佐世保記念病院　一時的呼吸法（口腔内吸引）

1. 一時的吸引法
佐世保記念病院
山中久美子・松本宏子
（口腔内吸引）
長崎県地域医療再生臨時特例基金事業
他機関合同による新人看護職員研修システムの構築
「eラーニング活用研修プログラムの開発」実践報告

2. 目的
口腔内の貯留物や分泌物の除去
気道閉塞、低酸素血症の予防
無気肺、肺炎などの予防

3. 対象となる患者
意識障害の患者
自己排痰が困難な患者
分泌物が多く、痰の粘稠度が高い患者
禁忌
絶対的な禁忌はありません!!

4. 必要物品
①吸引器
②吸引ビン
③コネクティングチューブ
④手袋
⑤廃棄ボックス
⑥洗浄液
⑦吸引カテーテル（１４Fr)
⑧手指消毒剤
⑨聴診器
⑩パルスオキシメーター
①
③
②
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩

5. 配管にセットした吸引器
吸引器（①）を吸引ビン（②）
につなぎ、コネクティング
チューブ（③）をセットした状
態で中央配管装置につなぐ
吸引最大圧力
‐80kpa(‐600㎜Hg）
☝ポイント 1回の吸引の目安
・吸引圧は気道粘膜の損傷を防ぐため成人は
－２０kpa～-２５kpaの範囲で行う
・吸引時間は一時的に10～15秒とされるが
SpO2の低下を防ぐ、また患者の苦痛を短くす
るためには、可能なかぎり短いほうがいい
②
①
吸引圧
の範囲

6. 手順
①手洗い
石けんをよく泡立て、流水で
手洗いを行う
②患者への声かけ
これから吸引を行うことを告げ
呼吸状態を確認する。可能で
あれば咳嗽を促し、排痰しな
がら吸引を行うとよい
☝ポイント 吸引の必要性の判断
・患者の訴え「痰をとってほしい」と意思表示が
あったとき
・肺音（主気管支以上で聴かれるラ音または
喘鳴）が聴取できる
・ SpO2 、PaO2が低下している

7. ④手指消毒
速乾性擦り込み式消毒剤を手
のひらに取り、乾燥するまで
皮膚に擦り込んで消毒する
⑤手袋着用
手袋を両手に装着する
☝ポイント
・口腔内吸引の場合は、無菌操作で
なくてよい
③呼吸音の聴取（吸引前）
聴診器をあて左右の胸の
呼吸音を聴取する
（パルスオキシメーターを装着し
SpO２を測定）

8. ⑥カテーテルの準備
不潔にならないように吸引
カテーテルの袋を開けカ
テーテルを取り出す
⑦吸引カテーテルをつなぐ
吸引カテーテルとコネクティ
ングチューブをつなぐ
☝ポイント
・吸引する前に親指で吸引カテーテルの根本
を押さえ、圧がかからない状態にする

9. 図１ カテーテルによる口腔からの吸引
口腔

10. ⑧吸引カテーテルの挿入
カテーテル先端５～６㎝くらい
のところを持ち挿入。
口角に沿って7～10㎝程度、口
腔内に吸引カテーテルを挿入
（図１．参照）
⑨吸引
圧がかからない状態にしてい
た親指を離し圧をかけ口腔内
を吸引。
繰り返し行うと患者は呼吸が
できない。
10秒を1回の目安として、呼
吸を整えながら行う
親指を離す

11. ⑩通水
吸引チューブを容器の中に挿入し
洗浄液を吸い上げ、吸引チューブと
チューブの内部を洗浄する
☝ポイント
・このとき、痰の粘稠度が強いと
チューブ内に痰が残りやすい。
十分な圧力をかけて洗浄する

12. ⑪廃棄 使用した吸引カテーテルと手袋を廃棄する
吸引カテーテル
を外す
そのカテーテル
を手袋で包み込
むようにする
手袋の手首の部
分を持って指先
に持ち上げ包み
込むことで手は
汚染されない
使用した吸引カ
テーテルと手袋を
廃棄する

13. ⑫手指消毒
速乾性擦り込み式消毒剤を手
のひらに取り、乾燥するまで皮
膚に擦り込んで消毒する
⑬終了
患者に終了したことを
伝える

14. ⑭呼吸音の聴取（吸引後）
聴診器をあて左右の胸の
呼吸音を聴取する
（パルスオキシメーターのSpO２
値を最終確認）
☝ポイント
痰が粘稠で吸引できない場合
吸引圧を上げてはいけない？
吸引圧を高くすると気道を傷つけて
損傷された粘膜や組織が吸引されてく
ることがわかっており大変危険、痰が
粘稠でうまく吸引できないときには
ネブライザなどで加湿するとよい。
制限がなければ水分摂取を促すなど
痰の性状を変化させるようなケアを考
えることが重要

15. ⑮吸引物の性状を確認
吸引終了後に量と性状を
観察する
よかったですね
楽になったよ
ありがとう

16. 引用・参考文献
１．村上美好：写真でわかる臨床看護技術
インターメディカ2007、78～85
２．深井喜代子： 新体系看護学 第18巻 基礎看護学③
メヂカルフレンド社2005、379～383
３．http://youtu.be./hmCOTfzZt3K喀痰吸引等に関する演習

17. 作成者 栗原秀子 松本宏子 山中久美子
所属 佐世保記念病院
作成年月日 2014年１２月
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