム「承認」
③ システム「Cにつき100JPYZ差引、Dにつき
100JPYZ加算」
A
B
C
D
E
F
デジタル円貨「Zen構想」
 ブロックチェーン推進協会(BCCC)が発行体となり、仮想通貨取引所が発行を取扱う
 発行を受けたい者は、仮想通貨取引所にアカウントを開設し、仮想通貨建で払込む
 BCCCは、受取金全額を円転し、1Zen=1JPYでZenの買い注文を仮想通貨取引所に発注
 BCCCが買い取ったZenは即時消却
⇒ Zenの流通量(Zen)=BCCCによる買注文総額(円) となるため、理論的には1Zen=1JPYとなるが、取扱取
引所が複数あるため、Zen流動性の需給によって取引所によっては価格がブレる可能性がある
<民間によるデジタルJPYの意味>
• シニョリッジをなくした仕組みとこれを実装するスマートコントラクトによりデジタルJPYの信認を担保
• 円と準固定されることにより別途の資金清算が不要に
• 0.00000001円からの決済を可能に
⇒ データ取引、M2Mトランザクションに利用可能(マシンがアカウントを持つ)
• 海外への送金が安価かつ容易に
3.日本版FinTechの挑戦
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ブロックチェーンの潜在⼒:保険取引の場合
 勘定を管理する者を必要としない仕組みによって保険を再構成する
 資金管理が不要な仮想通貨によってこれは実現できる。
VCX
 引受機能は不要(P2Pで自己責任で賄うことができる)
 リスクの価格付けに対する支援(再保険的なアレンジメントを含む)
 査定に対する支援
3.日本版FinTechの挑戦
Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 34‐
 第四次産業革命は、情報産業のアーキテクチャを非情報産業(製造業、物流業、エネルギー産業etc.)でも実現することを
狙うもの
ー 非情報産業でもそのコアバリューは「情報」にあるという考え方
• 製造業のコアバリュー:設計情報、製造ノウハウ
• 物流業のコアバリュー:運搬車両の位置と空き情報
• エネルギー産業のコアバリュー:余剰エネルギーの所在情報
ー これらの「情報」は、モノや施設に設置された大量のセンサーが発する「データ」により作られる
• 「情報」には単純な位置や空き・余剰といった情報から、それらの情報の経時的な蓄積(規模の経済)と他の種類の情報との紐付け
(範囲の経済)とをあわせた情報の分析によって得られる(ベイズ的な意味での)確率的情報であるところの「将来情報」や「リスク情
報」、経済主体については「信用情報」といったより高付加価値な情報まで存在
 情報がリアルタイムで誰でも手に入る状況を作れば、あとはマッチングの問題
ー 情報がオープンなネットワーク(=インターネット)に乗れば、誰でも自ら保有する端末でその情報に直接アクセスできる
• 高付加価値情報については、情報へのアクセス権自体が取引となりうる
ー これらの情報をもとにリソースへの物理的なアクセス権を取引(=価値の交換)
ー 情報アクセスがP2Pでできるのであれば、価値の交換(=取引)もP2Pで行ったほうが効率的
ー P2Pでの価値情報の移転技術であり、かつ、移転の条件を同じ技術内で記述・自動執行できるのがブロックチェーン
⇒ 「取引」の管理を媒介者(金融機関、執行機関、記録機関等)なしに行うことができる
産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会 分散戦略ワーキンググループがとりまとめた「中間とりまとめ」報
告書は、社会構造が上記のように移行することを前提に、日本の取るべきデータ戦略を検討
第四次産業⾰命とブロックチェーンとの関係
3.日本版FinTechの挑戦
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質疑
弁護士 増 島 雅 和
森・濱田松本法律事務所
tel. 03.5220.1812
email. masakazu.masujima@mhmjapan.com

日本版FinTechの野望と挑戦

  • 1.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 0‐ ©2013 Mori Hamada & Matsumoto all rights reserved 日本版FinTechの野望と挑戦 ©2017 Mori Hamada & Matsumoto all rights reserved July 2017 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 増 島 雅 和
