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2018
滑空スポーツ講習会
(航空安全講習会)
滑空機のエネルギーマネージメント
・ Threat and Error Management
・ 滑空スポーツの特徴
・ 失速
・ 緊急着陸
・ 異常姿勢の認知、回復操作
担当: 植田展生
IFR VFR
飛行の目的と安全確保
2
安全性
エアライン
事業用
自家用 航空スポーツ
パイロット
第3者
旅客
搭乗者
他人の需要
自己実現
小型航空機パイロットの総飛行時間と事故件数
(自家用操縦士 1997年~2006年)
[JAPA自家用操縦士の技量維持に関する調査報告書H20年3月] 3
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
事故件数
パイロットの総飛行時間(hr)
飛行機(60名)
回転翼(67名)
滑空機(33名)
事故原因分析
(滑空機 1997年~2006年)
[JAPA自家用操縦士の技量維持に関する調査報告書H20年3月] 4
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事故件数
講習会出席有
無(不明含む)
操縦士技能証明の要件(取得時)
・航空法29条 試験の実施 → 必要な知識及び能力があること
※ 学科試験 記憶ベースの知識
口述試験 理解ベースの知識
実技試験 応用ベースの知識 + 能力
・施行規則43条 技能証明の要件
飛行経歴(上級滑空機) : 3時間の滑空(曳航30回以上、失速からの回復)
※単独飛行に係わる安全基準(滑空機) 空乗第2103号
離着陸及び空中操作、野外飛行及び生地離着陸の場合
・実地試験実施基準・細則 科目、実施要領、判定基準
※ 「操縦士としての技能に信頼性がある」とは、科目の判定基準からの
逸脱が、連鎖又は頻発することがなく、かつ、総合能力の判定基準
を満足している場合をいう。
5
操縦士技能証明の要件(継続時)
・航空法71条の3 特定操縦技能の審査等
必要な知識及び能力の維持について確認することが特に必要であるもの
・特定操縦技能実施要領
飛行前の2年以内に、操縦操作の能力、非常時の操作に関する知識、
航空法規の改正点に関する知識等を有するかどうかについて確認する。
・特定操縦技能審査実施細則 科目、実施要領、判定基準
※ 判定基準を繰り返し逸脱したり、逸脱した状況が継続した場合、審査員
は安全確保のために助言を実施しても良い。助言の結果、判定基準内
に状況が改善された場合は、不合格と判定する必要はない。
・特定操縦技能審口述ガイダンス
6
・自家用操縦士の技量維持方策に係る指針 (H15/3/28 国空乗第2077号)
<推奨> 安全講習会の受講、180日に3回の離着陸
Policy パイロットとして、基本方針を理解し実現する能力
・Operational Quality 質の高い運航を実施する能力
・Professional Awareness 運航に対する取り組み姿勢 ( 航空法や関係諸規則の遵守、責任)
Knowledge 運航に必要な正確な知識を有し、理解した上で適切に活用できる能力
・System Knowledge システム等とその使用法、性能および運用限界に関する知識
・Operational Knowledge 航空法および関係諸規則、ATC、NOTAM、飛行規程等、
運航に必要な一般知識
Technical 定められた手順に従い、各システムを活用し、飛行機を的確に操縦できる能力
・Aircraft Control 状況に応じて、正確、安定および円滑に操縦する能力
・Procedure 定められた操作手順を理解し、正確に実施する能力
・System Management 自動操縦装置および各システムの適切且つ確実な操作および
モニターできる能力
CRM 安全な運航を実現するために、リソースを適切に活用しManagement する能力
・Communication 正確な意思疎通を図る能力
・Team Building チームのPerformance を最大限に高めるために必要な能力
・Workload Management 運航におけるWorkload を適切にManagement する能力
・Situational Awareness 状況を確認し、安全運航に活かす能力
・Decision Making 適切な判断をする能力
7
CRM 安全な運航を実現するために、
リソースを適切に活用しManagement する能力
・Communication
正確な意思疎通を図る能力
・Team Building
チームのPerformance を最大限に高めるために必要
な能力
・Workload Management
運航におけるWorkloadを適切にManagementする能力
・Situational Awareness
状況を確認し、安全運航に活かす能力
・Decision Making
適切な判断をする能力 8
Workload Management
いかなる状況下においても、可能な限り準備して計画し、機を失せず優先順位付けして、
タスクを配分するために、効率的に利用可能なリソースをマネジメントする能力
Planning :いかなる状況下においても、可能な限り準備して計画している。
