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日本の水産業に関する一考察(2017年)
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日本の水産業に関する一考察
(2017年)
イーソリューションズ株式会社
- 2. 1
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1. 世界の水産需要は拡大
世界の水産需要は、人口の伸び率以上のペースで拡大し続けている。魚介類消費が急増してい
るアジア地域に加え、今後はアフリカ地域でも需要の増大が想定される。
(出典)FAOSTAT「Commodity Balances」のDomestic supply quantityからFish, Seafood +(Total)の値を基にes作成。
※2014~2020年は、1980~2013年までの平均年間成長率より算出。
(年
)
(万トン)
予測
0
5,000
10,000
15,000
20,000
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
水
産
需
要
1980 1990 2000 2010 2020
10,000
20,000
- 3. 2
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0
50,000
100,000
150,000
1 2 3 4
2. 世界的な日本食の人気(1次仮説)
ユネスコの無形文化遺産に登録された日本食は、特に先進国において健康志向の高まりとともに
人気が広がっており、2015年時点で約8.9万店の日本食レストランが経営されている。
予測
(店
)
100,000
50,000
0
店
舗
数
2006年 2013年 2015年 2020年
約2.4万店
約5.5万店
約8.9万店
約12.5万店
(出典)農林水産省「海外における日本食レストランの数」(2015)
アジア
北米
欧州
その他
- 4. 3
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3. 世界では養殖業の発展とともに増加
世界の水産供給は増加し続けており、漁獲量が横ばいの一方で、技術の進展にともない養殖に
よる生産が1990年代から急増している。
■養殖
■漁獲
(年)
0
50,000,000
100,000,000
150,000,000
200,000,000
250,000,000
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
(CAGR=1%)
(CAGR=8%)
5,000
10,000
15,000
20,000
(万トン)
25,000
水
産
供
給
(出典)FAO Statisticsをもとにes作成
※2016~2020年は、過去35年間の年平均成長率(CAGR)から算出
予測
1980 1990 2000 2010 2020
0
- 5. 4
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0
0,000
0,000
0,000
0,000
0,000
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
4. 日本は1990年代から下降
日本の水産物供給量は、漁獲量の減少を養殖業で補えないまま下降の一途を辿っている。
2,000
4,000
6,000
8,000
(万トン)
10,000
■養殖
■漁獲
(CAGR=-3%)
(CAGR=0%)
(出典)FAO Statisticsをもとにes作成
※2016~2020年の予測値は、1980~2015年までの年平均成長率(CAGR)からesにて算出。
(年)1980 1990 2000 2010 2020
0
1985 1995 2005 2015
予測
水
産
供
給
- 6. 5
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0%
40%
80%
120%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
1980年代には100%近くあった魚介類自給率は、2015年には59%にまで減少し、2020年には55%
まで落ち込む見通しである。
(出典)水産庁(2016年)「食糧需給表」
自給率(%)=国内生産量÷国内消費仕向量
国内消費仕向量=国内生産量+輸入量+輸出量±在庫増減量(水産庁 食料自給率の算出方法より) ※2015~2020年は過去35年間の増減率を基に-1.4%で計算
5. 魚介類自給率の低下
自
給
率
(
魚
介
類
)
(年)
97%
59%
予測
1980 1990 2000 2010 2020
0
40
80
120
(%)
55%
- 7. 6
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日本は、消費量の大半を輸入に依存しており、2015年は約130億ドルの輸入超過であった。
(出典)国連食糧農業機関「Fishstat」2015年のデータに基づき日経ビジネス作成
輸
出
輸出-輸入
(億ドル)
200
0
100
100
200 190億ドル
輸
入
アメリカ 日本 フランス スペイン チリ ベトナム ノルウェー 中国
157億ドル
70億ドル 69億ドル
3億ドル 5億ドル 10億ドル
85億ドル
55億ドル
21億ドル 19億ドル
40億ドル
50億ドル
70億ドル
101億ドル
195億ドル
6. 130億ドルの輸入超過
- 8. 7
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日本は、ノルウェーと比較すると漁船数や漁業者数が多い一方で、漁船の平均トン数は小さく、小規
模の漁業者がひしめいている。
漁船と漁業者数の比較
(出典)「2016年度水産白書」
漁船数
漁船
平均トン数
漁業者数
* 2014年時点のデータを使用
66トン
0.5万隻
16万人
4トン
15万隻*
0.9万人
7. ひしめく小規模経営の漁業者
- 9. 8
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漁業者が所有している船の約60%が船齢20年以上であり、小規模経営の漁業者が多いため、
設備投資の資金調達がむずかしく、老朽化が進んでいる。
漁業者の所有船の船齢
(出典)水産庁、指定漁業許可船が対象。指定漁業のうち、大型捕鯨業、小型捕鯨業および母船式捕鯨業を除く。
大中型巻き網漁業は、探索船、灯船、運搬船および海外まき網船を含む。
0~9年
17.6%
10~19年
22.9%
20~29年
41.3%
30年以上
18.2%
約60%が
船齢20年以上
(約2.6万隻)
(約3.4万隻)
* 計15万隻
(約6.2万隻)
(約2.7万隻)
8. 漁船の老朽化
- 10. 9
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日本の漁業者の高齢化率(65歳以上)は4割近くに達する一方で、漁業者数は16万人にまで落
ち込んでいる。
0
10
20
30
40
50
0
30
60
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
(出典)農林水産省「漁業センサス」(2013年まで)および「漁業就業動向調査」(2014年~16年)
*1 1983年の60歳以上の漁業者数を使用
9. 漁業者の高齢化
(万人)
漁
業
者
数
高
齢
化
率
(%)
(年)1980 1990 2000 2010 2020
16万人
46万人
高齢化率
16.8%*1
37%
漁業者数
予測
- 11. 10
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ノルウェーの水産物輸出額は、2007年の約5,320億円*1(357億クローネ)から10年で約1兆4,000億円
(1,000億クローネ)へと3倍近くに増加すると想定されている。
水産物輸出額
(出典)ノルウェー統計局(2017年)* 1ノルウェークローネ=14円で一律換算
10. 約1.4兆円まで伸びた輸出額
180 190 190 200 205 200 195 206 210 220 230 236 242 248
177 184 245
325 316 308
407
465 510
672
765
886
1,025
1,187
0
400
800
1,200
1,600
2007 2009 2011 2013 2015 2017 2020
輸
出
額
(億クローネ)
(CAGR=2.5%)
(CAGR=15.8%)
漁獲
養殖
(年)2017
357億クローネ
予測
1,000億クローネ
1,200
- 12. 11
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11. 「産業化」による成功(1次仮説)
ノルウェーの漁業が「産業化」 による高い生産性を実現した要因は、①漁獲量の確保、②養殖業の
効率化、③効果的な販売だと考えられる。
成功要因 21 漁獲量の確保
養殖業の効率化
効果的な販売
• 科学的に持続性のある漁獲量設定
• 隣国との漁獲枠交渉
• IQ(個別割り当て)方式の導入
• 営業利益率の高い養殖企業
• 養殖場の管理現場省人化の徹底
• センサー使った餌の量・タイミングの分析
• 次世代技術への積極投資
• ネットオークションでの効率的な販売
• 世界54か国の販売データを分析
成功要因 22
成功要因 23
養 殖
漁 獲
養 殖
漁 獲