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日本教育工学会第32回大会発表資料
- 3. 3 1.研究の背景
- 6. 6 ■ 認知処理 ■ 時間の負荷 技能者は、作業中、WM上で認知処理する （Barrouillet et al, 2011） WMに認知負荷 WMを圧迫 失敗の増加 （Hobbs & Williamson, 2000）
- 7. 7 技能遂行における認知負荷調整モデル ■ 認知負荷 ■ 時間の負荷について 時間 判断 感情 記憶 （羽田野・菊池, 2016） 技能者は、作業中、WM上で認知処理する ■ 認知方略 →3要因 →負荷を軽減 作業の遅れ＝前提 →対処方略を運用
- 9. 9 2.方法
- 10. 10 熟練者一事例を対象とした質的分析を実施 ■ 対象：技能五輪選手B（A社所属） 出場→4回（3回で上位入賞） ■ データ：筆頭著者と12回面談→得られた言語データ ■ 手法：SCAT を参考に分析（大谷, 2011） 概念抽出→理論化→時間負荷と時間方略の仮説モデルを生成 参加1回目の大会→1回目大会期 ■ 分析単位：4期間に分割
- 12. ［時間圧増幅メカニズム］ ［外枠としての制限時間］ ［作業課題量］ 自動的に減少 作業遂行で減少 ［作業遅れ］ ［作業ミス］ 減少を抑制 ］［作業課題量］ 自動的に減少 ・制限時間が減少し，作業課題量が減らない場合，時間圧が高まる ・作業遅れや作業ミスがあると，時間は減少するが、作業量は減少しない ・WMに負荷がかかる，焦り等の感情反応を誘発する ［外枠としての制限時間］ の知識化 ［時間圧増幅メカニズム］ ［時間圧低下システム］ ・制限時間が減少し、課題量が残る場合の 時間圧増幅に対処 ・時間資源を確保し、WMへの負荷を減少 ［リカバリ・バッファ］ ミスのリカバリ用に、予め余剰時間を 配分し，時間資源の消費を防ぐ 遅れた場合に作業を省略して作業量を減らし， 時間圧を低下させる ［合理的作業省略］ ［時間圧増幅メカニズム］ への対処 の予防 ［遅れの所与化］に基づいた ［時間資源管理システム］ ［図面の時間資源予測］ 必要時間資源 余剰資源 ［区間推定的完了時間目標］ ・［時間圧低下システム］から，より包括的なシステムへと発展 ・作業前に，［時間資源見積り方略］で利用可能な時間資源を見積る ・その際，作業遅れでも時間圧が高まらないよう完了時間の目標は幅をとる ・見積りを元に，［ペース制御方略］によって作業時間を制御する ・時間圧増幅の兆候があれば、それを検知し，増幅する前に対処する ［時間資源見積り方略］ 図面を見て、完了に必要な 時間資源を予測する 許容できる遅れの範囲を推定 し、完了時間に幅をもたせる ［ペース制御方略］ ［解離時間モニタリング］ ［時間資源残量モニタリング］ ［順調度維持モニタリング］ ［時間内優先減点配慮型省略］ 見積った時間資源と今の時間を比較し 、解離を検出 時間資源の残量を把握 解離と残量を考慮し、対処が必要かを 判断する 省略による減点が小さくなるよう配慮 しつつ、必要な時間資源を確保する ［時間資源管理システム］の精緻化［焦らず急ぐ作業］を目標とした ［作業課題量］ ［外枠の拡張］ 準備時間が割愛される可能性など、 予想外の時間資源変動を考慮する 1回目大会期 2回目大会期 3回目大会期 ［ペース制御方略］ ［減点/獲得時間比省略］ 減点の少なさと省略により獲得でき る時間資源の多さの比が最大になる ように、省略作業を選択する ［時間資源見積り方略］ ［作業課題量］ 4回目大会期 ・3回目大会期までに構築したシステムを踏襲し，各方略を精緻化 ［作業課題量］ ※［ ］はSCATで抽出した概念，それ以外の文字は概念に関する説明を表す ※ グレーの［ ］は上位概念、それ以外の［ ］をその下位概念を意味する 減少しない