ワークロードの予測と計画 ワークロードが高くならないように、予め計画し、準備している。
状況変化に対応した計画 状況の変化に敏感に対応し、適切な計画を立てている。
効率的なタイムマネジメント 重要なタスクについて優先順位と適切な実施タイミングを計画している。
慎重かつ冷静な行動 衝動的でなく、冷静で落ち着いており注意深く行動している。
Prioritize :機を失せず優先順位付けしている。
Fly First 「Fly、Navigate、Communicate」の順に優先順位を決定している
的確な優先順位の決定 時間、緊急度、タスクの量を考慮に入れて優先順位を決定している。
Distribution :効果的に利用可能なリソースをマネジメントし、タスクを配分している。
状況に応じた支援の実施と援
助の要請
支援の提供および受け入れをしており、必要に応じて権限を委譲し、
早期に援助を求めている。
9
Situational Awareness
どのような状況や状態にあるか、注意力を持って認識し、現状を把握、共有、分
析して、変化を予測する能力。
Vigilance : 注意力/警戒心を持って認識している。
情報収集 あらゆるリソースを活用して情報を収集している。
警戒の維持と一点集中の回避 一点に集中することなく、周囲に注意を向けている。
問題の正確な認識
運航に影響を与える可能性のある事象を、正確に認識して判断して
いる。
状況認識力の維持 状況認識力が低下する兆候を認識し、効果的に対応している。
Monitor & Recognize : 現状を把握、共有、分析している。
航空機内外の状況認識
航空機内外の状況(位置、環境、システムなど)をモニターし、認識し
ている。
リソースの活用 リソースを活用し、状況の経過をモニターしている。
時間と燃料の把握 残された時間や燃料について把握しており、適切な対応している。
根拠のある分析 収集した情報を根拠に的確に分析している。
Anticipation : 変化を予測している。
的確な経過の観察と予測 過去、現在、未来からの変化を予測し、不測の事態に備えている。
スレットへの対応 スレットを予測または発見し、安全性確保の為に適切に対処している。
10
Decision Making
運航の目的を達成するために、適切な意思決定を行い、その行動を振
り返りフィードバックする能力
Decision Making :運航目的を達成するために、適切な意思決定を行っている。
選択股の考慮 多くの選択股を考慮している。
役割分担と決定事項の完遂 役割を理解し、決定事項を確実に実行している。
初期対応 予測不可能な事態に直面した際にも、初期対応をしている
性急な結論の回避 充分な情報がないままで、急な結論をだしていない。
Review : 行動を振り返り、フィードバックしている。
意思決定の見直し なされた意思決定が、正しいかどうか見直している。
決定の振り返りと変更 振り返り、必要に応じ変更している。
決定結果のフィードパック 結果を受け入れ、以後の行動にフィードパックしている。
問題解決の完遂 安全性を低減することなく、問題解決のために粘り強くやり通している。
11
Threat & Error Management (TEM)
12
Threatsは、パイロットが関与し
ないところで発生する出来事又
はパイロット以外によるエラー
であり、注意又は適切に対処す
ることが求められる。
・Communication
・Team Building
・Workload
Management
・Situational
Awareness
・Decision Making
Normal Flight
スレット マネージメント
エラー マネージメント
UAS マネージメント
発生日 発生場所 登録記号/型式 機長 事故等の種類
2016
3/17
大利根場外
(南約1.7km)
JA50KM 69歳、男性
229時間
626回
事故 (死亡者2名)
SZD-50-3プハッチ型
(滑空機、複座)
墜落(スピン)
2016
4/10
阿蘇観光牧場
JA2437 68歳、男性
174時間
310回
事故 (死傷者なし)
センターエア101B型
(滑空機、単座)
ウィンチ曳航中断
不時着失敗による墜落
2016
5/5
福島県
田村郡三春町
JA21BB
43歳、男性
441時間
事故 (死亡者1名)
グラスフリューゲル式
304CZ-17型(滑空機、単座)
空中分解による墜落
2016
10/10
妻沼滑空場付近
JA22WP
学生、男性
(調査中)
事故 (死亡者1名)
ロラデン・シュナイダー式
LS4-b型(滑空機)
失速による墜落
2017
2/12
岡南飛行場付近
JA2330
65歳、男性
2395時間
重大インシデント
シャイベ式SF25Cファルケ型
(動力滑空機、複座)
飛行中アイシングによる
発動機の継続的な停止
2017
8/27
ふくしま
スカイパーク
(南西約12km)
JA2406
66歳、男性
578時間
事故 (死亡者1名、重傷者1名)
ホフマン式H-36ディモナ型
(動力滑空機、複座)
失速による墜落
2017
11/10
大野滑空場
JA05KG 22歳、女性
28時間
196回
事故 (死傷者なし)
シェンプ・ヒルト・V.L.式
ディスカスCS型(滑空機、単座)