  • 2.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 1‐ 自己紹介 増 島 雅 和(ますじま まさかず) 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 2001 弁護士登録 2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所(シリコンバレーオフィス) 2007 ニューヨーク州弁護士登録 2010 金融庁監督局銀行第一課(RRP担当)兼保険課 日経CSISバーチャルシンクタンク・フェロー イニシアチブ: 金融の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する“Startup Innovators”主宰 http://startupinnovators.jp/ 2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員 2015 IMF外部カウンセル(米国FSAP:金融破綻処理法制担当) 日本クラウドファンディング協会理事、日本ベンチャーキャピタル協会顧問、FINOVATORS代表、日本ブロック チェーン協会アドバイザー、仮想通貨事業者協会アドバイザー、ブロックチェーン推進協会アドバイザー 等 2016 経済産業省 FinTech研究会 ブロックチェーン研究会 委員 内閣官房IT総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員
  • 3.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 2‐ 「FinTechの法律」(第2版) <特徴>  イノベーションサイドから金融規制を解説  法律ではなくビジネスについて記載したQ&A ー プラットフォーム型ビジネスモデルとは? ー エコシステム型ビジネスモデルとは? ー ディスラプティブイノベーションの構図とは? ー オープンイノベーションの取り組み方は? ー FinTechによる地方創生とは? ー FinTechによる貧困対策とは?  FinTech、データ、競争政策にわたって政府の動向を網羅  API、ブロックチェーンなど核となる技術もカバー  InsurTechもカバー  海外ビジネスモデルの分析と日本法上の展開可能について検討 日経FinTech選書(税込2916円)
  • 4.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 3‐ Table of contents 1.FinTechは何をしようとしているのか 2.日本のFinTechのトレンド 3.日本版FinTechの挑戦
  • 5.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 4‐ 1.FinTechは何をしようとしているのか
  • 6.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 5‐ FinTechは、金融業者からは、ここ20年で情報産業がIT業界に浸食されたことと同じことが金融業で起こると の仮説に基づいている <金融業者から見たFinTech> ? 1.FinTech は何をしようとしているのか
  • 7.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 6‐ 情報産業における情報流通のディスラプションという点で、メディア・コンテンツビジネスと金融ビジネスは同じ文脈 にある <銀行業の場合> 口座管理機能 為替機能 貸付機能 回収機能 運用機能 販売機能 (窓口) 顧 客 顧 客 顧 客 運用 機能 回収 機能 貸付 機能 為替 機能 口座 機能 貸金サービス 資金移動サービス 資産運用サービス プラットフォーム = 銀行口座? マーケティング マーケティング マーケティング マーケティング コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ unbundling rebundling 1.FinTech は何をしようとしているのか ディスラプションは、アンバンドル(機能に分解したサービスの提供) → リバンドル(統合によるフルスタックのサービスの提 供)の経過をたどる
  • 8.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 7‐ インターネットというレイヤー型(水平型)のアーキテクチャの上にビジネスを載せれば、保険も銀行と同じ道をたどらざるをえない <保険業の場合> rebundling 販売機能 引受機能 支払機能 運用機能 顧 客 顧 客 顧 客 支払機能 引受機能 販売機能 運用機能 販売機能 販売機能 引受機能 引受機能 支払機能 支払機能 運用機能 運用機能 顧 客 顧 客 顧 客 unbundling ? 1.FinTechは何をしようとしているのか 業態規制のもとフルスタックモデル(垂直統合型)でサービスを提供してきた点は、銀行も保険も同じ
  • 9.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 8‐ 1.FinTech は何をしようとしているのか 日本にも優秀な起業家がFinTechスペースに続々と参集 ペイメント(決済・送金) レンディング(与信) アセットマネジメント(投資・運用) <Application Layer> <Platform Layer> PFM(Personal Finance Management) SMEバックエンド(会計・税務・人事) <Infrastructure Layer> Security・KYC FMI(Financial Market Infrastructure)
