文献調査をどのように行うべきか?
後藤 祐一
埼玉大学 大学院理工学研究科
数理電子情報部門情報領域
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概略
• はじめに
• 何を調べるために探すのか?
• どうやって探すのか?
• 手に入れた資料をどう扱うべきか?
• どの時点で調査を止めるべきか?
• 調べた後はどうするべきか?
• おわりに
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概略
• はじめに
• 何を調べるために探すのか?
• どうやって探すのか?
• 手に入れた資料をどう扱うべきか?
• どの時点で調査を止めるべきか?
• 調べた後はどうするべきか?
• おわりに
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文献調査とは
• 査読された学術論文、学術雑誌の記事、本、
公開されているプログラムなどを調べること
• 研究の位置付けをはっきりさせるために先行研究に
ついて Who, Why, What, When, Where , How を調べる
• 関連研究調査の厳密さが,研究の背景,目的に説得
力を与える
• 先人の業績で利用できるところは利用する
“ Stand on the shoulders of giants”   by Newton
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基本的な方針
• 楽しみや勉強のための読書とは異なり明確な
目的を持って文献調査を行う
• 時間的、内容的な終了条件を決めて調査を行い、
終了条件を満たせたら調査を終了する
– 時間は有限。〆切は刻々と迫っている
– あなたが思いついたことは他の誰かも同時に思い
ついているかもしれない
• 文献の完全な理解は不要。まずはポイントを
理解する
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概略
• はじめに
• 何を調べるために探すのか?
• どうやって探すのか?
• 手に入れた資料をどう扱うべきか?
• どの時点で調査を止めるべきか?
• 調べた後はどうするべきか?
• おわりに
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何を調べるために探すのか?
• 文献調査は「何かを知る」ために行うもの
• 知りたい「何か」を明確にさせておかないと調査できな
い
• What, Why, Who, When, (Where), How をそれぞれの調
査目的に当てはめて、それがわかるような文献を探すこ
と
• 調査中に「知りたいこと」がどんどん増えていくが、と
りあえずそれは後で調べること
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文献調査の前のチェックリスト
• 以下の事柄をどこかに列挙して、文献調査中に常に
これを眺めるようにすること
– 自分は何を調べたくて文献調査をするのか
– 何が分かれば上記の事柄が判明するか
– 調査を終了する条件は何か(時間的、内容的、量
的)
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調査中に新たに調べたいことが出てきた場合には、
とりあえずそれについてチェックリストだけ作っておき
その場は忘れること!
概略
• はじめに
• 何を調べるために探すのか?
• どうやって探すのか?
• 手に入れた資料をどう扱うべきか?
• どの時点で調査を止めるべきか?
• 調べた後はどうするべきか?
• おわりに
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調査対象の資料の特徴を捉える
• 内容の新鮮度
Web ページ > 新聞 > 論文集 > 学術雑誌 > 専門書
• 内容の信頼度
専門書 > 学術雑誌 > 論文集 > 新聞 > Web ページ
• 基本的に論文の参考文献となり得るのは、専門書、
学術雑誌、論文集、新聞まで
• 多くの場合、工学の分野では、 Web ページを
参考文献として認めない(例外あり)
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目的別に資料を使う( 1/2 )
• 自分が行おうとする分野の概略(アウトライン)を知
りたい場合には本や調査論文(サーベイ論文)が適切
• 情報の新鮮度は落ちるが、その分野で確定された事柄
がまとめて記載されている
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目的別に資料を使う( 2/2 )
• 自分が研究を行おうとする分野の課題を知りたいので
あれば、最新の学術雑誌や論文集に掲載されている論
文を調べる
• 論文は基本的にもっとも新しいものから読み始めるこ
と
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本を探す場合( 1/2 )
注!以下の話は埼玉大学工学部情報システム工学科の
後藤研究室での話です。
•まずは研究室の図書を調べる
– 先生に尋ねる
•情報システム工学科の図書室を調べる
•次に大学の図書館を調べる
– 埼玉大学 OPAC
