男性の家事育児
と働き方
東 浩司(あづまこうじ)
NPO法人ファザーリング・ジャパン
ライフデザイン/キャリア設計Ⅰ 第4回
今回扱うテーマ
男性問題
なぜ女子大学に通う私たちが
男性の問題を学ぶのか・・
内容と進め方
• 講師自己紹介
• ‘イクメン’について
• あるべき父親像が変わった
• 男性の育休について
• 男性が育児しない/できない理由
• ドリームプラン・プレゼンテーション
クイズや動画視聴で楽しく進めます
講師自己紹介
東 浩司(あづまこうじ)
• 1971年2月生(52歳)、逗子在住
名古屋出身、大阪大学人間科学部卒業
立教大学大学院修了(社会デザイン学修士)
• 妻(保育士・家事代行)、娘(高1・小6)
• 6回の転職を経て、36歳で長女の誕生を機に独立
専門:ワークライフバランス、働き方改革、父親育児
• 株式会社ソラーレ代表
NPO法人ファザーリング・ジャパン会員
キャリア・コンサルタント(聖心女子大学)
本業は「パパ」
l 親になることに消極的だった
l 「24時間、365日働け!」を
社是とする会社で教育担当
l 月500時間労働の企業戦士
l 長女の誕生をきっかけに
働き方を見直す
l 父親育児NPOに入会して
生き方が変わる
父親の育児に関わる様々なプロジェクトを推進
全国各地で講演セミナー・イベントを年1000回以上実施
ファザーリング・ジャパンの活動
l さんきゅーパパ(男性育休取得促進)
l イクボス(経営管理職の意識変革)
l イクジイ(孫育て、多世代交流)
l マザーリング(母親のエンパワメント)
l メインマン(発達障害の親子支援)
l ペンギンパパ(産後うつ予防)
l トモショク(家族で食事、パパ料理)
いい父親・母親ではなく
笑っている父親・母親 になろう!
<プラス思考になるコツ>
l「プラス思考になろう!」とは思わない
意識すると逆にマイナス思考へ向かいます
l明るい言葉を口ぐせに
脳にプラスのスイッチが押されてプラス思考の体質に
うたし大(うれしい・楽しい・幸せ・大好き・大丈夫)
親(先輩)がいきいきと輝いて生きる姿をみて
次世代は未来に明るい希望を抱く
• イクメン=育児を主体的に行う男性
• 2010年の流行語大賞TOP10
• 男の育児は「国家事業」
• ‘イクメン’の反対語は?
‘イクメン’ はプラスですか?
私が育児を始めた16年前の光景
• 父子でお出かけすると
「ママがいなくて可哀想ね」
• 男性がおむつを替える場所が
なかった
• 子育て講座に参加すると
私以外は全員女性
隣のママが授乳して
変質者に疑われる
2009年10月、日本初の父親学校
ファザーリング・スクール開講
平日夜、2時間、全八回、有料講座、11期まで実施
NHK「おはよう日本」 「クローズアップ現代」「あさイチ!」 、
テレビ朝日「SmaSTAION!」、テレビ東京「ガイアの夜明け」 、
TBS「はなまるマーケット」、フジテレビ「めざましどようび」、
読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」、CNN、アルジャジーラ
イクメンブームで取材が殺到!
<答>
FJは‘イクメンを広める団体’ではなく
「イクメン」を死語にする団体です
なぜ「イクメン」がニュースになったのか?
育児する父親が 珍しい から
母親が育児しても話題にすらなりません
あるべき父親像が変わった
昭和
頑固カミナリ親父
父親の家庭不在
平成
モーレツサラリーマン
イク(育)メン・ブーム
令和
父親が育児するのは普通に
共働き・共育てがプレインストール
2013年 パパも育児しよう! 2018年 パパの育児は前提
質問です
父親が育児
をするメリット
は何でしょう?
子どもにとって
Ø 子どもの興味や価値観が広がる
Ø 子どもの自己肯定感が高まる ⇒非行防止
父親が子育てするメリット
妻にとって
Ø 時間と精神的な余裕で育児ストレス軽減
Ø 子育てに前向きな気持ちになれる
父親本人にとって
Ø 仕事以外の人生が豊かになる
Ø 多幸感、親として成長できる
クイズ: これは何の数字でしょう?