ウインチ曳航中断
PIO,着陸時の機体損傷
近年の滑空機事故・重大インシデント
13
14スピン墜落事故
12:20頃
12:05頃発航
(高度約1500ft)
15
龍ケ崎地域
気象観測所
16
飛行クラブは、本事故後に次の措置を講じた。
(1) 会員に対し、安全講習会及び技量確認(操縦教育に関する内
容を含む。)を実施するとともに、会員以外の同場外を利用する
関係者に対しても同場外の利用に関する講習を実施した。
(2) 動力機(小型飛行機及び動力滑空機)に加えて、滑空機による
同場外周辺の住宅密集地上空の飛行を禁止した。
事故原因と対応策
17
事故調査・処分の流れ
Threat Management
• Threatを可能な限り、多く特定すること
• Threatに対するPilotの反応を把握すること
• Threatに起因したErrorを、Pilotがどのよう
に処理したかを分析すること
19
• VOICES
http://www.jihatsu.jp/
• ヒヤリハット
• ハンガートーク
S: Software
H: Hardware
E: Environment
L: Liveware
エラーの予防
Error Management
<Errorの定義>
「乗員または組織の意図や期待から逸脱し、安全マージンを減少させ、地上ある
いは飛行中に運航を悪化させる可能性を増大させる乗員の行動(または行動し
ないこと)。」
パイロット自身が起こしたり、何もしないことによって起こったりする誤りや間違い。
⇒ Technical やKnowledgeと共に、CRM Skillを活用してErrorに対処
・Team Buildingで適切な環境を作ってErrorをいち早く発見
・Situational Awarenessを発揮してErrorの状況を正確に認識し、分析
・Workload ManagementによりErrorの影響を軽減
・積極的にCommunication(Assertiveness)することでErrorから回復
・「振り返る」ことで、同じErrorを犯さないようにする
⇒ CRM Skillを向上させる最も効果的な方法
日頃から「自分の行動を振り返る」という意識持ち続けること。
20
ホーキンスの分類
1)ランダムエラー
これは、初心者や訓練が足りない場合に多く見られ
るエラー。このタイプのエラーには学習や訓練を重ね
るという対策が考えられる。
2)システィマティックエラー
ライフルの照準がズレてる場合や、撃ち方がおかし
いと当たる場所が偏ってしまう。手順書通りにやった
のに、多くの人が同じような間違いをおこす場合など、
その手順やその組織のシステムに問題がある可能
性が考えられる。
3)スポラディックエラー
殆どが的中しているが、ときに全く外れてしまうこと
がある。ベテランでも突発的に起こすエラーは、一人
で防ぐ事は極めて難しく、周囲の人間やシステムの
バックアップが必要。
エラー発生のモデル
・Non Compliance Error (意図的な規則違反)
・Procedure Error (手順エラー)
・Communication Error (コミュニケーションエラー)
・Proficiency Error (技量エラー)
・Decision Error (意思決定エラー)
TEM = CRM ?
Threat & Error Management(TEM)とは、従来の失敗か
ら学ぶ事後対応型から、Threatを認識することにより、能
動的にエラーを回避し、エラーの影響を積極的に軽減す
る事前対応型プロセス。
Threatを認識したり、増加させないように対応したりする
Threat Managementの過程ではCRM Skillのみで対応でき
るかもしれないが、Error / UAS Managementの過程にお
いては、機の安定を図り、WXを確認したり、ATCに通報す
る等、当然TechnicalやKnowledgeが大きく求められる。
CRM Skillだけでは、安全は確保できない。
TEM = CRM + Technical + Knowledge
23
De-Briefing Self Check Sheet
Threat Error 運航へのFeed Back
(1)Threat
(Pick Up )
・Software
-Time Pressure
-Irregular
・Hardware
-Malfunction
・Environment
-WX,ATC,Terrain
・Liveware
-Cockpit Crew
-CA,PAX
-Ground Support
(2)Threat Management
①Situational Awareness
(状況認識)
・Vigilance
(警戒心の維持)
・Monitor
(状況のMonitorと認知)
・Anticipation
(状況からの予測)
②Communication
・Briefing(ブリーフィング)
③Workload Management
・Planning
・Prioritizing
(優先順位付け)
・Distribute
(業務の割り振り)
④Team Building
・Climate
(Teamの雰囲気作り)
(3) Error(Pick Up)
・Non Compliance Error
(意図的な規則違反)