  • 10.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 9‐ RegTech: 最新の情報技術を活用して複雑化・高度化が進む金融規制に対応することをテーマとしたイノベー ション 1.FinTechは何をしようとしているのか FinTechの車の両輪、RegTechは既存の金融機関が取り組みやすいイノベーションテーマ  AML/CFT (KYC)  Fraud Detection  Cybersecurity  Underwriting  Credit Rating  Claim Handling  Monitoring  Internal Control/Compliance X  Artificial Intelligence - Machine Learning - Deep Learning  Distributed Ledger Technology - Blockchain - Other Distributed Database  Application Programming Interface - Closed API - Open API
  • 11.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 10‐ Peter Thielの”10x Rule” 今よりも10倍カイゼンされれば、それはDisruptive Innovationになる 1.FinTechは何をしようとしているのか RegTechのポイントは、Incremental InnovationはRegTechではないと知ること 出典:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82% BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83 %BC%E3%83%AB <Peter Thielの唱える偉大なビジネスを創出するための4つのルール> Rule #1: 10倍優れた自社テクノロジーを開発せよ Rule #2: ネットワーク効果を追求せよ Rule #3: 規模の経済を作り出せ Rule #4: 強いブランドを構築せよ ー Goldman SachsのFinTech戦略はおそらくこれを地で行っていると思われる ー 海外の金融機関はこれに追随 ー 日本のメガバンクもこの方向に舵を切りつつある
  • 12.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 11‐ FinTechスタートアップと既存金融機関が高度の戦略的なかけひきを実施 1.FinTechは何をしようとしているのか <Step1> • 大企業は、要求水準が厳しく利幅の高い主要顧 客の需要を満たすことに集中 • 他のセグメントには過剰水準となるが、そのニー ズは放置 <Step2> • 新規参入企業は、放置されたニーズに対し、新 たな技術を用いて大幅に低価格でソリューション を提供 • 大企業は、儲からないニッチマーケットとして、こ れを放置 <Step3> • 新規参入企業は、新技術をマーケットフィットさ せる形で習熟し、優位性を維持したまま主要顧 客のいるアップマーケットに乗り込む • 主要顧客が新規参入企業のプロダクトを認めて 雪崩を打つように購入 時間 プ ロ ダ ク ト 性 能 ハイエンド市場 主要市場 ローエンド市場 収益性:高 収益性:低 性能に対する顧客が考える 適正価格 Clayton M. Christensen(2016) 歴史上、あらゆる業界で起こってきた、テクノロジーがもたらすディスラプションモデルをなぞるFinTechスタートアップと、産業 分析に明るい既存金融機関が、相手の打ち手の先の先を見ながら動いている
  • 13.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 12‐ 既存金融機関のFoMOがディスラプションを加速させる 銀行業界を見ると、現状のFinTechマーケットのドライビングフォースの主なものは金融機関によるFoMO FoMO (Fear of Missing Out) VCs founders angels accelerators 労務・時間・技術・ア イディア 資金・ネットワーク 資金・メンタリング ・ FoMOが投資の原動力となり、これが結果的にスタートアップの構想 の実現を早める ・ その背景にはBig Dataの4Vとそれを支えるネットワーク効果を用い たスタートアップの先行戦略がある ・ 失敗コストが安いスタートアップのみができる仮説検証の高速PDCA と低コスト戦略による民主化アプローチ ・ FoMOに陥った既存金融業者に協業を持ちかけるオープンイノベー ション戦略 1.FinTechは何をしようとしているのか
  • 14.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 13‐ 2.日本のFinTechのトレンド