- 13. ［時間圧増幅メカニズム］ ［外枠としての制限時間］ ［作業課題量］ 自動的に減少 作業遂行で減少 ［作業遅れ］ ［作業ミス］ 減少を抑制 ］［作業課題量］ 自動的に減少 ・制限時間が減少し，作業課題量が減らない場合，時間圧が高まる ・作業遅れや作業ミスがあると，時間は減少するが、作業量は減少しない ・WMに負荷がかかる，焦り等の感情反応を誘発する ［外枠としての制限時間］ の知識化 ［時間圧増幅メカニズム］ ［時間圧低下システム］ ・制限時間が減少し、課題量が残る場合の 時間圧増幅に対処 ・時間資源を確保し、WMへの負荷を減少 ［リカバリ・バッファ］ ミスのリカバリ用に、予め余剰時間を 配分し，時間資源の消費を防ぐ 遅れた場合に作業を省略して作業量を減らし， 時間圧を低下させる ［合理的作業省略］ ［時間圧増幅メカニズム］ への対処 の予防 ［遅れの所与化］に基づいた ［時間資源管理システム］ ［図面の時間資源予測］ 必要時間資源 余剰資源 ［区間推定的完了時間目標］ ・［時間圧低下システム］から，より包括的なシステムへと発展 ・作業前に，［時間資源見積り方略］で利用可能な時間資源を見積る ・その際，作業遅れでも時間圧が高まらないよう完了時間の目標は幅をとる ・見積りを元に，［ペース制御方略］によって作業時間を制御する ・時間圧増幅の兆候があれば、それを検知し，増幅する前に対処する ［時間資源見積り方略］ 図面を見て、完了に必要な 時間資源を予測する 許容できる遅れの範囲を推定 し、完了時間に幅をもたせる ［ペース制御方略］ ［解離時間モニタリング］ ［時間資源残量モニタリング］ ［順調度維持モニタリング］ ［時間内優先減点配慮型省略］ 見積った時間資源と今の時間を比較し 、解離を検出 時間資源の残量を把握 解離と残量を考慮し、対処が必要かを 判断する 省略による減点が小さくなるよう配慮 しつつ、必要な時間資源を確保する ［時間資源管理システム］の精緻化［焦らず急ぐ作業］を目標とした ［作業課題量］ ［外枠の拡張］ 準備時間が割愛される可能性など、 予想外の時間資源変動を考慮する 1回目大会期 2回目大会期 3回目大会期 ［ペース制御方略］ ［減点/獲得時間比省略］ 減点の少なさと省略により獲得でき る時間資源の多さの比が最大になる ように、省略作業を選択する ［時間資源見積り方略］ ［作業課題量］ 4回目大会期 ・3回目大会期までに構築したシステムを踏襲し，各方略を精緻化 ［作業課題量］ ※［ ］はSCATで抽出した概念，それ以外の文字は概念に関する説明を表す ※ グレーの［ ］は上位概念、それ以外の［ ］をその下位概念を意味する 減少しない
- 15. ［時間圧増幅メカニズム］ ［外枠としての制限時間］ ［作業課題量］ 自動的に減少 作業遂行で減少 ［作業遅れ］ ［作業ミス］ 減少を抑制 ］［作業課題量］ 自動的に減少 ・制限時間が減少し，作業課題量が減らない場合，時間圧が高まる ・作業遅れや作業ミスがあると，時間は減少するが、作業量は減少しない ・WMに負荷がかかる，焦り等の感情反応を誘発する ［外枠としての制限時間］ の知識化 ［時間圧増幅メカニズム］ ［時間圧低下システム］ ・制限時間が減少し、課題量が残る場合の 時間圧増幅に対処 ・時間資源を確保し、WMへの負荷を減少 ［リカバリ・バッファ］ ミスのリカバリ用に、予め余剰時間を 配分し，時間資源の消費を防ぐ 遅れた場合に作業を省略して作業量を減らし， 時間圧を低下させる ［合理的作業省略］ ［時間圧増幅メカニズム］ への対処 の予防 ［遅れの所与化］に基づいた ［時間資源管理システム］ ［図面の時間資源予測］ 必要時間資源 余剰資源 ［区間推定的完了時間目標］ ・［時間圧低下システム］から，より包括的なシステムへと発展 ・作業前に，［時間資源見積り方略］で利用可能な時間資源を見積る ・その際，作業遅れでも時間圧が高まらないよう完了時間の目標は幅をとる ・見積りを元に，［ペース制御方略］によって作業時間を制御する ・時間圧増幅の兆候があれば、それを検知し，増幅する前に対処する ［時間資源見積り方略］ 図面を見て、完了に必要な 時間資源を予測する 許容できる遅れの範囲を推定 し、完了時間に幅をもたせる ［ペース制御方略］ ［解離時間モニタリング］ ［時間資源残量モニタリング］ ［順調度維持モニタリング］ ［時間内優先減点配慮型省略］ 見積った時間資源と今の時間を比較し 、解離を検出 時間資源の残量を把握 解離と残量を考慮し、対処が必要かを 判断する 省略による減点が小さくなるよう配慮 しつつ、必要な時間資源を確保する ［時間資源管理システム］の精緻化［焦らず急ぐ作業］を目標とした ［作業課題量］ ［外枠の拡張］ 準備時間が割愛される可能性など、 予想外の時間資源変動を考慮する 1回目大会期 2回目大会期 3回目大会期 ［ペース制御方略］ ［減点/獲得時間比省略］ 減点の少なさと省略により獲得でき る時間資源の多さの比が最大になる ように、省略作業を選択する ［時間資源見積り方略］ ［作業課題量］ 4回目大会期 ・3回目大会期までに構築したシステムを踏襲し，各方略を精緻化 ［作業課題量］ ※［ ］はSCATで抽出した概念，それ以外の文字は概念に関する説明を表す ※ グレーの［ ］は上位概念、それ以外の［ ］をその下位概念を意味する 減少しない
- 17. ［時間圧増幅メカニズム］ ［外枠としての制限時間］ ［作業課題量］ 自動的に減少 作業遂行で減少 ［作業遅れ］ ［作業ミス］ 減少を抑制 ］［作業課題量］ 自動的に減少 ・制限時間が減少し，作業課題量が減らない場合，時間圧が高まる ・作業遅れや作業ミスがあると，時間は減少するが、作業量は減少しない ・WMに負荷がかかる，焦り等の感情反応を誘発する ［外枠としての制限時間］ の知識化 ［時間圧増幅メカニズム］ ［時間圧低下システム］ ・制限時間が減少し、課題量が残る場合の 時間圧増幅に対処 ・時間資源を確保し、WMへの負荷を減少 ［リカバリ・バッファ］ ミスのリカバリ用に、予め余剰時間を 配分し，時間資源の消費を防ぐ 遅れた場合に作業を省略して作業量を減らし， 時間圧を低下させる ［合理的作業省略］ ［時間圧増幅メカニズム］ への対処 の予防 ［遅れの所与化］に基づいた ［時間資源管理システム］ ［図面の時間資源予測］ 必要時間資源 余剰資源 ［区間推定的完了時間目標］ ・［時間圧低下システム］から，より包括的なシステムへと発展 ・作業前に，［時間資源見積り方略］で利用可能な時間資源を見積る ・その際，作業遅れでも時間圧が高まらないよう完了時間の目標は幅をとる ・見積りを元に，［ペース制御方略］によって作業時間を制御する ・時間圧増幅の兆候があれば、それを検知し，増幅する前に対処する ［時間資源見積り方略］ 図面を見て、完了に必要な 時間資源を予測する 許容できる遅れの範囲を推定 