・Procedure Error
(手順エラー)
・Communication Error
(コミュニケーションエラー)
・Proficiency Error
(技量エラー)
・Decision Error
(意思決定エラー)
(4) Error Management
①Team Building
・Climate
(Teamの雰囲気作り)
②Situational Awareness
・Vigilance
(警戒心の維持)
・Monitor
(状況のモニタと共有)
③Communication
・Assertion
(安全への主張)
(5)発揮され活用で
きた、又は不足して
いたこと。
考えられるCRM
Skill
・Communication
・Team Building
・Workload
Management
・Situational
Awareness
・Decision Making
24
スピン墜落事故の振り返り例
Threat Error 日常運航へのFeed Back
・東側に成田空港のPCAがあり、
風上側でソアリングできない。
・ベース付近で低高度になると、
飛行場に戻れない。
・練習生は、総飛行回数4回、
当該型式は当日2回目の飛行
・プハッチのスピン回復時は高度
損失が大きい。
・風は弱く、風向は変動していた。
・天候は良好で、教官は当日3回
目の飛行であったが、住宅地上空
で上場気流を掴めず、低高度に
なった。
・低高度で旋回中、低速となり、ス
ピンに陥った。
・動力機に加え
て、滑空機も周
辺の住宅密集
地上空の飛行を
禁止した。
・安全講習会及
び技量確認(操
縦教育に関する
内容を含む。)を
実施
25
滑空スポーツの特徴 (Threat)
• 動力がない
ピッチ操作で速度をコントロールし、加速には高度損失を伴う
索による曳航、特にW/Tは大きな加速と姿勢変化、高荷重を伴う
高性能機といえどもウィンドシアー、沈下帯には弱い
ゴーアラウンドや飛行中のホールディング不可、不時着の必然性あり
「エンジンがもともと無いから、かえって安全だよ…。」
• 意図的に深いバンク、失速近くや高速で飛行することが少なくない
「高度が低いとサーマルが弱いからもっと絞るんだ!」
• VFRで乱流域(山岳、山岳波、サーマル)を飛行する
• 長距離飛行、高々度飛行、長時間の飛行による疲労
「酸素がもったいないから、もう少し上がってからにするか…。」
• 分解組み立て時のミス、翼端保持、Dollyの使用、牽引
• スパンが長い 翼端接地、翼の強度、アドバースヨー
• コックピットが狭い、暑い、寒い 感覚で姿勢をコントロール
• 河川敷滑空場 土手越え気流、接地点をエンド付近に設定しがち
• 着陸後に運搬が必要 翼端を取りに駆け寄る
「リトリブで迷惑しないように手前を狙おう」
• 滑空場の離発着が交錯、出発準備のハリーアップ
• 運航リーダーの不在、TAG(権威勾配)、年齢層が幅広い
• スポーツとして限界を追求する 記録飛行、競技会、武勇伝を競う
• 疲労も顧みず、熱心に取り組む
滑空機のエネルギー
28
標高838m
100km/h
対地21m
~100km/h
対地約49m
最小55km/h
対地約76m
70km/h離脱
曳航トラブル事故の考察例
Threat Error 日常運航へのFeed Back
・滑走路標高が高く、MSLで
は対地高度を直ぐに把握し
にくい。
・高度計はfeet目盛り。
・20年以上使用している自
作ウィンチで、点検記録簿
はなかった。
・ウィンチのプロペラシャフトが破断
し、曳航速度が低下してきたが、
70km/hまで曳航を続けた。索が自
然離脱していた可能性がある。
・ウィンチマンは、故障を認知でき
ず、無線連絡しなかった。
・機長はエアブレーキを開けて直
線的に着陸を試みたが、対地高
度100m以上であるという感覚から、
南側旋回を決断した。
・100km/hに加速するため、また一
度エアブレーキを使用したため高
度を損失した。
・目測を誤り、前方の樹木をかわ
すことができなかった。
・対地高度の換算表を
作成し、コックピット内に
貼り付け、直線着陸が
可能である高度に目印
をつけた。
・曳航トラブルを想定し、
対応や無線連絡手順
を作成した。
・旋回による場合、障害
物の少ない北側を優先
することにした。
・ウィンチのプロペラシャフ
ト部分を改修し、点検
整備項目及び点検記
録簿を作った。
29
曳航中断時の処置
(BGA INSTRUCTORS’MANUALより)
※速度があるうちに素早く押さえることが重要
離陸中断時の緊急着陸プランニング
直進
前方
逆進
360°
ショートサーキット
・風向・風速
・地上障害物
・高度、速度
・着陸適地
出発前に
イメージ
滑走路に戻ることよりも、先ず
進入速度を確保することが重要
緊急着陸経路の判断
高度と現在位置によ
り、緊急着陸の飛行
経路と接地点を判断
する。(風にも配慮)
安全高度? 速度?
~グライダー操縦の基礎 初版1969年~
上昇は約30m(安全高度)ぐらいの高度までは急角度の上
昇をしてはいけない。安全高度とは索切れ、ウィンチの故障
等のさい失速を防ぐため下舵をとり加速をつける場合、加速
せぬまま地面に激突する恐れがあるから、使用機体の性能
を考慮して、加速してから逃れる高度を安全高度という。
高度? 安全速度?