  • 15.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 14‐ 決済系FinTechの興隆 日本のFinTechシーンは決済系を中心に興隆 1. 収納代行モデル型の決済サービス 例:購入型クラウドファンディング、CtoCマーケットプレイス、シェアエコ型ビジネス マッチング型プラットフォームビジネス User Platform Merchant 決済代行業者 カード払 収納代行(代理受領) システム利用料を差引後支払 包括加盟店契約 商品・サービス(直接契約) • Merchantに対するシステム利用料を担保するためにUserがMerchantに支払う代金を代理受領し、残額をMerchantに払う ⇒ プラットフォーム上のマッチングにより成立した取引に関する事実上の決済サービスを実現 • Userからの支払金をMerchantが受領するまでの間留保する金銭を、今度はMerchantがプラットフォーム上で購入者となる際に他の Merchantに対して支払う代金の支払いに充てられる仕組みを実装 ⇒ アカウントが預金口座のように機能する • 商品(有体物)のやり取りのみでなく役務(サービス)のマッチングにも進出(労務の提供等) ⇒ 決済サービスとしての色が濃くなる • 「債務の負担」をMerchantが提供する「役務」と見ると、Userがその支払いを行うことは、もはや為替取引と見分けがつかなくなる  現状は決済代行業者との加盟店契約のもと、クレジットカード決済網上でビジネスを展開  今年度の銀行法改正により銀行APIが解放されると、カード決済網を経由せずに銀行間決済網上でビジネス展開が可能に 2.日本のFinTechのトレンド
  • 16.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 15‐ 決済系FinTechの興隆 日本のFinTechシーンは決済系を中心に興隆 2. 仮想通貨決済網を用いた決済サービス ネットワーク経 由で移転できる か Yes Yes 電子的記録か Yes 法定通貨又は 通貨建資産にあ たるか 仮想通貨ではない Yes不特定者への 支払に利用可 能か 市場取引可能 か Yes 2号仮想通貨 1号仮想通貨No No NoNoNo Yes 市場で1号仮想 通貨と相互交換 可能か <仮想通貨認定フローチャート> No <仮想通貨のユースケース> • 支払手段としての利用 • 送金手段としての利用 • 投資対象としての利用 2.日本のFinTechのトレンド
  • 17.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 16‐ (参考)仮想通貨のユースケース a. 支払のための利用  1号仮想通貨としての利用方法  グローバル決済ネットワークとしての仮想通貨 グローバル決済ネットワーク 銀行間決済ネットワーク(SWIFT) クレジットカードブランドネットワーク(VISA, MasterCard) 仮想通貨ネットワーク(Bitcoin Blockchain) + 国際決済したいユーザーから見るとどれも機能は同じ 費用は? 使い勝手(ネットで使える、営業時間、速さ)は? 2.日本のFinTechのトレンド
  • 18.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 17‐ (参考)仮想通貨のユースケース b. 送金のための利用  「為替取引」にあたるか?  「顧客から隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼 を受けて、これを引き受けること、またはこれらを引き受けて遂行すること」(最高裁決定2001年3月12日) ⇒ 仮想通貨は「資金」に該当しない。ただし、仮想通貨を用いて全体として為替取引に該当する仕組みとなっている 場合にはあたりうる。 依頼人A 受取人B BへのUSD 支払依頼 JPY支払 JPY・BTC 在庫 ウォレット ビットコイン取引市場(取引所) USD・BTC 在庫 ウォレット BTC送金 B口座へ USD入金 2.日本のFinTechのトレンド
  • 19.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 18‐ (参考)仮想通貨のユースケース c. 投資対象として利用  ビットコイン現物投資  ビットコインFX投資  店頭外国為替証拠金取引に類似  ビットコインは通貨ではなく「金融商品」に該当しない ⇒ 金商法適用なし  FX事業者が仮想通貨の売買を行う限りで資金決済法の適用あり  レバレッジ規制、ロスカットルール等は自主規制機関によるルールに委ねられる  信用取引を行う場合、金銭の貸し付けを伴うのであれば貸金業の適用あり  オルトコイン投資(Monero (1XMR≒$10.5), Ethereum (1ETH≒$9.5), Zcash (1ZEC≒$43.2)・・・・) ※ 発行者のある仮想通貨は、発行者からすると資金調達手段として利用することができることを意味する <仮想通貨と有価証券との関係>  ブロックチェーンによる有価証券の実装  米Overstock社によるブロックチェーンを用いた有価証券の発行  社債の発行(2015.7)  株式の発行(2016.12)  株式市場(t0)の運営開始(2016.12)  仮想通貨による資金調達(ICO) 「WallStreet、特にnaked short sellingと闘う」by Patrick Byrne 2.日本のFinTechのトレンド
