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日本教育心理学会2016WSスライド
文系学生に対する心理統計教育;回帰分析編の小杉の発表スライドです
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日本教育心理学会2016WSスライド
1.
モデルを通じて 心と社会を理解する 小杉考司(山口大学教育学部) 文系学生に対する心理統計教育 〜回帰分析の授業について考える〜
2.
お品書き • 自己紹介と報告者のフィールドについて • 実践事例 •
展望〜まとめにかえて
3.
自己紹介 • 所属;山口大学教育学部小学校コース心理学選修 • 専門;社会心理学 •
担当講義;心理学統計法,心理データ処理法(情報 処理演習),社会心理学,グループダイナミックス ,心理学実験,心理学研究演習
4.
本学での(旧)カリキュラ ム H27度より養成課程一本化に あわせてカリキュラムのスリム化 (教職関係科目が増えたため) 基本的な枠組みは変えてません
5.
基本的な考え方 • 1年次;心理学実験,研究法 • 2年次;心理学統計法,心理データ処理法 •
3年次;心理学研究演習(ミニ卒論) • 4年次;卒業研究 理論+方法 実践
6.
心理学統計法(前期)
7.
データ処理法(後期)
8.
受講対象 • 受講生は心理を専攻する学生10名+α • ただし,後期は「情報」免許との関係で履修する 学生数名が含まれる(現行はより顕著に) •
学生のほとんどが臨床系志望 • 上級生が再受講しにくることも少なくない
9.
ねらい • 統計「モデル」という考え方を伝える • 前期は概念的に,後期は作業的に •
統計であれ,社会であれ,臨床であれ,「心理学 はモデルを作ってデータで検証する学問」という メッセージ
10.
統計の世界の展開 • 新しくて優れた分析方法が次々世に出ている • 基本をおろそかにしてはいけないが,レガシーに足 を取られて前が見えなくなるようでも困る •
(重)回帰分析,因子分析まででいいのか。SEMとい う大きな枠組みがあるのに。 • GLM, GLMMといった回帰モデルの展開 • ベイズ統計学は◯◯分析を不要にする?
11.
教える側の希望 • 心理統計を楽しんで欲しい • 新しくて面白い技術をたくさん紹介したい •
SEMなどより一般的な枠組みでとらえればよく, かつての苦労を学生に強いる必要はない • その分,より自由な発想をしてもらいたい
12.
!!Caution!! • 次々と新しいモデル,技術を投入する危険性 • 学生の理解が追いつかない(誤解・誤用?) •
細部まで教えきれない(偏相関,残差分析など) • 自分で分析ができるようになるか??? • こうした欠点は3年次に個別事例を介してフォロー することで許してください。それよりまずモデリン グの楽しさを知ってもらいたい。
13.
実践事例
14.
使用する環境 • 学生は一人一台のノートPCを持っている • CUIという取り付きにくさがあるが,CUIならでは の利点=再現性,コードと結果の一対一対応,とい う点で教育効果が高いと考えている。 と
15.
教育上の工夫 • 環境を導入するための時間を用意する(1コマ) • R,RStudioのインストール,プロジェクト管理 など利用法の説明 •
Web(Rpubs)を使ってソースコードの提供 • コピペでOK • サイトが残っている限りいつでも復習できる
17.
用いるデータ • 最近よく使うのは「プロ野球選手のデータ」 • 身長,体重,成績,年俸など •
長所;イメージしやすい,様々な分布のデータ( 正規分布するもの,歪むもの,離散変数)がある • 短所;人によってはイメージしにくい,データが 1年前のものになってしまう
18.
プロットを重視する
19.
群ごとの色分け, 記号を変える, 分割表示など
20.
回帰分析から 正規分布するデータもあるので使いやすい
21.
重回帰へ拡張する formula(モデル)を 意識させる。重回帰と単回帰 は名前が違っても関数は同じ
22.
一般化線形モデルに拡張する モデル 「関数名が違うだけ」 →どこが変わったのか? データの分布に合わせた
23.
HLMにも自然に拡張 モデル 関数
24.
因子分析にも拡張する • 「パス解析」として,ストーリー(データの文脈を 説明するモデル)を検証できる,とする • 回帰分析の繰り返しでできることを示す •
SEMで一回でできることを示す • 「潜在変数を含んだパス解析」として因子分析へ • SEMの記法で統一されたモデルの拡張
25.
回帰分析の 反復 SEMで ひとつの モデルとして 潜在変数を 含んだモデル として
26.
長所 • 「モデル」という枠組みで統一的に語る • 回帰分析を軸に,徐々に拡張していくことで様々 な表現方法を紹介できる •
推定値,モデル評価がどう変わったか,というと ころに注目させる • 因子命名の重要性に気づかせることができる
27.
因子命名がはらむ問題 • 潜在変数を置いたモデルを作成;潜在変数に命名 • 【腕力因子】by
安打数,HR数,四球数,体重 • 【脚力因子】by 盗塁数,犠打数,体重 • モデルを改良していくときに自分でつけた変数名に引 っ張られる • 【腕力】と盗塁数にパスを引くと改良できる=腕で 走る?! 因子の名前に引っ張られる誤謬 探索的因子分析の時は知らず知らずにこの誤謬を犯していないか? 余談
28.
短所 • 偏相関,偏回帰係数,標準化偏回帰係数,重相関係 数等々,論文を読むときにまだまだ使われる用語が 理解されにくい。 • 探索的因子分析の解説がストーリーに入りにくい •
本来は「心理測定法」「テスト理論」として語る べき領域。信頼性,妥当性などの話が欠ける。
29.
展望〜まとめにかえて
30.
心理統計教育に必要なもの • 心理統計にかけられる時間はいつも不足している • 質と量のトレードオフ •
実はもう一コマあったのが改組でなくなりました • 理想的には心理統計だけで4コマぐらい欲しい • 理論,実験計画(検定),多変量解析,測定法
31.
心理学と統計法の関係 • 心理統計は「不射之射」を目指すべき • もちろんそのためには熟練するための訓練量が •
心を研究するとはどういうことか • 潜在変数で回帰することの意味=測定法 • 人間社会という環境で適応するゲームのパラメタ を推測する,という説明は学生に通じやすい
32.
モデルを通じて 心と社会を理解する 小杉考司(山口大学教育学部) 文系学生に対する心理統計教育 〜回帰分析の授業について考える〜
33.
人生は神ゲーか?クソゲー か? • 我々はゲームで遊ぶとき,どこかにクリエイター, あるいはエージェントがいることを考えている • その上でクリアするために考え,行動する •
我々は人生で人に出会う時,その人が「主体性を持 ったエージェント」だと考えている(心の理論) • その上で幸せになるため考え,行動する 社会心理学2015 講義スライドより
34.
ゲームのパラメータを推測しよう データ(応答変数) デートに誘って振られた回数n 魅力変数X ポアソン分布 平均成功回数λ 切片の差 (配られたカードで 戦うしかないのさ) 傾きの差 (ただしイケメンに限る) 前世の徳 カードのシャ ッフル 神様の悪戯 最初は白紙 社会心理学2015 講義スライドより
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