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More from Professional University of Information and Management for Innovation (情報経営イノベーション専門職大学) (20) 議論の科学1(抜粋)3. 科学技術コミュニケーションが
果たすべき役割
• 科学の「動作保証範囲」を、それぞれのトピッ
クについて明確にすること
• 個々人の言動が「科学の動作保証範囲内」か
どうかを見極めること
• 自ら「動作保証範囲」の中と外を(どちらに
立っているか自覚しつつ)行き来すること
4. 科学技術コミュニケーションが
果たすべき役割
• 「動作保証範囲」の中でコミュニケートしている
人と外でコミュニケートしている人を橋渡しする
こと
• 科学と、科学とは異なる情報空間の「座標変
換」をすること=相手の情報空間に分け入り、
相手の言葉でコミュニケーションすること
9. 3.発言者の背景を構成する諸文脈
コミット
メント
選択肢
発言者 発言 相手
実存・
一貫性 個人の発言は、その個人が利用できるリソース
維持 に基づき、取り得る選択肢を前提とし、意思す
リソース るコミットメントに向かっている。また、個人の実
存の一貫性維持とも大きく関係している。
そのような諸文脈を見据えなければ、発言だけ
からは有効な議論の方向性は見いだせない。
11. 1.被ばくを最小限に抑えるために可能な行動
外部被ばく
移動 遮断
出さない
放射性物質が させない する
もともとあった場所
放射性
放射線
物質
移動
土の中に
入れない 放射性
物質
動植物 放射線
・水の 口に
移動 中に 入れない
入れない
内部被ばく
12. (3)対策 2.福島原発問題 事象・実態把握・対策間関係図
事故収束 行動指針 行動指針
国 のための
放出防止 食品・飲料水
経済的支援
避難措置
経済的支援 となる
医療体制の
経済的支援 となる
対策 の規制 除染 充実
作業 情報提供 情報提供
医療体制の
自治体 食品・飲料水 避難措置
充実
の規制 除染
被曝 要因 健康影響
個人 最小化の 最適化の 最小化の
ための行動 ための行動 ための行動
(1)事象と 原子力 放射性 放射性 個人の
個人の
発電所 物質の 物質の 健康への
影響関係 被曝
の状況 放出 拡散 影響
被曝以外の
要因
(2)実態把握
計測データ・
計測データ 個人 客観的 検診等
国 情報公開
の公開
シミュレーション
線量計測 評価 実施
の公開
自治体 計測データ・ 個人 検診等
の公開 線量計測 実施
個人 データ収集・ データ収集・ データ収集・ データ収集・ 個人 データ収集・ 主観的
線量計測 検診受診等
利用 利用 利用 利用 線量計測 利用 評価
14. 4.個人の意思決定「への影響要因」/「の対象」
「科学の問題」以外の要因
科学的研究
その他の要因
・調査
国際機関等の
その他の要因
勧告・提言
•目的・手法に 政府の方針 その他の要因
関する要望 ・施策
•結果の公開
に関する要望
•資金提供
その他の要因
自治体の施策
その他の要因
コミュニティの
意思決定
•直接
•メディア経由
民主主義的合意形成過程
個人の /補完性原理
意思決定
(補完性原理に基づくと、
プロセスの起点はここ。)
16. Aさん Bさん
自分の
発言した
いこと
相手が発
自分の
言したと
発言した
思ってい
こと
ること
自分が発 •これらは全て異なる。
言したと
思ってい •相手は「推測」するしかない。
ること
17. 「発言」は本来多次元空間上に存在する。
それぞれの発言者は相手の発言を自分の座
標軸(空間)に射影して認識する。
Aさんの発言「A1」を、Aさんは「自分は
「A1(A)」と発言した」と思っているが、Xさん
から見ると「Aさんは「A1(X)」と発言した、と
認識される。
Aさん
A1(A) A1
Xさん
A1(X)
18. Bさん
AさんとBさんのように、発言者同士の座標軸
(空間)のずれが小さければ認識の齟齬も小さ
いが、AさんとCさんのようにずれが大きければ、
齟齬は発話毎に拡大しかねない。
Aさん
A1
Cさん
19. 1. Aさんが「A1」と発言したのをBさんは「A1(B)」と認識
し、それを受けて「B1」と発言する。
2. その時自分では「B1(B)」と発言したと思っている。
3. AさんはBさんの発言「B1」を「B1(A)」と認識し、ずい
ぶん自分の発言から飛躍しているなと感じる
B1(A)
B1
Aさん
A1
A1(B) B1(B) Bさん
20. 4. そこでAさんは軌道修正するために発言「A2」を行う
(自分では「A2(A)」と発言していると思っている)。
5. ところが「A2」はBさんには「A2(B)」として認識される
ので、自分の発言を全く聞いていない突飛な発言のよ
うに感じられる。
B1(A)
B1
A2
A2(A)
Aさん
A1
A1(B) B1(B) A2(B) Bさん
24. 座標空間B
座標変換 座標変換
座標空間A
28. 議論の「ソーシャルファシリテーション」
• n×nの座標変換を、限られた専門家に任せるのでは
なく、市民一人一人の、専門性・スキル・動機・社会
関係資本に応じた貢献による集合知によって実現す
る。
• 但し、「幹」になるような主要な座標変換の担い手は
必要。科学・技術に関してはどうすればよいか。
• また、座標変換が無限に循環しないためにも、座標
空間のある程度の優先順位づけは必要。それを誰が
どのように決めるか。もちろん、社会・共同体・組織・
個人にとっての優先順位はそれぞれ異なる。