  • 20.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 19‐ 決済系FinTechの興隆 日本のFinTechシーンは決済系を中心に興隆 3. 既存ツールの組み合わせ 例:電子マネー(前払式支払手段)、資金移動業、企業ポイント 2.日本のFinTechのトレンド
  • 21.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 20‐ 2017年のトレンド 決済ビジネスの進化と共に、資産形成の課題を解決する事業、ブロックチェーンの実運用に向けた事業が出現 1. 銀行APIのもとで実現するビジネスの仕込み • 改正銀行法により電子決済等代行業の登録制度を導入  1号電子決済等代行業:PISP(payment initiation service provider)  2号電子決済等代行業:AISP(account information service provider) <PISPモデル> 銀行 Bank API PISP 顧 客 <AISPモデル> 銀行 Bank API AISP 顧 客 口座情報の書換え (振込)まで代行 口座情報の参照のみ データ連携  アカウントアグリゲーションビジネスの進化  銀行によるAISP事業への参入  非銀行金融業者によるAISP事業への参入  PDS(personal data storage)さらには情 報銀行へ  金融データのポータビリティを支える 2.日本のFinTechのトレンド
  • 22.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 21‐ 2017年のトレンド 決済ビジネスの進化と共に、資産形成の課題を解決する事業、ブロックチェーンの実運用に向けた事業が出現か 2. 証券系FinTechのすそ野の拡大 • 2016年は既存の金商業者によるFinTechへの取組みは低調  証券会社自身は既に個人顧客向けビジネスはオンライン化  高速取引等IT投資は既に実施 独立系のロボアドバイザー事業者が出てくる程度 • 2017年は金商業者がFinTechへの取り組みを本格化  FinTechスタートアップとの協業  To B型のFinTechへの着目  ブロックチェーン技術の証券ビジネスへの応用 2.日本のFinTechのトレンド
  • 23.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 22‐ 経済産業省「FinTechビジョン」 経済産業省「FinTech検討会合」は、日本のFinTech戦略を包括的に取りまとめ  FinTechによる金融の変化  送金・決済  家計管理、資産運用、家計借入(信用)  企業会計、資金調達  リスク管理  FinTechによる金融の担い手の変化  スタートアップ企業  非金融業者 - IT(EC、SNS等)、交通、流通、通信・・・  既存金融機関 - ビジネスモデルの進化により対応  FinTechによる社会の変化  消費生活の高度化 - キャッシュレス決済  将来に向けた資産形成の充実 - デジタル投資アドバイス(いわゆるロボ・アドバイザー)  企業生産性の向上(特に中小企業) - バックオフィス改革によるもの: クラウド会計・経理サービス、 国内送金システムの高度化(金融EDI、金融API) - 財務支援能力強化によるもの: 資金調達手法の多様化・効率化、キャッシュマネジメント強化 - 経営の高度化: データマーケティングの強化、KPIのリアルタイムでの見える化 2.日本のFinTechのトレンド
  • 24.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 23‐ FinTechの現状  FinTechにより、あらゆる経済活動に伴う A)「お金」のかたち、B)流れ、C)信用・リスクの捉え⽅、D) 担い手が大きく変化。  IoT、AI等により、人々の経済活動や産業の競争条件が激変する中、それを⽀える「お金」も変⾰を迫られていることが背景。  世界中でFinTechを活用したイノベーション競争が激化している。 日本の⽴ち位置、アプローチ  日本では太宗の個人・企業が口座やクレジットカードを保有する等、誰もが金融サービスにアクセスできる 環境にある。一方で、決 済のキャッシュレス化やバックオフィス業務のクラウド化等については進展の余地が あり、また、 従来の制度ではイノベーションに対応 しきれないといった指摘もみられる。  既存の金融のあり方にとらわれず、FinTechの効果や方策を検討するためには、ユーザー視点からの発 想が不可⽋。  以下のような視点から、FinTech社会の未来像を共有し、その実現に向けた課題や道筋、包括的な 政策パッケージを⽰したと ころ。  消費⽣活の高度化・活性化(フロー⾯)や、将来に向けた資産形成の充実(ストック⾯)を通じ て、個⼈(家計)の⽣ 活が劇的に変わる可能性。  イノベーションと地域経済の担い手であるベンチャー企業や中小企業においては、バックオフィス改革に よる生産性向上や、資金 調達力、キャッシュ・マネジメント強化の実現、それらを通じた経営の高度化、成⻑に向けた経営資源の投⼊が可能になり、中 ⼩企業等の収益⼒が劇的に上がる可能性。 日本のFinTech戦略 2.日本のFinTechのトレンド