し、完了時間に幅をもたせる ［ペース制御方略］ ［解離時間モニタリング］ ［時間資源残量モニタリング］ ［順調度維持モニタリング］ ［時間内優先減点配慮型省略］ 見積った時間資源と今の時間を比較し 、解離を検出 時間資源の残量を把握 解離と残量を考慮し、対処が必要かを 判断する 省略による減点が小さくなるよう配慮 しつつ、必要な時間資源を確保する ［時間資源管理システム］の精緻化［焦らず急ぐ作業］を目標とした ［作業課題量］ ［外枠の拡張］ 準備時間が割愛される可能性など、 予想外の時間資源変動を考慮する 1回目大会期 2回目大会期 3回目大会期 ［ペース制御方略］ ［減点/獲得時間比省略］ 減点の少なさと省略により獲得でき る時間資源の多さの比が最大になる ように、省略作業を選択する ［時間資源見積り方略］ ［作業課題量］ 4回目大会期 ・3回目大会期までに構築したシステムを踏襲し，各方略を精緻化 ［作業課題量］ ※［ ］はSCATで抽出した概念，それ以外の文字は概念に関する説明を表す ※ グレーの［ ］は上位概念、それ以外の［ ］をその下位概念を意味する 減少しない
- 20. ［時間圧増幅メカニズム］ ［外枠としての制限時間］ ［作業課題量］ 自動的に減少 作業遂行で減少 ［作業遅れ］ ［作業ミス］ 減少を抑制 ］［作業課題量］ 自動的に減少 ・制限時間が減少し，作業課題量が減らない場合，時間圧が高まる ・作業遅れや作業ミスがあると，時間は減少するが、作業量は減少しない ・WMに負荷がかかる，焦り等の感情反応を誘発する ［外枠としての制限時間］ の知識化 ［時間圧増幅メカニズム］ ［時間圧低下システム］ ・制限時間が減少し、課題量が残る場合の 時間圧増幅に対処 ・時間資源を確保し、WMへの負荷を減少 ［リカバリ・バッファ］ ミスのリカバリ用に、予め余剰時間を 配分し，時間資源の消費を防ぐ 遅れた場合に作業を省略して作業量を減らし， 時間圧を低下させる ［合理的作業省略］ ［時間圧増幅メカニズム］ への対処 の予防 ［遅れの所与化］に基づいた ［時間資源管理システム］ ［図面の時間資源予測］ 必要時間資源 余剰資源 ［区間推定的完了時間目標］ ・［時間圧低下システム］から，より包括的なシステムへと発展 ・作業前に，［時間資源見積り方略］で利用可能な時間資源を見積る ・その際，作業遅れでも時間圧が高まらないよう完了時間の目標は幅をとる ・見積りを元に，［ペース制御方略］によって作業時間を制御する ・時間圧増幅の兆候があれば、それを検知し，増幅する前に対処する ［時間資源見積り方略］ 図面を見て、完了に必要な 時間資源を予測する 許容できる遅れの範囲を推定 し、完了時間に幅をもたせる ［ペース制御方略］ ［解離時間モニタリング］ ［時間資源残量モニタリング］ ［順調度維持モニタリング］ ［時間内優先減点配慮型省略］ 見積った時間資源と今の時間を比較し 、解離を検出 時間資源の残量を把握 解離と残量を考慮し、対処が必要かを 判断する 省略による減点が小さくなるよう配慮 しつつ、必要な時間資源を確保する ［時間資源管理システム］の精緻化［焦らず急ぐ作業］を目標とした ［作業課題量］ ［外枠の拡張］ 準備時間が割愛される可能性など、 予想外の時間資源変動を考慮する 1回目大会期 2回目大会期 3回目大会期 ［ペース制御方略］ ［減点/獲得時間比省略］ 減点の少なさと省略により獲得でき る時間資源の多さの比が最大になる ように、省略作業を選択する ［時間資源見積り方略］ ［作業課題量］ 4回目大会期 ・3回目大会期までに構築したシステムを踏襲し，各方略を精緻化 ［作業課題量］ ※［ ］はSCATで抽出した概念，それ以外の文字は概念に関する説明を表す ※ グレーの［ ］は上位概念、それ以外の［ ］をその下位概念を意味する 減少しない