http://www.lib.saitama-u.ac.jp/opac/
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本を探す場合( 2/2 )
• なければ購入を検討する
– Amazon.co.jp
http://www.amazon.co.jp/
– 国立国会図書館  NDL-OPAC
http://opac.ndl.go.jp/index.html
– 先生に本の購入を相談する
• 絶版の場合:文献複写を検討する
– NACSIS Webcat
http://webcat.nii.ac.jp/
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論文を探す場合( 1/2 )
• どこから探し始めれば良いのか検討がつかない場合
は、有名学術雑誌、論文集を集めたデータベースの
中から、論文を探す
– DBLP
– ACM Digital Library
– IEEE-CS Digital Library
– Science Direct (大学より利用可)
– ICI Web of Science (大学より利用可)
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論文を探す場合( 2/2 )
• 既に検索すべきキーワードや著者名が分かっている
場合には、 Google Scholar が便利
• 高度な検索を行いたい場合(関連検索、ある論文を
引用している論文を知りたいなど)
– ICI Web of Science (大学より利用可)
– Science Direct (大学より利用可)
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論文を手に入れる方法( 1/2 )
• 著者の Web サイトで公開していない場合には
基本的に学術雑誌や論文集の発行元から
手に入れるしかない
• まず、電子媒体で手に入れられるかどうかを調べる。以
下の論文は基本的に入手可能
– 1996 以前の LNCS, LNAI の論文(図書館経由)
– Elsevir 出版の論文(図書館経由)
– ACM の雑誌、論文集( ACM の会員のみ)
– IEEE-CS の雑誌、論文集( IEEE-CS の会員のみ)
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論文を手に入れる方法( 2/2 )
• 電子媒体で手に入らない場合。紙ベースで手に入らない
かをチェックする
– 研究室所蔵の学術雑誌、論文集
– 学科図書館の雑誌棚
– 大学図書館の雑誌棚
– 文献の複写
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概略
• はじめに
• 何を調べるために探すのか?
• どうやって探すのか?
• 手に入れた資料をどう扱うべきか?
• どの時点で調査を止めるべきか?
• 調べた後はどうするべきか?
• おわりに
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文献を集めたらまず行うこと
• 文献を収集している最中には読み始めない
– できる限り作業に区切りをつけた方が良いため
• どの文献をどこから集めてきたのかを記述しておく。
すなわち、文献リストを作っておく
– Mendeley などの書誌情報管理ソフトが便利
• 再び、何を知りたいのかについて明確にしておく
• 文献を読む順番と費やせる時間を検討する
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どう読むか?
• 基本方針としていきなり熟読はしない
• 自分が知りたいことを知ることができるかどうかが
ポイントなので、それ以外は必要になったときにも
う一度読む
• 必要な文献ならば、数回読むことは確実なので、
1回目は、 2 回目以降の読み込みをどうやって楽に
できるかを考えながら読む
• 借りてきた本や共有の本ならばポストイット、
そうでなければアンダーラインマーカーや書き込み
が有効(未来の自分の手間を省いてあげる)
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本を読むとき
• まず、熟読すべき部分は以下のとおり
– 前書き
– 目次
– 索引
• 自分の知りたいことが書いてありそうなページを目
次や索引から探してそこだけを読む
• そこを起点として自分の知りたいことを探す
• 1 回目の読み込みはこれで十分
• 必ず最新のものから読み始めること
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論文を読む場合
• まず、熟読すべき部分は以下のとおり
– 題目
– 概要  (Abstract)
– はじめに  (Introduction)
– おわりに (Conclusion, Concluding remarks)
• 大体、上記 3 つの部分を読めば 1 回目に知りたいこ
とはわかるはず
• 1 回目の読み込みはこれで十分
• 必ず、最新のものから読むこと
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概略
• はじめに
• 何を調べるために探すのか?
• どうやって探すのか?
• 手に入れた資料をどう扱うべきか?
