長崎県五島の特産品開発についての考察 五島つばき商店　 平田　大

1. 五島の特産品開発
2019年5月23日
五島つばき商店
平田 大

2. １．五島つばき商店の紹介
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創業：2018年1月
場所：大阪府大阪市北区天神橋3-4-16
商圏：半径500mにスーパー6軒、八百屋3軒、コンビニ4軒あり。人口は約1.4万人
事業：長崎県五島列島の食品を中心に販売。飲食店への卸、海外輸出への提案など実施
認定：長崎県産品応援店、五島市公認産品応援店

3. ２．五島(離島)のデメリット
a.送料が九州から関西だけでなく、さらに離島送料もかかる
(夏場は冷蔵の費用がさらにかかる)
b.商品到着までに時間がかかる(その分、腐りやすい)
c.体積が大きい物は売りづらい(例：段ボール箱に白菜4玉では利益がでない)
d.売れると分かっても、安定供給ができない(土地が狭い、気候、人手不足) 3
島外で販売する場合、
段ボール箱で物事を考えること

4. ３．理想形
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a.高品質(離島送料が載っても需要がある物)
b.腐らない、腐りづらい物
c.希少価値(五島でしか作られないなどで需要がある物)
d.小さい物
これらを満たせれば売れる確率が上がってくる。食品以外ではさんご、真珠も該当
「純つばき油」「五島手延べうどん」 「(いか)太さきくんせい」 「アゴだしスープの素」 「アジ一夜干し」

5. ４．五島つばき商店の実績
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2018年1月～12月までの売上順位
1位：「手作りかんころ餅」：五島出身のお客様が買う、近隣のスーパーでは売っていないため
2位：「アジの天ぷら」：五島出身のお客様が買う、近隣のスーパーでは売っていないため
3位：「五島手延べうどん」(300g)：近隣のスーパーでは売っていないため
4位：「アジ一夜干し」：魚の一夜干しの中で一番、安価であるため
5位：「純つばき油」：大量仕入れで安価にした。近隣のスーパーでは売っていないため
「アジ一夜干し」「手作りかんころ餅」 「アジの天ぷら」 「五島手延べうどん」 「純つばき油」

6. 19/2/13 木場義博さん 「農薬不使用のクコ」
https://insta-stalker.com/post/Bt0X1orgK_b/
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a.農薬不使用、漢方薬の原料
・山薬(山芋の干したもの)、棗(なつめ)、クコの実(今秋に審査にかける予定)、杏仁、龍眼肉
・現在、木場義博さん(五島市吉田町)に依頼中
・その他、漢方薬の原料となる物も要望あり。国内外で展開を企図
５．お客様からの要望

7. ５．お客様からの要望
「輪切り干し大根」(参考：Rakuten レシピ)
https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1460011071/
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b.「輪切り干し大根」
・「ゆで干し大根」、「千切り大根」、「切り干し大根」と食感、使える料理が違うため
・生産者としては規格品の大根をわざわざ加工品にしたくないので、流通量が少ない
・現在、たばた農園さん(五島市下大津町)に依頼中

8. ５．お客様からの要望
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c.本当に美味しい「手作りかんころ餅」
・機械作りではなく、手作りでしっかりとした甘さ、芋の風味。
・只熊久美子さん、角野克子さん(体調不良のため休業)、の手作りかんころ餅が美味しい。
・空港、港で売っているかんころ餅は美味しくない。評判が落ちる、売れないの負の連鎖。
只熊久美子さん
「手作りかんころ餅」
角野克子さん
「手作りかんころ餅」

9. ５．お客様からの要望
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f.「手作りよもぎまんじゅう」
・粉のよもぎではなく、イチからよもぎを取って作製。
五島市野々切町の角野克子さん(体調不良のため休業)。
11月～4月手作りかんころ餅、5月～10月手作りよもぎまんじゅうを作製。
このサイクルで対応して頂いていた
角野克子さん「手作りよもぎまんじゅう」