曳航中断事故の考察例
Threat Error 日常運航へのFeed Back
・機長は事故機に搭乗
したのが8カ月以上前で
あったため、教官が複
座機で技量確認を行っ
た。
総飛行時間28時間
(196回,内単独64回)同
型機29分(6回)
・機長は索切れ時の対
処手順についてレビュー
していなかった。
・機長は、浮揚した直
後、増速に伴い過大な
機首上げにならないよう
留意していた。
・機長はウィンチの引かれる力の
体感が弱いと感じたため、速度
計を確認すると、~120km/hで
あったが、上昇姿勢に移ることを
躊躇し、約30mAGLで離脱した。
・右に偏向したため、慌てて左
に35°程度のバンクをとった。
・教官が落ち着くように無線で
指示しても、エアブレーキを引か
なかった。
・エレベーターの操作により、
ポーポイズのような上下運動が
生じた。
・ウィンチの東側は草地であった
ものの、右翼をウインチに衝突さ
せた。
学連の対策
(1) 高性能単座機の搭乗基準
① 学科講習
② 複座機で低高度離脱を模
擬した訓練を実施させる。
③ 2名以上の操縦教員による
搭乗直前の技量確認(初搭乗
又90日以上の場合)
④ 搭乗直前の地上操縦席で
の実技講習
(2) ウインチ曳航の座学及び曳
航中の緊急対処訓練
① 安全なウインチ曳航及び曳
航中の事故事例の教育
② ウインチ曳航中の緊急時を
想定した同乗訓練
35
空間識失調(Spatial Disorientation)
空間識
(Spatial Orientation)
視覚 前庭感覚
三半規管
耳石器
体性感覚
深部感覚
表面感覚
空間情報 自己情報
(センサー閾値)
0.1~2.0deg/s2
0.1~30cm/s2
耳石器 (頭の傾斜、直線加速度の混同)
(加速感) (減速感)
Somatogravic Illusion
体重力錯覚
Fundamentals of Aerospace Medicine
2.滑空スポーツの特徴
トロクスラー効果
人間はある物を凝視
し続けていると、そ
の周辺にあるものが
消えて見えなくなる、
という性質。
黄色い中心に目を近
づけ、じっと見ている
と(10秒ほど)、青い
光の蛍が逃げていく
ように見えたり、いく
つか消えたりしませ
んか?
39
100ft以下のウィンチパワーロス
・ 100ft以下でのパワーロスに起因する事故はよく発生し、重傷事故がしばしば発生する。
大部分は、ストールした状態で墜落するが、20%はストールせずに機首から墜落し、
40%の事故が教官同乗の索切れ訓練の最中に発生する。
・ 上昇姿勢でウインチのパワーロスに遭遇した場合、もしパイロットが0 ~-10° の回復
降下姿勢まで機首を下げればよいが、機首下げが遅れた場合ストールに陥る場合が
ある。滑空比25 のグライダーが速度55kt、ピッチ25 °から、直ぐ機首下げしても、回
復降下の初期速度は49 ktとなる。2 秒遅れると34 ktとなり重大事故になる。
・ 70 ft以下でのパワーロス後、機首を下げなかったり下げすぎたり、あるいは機首下げ
が1 秒遅れたりといった、たった一つのミスがクラッシュを引き起こす。このような事故
は教官同乗の教育中によく起こり、練習生がミスし教官のテイクオーバーが遅れるた
めである。
・ パワーロス後安全なリカバリーのために十分なエネルギーを供給できる速度と高度の
組み合わせは、ASK13 の場合、20 ftで55kt、50ftで50kt。
<アドバイス>
・ 曳航不良が発生したら、即座に機首を下げ適切なリカバリー姿勢に入れる。
・ 反応時間を最小とすることが重要。
・ 50 ft以下、55kt以下での模擬パワーロス訓練は教官デモのみとする。
・ グライダーが適切な姿勢と安全な速度を確保するまでは、エアブレーキを用いない。
・ 地表面近くでのパワーロス後は、進入速度を回復できないかもしれず、いつものクセで、
速度が遅いにもかかわらずエアブレーキを開いてしまうかもしれないことを認識する。
もし速度が非常に遅ければ、エアブレーキなしの着陸を行う。
(BGA Safe Winch Launchingより)
安全講習会
受講では免除
とはなりません
特定操縦技能審査実施要領(滑空機)
Ⅳ-2 実技審査
7. 異常時及び緊急時に必要な知識
(目的)各種異常時及び緊急時の知識(操作手順含
む) について審査する。
7-1 曳航中の異常時及び緊急時の操作
7-2 動力装置の故障
7-3 諸系統又は装置の故障
7-4 場外着陸
口述ガイダンスに従って質問する。
実技審査により行うこともできる。
41
(1)予期しない高度低下を想定し、場外着陸を実施す
る場合の操作や注意点について質問する。
O/Lの決心高度の目安
2000ft(AGL)≦ 大体の場所を選択
1500ft(AGL)≦ 着陸地の選択
1000ft(AGL)≦ アプローチ開始
• 風、地形の起伏、着陸帯の広さ、勾配に着意できる
か?
• ローカルな植生や作物の色により、背の高さを判断。
• ワイヤーや溝、杭など、障害物の回避
• 高度計の規正と、対地高度の把握
• 滑空場の位置を誤認し、高度判断を誤ることもあ
る。
• 低くなって、滑空場等に無理に戻って着陸しようとし
て、失速事故や障害物に接触することがある。
• 着陸後のリトリブ のし易さを優先する傾向にないか?