  • 25.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 24‐ ⅰFinTech普及の 前提条件を整える ⅱ「お金」の流れを 円滑にする ⅲ中⼩企業等の FinTech活用を 後押し 個人の生活(家計)が 劇的に変わる 企業の収益力が 劇的に上がる (生産性革命) 将来像 基本的方向性 ⅳイノベーション (試行錯誤)を 促す仕組み作り ・環境整備 (「日本版レギュラトリー・ サンドボックス」の検討等) 日々の消費の 高度化・活性化 (フロー⾯) 個人の効率的な 資産形成 (ストック⾯) 経営力強化・ 成⻑に向けた 資源投入 資金調達の強化 (財務の生産性革命) バックオフィス業務の 効率化 (業務の生産性革命) 電⼦決済のセキュリティが守られる データ融通の環境が整う キャッシュレス社会が実現する 本⼈確認がデジタルで完結する 行政データを開放、手続がデジタルで完結する 金融サービスがデジタルで完結する 会計・経営管理が自動化・効率化する 出⼊金・資金管理が自動化・効率化する 目指すべき状態 様々な⾰新的なFinTechサービスが出現する イノベーションに向けた実験が促される 資金調達⼒を強化する 2.日本のFinTechのトレンド
  • 26.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 25‐ (参考)⽬標逆算ロードマップ FinTech 時期 短期(〜2018年) 中期(〜2020年) ⻑期(2020年〜) ⽬標 個⼈・企業のFinTech活用促進 FinTechイノベーションを促進するための環境整備、仕組みづくり 個⼈の⽣活(家計)が劇的に変わる 中⼩企業の収益⼒が劇的に上がる 取 組 ⅰ FinTechの前提条件を整える • 個人データを自らの意思で管理・利用する手段やルールの整備 • キャッシュレス決済⽐率を政策 指標化 • キャッシュレス決済と証憑類の電子化の促進 • 技術⾰新を素早く取り⼊れるセキュリティ対策 ⅱ 「お金」の流れを円滑にする(デジタルで完結する) • 本⼈確認がデジタル完結する仕組みづくり • 行政手続のデジタル化、手続情報の利用がしやすいプラットフォームづく り 行政データの徹底開放 、 • 銀行・クレジットカード企業のオープンAPI促進 • ブロックチェーン技術の活用促進(国際標準への対応、実証実験の推進等) ⅲ 中⼩企業等のFinTech活用を後押しする • 「バックオフィス業務等のクラウ ド化率」を政策指標化 • バックオフィスのクラウド化推進、FinTech活用方法と効果の理解促進、インターネット・ バ ンキング利用の推進 • 金融と商流のEDI接続の推進 • 「サプライチェーンキャッシュコン バージョンサイクル (SCCC)」の政策指標化 • FinTechによる革新的な資金調達手段の促進、サプライチェーン全体の資金循環効 率 の向上 ⅳ イノベーション(試行錯誤)を促す仕組み作り・環境整備 • FinTechイノベーションを促進する規制・制度改⾰(「レギュラトリー・サンドボックス」の検討等) • グローバル競争⼒あるFinTech拠点づくり • ⼈材育成、転職・再就職、兼業副業等を通じたFinTech⼈材の確保
  • 27.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 26‐ 3.日本版FinTechの挑戦
  • 28.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 27‐ 実体経済の「取引」の後ろには常に金融取引が存在 分散型コミュニケーションネットワーク - ウェブ技術 - モバイル端末/センサー - ソーシャルネットワーク - コンテンツ配信(音楽/書籍/動画) 分散型物流/移動ネットワーク - IoT - ロボティクス - 3Dプリンタ - 工場/ロジ シェア 分散型労務/エネルギーネットワーク - スマートグリッド - クリーンテック (太陽光/風力/地熱) - 人工知能ロボット 分散型支払ネットワーク - ブロックチェーン - PISP - 超効率化トレードファイナンス - 超効率化資本市場 - 超効率化貸付プラットフォーム FinTech 3.日本版FinTechの挑戦