厚生労働省「2022年度雇用均等基本調査」
17.13 80.2
女性
男性
イクメンプロジェクトが掲げた目標:2020年までに13%
異次元の少子化対策:2025年50%、30年85%
2010年6月 厚生労働省が
イクメンプロジェクトを始動
20代では8割以上の男性が育児休業取得を希望
21世紀職業財団「ダイバーシティ&インクルージョン推進状況調査結果(2022)」
*「子どもを持つ予定がない」人は除いている
質問です
男性が育休を
とれない(とらない)
理由は何でしょう?
男性が育休を取得しない理由
連合「男性の家事・育児参加に関する実態調査2019年」
1位 47.3% 仕事の代替要員がいない
=職場に迷惑がかかる
1位は何でしょう?
2位 36.6% 収入が減る
3位 32.2% 男性が取得できる雰囲気が
職場にない
4位 13.9% 仕事にブランクができる
5位 11.3% 男性が取得するものではない
パタニティ・ハラスメント
連合「男性の育児等家庭責任に関する意識調査2020」
5位 取得すると昇進・昇給に悪影響がでる
6位 上司に取得しないほうがいいと言われた
7位 上司に取得したら不利益を被ると言われた
8位 取得すると異動になる
(パタハラ発言の例)
「お前が産むのか!?」「男のくせにありえない!」
「私だったら今の状況では取得しない。
あなたもそうすべきだ」
2022年度 育児・介護休業法 改正
目的は「男性育休取得促進」・・元は「男性の育休義務化」で検討
l育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
l個別の周知・意向確認 ←企業の周知義務
l産後パパ育休、育休の分割取得
l育児休業取得状況の公表義務化
ü女性:「取るかor辞めるか」を迫られる
ü男性:職場の空気を読んで判断する
男性育休の企業先進事例 積水ハウス
2018年9月「イクメン休業」制度をスタート
l 対象:3歳未満の子どもがいる男性社員全員
初月のみ有給、分割取得も可能
500人以上が制度を利用、対象者全取得達成
l トップダウンで「男性1ヶ月育休必須化」を推進
社長がスウェーデンを訪問し、公園でベビーカーを
押す9割が男性だったことに衝撃を受けた
⇒ 育休取得で仕事をフォロー、チーム力が高まった、
顧客への提案力が増した、社員幸福度が向上
男性の育休取得によるデメリットはない
政府が
男性の育児を
推進する理由は
何でしょうか?
質問です
男性の育児は少子化対策に効果あり
子どもがいる夫の休日の家事育児時間と第2子以降の出生率
夫が家事育児すると二人目以降が生まれやすい
厚生労働省「第14回21世紀成年者縦断調査」2015年11月
10
32.8
59.2
79.7
87.1
90
67.2
40.8
20.3
12.9
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
家事・育児時間なし
2時間未満
2時間以上4時間未満
4時間以上6時間未満
6時間以上
出生あり 出生なし
厚生労働省「第14回21世紀成年者縦断調査」2015年11月
男性の育児は女性の就業継続につながる
夫の平日の家事・育児時間別にみた妻の就業継続割合
夫が家事育児することで女性が働き続けることが可能
60.1
51.5
64.5
75
4
3
3.5
6.8
30.4
42.4
26.2
13.6
5.5
3
5.7
4.5
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
家事・育児時間なし
2時間未満
2時間以上4時間未満
4時間以上
同一就業 転職 離職 不詳
産後うつを予防する
<産後一年未満に死亡した妊産婦の死因(2015-16年)>
第1位 自殺 92人
第2位 がん 75人、心疾患 25人、出血 23人
出産した女性の10人に1人が発症
家事(食事・洗濯・掃除)も重要
夫婦パートナーシップの強化月間
国立成育医療研究センター「人口動態統計(死亡・出生・死産)から見る妊娠中・産後の死亡の現状」
夫と妻の家事育児時間は4倍の差がある
1.54
1.05
0.3
7.28
3.54
2.58
0
1
2
3
4
5
6
7
8
家事関連 家事関連 育児
夫 妻
総務省「令和3年度社会基本調査」
6歳未満の子供をもつ世帯の夫と妻の家事関連時間
固定的性別役割分業(分担)意識(価値観)
男は仕事、女は家庭
夫は外で稼ぎ、妻は家を守る
この考え方に
賛成ですか? 反対ですか?