(FAA Glider Handbook より)
口述ガイダンス
7-4 場外着陸
緊急着陸模擬訓練
※旋回半径 170m
速度100km/h
バンク25°
※熟練教官と行う
チェックポイント以降の垂直断面図
口述ガイダンス 7-4 場外着陸
(2) 状況により、背風着陸が必要になった場合の操作や注意点について
質問する
(参考) 起こしやすい間違い
(1) 不適切な進入パスコントロール
(2) スリップの不適切な使用
(3) 不適切な速度コントロール
(4) 不適切な横風の修正
(5) 不適切な接地の手順
(6) 不適切なブレーキのコントロール
停止距離は、
接地対気速度40kt
背風10ktにおいては、
無風時の1.56倍となる
<計算>
(40+10)/40=1.25
(1.25)
2
= 1.56
同様に正対5ktと、
背風5ktを比較して、
1.65倍となる。
低空旋回時の注意
※ 地表の障害物等の高さにより、風速が変化する高度帯が上下する。
低空旋回では、速度の維持、翼端接地に注意。
風の観測データ
館野(つくば市)上層風観測データ
館林 地上風観測データ
(2008年12月28日)
ウィンドシアーによる影響
ウィンドグラジェントの影響
(BGA INSTRUCTORS’MANUALより)
着陸進入時の風速勾配とピッチ姿勢
①
②
③
風速勾配によるバンク
「Understanding Gliding 」 by Derek Piggottより
風向
バンクがきつくなる傾向バンクが戻る傾向
土手越え気流の風速分布
運動エネルギーと対地速度
53
対地速度増加 対地速度減少
緊急着陸時の心得
1. 操縦性(安全速度)の確保
2. 第3者へ危害を与えない
3. 搭乗者の安全確保
4. 機体の保護
※ シートベルトをしっかり締め、機体の接地姿勢を制御すること。
Loss of Control - In flight (LOC-I)
56(航空安全行政の今後の取り組み 航空局 H29/8/2より)
57
Environmental and Airline Threats Contributing
to LOC-I Accidents
58(航空安全行政の今後の取り組み 航空局 H29/8/2より)
UPRT (Upset Prevention and Recovery Training)
59(航空安全行政の今後の取り組み 航空局 H29/8/2より)
JCAB
操縦士実地試験実施基準・細則(上級滑空機)
・横風着陸、横滑り着陸、背風着陸、場外着陸
・最小操縦速度
・急旋回:バンク45°( [事] 50°)、適切な最小沈下速度
・失速と回復操作:直線滑空又は旋回
初期失速又は完全失速
ダイブブレーキ又はフラップが閉じた状態と開いた状態
・異常な姿勢からの回復[事]:異常な姿勢としたのち、受験者に水平直線
滑空状態に戻させる。異常な飛行姿勢は高速螺旋降下、過大な
バンクと過大な機首姿勢、過大な沈下率をもたらす初期の段階の
もの
・螺旋降下[事]: バンク50~55°を維持して左又は右の360°螺旋降下
を行う。VA未満。
・曳航索切れ等
・スピン及び回復[教証]
・ サーマル旋回中のスピン、スパイラルダイブ
・ 低空旋回における失速、スピン
場外着陸や緊急着陸時、山肌付近の旋回
・ 曳航索切れ後の失速、スピン、
ソメトグラビックイルージョン
・ 離陸時のPIO、ウィンチ曳航時のスナップロール
・ 進入着陸における落着、ポーポイズ、
ショートランディング、グランドループ
滑空機が陥り易い異常姿勢
61
練習、経験、知識不足
危機意識の低下、慣れ、疲労
気象 故障
機体姿勢と主翼のAOA
速度と性能曲線
失速速度(耐空性審査要領)
2-2-2-1 失速速度Vso(フラップ着陸位置)は以下の条件で測定される
失速速度又は操縦可能な最小定常飛行速度
a. ギアダウン b. フラップは着陸位置
c. 抗力増大装置は閉又は開のうちVsoが小さい位置
d. 最大重量 e. 重心位置は、許容範囲内の最も不利な位置
2-2-2-3 失速速度Vs1(所定の形態)は以下の条件で測定される失速速
度又は操縦可能な最小定常飛行速度
a. Vs1を用いて所要性能を決定する場合の飛行の形態であること。
b. 所要性能基準に適合することを証明するためにVs1を要素として
用いる場合の重量
2-6-1 失速の証明は約2km/h /secをで速度を減じ、制御できない機首
下げ、若しくは片翼下げによって失速を認めるか、又は縦の操縦
装置がストッパーにあたるまで実施すること。
失速速度と性能曲線
代表的な練習機の失速速度、進入速度
型式
複座時 単座時 推奨最小
進入速度Vs1 VsB Vs1 VsB
ASK13 62 56 90
ASK21 74 77 65 68 90
SZD50 72 57 90