10. ５．お客様からの要望
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商品 理由
芋けんぴ 差別化が難しい
マグロの塩辛 五島の人が食べない(文化がない)ので、作らない
卵 福江島から出す事がないと数社から回答
かまぼこ 値段が高く、賞味期限内では売り切れなかった
塩豆腐 賞味期限が短い。最小ロットが多い
鬼鯖鮨 賞味期限が短い。最小ロットが多い
五島牛 基本的には島内販売。出せてもバラ肉
はこふぐ 大阪で調理できない
五島灘(新上五島町の焼酎) 既存商品の重複のため
五島ワイン 店内にワインセラーがなく、品質維持ができないため
g.対応が難しい物

11. ５．お客様からの要望
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商品 理由
ジビエ(猪、鹿など) 兵庫、京都、和歌山、奈良のジビエと比べて、
味の差がつきにくく、また送料の差が大きい
鶏肉の人気のない部位(ガラ、内蔵など) 冷凍便、離島送料が付くので価格が合わない
鯨 需要が少ない
パン、お菓子など わざわざ五島のパン、お菓子などを
大阪で買わない
生魚 賞味期限が短い、料理をする家庭が少ないため
魚醤 需要が少ない
カツオの生節 需要が少ない
さばのそぼろ 需要が少ない
無添加ハム、ベーコンなど 需要が少ない
h.売りづらい物
結論：価格が高い、相場よりも離れすぎている

12. ６．実際に作った、作ってもらった物
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a.農薬不使用「黒にんにく」
・農薬不使用「にんにく」を販売していた所、広島からのお客様より
農薬不使用「黒にんにく」を作って、大阪から広島へ送ってほしいと言われたのが
きっかけ
・保健所に確認を取り、農薬不使用の「黒にんにく」販売開始
・「黒にんにく」は生活習慣病の予防、抗がん作用などの効果があると言われている
五島つばき商店「黒にんにく」

13. ６．実際に作った、作ってもらった物
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b.農薬不使用「菊芋」
・2018年、テレビ番組で「天然のインシュリン」と言われる「菊芋」が取り上げられ、
お客様からのご要望があり
・木場義博さん(五島市吉田町)農薬不使用の「菊芋」を作ってもらう
・2019年にもテレビ番組にも取り上げもらうが反響があまりなく、
あまり販売が伸びない結果となった。原因は差別化が難しい
木場義博さん「菊芋」

14. ６．実際に作った、作ってもらった物
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c.太い「切干大根」
・ （株）谷川農場(五島市三井楽町) 「ゆでぼし大根」、「千切り大根」は宮崎県産などの同様の
商品が近隣スーパーなどで販売されており、価格競争になる
・「ゆでぼし大根」、「千切り大根」を作る理由は売れない規格外品の大根を
干して、裁断機にかけて日持ちし、加工品として売りたいため
・たばた農園さん(五島市下大津町)あえて、太い「切干大根」を作って頂きで競争をさけて販売数を伸ばした
「ゆでぼし大根」 「千切り大根」 「切干大根」

15. ６．実際に作った、作ってもらった物
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d.「焼あご」500g
・「焼きあご」100gが通常販売しており、「焼きあご」100gを2つ、3つ買う
お客様用に「焼きあご」500g を（株）中本製麺さんに作って頂いた
・ 「焼きあご」500gは業務用や大量にダシを取りたい方が対象となる
・価格は単純に5倍の値段にならない様に（株）中本製麺さん(新上五島町小串郷)に工夫して頂いた
「焼きあご」500g(左)と100g(右)

16. ６．実際に作った、作ってもらった物
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e.「究極の椿石鹸 五島」
・「３．理想形」で説明した「高品質」、「腐らない」、「希少価値」、「小さい物」
を満たす物として、今村製油所さん(五島市平蔵町)の「純つばき油」をベースに
（株）ナープロダクションさん(大阪市中央区)「究極の椿石鹸 五島」を作って頂いた
・国内外での営業、販路拡大費用を目的にでクラウドファンディングを実施
https://www.countdown-x.com/ja/project/Q5787970
「純つばき油」 「究極の椿石鹸 五島」