• どの時点で調査を止めるべきか?
• 調べた後はどうするべきか?
• おわりに
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調査は研究ではない!
• 文献調査は研究の準備である
• 新しいことを行うのが研究なのだから、参考文献が
ないというのは、あなたのテーマは新しいというこ
とを示す証拠であるということを理解しなければな
らない
• 逆にいえば、常に文献があるとは考えてはならない
• 知りたいことが分かった時点で調査を止める
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概略
• はじめに
• 何を調べるために探すのか?
• どうやって探すのか?
• 手に入れた資料をどう扱うべきか?
• どの時点で調査を止めるべきか?
• 調べた後はどうするべきか?
• おわりに
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分かったことは発表しよう
• 文献調査でわかったことを頭の中でモヤモヤさせていて
はいけない
• 必ず文章でまとめておくこと
(論文でも利用しやすくなる)
• 「誰が」「どの文献で」「どのように主張しているの
か」ということをすぐに示せるようにしておくことが
望ましい
• ゼミやメール、あるいは友達に発表するのが一番よい
まとめ方(説明することで理解が深まる)
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途中で思いついたことを捨てない
• 文献調査をしていると、研究と直接的には関係ない事柄
だけれども、非常に面白いこと、興味深いこと、もっと
知りたいこと、あるいは、新しいアイデアが浮かぶこと
がある
• それらに引きずられて別のことを始めてしまうのは良く
ない(一種の現実逃避)
• それらを 1 ヶ月後の自分が理解できるようにメモしてお
き(電子媒体が好ましい)、とりあえず脇に置いておく
習慣をつけよう
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収集した文献は捨てない
• 少なくとも大学にいる間は、収集した論文の紙ベース
のもの、電子媒体のもののどちらも捨てないこと
• 後で必要になる場合もあるし、仲間にとってその文献
が必要になるときがくるかもしれない
• 収集した文献は大切な財産であることを理解し、いつ
でも取り出せるように管理する
• ただし、これは図書館のように分類し、格納しなさい
といっているわけではない
05/16/16 29
概略
• はじめに
• 何を調べるために探すのか?
• どうやって探すのか?
• 手に入れた資料をどう扱うべきか?
• どの時点で調査を止めるべきか?
• 調べた後はどうするべきか?
• おわりに
05/16/16 30
研究は勉強ではない
• 研究とは「新しい」ことをするものであり、勉強とは既
に誰かが行ったことを学ぶこと
• 既に行われたことをたくさん調べて、それをわかりやす
くまとめたとしても、その行為は研究ではない
• 「世の中にまだ存在しない」「世の中に既に存在する」
を調べるための行為が、文献調査であることを忘れない
05/16/16 31
文献を信じない
• 本や論文に書かれていることが必ず正しいわけではない
• 自分のやろうとしていることが、本や論文において「不
可能である」と書かれていても、その理由に納得するま
では信じてはいけない
• 本や論文を書くのも我々と同じ人間であることを忘れな
い
• 当然、今日、後藤が喋ったこともそのまま信じてはいけ
ない
05/16/16 32
参考
• 伊藤 俊洋 監訳:スタディスキルズ , 丸善
• 学習技術研究会 編著 : 知へのステップ,くろしお出版
• 奥村 晴彦 , 三重大学学術情報ポータルセンター : 基礎か
らわかる情報リテラシー , 技術評論社
• 新堀 聰 : 評価される博士・修士・卒業論文の書き方 
考え方 , 同文館出版
05/16/16 33
英語の文献が読めない
• 大丈夫、未だに私も読めません。読むときには多大な決
意が必要です
• ただし、自分の分野の論文を何編も読んでいると、その
ジャンルに関しての語彙が増えてくるので思いのほか早
く読めるようになります
• 英文法をある程度復習しましょう
• 英和・和英辞典、英英辞典を用意して、いつでも引ける
ようにしましょう
05/16/16 34

文献調査をどのように行うべきか?