心因性めまい1例と頭部外傷後のめまい1例

1. 心因性めまい1例と
頭部外傷後のめまい1例
帝京大学医学部耳鼻咽喉科
鴨頭輝

2. 症例 1 22歳女性 機能性難聴
• 前医より約一ヶ月前からの機能性難聴及びめまい精
査目的に紹介受診
• 昨日は全く聞こえなかったが今日は少し聞こえる。
• 一ヶ月前から一日中の回転性の眩暈
• ここ一ヶ月頭痛あり近医でロキソニン処方。
• 最初に目の前がちかちかして、視界が狭くなり、その
あとめまいも生じたり気持ち悪くなる。
• 内服：サインバルタ、ランドセン、ゾルピデム、フルニ
トラゼパム、センノシド、ピレチア、アルプラゾラム、ロ
キソニン、イミグラン、ナウゼリン

3. • 注視眼振 なし EOM full pursuit smooth
• HIT CS(-)
• 頭位眼振 頭位変換眼振 なし

4. PTA
H29-11-9H29-10-19

5. LeftRight
DPOAE
SR
右 poor study
左 反応+

7. 開眼
閉眼

8. 症例1

9. 症例1

10. 症例1

11. ENG
• カロリックにおいてCCDでは眼振誘発を認めるが、
記録波形に出ない

13. 『平衡機能検査の実際』 (1987) より

14. • 検査時には検査設定条件にも注意を払う
• ハムフィルタとして5Hzは基本的にあまり使わない

16. 症例 2 50歳 男性 頭部重症外傷
• 2014-4月飲酒転倒頭部重症外傷
• 右不全麻痺、身障1級
• 2015-8月 1分から20分の回転性めまい発作と同時に
耳鳴りが日に数回あり受診
BPPV疑いで１回で終診
• 2018- 座っているとめまいないが歩くときにめまいが
一日中続く。震度2-3くらい。
• 既往歴 結核、HCV、肝硬変、DM
• 14年前に外リンパ瘻で獨協で手術 詳細不明
• 内服：アレビアチン、ビムパット、イーケプラ、セファ
ドール、セロクラール

19. • 注視眼振 なし
EOM full
pursuit ややsaccadic
• HIT CS 右+
• 頭位眼振 頭位変換眼振
fine定方向性水平右向き眼振

20. PTA
H29-12-26H26-10-11

21. 症例2

22. 症例2
Rt 20/s VS 20%

23. 症例2
Lt 28/s VS 42% Rt-CP17%

25. 涙型

26. 開眼
閉眼

27. • 心因性めまい
• 抗てんかん薬によるめまい
• 脳外科ではアレビアチン(PHT)漸減終了しビム
パット(ラコサミド、抗てんかん薬の新薬)増量、
イーケプラ（レベチラセタム）そのままで経過観察

28. 抗てんかん薬の聴覚への副作用
• CBZ
– 半音下がったという報告がかなり(2-30件)ある
• VPA
– 感音難聴を起こしたという報告が5件程度ある
• PHT・VPA・CBZ
– いずれもABRで潜時延長の報告が10件以上ある
• てんかん薬とは関係ないが
風邪薬の一種のフラベリック（ベンプロペリン）
– 半音下がったという報告あり
Hamed SA. Expert Opin Drug Saf. 2017 Nov;16(11):1281-1294.

29. 抗てんかん薬の前庭機能への副作用
• PHT
– Pursuit trackingの障害(De Diego JI 2001)
• CBZ
– 運動失調・注視障害・OKN障害(Umeda 1977)
• Hamed SA et al. 2017
– CBZで治療中のてんかん患者
– めまい62%、平衡障害感覚44%、saccadic異常44%、
pursuit異常42%、OKN異常42%、重心動揺計異常11%、
カロリック異常13%
Hamed SA. Expert Opin Drug Saf. 2017 Nov;16(11):1281-1294.

30. 抗てんかん薬の副作用機序
Hamed SA. Expert Opin Drug Saf. 2017 Nov;16(11):1281-1294.