17. ７．この1年で五島内で作られた商品
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a.「ごとうのコロちゃん」
・新上五島町宿ノ浦郷の長崎県立中五島高の生徒らが、
規格外の五島うどんを粉にし、原料に活用した焼き菓子「ごとうのコロちゃん」を考案。
・同町浦桑郷の洋菓子店「菓子の木」で製造、販売している。
参考：長崎新聞
https://www.oricon.co.jp/article/656323/

18. ７．この1年で五島内で作られた商品
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b.「五島ピザ」
・小麦粉、キビナゴ、トマト－。長崎県立五島高の生徒グループが、
五島産の食材を5種類以上使う「五島ピザ」の開発に取り組んでいる。
・現在はインターネット販売用のサイトも作成中で、収益が上がる売り方を模索している。
参考：長崎新聞
https://this.kiji.is/465534813202302049

19. ７．この1年で五島内で作られた商品
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c.「Camelia GOTTO（カメリア ゴッツォ）」
・旨みたっぷり五島の魚介スープ
・販売者：一般社団法人 五島市物産振興
・現在準備中となっており、インターネット販売はしていない模様
参考：五島市物産振興協会(販売元)
https://cameliagotto.base.shop/

20. ８．今後、伸びそうな、気になる商品
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a.「サクラエビ」
・2019年5月５日、長崎県五島列島沖に生息していることが分かった
・駿河湾は記録的な不漁で地元が保護に力を入れており、
長崎県は漁ができるだけの資源があるか探るため情報収集を始めた
参考：静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/science/630263.html?news=608064

21. ８．今後、伸びそうな、気になる商品
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b.「プラスチック・フリー」の梱包商品
・熱帯地方では必要な量にもよるが、無料でバナナの葉が手に入る。
しかし、バナナの木があまりない地域では、プラスチック製品よりもコストが大幅に
アップするだろう。その場合は地元で調達できるナチュラルな素材を利用するのもありだろう
参考：Forbes JAPAN、「バナナの葉」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190331-00026374-forbes-bus_all

22. ８．今後、伸びそうな、気になる商品
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c.「VEGHEET（ベジート）」
・ベジートの原料は、野菜と寒天のみ。調味料・添加物は使用していない
・野菜は、例えばブロッコリーであれば根っこの部分であったり、
ほうれん草は規格外のものの芯や黄色い部分だったり、農家が売りに出せないものを使用
・製造は（株）アイル(長崎県平戸市)。販売はイトーヨーカ堂やAmazonなど
参考：vegewel
https://vegewel.com/ja/style/vegheet

23. ９．高校生のクラウドファンディング事例
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a.「なまり節ラー油」
・生産者の方のインタビューなどを通して、この食材の良さを再発見した高校生たちが
なまり節の良さを活かした新食材、「なまり節ラー油」を開発
・「なまり節ラー油」はなまり節の持つ独特の食感と鰹の風味をさらに引き出した、
どんな料理にも合う万能調味料
参考：readyfor
https://readyfor.jp/projects/iclub_kesennuma

24. ９．高校生のクラウドファンディング事例
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b.「気仙沼ミルキーウェイ」
・「なまり節ラー油」が製品化、めでたし、めでだし。のはずでしたが…。
「私たちも新たな地元の商品づくりに挑戦したい！」となり、
気仙沼の酒蔵の酒かすに牛乳と砂糖を入れて煮詰め、
手作りで瓶詰めしてつくる新名物「気仙沼ミルキーウェイ」を開発
参考：readyfor
https://readyfor.jp/projects/iclub_kesennuma_2