L23 60 65 54 59 75
G103 75 85 66 75 95
FOX 84 94 78 87 115
(km/h)
ダイブブレーキとポーラーカーブ
主翼の失速の原因
(1) 速度の低下によるもの
・ 適正なピッチより高いまま飛行し、速度が抜けた。
・ ウィンドシアー、風の息、背風の増加。
・ 急なアップをとってウィンチがパワー負けした。
・ ウィンチ、曳航機の速度コントロール不良。
・ ウィンチ、曳航機のエンジントラブル。
(2) 翼面荷重が増大し失速速度に達するもの
・ 旋回中、バンクが過大になった。
・ 初期上昇で十分加速しないうちにアップをとり過ぎた。
・ ウィンチ曳航で、低速なまま上昇を継続し失速速度が増大した。
(3) 上記のカップリング
・ 低G状態で旋回、ピッチダウン不足、ウィンドシアー
バンクによる失速速度の増加
Vs(n) = √n・Vs
Circling Polar
※Fundamentals of Sailplane Designより
荷重倍数
1 / cosθ
曳航時の翼面荷重の増加
機体への負荷の増大
曲技A:7G、実用U:5.3G
曳航時の荷重分布
曳航時の失速速度
Undesired Aircraft Stateからの回復操作
Nose High Recovery
ピッチ水平以下までエレベーター操作で機首を下げる。
ピッチが水平に近づいたら、Wing Levelにする。
対気速度をチェックし、適切なピッチ姿勢にする。
Nose Low Recovery
(失速状態であれば、先ず失速から回復させる。)
Wing Levelへ最短の方向へRollする。
エレベーター操作で機首を上げ、水平飛行に回復させる。
(1) Full Stallと Reduced G の対比
(2) 低速緩旋回からスキッドさせ、スピン初動へ
(3) 急旋回からスパイラルダイブへの遷移と、スピンとの対比
※失速している場合、十分にピッチダウンさせる
回復操作時、ダイブブレーキ閉を確認させる。(フラップは操作しない)
初動操作の経験と、(指導者が操作して)完全失速、スピンからの回復を行う。
運動包囲線図
(Understanding Glidingより)
失速エントリー
失速の兆候
・ 指示対気速度、風切り音の減少
・ バフェッティング
・ 沈下率の増大
・ ロールをエルロンでコントロールできない
・ ピッチをコントロールできない
・ 昇降率をコントロールできない
・ 失速警報器の作動
⇒ TEMで速度低下エラーを回避。
完全失速、スピンに進展する前に回復させる。
Stall
(G103A飛行規程より)
・ 機体が失速速度に近づくと、エレベーターが振動すること
によって操縦者に明確に警報が与えられる。
・ 操縦桿をその状態以上さらに後方に引くと機体は、コント
ロールの効く高い沈下を伴うようになる。その状態でも、ラ
ダーとエルロンを使用してバンク15°旋回まで飛行すること
ができる。
・ 操縦桿を放せば機体は通常の飛行状態に直ちに復帰す
る。
・ 操縦桿を急激に後方に引くと機首は上がった状態から落
下する。その状態でもエルロンを使用することによりバンクを
コントロールすることができる。
Reduced - G
81
ウィンチ曳航索切れ時や、気流の擾乱によるSomatogravic Illusionにより、失速
していると錯覚して、(加速させるために)過度に機首を下げるというような異常操
作を行うことがある。
低高度の場合、ハードランディングや、最悪の場合地面に激突する場合がある。
[Reduced - G] [失速]
・ピッチダウンにより、減速感を生じる。 ・失速している。
・(ピッチダウン時)失速していないため、 ・失速中はピッチアップできない
ピッチコントロール可能。
<Reduced-Gと失速との比較実施要領>
加速して30度程度の上昇姿勢にする。
①失速:上昇姿勢を維持し(エレベーターフルアップ)、失速して機首が落ちるのを
待つ。機首が下を向いたらエレベーターを動かし、十分に加速しないうちは、エレ
ベーターが効かないことを確認する。
②Reduced-G: 上昇姿勢から、失速しないうちにエレベーター操作で急降下姿勢
までピッチを下げる。降下中、失速と異なり、エレベーターが効くことを確認する。
完全失速
82
Reduced-G
Spiral Dive
83
悪視程にもかかわらず計器飛行の能力がない場合、乱流の影響や、技倆未
熟な場合など、急旋回の機首下げから増速し、過度な螺旋降下に進展してしま
うことがある。(W/Tで雲に入り、墜落した事故例がある。)
高度損失に伴い、加速してしまうが、修正のため操縦桿を引いても、バンクが急
なため、減速せずに過大なGがかかり、グレイアウトや、最悪の場合機体破壊に至
る場合がある。
[スパイラルダイブ] [スピン]