  • 29.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 28‐ FinTechは他産業のデータのVarietyに寄与 プロダクトやサービスの品質を改善するデータドリブンなネットワーク効果の獲得に向けたビジネスモデルを設計  Big Dataの特性 (“Big Data: Bringing Competition Policy to the Digital Era” by OECD ) • High volume: データ量が半端でなく多い • High velocity:データ蓄積のスピードが半端でなく速い • High variety:データ種類が半端でなく多い • High value × <テクノロジー + 分析手法> =  2つのフィードバック・ループを回すことで高いネットワーク効果を実現 • User feedback loop:多数のユーザを持つ企業はより多くのデータを獲得することができ、これによりサービスの品質 を向上することができる • Monetization feedback loop:ユーザデータを活用してユーザに効果的に情報提供することでサービスの売上を 伸ばすことができ、サービス改善の追加原資を得ることでより多くのユーザを獲得することができる この2つのループが回るようにレイヤー間を設計し、それぞれのレイヤー構造がさらにフィードバック・ループを構成す るようにビジネス全体を設計 「金融データをどのように組み込めば既存エコシステムが生み出すデータのバリューが高まるか」を考えるのが 非金融業者にとってのFinTechの要諦 3.日本版FinTechの挑戦
  • 30.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 29‐ 動脈版金融データとしての決済・リクイディティデータ サプライチェーンの裏を流れる決済データをモノの流れデータと一体的に把握 1. 決済データ 視点: 商流の各段階で発生する「取引」につき、その逆方向に発生する決済に関するデータを、取引のデータと紐づく形 で獲得、蓄積して分析することで、取引の効率化や拡大を図ることができないか テクノロジー: API、センサー、金融EDI、解析技術等 FinTechのモデル:電子決済等代行業、貸金業、保証事業、ファクタリングetc 仮設例: amazonによるPISPへの参入 Amazon イシュア 銀行 顧 客 顧 客 顧 客 顧 客 Amazon 銀行 顧 客 顧 客 顧 客 顧 客 支払/顧客口座デー タ連携 + α • カードレイヤの中抜きによるコスト効 率化 • 顧客の金融データを銀行から獲得 ※ 同様の視点で、仕入れや、プラットフォーム上に出店するマーチャントの決済支援(toB, toC)、一次生産 者の決済支援等バリューチェーンにおける決済に関与することでデータを取得し、マネタイズ又は効率化を各 レイヤー間および全レイヤーを横断して実現することができる可能性がある 3.日本版FinTechの挑戦
  • 31.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 30‐ 静脈版金融データとしてのリスクデータ リアル世界での事業活動と紐づいたリスクに関するデータをマネタイズする保険ビジネス 2. リスクデータ 視点: バリューチェーン全体におけるリスクイベントを洗い出し、センサーを活用したデータ獲得、蓄積と分析によるnow- castingによって、当該リスクの発生を回避し、保険によるリスク転嫁のコストを引き下げる テクノロジー: API、センサー、解析技術等 FinTechのモデル:InsurTech 例: ファナックとPreferred Networksの異常検出に関する実証実験 ディープラーニングを用いた異常検出により、これまでロボットの故障の直前にしか通知がされなかったシステムが、故 障の約40日前にアラームで通知できるように 3.日本版FinTechの挑戦
  • 32.
    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 31‐ 分散型台帳技術を利用することの意義 帳簿を分散して保有することによって「帳簿保有者の中に誰も帳簿管理者(=エージェント)がいない」という状態を作り出すこと ができる A B C 取引仲介者P 顧客勘定 自己勘定 自己勘定 自己勘定 自己勘定 D E F 取引仲介者Q 顧客勘定自己勘定 自己勘定 自己勘定 自己勘定 <CがAに100万円送金する場合> ① C→P「Aに100万円送金せよ」 ② P「顧客勘定の上でCから100万円差引いて Aに100万円加算」 ③ P「Aに通知」「Cに通知」 ④ A、C「自己の台帳をそれぞれ修正」 <CがDに100万円送金する場合> ① C→P「Qの顧客のDに100万円送金せよ」 ② P「顧客勘定の上でCの100万円を差引き」 ③ P「Qに顧客勘定の上でDに100万円加算せ よ」 ④ Q「顧客勘定の上でDに100万円加算」 ⑤ P「Dに通知」 Q「Dに通知」 ⑥ C、D「自己の台帳をそれぞれ修正」 ⑦ PからQに100万円を引き渡し(清算) A B C 自己勘定 自己勘定 自己勘定 取引仲介者P D E F 取引仲介者Q 自己勘定 自己勘定 自己勘定 共有帳簿 A: 200万 B: 500万 C: 800万 D: 600万 E: 300万 F: 700万 共有帳簿 A: 200万 B: 500万 C: 800万 D: 600万 E: 300万 F: 700万 <CがDに100万円送金する場合> ① C→P「Dに100万円送金せよ」 ② P「Cの100万円を差引いてDに100万円加 算したい」 旨配信 ③ Q「承認」→共有帳簿書換完了 ④ P「Cに通知」Q「Dに通知」 ⑤ PからQに100万円を引き渡し(清算) 3.日本版FinTechの挑戦