内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」令和4年
世論調査の推移
60.1
57.8
47
45.2 44.9
41.3
51.6
4…
40.6
35.6
33.5
34
37.8
4
48.9
52.1
55.1
45.1
49.4
54.3
59.8
64.3
30
35
40
45
50
55
60
65
70
平
成
4
年
平
成
9
年
平
成
1
4
年
平
成
1
6
年
平
成
1
9
年
平
成
2
1
年
平
成
2
4
年
平
成
2
6
年
平
成
2
8
年
令
和
元
年
令
和
4
年
賛成・どちらかといえば賛成 反対・どちらかといえば反対
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」の考え方について
性別役割分業意識「男は仕事、女は家庭」は
否定するが、稼ぎ主役割からは降りていない
残業+通勤時間が長く、育児できる時間に
家に帰れない&仕事で疲れすぎて余力なし
・・都市圏のパパたちは休日に頑張っている
ジェンダー規範
長時間労働の働き方
男性が育児を「しない理由」「できない理由」
→FJがイクボスプロジェクトを始めた理由
家事や子育ては妻の神聖な領域であり、
夫に入ってほしくないと拒絶する場合、
父親の育児参加を抑制する方向に向かう
石井クンツ昌子『「育メン」現象の社会学』2013
<妻のゲートキーパー説>
• 相対的資源説(収入、学歴など社会資源の夫婦格差)
• 家庭内需要説(末子年齢、子どもの数)
• 代替資源(同居親、夫婦以外の家事育児従事者)
• スキル不足説(育児を学んだことがない)
父親の育児参加規定要因・阻害要因
内閣府「アンコンシャス・バイアス調査」
内閣府「令和4年度 性別による無意識の思い込み
(アンコンシャス・バイアス)に関する調査」
大黒柱バイアス
個人の意識の問題だけではなく構造的な問題がある
Ø 男女の賃金格差
・・男性の賃金の中央値を100とすると、女性の中央値は75.2
「賃金構造基本統計調査」令和3年
Ø 非正規雇用は女性が多い
・・非正規雇用者の割合:女性54.4%、男性22.2%
Ø 主婦(夫)を優遇する制度
・・配偶者控除、103万/130万円の壁
⇒「男性稼ぎ主モデル」を強化
私も大黒柱バイアスに罹っていました
育児時間
を確保
妻に相談すると「早く帰ってきて」
⇒ 18時に帰る宣言
残業代を
稼ぐ
父親にな
って葛藤
娘が生まれて「父親として頑張らなければ!」
⇒最初に思ったのは「大黒柱となって稼がなきゃ」
約2億2千
・女性/大卒/正社員 万円
約3000
・女性/専業主婦 万円
大卒〜30歳の出産まで働いて退職、再就職なし
(独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2021」より)
女性の生涯賃金
・男性/大卒/正社員 万円
約2億7千
大卒〜60歳で定年退職
生涯賃金の差は2億円!
パパもつらいよ
• 子どもが生まれてから夫婦関係が悪化した
• しつけや教育の方針が妻と合わなくて離婚の危機に
• やる気はあるのだが、仕事が忙しくて時間が作れない
• 子育てを理由に定時退社すると会社の評価が下がる
• 妻が抱え込んでいて自分の出番がない
• 子どもが「ママ」ばかりでなついてくれない
• 子どもと何をしたらよいか分からない
やりたいことを十回言うと実現します
「口」+「十」= 「叶」う
ただし、十一回言ってはいけない、、
「吐」く
⇒マイナス言葉をなくせば 「叶」う
笑っている大人の原点は「夢」
ü電気がつくことに、ありがとう
ü家族に、友人に、先生に、ありがとう
感謝の反対語をご存知ですか?
「ありがとう」から始めよう
究極の感謝とは
産んでくれて
ありがとう
第4回 課題
今回の講義で感じたことや気づきを
得たこと、父親のあり方について
考えたことを述べてください
(400〜600字程度)
講義の感想について、講師(東)のFacebookやブログで紹介してもよい
という方は該当欄にチェックを入れてください。尚、氏名などの個人情報は
公表せず、プライバシーに関わる情報は出しませんのでご安心ください。

男性の家事育児と働き方