・速度が急激に増加 ・速度は低く、増減する
・高度損失が大きく、降下率が増大していく ・高度低下率は一定
・Gが増大していく ・Gは低いまま
スパイラルダイブからの回復
先ずエルロン(と調和したラダーを使い)でバンクを水平にし、過大なGがかからない
ように(エレベーターをピッチアップして)減速する。
Gの上昇率と眼症状の発生
Skid to Spin
<目的> スキッドから初期スピンへの遷移を体験する。
バンク20°くらいの緩旋回を行い、ラダーを旋回方向に多め
に使用し、スキッドさせる。
徐々に減速させるため、ややピッチ上げ状態を保持するよう
にエレベーターを引いていき、バンクが深くならないようにする。
旋回側にノーズ及び主翼が下がり、スピンの初動に陥ること
を確認する。
※ そのままエレベーターアップを続けると、フルスピン又はスパイラルダイブ
に遷移する。
86
スピンからの標準的な回復手順
(1) エルロン中立を確認
(2) きりもみと反対方向にラダー操作
(3) 回転が止まるまで操縦桿を前方に保持
(4) ラダーを中立にし、急降下から回復させる
オート・ローテーション(自転)
ヨーとロールのカップリング
スピン実施要領
(L23Blanik)
・速度約60km/hでラダーを一
杯に踏み、操縦桿も一杯に
引く。
・回転方向にエルロンを操作
することでスピンを維持で
きる。
・回復には、回転方向と逆の
ラダーを一杯に使用する。
・回転が止まったらラダー中立、
同時に操縦桿の引きを緩
めて前方とする。
・スピン時は60°~70°
の機首下げとなり、1旋
転の損失高度は単座で
80m、複座で120m、約
3.5秒である。
・速度計の誤差はヨーイン
グ角の増加に従って大
きくなる。
スピン中は80-
100km/h、回復時は
150-160km/hに達す
る。
スピン実施要領 (G103A)
・ 水平飛行から徐々に80km/hまで落
とし、操縦桿を後方に一杯に引き保
持する。
・ 所望する方向のラダーを一杯に踏
み、保持する。
・ 旋転速度は遅く、約3秒/旋転。
・ 失高は(回復に要する高度を入れ
ないで) 1旋転あたり約80m。
・ 回復は、旋転と反対側のラダーを
一杯に踏む。操縦桿を前方に押し中
立に。エルロンを中立に。ダイブより
スムースに引き起こす(約3.5G)。
・ 重心位置が前方の場合は、スピン
に入れにくく、スピンから早期に回復
してしまう。回復操作を実施してから
完全に停止するまで一旋転以上は
旋転しない。
スピン回復要領 (ASK21)
一般的な錐揉みからの回復
1) 方向舵を旋転方向と反対に操作する
2) しばらく上記の状態を維持する。
3) 回転が止り及び機体への正常な空気流が得られるまで、操
縦桿にかかる操縦力を緩めて操縦桿を前方に戻す。
4) 方向舵を中立位置に戻し、急降下から回復させる。
※ 回復操作を始めてから通
常の飛行姿勢に回復するま
での損失高度は約80mであ
る。通常、1旋転以内に回復
する。
・ スピン、スパイラルダイブからの回復時、オーバースピード、
オーバーGに注意する。
・ エアブレーキは~VD、-1.5~3.5Gの範囲で設計されている。
・ 2周するタイプの速度計では、速度の読み取りを間違えないよ
うに注意する。
失速・スピン回復時の注意点
• 所望の最低速度を維持しているか、速度計を確認する。(地面近
くで時間的余裕がない場合、速度計を確認する間がない場合も
ある。)
• 失速速度近傍では、引き起こし(フレア)はできない。
• 失速している場合は、素早く十分にピッチを下げる。高度に余裕
がない場合は滑空場に無理に戻らず不時着させる。
• 機首が下がっていても低速であれば、機首下げを保持し、また風
速勾配でさらに機首下げが必要な場合がある。
• 実機での異常姿勢回復訓練は、訓練自体がリスクを伴い、低高
度での見え方、風の影響を模擬できない等の限界がある
• 異常姿勢の特徴を理解し、不安を払拭して、落ち着いて回復させ
る。
異常姿勢回復訓練の目的
・ グライダーは、UASから回復させることが困難な状況
があることを認識し、回復できると過信しない。
・ グライダー運航特有のThreatを認識し、適切な
マージンを確保し、安易にErrorを起こさないようにする。
・ 予期せず異常な状態に陥ってしまった場合に備え、
焦らないよう、迅速かつ適切な回復方法を体験する。
操縦限界を追求するものではない。
安全マージンを減らすための訓練ではない。
上手に回復させるための訓練ではない。
スカイスポーツの基本要素
・ SAFETY (安全)
・ SOCIAL (社会との協調)
・ ENJOY (楽しむ)
滑空機のTEMには、
エネルギーマネージメントが重要

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