3年間に渡るRaspberry Pi を使った情報工学科の
学部学生向けの英語の授業とその改善
福山大学情報工学科 山之上 卓
• 工学部の学生は英語が苦手な場合が多い[1][2]. しかしながら工学部の多くでは, 最新の技術や理論を修得するためには英
語で記載されたマニュアルや論文を読む必要が生じる.
• 3年間に渡って専門英語の授業を実施. 初年度には, 英語が苦手な学生が退屈せずに英語を学習する手段をいくつか考え
てみて, 実際にそれを授業に取り入れて実施. 以降, 改善を実施中.
小テストと期末テスト
• 1年目…手を動かしながら英文テキストを読む, 原則教えない(アクティブラーニング・グループ学習の導入),
毎回単語調べ, テキストの概要を毎回報告
• 2年目… グループ学習に参加しない学生が目立つので小テスト実施を追加(1年目の終りから), 各授業ごと
に, 最初に小テストの問題を学生に公表. 概要報告を削除
• 3年目… 期末テストを追加, 小テストの説明を追加, グループ学習に参加しない学生が目立つので後半, 作
業内容報告を追加
手法と改善
R² = 0.0287
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0 2 4 6 8 10 12 14 16
成績
回数
2年目の回数と成績(8割以上正解した人数の割合)の関係
R² = 0.0063
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0 2 4 6 8 10 12 14
成績
1回の問題数
2年目の問題数と成績(8割以上正解した人数の割合)の関
係
R² = 0.1604
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
0 2 4 6 8 10 12 14 16
成績
回数
3年目の回数と成績(8割以上正解した人数の割合)の関
係
R² = 0.147
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
0 2 4 6 8 10 12 14
成績
1回の問題数
3年目の問題数と成績(8割以上正解した人数の割合)の関
係
R² = 0.4263
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
3年目の成績
2年目の成績
2年目と3年目の同じ回の小テストの成績
(8割以上正解した人数の割合)の関係
学生の授業評価アンケート結果の一部と感想・要望の例
受講者数 回答者数 回答率
進め方/
授業準備
話し方 計画性
授業
時間
講義の
工夫
質問への
誠意
満足度
意欲の
高まり
学修の
成果
平均 その年度の改善項目 学生の感想・要望の例
1年目 40 30 0.75 4.2 4.3 4.5 4.67 3.83 4.48 3.57 3.03 3.73 4.03
○ 手を動かしながら英文テ
キストを読む
○ 原則教えない(アクティブ
ラーニング・グループ学習の
導入)
○ なんだかんだで英語力がついていることを
知った.
○ 実験など実際に自分たちで教科書を読み
取り, ラズベリーパイを動かすことができ, とて
も楽しかった.
2年目 31 22 0.71 4.05 3.77 4.37 4.64 3.23 4.1 3.32 3.23 3.27 3.78
○ 小テストの導入 ○ 難しかったが楽しかった.
○ 課題のやり方をもう少し具体的にして教え
てくれたら良いと思います
○ 難しいから対策プリントとか用意してほしい
3年目 35 19 0.54 4.32 4.05 4.63 4.32 3.84 4.77 3.84 3.16 3.79 4.08
○ 小テスト解答説明をLMS
に記載
○ 期末テストの導入
○ 教科書を読むときに、一々英語から日本
語へ変換して読むのではなく簡単な文章なら
ば英語のまま理解することができるようにな
れてよかったです。
○ 単語調べやレポートなどのセレッソ関係の
公開が遅れているので見直してほしいです。
授業評価アンケート
GPIOその1
Games
Programming
Getting Started
Files and the Internet
おわりに
• 3年間に渡り, Raspberry PiとRaspberry Pi上のPython プログラミングの教科書と, CMS(Manaba)と, Portable Cloudと, グループ学習によるActive Learningを使って, 英語の授業.
• 目的意識を持って大学に来ている学生にとっては, この授業は役に立ったよう. 参加していない学生対策として,, 1年目の終わりころから小テストを実施.
• 2年目の授業アンケート結果は1年目より悪くなった. この授業は学生の期待に背いている可能性がある.学生の期待に応えて, 教える授業をある程度加えることも必要かもしれない.
• グループ活動がどのくらい活発か否かを定量的に, リアルタイムで示してくれる仕組みがあると便利である. それを実現する試みも始めている.
• 4年目に向けて… CMSの操作間違い/忘れをしないように. 毎回同じ単語テストを行う(英語の100升計算に相当するもの)?
関連研究
• 東京電機大学情報環境学部の英語教育… 能力別クラス分け, 短期留学SAによるモチベーションの向上…, アクティブラーニング, 情報工学科の学生に特化した教科書はなし
• 東洋大学工学部英語教育の試み… 学科ごとに, 見合った題材, 期間中に3回のテスト…, アクティブラーニング・グループ学習なし.
• Academic Writing Space … 専門英語のための Courseware, 高度, … 学部学生の専門英語の利用には高度すぎる..
• Meticulous Learning Follow up Systems… Item Response Theory を使った頻繁な小テストの実施…, 本授業で参考
はじめに
使用した教科書
授業風景
0
1
2
3
4
5
6
7
8
F1 D2 D1 C2 C1 B2 B1 A2 A1
人数
成績
3年目期末テストの成績の度数分布
(55点から100点までを5点刻みで分類)

3年間に渡るRaspberry Pi を使った情報工学科の学部学生向けの英語の授業とその改善

  • 1.
