先天性眼振の一例

1. 先天性眼振の一例
東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科
鴨頭輝

2. 52歳男性
• 主訴 繰り返す数秒の浮動性めまいと頭痛
• １年前 なんとなくふらつくめまいがあり近医受診。
左耳が少し悪いといわれたがよく覚えていない。
転倒するほどでもなかった。
• 半年前 交通事故で頸椎捻挫 現在は症状は軽い。
• 2ヶ月前 ふらつき頭痛で近医受診、
MRIで篩骨洞、蝶形骨洞の液体貯留を認め、
副鼻腔炎の診断。
１年前のめまいほどでもないが歩いているときに、
地震のように沈む感じが数秒ある。
寝ていても地震かと思う時が数秒程度ある。
近医受診し、方向交代性背地性眼振を指摘され、
pursuit saccadic様で中枢性を疑われ、当院紹介受診

3. • 白い背景で黒いもやが見え眼科受診を指示されたが眼
底検査で問題なく終診。
• 頭痛は冷えピタを使って改善する程度。横になるほど辛
いとか薬をのむほどの痛みではない。血圧は朝に１３０・
８０程度。
• 内服 アダラート ネキシウム フェブリク
アトルバスタチン パルモディア クラリシッド
ムコダイン

4. • 両側鼓膜異常なし
• 歩行：自立歩行問題なく可
• 下肢振動覚：問題なし
• 回内・回外試験・鼻指鼻試験：問題なし
• EOM full、pursuit saccadic様(先天性眼振を疑う)
• 足踏み検査：normal HSN：- VIN：-
• DTR： biceps R4/L4 knee R4/L4
• NFN test：normal Finger tap：normal 深部感覚：normal

31. • Pursuit：眼振が重畳
• Saccade：ほぼ正常
• OKP：錯倒
• Caloric：常温 右7.4d/s VS39.4％ 左6.3d/s VS66.7％
• 重心動揺検査：軌跡長 137/144
Rubber Romberg 面積1.72/速度1.71/実効値1.16 判定：C
• ｖHIT gain Lateral L0.94/R0.89
LARP L0.82/R0.76 RALP L0.86/R0.81
• AC-cVEMP (500 Hz) ：右 無反応
• BC-cVEMP：正常
• BC-oVEMP：正常
• AC-oVEMP：右刺激 無反応
• 先天性眼振 右内耳性めまいの疑い(耳石器障害)
• 症状は強くなく経過観察の方針