データ分析精度と売上曲線
中山ところてん
今日の話
データサイエンティスト協会の資料より引用 http://www.datascientist.or.jp/news/2014/pdf/1210.pdf
ビジネスモデルを考える
売上
精度
①:リニア型
②:早期飽和型
③:ロジスティック型
④:Winnar Takes All型
⑤:バイアス型
ビジネス面の制約条件を考える
• 「人工知能で何とかしてください」
• この案件はどのタイプの利益モデルか?
• 人間のリプレイスが目的なので、人間より精度が高ければよい?
• 今の人間の精度は95%位なので、それよりも精度が高くなければ使えない
• 今の人間の精度は60%位なので、それよりも精度が高くなければ使えない
• 60%であれば、簡単なルールベースや画像処理で到達できる可能性が高い
• 機械学習を使わなくても改善が出来る
• 要求される精度次第で、使う技術が異なる
• 自らの立ち位置によって、精度売上曲線の意味が変わってくる
• 内製と下請け
YahooとGoogle
• Yahooは自社の検索ビジネスをロジスティック型だと思い込んでいた
• これ以上投資しても売上が増えないと思っていた
• http://blog.livedoor.jp/lionfan/archives/52682119.html
• GoogleはYahoo以上の投資を行い、市場を全部奪い取った
• 情報検索市場は、Googleによってロジスティック型からWTA型へ
売上
精度
Yahoo
Google
NetflixとAmazon
• NetflixやAmazonはバイアス型のビジネスモデル
• 既存ビジネスが利益を生む状態
• 機械学習により追加の売上が得られる
• 少しの改善が大きな利益を生む状態になっている
• 既存ビジネスの余剰利益が、機械学習への投資を可能にする
売上
精度
外注と内製
• 外注の場合ロジスティック型になってしまう
• 精度が一定以上超えたら検収
• 精度をより高めても、外注の場合売上が増えない
売上
精度
内製
外注
ハイリスクハイリターン、Winnter Takes Allモデル
• 情報検索や翻訳などは、この領域に突入
• 医療や自動運転などの安全が要求されるものもこのタイプ
• このような案件を1から始めるのは危険すぎる
• スモールスタートが出来ない
• 外注の場合、精度が出なかったときのリスクがデカすぎる
売上
精度
問題を変換して、スモールスタート可能にする
• 自動運転車の例
• 自動運転技術を段階化することで、マーケットが受容可能にする
• レベル1:運転支援 自動ブレーキ、アダプティブクルーズコントロール(ACC)
• レベル2:部分運転自動化 ハンドル操作、加減速の支援、ACCの拡張
• レベル3:条件付き自動運転 天候や交通量などの条件が整った環境での自動運転
• レベル4:高度自動運転 条件が整った環境では乗員が不要になる
• レベル5:完全自動運転 どんな条件でも自律的に走行してくれる
価値
精度
価値
精度
超危険な案件
• データ分析の精度が高いことを前提にした新規ビジネス
• これが設定されるとヤバい
• 精度が上がらないと死
• ユーザがいないので精度も上がらない
• 精度が上がらないとユーザが付かない
• こういう案件からは今すぐ逃げろ!!!
価値
精度
問題を変換して、スモールスタート可能にする
• BIの導入から行う
• 「人工知能で何とかしてください」系の雑案件にはBI投入で応える
• BIを導入して、基礎KPIから会社の改善を行い、ベースラインを提供
• ベースラインを提供している間に、機械学習で改善できるものを見出す
価値
精度
価値
精度
データ分析のコストと売上の関係性
• 単価がでかくてボリュームが大きいものほど改善幅は大きくなる
• 単価が安くてボリュームが小さいものに対するデータ分析は、コストメリットが出ない
• データ分析のコストと、売上の関係性を考える
• より多くのデータを取れば、それだけ精度は上がるがコストも上がる
• 必要以上のデータを取りすぎて赤字になることもある
• ムーアの法則を考慮する
• ストレージとCPUは年々値下がりする
• ただし、クラウドの値下がりは、それよりも遅い
• 場合によっては自前でDCを構築することもある Ex) Dropboxの上場目論見書
• 将来コストが下がることを前提に多めにデータをとっても良い
• 感覚値
• 機械学習で性能改善できるのは30%(というのが私の感覚値)
• それ以上の改善を要求された場合は、企画からやったほうがいい
ビジネスの握りで、課題の成否は決まる
• アルゴリズムだけを学んでいても問題解決できない
データサイエンティスト協会の資料より引用 http://www.datascientist.or.jp/news/2014/pdf/1210.pdf
まとめ
• 機械学習の精度と売上の曲線を意識する
• 精度と売上の曲線を変形できないか考える
• ビジネスの握り次第で、曲線の形は変わる
• 機械学習とビジネスモデルをセットで考える
• 機械学習をスモールスタート可能な状態を作り出す
• スモールスタート可能にすることで、ローリスクハイリターンの環境を
作り出し、持続可能なビジネスを形成する

機械学習の精度と売上の関係