- 21. 21 ［外枠の拡張］ 準備時間が割愛される可能性など、 予想外の時間資源変動を考慮する ［減点/獲得時間比省略］ 減点の少なさと省略により 獲得できる時間資源の多さ の比が最大になるように、 省略作業を選択する ［時間資源管理システム］ の精緻化［焦らず急ぐ作業］を目標とした ［時間資源管理システム］ ［時間資源見積り方略］ ［ペース制御方略］ ［作業課題量］
- 22. 22 ■ 熟練技能者 考察 時間圧増幅メカニズム WM 負荷 時間資源管理システム 迅速で正確な作業の遂行厳しい制限時間 → → ↓ ↑ ↑ ↑ → 予測 制御 五
- 24. 24 指導への活用例 知識や技能はあるが、焦って本番で実力を発揮できない リカバリ時間 ■ 感情の問題ではなく、時間負荷の問題として指導できる可能性 ■ 時間管理の方法論を共有しやすくなる可能性 → 作業ミス 焦って作業 五 過剰な予測正確な予測 時間圧増幅メカニズム 負荷→ WM ↓ → ↑ ↑
Editor's Notes
- 0→1 トーン、スピード、間、プロミネンス ・名前（ロッコはいらない） ・職業能力開発総合大学校 ・技能五輪全国大会に出場する選手の技能習得支援、メンタル面から。 技能五輪は、成果を発表する場 10年目のベテラン→15時間の作業を5時間程度で終了 →なぜ可能なのか→認知負荷に注目し、技能指導に資する知見を得る目的で研究している。
- 1-1
- 1-2
- 3-1 ・課題及び図面を正確に理解し，構築する技能 当日に変更される課題や公開される図面などもあり、自らがそれらを理解し、課題をやり遂げる技能が必要である． ・課題を時間内に正確に終えるための技能 課題の総量は非常に多く，全選手の3割程度しか終了しない．そのため，いかに無駄を省き効率良く課題を行うかが重要となる．
- 3-2 ・課題及び図面を正確に理解し，構築する技能 当日に変更される課題や公開される図面などもあり、自らがそれらを理解し、課題をやり遂げる技能が必要である． ・課題を時間内に正確に終えるための技能 課題の総量は非常に多く，全選手の3割程度しか終了しない．そのため，いかに無駄を省き効率良く課題を行うかが重要となる．
- 4-1
- 4-2
- 4-3 技能訓練で、時間の負荷と対処方略を一つの技能として指導する上で重要な示唆が得られる
- 5-1
- 5-2
- 5-3
- 6-1
- 7-1
- 7-2
- 8-1
- 8-2 ・制限時間が減少し、課題量が残る場合の 時間圧増幅に対処 ・時間資源を確保し、WMへの負荷を減少
- 9-1
- 9-2 ・作業前＝［時間資源見積り方略］→利用可能な時間 資源を見積る ・作業遅れ→時間圧が高まらない→完了時 間の目標は幅をとる
- 10-1 ・見積りを元に，［ペース制御方略］によって作業時間 を制御する ・時間圧増幅の兆候があれば、それを検知し，増幅す る前に対処する
- 11-1
- 11-2
- 12-1 熟練技能者が作業遂行中の時間負荷をどう認識し，対処方略を構築・運用するかについて，仮説モデルを生成することを目的とした．2つ可能性が示された
- 13-1
- 13-2 熟練技能者が作業遂行中の時間負荷をどう認識し，対処方略を構築・運用するかについて，仮説モデルを生成することを目的とした．2つ可能性が示された