25. １０．なんばグランド花月での販売
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・観光地にある「なんばグランド花月」は近隣で働いている、住んでいる人もいるが
客層が国内外ともに観光客が多い。
・よって、ターゲットは観光客に特化した方が売上立ちやすい。調理が必要な商品は難しくなる
・例：規格外品(小さい)「安納芋」を安く仕入れて、「焼き芋」で販売が簡単で売上が立ちやすい。
しかし、これは商品企画、開発の面が弱くなる
木場義博さん規格外品(小さい)「安納芋」

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付録

27. １１．青果
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a.農薬不使用の野菜、果物
・近隣の大手スーパーが取り扱わないため
・農薬不使用と言っても、美味しくない物は駄目である
・健康を気にするお客様にとっては「あったらいいな」でなく、「なくてはならない」物
・高品質、高価格で販売
木場義博さん
「安納芋」
木場義博さん
「キャベツ」
木場義博さん
「レタス」
たばた農園さん
「土付きらっきょ」
木場義博さん
「生姜」

28. １１．青果
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b.規格外品のの野菜、果物
・近隣の大手スーパーでは基本的に販売しない
・そうか病のジャガイモ、曲がった人参など
・中品質、低価格で販売
・農家さん達は規格外品の野菜がお金にならず困っている。肥料や隣近所に分けたりする
「そうか病のジャガイモ」(参考：日本農業新聞)
https://www.agrinews.co.jp/p38719.html
「曲がった人参」(参考：トクバイみんなのカフェ)
http://minnano-cafe.com/topics/12761

29. １１．青果
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c.野菜の高騰
・ 2017年末～2018年年始頃
台風などの災害で関西の野菜が高騰した場合に大阪の野菜の値が上がる。
この時に五島の野菜が平時の状態なら、白菜の価格が3倍以上の開きがあり、一人勝ちとなった。
・ただし、野菜の高騰はコントロールできる事象ではなく、また数年一度の頻度でしかない
五島の野菜が安い 大阪の野菜が高い木場義博さん「白菜」

30. １１．青果
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d.収穫時期のズレを狙う
・九州と関西では野菜、果物の収穫時期が1ヶ月程度のズレがある。
そこで、九州で先にできる野菜、果物を関西のスーパーで出回る前に販売する
・ただし、期間が1ヶ月程度で見切る必要あり。
また九州勢と同じ動きになるので、あまり得策ではない
九州の方が
収穫時期が早い
関西の方が
収穫時期が遅い
（株）いきいきファームさん
「そら豆」

31. １２．海外
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a.インバウンド
・いちご、メロン、酒のあて(珍味)類の順で売れていく
・特に何も宣伝していないのに果物が売れる理由は日本の果物が美味しいと訪日外国人が
知っていると思われる
・調理が必要な物はあまり売れない
（株）中本製麺さん
「(いか)太さきくんせい」
（株）五島農園さん
「いちご」
（株）五島農園さん
「メロン」
http://gotofarm.com/

32. １２．海外
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b.アウトバウンド
・日本貿易振興機構(ジェトロ)さんでは2018年度より、海外におけるEC販売プロジェクトを実施。
費用は無料。ただし、打ち合わせ、サンプル提供などにかかる費用は負担あり
・FSMA、HACCP(米国、EU)、BRC認証、FSSC22000、ISO22000、JFS-C規格、
その他食品衛生に係る民間認証などの資格・認証を取っているとマッチングされやすくなる
参考：日本貿易振興機構(ジェトロ)
https://www.jetro.go.jp/services/japan_mall.html

33. １３．マーケットイン、プロダクトアウト
a.「マーケットイン」大阪のお客様の要望に応える。基本手には「マーケットイン」の考えで進める
b.「プロダクトアウト」五島の食材を使った物を売る。 「売りたい物を売る」ではビジネスに
ならない
c. 「マーケットイン」ではお客様の言いなりとなり、楽で安定してくるが大ヒットは生まれないので
「プロダクトアウト」も時に必要(ハイリスク、ハイリターンの場合が多いため) 33
参考：デュアルキャリアのためのセルフマーケティングと企画＋E
https://onoff.ishin159.info/「マーケットイン」と「プロダクトアウト」