    3年間に渡るRaspberry Pi を使った情報工学科の 学部学生向けの英語の授業とその改善 福山大学情報工学科山之上 卓 • 工学部の学生は英語が苦手な場合が多い[1][2]. しかしながら工学部の多くでは, 最新の技術や理論を修得するためには英 語で記載されたマニュアルや論文を読む必要が生じる. • 3年間に渡って専門英語の授業を実施. 初年度には, 英語が苦手な学生が退屈せずに英語を学習する手段をいくつか考え てみて, 実際にそれを授業に取り入れて実施. 以降, 改善を実施中. 小テストと期末テスト • 1年目…手を動かしながら英文テキストを読む, 原則教えない(アクティブラーニング・グループ学習の導入), 毎回単語調べ, テキストの概要を毎回報告 • 2年目… グループ学習に参加しない学生が目立つので小テスト実施を追加(1年目の終りから), 各授業ごと に, 最初に小テストの問題を学生に公表. 概要報告を削除 • 3年目… 期末テストを追加, 小テストの説明を追加, グループ学習に参加しない学生が目立つので後半, 作 業内容報告を追加 手法と改善 R² = 0.0287 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0 2 4 6 8 10 12 14 16 成績 回数 2年目の回数と成績(8割以上正解した人数の割合)の関係 R² = 0.0063 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0 2 4 6 8 10 12 14 成績 1回の問題数 2年目の問題数と成績(8割以上正解した人数の割合)の関 係 R² = 0.1604 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 0 2 4 6 8 10 12 14 16 成績 回数 3年目の回数と成績(8割以上正解した人数の割合)の関 係 R² = 0.147 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 0 2 4 6 8 10 12 14 成績 1回の問題数 3年目の問題数と成績(8割以上正解した人数の割合)の関 係 R² = 0.4263 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 3年目の成績 2年目の成績 2年目と3年目の同じ回の小テストの成績 (8割以上正解した人数の割合)の関係 学生の授業評価アンケート結果の一部と感想・要望の例 受講者数 回答者数 回答率 進め方/ 授業準備 話し方 計画性 授業 時間 講義の 工夫 質問への 誠意 満足度 意欲の 高まり 学修の 成果 平均 その年度の改善項目 学生の感想・要望の例 1年目 40 30 0.75 4.2 4.3 4.5 4.67 3.83 4.48 3.57 3.03 3.73 4.03 ○ 手を動かしながら英文テ キストを読む ○ 原則教えない(アクティブ ラーニング・グループ学習の 導入) ○ なんだかんだで英語力がついていることを 知った. ○ 実験など実際に自分たちで教科書を読み 取り, ラズベリーパイを動かすことができ, とて も楽しかった. 2年目 31 22 0.71 4.05 3.77 4.37 4.64 3.23 4.1 3.32 3.23 3.27 3.78 ○ 小テストの導入 ○ 難しかったが楽しかった. ○ 課題のやり方をもう少し具体的にして教え てくれたら良いと思います ○ 難しいから対策プリントとか用意してほしい 3年目 35 19 0.54 4.32 4.05 4.63 4.32 3.84 4.77 3.84 3.16 3.79 4.08 ○ 小テスト解答説明をLMS に記載 ○ 期末テストの導入 ○ 教科書を読むときに、一々英語から日本 語へ変換して読むのではなく簡単な文章なら ば英語のまま理解することができるようにな れてよかったです。 ○ 単語調べやレポートなどのセレッソ関係の 公開が遅れているので見直してほしいです。 授業評価アンケート GPIOその1 Games Programming Getting Started Files and the Internet おわりに • 3年間に渡り, Raspberry PiとRaspberry Pi上のPython プログラミングの教科書と, CMS(Manaba)と, Portable Cloudと, グループ学習によるActive Learningを使って, 英語の授業. • 目的意識を持って大学に来ている学生にとっては, この授業は役に立ったよう. 参加していない学生対策として,, 1年目の終わりころから小テストを実施. • 2年目の授業アンケート結果は1年目より悪くなった. この授業は学生の期待に背いている可能性がある.学生の期待に応えて, 教える授業をある程度加えることも必要かもしれない. • グループ活動がどのくらい活発か否かを定量的に, リアルタイムで示してくれる仕組みがあると便利である. それを実現する試みも始めている. • 4年目に向けて… CMSの操作間違い/忘れをしないように. 毎回同じ単語テストを行う(英語の100升計算に相当するもの)? 関連研究 • 東京電機大学情報環境学部の英語教育… 能力別クラス分け, 短期留学SAによるモチベーションの向上…, アクティブラーニング, 情報工学科の学生に特化した教科書はなし • 東洋大学工学部英語教育の試み… 学科ごとに, 見合った題材, 期間中に3回のテスト…, アクティブラーニング・グループ学習なし. • Academic Writing Space … 専門英語のための Courseware, 高度, … 学部学生の専門英語の利用には高度すぎる.. • Meticulous Learning Follow up Systems… Item Response Theory を使った頻繁な小テストの実施…, 本授業で参考 はじめに 使用した教科書 授業風景 0 1 2 3 4 5 6 7 8 F1 D2 D1 C2 C1 B2 B1 A2 A1 人数 成績 3年目期末テストの成績の度数分布 (55点から100点までを5点刻みで分類)