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    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 32‐ 分散型台帳技術を利用することの意義 <CがDに100JPYZ送金する場合> ① C→「Dに100JPYZ送金」 ② コンセンサスアルゴリズム「承認」 ③ システム「Cにつき100JPYZ差引、Dにつき 100JPYZ加算」 A B C D E F デジタル円貨「Zen構想」  ブロックチェーン推進協会(BCCC)が発行体となり、仮想通貨取引所が発行を取扱う  発行を受けたい者は、仮想通貨取引所にアカウントを開設し、仮想通貨建で払込む  BCCCは、受取金全額を円転し、1Zen=1JPYでZenの買い注文を仮想通貨取引所に発注  BCCCが買い取ったZenは即時消却 ⇒ Zenの流通量(Zen)=BCCCによる買注文総額(円) となるため、理論的には1Zen=1JPYとなるが、取扱取 引所が複数あるため、Zen流動性の需給によって取引所によっては価格がブレる可能性がある <民間によるデジタルJPYの意味> • シニョリッジをなくした仕組みとこれを実装するスマートコントラクトによりデジタルJPYの信認を担保 • 円と準固定されることにより別途の資金清算が不要に • 0.00000001円からの決済を可能に ⇒ データ取引、M2Mトランザクションに利用可能(マシンがアカウントを持つ) • 海外への送金が安価かつ容易に 3.日本版FinTechの挑戦
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    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 33‐ ブロックチェーンの潜在⼒:保険取引の場合  勘定を管理する者を必要としない仕組みによって保険を再構成する  資金管理が不要な仮想通貨によってこれは実現できる。 VCX  引受機能は不要(P2Pで自己責任で賄うことができる)  リスクの価格付けに対する支援(再保険的なアレンジメントを含む)  査定に対する支援 3.日本版FinTechの挑戦
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    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 34‐  第四次産業革命は、情報産業のアーキテクチャを非情報産業(製造業、物流業、エネルギー産業etc.)でも実現することを 狙うもの ー 非情報産業でもそのコアバリューは「情報」にあるという考え方 • 製造業のコアバリュー:設計情報、製造ノウハウ • 物流業のコアバリュー:運搬車両の位置と空き情報 • エネルギー産業のコアバリュー:余剰エネルギーの所在情報 ー これらの「情報」は、モノや施設に設置された大量のセンサーが発する「データ」により作られる • 「情報」には単純な位置や空き・余剰といった情報から、それらの情報の経時的な蓄積(規模の経済)と他の種類の情報との紐付け (範囲の経済)とをあわせた情報の分析によって得られる(ベイズ的な意味での)確率的情報であるところの「将来情報」や「リスク情 報」、経済主体については「信用情報」といったより高付加価値な情報まで存在  情報がリアルタイムで誰でも手に入る状況を作れば、あとはマッチングの問題 ー 情報がオープンなネットワーク(=インターネット)に乗れば、誰でも自ら保有する端末でその情報に直接アクセスできる • 高付加価値情報については、情報へのアクセス権自体が取引となりうる ー これらの情報をもとにリソースへの物理的なアクセス権を取引(=価値の交換) ー 情報アクセスがP2Pでできるのであれば、価値の交換(=取引)もP2Pで行ったほうが効率的 ー P2Pでの価値情報の移転技術であり、かつ、移転の条件を同じ技術内で記述・自動執行できるのがブロックチェーン ⇒ 「取引」の管理を媒介者(金融機関、執行機関、記録機関等)なしに行うことができる 産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会 分散戦略ワーキンググループがとりまとめた「中間とりまとめ」報 告書は、社会構造が上記のように移行することを前提に、日本の取るべきデータ戦略を検討 第四次産業⾰命とブロックチェーンとの関係 3.日本版FinTechの挑戦
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    Copyright © 2017Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 35‐ 質疑 弁護士 増 島 雅 和 森・濱田松本法律事務所 tel. 03.5220.1812 email. masakazu.masujima@mhmjapan.com